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〜会議録(2019年3月1日予算委員会)〜

○小川委員  立憲民主党・無所属フォーラムの小川淳也です。

 率直に、先月からの予算審議に敬意を表したいと思います。また、委員長におかれましては、冒頭、野党側に配慮した御発言をいただき、感謝を申し上げます。

 とはいえ、この締めくくり質疑なんですが、与野党の合意なく委員長の職権において開催されたものであります。この辺は大変遺憾であり、委員長の見解を求めたいと思います。

○野田委員長  小川委員に申し上げます。

 ここは私の見解を申し上げるところではございませんが、この締めくくり総括質疑は、私の職権で立たせていただきましたということでございます。

○小川委員  私ども野党の立場は、さらなる審議を求める立場でございますし、採決は時期尚早という立場でございます。その点ははっきりさせていただきたいと思います。

 次に、根本厚生労働大臣、先ほどは本会議場でありがとうございました。不信任案を読み上げさせていただくのも、また読み上げられる側も、大変気持ちのいいものではないと想像いたします。そして、先ほど同僚議員から、私はちょっと、余り前後左右よく見られなかったんですが、厳しい指摘も含めて、根本大臣は姿勢を崩さずに私の主張に対して耳を傾けてくださったと、同僚議員から報告を受けました。その点に対して敬意を表したいと思います。

 その上で、不信任案が否決されましたので、質問をさせていただきます。

 本予算案の審議に当たり、再三主張しておりますとおり、国民の生活実態なり生活実感を最もよくあらわすであろう実質賃金は、二〇一八年の実質賃金は、消費増税を控え、いかなる水準であるのか。予算審議、採決前に実質賃金の公表を求めたいと思いますが、根本大臣、いかがですか。

○根本国務大臣  実質賃金については、毎月勤労統計で、本系列というのは全労働者の賃金水準をあらわす本統計で、これは、名目で一・四%で、実質は〇・二%。その実質は、我々、公表しております。

○小川委員  それはよくわかっております。

 大臣ももう御存じだと思います。統計委員会は、景況判断の参考となる実質賃金の水準は、むしろ、大幅にサンプルを入れかえ、そしてウエート補正を無視し、さまざまに条件変更した公表値は参考にならないと指摘しています。

 重ねてになりますが、継続事業所、いわゆる参考値における物価の影響を除いた実質の、国民の暮らしにより近い実感値、これを予算採決前に、再度、公表することを求めます。

○根本国務大臣  今、委員の御指摘の共通事業所系列、これは、本系列とあわせて、景気指標としての変化率、これは月々の変化率、これを見るという、参考にするために、参考値として出しております。これは名目で出しているんですよ。これは月々の変化を見るという観点ですから。

 それから、実際の全労働者の平均をあらわす実質賃金というのは、当然ですけれども、本系列で出している。全労働者の平均。

 そして、共通事業所系列の問題は、私もいろいろと勉強をいたしました。いろいろな論点や課題があるなということも、私も把握をしております。

 共通事業所については、実質化すべきという意見もある一方で、実は、共通事業所系列の統計的観点からの問題点の指摘は、共通事業所系列というのは、月々で実は脱落したり、あるいは、去年回答したけれどもことしは回答していないとか、実はそれぞれ、同じもの、同じ前提ではないという指摘があって、これは、前年同月比ではそれは見られるんですけれども、例えば時系列で月々の比較ができるかというと、そこは、要は指数化にするというのはなじまないのではないかという実は課題があるんですね。だから、名目、これは極めて統計的な、専門的な観点だということであります。

 そして、その意味で、現時点で名目賃金指数あるいは実質賃金指数は……(発言する者あり)これは、私、丁寧にお話をしていますから。これは本当に大事なところなので。名目、賃金指数は作成していないということであります。

 また、前年同月比の時系列の場合には、標本誤差が大きくなる、あるいは偏りがある、あるいは作成が開始されてから十二カ月で蓄積が乏しい、実はこういう統計的な、専門的な論点があるものですから、今、より専門的に検討していただこうということで、こういう論点、課題がありますから、ですから、今、検討会で、専門的あるいは利用者のニーズの観点から検討していただいております。

○小川委員  衆議院として確認したいんです、予算審議に当たって。だから求めています。

 それから、名目値で既に公表しているんですね、継続事業所は。サンプル数が少ないとかなんとかいう理屈も途中おっしゃっておられましたが、名目も実質もサンプル数は同じです。サンプル数が少ないなんということは全く理由にならない。言いわけにしかなりません。

 それから、なぜこだわっているかなんですが、今、脱落事業所のことをおっしゃいましたね。脱落事業所のことを考慮すれば、通常、賃金水準は上がるんですよ。これは何度も指摘したとおりです。ところが、脱落事業所を加味したこの継続事業所の数値よりも、新規にサンプルに加えた新しい事業所を入れた公表値の方が高いという異常なことが二〇一八年は起きているわけです。

 そのことも含めて、委員長、締めくくり質疑ですから、委員長の見解を再度求めたいと思います。

 衆議院の予算委員会として、この国民生活の実感なりに最も重要と思われる実質賃金を、衆議院の予算委員会においてきちんと確認した上で採決に臨むべきと思いますが、委員長、いかがですか。

○野田委員長  委員長の判断で決するものではございません。

 後刻、理事会を開いていただいて協議していただきたいと存じます。

○小川委員  それでは、そのお言葉の責任を果たしていただくためにも、少なくとも採決前に、理事会においてこの点を協議していただくことを求めたいと思います。

○野田委員長  小川委員に申し上げます。

 先ほども申し上げましたけれども、ここは、私、委員長の見解を申し上げる場ではありません。この場を主宰する立場であります。

 小川委員におかれましては、質疑の続行をお願いいたします。

○小川委員  本来、大変な見識を備えた方でありますので、今のような建前の御答弁は大変残念であります。改めて、真摯な御協議を求めたいと思います。

 とにかく早く出してください、実質賃金は。日雇を除外した影響も含めて。これは重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 それから、二、三、昨日までの勤労統計に関することを追いかけます。

 まず、この最終報告書ですが、きょうは姉崎参考人を要求しました。委員長、最終盤とはいえ、お出ましいただくのが筋かと思いますが、なぜ、これはきょう来られていないんでしょうか、姉崎参考人は。

○野田委員長  参考人招致に関して、協議が調わずということで認めませんでした。

○小川委員  それでは、大変残念ですけれども、厚労省の統括官、お聞きします。

 既に、かねてから、もう何日も前から要求していることですので、私は依然として、九月十四日、まさに結論が書きかわった日の朝、部下に指示したという姉崎参考人の証言にはなお疑問を持っています。したがって、責任を持って統括官、答えてください、姉崎さんが来ない以上。一体、九月十四日朝の部下に対する姉崎参考人の具体的な指示事項、またその指示の態様はどのようなものだったんですか。

 質問の背景は、この点を姉崎さんに直接お聞きしたときに、姉崎さんは非常にしどろもどろでした。私は、結論の書きかえを朝指示したのかと聞いた。これに対して、しどろもどろに、そうだったと思いますという非常にあやふやな答弁でした。

 藤澤統括官のこの点に関する答弁を、姉崎さんを代弁する形で求めたいと思います。

○藤澤政府参考人  お答えを申し上げます。

 これは、今御指摘の元統計情報部長に確認をしておりますが、このように言っております。

 記憶が定かではないが……(小川委員「また出た」と呼ぶ)今から申し上げることは、元統計情報部長に確認をした内容でございます。

 記憶が定かでないが、私、私というのは元部長のことでございますけれども、私が覚えている限りでは、十一日金曜日か十四日月曜日の午前中に、修文案について、サンプル入れかえ方法については引き続き検討する等とするよう指示をしたように思う、また、当時、情報セキュリティーの事案で多忙をきわめる中で、なかなか担当者と打合せをする時間もとれなかったこと等から考えると、恐らく口頭で担当補佐に個別に直接指示をしたのではないかとのことでございました。

○小川委員  もう統括官もよくおわかりだと思いますが、これだけ研究会の専門家を集めて四カ月にわたって議論し、その結論が大きくひっくり返ったんです、この日。それを、担当者に口頭で、朝、忙しい中、ばたばたしながら伝えたというのは、甚だ信憑性に疑いがある。そんな重要な政策決定の変更を、そういう形で普通役所はやらないんですよ、統括官。これは、このこと自体が極めて疑わしい。

 改めて、この経過については、真相究明が予算採決の前提であると思います。重ねて、委員長の見解を求めます。

○野田委員長  先ほど申し上げましたように、私の見解は申し上げる場所ではございません。

 小川さん、質疑をお続けください。

○小川委員  残念ですが、続けます。

 では、かねてから要求しております、九月十四日と十一日の、当時の姉崎部長の日程表の提出を求めています。お答えをお願いします。

○藤澤政府参考人  お答えを申し上げます。

 事前に伺っておりましたのは、九月十四日の日程表の提出を求めるということでございます。十一日については確認をしておりませんが、十四日の日程表につきまして申し上げますと、お尋ねの日程表は存在をしておりません。

○小川委員  これはもうあり得ないんですよ。やはり、部長、部局長、課長でもそうだと思うんですが、手帳で自分で自分の日程を管理するのは大体課長補佐ぐらいまでですよね、霞が関では。

 統括官の日程はどうしているんですか。自分で手帳で管理しているんですか、それとも職員がきちんと公に管理していますか。

○藤澤政府参考人  私の日程についてのお尋ねでございますけれども、他の職員に管理をしていただいている部分はございます。

 なお、先ほどのお尋ねの、当時の部長の日程表でございますけれども、先ほど申し上げましたように、存在しておりませんが、これは、厚生労働省におけます行政文書の管理については、厚生労働省文書管理規則に基づき運用しているところでございますけれども、日程表につきましては、今申し上げました規則の第十五条六項で、「保存期間を一年未満と設定することができる。」とされているところでございます。

○小川委員  閣僚の皆様もそうでしょう、御自身の日程を自分の手帳で管理している人はいますか。いないんですよ。秘書室なり秘書官がきちんと管理をし、それで業務が成り立っているんです。そして、それは事務次官も、局長も、部長も、審議官も同様です。

 今の文書管理に関する建前はそうなんですよ。それは問題にならない限りそれでいい。しかし、こうして問題になったことについては、厚労省内部のファイルの書きかえがそうだったでしょう、調べればちゃんと確認できるんです。メールもそうだったでしょう、探し出せば出せるんですよ。それを、公の文書管理規則を盾にとって、ありません、出せないというのは、まさに不都合を隠している。

 改めて、この予算採決の前提として、この九月十四日並びに、今ここで追加します、九月十一日、姉崎さんがそうおっしゃっている以上、両日の当人の日程表を探し出して、確認して、委員会に提出することを求めます、委員長。

○野田委員長  後刻、理事会にて協議をいたします。

○小川委員  それでは、採決の前にぜひ理事会を開いて、先ほどの件とあわせて御協議をいただきたいと思います。

 もう一点。この最終報告書に関連して、きょう、樋口委員長にも再度、最終盤ですけれども、お越しいただきたいとお願いをいたしました。

 委員長、なぜ樋口委員長はお呼びいただけなかったんでしょうか。

○野田委員長  理事会は非公開で、詳細を申し上げることは差し控えますが、与野党の合意が得られなかったということであります。

○小川委員  これも大変残念であります。

 それでは、統括官に代理でお答えしていただかざるを得ませんので、お聞きします。もし所管が官房長でしたら、官房長でも結構です。

 この報告書は、私どもは、最初に結論ありきで、組織的隠蔽はないという前提のもとにつくられたという疑いの目を持っています。これに対して、もうこれは中間報告の段階からそうなんですが、確かに、やはり統括官以上、局長以上は、直接知っている人と知らない人がいるというふうに受けとめています。それは、よく読めばそうだし、うそなくこれを報告してもらっているという前提に立てば、そうなんだろうと想像するんです。

 しかし、担当の統計室長、統計課内、担当者においては、代々不正調査が行われていることを認識をし、そして代々引き継がれています、この内容が。まさにこれは、課レベル、統計課内レベルにおいては組織的隠蔽があったと私は認定すべきだと思いますが、統括官ですか、官房長ですか、答弁を求めます。

○定塚政府参考人  お答え申し上げます。

 追加報告におきましては、そもそも組織的隠蔽の概念は多義的であることから、隠蔽行為とは、法律違反又は極めて不適切な行為について、その事実を認識しながら意図的にこれを隠そうとする行為、故意行為であると位置づけ、これを前提とした上で、担当課室の職員らにおいて、意図的に隠したとまでは認められず、隠蔽行為にあったとは言えないものとされているものと承知しております。

 一方で、追加報告では、公的な場で、課室の長の判断のもとに、真実に反することを認識しながら、事実と異なる虚偽の申述を行ったことが認定され、厳しく非難されるべき、課室という組織としての独自の判断又は怠慢による不適切な取扱いは、到底容認できるものではないとの厳しい御指摘をいただいているところでございます。

 厚生労働省としては、深く反省の上、大臣の御指導のもとで信頼回復に努めたい、このように考えている所存でございます。

○小川委員  ちょっと、質問に答えてください。

 隠蔽という言葉が多義的だとあえておっしゃるのは、隠蔽という言葉を当てたくないからでしょう。必要以上に限定解釈する必要はありませんよ。日本人が普通に日本語として受けとめる言葉の意味、これを前提にお答えをいただきたい。

 それから、法律違反についてでありますが、明らかに統計法違反ですよ、これは。承認と異なる形で調査をしていたんですから。

 それから、虚偽の説明ですけれども、例えば、二〇一八年の八月、統計委員会に段差の説明を求められた当時の酒光統括官は、部下からうその説明を受けて、このいわゆる三倍復元がされていないことの影響を除き去った資料をもとに、うその資料ですよ、統計委員会に対してうその説明をしている。これは十分に法律違反であり、うその説明を組織的にやっていたんではありませんか。

○定塚政府参考人  お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたように、追加報告におきましては、特別監察委員会の先生方、法律の専門家、統計の専門家の方々を含めて十分に御議論いただいて、隠蔽行為については、先ほど私が答弁を申し上げたとおりの結論を出していただいているということでございます。

 一方で、虚偽申述、虚偽を述べるということで、二十七年検討会であるとか二十八年のローテーションサンプリング方式導入の変更申請で、全数調査と説明、記載するなど、公的な場で、課室長の判断のもとで、真実に反することを認識しながら虚偽の申述を行った、このことは追加報告書でも認定をされているところでございまして、こちらについては、課室という組織としての独自の判断による行為と評価すべきであり、厳しく非難されるべきである、このように評価されているところでございます。

○小川委員  もう言わずもがなですが、中央官庁の仕事は、基本的に課単位で一固まりです。局がそれを束ねています。したがって、この最終報告にもありますが、「下部組織においても同様の「組織的」行為が行われることはあり得る」、つまり、大臣やこれに準ずる者以外にも、下部組織において同様の組織的行為が行われることはあり得ると認定しています。

 それから、課室という組織としての独自の判断、怠慢、これは怠慢ですかね、怠慢により不適切な取扱いがなされてきたものがあったと認められる、つまり、課単位では少なくとも組織的な隠蔽なり組織的な虚偽の説明はあったと事実上認められています。

 そこで、あくまでこの隠蔽なり虚偽を認めない理由なんですが、統計法違反は、基本的に刑罰がかかっています。それから、既に何名か処分されている方がいらっしゃいますが、追加で処分者が出ることを避けようとしたのではないかという疑惑もあります。

 お聞きしますが、今回の中間報告から最終報告にかけて、新たに追加処分を受ける職員は、あるいは元職員は、いるんですか、いないんですか。

○定塚政府参考人  お答え申し上げます。

 特別監察委員会の追加報告書の内容について、処分については、処分対象となり得る事実を十分精査した上で、処分の要否等についてしっかり検討をしてまいりたいと考えているところでございます。

○小川委員  追加で処分者はあるのかないのかと聞いています。

○定塚政府参考人  公務員の処分でございますが、私ども、まず人事課で検討して、もちろん、当然のことながら大臣に御判断をいただくということにしております。この点についてしっかり検討してまいりたい、ただ、予断を持って現段階でお答えするということは差し控えたいと考えているところでございます。

○小川委員  大臣、処分権限者として答弁してください。

 これは厳正に、改めて最終報告をごらんいただき、必要に応じてという留保はつくとはいえ、私、厳しいと思いますよ、これは。大臣、しっかりと追加処分を行っていくと、ここで表明してください。

○根本国務大臣  まず、基本的な前提を確認したいと思います。

 特別監察委員会というのは、一月報告が公表されて以来、一カ月の間に集中的かつ精力的に検証作業を行っていただきました。これは、中立性、客観性をより高めた形で、二月七日には事務局長も新たに加えて、これは全員の合議制でしっかりやっていただきました。そして、今般の事案の事実関係、関係職員の動機、目的、認識等、さらに責任の所在、これを明らかにすべく追加報告をまとめていただきました。

 その意味では、この追加報告書の内容を十分に精査した上で、そして処分の要否等についてしっかり検討していきたいと思います。

○小川委員  非常に曖昧ですけれども、しっかりやってくださいよ、本当に。改めて要請をいたしたいと思います。

 いずれにしても、委員長、お聞きのとおり、甚だまだ審議は不十分であります。衆議院側において責任を持って解明すべきことがまだ残っていると思います。改めて、採決は時期尚早、拙速であることを主張して、次の質問をさせていただきます。

 総理に、アベノミクスについてお聞きいたします。

 本予算案の前提となるのがアベノミクスによる経済政策であります。もちろん、いいところもあれば、課題も多いという御認識ではないかと思います。

 今から私が読み上げる指摘について、総理がどう思われるか。アベノミクスの評価について、率直にお聞かせいただきたいと思います。

 異次元の金融緩和は効果を上げたが、カンフル剤がいつまでも続くわけではない。都合のいい数字ばかり強調するのは、政策の展開に当たり、よいことではない。GDP増加分のうち三十二兆円は、統計の見直しによるかさ上げが要因であり、総理が掲げる実質成長率二%という目標も、その基礎となる潜在成長率が一%前後で低迷しているので、成長戦略は失敗である。アベノミクスにもできていないことがある、役割を終えたと訴えたい。

 以上、何点か申し上げた指摘、アベノミクスに対する痛烈な批判だと思いますが、総理の評価をお聞きいたしたいと思います。

○安倍内閣総理大臣  もちろん、経済政策を進めていく上において、常に課題があるのは当然なんだろう、こう考えているところでございますが、いつも申し上げているんですが、政治に求められること、さまざまあるんですが、先ほど来、先ほどの質疑においては、やはり、給与を上げていくということも大切なんですが、給与を上げていく上においては、まずは仕事をつくっていくということなんだろう、こう思うわけであります。高校や大学を卒業する皆さんが、働きたい仕事ができる、あるいは、少なくとも仕事につくことができるということなんだろう、こう思います。

 そういう意味におきましては、昨年十二月の一日の段階で、大卒者の就職内定率は過去最高となっておりますし、昨年四月の就職率も、それぞれ、高卒、大卒、過去最高水準になっているのは事実なんだろうと思います。

 その中におきまして、有効求人倍率も非常に上がっている中において、だんだんと、先ほど最低賃金の話もさせていただきましたが、これは賃金におきましても、連合の調査で、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが五年連続で続いておりますし、中小企業、小規模事業者におきましても、二十年間の中で最も高い水準の賃上げが行われているのは事実であります。

 しかし、賃上げというのは、もちろん今の水準でいいと思っているわけではないわけでございますので、政策的な誘導、あるいは政府と経団連等の経済界側との対話の中におきまして、我々もさらなる賃上げを期待している、期待を表明しているところでございます。

 そこで、GDPについて、かさ上げということをおっしゃったんですが、新しい基準で、過去の分と同じ土俵で比べても五十兆円以上ふえているわけでございまして、こちらの土俵と過去の土俵を変えているのであれば別なんですが、同じ土俵で五十兆円伸びているということでございます。

 そもそも、GDPもそうなんですが、我々が政権を奪還する際に私が掲げたのは、失われたGNIを、五十兆円を取り戻すということでございますが、今既に五十兆円を大幅に、かなり早い段階でこれを取り戻し、六十兆円近く、前後、取り戻しているわけでございまして、そういう意味におきましては、我々の進めている政策はしっかりと前に進んでいると思います。

 また、金融政策につきましては、我々、この異次元の金融緩和、黒田総裁のもとで主導して進めてきたところでございますが、この金融政策においては、日本銀行に政策手段において、日本銀行がこれを決めていくことでありますが、黒田総裁の手腕に私は信頼を寄せているということでございます。

○小川委員  再三、総理のそのような御答弁は何度もお聞きしてきたわけですが、まさにそれがここで言うあれでしょう、都合のいい数字ばかり強調するのは、政策の展開に当たりよいことではないという指摘ではないかと思うんです。

 それで、今私が読み上げたこの主張なんですが、これは野党とかメディアの主張かなと思われる、思われますよね。でも、これ、自民党内から出ている声なんですよね。今まさに読み上げたのは、これはちょっと御党の内部でどういう評価かはわかりません、私は。しかし、昨年の八月、ここにもおられる石破委員が指摘したことです。いま一度……(安倍内閣総理大臣「それは総裁選挙でしょう」と呼ぶ)そうです。総裁選挙に絡んでですね。

 いま一度読み上げます。異次元の金融緩和は効果を上げたが、カンフル剤がいつまでも続くわけではない。都合のいい数字ばかり強調するのは、政策の展開に当たり、よいことではない。GDP増加分のうち三十二兆円は、統計の見直しによるかさ上げが要因だ。実質成長率二%という目標も、その基礎となる潜在成長率が一%前後で低迷しており、成長戦略は失敗だ。アベノミクスにもできていないことがあり、役割を終えたと訴えたい。これが党内から出ている声ということであります。

 そういう意味で、何度お聞きしても、いい数字をベースにしたいい答えしか返ってこないのが本当に、全くもって残念なんですが、しかし、こういう声にも改めて謙虚にお耳をおかしいただきながら、経済政策を当然のことながら進めていただきたいと思います。

 それで、今総理がおっしゃった、新基準同士で比較して五十兆円以上ふえたんだという主張ですよね。それは実際そうなんですよ。ところが、旧基準では、もう二〇一五年以降、推計をやめちゃっているんです。ということは、旧基準だったら今どうなのかは、もう今検証のしようがないんです。(安倍内閣総理大臣「意味がないでしょう」と呼ぶ)いや、意味なくないですよ。

 参考までに申し上げます。これは質疑で何回か指摘したんですが、一二年から一五年は旧基準と新基準で両方比較できるんですね、一二年から一五年。一二年から一五年の三年間の伸びを見る限り、旧基準の伸びよりも新基準の伸びは一・五倍になっています。

 これから類推するに、恐らく一六年、一七年、一八年と、私は先ほど本会議でも主張したんですが、茂木大臣、簡潔にお答えいただければありがたいんですけれどもね。これは、これだけ政府統計に信頼が傷つきました。そして、指摘したように、GDP統計も、本体の推計と、そして基礎となる一次統計も相当さわっています。それから、話題になっているその他項目があります。

 したがって、これ、統計不正に対する、あるいは数値に対する不信感、国民の不信感を払拭するための方法はたった一つです。将来に向けて、少々コストはかかるでしょう、人員もかかるでしょう、しかし、その程度で日本の統計に対する信頼を取り戻せるとしたら、私は安い買物だと思う。ぜひ、今後例えば十年、一次統計、どこをさわったのか、そしてGDP推計、どのように統計手法の変更で影響が起きたのか、今後十年にわたって比較対照できるように、新基準と旧基準と双方で推計することを求めます。

○茂木国務大臣  まず、統計の問題について、GDP統計の話と賃金等の統計の話があるわけでありますが、GDP、これは御案内のとおり支出項目でありますから、基本的には、消費であったりとか政府支出であったりとか輸出入、こういった、言ってみますとアウトプットで見るわけであります。一方で、賃金。これは、言ってみますと収入の項目になるわけでありますから、この賃金統計等によって、GDPそのものは全く変わるものではない。このことをまず前提として申し上げたいと思います。

 それで、GDPに関する統計改革、これは、御案内のとおり、今、インターネットの普及等々によりまして、購買行動が変化する、こういった経済構造の変化を的確に捉える。さらには、証拠に基づく政策形成、EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング、こういったものを推進するという観点から、政府統計の精度向上を目指して、統計上の見地から行われたものであります。

 そして、二〇一六年十二月にこれを実施したわけでありますが、ここでは主に二点。一つは、RアンドDの資本化など、最新の国際基準に対応するとともに、もう一点、最新の産業連関表や推計手法を……(小川委員「聞かれたことにお願いします」と呼ぶ)今答えています、反映した改定であります。この改定によりまして、日本経済の実力をより正確に計算できるようになったと考えております。それによりまして、別にかさ上げはしておりません。ただ、当然、数字というのは変わってくるということでありまして、それが三十一・六兆円という数字になります。

 ただ、同じベースで比べても五十兆円以上ふえているということでありますが、国際比較とかをしていくときに、御案内のとおり、新しい基準で国際比較をするのは当然のことでありまして、新しい基準を採用した後に旧基準の統計、これをまだとり続ける、この意味は薄いと考えております。

○小川委員  いや、ここまで日本の統計に対する信頼は揺らいでいますから、私は、それが政権の意図的なものでない、すぐれて技術的なものである、なぜなら結果を見ればこうだということで、きちんと立証するのが一番の近道であり、一番の誠意ある対応だと思いますよ。これは、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 最後に、民主主義全般にかかわる問題ですので、菅官房長官にお聞きをいたします。

 昨日も阿部委員との間で、ある程度議論になったようでありますが、特定の記者を念頭に、あなたに答える必要はないという言い方はどうかと思いますし、また、本会議でもきょう指摘はしたんです。ただ、官房長官、いらっしゃったかどうかちょっと確認できませんでしたので、お答えください。

 事実に基づいて質問してくださいというのは、不適切ではありませんか。なぜなら、事実とは、意見を闘わせ、言葉を闘わせて、お互いに共通認識としてつくっていくものだからであります。事実に基づいて質問せよというのは、そもそもが、事実上、質問するなという不適切な要請だと思いますが、いかがですか。

○菅国務大臣  そこは全く違います。

 ぜひ、ここは御理解をいただきたいんですけれども、官房長官の記者会見というのは、まさに政府の見解そして立場、そうしたことを記者の皆さんの質問に答える場だというふうに思っています。

 そういう中で、事実に基づかない質問をすることや、質問に入る前に自分の意見や主張を長々と発言するというのは、これは、現在のこの記者会見の仕組みというのは、まさにインターネットの動画だとかあるいはライブ配信……(発言する者あり)

○野田委員長  御静粛に。

○菅国務大臣  こうしたことによって、同時に、世界で、視聴者の皆さんは見られることになっていますから、私だけでなくて、やはり記者の皆さんも、事実に基づかない質問は、私はすべきじゃないと思います。

 例えば事例を挙げさせていただきます。これはたくさん事例があったんです。

 私自身が、記者会見の中で、国連人権委員会特別報告者からの面会依頼をドタキャンしたと。なぜですかと問われたんです。これはもう二年ほど前のことですよ。その時点で、これは事前通告もありませんから。ですけれども、私自身は、やはり、公務以外はドタキャンじゃないですから、結果、調べたら、私に面談をした事実がなかったんですよ。面談をした事実がないのに、ドタキャンしたと質問されるんですよ。これについてどう思いますか。(発言する者あり)いや、アポイントがなかったんです。それは失礼しました。

 さらにまた、官房長官は午前の記者会見で、個々の相談記録は個別に答えないという、そういう話をしましたけれども。私は、そんなことを午前の記者会見でやっていなかったんですよ。

 これは幾ら何でも、そのことが全てまさにライブで見られるわけですから。そして、私ども、そこについて、その記者の方がこういう事実と違うことを言って、そこはそのままなんです。こうしたことが続いていくということは、やはりこれは避けるべきですよ。

 例えば、私がその記者の方に申し上げたのは、午前中の質問で事実に基づかない質問をされて、そこについて、政府の見解を述べることですという話をして、そして午後でまた同じような質問をされて、それについても、質問してくださいという話を私、させていただきました。そうしたら、また三回目も同じようなことを言われましたので、私は、繰り返す必要がない、答弁する必要がないという思いの中で申し上げたんですけれども。

 こうした事実が実際に行われている。やはり、私は、特定の記者の方だけですよ、こうした質問をし続けることは。そして、御自身の意見や主張を長々とまず発言した上で質問に移るわけです。ですから、早く質問に移ってくださいということも、何回かこれ、場合によっては督促をするわけであります。

 ですから、そして、このことについて文書でその新聞社に申し入れたんです。そうしたら、会見の中で意見を言うことは我が社の方針と違います、そういう答えもあったんです。

○小川委員  私も、一定のマナーなり、あるいは、本会議場でもあえて申し上げたんですが、私どもに、野党議員も含めて、敬意を要するという御意見には賛同する部分はあるんです、一定のマナーなり敬意はですね。それはそのとおりです。しかし、お聞きすることの手を緩めていいとは思いませんし、厳しくただしていくのは私どもの仕事であります。記者も仕事です。

 そういう意味で、これは、官房長官、むしろ宝だと思いますよ、そういう厳しいことをあえて言ってくれる記者なり議員は。いや、私は、そういう部分はあると思うんですよ。なぜなら、もう今、周りにいないでしょう、苦言を呈する人。総理、官房長官、いないでしょう、今、苦言を呈する人。我々野党議員と記者ぐらいでしょう。これは本当に政権の権力を健全に保つ宝なんですよ。それぐらいの構えをぜひとっていただきたい。

 官房長官、最後にお尋ねします。

 「安倍政治 百のファクトチェック」、まさにこれは、官房長官の天敵である特定の女性記者も含めて出版されたものです。私は、ここに幾つか検証しなければならない事実があるというふうに拝読しています。

 その中で一つ、これは私の質疑にかかわることなので答弁を求めて、質問を終えます。

 もうこれは二年前のことですから。私は、文科省の天下り問題が問題になったときに、国会の召集日は一月二十日でした。この一月二十日に前川さん、当時の前川次官は辞任をし、そして検証委員会の報告だったかな……

○野田委員長  小川さん、質問時間が終了しておりますので。

○小川委員  はい。

 では、本当に簡潔に。

 これは、一月二十日、国会召集前の事態の収拾だと批判しました。官房長官は、それを大臣が処分を行った後に聞いたというふうに私に答弁しました。しかし、半年後の七月の記者会見で、実は、一月の段階で前川さんの辞任に関しても聞いているということを答弁されています。

○野田委員長  小川さん、再度申し上げます。質問時間が終了しております。

○小川委員  極めて国会答弁が不誠実であり、それこそ事実に基づいて御答弁をいただく必要があります。このことを指摘して、もう答弁は求めません。

 委員長、重ねて、政治姿勢なり予算案、いまだ不十分であります。採決には強く反対をすることを申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

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