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〜会議録(2019年2月12日予算委員会)〜

○小川委員  立憲民主党・無所属フォーラムの小川淳也です。

 先週に引き続いて、統計不正の問題についてお尋ねをしたいと思います。

 先週の質疑に対して、本当に多くの御意見また反響をいただきました。これは全部そうなんですけれども、もう数えられないぐらい。それは私、なぜだろうと。統計不正の問題もさることながら、その背景にこの政権の体質があるという指摘に対して、多くの有権者、国民が、その不安なり、もっと言えば脅威を共有していただいているということだと私は受けとめました。

 その前提で、これは手を緩めずにお聞きしたいと思っています。

 官房長官、今会見で外されているようですので、戻り次第、官房長官にお聞きしたいことをお聞きするんですが、きょうはちょっと、勤労統計そしてGDPと改めて追跡をしたかったんですが、職責上、これも大事な務めでありまして、まずは大西前統括官に、この間の経緯確認、簡潔にさせていただきたいと思います。

 ちょっと時間の都合もありますので、二、三まとめての質問になることをお許しいただきたいと思います。

 前統括官にお聞きします。

 あなたの前任である酒光統括官は、この統計不正を知っていました。あなたの着任は昨年の七月でしたね。酒光統括官からの引継ぎは本当になかったのか。

 そして、翌八月、着任早々でしたが、統計委員会でこの数字の上振れについて、結果としてうその説明をさせられたことになっています。これは、当時部下だった野地室長は真相を知っていたはずです。ということは、あなたは、着任後、野地室長にだまされて、もし知らなかったとすれば、うその説明を統計委員会でしたということになります。

 酒光統括官から本当に引継ぎはなかったのか、そして、結局、八月には部下である野地さんにだまされたという認識でよいのか。この二点、御答弁いただきたいと思います。

○大西参考人  お答えいたします。

 七月三十一日に着任したときの引継ぎの関係でございますが、毎月勤労統計につきましては、前統括官のときに調査方法の変更等があったわけでございますが、その引継ぎは、私の記憶によりますと、今は落ちついているというお話がございまして……(小川委員「落ちついているというのは、受けたということですか。引継ぎを受けたのね」と呼ぶ)毎月勤労統計については、その一言、今は落ちついているという……(小川委員「不正はあったけれども落ちついている」と呼ぶ)いや……

○野田委員長  ちょっと、小川さん、やりとり、ちゃんとして。

○大西参考人  落ちついているというのを受けまして、それ以上の特段の説明は受けておりません。

 それから、八月の統計委員会のことでございます。

 これにつきましては、私が、この抽出調査につきまして復元をしていなかった、抽出調査であることや復元をしていなかったことを初めて知ったのは十二月十三日でございまして、統計委員会には出席しておるわけでございますが、その時点で抽出調査あるいは復元していないことについては説明を受けておらず、知りませんでした。

○小川委員  今の御答弁ですが、酒光前統括官は知っていたのに明示的に引継ぎをしなかった。ということは、二つのことが考えられます。

 一つは、暗黙のうちに隠蔽する気があった、隠蔽できるだろうと思った。もう一つは、危機管理能力の欠如があった。いずれかであります。

 酒光前統括官の参考人招致を求めたいと思います。

 同時に、上司たる大西前統括官に、真相を知りながら当時の野地室長は、八月の時点でうその説明をし、そのうその説明を統計委員会であなたに強いたことになる、結果的に。

 野地室長そして野地室長の前室長である石原室長、両者の参考人招致を求めます。

○野田委員長  この件につきまして、後刻、理事会にて協議いたします。

○小川委員  大西参考人の言を、この後、信用して、これまでの御発言の上に立って質疑をしたいと思いますが、あなたは、十二月十三日、総務省に説明するに際して、ついに事きわまったわけです。野地さんも、これ以上うそをつけないというふうに観念したわけですね。それで、あなたに正直に状況を告白した。

 しかし、先週の委員会で問題になった点なんですが、十三日に説明を受け、そして宮川厚労審議官、定塚官房長そして総括審議官の三名に、部下である野地室長から口頭で簡易な報告をさせている。十八日にですね。

 ということは、あなたが知ってから十八日の報告まで、五日間の空白期間があります。なぜ、早々に報告しようということにならなかったのか。この時点であなたは事の重大性を見誤ったというふうに私は考えますが、いかがですか。

○大西参考人  委員が今御指摘いただきましたが、十二月十三日に初めて私が本件につきましてお聞きした後、十八日に担当部局の参事官から官房の幹部に御説明申し上げたところでございます。

 そのときのことを記憶を振り返りますと、調査は開始しておったわけですが、その時点でまだ、具体的に、いつからそういうことになったのかとか、あるいは復元についてどういう状況であったのか、そういう状況については、残念ながらよく把握し切れていなかったということでございます。

○小川委員  恐らく事態の把握には時間がかかったと思いますが、それにしても、直ちにまず一報を入れるという判断は、管理者として、私はあり得た判断だと思います。

 翌十九日です。十九日に、今度は、大西参考人みずから、事務次官、そして宮川審議官、定塚官房長に説明をしています。これは、十八日同様、口頭なのか。

 私は、これは必ずしも統計の専門家でない方に説明していますので、しかるべき文書をもって説明したのではないかと思いますが、まずこの点をお聞きします。文書で報告したんですね。

○大西参考人  お答えを申し上げます。

 十九日の説明でございますが、これも記憶によりますと、手持ちの資料を携えて見せた、見せたのではないかと思うのですが、内容についてはさらなる調査が必要であるということを説明した記憶があります。そのときには、もっとしっかり調べるように指示を受けたところでございます。

○小川委員  当時お持ちになっていた手持ちの説明資料の委員会への提出を求めたいと思います。

○野田委員長  後刻、理事会にて協議いたします。

○小川委員  定塚官房長にお聞きします。

 この十九日に、何らかの文書を手渡されるか、あるいは見せられた形で概要の説明を受けたと思います。私は、十八日の報告と十九日の報告は質的に異なると思っているんです。

 なぜなら、十八日の報告は、本来やるべき全数調査ではなくサンプル調査が行われていたという報告でした。したがって、適正に復元されていれば、数値そのものは統計の誤差の範囲内におさまった可能性がある。

 しかし、十九日の報告は、適正な復元がなされていなかったという報告でした。したがって、この時点で、賃金水準の数値が大きく変動することが予想されます。さらに、これは国民に対する保険給付に影響することが予想されます。そして、これに合わせて国民は保険料を納めなければならない。さらに、次年度予算に影響するということが容易に想像できたと私は思います。

 したがって、十八日の口頭報告と、この十九日の補正が行われていなかったという報告は、極めてその重大性において質的に異なるものだという前提でお尋ねしますが、官房長、この説明を受けた時点で、その事の重大性にどの程度気づいたか、気づいていないのか、御答弁ください。

○定塚政府参考人  お答え申し上げます。

 今委員から指摘がありましたとおり、十八日の報告は口頭でございましたけれども、これは、全数調査とすべきところを東京都において抽出調査を行っていたという報告でございました。

 一方で、十九日については、資料を持たれて説明を受けたと記憶をしておりますけれども、今の、抽出調査を行っていたということだけではなくて、抽出調査の結果に必要な統計的処理、すなわち、適切な復元処理を行わずに集計していたということが報告されたということでございます。(小川委員「その重大性の認識は」と呼ぶ)はい。

 したがいまして、抽出調査をしていたということだけではなくて、抽出調査を行えば当然に復元を行うべきということを、復元をしていなかったということで、重要であるということに気がついたわけでございますけれども、ただ、その時点では、どの程度まで復元をされていなかったなど事案の具体的な内容、それから影響がどの程度だということは全く明らかになっておらず、しっかり精査するようにということを指示されたというふうに聞いているところでございます。

○小川委員  その点、前任の野地統計室長は、石原室長から、最大でこの誤差は〇・二%に達するという引継ぎを受けているんですね。ということは、野地さんは、その時点で〇・二内外の誤差があるということを知っていたはずだ。それも含めてあなたたちは、私は聞いていた可能性があると思う。

 十二月二十日に根本大臣に報告が上がるわけですが、この前後の事の重大性に対する認識、そして、当然、その後の危機管理は極めてお粗末と言わざるを得ない。

 そこで、私ちょっと聞きたいんですが、この保険給付への影響や次年度予算への影響に最初に気づいたのは、どこの誰ですか。いつ、どこの誰ですか。

 私の邪推を申し上げれば、これ、財務省なんじゃありませんか。大西参考人、御答弁ください。

○大西参考人  お答え申し上げますが、ちょっと済みません、どこの誰が最初にというのはちょっと、済みません、よくわからないところでございます。

○小川委員  これ、改めて、財務省に一報を入れたのは、いつ、誰が入れたのか調べてください。そして、どの時点で、誰が最初に事の重大性に気づき、その後、予算のやり直しにまで至ったのか。この経過の一覧、メモにして委員会に提出を求めたいと思います。

○野田委員長  後刻、理事会にて協議いたします。

○小川委員  もう一点、今度は賃金構造基本調査について伺います。

 十二月に入管法が改正され、調査対象に外国人を含める必要が出ました。その報告を担当室長から受けた大西参考人は、実際には訪問調査をしなければならないのに、そのほとんどが郵送調査であるという報告を受けた。これに対して、計画と実態を合わせるべきだという指示をされましたね。ちょっと首だけ縦に振っていただければ。はい。

 これは、後に厚生労働省の会見、二月一日です。翌月、一月の二十四日に総務省が総点検を求めているんですね。そこで統計室長は問題なしと回答しています。問題なしとの回答を統計室長が意図を持って報告したのは明らかであり、隠蔽の意図を否定できないと、後に厚生労働省は会見で表明しています。しかし、大西統括官の隠蔽の意図は現段階で不明であり、再確認したいということでありました。

 そこで、お聞きします。

 この十二月の段階で調査方法を変更するように指示したこと自体が隠蔽に該当し、そして、一月二十四日に部下である室長が問題なしとうその回答をしたことをあなたは知っていたと私は思いますが、事実関係を述べてください。

○大西参考人  まず、外国人労働者の調査に関して、郵送調査にするという最初の点でございますが、記憶によりますと、この十二月の、ちょっと日にちを覚えていないんですけれども、下旬にそのような説明を受けておりまして、私は、異なっているという点があるのであれば、郵送調査とするという変更申請を出して対応すべきという指示をしました。

 郵送調査自体については、他の統計にもそういう動きがあるので、その郵送調査自体、悪いものとは当時捉えておりませんでした。

 また、一斉点検のときにつきましては、その十二月の二十四日の当日に室長とちょっと時間的な余裕がなかったのでお話ししてはおらないというぐあいに考えております。

○小川委員  ということは、当日、問題なしと回答したのは室長の独断であり、後に根本大臣が述べておられるんですが、大西参考人は、翌日、二十五日にこれは本来報告すべきことだったと気づいたということであります。

 しかし、追いかけて申し上げますと、その結果公表が二十八日ですから、更に四日間、このこともだんまりだったということにならざるを得ません。

 最後に、賃金構造基本調査の予算について伺います。

 本来、訪問調査をやるという名目で、九千万円の人件費が計上されています。その他もろもろ含めますと、総額で一億五千万円の予算計上がされています。しかし、この調査は約八万事業所に対する調査で、そのほとんど全てが郵送によって行われていたとしますと、単純計算ですが、一事業所当たり約二千円という調査費は、郵送にしては過大ではないかと思います。

 したがって、質問です。この一億五千万円の予算計上は、実態に照らして過剰計上であり、そして、本来費目が違うはずですから、不適切な流用が行われていたのではないかと思いますが、その点について御答弁をお願いします。

○大西参考人  御答弁を申し上げます。

 まことに申しわけございませんが、当時、予算の詳細については確認しておりませんでした。

○小川委員  以上の点について、きちんと、どういう予算計上であり、それがどう使われたか、メモにして委員会への提出を求めたいと思います。

○野田委員長  後刻、理事会にて協議いたします。

○小川委員  それでは、もう少しお聞きしたいこともあったんですが、時間の制約があります。

 官房長官、お帰りなさい。お待ちしておりました。

 統計改革について、私は、この勤労統計が、相当いろいろな議論があって、変更されないという厚労省内の研究会で結論がついたのに、なぜ、その後、統計委員会に議論が召し上げられて、ちなみに申し上げますが、統計委員会は本来、統計法によって申請主義をとっています。各省が申請して初めて統計委員会は審査する。

 ところが、この時期、未諮問審査事項という聞きなれない概念がつくり出されている。つまり、長年諮問していないやつは俺たちから見直しを指示するぞというトップダウンの形式にまでなって、結果として、厚生労働省での研究会をすっ飛ばす形で結論に至っている。

 そのときに、私は、麻生大臣の発言は極めて重い意味を持っていると前回指摘しました。しかし、それは一五年の十月なんです、麻生発言は。一五年の九月には、厚労省は既に研究会を終えている。これが立ち上がったのは六月です。

 そこでなんですが、実は、一三年、一四年の賃金が大きく下振れしたそのデータをとったのは、一五年の一月なんですね。そして、そのデータが公表されたのは一五年の四月なんです。とすると、このデータで下振れが明らかになった一五年の四月から、厚労省が具体的に各方面から意見があると言って不承不承立ち上げた研究会、一五年の六月、四月から六月までの間に何らかの政治的な力学が働いたというふうに想像しています。

 官房長官、一昨日の報道で、厚生労働省の研究会において、ある委員の方が、サンプルを入れかえて数字が悪くなるやり方に官邸か菅官房長官がかんかんに怒っている、激怒しているということで、厚生労働省の職員は当初から相当気にしている。恐らく震え上がったでしょうね。

 官房長官、この四月から六月の間に、厚労省からこの説明を受け、そして、あなたは激怒したという事実があるかないか、お答えください。

○菅国務大臣  私、この新聞記事を見て激怒したいぐらいでした。

 実は私は、官僚に激怒することはありません。これが政治家としての、横浜市会議員当時から今日に至るまで、私の姿勢です。私は官僚と議論します。官僚と闘うときは理論で勝たなければできないということは市会議員のときからよく知っていましたので、そのことを一貫して貫いていますので、感情的に激怒することはまずあり得ない、このことを申し上げたいと思います。

 そして、今の話は、四年ほど前の話でありました。その記事があって聞かれましたから。それで、当時の私の担当秘書官に聞いたところ、厚生労働省から、毎月勤労統計について数年ごとに調査結果に段差が生じることに関して、統計の専門家の意見を聞いて検討する旨の説明を受けた、そういうことのようでした。

 いずれにしても、毎月勤労統計の調査方法の見直しについては、統計委員会を始めとする専門家の検討を経て統計的な観点から行われたものである、このように承知をしています。

○小川委員  官房長官、私も思うんですよ。激怒する官房長官はそんなに怖くない。激怒しない官房長官の方がもっと怖いんですよね。

 これは、ある意味、政治家の先輩として、本当に素直にそう申し上げています。ですから、感情的に激怒したかどうかは聞いていません。当時説明を受け、それに対する官房長官の反応なり意見が厚生労働省にとっては恐らく相当なプレッシャーだっただろうと、その可能性について聞いているわけです。

 委員長、これは今、官房長官がお認めになりましたから、厚生労働省から説明を受けたことは事実ですね。これに関する説明資料なり応答録、厚生労働省における応答録、官房長官からどう言われたのか、この応答録の委員会提出を求めます。

○野田委員長  小川さん、官房長官から。指名します。

○菅国務大臣  今申し上げましたけれども、新聞に出て、私に問合せがありました。四年前の話です。私は全く覚えておりませんでした。それで、当時の秘書官から説明を受けました。その説明によれば、厚生労働省から、毎月勤労統計の数年ごとの調査結果に段差が生じることに関して、統計の専門家の意見を聞いて検討する旨の説明を受けた、そういう説明でありました。

 いずれにしろ、私自身、統計に正直言ってそんなに関心を持っておりませんでした。ですから、専門家から対応する、これはある意味では当然のことだろうというふうに思います。

○小川委員  御自身の立場からはそうおっしゃるでしょうが。

 私、前回以来、官房長官、霞が関の人事権を全権掌握した史上初の官房長官です。史上最大の権力者ですよ、戦後最大の。総理が二番目じゃないかと思うぐらい。(発言する者あり)いや、その自覚がないと、つまり、この間、霞が関で起きている不祥事の数々について、官房長官にその自覚がない限り、根本的には治癒しないんですよ。あなたの表情一つ、目線一つ、言葉尻一つがどれほど影響があるか、霞が関にとって、ということを私は申し上げているわけです。

 もう一点、指摘します。

 最近、この厚生労働省の勤労統計研究会そして統計委員会の委員に対して、官邸官僚が、総理や官房長官の秘書官か補佐官か、あるいはそれを補佐する人たちかが、当時の経緯を余り外でしゃべるなという圧力をかけているといううわさがあります。私も、私だけじゃない、会派内の委員、いろいろと当たって当時の経緯を聞いているんですよ。だんだん口が重くなってきていることはひしひしと感じている。

 これはあってはならないことだと思いますが、官房長官、ここでちょっと指示してください。当時の事実をねじ曲げたり、あるいはうその説明をしたり、あるいは説明すべきことを説明しないなんということは、官邸官僚としては不届きだ、そういうことがあったら俺は厳しく処罰すると、この場で言ってください。

○菅国務大臣  まず、私や官邸からそういう指示をすることはあり得ません。今、霞が関で、何を言ってもすぐ表に出てしまうじゃないですか。言わないことさえ、こういう形で、この国会の場で議論をされるわけでありますから、そこは細心の注意、自制のもとに私は仕事をさせていただいております。

○小川委員  私は、そうであっても、みんながそんたくするんですからと言っているんですね。みんな、そんたくしているんですよ。どうやったら喜ばれるか、どうやったら喜んでもらえるか、かわいがってもらえるか、出世させてもらえるか。そういうことなんですよ。そういう前提に立ってください。

 もう一点、これはどうも、野党ヒアリングでも指摘しているんですが、勤労統計研究会の議事録、佳境に入った一五年の七月、八月、九月だけ、四年たった今も公開されていないんですね。これは一刻も早くやってください。根本大臣、頼みますよ。これは絶対に、一刻も早く出していただきたいと思います。

 もう、ちょっと時間が迫ってきたんですが、中身に入ります。本当は勤労統計の矛盾から、あるいはGDPに至るまで行きたかったんですが、限られた時間で一点だけ。

 今回の、二〇一八年の賃金水準は極めて高いです。その理由には幾つか背景がある。そして、きょうは、その中で一点だけ聞きます。

 根本大臣、日雇労働者を調査対象から外したことは、相当これは二〇一八年の賃金を高く上振れさせていると思いますが、根本大臣、その事実をまず認めてください。

○根本国務大臣  統計調査における労働者等の区分等に関するガイドラインというのがあるんですけれども、これは、そもそも、統計調査のあり方については、総務省において、新たなニーズや社会経済情勢の変化にも留意しながら、統計相互の整合性の確保、向上、こういうことの観点から見直しをしてきたんですよ。そして、そうした中で、常用労働者と臨時労働者の区分については、ここが肝心なところですが、事業所や企業を対象とする統計調査と世帯や個人を対象とする統計調査との間で直接的な比較が困難との指摘があって、統計調査同士の整合性をとるためにガイドラインが策定されました。

 そして、そういう……(発言する者あり)

○野田委員長  根本大臣、簡潔にお願いします。

○根本国務大臣  その結果、今回の定義変更に伴う労働者数の変動は一%以内であると試算しておって、賃金の伸びに与える影響はわずかであると考えるため、常用労働者の定義の変更に伴う賃金の伸びへの影響については試算をしておりません。

○小川委員  問題はそこなんですよ。労働者数について一%の変動があるということは認めている。統計委員会は、この点、かなり懸念していまして、定義変更に伴う賃金等への影響について十分な情報提供を行えと統計委員会の答申の中で書いています。

 そして、私がよく議事録を調べてくることは前回おわかりいただいたと思うんですが、この点は何度も何度も統計委員会の部会で議論されているんですよ。

 そして、ここで幾つか紹介したいと思いますが、ある委員は、この定義変更に伴う評価をしていかないとまずい、急に定義の変更で数字が変わったのか、それとも実体経済の影響で起きたのかがわからない、それは統計としての役割が半減するという指摘をしている委員がいます。

 大体、労働者数で一%、賃金で最大〇・三%考えられますよという指摘があったことは前回御紹介しました。これに対する厚労省側の答弁なんです。厚労省の当時石原室長は、かしこまりました、一六年十一月二十四日、方法論も含めていろいろと検討してまいりますという答えをきちんと言っているんですよ。翌年一月にも言っています。定義変更のインパクトが大きいのか小さいのか、これを示すべきだという問いに対して、石原室長は、かしこまりました、賃金基本構造統計なりを使って評価したいと考えます。

 責任が生じていますよ、これ。根本大臣、今みたいな御答弁じゃだめです。統計委員会の懸念をこういう形で反論して振り切ったんだから、きちんとこの定義変更に伴う影響は試算して国民に示しますと、もう一回答弁してください。

○根本国務大臣  今般の見直しについては、統計調査同士の整合性をとるための見直しを図る中で、平成二十八年十一月二十四日の統計委員会サービス統計・企業統計部会において、雇用契約期間一カ月以内で、前二カ月、十八日以上労働者数の試算や雇用契約期間一カ月ちょうどの労働者の占める割合の試算を行った上で、今回の定義変更に伴う労働者数の変動は一%以内であることなどを説明し、御理解を得たものと承知をしております。

○小川委員  それは誤解だ。

 労働者数の変化率は一%で結構ですよ。賃金はどうなるんですかと盛んに聞かれているわけです。それに対して、こういうことも言っていますよ。もちろん、だから、結局試算しますと言っているんですが、具体的に、二十九年の十二月と三十年の一月で定義が変わるわけですね。その定義が変わるときに、一部企業は定義を変更せずに前の定義で測定しますから、この変化を追えるはずですという議論が議事録の中にある。

 それで、さっき事務的に確認したら、やっていますよ、これ。二十九年の十二月に日雇入りの数を計上し、三十年の一月から本来日雇を抜くんだけれども、三分の一の事業所、最終の、一月が最終である三分の一の事業所では日雇を入れて計算している、数字をとっている。そこから分析すれば明確に推計できるはずだ。大臣、それをやっているんですから、推計してください。

 もう一つ。十二月にここまで言っています。もし、十二月と一月の調査票で、これは石原室長ですが、人数が違っているところがあれば、それは定義の変更によるのか景気の変動によるのかわからないから、電話連絡して調査しますということまで言って委員を納得させているわけです。

 それこれ総じて、統計委員会の委員の認識としては、あらゆる努力を講じてこの定義変更に伴う影響をきちんと国民に知らしめるという前提のもとに承認している。

 根本大臣、もう一回答弁してください、やると。

○根本国務大臣  今、委員がるるお話をいただきました。これについては、この事実関係については、まず確認をさせていただきたいと思います。私も今初めてそこを聞きましたから、そこは事実関係をしっかり確認させていただきたいと思います。

○小川委員  これは、さんざん事務的に何日も何日もやりとりしていますからね。もし、大臣、これ、全く聞いていないということになると、この勤労統計の問題に限らずですが、あらゆることで大臣の把握力なり危機管理能力なりが問われることになりますよ。その前提で慎重に御答弁ください。

 では、私の方から出しますよ、どのぐらいぶれていた可能性があるか。私が試算しました。

 一八年の賃金水準は、上の数字、この間発表になりましたね、三十二万三千六百六十九円、これが公式発表です。しかし、一七年には入っていた日雇が一八年には抜かれている、それがどのぐらい影響するのか。

 いろいろと数字を拾ってきました。下に推計根拠と書いてあります。日雇平均賃金を厚生労働省は実は今から十二年前に調査しているんです、みずから。その試算を拝借いたしますと、月に十四日勤務の日雇労働者の平均賃金が十三万三千円です。しかし、この勤労統計の調査対象は十八日以上勤務する方が対象ですから、これを十八日以上に引き直しますと十七万一千円になります。この賃金水準は〇七年の水準ですから、現在、それから十二年たって、名目でマイナス二・四%、当時より賃金は下がっています。ということは、去年の水準に仮に置きかえるとすれば、十六万六千八百十一円という計算になります。

 全労働者の最大一%が日雇労働者だというのは、厚生労働省がみずから言っていることです。それを前提に、九十九人がいわゆる正社員含めた常用雇用者、一%がここで言う日雇労働者、十八日勤務以上の日雇労働者として数字を合成、試算すると、この赤字にあるとおり、三十二万二千百円。現在の公表値より、もし日雇を入れていれば、千五百円安くなっていた可能性がある。

 ということは、右の数値を見ていただきたいんですが、現在、名目一・四%増、実質でプラス〇・二%というのが対外的な公式説明ですが、これは実態と合っていないんじゃないですか。本当は、名目で〇・九%、実質は何とマイナス〇・三%、こうなると私は試算しました。

 この試算が大筋、あらあら正しいか、あるいはどこかに根本的な認識違い、計算ミスがあるか。根本大臣、どちらでも結構です、大筋この試算を認めていただけるか、あるいはこの推計はかくかくしかじかで間違っていると指摘していただけるか、いずれでも結構ですから、答弁してください。

○根本国務大臣  まず、この定義の変更については、いろいろな統計できちんと整合性をとろうねということで、常用雇用労働者等々の定義をすり合わせた結果で簡素化したということがまず前提にあります。

 それから、今私も委員から説明を受けました。私も確かに大臣をやっておりますけれども、こういう具体的なのは、行政のそこの担当分野の専門家がしっかりと私はこれを見るべきだと思います。

 そして、強いて言えば、あらあら認めろと言われても、私、たった今これを聞いて、やはりここで答弁するには、これを理解した上で答弁しないと、あらあらというのは、私は、統計をつくる側としては、やはりそこはあらあらは難しいなと改めて思います。

 そして、これは精査させていただかなければいけませんが、この小川議員指摘の算定式は、平成十九年に厚生労働省が実施した日雇い派遣労働者の実態に関する調査、これをもとに推計しているものと推察されますが、一カ月以内の有期雇用労働者や日々雇用の者であって前二カ月それぞれ十八日以上働いたもの、これについては、必ずしもここの日雇派遣労働者と同じ概念ではないと思われますが、少なくともこれについてどう認識するか、あるいはどう判断するか、これは先生の推計根拠をここに書かれておりますが、これはやはり、我々もそこは精査しなければいけないと思っております。

○小川委員  それで結構なんですよ。精査して答えてください。根本大臣、精査して答えてくださいよ、これが正しいのか、間違っているのか。精査して答えてください。

○根本国務大臣  これ、私もたった今見せられたんですよ。ですから、それは、後刻、精査して対応したいと思います。

○小川委員  お言葉ですが、大臣、これは朝八時過ぎの理事会に提出しています。そこから、厚生労働省には当然行っているでしょう。それで……(発言する者あり)いや、いいんですよ、ここで直ちにという御答弁は受けとめます。が、日雇労働者の賃金水準がどうなっているかという、これは経済実態にかかわる話ですから、専門家の意見が必要だとか、専門家が専門的に見るべきだという話じゃないんです。政策的、政治的に、これは極めてウオッチしなきゃいけない、政府として。そういう数字だから申し上げているんです。

 安倍総理、根本大臣はあの調子ですから、総理大臣として。今回日雇を除いたことは重大なんですよ、恐らく数字に相当影響している。総理大臣として、今ここで、この日雇を除いた影響が、実際、一八年、どの程度あるのか、それによってどの程度賃金が上昇振れしている可能性があるのか、実態とかけ離れてですよ、私は興味がある、関心がある、関心を持たねばならないので、調査しろとここで指示してください。

○安倍内閣総理大臣  大臣も、誠実に、正確に答弁したいと考えているんです。ただ、きょう八時過ぎの御通告であると、我々、もう九時の委員会に備えておりますから、これはちょっと無理なんですよね。

 これは、この定義の仕方が、両方とも果たして比較の前提条件が同じなのか、あるいは、十八日勤務で仮試算をしておられますが、実態としては、では、大体、実際は平均は何日なのかということも含めてよく精査していく必要があるんだろうな、こう思いますので……(小川委員「精査していただけますか」と呼ぶ)当然、精査すると大臣答えさせていただいておりますので、誠実な根本大臣でございますから、しっかりと誠実にお答えをさせていただきたい、このように思います。

○野田委員長  小川さん、答弁中にやりとりは遠慮してください。

○小川委員  気をつけたいと思います。気をつけたいと思いますが、余りに看過できない御答弁も時々あります。時々あります。そのときは、ぜひ委員長の御指導もお願いしたいと思います。

 これは、ある方からお便りをいただいたんですけれども、先週の質疑の中で、日雇が収入の統計から省かれているというお話はショックでした、私は精神障害者ですが、生活ができないので日雇をしています、それでも少ない枠の食い合いで、収入は減る一方です、非常にきつい、この上、非国民扱いされては生きていけません、がっかりしました、このあたりはもっと政府に働きかけてくださいというお便りでした。

 つまり、表面上の数字がどうなっているかに一喜一憂するのはいいんですが、その数字の持つ意味がどういう意味か、その背景で国民生活はどうなっているか、そこに血の通った関心を示していただきたいわけです。

 今回、この勤労統計から日雇を外したということは、つまりこういうことです。それは、今大臣答弁されたように、政府で定義をそろえなきゃいけないとか、そういう事情は受けとめますよ。しかし、これが何を意味するのかということについてなんですが、勤労統計は、景況判断をするに当たっての重要な指標なんです。だからこそ、月々の賃金の変化を追っているわけです。その政府が関心を持つべき賃金のトレンド調査の対象から日雇労働者を外したということなんです。

 全国に三十万人とも四十万人とも六十万人とも言われている日雇労働者がいます。月に十八日以上働くということは、趣味ではありません。それで生計を立てている人たちです。そういう人たちの賃金は、政府の追うべき賃金トレンド、毎月追うべき賃金トレンドの対象外として、射程外だという話はあんまりじゃないかと思うんですね。

 総理、ちょっと今まだ、私、中途半端になっていると思うので、では、これは必ずやってくれますね。日雇の外した影響、日雇の賃金水準をカウントできないんですよ、もう調査票が変わったから。もうカウントできないんです。どの調査を見てもカウントできない。推計するしかないんです。推計して、本当に、この数字、十八年の賃金の上振れはどうだったのか、ちゃんと推計して出させます、総理大臣、もう一回明確に答弁してください。

○安倍内閣総理大臣  今、この日雇が外れたということも含めて、この統計との関係については、今、私も初めて小川委員の御説明を伺いながら理解を進めているところでございますので、果たしてそのない状況で、ないということについても私もきょう初めて御説明で知ったわけでございますが、ない中で果たして推計ができるかどうかということも含めて、これは私は答えようが、専門家ではございませんから、私が今答えられないので、それは、そういうことも含めて、先ほど厚労大臣から答弁したとおりでございます。

○小川委員  厚生労働大臣、もう一回はっきり答弁してください。

 これは、とにかく、日雇労働者は社会的に強いとは言えない立場の方々ですよね。その方々の賃金水準を政府としてしっかり見ていますよというメッセージになります。同時に、この上振れした、飾り立てられた数字じゃなくて、政府は、本当に国民生活の実際の様子に迫りたいんだ、そこに関心があるんだというメッセージにもなります。

 そして最後に、るる御紹介したこの統計委員会の慎重意見を振り切るに当たって、やります、やりますと何度も言っている、そのみずから吐いた言葉に対する結果責任がある。

 厚生労働大臣、もう一回明確に答弁してください。それを聞いて質問を終えたいと思います。やってくれますね、日雇の推計。

○根本国務大臣  これは、いろいろな統計で、きちんと統一的に見ましょうねということで、例えば……(発言する者あり)

○野田委員長  お静かにしてください。

○根本国務大臣  常用労働者と臨時労働者の定義を、世帯、個人を対象とする統計との整合性を確保するために、前二カ月それぞれ十八日以上働いた人について、整合性をとるために、まず、有期雇用労働者、一カ月未満、日々雇用という概念がありますけれども、そこに整理をさせていただいたということであります。

 それから、今のいろいろなお話については、やはり、まず事実を確認する必要がありますので、事実を確認した上で対応させていただきたいと思います。

○小川委員  対応していただけるということで、ぜひ期待して待ちたいと思います。次に、また次回、追いかけさせていただきます。

 ありがとうございました。

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