民主党 衆議院議員 小川淳也
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〜会議録(2019年2月25日予算委員会)〜

○小川委員  立憲民主党・無所属フォーラムの小川淳也です。

 週末、いろいろなことがありました。

 皇室においても、大変節目の週末となりました。

 そして、キーンさんも亡くなられたということで、御冥福を祈りたいと思います。

 そして、大きな出来事として、沖縄県において県民投票が実施をされ、圧倒的多数が辺野古に対する反対意見を表明いたしました。

 まず、総理にこの受けとめをお聞きしたいと思います。

○安倍内閣総理大臣  沖縄に米軍基地が集中する現状は、決して是認できるものではないと考えております。沖縄の基地負担の軽減は、政府の大きな責任であります。今回の県民投票の結果を真摯に受けとめ、今後も基地負担の軽減に全力を尽くしていきたいと考えております。

 住宅や学校で囲まれ、そして、世界で最も危険と言われる普天間基地、普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは、絶対に避けなければならないと考えております。これは地元の皆様との共通認識である、こう思っております。

 普天間の全面返還については、日米で合意をしてから既に二十年を超えた。今もなお返還が実現しておらず、もはや先送りは許されない、こう考えております。長年にわたる地元の皆様との対話の積み重ねの上に、これからも御理解を得る努力を続けて、普天間飛行場の一日も早い全面返還の実現に向けて全力で取り組んでいく考えでございます。

○小川委員  この後、枝野代表が質問に立たれますので、ぜひお譲りをしたいと思いますが、私どもとしては、一旦工事を中断し、民意を体現する玉城デニー知事と、真摯に沖縄県民の気持ちに寄り添って話し合われることを求めていくことになろうかと思います。

 それでは、統計不正に関連して御質問いたします。

 まさに、先ほど、伊藤委員がおっしゃいました。賃金はバーチャルで上がっても意味がないわけです。リアルに上がらなければ、国民生活にとっては何のいい影響もないわけです。

 申し上げたとおり、一七年から一八年は、ウエート補正を無視して、ローテーションに切りかえ、三倍補正を行い、日雇を外し、四段重ねでかさ上げした結果、それまでの五年間で一・四%、一二年から一七年まで、五年間で一・四%しか伸びていないものを、わずか一年で一・四%まで伸びている。これはバーチャルじゃないか、そして、その経過は適正だったのか、こういう観点から質問をしているわけです。

 午前中、与党の、まさに与党質疑かくあるべし、よくすり合わせ、よく与党側、政府側の主張を盛り込んだ、いいものを見せていただけた。本当に感謝、勉強になりました。そういう説明が、一体、国民に通るのかどうか、お聞きをしてまいりたいと思うんです。

 ただ、その前に、私、率直に、委員長、メールが出てきたことは、やはり国会の一つの機能を果たしたと思います。委員長、与野党の理事、根本大臣、そして、官房長、統括官を始め、私は、このメールは出したくなかったと思いますよ、しかし、こうして出していただいたことには敬意を表したいと思います。

 組織は揺るぐんですよ、これによって。しかし、組織を揺るがしても、こういうことを積み重ねることで、社会は揺るぎないものになっていくんです。一方、財務省はこの間、出しませんでしたよね、国有地の処分に関して。出すものを書きかえて出した、組織を揺るがせないため。こういうことは社会を揺るがすんです。

 そして、あの事件では、この矛盾に耐えかねた人間が一人亡くなりました、財務省内で。そして、麻生大臣は今も、何事もなかったかのように、一見、その席に座り続けておられる。そして、それを許しているのは安倍総理であります。

 こういう政権体質全般としっかり関連づけながら、今回の真相究明を果たしたいわけであります。

 ぜひ、メールの中身について、御存じない方もいらっしゃると思いますので、総理、まずこのメール、お読みいただけましたでしょうか。

○安倍内閣総理大臣  私は読んでおりません。ざっと説明を受けております。

○小川委員  それでは、少しあらましを追わせていただきたいと思います。

 この一連の問題の経過と、そして発信されたメールの時期、さらにその内容をポイントだけ整理いたしました。

 三月に、中江秘書官から、姉崎氏に問題意識を伝達したところから全てが始まります。六月に、厚労省が異例の検討会を立ち上げます。八月には、第五回の検討会で、現行の方式である総入れかえが適当だという素案をまとめました。明けて九月の三日、賃金に関して総理が国会答弁をしておられる。翌四日に、担当職員は研究会の阿部座長にメールをしました。現在、検討会での検討結果等について官邸関係者に説明している段階だというメールでありました。

 四日後の九月八日、今度は同じ職員から再度、座長にメール。これは少し中身がわかりにくいんですが、要するに、第二種事業所、これは小規模事業所です、小規模事業所については既にローテーションを採用していますので、それも記述した方がよいとの座長からの意見に対し、部内で検討した結果、この小規模事業所でローテーションを採用していることが、第一種、中規模事業所でもそれを採用しろという意見が出る可能性があるので、あえて記述しないという整理にしたい、これは上司たる姉崎部長の意向でありますと、はっきり書かれているわけであります。

 総理、いらっしゃらないですね。速記をとめていただいてもいいですか。

○野田委員長  いやいや、続けてください。私が総理の申出を許可いたしましたので、私に指揮権があるので、続けてください。(発言する者あり)公平にやっています。とにかく質疑を続けてください。私の指揮で進めておりますから。私が許可を出しましたから、総理の御退室は。

 戻っていらっしゃいました。どうぞ続けてください。

○小川委員  続けます。

 この八日の時点で、姉崎部長は、ローテーションに切りかえろという意見すら出てくることを恐れて、それを誘発しかねない記述は削除するという整理をしているわけです。

 ところが、六日後の十四日、姉崎、そして総理補佐官である中江さん、両者が午後早い時間に面会し……(安倍内閣総理大臣「秘書官」と呼ぶ)秘書官が、ごめんなさい、そして、確認したところ、その日の十四時〇一分、まだ厚労省のファイルでは、従前の総入れかえ方式が適当だという結論が書かれていることが確認されています。

 この前後に恐らく、姉崎部長から担当者に指示があったんでしょう。急いで担当者は、十六時八分、三たび、阿部座長にメールをし、委員以外の関係者と調整する中で、部分入れかえに切りかえるべきだという意見があった、御存じのとおり報告書案では既に総入れかえ方式が適当との記載を予定していた、したがって、次回、もうこれは二日後なんですが、第六回では報告書の案ではなく中間整理とさせていただきたい、あわせてサンプルの入れかえ方法については引き続き検討と記述する予定である、このため検討会も、引き続き行う予定である、検討会開催前の突然の方針変更で御迷惑をおかけします。

 さぞいたたまれない気持ちでこの担当者は、姉崎部長からの指示を受け、座長に、おわびとともに変更を伝えました。当日の、確認されている限り、二十二時三十三分、厚労省内のファイルでは、入れかえ方式を、既に決まっていた総入れかえから、引き続き検討と書きかわっていたわけであります。

 一連の経緯並びにメールの内容、そして日時、時刻を照らし合わせば、姉崎さん、端的にお聞きします、あなたは当初、ローテーションサンプルへの移行に対して消極的、否定的な考え方を持っていた、しかし、九月十四日、面会を求められた、あるいは求めたか、中江総理秘書官と面談し、その場で、コストの問題だけではなく、さまざまなことを検討し、調査方法を変更すべきだという問題意識の示唆を受けた、これを受けて、急ぎ、担当の職員に変更を指示し、そしてそれが以後のメール、ファイルの書きかえ、当日の研究会の結論へと至った、誰が考えてもそういう経過だと思いますが、姉崎さん、認めてください。

○姉崎参考人  お答えをいたします。

 先ほども申し上げましたけれども、私は、コストや事務負担の問題等々を除けば、部分入れかえ方式に反対という立場ではございませんでした。

 それから、私の修正の指示は、私の記憶で、申し上げたとおり、九月の十一日の夜か十四日の朝に担当の補佐に指示をしたということでありまして、総理秘書官から指示を受けてそういう指示をしたということではありません。

 それから、総理秘書官のところへは十四日の午後の早い時間にお伺いしたということですけれども、総理秘書官からは、コストの問題というよりも、経済の実態をタイムリーにあらわすという観点からは部分入れかえ方式ということもあるのではないかというコメントをいただいたということでございます。

○小川委員  そういう説明について、これは私が言っているんじゃありません、ある報道の社説のくだりを紹介しますね。「報告書の書き換えは面会の前に部下に指示してあったとして、秘書官の影響を否定した。誰がそんな説明に納得するだろう。」これは、私が言っているんではありません、報道の社説であり、多くの人がそう感じているわけであります。

 では、一つお聞きします。

 部下に指示したのは十一日か十四日なんですね。それすら思い出せないのに、なぜ、中江さんに会う前だったということだけは覚えているんですか。

○姉崎参考人  お答えをいたします。

 それだけを覚えているということではなくて、私の記憶の限りではそうだったということでございます。

○小川委員  十一日か十四日か思い出せない、しかし、確かに、中江さんに会う前だった、それだけは覚えているんですね。

○姉崎参考人  お答えをいたします。

 それは、総理秘書官から特段の指示をいただいたということではありませんでしたので、私は前に言ったというふうに思っているということでございます。

○小川委員  では、具体的に答えてください。

 この時期、メールによると、いいですか、あなたの部下は真摯に仕事をしていますよ、メールを見る限り。その部下の名誉にかけて、部下が何か取り違えたんじゃないかとか、あなたの意向と違う仕事をしていたんじゃないかなんという答弁は許されない、役所の担当官としての誇りにかけても、人道的にも。若い人ですよ、将来のある人だ、何かこの人が不正確な仕事をしたかのような答弁は許されませんよ。

 その前提で答えていただきたいんですが、では、十一日か十四日の朝、どういう具体的な指示をしたんですか。結論を書きかえろと言ったんですね。

○姉崎参考人  両論併記にするということで、総入れかえ方式だけではなくて部分入れかえ方式も、両方とも検討する、統計委員会の議論を踏まえて、断定的にはせずに両方とも検討する、こういう趣旨で直すということで、結論の部分もそういうふうに直せというふうに指示をしたんだというふうに思います。

○小川委員  曖昧な言い方。だんだん自信がなくなってきているじゃないですか。

 この時期、まさに、このメールによれば、担当者は委員にいろいろと意見を伺っているんです。それを反映する努力をしているんです。そのさまざまな記述について、あなたと議論している可能性はあるし、その中であなたが何らかの指示なり指導した可能性もある。それをもって十一日か十四日の朝だと、もしおっしゃっているとしたら、私たちが聞いていることをはぐらかし、ごまかしている答弁ということになる。

 私たちが聞いているのは、結論の書きかえを具体的に指示したのはいつだということを聞いているわけですから、それに忠実にお答えをいただかなければならない。

 それでは、今、おっしゃいましたね、統計委員会に備えて両論併記にすべきだと。あなたは自分の判断として判断したということでありますが、先ほど、部分入れかえの意見すら出てくることを恐れて、中規模事業所、小規模事業所に関する記述を削除せよという指示をした。そのことは指摘したとおりです。

 では、聞きます。

 あなたは、九月十六日、検討会の最終回に結果としてなりました、中間報告の整理案について、担当の久古谷課長が、このように述べています。次のサンプル入れかえを総入れかえにするのか部分入れかえにするのかについては、もう少し検討したいと思っておりますと担当課長は述べた。

 そのすぐ後に、当時の永濱委員は、次の変更のタイミングがいつになるかという情報は関心が高いので追記すべきではないかと発言をした。

 これにかぶせる形で、その直後です、姉崎部長は、次いつ変更するかという情報は重要ですが、サンプル入れかえについては、総入れかえ方式ではなく、部分入れかえ方式を検討したいと思っており、と。

 腹をくくっているじゃないですか。腹を固めているじゃないですか。十四日の時点で、あなたの腹は固まったんだ、中江さんからの問題意識の示唆を受けて。両論併記、統計委員会に備えて、そんなきれいごとは通用しない。議事録を見れば、あなたは明確に、総入れかえをやめて、部分入れかえにするんだと断言しているじゃないですか。

 答弁は虚偽だ。説明してください、矛盾を。

○姉崎参考人  お答えをいたします。

 今、小川委員から御質問いただいた点につきましては、金曜日の日に、大串議員からも聞かれた点と同じかというふうに思いますけれども。

 それで、第六回目の議事録、今、先生がお示ししていただいたのは途中のところですけれども、大串先生からの質問にお答えしましたけれども、議事録の一番最後のまとめですけれども、要は、統計委員会における未諮問基幹統計の確認作業に向けてということを踏まえて、先ほど申し上げましたとおり、サンプルの入れかえのローテーション方式のことについても検討させていただいてというふうに、こういうふうに述べておりまして、私の真意は、総入れかえ方式と部分入れかえ方式と両方とも検討するというのが真意でございまして、前半のところはこのような記述にどうもなってしまっておるんですけれども、私の結論は、議事録の一番最後に出てくる、ローテーション方式のことについても検討させていただきたいというのが私の真意でございます。

○小川委員  担当課長の発言を慌てて覆いかぶせたかのような発言が続いているわけです。

 では、聞きますよ、藤澤統括官。

 この九月の報告会が終わった後、十二月に統計委員会での審議が始まっていますね。これも何度も指摘しますが、通常、統計法は申請主義なんです。各省から、統計のかくかくしかじかは改めたいので審査してほしいというボトムアップの申請主義なんです。しかし、この勤労統計は、統計委員会から、あんたたち、長らく諮問していないから、諮問は受けていないけれども俺たちから変えろと言うぞとトップダウンでやっている、そういう手続をとられている。

 統括官、今、姉崎さんが言ったように、本当に両論併記で統計委員会にかけたんですか。

○藤澤政府参考人  平成二十七年十二月十一日に、第六十五回統計委員会基本計画部会が開催されております。そこで、当時の厚生労働省の担当課長の発言でございますけれども、「労働者数の基準数値の更新を伴う入れ替えのときも同様です。過去の前年同月比の改訂をしない以上、八ページの方法が適当と考えております。特に、今、取り入れようとしております部分入れ替えであれば、標本入れ替えの際のギャップが小さくなることが期待されますので、あえて過去の指数を補正することはせずに八ページの方法が適当とも考えられるわけです。」という説明を行っております。

○小川委員  もう正直にやりましょう。

 ローテーションサンプリングに変更できないかと提出資料に書いているじゃないですか、統計委員会に。そして、全数入れかえの利点、あるいはローテーションサンプリングに対する慎重意見、どこにも出ていないじゃないですか。結論ありきでやっているじゃないですか。

 その伏線を引いたのは、姉崎さんだ。そして、後任の小川統計部長は、経緯も方針も全て聞かされて、結論ありきでこのトップダウンの統計委員会の審議に臨んでいる。

 したがって、繰り返しますが、何だか非常に言い逃れの上手な方だなとは思いましたよ、先週から、姉崎さん。しかし、このさまざまな、時系列なりその後の統計委員会での議論を見る限り、あなたの説明は通らない。

 委員長、これは、余りこういう不確かな、不誠実な答弁が続くようであれば、姉崎さんに関しては、私は証人喚問に切りかえる必要があると思います。ぜひ理事会で協議してください。

○野田委員長  後刻、理事会にて協議いたします。

○小川委員  では、最後に、姉崎さんにお聞きします。

 官邸に厚労省出身の横幕参事官がいらっしゃいましたね。九月四日のメールによると、官邸関係者には説明している、もっと言えば、恐らく頻繁に連絡をとり、定期的に意見交換していたと思われます。

 横幕さんとはどのような頻度で、あるいはどのような内容を協議していたのか、その答弁を求めます。

○姉崎参考人  お答えをいたします。

 横幕参事官とのいろいろなやりとりというのは、当時の担当課長の方でされていたと思いますので、私は、横幕参事官と直接いろいろなお話をしたという記憶はありません。

○小川委員  それでは、当時の担当課長についても参考人招致を求めます。

○野田委員長  後刻、理事会にて協議いたします。

○小川委員  時間の制約もありますので、中江さんにもお聞きいたします。

 このメールが出てきまして、いろいろ政府・与党側にも言い分はあるでしょう。しかし、疑惑が深まっていることは事実であります。

 中江秘書官、十四日の午後早い時間に、姉崎さんと面会した記憶は戻っていないんですね、まだ。

 では、一応お聞きしましょうか。どうぞ。

○中江参考人  お答え申し上げます。

 まず、その前に、委員がきょうの資料をお示しになられて、この問題は三月に私が問題意識を伝えたところから始まったというふうにおっしゃられましたので、そこは私も一言お話しさせていただきたいと思います。

 私は、何か悪いこと、不正なことをしたわけではないということを、この際、はっきり申し上げたいと思います。

 私が関係しておりますのは、統計委員会が最後に認められたサンプリング変更のことでありまして、十五年間続いていた違法な統計処理の問題とは違う、このことは、まずはっきりと明確に申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)

○野田委員長  御静粛に。御静粛にしてください。

○中江参考人  それで、サンプリングを全部一度に入れかえるか、一部ずつ入れかえるかというのは、不正でも何でもなくて、政策の話です。どちらが統計として間違っているということではなくて、どちらの方法がより適正か、どちらを選択するかという議論だと思います。そのことは申し上げておきたいと思います。それで私は問題意識を伝えました。

 それで、直接の、九月十四日の件を御質問いただきました。

 それで、先週の金曜日、姉崎部長の答弁も聞いていて、姉崎元部長の顔も見て、声も聞いて、更に自分でも当時の総理の動静をネットで調べて、そのころ何が起きていたか、あるいは九月というのはどういう時期だったかとか、いろいろ自分なりには調べてみました。

 ただ、そこは、本当に、姉崎さんが宮野さんと二人で来られて私にお話をされたということは、どうしても思い出せません。ただ、思い出せませんが……(小川委員「それだけで結構」と呼ぶ)それでよろしいでしょうか。

○小川委員  残念です。

 それで、総理、ぜひ聞いてください。今、中江さんが主張されたことは、このテーマの極めて重要な論点なんです。なぜ私どもが官邸の関与を問題視しているかということについてです。

 これは非常に口幅ったいことになりますが、民主主義の仕組みがあり、そして法治国家の仕組みがあります。そして、政府の担当官は全て、法律に基づく権限を、職務権限を行使しています。これには当然、表裏一体のものとして、説明責任と結果責任を負うことが決まっています。これによって手続の透明性を確保し、そして結果の妥当を期す、これが民主主義であり、法治国家が前提としている価値なんです。

 ところが、安倍政権になって、特に二〇一五年ごろから、国有地の処分、学校法人の認可、統計制度の変更、全てにおいて、本来、職務権限がないはずの総理秘書官が暗躍しているケースが目立つようになった。しかも、これは、重大な影響力を持っているにもかかわらず、関与を否定し、うそをつき、ごまかし、その事実をないものとしようとしているかのような答弁が多い。

 これは、彼らは権限がないんですよ。ということは、責任を負わない人たちなんです。責任を負わないにもかかわらず、事実上の影響力を行使して、さまざまな処分に影響力を発揮し、政策の変更に口を出して介入している。このこと自体が民主主義なり法治国家にとっての脅威だ、挑戦だという意味で、問題視をしているわけです。

 したがって、今、何か、ローテーションにするかどうかは政策の問題だとおっしゃるが、手続の適正を期すことがこの国の社会の前提なんです。不透明な介入や政治的影響力を、責任のない、権限のない人たちが事実上行使することは、大問題だと言っている。そういう前提で聞いているわけです。

 中江さん、もう一つ質問です。

 総理に報告していない、意見を聞いていないという答弁、何度もありました。

 今井秘書官には、いかがですか。

○中江参考人  お答え申し上げます。

 私は、これまでのこの委員会での御答弁で、私が秘書官個人としての考えを伝えたというふうに御答弁申し上げております。

 それで、その厚労省とのやりとりについては、総理には報告しておりませんということを申し上げております。今井秘書官にも報告はしておりません。

 総理秘書官は、担当する分野、政策について各省庁から説明を聞いて議論することは常々あります。議論する中で個人的な見解を伝えることも往々にあります。

 個人的と申し上げてきた意味は、総理やその他の官邸の幹部と打ち合わせた上で申し上げたわけではなくて、すなわち、総理の指示とかほかの秘書官の指示ということではなくて、私の単独の意思で申し上げたという意味であります。もちろん、公務の一環です。

 それで、総理説明がその後必要になるかどうかを見きわめるためにも、あらかじめ説明を受けるのはいろいろあることです。

 私は、もちろん、総理の秘書的業務を行う、従事する総理秘書官室の一員ではございましたけれども、担当する政策の一つ一つについて、総理の御指示を受けていたわけではございません。(発言する者あり)

○野田委員長  傍聴席からは御静粛に。

○中江参考人  私が書いた原稿を説明させていただいております。

 総理の指示を受けずに、各省庁から説明を聞いて議論する中で個人的な考えを伝えたということでありまして、何ら問題であったとは考えておりません。

 それから、先ほど、私のことを指されたかどうかわかりませんが、うそをついていたというふうな御発言をいただきました。もちろん、委員会での御発言ですから、私はそれについてとやかく申し上げませんが、心の中で、ん、と思ったことは申し上げたいと思います。(発言する者あり)

○野田委員長  皆さん、御静粛に。

○小川委員  皆さん、余りにも都合よく、都合が悪い日の記憶をなくされますからね。それはうそじゃないかと……(発言する者あり)

○野田委員長  静かにしてください。

○小川委員  私のみならず、思う人は多いと思います。

 では、もう一つ、今、中江さん、重要なことをおっしゃったので、そこをちょっと論点にさせてください。

 これも、一部報道を引用しながら、総理にお聞きします。

 総理秘書官というのは、一体どういう職責なのかという報道についてです。

 かつて小泉政権で秘書官を務めた小野次郎さん、言動は首相と一体とみなされると言う、当時の小泉首相は、小野次郎の耳は小泉の耳と言った。

 総理にお聞きします。中江の耳は安倍の耳ですか。

○安倍内閣総理大臣  私も、官房副長官として小野さんと一緒に仕事をしたことがありますが、小野次郎の耳は総理の耳なんて、聞いたことありません、正直言って。私も官邸の主要なメンバーでしたが、そんなふうに感じたことは一度もないということは、申し上げておきたいと思います。

 それと、小川さん、先ほど、総理大臣秘書官というのは何の責任もないと。そんなことはありませんよ。総理大臣を支えるという、とっても大切な責任があるんですよ。その使命感のもと、夜遅くまで働いていますよ。それが全く責任がないかのごときの言動というのは驚くべき発言であって、民主党政権時代の秘書官ってみんなそんなおつもりだったんですかね。ということを申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)

○野田委員長  静かにしてください。

○安倍内閣総理大臣  それと、大切なことなんですが、先ほど、中江秘書官が発言いたしましたが、では、この問題はどうなのかということであります。他の問題ととにかく混同させようとしているような意図を私は感じているということを申し上げるつもりはありませんが、皆さんが、しかし、それはイメージを重ねようとしているんだろうなと思います。

 しかし、今までのことについても、いわば私が関与したということは全くないわけでありまして、それはもう極めて明確になっているじゃありませんか。むしろ、極めて明確になっているんですよ。

 それと、では、この問題について、三点いわばポイントがあると思いますよ。

 まず、いわば不正な、適切ではない調査とかかわっていたかどうか。これは全く関連がないということは明確ですよね。別の問題です。

 もう一つ。では、結論が悪い方向に行ったのかどうか。それはまさに政策判断です。これは、阿部委員長も日経新聞のインタビューに対して、「統計の精度を改善するための意見」だったとの感想を述べておられます。そして、「前年比で上振れさせるような政治的な意図は感じない」と、阿部座長は述べておられるわけであります。ここからももう既に明らかになっているんだろう、こう思いますが、これは決してアベノミクスを上振れさせるためのものではない。

 つまり、三年間上振れがたまっていくよりも、一年一年、半分サンプリングでかえていった方が、それはよりタイムリーになるわけですよね。例えば、今やったものが三年後に改定されるのであれば、今やったものが不確かなものとなっていくわけですよね、三年間。三年後にいきなり修正、遡及的にそれは修正されてしまうわけでありますから、一年一年にギャップを修正していく方がいいんじゃないですか。それ、高く見せるんですか。高く必ずしも見せていないだろう、こう思っています。

 つまり、まさにそれは、政策的な判断について当時の中江秘書官が感想を述べられたんだろう、こう思います。

 そうして考え方を述べることがいいことか悪いことか。あそこで笑っておられますが、笑っている問題じゃないと思いますよ。先ほど来、中江秘書官の人格を否定するようなことをずっと言っておられるじゃないですか。うそつきだとか。そういう人格を否定しておられることをずっと言っておられるんだったら、これぐらいの反論は、私は、元上司としてはさせていただきたい、こう思っているんですよ。

 三点について、ポイントについてはそう述べさせていただいたところであります。

○小川委員  中江さん、ごめんなさい。もし、責任が軽いとか、重くない仕事だと受けとめられたのなら、おわびします。総理、そこは、もしそうとられたなら、私は率直におわびします。

 ただ、誤解なく。私が申し上げているのは、行政は法律上の職務権限についても行使されているということを申し上げています。したがって、職務権限を保有しない者が、事実上、横やりを入れたり、圧力をかけたととられかねないような言動は慎むべきだと申し上げている。なぜなら、その人は説明責任と結果責任を負わないからです。ということは誤解なきように、総理にもぜひお伝えをしたい。

 加えて、私たちは、イメージ操作しているというより、出てくる事実を折り重ねるとそういう印象になるじゃないかと言っているわけです。それも総理は誤解しておられる。

 更にもう一点、総理、今重大なことをおっしゃりかけたんですが、内容がよければ手続はいいじゃないかととられかねないような御答弁を今おっしゃった。私が問題にしているのは、そこなんですよ。まさにこの民主主義の仕組みというのは、手続の適正を期すんです。手続の適正を期すことで、結果の妥当、内容の妥当を期そうとしている制度なんです。したがって、出てきた結果がいいんだから、例えばですよ、いいにしてもです、仮に、いいんだから、手続はどうか、少々紆余曲折しようがいいじゃないかというお考えがあるとしたら、これは根本的にこの国の仕組みを誤って理解しておられる。そのことはぜひ指摘したいと思います。

 二点目、お聞きします。

 これは、東大の名誉教授の醍醐先生だそうです。秘書官の行動は総理の意向と受け取るのが普通で、今、中江さんがおっしゃったように、仮に秘書官の一存なら総理の監督責任が問われるという指摘がありますが、これについてはいかがですか。

○安倍内閣総理大臣  結果がよければ手続は関係ないということは、私は全く言っていないのであって、先ほども三点ありますよと言って、これはまさに、不適切な調査とかかわりはあるか、ありませんね、これは共通認識ですよね。そして、結果については政策判断、ややいいという感覚をお持ちかもしれませんけれども、ここは大体認識一致。

 私、もう一点申し上げたはずであって、秘書官が意見を言うのがどうかということについては、政策的な意見を言うのが、これは当然そうなんだろうと。例えば、中江秘書官が、それは……(発言する者あり)

○野田委員長  お静かにしていてください。

○安倍内閣総理大臣  阿部座長等々にこうしろとか、あるいは厚労省に対してこうしろと明確な指示を出していたんだったら別ですよ。そうではなくて、いわば意見を言ったということは、先ほど、阿部座長の感想、だから私は引用させていただいたんですよ、阿部座長の感想を。(発言する者あり)いや、違う。阿部座長の感想を認めているわけであって、それは、阿部座長と中江さんのやりとりではなくて、阿部座長の感想を述べておられるわけで、たとえそうであったとしてもということで述べておられるわけでございまして、つまり、プロセスにおいても、私はそれは、結果がよければプロセスがどうであってもいいということではなくて、プロセスにおいても私は問題がなかったのではないか、こういうことであります。

 秘書官がいろいろな、別に、私が一々指示して秘書官が動くのではなくて、秘書官はみんな大体見識を持っている方々ですから、その方々がそれなりに自分たちの見識の中でさまざまな判断をしていく、それで政策を今この六年間やってきているわけであります。それでなければ政府というのは回っていかないわけであって、一々、政治クラスが、政治レベルが細かい指摘、サンプリングを半分かえたローテーションをやった方がいいかどうかということをまず私が言うわけがないし、第一、二〇一五年というのは、平和安全法制の審議をしていて、九月、私、千問の質問を受けていて、そこでいかに大変だったかというのをみんな見ていますよ。そこでサンプリングなんという話を一々しますか。もう当時は徹夜に近いわけですから、みんな。

 ということで、これは冷静に考えて、ここは皆さん冷静に判断していただいて、みんな役所から出てきていますが、みんなでやじりまくって威圧感を与えるということをやめて、冷静に答弁するという環境をつくる協力も、ぜひ、私も元上司としてお願いをさせていただきたいな、こう思う次第でございます。

○小川委員  総理、平和安全法制をやっているときだったから、支持率も下がるから、賃金を始め、ほかで成果が欲しかったんでしょう。

 申し上げましたよ、統計も森友も加計問題も、このまさに二〇一五年なんです。意見を言うぐらい、いいじゃないか、いや、それはそうかもしれない。しかし、そこには前提があって、どれくらいその意見が相手にとって重いかという自覚なき意見は、非常に認識が不適切であり、不足だと思いますよ。

 もう代表の御質問が控えていますので、これでやめますけれども、やはり、まずとにかくメールが出てきたことは非常に大きかったと思います、国会として監視機能を果たした。そういう意味では、関係者に心からお礼を申し上げたい。

 しかし、次なる説明ぶりが果たして納得できるものだったか、メールを前提に、これは更に審議が必要でしょう。

 同時に、やはり私どもも照準を少し修正しなければならない部分があると思うんですが、中江さんがどの程度、今井さんとやりとりしていたのか、今井さんが総理とどの程度やりとりをしていたのか、ぜひ、今井秘書官の参考人招致を求めて、質問を終わりたいと思います。

○野田委員長  後刻、理事会にて協議いたします。

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