民主党 衆議院議員 小川淳也
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〜会議録(06年6月13日 財務金融委員会)〜

○小川(淳)委員  民主党の 小川淳也 でございます。

 初めての国会も、終盤になりますと大分くたびれてまいっておりますが、元気に参らせていただきたいと思います。

 まず、本当に、一月のライブドア事件に始まりまして村上ファンドの事件に終わったこの通常国会の会期ではなかったかと思いますが、先ほども、与謝野大臣、所感をおっしゃっておられました。このライブドア事件、それから村上ファンド事件、ほかにも三井住友銀行、中央青山監査法人等々、金融不祥事が後を絶たなかったわけでございますが、大臣、この点、改めて御所感をお伺いしたいと思います。

○与謝野国務大臣  金融庁も証券監視委員会も、事実と法令に照らしまして淡々と行動しているわけでございまして、特段、肩に力を入れて行動しているわけではありません。

 ことしに入りましてから二件大きな事件がございましたが、これは旧証取法上の古典的な手口のものでございまして、手口の新しさという点では全く驚かないものでございまして、風説の流布、インサイダー取引等々は、もう法律に昔から書いてある犯罪の類型であったと私は思っております。

○小川(淳)委員  ありがとうございました。本当に何事にも動じない、本当に淡々とした御答弁だと思います。

 これはいろいろな見方があろうかと思います。例えば、これはある報道で目にいたしました。六日の記者会見で経済同友会の北城代表幹事は、この村上ファンドの事件に関して、今回も検察が動いた、検察が。健全に市場が動いているのかどうか監視する体制のあり方を考えていきたいと語ったとございます。

 これに対して、与謝野大臣、何か反論はございますか。

○与謝野国務大臣  証券監視委員会が知識と情報を提供しなければ検察は動けない。そういう意味では、一緒にやっている。やっているということを監視委員会は宣伝はいたしませんけれども、基礎的な情報、基礎的な証券取引に関する法律上の知識、解釈、こういうものは全部監視委員会が提供しているものでございます。

○小川(淳)委員  確かに、こうして摘発をしていただいて、逮捕に踏み切って適正に処罰をしていただくということ、これは本当に大いに大切なことですし、大いに結構なことだと思います。一方で、こういった体制の問題、市場監視をもっと体制から考えていかないといけない。

 与謝野大臣、せんだって質疑をお願い申し上げました際に、私は余り組織とか何だとかという発想は趣味じゃないんだということもおっしゃっておられましたが、やはりこれは本当に組織、体制の問題として考えていく必要があると思います。かねてから私ども証券取引委員会設置法案等で主張しておりますとおり、やはり十分な組織と人員をもって市場の監視に当たる必要があろうかと思います。

 この点、抑止力、事件が起こった後にきちんと発見をして処罰をしていくということはもちろん大事だと思いますが、もっと言えば、日本の市場というのはそう生半可な、悪知恵を働かせたところで大して利益も上げられないし、下手なことをしようものなら大変なとばっちりを食うぞというぐらいの抑止力という観点からも、ぜひ体制強化という問題意識を引き続きお持ちいただきたいと思いますが、大臣いかがですか。

○与謝野国務大臣  ぜひ、量も質も人員の強化をしなければならない。少しでも監視の目を市場に対して光らせる、善良な消費者や投資家を保護する、それは先生も大変重要だと思っておられると思いますし、私どももそのことは大変重要だと思っております。

○小川(淳)委員  ありがとうございます。

 法律立てとかいろいろな議論はございますが、とにかく、道半ばの半ばの半ばということで、さらにさらに向上していただき、力を尽くしていただくということだと思いますし、この国会の議論でも、大変僣越ながら、やはり手綱を緩めることなく、しっかりとある方向感に向かって押し込んでいくような議論をぜひとも進めさせていただきたいと思います。

 別の角度からお尋ねをいたします。

 この村上ファンドの事件、インサイダー取引と言われておりますが、確認の意味を含めてお伺いしたいんです。今回の金融商品取引法、七日の成立、お喜びを申し上げたいと思いますが、このインサイダー取引に関して、罰金、罰則を大分強化されています。これは事実関係だけ改めて確認させてください。

○三國谷政府参考人  今回の金融商品取引法におきまして罰則全体について見直しを行っているところでございます。五年のものは大体その倍にするとか、三年のものは五年にするとかという形態が多いかと思います。

 インサイダー取引規制につきましては三年でございますので、これを五年にすることで基本的に引き上げを図ったところでございます。

○小川(淳)委員  おっしゃるとおりです。懲役に関しては三年から五年、そして罰金に関しては、個人で三百万円から五百万円、法人で三億円から五億円という罰則強化をされておられます。

 加えて、これはおわかりになったらお答えください。今回の村上ファンドの事件、不正利益はどのくらいだと推計されているか御存じですか。

○三國谷政府参考人  恐縮でございますが、個別の事案でございますので、いろいろ報道はされてございますけれども、ちょっと私どもとしてこの数値ということはコメントを差し控えさせていただきたいと存じます。

○小川(淳)委員  これも一説として申し上げます。一説として、不正利益は三十億と言われています。三十億の不正利益に対して、これは個人で罰するのか法人で罰するのかわかりませんが、五百万円の罰金とか五億の罰金、これはとてもじゃないですが量刑の均衡がとれません。

 あわせて、これは不正利益は当然課徴金として徴収をされるんだと思いますが、それも含めて。これも前回のお尋ねで、十八年の一月、株式会社ガーラに関するインサイダー取引、三十万円の課徴金を引き上げておしまいといったような甘い処罰がございました。

 この村上ファンド、もちろん個別の案件ですから、ここでしっかり処罰せよというのは筋違いかもわかりませんが、やはり多くの市場参加者が納得するような形で、罰金と課徴金あわせて、厳罰をもって臨む必要性があると思いますが、その基本的な認識だけ、いかがですか。

○与謝野国務大臣  今回の金融商品取引法で、今局長が御説明しましたように、長期、十年の刑が導入されました。これはこの法律だけの刑を論ずるということはできないわけでして、日本の刑罰法規体系全体の中で量刑の均衡ということを考えていかなければならないわけでございます。

 従来から、刑法の考え方は自然犯、例えば人を傷つけたり命を奪おうとしたり、こういう自然犯、これは十年というのはあったんですが、いわゆるこの種の自然犯以外のものに十年というのはもう相当重い量刑でございまして、これは、三年から五年になった量刑ということ自体は、法務省の刑事局も相当いろいろなことを配慮しながらようやくここまで話し合いがついたという刑でございまして、厳罰といえば、もう既に法体系自体は厳罰主義になっているというふうに思っております。

○小川(淳)委員  大臣、まさにおっしゃるとおりだと思います。器はでき上がった。問題は個々の事案に対するその適用の姿勢といいますか、最近の金融庁ですから、非常に厳罰をもって臨んでおられますので、その辺はある意味心配はしておりませんが、これまでの課徴金等々の様子を見ておりますと、まだまだ罰則も含めてしっかりやっていただきたいなという点もございます。器はできたけれども、個々の事案に対する適用も含めて、しっかり厳しい姿勢で臨んでいただきたいと思います。

 あわせて、この金融商品取引法で一点。衆議院の手を離れて参議院に渡ったその間の議論、これはもし確認がとれればお答えをいただきたいんですが、これもある報道です。さんざん議論になりました、商品取引に関する不招請勧誘の禁止。これは慎重にも慎重に回避をされ続けていたと理解をしておりますが、野党の強い追及の結果、経産、農水両省は、参議院の委員会審議の最終盤で、今後もトラブルがふえれば商品取引の不招請勧誘の禁止を必ず検討すると答弁した、これは六月八日の朝日新聞です。これは確認をとれますか。間違いございませんか。

○三國谷政府参考人  御指摘のとおり、商品先物に関します不招請勧誘につきましては、参議院の方でも大変活発に議論が行われました。その結果でございますが、六月六日の参議院財政金融委員会で、この法案の採決の際に附帯決議がついているところでございます。それを御紹介させていただきますと、

  不招請勧誘禁止の対象となる商品・取引については、店頭金融先物取引に加え、レバレッジが高いなどの商品性、執拗な勧誘や利用者の被害の発生という実態に照らし、利用者保護に支障を来すことのないよう、迅速かつ機動的な対応を行うこと。また、商品先物取引等については、改正後の商品取引所法の執行に鋭意努めることはもちろんのこと、委員会における指摘を誠実に受け止め、商品先物取引はレバレッジ効果を有するリスクの高い商品であることを踏まえ、一般委託者とのトラブルが解消するよう委託者保護に全力を尽くしていくこと。今後のトラブルが解消していかない場合には、不招請勧誘の禁止の導入について検討すること。

こういった附帯決議が付された次第でございます。

○小川(淳)委員  ありがとうございました。

 この委員会でも本当に審議を尽くした点でございますが、ぜひとも様子をよくごらんいただくことはもとよりですが、勢い後追い後追いになりがちな規制でございます。できるだけ先手先手で、消費者に被害が及ばないように、そういった姿勢で臨んでいただきたいと思います。強く要請をしておきたいと思います。

 続きまして、きょう御報告をいただきました預金保険機構の御報告に関しまして、二、三基本的なお尋ねをさせていただきます。

 現在、破綻処理を進めているのは足利銀行に関してだと理解をしておりますが、この足利銀行に関する破綻処理の進捗状況、現在はどんな状況か、御報告をいただきたいと思います。

○与謝野国務大臣  足利銀行は、内容が相当よくなってきております。これは、新経営陣も努力をされましたし、また、行員も再建のために必死で働いておりますし、また、県庁、県議会、また地元の国会議員の方々も足利銀行が再建、再興されることを願って御支援をくださっております。

 どのぐらい改善したかということを申し上げますと、平成十六年の三月期には債務超過が六千七、八百億、七千億近いお金が債務超過でしたけれども、ことしの三月期ではそれが四千億を割りまして三千八百億ぐらいになりました。ですから、この間、二年間で債務超過額は三千億円もよくなったわけでございます。かてて加えまして、不良債権比率も二〇%以上あったものが今は八%以下になったということで、体力は回復しつつある、そのような状況でございます。

○小川(淳)委員  この足利銀行の破綻処理ですが、いつごろ終えられるめどをお持ちですか。

○与謝野国務大臣  処理が終わるというのは、新しい受け皿の話と実は同じことだろうと思うんですけれども、まだ受け皿の話をするのにはちょっと早いと私は思っておりますけれども、いずれ受け皿の話をする時期がやってまいると思いまして、そのときのやはり考え方というのは、足利銀行というのは栃木県の地域の銀行ですから、本当に栃木県の経済を心配してくださる方に引き受けていただかなければならない。その際には、県知事、県議会、あるいは与野党を問わず地元の議員の皆様方のお声もよく知りながらそういうことを考えていくということになると思っております。

○小川(淳)委員  そういった方向性でぜひとも迅速に進めていただきたいんですが、足利銀行の破綻の発覚が十五年の十一月ですね。その仕掛かり中ですから、丸二年と七カ月、破綻処理に手を煩っておられるということです。その他、今まで百八十一行ですか、破綻処理。ずっと信用組合、信用金庫を含めて百八十一行、日本では金融機関をつぶしてきた、これを破綻処理してきた。

 この中でも、例えば銀行に絞って、与謝野大臣、大体どのくらいの期間で破綻処理をきちんと今まで終えてきたか、御存じですか。

○佐藤政府参考人  全体として見ますと、一年から二年といったところでございます。

○小川(淳)委員  おっしゃるとおり、長銀が一年五カ月、日債銀が一年九カ月、国民銀行が一年四カ月、幸福銀行が一年九カ月等々、大体一年、早いもので一年、長くても一年半程度で破綻処理を完了されております。

 これは、当時の法制と足利銀行の破綻処理法制は、異なるんですか、同じですか。

○与謝野国務大臣  結局、最後、受け皿に渡すときには国民負担が発生するわけでございます。

 したがいまして、破綻処理をする過程で、国民負担を極小化するということも考えなければならないわけでして、破綻処理を素早く終えるということ、これは地元の経済界にとっては大事なことでございますが、一方では、国民負担をなるべく少なくする、そういうことも心の中に目標として置かなければならないと思っております。

○小川(淳)委員  大臣、おっしゃるとおりですよ。迅速に終えるというのと、それから、できるだけ国民負担を少なくして地域経済に対する悪影響を排除していく、これをうまく両立しながらこれまでの破綻処理もやってこられたんでしょう。そうですね。

 ということは、この足利銀行のみに特殊な要因があるのかどうかをお聞きしているんですが、いかがですか。

○佐藤政府参考人  一つは、法的な枠組みが異なるということがございます。

 金融再生法あるいは預金保険法に基づく破綻処理の場合、金融整理管財人は管理を命ずる処分があった日から一年以内に管理を終える旨、規定されております。一年間の延長というのもついてございますが、最大二年ということでございます。

 それから、長銀、日債銀の処理は金融再生法に基づいて行われたわけでございますけれども、金融再生法では、当時、平成十三年三月三十一日までにこの特別公的管理を終える、こういう旨、規定されていたということでございます。

 他方、足利銀行は改正後の預金保険法に基づいておるわけでございますけれども、この処理の終了時期につきましては、できる限り早期に、こういう規定ぶりになっている。こういった違いがございます。

 それからもう一点は、実態論でございますけれども、この足利銀行が栃木県の地域において占めております金融仲介機能の大きさ、これに照らしますと、やはり地域におきましてこの銀行が金融仲介機能を持続可能な形でしっかりと発揮できる、こういう見通しを立てるということが重要であろうかと思います。その体制を整えるための時間をいただいているということかと思います。

○小川(淳)委員  大臣、お聞きのとおりでございまして、それまでの破綻処理に関しては、一年以内に処理を終えねばならないという法的な制約がございました。この足利銀行に関しては、できるだけ速やかに、可能な限り速やかにという、やや緩やかな制限になっているわけですね。

 もちろん、一生懸命やっておられると思います。しかし、勢い、こういう期限の打ち方というのは、行政機関あるいは預金保険機構にとっても、言葉は悪いんですが、ずるずると、いつまでもと、やはりなりがちなのが自然だと思います。この期限が明快に切られていないことに決して甘えることがないように、やはり一日も早く終わらすのが常態だと思います。銀行を国有化して持っていること自体が異常な事態ですから、これは本当に速やかに、一日も早く終わらせていただくように、ぜひこの法律の緩やかな期限にいささかも甘えのないように、ぜひ対応をお願いしたいと思います。

 あわせて、この預金保険機構については、大変な負担をかけて金融システムを守ってきたということだと思いますが、資本増強だけでも、ざっと十兆円前後ですか、十二兆。そして、債務の穴埋めをやってきた金銭贈与にも十兆円前後のお金が使われている。現在、預金保険機構の債務超過額、負債の額は大体三兆円前後とお聞きをしておりますが、これは、十兆円の真水、十兆円の税金の投入がなければ、これは三兆円では済まなかったわけですね。

 これからようやく破綻も一段落して、毎年保険料が五千億前後金融機関から入ってくる。この三兆円の負債、明らかになっている三兆円の債務超過額については毎年五千億円の保険料で埋めていくんだと思いますが、既に突っ込んだこの十兆円の税金分、この税金分については、いかがですか、保険料で将来的に埋め合わせていく、そういったお考えはございませんか。

○三國谷政府参考人  お尋ねの交付国債に係る分かと存じますが、これにつきましては、金融システムの安定を図るために預金等の全額保護の特例措置を実施しました際に、保険料のみでペイオフコストを超える金銭贈与を賄うことが困難となりましたことから手当てされたものと承知しております。

 このうち十兆四千億ほどがペイオフコストを超える金銭贈与等を賄うために支出されたものでございますけれども、この負担は、預金等を全額保護するために、預金者保護のために法改正により制度として手当てされたものでございまして、これはこれで確定しているものでございます。

○小川(淳)委員  当時の価値観で確定して、とにかく税金を突っ込んででも金融システムを守るんだというのはそのとおりだと思います。

 しかし、後から元を取っていくというんですか、そういう発想もあっていいんじゃないかと思いますね。資本増強で突っ込んだお金も、株価が上昇したことで元が取れるようになっています。それから、預金保険料だってこれからどんどん毎年五千億も水揚げがあるのであれば、かつて税金を突っ込む覚悟、かつてそういう覚悟があったことはよくわかりますが、やはり本来的に税金を突っ込まなければならない部分はもっとほかにたくさんございます。保険料で全体の調和のために使える部分というのは、やはりその議論の余地は残していいんじゃないかと思いますね。当時の議論は当時の議論としてもちろんあり得たことだと思いますが、時代が移り変わる中で、いろいろな仕組みが安定していく中で、しかも保険料が上がってくる、こういう議論の余地というのは私は残した方がいいと思いますね。指摘だけさせていただきます。

 あわせて、今回の報告の内容にもございますが、破綻した金融機関の経営陣に対する責任追及の状況、これはざっとで結構です、どんな状況でしょうか。訴訟のあり方も含めて御説明をいただきたいと思います。

○佐藤政府参考人  金融再生法の施行、平成十年の十月でございますけれども、これ以降に破綻処理を行った金融機関について見ますと、民事責任の追及というのは合わせて百二件行っておりまして、金額にいたしますと八百五十四億円ということでございます。

○小川(淳)委員  八百億を余る訴訟での責任追及。これはざっと見ますと、例えば、長銀に対して、二十七名の役員に九十四億円の損害賠償、不正融資とか違法配当。それから、日債銀が、十二名の役員に対して四十五億。大きなところに行きますと、東京相和銀行は、十八名の役員に対して百八十九億。今仕掛かり中の足利銀行に関しても、二十五名の役員に対して五十七億円の損害賠償。これは意味ある訴訟ですか。

○佐藤政府参考人  御案内のとおり、金融再生法及び預金保険法におきまして、金融整理管財人、特別公的管理銀行、特別危機管理銀行というものに責任追及の義務が負わされております。旧経営陣の職務上の義務違反に基づく民事上の責任を履行させるため、訴えの提起その他の必要な措置をとらなければならない、こういう規定でございます。この規定に基づいて、旧経営陣に対する民事責任の追及が行われてきたということでございます。

 個別破綻事案に係る個々の請求額につきましてはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般的に、破綻金融機関の旧経営陣に対する民事提訴に当たりましては、破綻処理に公的資金が使われているといったことも踏まえまして、旧経営陣の責任の所在及びその責任によって破綻金融機関がこうむった損害額、これを基礎といたしまして、金融整理管財人や特別危機管理銀行等によって適切に請求額が決定されているというふうに承知をいたしております。

○小川(淳)委員  これは一人当たり大体十億、多いところだと十億ぐらいの損害賠償請求なんですが、これは実効性があるものだとすると、かねてから西川さんの退職金がどうだとかいう議論も国会でなされているみたいでありますが、やはりそんなにいいんですか、銀行の経営陣の方の報酬なり退職金というのは。いかがですか。

○佐藤政府参考人  その辺の旧経営陣の報酬等につきましてはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、現実に損害賠償請求を行います金融整理管財人等におきましては、損害額の全額ではなくてその一部を請求している、こういったケースも多いものと承知をいたしております。

○小川(淳)委員  実際には、遂行されて一部これは本当に獲得しているんですね、損害額、この請求額の一部は。本当にこれは意味ある訴訟であればいいんですが、限界なんですかね。こういう形で責任を追及して、普通であれば、これは本当に破産に追い込まれるでしょうね、これだけの額が確定すれば。

 いずれにしても、西川さんの退職金等々でも議論になっていますが、やはりおっしゃったとおり、相当な公的資金を突っ込んでの破綻処理でありますし責任追及ですから、そういう意味でも情報公開には努めていただきたいと思いますし、御当人の同意を得て、これは見るとびっくりしますよ、こんな訴訟は本当に意味があるのかどうかも含めて、説得力を持った説明、説得、取れないなら取れないでしようがない部分はあると思いますが、情報公開に努めて、説得力のある資料、説明に努力をしていただきたいと思います。

 そして、金融商品取引法それから預金保険法、預金保険機構による破綻処理等々、日本の金融というのは規制緩和、自由化に向けて大きく動いていると思うんですが、私も、きょうは本当に今国会最後の財務金融委員会での質疑になろうかと思います、私自身がこういう流れの中でちょっと関心を持っております点、ぜひ与謝野大臣の基本的な御認識をお教えいただきたいと思って、きょうは参ったんです。

 こういったことを含めて、貯蓄から投資、貯蓄から投資という議論、合い言葉、呪文のようによく唱えられておりますが、与謝野大臣、なぜ貯蓄から投資なんですか。なぜですか。

○与謝野国務大臣  銀行へ行って預金しているだけではなく、優良な投資先を探せば、投資によっても成長の果実を受け取ることができる。ですから、国民も、いわばポートフォリオを広げて物事を考えていただいたらどうでしょうか、こういうことを実は言っていることでございまして、単純に銀行に預金をする、貯金をするということではなくて、お金を預ける先、投資する先というのを幅広く持っていただきたい、そういう意味でございます。

○小川(淳)委員  大臣、それはなぜですか。なぜ幅広く持っていただきたいんですか。

○与謝野国務大臣  それは、果実が大きくなる可能性もありますし、一方的に銀行だけにお金が集まる、そういう現象よりは、やはり市場にお金が直接行くということも、日本の金融システム全体のバランスを考えれば、市場側にとっても望ましいことだというふうに私は思っております。

○小川(淳)委員  果実が多くなるというのは、預金者、投資家にとってですか。

○与謝野国務大臣  預金の金利というのは各行で決めていることになっておりますけれども、ほぼ一律ということでございますが、投資の場合には、頭を使って、いい機会にめぐり会えば、多少他の分野に投資するよりもいい果実が得られる、そういう場合もありますので、投資すれば必ずもうかるというわけではありませんけれども、そういうことも考えていただきたいという意味でございます。

○小川(淳)委員  大臣おっしゃるとおり、投資家にとっての果実というのも私もすごく大事な要素だと思いますが、やはり国内経済全体で見て、なぜ貯蓄から投資なのかということに関しては、ぜひすっきりした理念といいますか哲学といいますか、御説明をお聞きしたいと思うんです。

 これは二月二十八日です、予算委員会の分科会で、今お見えになりませんが、佐藤ゆかりさんが大変いい質疑をしておられます。少し御紹介したいんです。

 中小企業においてもこれからのポイントは、閉鎖していく旧態型の中小企業、あるいはその閉鎖企業の件数に対して、新規に活力ある企業を起こしていく、そうした新規の企業の設立件数が上回るような形で企業部門の新陳代謝を進めていかなければならない、そういう重要な局面、状況に入ってきていると思います。そういう中でリスクマネーの育成、資本市場の育成が極めて重要性を持つ、中小企業部門での新陳代謝を進めるに当たってはリスクマネーを供給する新興市場が重要な問題である。

 佐藤さんは、こういう指摘をされているんですよね。

 大臣、御存じだと思うんですが、日本では、金融資産の半分近くが現預金です、いわゆるリスクをとれないお金。株式や債券など、リスクをとれるお金と言われているのが、全部足しても一割前後です。アメリカに行きますと、これが逆転しているということであります。

 このリスクをとれるお金。私は、預金そのものがリスクのない商品だという固定観念は外さないといけないと思いますが、やはり、投資家御自身のリスクで次の市場、次の企業、次の経済主体を育てていくという観点が日本には必要なんじゃないかと思います、国民経済的に見て。

 その意味で、さっき佐藤さんが主張しておられたように、廃業していく会社を上回る形で開業が続いていく、新しい会社がどんどん起こっていく、これが社会全体の新陳代謝につながるんだ、私は、ぜひそういう発想を金融御当局には持っていただいた上で、貯蓄から投資、間接金融から直接金融ということをぜひともこれから語っていただきたい。そういった理念、方向感、哲学を持った上で。

 御紹介しますが、日本の廃業率、開業率、これは最近の調査ですと、開業率三・五%に対して廃業率が六・一%。いずれにしても、廃業率も開業率も五%前後での行き来です。アメリカの数字を拝見しますと、開業率が一四%、廃業率が一二%。まさに、倒れていく企業もたくさんあるわけですが、それ以上に起こってくる企業がたくさんある。これが全体として社会の新陳代謝を高めている。恐らく、これを支えているのが、すべてとは言いませんが、リスクをとれるお金を、それぞれがリスクをとりながら市場へ供給している。しかも、その市場は、しっかりした監視体制で守られて、はぐくまれている。国民経済的に見て、やはりそういう姿を日本国は指し示していくべきだと思います。

 大臣、いま一度、御感想、御所感をいただけませんか。

○与謝野国務大臣  多分、先生が見ておられるグラフでアメリカと日本の比較があると思うんですけれども、国民は、ほとんど預貯金にお金を入れて、余り株を買ったり出資をしたりということはしない国民性があるんではないかと私は思っております。

 しかしながら、大事なことは、お金という資源が日本の経済社会の中に適正に配分される、最適配分が達成されるというところが大事でございまして、そういう意味では、預金だけ、貯金だけしていただくということよりは、もう少し幅広いスペクトラムでポートフォリオを広げていただければ、資源の適正配分というのはより容易に達成されるのではないかと私は考えております。

○小川(淳)委員  大臣、ありがとうございました。

 ぜひ、そういう観点に立って、これからも自由な経済、自由な市場を強く守りつつ育てていただきたいと思いますし、これからも我が党との間でいろいろ議論になると思いますが、そのためには十分な費用と人をかけて市場を守って育てなければならないこと、その点、ぜひ前向きな議論を、これからも引き続きおつき合いをいただきたいと思います。

 谷垣大臣、せっかくおつき合いをいただいておりますので、一つだけお伺いさせてください。

 今、国民経済的な経営観点、ぜひ与謝野大臣に進めていただかなければならないわけですが、一方の国家、政府の経営、谷垣大臣がお務めでおられます。この間拝見しましたテレビの、これだけは受けたい授業ですか、大臣、借金の問題、予算委員会でも御指導いただきましたが、私はやはり、三十兆円に国債を抑えたことをPRされるのは大いに結構ですが、それよりも、なお三十兆円の借金をせねばならないことの重みの方がはるかに重いという気がしております。

 谷垣大臣、この借金、財政赤字の見通しについてもお聞きをしたいですし、この財政赤字とはそもそも何なのか、政治的な意味、どういう意味があるのか、どうとらえねばならないのか、大臣、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

○谷垣国務大臣  借金とは何なのかということでございますが、まず、数字から申し上げますと、これはもうさんざん言われた数字でございますが、今年度末に五百四十二兆、国が国債をしょっております。これは、GDP比で一〇〇%を超えております。国、地方を合わせますと一五〇%を超えている。

 これだけやはり借金がたまりますと、万が一、市場が国の財政というようなものに信認を失いますと、危惧を生じますと、そこにいわゆるリスクプレミアムというものが発生して金利が急上昇して、経済を攪乱していくということが懸念されるわけでございまして、断固として政府が財政規律を保っていくという姿勢を示し、また、現実にその方向に向かっていくことが必要ではないかと思います。

 こういう議論をいたしますと、では、何で生じたのかということが必ず言われるわけでございますけれども、これはいろいろな議論があると思います。

 私は、これは基本的に、バブルを乗り越えてくる過程で、経済の底が抜けないように減税もいたしましたし、あるいは財政出動もいたしました。そういうことによりまして、今の日本の抱えている財政の根本問題の一つは、あのテレビの中でも私申し上げましたけれども、一方で、給付は世界的に見て、高負担高福祉とかいろいろなことがございますが、中規模の給付、中規模といいましても若干低目かもしれません、中規模の給付をしている国でございますけれども、負担の方はやはり低負担の国という、アンバランスが生じているところに最大の問題があるんだろうと思います。

 これは、結局、後の世代にツケに回っていくわけでございますから、一刻も早くバランスをとるということが大事でございまして、このバランスをとるためには、では、給付、負担というものは、大きな給付大きな負担でいくのか、小さな給付小さな負担でいくのかというあたりの議論を、決着をつけなければならないんだろうと思います。

 今、そういうことを与謝野大臣のもとで、歳入歳出一体改革ということで道筋をつけようとしているわけでございますが、委員の問題意識は那辺にありやということを、私、今まで議論させていただいて思いますと、結局、こういう財政の問題が、自分とは無関係な、国の政治家や何やらが勝手なことをやってあれだけの借金をこしらえた、おれたちとは関係ないものだと多くの国民が思えば、それは解決できるはずがないと私は思います。やはり、日本の国は我々の国なんであって、この財政は自分たちの財政なんだ、この借金は自分たちの子や孫がしょわなければならない借金なんだ、こう思っていただければ、解決の道は見つかるということじゃないかと思います。そのことは、せんじ詰めれば、国と国民に信頼のきずながあるかどうかということだろうと思います。

 ですから、私は、政治家の仕事というのは、格好よく言えば、政策はいい政策でなければいけないことはもちろんでございますけれども、最高の仕事は、国と国民の間にどうやって信頼関係をつくり上げるか、これは政治家にとって一番大事な仕事なんではないかと思っておりまして、財政の仕事をしておりますと、その重みを日々感じている。

 余り長々答弁してはいけませんので、これで終わらせていただきます。

○小川(淳)委員  ありがとうございました。

 全く同感です。私は、本当にこの財政赤字というのは、政府なり政治家の、目の前にいる国民に対して、もう百円、もう千円足りませんから出してくださいということを言う力の不足、信頼の不足、説得をして納得を得る力の不足、これが借金という形でずっと積もり積もっているんだという気がしてなりません。

 もちろん、長い目で見ないといけないんでしょうが、やはりそこから、大臣おっしゃったとおり、国家と国民との間の信頼関係、これを本当に根底からつくりかえないと、この借金の問題というのは解決しないんだと思います。

 両大臣から本当にいい御答弁をいただきましたので、ぜひその方向感で進めてもいただきたいと思いますし、ぜひ九月に向けて暑い夏をお過ごしいただきたいと思います。

 きょうは本当にありがとうございました。

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