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〜会議録(2020年5月22日 厚生労働委員会2)〜
○小川委員 立国社の小川淳也です。
総理、委員会への御出席、ありがとうございます。
本来ですと全世代型社会保障改革についてお聞きするつもりでしたが、状況が変わりました。
まず、黒川検事長の辞職を承認した理由についてお伺いします。
○安倍内閣総理大臣 昨日、森法務大臣より、黒川当時の検事長から事実確認を行った結果、厳正に処分するということを決定した、その上で黒川当時の検事長から辞表が提出され、それを処理した旨の報告があったわけでございまして、この処分についても報告があったところでございますが、それを私は総理大臣として認めたということでございます。
○小川委員 厳正な処分かどうかは後で議論しますが、総理は内閣の責任者として、黒川さんに関しては、重大かつ複雑困難事件の捜査、公判に対応するため、黒川氏の豊富な経験、知識に基づく指揮監督が不可欠だ、業務の継続的遂行に重大な障害を生ずるという理屈立てまでして、違法、違憲の疑いのある閣議決定まで強行して、あえて勤務延長した方なんです。その方が、今、総理が直接はお述べになりませんでしたが、賭博行為、そして接待疑惑、さらには、あれだけ国民が苦しい思いをしているときに自粛要請を無視して、外出して密室にこもってかけごとをするという、ちょっと信じられない不祥事で検察最高幹部が辞任するなんというのは前代未聞です。
総理、この異様な、異例の任命過程を経て、今回のてんまつに至った、その任命責任をどうおとりになるつもりか、それをお聞きします。
○安倍内閣総理大臣 まず、処分に当たっては、検事総長が事案の内容等諸般の事情を考慮して適切に、適正に処分を行ったものと承知をしておりまして、それを受けて、昨日、私が了承したということでございます。
黒川氏については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、検察庁を所管する法務大臣からの閣議請議により閣議決定されるといった適正なプロセスを経て引き続き勤務させることとしたものであり、この勤務延長自体に問題はなかったものと考えております。
黒川氏については、法務省において、先ほど答弁をさせていただいたように、確認した事実に基づき昨日必要な処分を行うとともに、本日、辞職を承認する閣議決定を行ったところであります。法務省、検察庁の人事案を最終的に内閣として認めたものであり、その責任については私にあるわけでございまして、御批判は真摯に受けとめたいと考えております。
○小川委員 よく総理は任命責任はみずからにあるということはおっしゃるんですが、口ではおっしゃるんですが、もうそろそろ、とらなければいけない局面に入ってきていると多くの人は思っていると思います。
午前中の法務委員会で、森法務大臣が、辞意を表明し慰留されたという答弁をみずからなさっています。それが事実かどうか、なぜ慰留されたのか、お聞きします。
○安倍内閣総理大臣 森法務大臣から今御紹介をいただいた旨の答弁があったと承知をしておりますが、森法務大臣にあっては、法務省、検察庁において国民の信頼回復に向け全力で務めていただきたいと考えておりまして、その旨、本人にも伝えたところでございます。
○小川委員 理由をお述べいただかなければいけないんですね。
森法務大臣は、一連の経過において、混乱した答弁、国会の内外の混乱を招いた張本人ですから、この際、辞意を示されたのなら、潔く受理された方が適切だったと思いますよ。
関連してもう一つお聞きしたいんですが、きのう、折しも二府一県に対する緊急事態宣言が解除された日でありました。総理は、これまで七回にわたって、インフル特措法の改正時、緊急事態宣言発令時、全国に一斉拡大時、一部解除時、延長時、全てみずから会見に立たれています。なぜきのうは会見に立たれなかったんですか。
○安倍内閣総理大臣 会見等については既に、恐らく黒川さんの事案と絡めて質問されているんだろうと思いますが、その随分前から、昨日のものについては、関西だけの二府一県に限られていることもあり、ぶら下がりの会見を行うという方針を既に決めているところでございます。
さらに、二十五日に改めて専門家の皆様に御評価をいただき、今の傾向が続いているようであれば解除も可能である旨、あわせて、昨日はそうお答えをさせていただいているところでございます。
そういう観点から昨日ぶら下がりの会見を行ったところでございますが、しかし、その際も、そこで出された質問には全て、黒川さんの件についても質問が出されたわけでございますが、全ての御質問にお答えをさせていただいているところでございます。
○小川委員 ぶら下がりは七分間とお聞きしています。これまで総理は一時間、時間をとって丁寧に説明をされてきた。一般の受けとめとしては、この不都合な問題について聞かれることから逃げたという受けとめですよ。
それから、二府一県とおっしゃいますが、ここには一千七百万人がいらっしゃいますからね。大変苦しい自粛生活に耐えてきた、そして、政府の対応の遅さに先行して、大阪を中心に、先行的な取組に苦労してきた府民、県民の皆様もいらっしゃる。一言、それは正式な会見の場であってしかるべきだったのではないかと思います。
黒川さんの処分についてお聞きします。
総理は厳正な処分だと先ほどからおっしゃっていますが、訓告処分とは、国家公務員法上の懲戒処分ですらありません。退職金も六千万とも七千万とも言われますが、これは事実上の行政上の注意、教えたというにすぎないんですね、この訓告というのは。これが今の国民感情に照らして適切だとはとても思えません。撤回して、重い処分を求めます。
○安倍内閣総理大臣 先ほど答弁をさせていただきましたが、まず、記者会見との関係において言えば、大阪府そして京都府、兵庫県の解除、これも極めて重い決定ではございますが、その上において、この後、二十五日にももう一度評価をさせていただき決定をするわけでございまして、その際には記者会見を予定しているところでございまして、これは別に記者会見をやるかやらないかということでもちろん軽重を決めているわけではございませんが、それもあり、そういう日程にさせていただいているところでございまして、おおむね、その前の段階においては、この事案の前には大体そういう方向で決めていたところでございますが、大体、多くの方々は、この方針でいこうということで了解をいただいているもの、こう思います。
と同時に、七分とおっしゃいましたが、私はずっと、出た質問には全てお答えをさせていただいているということでございまして、あらかじめ時間を切っていたわけでは全くないわけでございます。
そして今、今回は社会福祉法案の質疑であろう、重要広範の質疑であろう、こう思っているところでございますが、ただいまの御質問については法務委員会において法務省に質問をしていただければ、こう思うところでございますが、検事総長が事案の内容等諸般の事情を考慮し処分を行ったものである、このように承知をしているところでございます。
○小川委員 では、内閣の総責任者として、総理の感想を聞かせてください。
国家公務員の懲戒規定にはこうあります。賭博をした職員は減給又は戒告。そして、常習として賭博をした職員、報道によれば、あるいは検察内部の捜査も調査も終わっているんでしょうが、いろいろな証言を組み合わせると、月に二、三回、数年単位で行っていた、これはもう賭博の常習だと思いますが、停職です、人事院のルールによれば。
それから、再三申し上げますが、六千万から七千万と言われる退職金を、こんな不祥事で、こういう形で辞任した検察官にも支給するのか。国民感情に照らして、総理、政府の最高責任者としての所感をお述べいただけませんか。
○安倍内閣総理大臣 ただいま小川委員は事案の中身の詳細について御質問をいただいているところでございますが、今回は重要広範議案である社会福祉法案の質疑について出席をさせていただき、その答弁も用意させていただいているところでございますが、いわば法務省あるいは検察庁における処分に当たっての調査等についてはどういう内容であったかということについては、そこで調査に当たった方々から聴取をしていただく方がいいのではないか、こう思うわけでございまして、その中において、処分に当たっては、法務省そして検察庁において黒川氏の人事上の処分を決するに当たり必要な調査を行った、こういうように私は報告を受けて、承知をしているところでございます。
○小川委員 法律の専門家ではなく、やはり政府の最高責任者として、国民感情に照らして答弁する責任があると思いますよ。そこからも回避されたと受けとめました。
質疑内容の変更については私の責めです。私の責任においてこれは行わせていただいております。
もう一点お聞きしておきます。
昨日、折しもです、これも折しも、総理は官邸のお庭番と言われた、政権の守護神と言われた検察の最高幹部を失いました。そして、折しもその日に、元最高裁判所判事や法律の専門家六百名余りから、桜の問題をめぐる公職選挙法違反の疑い、政治資金規正法違反の疑いで告発を受けています。この点についても、極めて公の責任の重い立場にある人間として、一言、受けとめをお聞きしておきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 まず、前半の黒川氏に対する評価については、それはまさに委員が臆測で物を言われているんだろうと思いますので、それを前提にお答えをすることは、事実として、前提にお答えすることはできないということはまず申し上げておきたいと思います。
○小川委員 刑事告発についての総理自身の受けとめもお聞きしています。
○安倍内閣総理大臣 御指摘の告発状の中身について私は承知をしておりませんので、具体的なコメントは差し控えたい、このように思います。
○小川委員 残念です。これも国民感情に照らして、もう少し真摯な御答弁を期待しておりました。
今後についてお聞きします。
検察庁法については、野党はこぞって反対しています。なぜか。三権分立の原則を根底から覆す可能性を秘めているからであります。一方、国家公務員一般職の定年延長については、さほど与野党間に大きな議論の隔たりはありません。それもこれも、もろとも廃案にされるおつもりなのか。あるいは、継続して審議を行われるおつもりなのか。総理の現時点での御意向をお聞きしておきます。
○安倍内閣総理大臣 今、三権分立というお話をされたわけでございますが、検察官も公務員であるということは、これはもう既に政府として何回もお答えをさせていただいているところでございまして、その上でお答えをさせていただきますと、この法案についてさまざまな御意見がなされ、我々もさまざまな御批判について真摯に受けとめているところでございます。
検察庁法の改正についても厳しい御批判をいただいている、これも受けとめているのでございますが、同時に、現在、大変、コロナウイルスの感染症の拡大によって社会状況が厳しい状況になっている中において公務員のいわば定年延長について議論を進めていることについての御批判もあるという御指摘もございました。そうしたことも含めて検討をする必要があるのではないかというふうに考えております。
○小川委員 そういう御指摘は世耕さんだけじゃないですか。
まさにこの厚生労働委員会で、この春ですよ、総理の、内閣の意向を受けて、雇用保険法、高齢者雇用安定法を審議したんですよね、加藤大臣。民間の定年は七十歳まで延長するように努力をし、就業機会を確保するように努力をし、総理が掲げてきたんじゃないですか、生涯現役社会、全世代型社会保障改革。
それとの筋でいえば、私たちが要求しているのは、行政機関でありつつ司法職でもある準司法官と、みずからの部下たる一般職は切り分けて議論すべきだということを主張しているんです。検察関連法案と、一般職の定年、福利厚生法案は明確に切り分けることを要求します。総理、御答弁ください。
○安倍内閣総理大臣 先ほども答弁をさせていただきましたが、検察官も公務員であることから、いわば公務員法全体の定年延長の改正案についてまとめているということではないか、こう思う次第でございます。
と同時に、国家公務員の定年を原則六十歳から六十五歳に引き上げる法案が国会に提出をされた中において、確かに今、我々も、人生百年時代を迎える中で元気なベテランに活躍の場を与えることが大事だ、こう思っているのでございますが、その際はまた、現在、官が先走り過ぎてはいないのかという批判はあるわけでございますし、また、民間に先駆けて一律に六十五歳に延ばすのも早急ではないのかという批判も今あるのも事実でございます。そういう中において、まさに今、コロナショックの中で、民間の給与水準の先行きが心配される中において役所先行の定年延長が理解を得ることができるかどうかという議論もあるのも事実でございまして、そういう声に耳を傾けるべきであるという意見が与党の中でも、自民党の中でも強く出ているのは事実でございまして、そういう中において、もう一度ここで検討すべきではないか、こういうことでございます。
○小川委員 意趣返しと受けとめる向きもありますよ。動機が不純なんじゃないですか。だから政策に一貫性がないんじゃないですか。お門違いも甚だしい。きちんと筋道の通った政策を論議してください。
最後に、私もちょっとこれは心を鬼にしてお尋ねします。
いろいろなおりがたまってきて、いろいろな矛盾が噴出してきて、政権の中にもさまざまな確執や対立が外に見えるようになって、総理御自身がそろそろ進退、総理御自身が引き際を考えられるときを迎えているのではありませんか。それを最後の質問にしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 今まさに、我々は、コロナウイルス感染症の拡大を防止し、国民の健康と命、そして何よりも雇用と事業の継続、そして暮らしを守り抜いていく大きな責任があるわけであります。この責任を果たしていく、これが私に課せられた使命である、こう考えております。
○小川委員 終わります。ありがとうございました。
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