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〜会議録(2020年5月22日 厚生労働委員会1)〜
○小川委員 立国社の小川淳也です。
大臣、まず法案について。例えば、包括的支援、重層的支援、それから社会福祉連携推進法人、おおむねうなずける部分もあるんです。しかし、ただいま岡本委員が指摘された介護福祉士の国家試験の免除、例外規定、これは極めて制度をいびつにし、そして有資格者の地位、ひいては処遇に重大な影響を及ぼす可能性があると思います。
安易な延長には会派内にも相当慎重な意見、反対意見が強く、この一事をもって原案になかなか賛成しがたいという状況にあります。
この経過措置、免除規定について、やはり問題が多いと思いますが、まずその点を大臣にお聞きしたいと思います。
○加藤国務大臣 介護福祉士の養成施設卒業者に国家試験合格を義務づけることで資質を向上させるということで、平成二十八年当時、法律が改正をされたわけでありまして、その基本的な方針というのは引き続き堅持をしているところでありますが、経過措置について、平成二十八年当時と比較して介護現場の人手不足が深刻化している等々の状況のもと、有識者の中の議論においても相当な議論がございました。私も先日、宮本委員から御指摘をいただいて、そのやりとりも読ませていただきました。
福祉高等々の皆さん方から、あるいはそこの高校生の皆さん方からもこうした義務づけをしっかり実施をしてほしいという意見があり、他方で、介護施設等の方々からは、そうしたことは重々わかるけれども、しかし、現実において、これを延長してもらわなければ引き続きの介護サービスの提供ということに支障が生じかねない、こういった御議論もあって、最終的に経過措置を五年に限って延長するということにしたものであって、あくまでもこれは暫定的なものでありまして、大事なことは、この間に養成施設の教育の質を上げて国家試験合格率を高めていくということ、これがまさに重要だというふうに思っております。
したがって、一つは、養成施設ごとの国家試験合格率を公表する仕組み、これを新たに実施していくということ、また、養成施設の教育の質の向上に係るさまざまな取組、例えば留学生向けの介護福祉士試験対策教材の作成に必要な経費等を支援することによってそうしたところにおける教育の質がより向上される、それに向けての財政支援を行う、そうした施策を進めることによって、経過措置の終了に向けた、終了し得る環境をつくっていきたいというふうに思っております。
○小川委員 恐らく五年前も同じようなことをおっしゃっていたんじゃないですか。国会の決議もあったはずで、これを無視された格好になっていることについては、私はちょっと当時は現場にいなかったので、十分その皮膚感覚を受けとめなきゃと思っているんですが、相当怒りが根強いです。そのことは厳粛に受けとめていただきたいと思います。
それから、これもちょっと時間の関係で指摘にとどめたいんですが、重層的支援というのは言うはきれいなんですが、市町村の窓口は全部縦割りに分かれていますからね。高齢者の窓口、障害者の窓口、子供対策、貧困対策。これを本当に縦割りを排していくというのは、今回法律でお題目を立てた程度で何とかなる問題だとは思えません。極めて困難な、高いハードルだと思います。
それから、社会福祉連携推進法人。もともと社会福祉サービスは、極めて地域に根差した、対人、対面の、繊細かつ直接的なサービスです。したがって、これを何だか物を売る会社のように大規模化して合理化して効率化していくというには、恐らくそもそもそぐわない面を抱えていると思います。だからこそ、さまざまな公益的な観点からの規制や、あるいは税制上の特例や、いろいろな特別措置が講じられている。
今回の連携推進法人なんですが、事と次第によっては、大が小を食う、あるいは中が小を束ねるということになりかねない制度だというふうにも思って受けとめています。したがって、時々問題になりますが、社会福祉法人内部の余りにも厚い内部留保とか、余りにも高い役員報酬とか、こういう本来の制度の趣旨にそぐわないものについては、あわせてしっかり監視をしていくということと合わせわざである必要があると思います。
ちょっと時間の関係もありますので、指摘にとどめたいと思います。
私、前回の委員会で委員の内外からすごくお叱りをいただいた部分もありますので、当時、真意を十分に、自分自身の言葉選びやあるいは論理展開で真意を伝え切れなかった部分があります、ちょっとおわびしたいと思うんですが。
この間、福祉法もそうです、この前の年金法もそう、やはりほとんどの質疑はコロナ対策に集中しています。したがって、重要な課題なんですが、必ずしも今国会でというもの以外についてはぜひ先送りをしていただいて、大臣にはコロナ対策に集中していただきたかったという思いはきょう現在も変わりません。
それから、法案の扱いは国会でお決めになることだとお決まりの紋切りのことをおっしゃいますが、今回の検察庁法を見てください。官邸の鶴の一声ですから。この国会の都合というのは、全て、大臣が都合のいいときにお使いになる方便ですから、私は、自民党国対また後藤先生が言い出せないのであれば、大臣が、しばらくコロナ対策に集中したい、一旦法案を取り下げたいぐらいの英断があってもよかった、この思いも今もってなお変わりません。
それから、もう随分世の中的には落ちついてきた面もありますが、とにかく、この厚生労働委員会の内部がクラスターになる、集団感染が起きるということだけは是が非でも避けなければならないという強い決意を当時は持っていました。今ももちろん変わりません。このことに対しては随分対策も講じられてきていると思いますし、今後も気をつけていかなきゃいけないと思います。
最後に、先月の質疑のときに、著名人の方がちょうど犠牲になられた後だったんですね。でも、私が申し上げたかったのは著名人の方に限らないんです。
今、岡本委員の質疑で警察からの報告がありました。自宅で不審死に近い状況、そして事後的に陽性が判明する、隠れた、物言わぬ犠牲者ですよね。これの背景には、やはり検査対象を、これからの問題にかかわりますからここはあえて議論させていただきたいんですが、どう今までの政策を評価するか、そして正しく確実に方針転換をしていくか、ここは極めて重要だと思うんですよ。その意味で、この著名人の方を一つの象徴として申し上げたわけです。
大臣に一点だけちょっと認めていただきたいことがあるんです。
旧基準、三十七・五度、四日間、大臣はこれは誤解だという発言を繰り返されています。そして、後に批判を受けると、言葉の選び方がまずかったという言いわけに終始されている。
私は一点認めていただきたいんですよ。この旧基準、三十七・五度、四日間が実態として受診抑制につながった面がある、本来検査を必要とする方を検査までたどり着かせなかった、あるいは随分悪化してからたどり着いた、これによって犠牲がふえた可能性は十分にある。この旧基準が事実上の受診抑制機能として働いた懸念、事実はあるという反省の上に立って今後の政策を展開していただきたいので、まずその点をお認めいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 まず、誤解と言ったのは一回だけでありまして、それについてはいろいろ御指摘をいただいたので、そこは真摯に受けとめるということを申し上げたところであります。
また、旧基準について、旧基準というか目安でありますけれども、目安の趣旨については、従前から申し上げているように、新たな感染症という、そうした症状の中でどういった場合には受診を考えていただくのがいいのかということで、専門家の御意見も含めてお決めをさせていただいたということで、これを一つの判断にされて、それぞれの皆さんが受診されたり相談された、これをそういうためにつくったということは事実であります。
したがって、結果として例えば三十七度五分、四日以上ということが中心になってしまって、残念ながらそれ以外の場合等々と書いた趣旨等が十分に伝わっていなかった、そうした御指摘もいただいているわけでありますから、そこは真摯に反省をしなければならないというふうに思っております。
そうした観点からも、今回、目安を見直させていただいて、これまでの周知等々が足りなかったということも含めて、書き方についても専門家の御意見をいただきながらいろいろ工夫させて出させていただいたということでありますので、これまでのいわば反省も踏まえて今回の新たな目安を出させていただいた、こういうことであります。
○小川委員 やや率直な答弁として受けとめたいと思うんですが、これは三月十六日の大臣の答弁なんですが、これは一つの受診の目安だ、相談の目安だ、したがって、少なくともそうなったら必ず診ていただきたいと。これは参議院の予算委員会です。それにあわせて、それから、外来等に一定以上集まることによって医療崩壊が起きないということの担保ということも含めて通知していますと。これは合わせわざでおっしゃっているんですよ。
私、これをどう総括するかは今後に向けて極めて重要だと思うのであえて申し上げるんですが、つまり、この間、大臣がやられようとしたことは、平時に整えた平時の医療体制に混乱を招かないという政策目標が一つあったんです。全部とは言いません。しかし、結果として、平時の体制をもって有事に立ち向かうという愚を犯してしまったわけです。速やかに有事の体制をとらなければならなかった。具体的に言えば、検査体制の速やかな拡大であり、そして感染者の速やかな大量隔離という手段をとるべきだった。これが私は二月、三月の最大の反省だと思うんです。
その前提に立って、ちょっとこれはわかりませんが、これから梅雨どき、温度が上がり、湿度が上がり、紫外線が強くなる。わかりませんが、もしかしたら天然の恩恵によってこの北半球で感染が一定抑止される可能性もあると議論されています。万一そういう恩恵を自然からこの夏の数カ月にいただけるのであれば、今度、万一、秋冬にもしかしたら訪れる第二波、第三波に、この平時にいかに有事に備える体制をとるか、これが極めて重要だと私は思うんです。
そこで、専門家の文献で、極めて私が関心を持っている文献から得た議論を少し紹介させていただきたいんですが、こういうことなんですよ。
今までは、経済か感染抑止かと、どちらかというと二律背反に捉えて、一方を極端に強調せざるを得なかった。しかし、経済政策は経済政策でかなりのストレス、抑圧、被害をもたらしています。したがって、秋以降は経済も感染抑止も両立でいくべきだという論文です。私もそのとおりだと思いました。
では、具体的にどうするのか。
もはや、感染率だとか陽性率だとか、今回の宣言解除も率に注目しているようですが、余り率を議論しても意味がないとその専門家は言うんです。何を問題にすべきかと言うと、検査を広範に行う体制を圧倒的に整えること、これがまず第一。そして、陽性者を幅広に発見し、早期に速やかに大規模隔離療養施設に確保すること、これが第二。したがって、指標とすべきは、大規模な検査のもとで、新規感染者数を常に療養病床数が上回る状態に置く、この不等式。不等式を常に維持することで感染抑止と経済活動の停滞を防ぐことを両立でやっていくという論文がありました。
だから、私は、ちょっと長い話になって恐縮なんですが、ベッドやホテルの療養所、人工呼吸器、そして人工心肺、それからもっと言えば医療防具、これは、万一、秋冬に同じような第二波、第三波が来て、あるいはそれ以上の波が来て、二月、三月と同じような対応をもし政府がとったら政権は耐えられないと思いますよ。逆を言うと、余り過ぎるほど圧倒的な準備をして、幸運にもそれが不要で終わったときに批判する国民は誰もいないと思う。
そういうことも含めて、これまでのクラスター対策とか、三十七・五度、四日間以上とか、受診抑制、事を大きくしない、平時の体制で有事を乗り切ろうとした、その十分な反省の上に立って圧倒的な有事に備える有事の体制をこの夏の期間に構築し、万一の秋冬の波の再来に備える。この基本ポリシーのもとに、無駄になってもいいんです、圧倒的な準備を行っていただきたいと思いますが、大臣の見解を聞かせてください。
○加藤国務大臣 まず、三月の答弁をもう一回読まないとわからないんですが、少なくとも一連の相談支援センターから外来への流れの中で私は多分そういう説明をしたのではないかというふうに思っておりますが、それはちょっと後で確認させていただきたいというふうに思います。
その中で、今委員がおっしゃったように、この間において検査体制をつくる、検査体制といっても、分析だけではなくて、拭いというところを含めてしっかりつくっていくということの必要性、これは私も認識をしているところであります。
加えて、医療体制をつくっていくということ。しかも、これも、重症、中症、軽症、それぞれの状況に応じた役割分担をしてつくっていくということ。これは非常に大事だというふうに思っておりますので、これまでの地域包括交付金、さらには、今、中で議論している中においても、医療提供体制のさらなる充実のための費用として使っていただく、そうしたことも想定して、また、都道府県とともに連携してそうした整備をしっかりと行っていきたいというふうに思っております。
それから、今、平時、有事というお話もありました。今、ぐっと減ってきておりますから、こうした中で、この間、新型コロナ感染症の方に相当に人的資源を回して、要するに、それ以外の疾病に対する治療等がやや抑制されていたわけでありますから、それを回復していただきながら、また、ふえてきたときにどう対応していくのかということも含めて考えていかなきゃならない。ちょっと首をかしげておられますけれども。
したがって、今、各病院で何をされようとしているかといえば、平時における、この間、手術等を遅延させた分については、今新型コロナウイルスの患者さんが減っている状況を踏まえてそうしたことをまずやっておきたい、しかし、これから拡大していくということも当然想定をする中で、逆に言えば、地域の役割分担を一層進める中で、それぞれ、新型コロナウイルス対策をするところ、それ以外の疾病に対する対応も、これをしなければ国民の命は守れないわけでありますから、そのバランスをどうとっていくかということも含めて、トータルとしての医療提供体制、これをしっかりつくっていくということが必要なんだろうというふうに思っています。
○小川委員 おっしゃることは外れてはいないんでしょうが、もうちょっと気迫を持って、どう対処するかとか、地域の役割分担とか、定性的な表現に逃げずに、迫真に迫る答弁が欲しいんですよ、やはり。そこが加藤大臣のリーダーシップという意味で最大の問題の一つじゃないですか。やはり、みずからの政治責任、政治生命をかけて物すごく価値判断をして、優先順位をつけて、旗を振るんだという迫力を私は感じたい。本当にそのことを願います。
最後に、ちょっと時節柄、マスクについて聞きます。
四月の十七日からいわゆる配付マスクを配っているようですが、ここのところ、きのうの発表ですかね、一千四百万枚が配られた。それで、月内ですか、あと、営業日でいうと、平日でいうと五日しかありません。残り一億一千六百万枚を配り切るんですか、月内に。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
全戸向けのマスクにつきましては、これまで、感染者数を考慮して、四月十七日から、今委員から御指摘をいただきましたけれども、東京都への配付を開始して、五月十一日の週から大阪府を始めとする十二の道府県にて順次配送を行っております。
五月二十日までに配付した数、これは日々更新してございますけれども、約千七百八十五万枚でございまして、さらに、配送の流れとして、順次三千二百万枚を、累計でございますが、超えるマスクを郵便局まで納入しているという状況にございます。また、あした、二十三日からは残る全ての県への配付を開始する予定でございます。
今後につきましては、この間、検品等を充実させたことによりまして、当初の予定より、私どもが想定したより若干おくれがあるのも事実でございますけれども、国による検品をしっかり行った上で、品質を確保して、お届けしたマスクに安心をいただきながら、可能な限り五月末を目途に国民の皆様のお手元に届けるよう、迅速に鋭意作業を行っているところでございます。
○小川委員 これはとても現実味がないと思いますね。一カ月以上かけて一千四百万枚、あと五日で一億一千六百万枚を配るなんというのは全く現実味がない。
それで、大臣、配ってくれという声、一人も届いていないでしょう、大臣に。今からでもやめてくれないか、そんな金があればほかに使ってくれないかという声がほとんどですよ、私のところに届くのは。また、五月中旬に調達されたのも同じ会社で、しかも調達額は明らかにしないと報道でも拝見しました。
ちょっと細かいことを聞きたいところなんですが、もう時間がないので、大臣と橋本副大臣に二点だけ、素朴なお尋ねです、聞かせてください。
これだけ国民の疑問や反発が強い中で、あえて配り終えようとしておられる。菅官房長官に至っては、そのおかげでマスクの値段が下がっているんだなんということまでおっしゃっている。私は本当に首をかしげていますが。配付の責任者として、厚生労働大臣として、厚生労働副大臣として、それだけ配っているマスクをなぜ御自身は使わないのか。それだけを答弁いただいて、質問を終えたいと思います。
○加藤国務大臣 私の周辺の方は、やっとマスクが届きました、使いますという声も私のところにはいただいている、これは事実であります。
その上で、なぜ使わないのかということでありますが、これは私どもが進めておりますハッシュタグつなぐマスクということで、福祉施設でつくっていただいているマスクをここでPRさせていただいております。まさにそれがこれだということで、前回からもやらせていただいているということで、そうした流れを応援するために、私は福祉作業所等がつくっているマスクをずっと使わせていただいているということであります。
○橋本副大臣 お答えをいたします。
宿舎の方にもマスクが届きまして、子供たちが使っております。
私の方でございますが、これも、総社市という私の生まれ育った町の福祉事業所がデニムのマスクをつくったということでいただいたものですから、それを、二枚あるので、交代交代で洗って使っております。
○小川委員 きれいな御答弁でしたが、それは福祉施設も大事でしょう、地元の産品も大事でしょう。しかし、これだけいろいろ疑問があることに旗を振っているわけですから、広告塔たるお二人にはぜひおつけいただきたい。
そのことをお願いして、質問を終わりたいと思います。
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