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〜会議録(2019年10月11日予算委員会)〜

○小川委員  野党新会派の小川淳也です。

 きょうは、尾辻かな子さんと二人三脚で質疑をさせていただきたいと思います。

 二日目のきょうも、新会派では、それぞれ役割分担いたしまして、効率的、効果的に政権の姿勢についてたださせていただいております。私は、みずからの職責に照らして、NHK、かんぽの問題、それから、年金の再計算を中心とした全世代型社会保障改革についてお聞きします。

 その前に、ごめんなさい、ちょっと二つ三つ。

 小泉大臣、小泉さんが感じているストレスとかプレッシャーとか、これは、私なんか、想像に余りあります。庶民の出ですからね、本当に。あのお父様のもとにお生まれになって、今どれほどのストレス、プレッシャーだろうと、想像に余りあります。

 しかし、御答弁で、内閣の一員というのは便利な言葉ですが、これは、政治家としての輝きは失わしめますからね。河野大臣を見てくださいよ。昔、光り輝いていましたからね。ねえ、官房長官。

 それで、いろいろ聞きたいことも言いたいこともありますが、ちょっと指摘だけします。

 台風十九号が来ますよね、あした、あさって。これは、犠牲者が出ないとは限りませんよ。負傷者も何人出るかわからない。住宅は何戸壊れるか、インフラはどの程度攻撃され、平穏な人々の暮らしがどれだけ脅かされるか。地球温暖化問題を担当するということは、そういうことでしょう。

 これは、セクシーでもクールでもチャーミングでも、何でもやってください。しかし、説明を求められたときに、それを説明するのはやぼだというのは通らない。あなたは大臣ですからね。

 グレタさん、人類の絶滅の危機だと言ったんでしょう。きょう夕方、ノーベル賞の発表なんですよ、平和賞。総理がトランプ大統領を推薦しているから言いにくいですけれども、私は、ぜひグレタさんに行けばと、本当に心から願っています。それぐらいの危機なんですよ。

 閣僚としてしっかり答弁、御期待をしているがゆえに、お願いしたいと思います。

 そして、総理にも一つだけ申し上げたいことがある。

 私、総理は、憲法改正、本気だと思っていたんですよ、ついこの間まで。でも、最近は、これはひょっとしてポーズじゃないかと。人目を引き、関心を呼び寄せ、政権を浮揚させ、求心力を維持するためのひょっとしたらポーズじゃないかと、今、ちょっと疑心暗鬼です。

 残り任期二年。それは四期目があるのかないのかわかりませんが、総理、これは、御勇退された後、後悔しませんか。これだけ長期政権、そして衆参で三分の二を持った史上初の総理大臣。そして、憲法改正には怨念のような思いをお持ちだ。

 私は、自民党の改憲四項目、いいですよ、しかし、総理が本当に国民に問うべきは、九条に集団的自衛権を書き込むことだ。存立危機事態を明記することです。それで堂々と国民に問おうじゃありませんか。それなら、私、野党からも、私も含めて、発議に賛成したいと思う人間がいると思う。もちろん、異例ですが、賛成した上で徹底的に反対するんですよ。国民投票で敗れたら、もう本当にその日に政界引退してもいいぐらいと思う、そのぐらいのテーマを総理は国民に指一本触れさせずやったんだ。国民主権も立憲主義も民主主義もあったもんじゃないじゃないですか。

 ぜひ、残り任期、集団的自衛権を明記し、そして存立危機事態を書き込む、これこそが総理が国民に提起すべき憲法改正だと思います。そのことを指摘をして、これはまた、ぜひ担当のときに議論させてください。そういう思いを持っている野党の若い人もいるということで、ぜひお聞きおきいただきたいと思います。

 それでは、郵政、かんぽ問題についてお聞きします。

 きょうは、お忙しい中、それぞれ責任者の方にお越しをいただきました。

 まず、かんぽの不正に関してですが、それぞれ、いろいろ反省もおありだと思います。

 去年四月のNHKの放送で、こういう現場の声も報じられているんですね。高齢者に強引に販売せざるを得ない環境が郵便局にはありました、お客様に申しわけない気持ちが日に日に強くなり、退職しました、三十代の元郵便局員。そして、四十代の現役の職員だと思います。以前のような地域の人に頼りにされる局員に戻してください、この番組を機に、世間の目や金融本部、かんぽ生命の偉いさんの考えが変わってくれることを大いに期待しますということが報じられています。

 これは、かんぽ全体、それから被害者もある。更に言えば、株価が低迷していますね、今、日本郵政。この秋の売却予定、そして復興財源を含めて、一連の事件の責任は極めて波及が大きいですよ。

 そこで、横山日本郵便社長に率直にお聞きします。

 既に、親会社、郵政の長門社長は、これは自民党の非公式会合のようですが、逃げ隠れする気持ちは全くない、しかるべき時期に、しかるべき経営責任をきっちり発表すると明言しています。

 横山社長、端的に聞きます。現場は真面目にやっている人もいるんですよ。そして、今回の件で本当に戸惑っている。そして、何より被害者、そして復興財源を含めて影響は大きい。みずからの進退を含めて、その責任のとり方、まずお聞きしておきます。

○横山参考人  まず最初に、このたびのかんぽ問題につきまして、お客様を始め関係の皆様方に大変御迷惑とそれから御心配をおかけいたしておりますことを、まずもっておわびを申し上げます。

 現場を含めて、大変お客様に対して誠実に真摯に対応いたしておるところでございますが、私どもといたしましても、御指摘ございましたNHK報道等も含めまして、対応につきましては打ってきたところでございます。

 今やっております再発防止策を含めまして、これをまず徹底させるということで、私どもの経営責任ということを果たしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

○小川委員  おやめにならないというふうに受けとめましたが、これは関電もそれでもたなくなっていますからね。早目にみずからの進退を含めて、これは、お偉いさんの考えは変えられないんですよ、恐らく。お偉いさんをかえるしかないんだ。厳しい指摘ですが、受けとめていただきたい。もう時間の関係で往復はしませんが。

 次に、結果としては極めて重要な報道だったNHKの初回放送、去年の四月、このクローズアップ現代にクレームをつけたのが、恐らくです、首謀したと思われるのが、日本郵政の鈴木副社長。

 私ども、政務官をさせていただいた時代に大変お世話になりました、本当に。そのときには本当にお世話になりました。それで、ただ、そのこととこれは別なので。

 鈴木さんは、総務事務次官を務めて、その前には情報通信政策局長、放送課長までやっていますね。このみずからの経歴をかさに着て、事実上、NHKに圧力をかけたんじゃありませんか、鈴木さん。

○鈴木参考人  ただいまの御質問でございますが、圧力をかけたという記憶は毛頭ございませんで、私どもの、放送されたものに続いて第二回の取材をするという際に、全く事実の摘示もなく、まるで電車の中づり広告だと私は申し上げたことがありますが、極めて刺激的な言葉だけを並べたようなツイッターを出していたので、それを削除してほしいという要請をいたしました。

 以上でございます。

○小川委員  全く認識が甘いと思いますよ。みずからの経歴、人脈、あらゆることをかさに着て、それは受け取った方は圧力に感じるでしょう。

 ちなみに、NHKの石原経営委員長は、御就任が二〇一〇年の十二月十一日だと思いますが、そのときの事務次官なんですよね、鈴木さんは。そうなんですよ。

 これは、鈴木さん、なぜ自信のある抗議なら白昼堂々とやらないんですか。なぜ公明正大にやらないんだ。上場企業はよくメディアに抗議しているじゃないですか、表で。抗議はしたかった、しかし、抗議をしたことは知られたくなかったんでしょう。認識が極めて甘いと思いますよ。

 もう既に、これは日本郵政の長門社長が、一連のNHKの報道は、今となっては全くそのとおりと言っていますから。一連の抗議をしたことも、社内調査を経ずに抗議したことを深く反省と言っていますから、日本郵政のあなたの上司が。副社長、ここで、一連の抗議は誤りだった、撤回して謝罪してください。

○鈴木参考人  お答え申し上げます。

 最初の方、石原委員長がNHK経営委員だったというのは、時間的に見るとそういうことなのかもしれませんが、私は、当時は全く記憶にございませんでした。

 その次に、長門が記者会見でしゃべった内容について申し上げると、それは、二〇一八年の四月に放送された番組について考えてみると、今注意が足りなかったということを申し上げておるのであって、先ほど私が申し上げたように、第二弾として、番組の視聴者から番組の素材を提供してほしいといったSNS、それをNHKは公式ツイッターと呼んでおりましたが、それに対して私どもはおかしいと申し上げて、こそこそやったわけでもなくて、NHKの担当者が我々のところへあわせて取材をしてほしいと言うので、それはできません、ああいう刺激的なことを一方的に言うだけで、そんなものに乗るわけにいきませんということを申し上げ、その後、何を言っても全然通じないものですから、七月の十一日付だったと思いますが、私どもの社長三名の連名でNHK会長に対してレターを送っております。別に隠れてやったわけでもなくて、堂々と送っております。

 以上でございます。

○小川委員  だったら、その提出した文書を提出してください。まだ公開していないでしょう。自信があるなら公開してくださいね。

 委員長、要求します。委員会、理事会に、郵政のNHKに提出した抗議文書一連、三通ぐらいあるんですが、それを委員会に討議資料として提出するように委員長のお取り計らいをお願いします。

○棚橋委員長  後刻、理事の申出がございましたら理事会で協議いたします。

○小川委員  これは石原経営委員長にもお聞きしなきゃいけないんですが、なぜこの程度のことで会長を厳重注意するんですか。

 これは御存じない方もいらっしゃると思いますが、NHKが釈明に行ったときに、会長名の文書提出を求められるんですよね、日本郵政から。そこで、職員は、いや、会長は直接番組制作にはタッチしていませんからという抗弁をするんですよ。当然だと思う。会長が日ごろそんなことをやっているわけがないし、一定の節度を持って当然ですから。それを、揚げ足をとるように鈴木副社長が、言いがかりだ、こんなものは。揚げ足をとるように抗議しているんですよ、職員の教育がなっていないと。そういうことなんですよ、この内容は。

 それで、石原委員長、御見識のある方だと思いますが、なぜこんな抗議に屈したんですか。会長への厳重注意なんて、ただならぬ事態じゃないですか。

 そして、あわせて答弁してください。十月の九日、去年、日本郵政から書面が届くんですが、そこで初めて知ったんですか、それともどこかで聞いていたんですか。

○石原参考人  お答えいたします。

 まず、職員の失言ぐらいで経営委員会として会長を厳重注意にしたのかという御質問でございますけれども、私ども、番組の内容、中身に立ち入ることは法律上禁止されております。

 そういった点で、どういうことがあったかというよりも、やはり、十月の五日付の文書が郵政から来たときに、この中に、ガバナンスの問題として、現場のチーフプロデューサーが郵政の会社に行って、経営とそれから番組の制作というのは違うんだ、会長には経営はするけれども制作権はない、こういう話を現場のチーフプロデューサーがした。

 これは、チーフプロデューサーというのは現場の制作の責任者ですから、極めて大事な役割を持っているわけでございまして、したがって、チーフプロデューサーがそういうことを言うのは、やはりこれはNHKのガバナンスの問題として、言ってみれば、会長の部下、社員に対する教育の面、心がけ、そういった面が欠けているなと。NHKの非常にこれは大事な部分だと僕は思うわけであります。

 それからもう一つは……(小川委員「ちょっと簡潔にお願いします」と呼ぶ)はい。もう一つは、二カ月間ほっておかれたと文書の中に書いてあるわけでございまして、やはり視聴者対応として、そういった視聴者に対して、また郵政に対してきちっとしたお答えをして、それで納得いただくという努力をちゃんとしているのかどうかということをあわせて調査してみた結果でございます。

 以上です。

 申しわけございません、もう一つございました。

 それから、十月九日の抗議文書を受け取る前に知っていたのか、こういうお話がございましたけれども、これについては、実は、前の月の九月の二十五日、郵政会社の副社長の鈴木様、鈴木様が私どもの代行の森下代行のところにいらっしゃいました。東京に事務所があるんですけれども、そこでお話がございまして、これは恐らく申入れといいますか、という感じでお見えになったということでございますが、ガバナンスの問題とそれから答えがないという話について非常に不満を言っておいでになられたという話は聞いております。

○小川委員  やはり、鈴木さんが陰でいろいろ動いて、事実上の影響力を行使しているんですよね。それにNHKは屈したんですよ。はねつけられなかったんだ。

 これは他党が扱っていることですからあれですけれども、叱られない範囲で。郵便局の転居届にNHKの転居届だけセットされているそうですね。こういうこと一つとっても、特別な関係なんですね、両者は。そういうことなんですよ。

 それで、経営委員会も、今回、会長を厳重注意、これは籾井さんに対する、ハイヤーの不正利用とか以来ですよ。過去にこの二つしかないんだ。籾井さんのときはちゃんと公開している、経営委員会は。これは非公開、議事録不作成です。お互いに水面下でやったんでしょう、身内同士であることをいいことに。これがよくないと言っているんですよ。表でやってください、表で。お互いに公的責任を負っているんだから。

 総務大臣に最後に聞きます。

 これはまた総務委員会でやりましょう、きっちり。

 総務大臣は、早々にこれは放送法違反じゃないと。つまり、経営委員会は本来個別番組に介入してはいけないんですね。私に言わせれば、これはガバナンスの名をかりた個別番組への介入です。現に、続編はこれによって見送られた。見送られたこの一年数カ月、恐らく一千件から一千五百件、新たな被害者が出ていますからね。そういうことの責めも負っているんですよ、あなたたちは。

 大臣、これは事実上、ガバナンスに名をかりた個別番組への介入で、放送法違反でしょう。それからお聞きします。

 議事録作成すらしていない。経営委員会は、確かに非公表とできるという規定はみずから持っている。しかし、不作成の規定はどこを探してもないんですよ。恐らく常態化しているんですね。非公表の名のもとに議事録をつくらない、そもそもつくらない。これは放送法違反の疑いが濃いので。

 大臣、大臣は放送法違反でないと早々におっしゃっていますが、ちょっと発言を修正して、NHKと日本郵政にきちんと行政指導していただきたいと思うんですが。

○高市国務大臣  まず、NHK経営委員会がNHK会長に対して厳重注意をしたということについてですけれども、毎日新聞だったと思いますが、最初に報じられてすぐに情報流通行政局長に指示をいたしまして、経営委員会に確認をさせました。その時点において、会長に対する注意は、放送法上、役員の職務の執行の監督を行うとされる経営委員会の権限の範囲内で行われたものであること、それから、個別の放送番組や番組編集について述べたものではないということを聞いております。

 ですから、現時点において、経営委員が個別の放送番組の編集に介入することを禁じているという放送法に反したものではないということを記者会見でも申し上げました。

 それから、議事録ですけれども、NHK経営委員会の議事録については、放送法第四十一条に基づいて、経営委員会の定めるところにより、作成、公表を行うということになっております。

 この四十一条というのは、NHKの経営の透明性を確保する観点から設けられているものですから、NHK経営委員会においては適切にこれを説明し、対応していただきたいと思っております。

○小川委員  もうこれは、時間ですから、また総務委員会で徹底的にやりましょう。不十分な答弁です。

 総理、この間、本会議で、安倍政権への連日の報道を見れば、萎縮している報道機関などない、ありもしない危機をいたずらにあおる言動だと質問者を批判しました。これ、総理、ちょっと認識が甘くておられるのではないかと私は思いますね。

 この件も、もちろん、これは郵政とNHKの問題だと思って、ちょっとこう高みから聞かれているんでしょうけれども、一連、この間の報道機関の萎縮とか、政権あるいは権力者に対する配慮、これは色濃く背景には反映しているんじゃないですか。私はそういうふうに受けとめています。

 もうこれは、事実として、事実として、国際的なジャーナリストの民間団体は、かつて民主党政権のとき、日本の報道の自由度は十位前後だったんです、世界で。今七十位ぐらいまで落ちていますからね。そういうことも含めて、ありもしない危機をいたずらにあおる言動というのは、総理の御認識として甚だ不十分だということをちょっと指摘して。答弁は結構です。(安倍内閣総理大臣「五分ぐらい」と呼ぶ)いやいや、お互いのために。

 それで、総務委員会でとにかくやりましょう、これは徹底的に。もう、ちょっと残り半分の時間はどうしても年金問題をお聞きしなきゃいけないので。

 まず、この年金問題、一つ目の問題は、総理が参議院選挙前に国民に示すべき財政再計算を示さなかったことです。選挙に配慮したと私たちは受けとめています。問題の第二は、選挙後に示した数値であるにもかかわらず、極めて大甘だということです。問題の第三は、この大甘の想定ですら、老後の暮らしは極めて厳しい。そして、それを政府は率直に認めようとしていないと私は感じています。

 お聞きします。現在、実質で三十五万円なんだそうですね、現役世代の収入が。これが今回の財政検証によると、三十年後四十七万円になるんだそうです。だから総理は、これとの対比で、年金額は減りませんから安心してくれとおっしゃっている。実質賃金が三十年後幾らだと言われても私はわからないので、これは総理でも厚生労働大臣でも結構です、実質賃金が三十年後四十七万円ということは、名目で、三十年後の若い人は、一体、一万円札何枚受け取るんですか。名目賃金は三十年後幾らになるんですか。

○加藤国務大臣  今回の財政検証では実質で議論させていただいておりますので、今議員御指摘の名目での数字は、出していないというか、算出していないところであります。

○小川委員  それはうそだ。実質賃金は名目賃金に八一・四%を掛けているはずですよ。

 ここで押し問答してもあれなんで、私から言いましょう。

 これは国民の皆様にも、わかりにくいので、本当にどうわかりやすくお伝えすればと思ったんですが。

 とにかく、政府が公開しているのは、ことし二〇一九年、真ん中ですが、現役世代の手取り収入三十五万円が三十年後四十七万円になるということは公表しているんです。

 でも、これはあくまで実質なので、名目でいうと、これは中位推計です、政府がよく言う中位推計。毎年賃金が一%伸びる、物価が一%伸びる、合計で二%伸びる。それを三十年繰り返すとどうなるか。点線で書きましたが、現在額面で四十三万円の現役世代の収入は、三十年後八十三万円になるんだそうですね。それで初めて手取りの実質は四十七万円になるんですよ。とても想定しづらいでしょう、これ。

 例えば、もうちょっと実感していくために、三十年前、これは泉議員が本会議で質問をしました。三十年前、一九九〇年。左側です。現役の収入が二十九万円だった、当時。それで、もし毎年二%伸び続けたとすると、ことしの月給は平均で、ボーナス込みだ、収入は五十六万円になっていなきゃいけない。しかし、現実には四十三万円。これぐらい、中位推計ですら無謀な想定を置いているということです。そして、この無謀な想定が実現すれば額面の年金額は減らないと総理はおっしゃっているわけです。ですから、想定が大甘。

 もう一つ指摘します、この紙で。

 一番右側に、現役世代の収入との対比でいうと、今の、二〇一九年が厚生年金で六一%、国民年金で一八%と書いてありますね。これが、三十年後には五〇%、国民年金は一三%。現役の収入との対比でですよ。そうすると、今の価値でイメージをすると、三十年後の年金は、これは賃金で割り戻すという専門的な言い方をするようなんですが、実際の価値は十八万円ということです。国民年金は四万円ということです。反論があったら後で言ってください。

 もう一つ言います。

 実は、総理が盛んに年金が減らないと言っているのは、あくまでその年新規に年金をもらう人なんですよ。新規裁定者というそうなんですが、新規にもらう人は大体毎年百万人とか百五十万人なんです。ところが、年金受給者の総体は三千五百万人ですから、実に九五%は既にもらっている人ということなんですよ。わずか五%のその年新規にもらう人だけ取り上げて、減らないと言っている。なぜか。新規の人だけ賃金の上昇に伴って年金額が上がるからなんです。一旦そこで発射台が決まると、もらう金額が決まると、あとは物価スライドなんです。

 そうすると、二枚目の資料ですが、例えば、ことし六十五歳の方、二十五年後に九十歳になります。賃金が上がっても年金は上がりませんので、物価が上がる分からいわゆるマクロスライドで調整率が抑止され、減らされ、二十五年後の年金は十九万円になります、形式上。

 ところが、これは、現役世代との対比でいうと、下の数字、四一%ですから、これを今の価値でイメージをしていただくと、厚生年金は十四万円になるということです、三十年後。国民年金に至っては、何と三万九千円ということです。

 それで、もう一つ言わなきゃいけないんですよ、残念ながら。

 これはあくまでモデルケースなんです。満額もらっている人の話ということなんですよ。実際、世の中には、満額もらっている人、そうはいません。厚生年金二十二万円に対して実際の平均は二十万円と言われている。国民年金は六万円に対して五万円と言われている。ということは、この十四万、三万から、つまり厚生年金十四万、国民年金三万から更に二割引いて、初めてほとんどの人の三十年後の年金額ということになります。

 加藤大臣、認めてください。中位推計ですら三十年後のほとんどの人の年金は、厚生年金で十三万、国民年金で三万、今の大体半分という理解でいいですね。

○加藤国務大臣  幾つか御指摘いただいたので、簡潔にさせていただきますけれども。

 まず、一九九〇年度から二〇一九年度の伸ばすときに、たしか二・何%とおっしゃったのは今回の経済前提を置いているわけですから、今回の経済推計はこれから先のことを見ているわけですから、これを過去に運用されても、これは趣旨が違うのではないかということをまず申し上げたいということを申し上げます。この間にはいろいろな時代がありました。バブルの崩壊もありましたし、二十年、三十年のデフレもありました。そこは一緒に議論できないのではないか。

 それから、二点目として、ここで言う額面ですけれども、この額面は、この四十三・九のところですけれども、これは、いわゆる税金、保険料、社会保険料、これが入っているわけです。右側の額面は、それと、あと名目でふえている、これは両方入ってしまっているということ、そこはまず……(小川委員「当たり前じゃないですか、そんなのは」と呼ぶ)いやいや、そういうことだということであります。

 それから、三点目は、今おっしゃった、賃金で割り戻すとおっしゃるけれども、年金というのは、やはり、その時点でどういう生活ができるかということを示すという意味においては、物価で調整することの方がこれは意味があるのではないか。それをいたずらに賃金に落とし込んでやっても、これはなかなか、むしろ一般の感覚とは随分かけ離れるのではないかということ。

 それから、四点目。二ページ目でありますけれども、確かに、二〇一九から二〇四四と書いてあるところ、ここの数字は、私どもも財政検証でお示しをして、結果的にこれは、マクロ経済スライドと、それから、既裁定になると賃金ではなくて物価によって調整される、そういう結果においてこうなるというのは事実でありますけれども、それをまた右側に落とし込むというのは、先ほどと一緒になるので省きますけれども、あくまでも生活実態は物価でデフレートするというか調整して見るのが、これは一般的な常識に合うのではないかというふうに思います。

○小川委員  まさに物価の名をかりて実態をはぐらかしているんですよ。

 この議論は結構深い議論でして、例えば三十年後も米、みそ、しょうゆは同じ値段、同じ負担で買えますよということは言っているんですよ。だけれども、三十年前に買えた例えば扇風機、三十年後にほぼ同じ値段、同じ負担で買えますよと言われても、三十年後の暮らしにはエアコンが一般化しているでしょう。(発言する者あり)違う。三十年前の黒電話を三十年後も同じ値段、同じ負担で買えますよと言われても、その後、携帯があらわれ、スマホがあらわれているでしょう。つまり、国民所得が伸びることとあわせて生活水準が上がるんですよ。だから、単純に購買力で見て大丈夫ですという議論では不十分なんです。

 だから、例えば生活保護もそうでしょう、物価スライドしていないでしょう。一定の所得水準の消費動態をちゃんと調べていますよね。だから年金は、所得代替率、いわゆる現役収入との対比を極めて重要視してきたんですよ。だから、現役収入との対比という、この生活水準から成る実質価値からいえば、当然三十年後の年金水準は半分になるんですよ。それを認めるところから議論をスタートしなきゃいけない。

 しかも、今見ていただいた推計はあくまでこれは中位推計でして、最後、もう一枚ちょっとごらんいただきたいんですが、中位推計というのは上から三つ目なんですよ。物価の上昇が年率一%、一・二、賃金の上昇が一・一、合計二・三ということなんですね。

 ところが、過去三十年を見ると、ケース最悪より悪いんですよ。ケース最悪は、早々に積立金が枯渇するケースですからね。

 総理は本会議でそれもおっしゃいましたね、今も席でおっしゃっていますが、過去三十年より未来は明るいんだとよくおっしゃる。しかし、安倍政権のこの六年、七年を見てください。消費税を上げて物価の上昇は〇・九ですからね。消費税を上げていなければ〇・五、最悪のケース以下なんですよ。同等なんです。賃金に至っては最悪のケースよりはるかに悪い、マイナス〇・六ですよ。

 したがって、この大甘な中位推計で議論しても意味がないし、実際にはこの最悪のケースより更に悪い可能性がある。それを認めないと、全く国民に対して不誠実だと思いますよ。

 それで、ごめんなさい、もう質問ばかりになるな。

 そういう中で、今議論されている全世代型社会保障改革、その中で、在職老齢年金を見直すのかどうかなんですよ。在職老齢年金というと、何かもらえる気がするでしょう。これも言葉のトリック。就業している高齢者の年金を減らす仕組みをやめるということなんです。月の収入が年金と合わせて四十八万円を超えると、一万円ふえるごとに五千円、年金を減らしているんですね。厚生年金は約十万円ですから、六十八万円で支給停止になる。これを今、骨太方針では、総理、高齢者への「就労意欲を阻害しない観点から、将来的な制度の廃止も展望しつつ、」「速やかに制度の見直しを行う。」と書いてある。

 総理、こんなに、先ほど申し上げた厳しい年金環境で、本当にこの在職老齢年金、廃止するんですか、見直すんですか。総理に聞いています、議長ですから。議長に聞いています。

○加藤国務大臣  さっきの物価の話ですけれども、結果的に総合物価で見ているわけで、何か米の価格だけでこれを我々はデフレートしているわけではありません。例えば、かつてのパソコンが、同じ今のパソコンと能力も違っているし、値段も随分変わってきている、それを含んだ意味での物価というものを申し上げているというのが一つであります。

 前提についてはちょっとまたどこかでしっかり議論させていただきたいと思いますが、これは、ただ、あくまでも、いろいろなケースを見る中で、百年後どうなるかという見通しを示すということで、専門家、特に金融の専門家の方々から御議論いただいて前提を設定したという経緯が一つあります。

 それから、在職老齢年金ですけれども、確かに今の状況、次のスライドでたしか状況が書いてあったと思うんですけれども、逆に、本来働かなければもらえるものが、働いているがゆえにもらえない。しかし、働いているといっても、例えば雇用契約があればもちろん対象になりますけれども、顧問契約とか委託契約とか、あるいは不動産収入とか金融収入があっても、これは全然減額されないという実態。それから、一定限度を超えると五〇%取られるんです。一番高い所得税率の限界税率だって今五〇パーいっていないという状況がある。

 さらにもう一つ、私たちは、六十五から先に働くためにやはり一番いいのは、私は、定年制を廃止したり延長していただくということだと思います。そういうことをすると必ずこれにひっかかってきてしまう、その辺をどう考えるのかということも含めて、ただ、議員おっしゃるように、当然、これをやれば必要な金額、所要額が出てきますから、それをどうするのか。あるいは一方で、確かに御指摘のような、より高所得、まあフルタイムで働く人は恵まれているじゃないかという議論も確かにあります。その辺を含めて、これはこれからしっかり議論させていただきたいと思います。

○小川委員  今のお話は、本当に支給開始年齢そのものを動かすのなら筋が通っているんですよ。しかし、働きながら年金をもらえる、年金をもらっていることが働き方を阻害するのか。これは厚生労働省も内閣府も、ほとんど影響ないという試算を出していますからね。これはまた厚生労働委員会でやりましょう。(加藤国務大臣「繰下げね、繰下げ」と呼ぶ)繰下げについて。

 在職老齢年金なんですが、これは極端に言うと、廃止すると、総理も、九月二十一日ですか、六十五歳をお迎えになられた。年金支給が始まりますよね。しかし、麻生大臣も含めて皆さん、きょう閣僚の中にも六十五歳以上の方が七名いらっしゃるようなんですが、皆さん、厚生年金に入っていても、国会議員の収入がありますから、厚生年金は支給されていないはずです。これは皆さんに対しても厚生年金を全額支給するということになりますよ。

 しかも、その財源なんですが、年間、もし廃止したら四千億ですよ。報道で言われているように、ちょっと規制を緩和した程度でも二千億。これはこういうことなんですよ。実際に、この収入があるから年金を減らされている人は、高齢者の中で一%ちょっとしかいません。百人に一人。その人に月十万円、例えば廃止した場合、本来支給されるはずの年金を支給するということです。年額で百万円。そのために、残り九十九人から一万円ずつ年金を減らすということなんですよ。

 こんな高額収入者優遇政策、この厳しい年金財政状況の中で本当にやるんですか。とても理解できませんが。総理、議長として答えてください。議長として答えてください、総理。

○安倍内閣総理大臣  今の御質問に答える前に、一番冒頭言われた点で少し修正させていただきたいと思うんですが。

 選挙の前に年金検証を、財政検証を我々公表しなかったのは、別に我々、有利になるためでは全くなくて、事実、所得代替率は、これは悪化しているのではないか、こう言われていたわけでありますし、悪化しているのではないか、討論でもそう言われていたわけでありますが、財政検証の結果、五〇・六%に対して五〇・八%と改善したところでありまして、我々としてはむしろ、改善したところを早く示していただきたかったな、こう思う次第でございます。

 また、大甘ではないか、こう言われていますが、大甘ではありません。例えば、TFPの上昇率は、前回ケースのA―Eについて言っても、比べてみれば、一・八から一・〇のやつが一・三から〇・九と、厳し目で見ています。賃金上昇率も、二・三から一・三%のやつを一・六から一・一%。これは、経済成長と労働参加が進むケースでそれぞれ見ております。また、経済成長と労働参加が一定程度進む、進まない、そういうケースで見ても、むしろ控え目な前提を置いているということでございますから、今事実を申し上げているところでございます。

 そこで、在職老齢年金について今お尋ねがございましたが、在職老齢年金制度については、人生百年時代を見据えて、高齢者の就労意欲を阻害しない観点からの見直しが必要と考えており、厚生年金の適用拡大の効果など、年金制度全体の改革の中で、御指摘の年金財政の問題にも留意しつつ、今御指摘になったような、四千億円の財源が必要、こういうことでございますから、年金財政の問題にも留意しつつ、検討を進めていく考えでございます。

○小川委員  やるんですね。検討して、やるんじゃないですか、これ、年末に突貫工事で。

 これは厚生労働省の年金部会で議論された資料ですが、山田先生の社会政策学会での報告を資料として出していますよね。その中では、六十五歳から六十九歳では、この在職老齢年金、つまり年金がカットされていることで就業抑制効果を確認できないと明記しているんですよ。

 それから、内閣府が昨年の七月に出した、これは統括官の報告書ですけれども、六十五歳を超えると、六十四歳以下とは金額が違うんですよね、制度が違うんですよ。より高目に設定されてある。だから、年金停止の対象となる場合は限られており、この制度がなかったと仮定した場合の就業確率と現行制度の確率の差は小さいと結論づけているんです。つまり、ほとんど関係ないんですよ。

 ただただ、これは中高所得者層、しかも、老後ですから、現役世代よりはるかに上回る収入のある高齢者です、に年金を増額し、そして、そのツケを、もう今、低年金、無年金の方はたくさんいらっしゃいますよ。六十五歳以上の生活保護も三倍にふえている、この三十年で。ほかの世代は変わっていないのに。この傷んだ基礎年金の中で、そういう状況の中で、この高額所得者を更に優遇する在職老齢年金の見直し、これはぜひやめるべきではありませんか。

○加藤国務大臣  先ほどこのスライドをお出しになられたと思うんですけれども、これはある意味では、この分だけへこませてほかの方の部分を上げているというのがこの在職老齢年金の実態だということを、まず一点申し上げたいと思います。

 それから、確かに今挙げられた山田さんの分析はそのとおりであると認識しております。ただ、私どもは、厚労省が年金制度に関する総合調査というのを二〇一九年にやりましたけれども、そこでは、六十歳代の第二号被保険者のみを見ると、二号ですから働いている人ですね、年金額が減らないように収入が一定の額におさまるよう就業時間を調整しながら働くと回答した人が六十五から六十九歳でも約四割を占めているという実態があるということ。

 それから、先ほどちょっと申し上げましたけれども、これから六十五歳以上の就労を伸ばしていく、やはり一番いいのは、正規でこれまでと同じように伸ばす、まさに定年制の延長とか廃止ということになってきますよね。そうすると、今申し上げたように、これは就労所得、働いた所得だけで調整される、不動産所得とか金融所得とか、これは調整されていない、こういう問題もあるわけでありまして、その辺を含めてしっかり議論していく必要があると思います。

○小川委員  それは論理のすりかえでしょう。それは、総合課税とか、まさにやらなきゃいけないですけれども。

 働いている人に関して、現役世代も今困っていますよ、それは比較的。現役世代より収入の多い方々ですよ。その方々に、十万円、年間百万円年金を乗せ、そして、それ以外の低年金者、残りの九九%から一様に年金を減額する、これは社会的に極めて不公平でしょう。そういう指摘は報道各社の論説にもありますよ。高額者を優遇し、そして中低所得者にそのしわ寄せを回すような年金改革、これはぜひやめてください。

 具体的に厚生労働委員会でまた議論したいと思いますが、全世代型社会保障改革会議、看板は随分大きいですが、総理、まだ次の会議も内容も何も決まっていないんだそうですね。そして、年内に中間取りまとめなんて言っているそうですね。極めて乱暴な突貫工事をやるんじゃありませんか、これは。

 この高齢者高収入者優遇は、私たちとしてはまかりならぬと思っています。しっかりこれは厚生労働委員会含めて議論をさせていただくことを申し上げて、ひとまずこの質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

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