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〜会議録(2020年2月27日 本会議)〜
○小川淳也君 野党共同会派の小川淳也です。(拍手)
ただいまの藤井先生の討論、はえある旧自治省に務めた一級先輩として、とても容認できるものではありません。
会派を代表して、ただいま議題となりました森法務大臣の不信任決議案に賛成の立場から討論を行います。
森大臣、本当に残念です。極めて不本意、無念。情けなく、恥ずかしく、深刻きわまりない事態だと思います。
現在、我が国は、肺炎対策をめぐる国家的危機管理の局面にあり、この局面で、法治の根幹を預かり、国の出入国管理をつかさどる法務大臣の信任を議論せざるを得ないこと自体、国民に対して極めて申しわけなく、不幸な事態であります。
冒頭、この新型肺炎対策について申し上げます。
まず、森大臣、対策本部閣僚会議を欠席して地元行事に行くのはやめてください。
そして、一部報道にある、外形的に感染者数を抑えるため、ウイルス検査を渋っているのではないかとの疑念についてです。
まさかとは思いますが、どれほど政権にとって不都合であろうとも、いかにオリンピックの議論に影響しようとも、これだけは絶対にあってはなりません。国民の健康と命の保障にまさる政策課題はほかに存在しないはずだからであります。
野党側も速やかに議員立法を提出いたします。政府には、一刻も早く、全ての患者の不安に応え、かつ、我が国の真の感染実態を明らかにするよう強く求めるものであります。
さて、法務大臣、法律家であるはずのあなたが、法の番人たるべき法務大臣の職責にありながら、我が国の法治国家と三権分立の原理に重大な挑戦を行い、その旨、臆面もなく国会で答弁し、かつ、旧来の解釈確認という基礎的な手続を怠った疑いがあり、国会での発言を二転三転、迷走し続ける姿は、もはや見るにたえません。本議案の審議をまつまでもなく、まずは、即刻、みずから身を処すべきことを求めます。
森大臣は、前河井大臣の引責に伴い、過去の経験等を買われて就任されたものとお見受けしておりました。しかるに、就任早々、日本の刑事司法、出入国管理への信頼を根底から揺るがしかねない大失態、すなわち、ゴーン容疑者の不法出国を許してしまったんです。
大臣の直接の作為、不作為ではないでしょう。しかし、結果として、国際社会に醜態をさらし、日本の刑事司法、出入国管理への信頼を失墜させたこの責任は一体誰に帰属し、誰が責任をとったのか、今もってなお不問に付すことはできません。
本不信任案の直接の原因は、検察人事です。
これには、内閣が違法、不当に介入した疑惑があり、法務大臣は、これを防ぐどころか、積極的に加担し、主導した疑いがある。
そして、従来の政府の公式見解の確認を怠ったまま結論に至らしめ、手続に重大な瑕疵を生じさせた直接の責任があります。加えて、国会における答弁の迷走、あげくの果てには、重要な解釈変更を口先で行ったと平気で言い放つ不見識、無定見、無責任、無神経には、もはや投げかける言葉すら見当たりません。
法の支配、三権分立、司法の独立は、時の政権の都合によって左右されてはならない国の根本的な原理です。個々の検察官の任期を政権の都合で伸長すること自体、特に、日本の検察は起訴便宜主義を採用しています、起訴の有無を検察官の裁量に委ねているんです、したがって、人事の独立は検察の独立の根幹であり、憲法にすら違反する疑いがあります。
既に、全国の検察幹部から不信の声が上がっているというではありませんか。検察官は、国民からの疑念の中、正義を遂行することはできません。政権との癒着を疑われたまま、罪人を訴追する迫力は生まれません。かくして、全国の検察現場に及ぼす影響は甚大であり、検察官の士気に与える影響ははかり知れないのであります。
内閣は、本人事に係る閣議決定を取り消し、撤回することをまず求めます。
第二に、官邸のお庭番ともやゆされる黒川氏を検事総長にこの後任命することは、法の趣旨に照らし、許されないものであることを指摘します。
第三に、黒川氏自身、みずからと、全検察への誇りと名誉にかけて、検事総長就任を辞退すべきことを申し添えます。
この際、人事院及び法制局にも猛省を求めたいと思います。両者ともどもに、過去の政府見解の確認を見過ごしたのではありませんか。これにより、本来なすべき進言を怠り、内閣の意思決定に重大な瑕疵をもたらしたのではありませんか。その後の口裏合わせのような国会答弁とあわせて、担当者及びしかるべき責任者の処分を求めるものであります。
委員会でも指摘したとおり、やはり、この政権は、政権の都合を法令より上位に置いているとしか思えません。検察人事、安保法制、公文書管理に自衛隊派遣、全て政権の御都合次第。初めに結論ありき。後に法令、時には憲法までをも従わしめる。法秩序を破壊しながら、最長政権に至っています。
自信があるのであれば、憲法九条に集団的自衛権を明記し、正々堂々、国民に問えばよかったではありませんか。国民の自己決定権を踏みにじり、ただ解釈改憲に逃げ込んだだけではありませんか。
公文書はルールに従って適切に廃棄したと皆さん方はおっしゃる。私が正確に申し上げましょう。文書保存期間を一年未満と改悪した。つまり、あなた方は、廃棄したのは文書だけではありません。文書を適切に保存するというルールそのものを廃棄したのであります。公文書は現在及び将来の国民に対する説明責任であるという、この規範もろとも廃棄し、破壊したのであります。
この超法規的政権の無謀と横暴を一体いつまで許すのか。今こそ、私たち野党が問われています。国民は受皿を求めています。国民の憂いや無念や怒りや憤り、諦め、そしてそれでも捨て切れない希望や願い、これに我々野党が応えていかなければなりません。
結局、検察人事の独立性を回復するには、政権がかわるしかありません。不都合な公文書を暴き出し、全面開示するには、政権がかわるしかありません。法解釈の適正化、責任ある者の処分、犯罪容疑者の適正な訴追、全ては健全な政権交代によってしか実現されないのであります。
この政権の無謀、横暴を正す使命と責任は、改めて、我々野党にある、今、その重い責任を自覚し、国家国民のためにみずからを高め続けてまいりたいと思います。
改めて、その任に値しない森法務大臣の許すべからざる数々の責任論、同時に、我々野党が共有すべき強い責任感、使命感を、場内に広く、強く訴えかけて、本決議案への賛成討論といたします。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
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