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〜会議録(2019年2月4日予算委員会)〜
○小川委員 立憲民主党・無所属フォーラムの小川淳也です。
まず、委員長、賃金がはね上がったのは去年の六月です。システム改修が始まったのは去年の一月です。システム改修を指示したのは一七年五月、一昨年五月の当時の石原統計室長です。それはなぜだったのか。そこには、賃金の水準を、まさにアベノミクスの成果を偽装するために、少しでもいい数字を出そうという思惑はなかったのかどうか。
中間報告を読んでもわからないので、私はきょう聞きたかった。参考人要求していますが、なぜ来ていただけないのか、委員長のお答えを求めます。
○野田委員長 先ほども申し上げましたが、お昼の理事会において協議をいたしましたが、協議が調いませんでした。一部の参考人の招致については、協議が調いませんでしたので、招致をしないことと決定いたしたところです。
○小川委員 この国会に対して、これだけの統計不正が起きているわけですからね。ほとんど関係大臣ですよ。そして、この国会に対して、一定の真相究明、国民の期待は高いです。しかし、肝心の真相を知っている人を更迭するわ、出さないわ、全くもって真相の究明のしようがないじゃないですか。
もう一人。一回チャンスがあったんですよ、これは。中間報告を見ると、一七年の冬に当時の石原室長は上司に報告をしている、実は不正をしていたと。それを聞いた当時の酒光統括官、すぐに正しなさいと指示をしている。しかし、石原さんはそのまま放置をし、酒光さんも一切その後お構いなし。この辺の経過が、なぜ監督責任を果たせなかったのか。
私は酒光元統括官にも聞きたかった。参考人要求をしましたが、なぜこれも受け入れられないんですか。
○野田委員長 小川委員にお答えいたします。
今後の招致については、引き続き与野党で協議をしていただきたいと思います。
○小川委員 委員長、今のお言葉は重いと思いますよ。ここだけやり過ごせばいいということではありませんから、委員長の責任においてしっかりリーダーシップを発揮してください。
与党側も与党側ですよ。なぜ同意しないんですか。今私が申し上げたキーマンを呼ばなければ何もわからないじゃないですか。一緒に解明するんじゃなかったんですか、与野党を超えて。激しく苦言を申し上げたいと思います。
本題に入りますが、安倍総理、去年の六月に三・三%という驚異的な数字の伸びがありました。二十一年五カ月ぶりと大きく報じられたわけであります。当時、安倍総理は、初めて民間に対して具体的な数字を挙げて賃上げ要請をしています。その数字が三%でありました。したがって、この三・三%という数字が大きく報じられたときに、何らかの印象なり記憶なり感想なりがあったと思うんですが、まず、それをお聞かせいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 御存じだと思いますが、私は、そのときの毎勤が上がったことについて発言したことは一度もございません、私自身は。ですから、私自身が非常に印象に残っていればそうだったんだろうと思いますが、私自身、それが上がったということについて、実は、一々毎勤統計については私は報告を受けていません。
私が統計で報告を受けるのは、失業率と有効求人倍率を閣議において厚労大臣、総務大臣から報告を受けるときでございまして、基本的に、一々の毎勤統計について私は一喜一憂する考えはございませんし、そもそも、もう小川委員もお気づきになっているでしょうけれども、むしろ私は、この毎勤統計について、それは先ほども御説明をしたんですが、事業所において、その事業所の職員で割ったものの平均でございますから、経済の実態を直接示しているかどうかということについて、むしろそれは総雇用者所得で見るべきだという議論をいつもしていたわけでございまして、ですから、そういう意味において、そこを私は特別な印象を持っているわけではないわけでございまして、実態から見れば、ぶれがあることもあると。
あと、その前に入れかえも行われたということだったということもあるんだろう、こう思う次第でございます。
○小川委員 今のは今ので、非常につれない御答弁だと思いますね。
これだけ毎年民間に賃上げ要請、賃上げ要請、そして、昨年は初めて具体的な数字まで出して、そして、毎月毎月、一々と聞いていませんよ、二十一年五カ月ぶりという大きな報道があったわけですから、何らかの印象が残っているのではないかと期待をして私は聞いたわけであります。しかし、残念ながらその数字はうそだったわけでありまして、今その善後策にてんやわんやされているわけであります。
長妻委員がさっき午前中に指摘しかかったこと、少し追いかけさせていただきたいんですが、この勤労統計、つまり、いろいろと反論はあるでしょうけれども、幾つもの段階で去年の数字はかさ上げされているわけです、幾つもの段階で。単に三倍補正で復元したという話ではないわけです。
さっき長妻委員が指摘されたように、この議論は一五年の六月から始まっています、厚生労働省内で。しかし、慎重意見がたくさんあって、結論は出さなかった。むしろ、慎重だという結論を出した。
ここにこう書いてあるんですよ、この検討会を設置したときに。根本大臣、検討会の中間整理はごらんになっていますよね。
近年、政策の効果をはかる指標の一つとして、特に労働者の賃金に関心が高まっており、増減率の動向について注目度が高い。増加から減少に転じた月、つまり入れかえによってですね、が発生したことで、各方面からわかりにくいといった意見等が寄せられた。
根本大臣、お答えになれる範囲で結構なんですが、各方面から下がったことに対して意見が寄せられた、各方面とは誰ですか。
○根本国務大臣 この問題については、例えば統計の専門家などからの指摘もあったと聞いております。
○小川委員 それは、過去から確かにこの勤労統計についてはいろいろ話はあるんですが、大事なことは、七十年同じ方式で調査してきたんです。少々エコノミストから言われたとか、少々外部から言われたで、私は急ハンドルを切るとは思えない。
思い返すと、総理、これも御記憶だと思うんですが、私ここにいまして、一四年当時でした、十月の三日だったか四日だったか、当時、前原さんがアベノミクスの誤算という質疑をしたんですよ。悪い物価上昇が続いている、つまり原油高と円安ですね。そして実質賃金が上がらない、そして輸出数量が伸びない。私は、非常に力のある質疑だったと今でも記憶しています。一四年のそれが秋のことです。
そして、一四年の十二月に何があったか。総理は、消費税を先送って衆議院を解散するという新手に出たわけです。これは、増税必至だった財務省に激震が走ったと思いますね、当時。まさに政権にとっては、アベノミクスにとっては、雇用も成長率もいい数字が欲しい。増税必至の財務省にとっても、何が何でもいい数字が欲しい。一四年の秋から一五年にかけてそういう思惑なり熱意が生じたとしても、私は不思議ではない。それが、この一五年十月の麻生発言につながるんじゃありませんか。
麻生大臣、ちょっとお聞きします。
わざわざ十月の経済財政諮問会議で、勤労統計を名指しして、おかしいから見直せと言っていますね。一体これは、財務大臣、何の権限に基づいて統計にここまで具体的に示唆しているんですか。
それから、ぜひ聞きたい。これは、大臣が発言したいから財務省に資料を用意しろと言ったのか、それとも、財務省からぜひこの趣旨で発言してくださいと言われたのか。それも含めて、大臣の当時の発言の真意を聞かせてください。
○麻生国務大臣 勤労統計というのか、毎月勤労統計、いろいろありますけれども、こういったようなものは、私ども財政をいろいろやっていく上において正確な基礎統計というものが出ていないと話になりませんから、そういったものをきちんとやってもらいたいというものの中の一つで、例えば消費者物価なんかでも、いわゆる通販が入っていないじゃないか、今どき通販が入っていなくて何で消費者物価がわかるんだというような話やら何やらいろいろなことをしているんですよ、ここで。
その中の一環で、私どもとしては、この勤労統計の中においても、いわゆるサンプルのあれがえらく動くというのを毎年よく言われている、今までもよく言われている話なんで、こういった話をして、精度の向上に向けて取決めでやってもらいたいという話をしたのであって、これを私どもが、財務省からこれを言ってくださいと言われたような記憶はありません。
○小川委員 では、大臣のイニシアチブで、発案でこの発言はしたと受けとめました。
統計の精度を上げろというその言葉なんですよね。大体そう言うんですよ。正確な統計を出せ、時代に合った統計を出せ、精度を上げろ、大体そう言うんですよ。それが本当かどうか。裏に隠された意図はないのか。私は、そこを今回非常にいぶかっています。
ちょっと資料をごらんいただきたいんですが、これはまさに麻生大臣が経済財政諮問会議に提出した資料ですよ。よく見ると、極めて私は意図的だと思う。
まず、右の端、ごらんいただきたいんですが、消費関連指数が乖離しているじゃないかと大臣は発言しているわけです。しかし、上の青い曲線は、これは小売側の統計です。そして、下の赤い曲線は家計調査です、買った側の統計です。つまり、売った側と買った側が合っていないんじゃないかと言っているわけですが、正確に議事録を申し上げると、気になっているのは、統計について、家計調査だと言っている。つまり、上の小売統計については何も言っていないわけです。下振れしている家計側、買った側の数字がどうかしているんじゃないかと暗に示唆している。
二番目の、まさにこれは毎月勤労統計です、勤労統計。これはサンプルを入れかえるんですよ、後ほど議論させていただきますが。サンプルを入れかえたときに、確かに数値が下がるんですよね。この資料、ちょっと黄色マークしたところを見てください、真ん中。大臣は、公式には、段差が大きいのが問題だと言っている。しかし、資料には、下方修正していることが問題であるかのような表現になっている。わざわざですよ。だから、上がったら文句言っていなかったんじゃないか、下がっているから問題だと言いかけているように私には見える。
さらに、右側。ネット販売、今、さっきおっしゃいましたが、ネット販売がふえているんだから、それを統計に入れろとか、あるいは、リフォームがふえているんだから、それもつかめ、数字をつかめと。それはそうかもしれませんが、これは財務大臣が目くじら立てて統計に言うようなことですかということを私は申し上げている。
極めて政治的な意図が裏に隠れているんじゃないですか。精度を高めろ、正しい統計を出せと表では言いながら、裏では、数字を上げろ、いい数字を出せと暗に政治的圧力をかけているんじゃありませんか。
○麻生国務大臣 役所におられたらおわかりと思いますけれども、圧力をかけたら数字が上がるものでしょうか。
○小川委員 役所にいたから聞いているんですよ。ちょっと、この政権は公文書を書き換えさせていますからね。それは具体的に指示したんですか。指示していないのに何でやるんですか、官僚がそんなことを、追い詰められて。そういう政権なんですよ。そういう体質を持った政権なんだ。その前提でこの数字について聞いているわけです。
では、ここから先、ちょっと議論しましょう。七十年間、毎月勤労統計がこういう全数入れかえをやってきたにはそれなりの理由がある。そして、わざわざ、自前の研究会では、それをしないという結論を出した。その後、厚生労働省では一度も公式に研究していません。いきなり統計委員会の場に持っていかれた。つまり、相当政治的な力学が働いたと私には思えてならない。
ちょっと、具体的な議論に入る前に指摘したいことが幾つかありまして、まさに、この一五年の時期から、極めて統計に対して政治家が発言するんですよ、安倍政権のもとで。私に言わせれば、統計に政治の手が入っている、統計が政治化している。
具体的に言いますよ。これは翌年、二〇一六年です、一六年。これは経済財政諮問会議の骨太方針。二〇一六年の六月ですね。副題は「六百兆円経済への道筋」ですよ。
私は、先に申し上げておきますが、麻生さんの発言、大臣の発言が一五年の十月です。一五年の九月に何があったか。安倍総裁が自民党総裁選挙で再選されているんです。そして、九月二十四日、アベノミクス新三本の矢と大々的に発表した。その一本目がGDP六百兆円なんですよ。
このGDP六百兆円という大本営発表に、一生懸命官僚がついてきたんじゃないですか、霞が関を挙げて。何とかつじつまを合わそうと。そういう文脈の上でお尋ねしています。
心して聞いていただきたいと思いますが、この骨太方針、第二章は成長と分配の好循環、そして、その二が成長戦略の加速なんですね。成長戦略の加速ですよ。
その中に、まあわかりますよ、東京オリンピックやろうじゃないか。PFI、TPP、国土強靱化、まあまあわかりますよ。しかし、最後に、TPPやオリンピックやPFIや国土強靱化と並んで、統計改革、統計改善と書いてあるんですよ。
何でですか。ちょっとこれは誰が担当ですか、茂木さんですか。なぜ統計改革が成長戦略なんですか。
○茂木国務大臣 御指摘のこの統計の問題、計算方法の変更、これは二〇一六年の十二月に実施しましたGDPの基準改定、このことを指しているんだと思います。(小川委員「聞いたことに答えてください」と呼ぶ)お聞きください、冷静に。
これは、RアンドDの資本化など、最新の国際基準に対応するとともに、最新の産業関連表であったりとか推計手法を反映した改定であります。この改定によりまして、日本経済の実力をより正確に計算できるようになったと考えております。
なお、この基準改定は、先生が与党にいらした民主党政権時代の一一年に対応方針が決められ、その後、専門家で決めさせていただいた話であります。
○小川委員 答えられないんですよ。なぜ統計改革が成長戦略に位置づけられるのか、答えられないんですよ。それはそうでしょう。統計なんて、極めて技術的、客観的、科学的、中立的にやってこそです。
もう一つありますよ。
この委員室にもおられると思いますが、山本幸三先生。当時、経済財政担当大臣だった。(発言する者あり)ごめんなさい、行革でした。失礼しました。訂正します。おわびして訂正します。立派なお仕事です。
一六年の、いいですか、今のが六月。一六年の十二月に、今度は山本大臣がわざわざ臨時議員として経済財政諮問会議に出かけていった。何を言ったのか。政治主導の統計改革を実現しようですよ。何でですか。なぜですか。なぜ統計改革を政治主導でやらなきゃいけないんだ。
いいですか。皆さん、一党一派に偏った政治家ですよ。一党一派に偏った政治家が、やれ統計改革、やれ統計改革、そんな旗を振ること自体が不謹慎だ。おかしいんですよ。
誰か答弁したい人いますか、これ。じゃ、総理、どうぞ。
○安倍内閣総理大臣 これは山本大臣が政治主導の統計改革と言ったのは、別に一党一派に偏るような統計をしろと……(小川委員「偏っている人ですから。みんな偏っていますから」と呼ぶ)いやいや。偏るような統計改革をしろと言ったのではないですよ。これは、議事録が残るところでの発言でありますから。
つまり、第四次産業革命が今進行中である中において、今までの統計のやり方を墨守していていいのかということなんです。
もちろん専門家がやりますが、それに対して政治家がまさにこの新しい時代の変化をしっかりと嗅ぎ取りながらこういうことをやっていくべきではないか。しかし……(発言する者あり)
○野田委員長 静かにしてください。
○安倍内閣総理大臣 つまり、その中でもう一度統計のあり方を専門家で考えてもらったらいいのではないか、こういうことであります。
それは一切、では、一切、我々は一言も口を出すなということなんでしょうか。そうではなくて、専門家が決めていくことではありますが、今までのやり方でいいのかどうか検討しろということは、これは政治主導でないとできないんですよ、それは。政治主導でなければできないということは申し上げておきたい、こう思うわけでございます。
この際、ずっと今まで小川先生がおっしゃっていた、まるで私たちが統計をいじってアベノミクスをよくしようとしている、そんなことできるはずがないじゃないですか。そんなことできるはずがないんですよ。
今、やっているじゃないですかという声があったんですが、でも、これは、もし東京の五百人以上の事業所をちゃんととっていれば、我々が政権をとった後の指標はもっとよくなっているんですよ。景気回復は東京からよくなっていくし、どちらかというとやはり大手の方からよくなっていきますから、もっとよく差が出てくるんですよ。
それを、むしろそのまま、下がっていたから、今度、雇用保険も労災保険も船員保険もこれは対応しなければいけなくなっていたわけであって、私たちがもし上に何かかさ上げしていたんだったら、これは逆になるわけでありますから。
だから、もっと冷静に、何が何でも安倍政権が何か偽装しようとしていたかという結論ありきになると正確な議論ができませんから、やはりここは落ちついて統計の議論をされたらどうなんでしょうか。
○小川委員 これは私が思っているだけじゃありませんからね。多くの論評でありますよ、これはエコノミストから、外国のメディアから。そして、後ほどお聞きしますが、日銀と内閣府の間でもやりとりしているんですから。もとデータを出せ、そんな話になっているんですよ。
更に言います。
山本大臣が政治主導で統計改革をやるべきだとわざわざ出張っていかれて発言したのが一六年の十二月。そして、一七年の二月に、今度は菅官房長官を議長として統計改革推進会議なるものができているわけですよ。
メンバー。梶山行革担当大臣。茂木、当時もそうですね、経済財政政策大臣。そして予算委員長、総務大臣。そして麻生財務大臣。世耕経産大臣。もちろん学識もいますけれどもね。
こうして、相当統計に政治のエネルギーというんですか、政治の、よく言えばリーダーシップというのか、私に言わせれば政治的圧力だ、これは。
現実に、この時期、統計委員会における統計手法の変更件数はふえている。大体、民主党政権のころは九件とか七件というんですけれどもね、年間ですよ、統計手法を変更したのは。安倍政権になって、十五、十三、十二、十五、十二、物すごい数の統計手法の変更をさせているんですよ。これは事実だ。
それこれ見ると、今総理がおっしゃったような、何か全体を見ているんだという安気な話なのか、麻生大臣がおっしゃったような精度を高めているんだというようなきれいごとで済むのか。私にはとてもそう思えない。
具体的に、勤労統計について少し議論させてください。
麻生大臣、よくお聞きいただいて、できれば、麻生大臣、それから根本大臣も、わかる範囲で結構ですから御答弁いただきたいんですが、今回、不正調査をしてきたことは明らかに問題であり、違法です、長年にわたって。しかし、午前中、長妻さんが指摘したように、これは単なる不正の復元だけでこの数字は出ていないわけです。不正の復元を隠蔽したことも問題。しかし、それ以上に、これだけ高い数値が出るには、もちろん、公表ベースでいえば、サンプリングを入れかえたとか、標本で大企業の割合がふえたとか、もっともらしいことを書いていますよ。
しかし、正面から、私はこの制度改革をした二つの点について議論させていただきたい。
一つは、まさに麻生大臣が嫌がった全数入れかえを部分入れかえに変更すると何が起きるかということです。これは誰に御答弁いただきましょうかね。
七十年間、全数入れかえをしてきたんですよ、三年に一回。麻生大臣、三年に一回全数入れかえをすると、麻生大臣が嫌がるとおり、数字は下がるんですよ。私、これは驚きました。昭和四十年代、五十年代、もう高度成長期かと、バブル以前の成長率の高いときですら下がっている。
なぜだと思いますか、麻生大臣。
○麻生国務大臣 私は、そのことをやれば上がるとか下がるとかいうことを私どもは指摘したわけではありません。
私は、統計の数字がきちんとしたものが出ないと、入れかえるたびに上がったり下がったりするのはいかがなものかというので、きちんとしたことをやってもらいたいという話を申し上げた結果なのであって、その数値の結果についてより、私は、そこに出てくるいわゆる問題が大きいんだということを申し上げた。先ほど、どなただったか、通販の話をしたんでしたかな、今の時代に通販が入っていないということ自体おかしいじゃないですかというような一連の話の中から出たんだと記憶しています。
○小川委員 私もその数字が正しいのかどうかを議論しているわけですから、大臣、ちゃんと真面目に議論に向き合ってください。わからないならわからないで結構です。
大臣はいつも、俺は経営者だ、経営をやっていないやつにはわからないだろう、よくそういう反論を飛ばしてこられますよね、国会質問で。だから聞いたんですけれどもね。
では、言います、大臣。なぜ三年に一回全数調査を入れかえれば数値は下がるのか。
この国の一年間の廃業率を御存じですか、麻生大臣。御存じですか。知っていたら首を縦に振って、知らなければ結構です。(麻生国務大臣「知らないですな。今でしょう」と呼ぶ)今。大体、これは五%なんですよ、廃業率が。
それで、五年に一度の経済センサス、つまり経済界に対する国勢調査ですね、見てもそうなんですが、ということはなんですが、企業の五年生存率は約八割なんです、毎年五%ずつ企業は淘汰されていきますから。そして、企業を全数入れかえするということは、廃業、倒産直前の企業も入るわけです。そして、もちろん生まれたての新発企業も入る。しかし、いずれも賃金水準は低いんですね。
ところが、継続サンプルで一年目、二年目、そして三年目と継続調査をすればするほど、比較的優良な成績を上げた企業の、賃金水準の高い企業が標本として残るわけです。だから、三年間これを続けると賃金水準が高く出、そして、三年後にサンプルを全数入れかえで入れかえると必ず低く出るわけです。
そこで、大臣に聞きます。どちらが国民の経済実態に近いですか。優良企業ばかりじゃないですよ、世の中は。どちらが実際に働いている現場の労働者の賃金感覚に近いですか。
○麻生国務大臣 多分、全数入れかえの方がと言いたいんだと思いますけれども、景気の事情によって違うわね、今の話は。景気が変わってくると随分変わるような気がするけれどもね、今の感じは。
○小川委員 それが間違いだから聞いているんですよ。さっき申し上げたでしょう。昭和五十年代から、あるいは平成に入って一桁、まだまだそんなに、今みたいに言われていないころですよ。調べてみてください。毎回下がっている。二年、三年に一回。それぐらい企業の生き残りバイアスと、これは統計委員会で議論された資料です。読み上げます。
ローテーションサンプリング、つまり一部入れかえ制導入に伴う留意点として、賃金の水準を見ると、継続調査されている共通事業所の賃金は、全ての事業所の合計よりも約四千円、一・五ポイント高くなっている。継続調査されている事業所の賃金水準が、新規事業の水準よりも高くなっていること、ちょっとややこしいね、結論だけ言います。つまり、生き残りバイアスが一定程度存在することを示している、これが統計委員会の結論です。
したがって、段差があることに麻生財務大臣はちょっと文句をつけておられますが、これは健全な段差だったんですよ。七十年間この手法で調査してきたんだ。それを鶴の一声で今回変えさせた、それで一段目、積み上がったわけです。
厚労大臣、認めてください。全数調査をした方が世の中の実態に近い、つまり労働者の受け取っている賃金感覚、いい企業もあれば、そうでもない企業もあります。これを継続している会社にすれば、企業の継続バイアスがかかり、生き残りバイアスがかかり、比較的賃金は高く出る。これは統計委員会でこう言われていますから、大臣、ここで認めてください。
○根本国務大臣 今その点についてお答えします前に、委員は本当にこの問題の本質を言っているんですよ。
全数を入れかえるでしょう、三年に一遍。そうすると、おっしゃるように段差が生じるんですよ、段差が生じる。だから、今までどうしてきたかというと、補正する、段差を調整するためにさかのぼって補正するんですよ。
実はここが問題にされたんですよ。基幹統計九統計の……(小川委員「されてもはね返さなきゃいけなかったんだ」と呼ぶ)いやいや、違う違う。これは、九統計のうち、私の記憶ではローテーションサンプリングをやっている統計がたしか六統計あると思いますよ。ですから、どういう統計のやり方が正しい数値をあらわすか、極めて私は、これは統計の専門家の議論で、ですから、おっしゃるとおりなんですよ。だから、三分の一、いや、二分の一ずつ入れかえれば、これは段差が生じるということはないから、そうすると、これからはその指標で見ていきましょうと。
ですから、段差が生じるかどうか、これは勤労統計でも長年の課題で、これはいろいろな議論がされてきた。今回それを統計委員会で、客観的な統計委員会で、段差を修正して補正するのがいいのか、ローテーションサンプリングでやるのがいいのか、そして、ローテーションサンプリングでいいという結論を、これでいきましょうという結論を出したんですよ。
それと、委員のおっしゃる継続している事業所のお話、これはあれですか、共通事業所系列のお話ですか。(小川委員「違いますよ。制度論、一般論」と呼ぶ)わかったわかった。だったら……(小川委員「もういい、大臣」と呼ぶ)いや、違うんです。ちょっとしゃべらせてくださいよ、聞かれているんだから。
だから、例えば三年に一遍だと、やはり倒産していく企業がある。そうすると、おっしゃるように、生き残っている企業、そしてサンプルを入れかえると、そこは段差が生じるんですね。ですから、もちろん継続してやっている企業だけをずっととれば、それは高く、だから高く出る可能性が、だってだめな企業は潰れていくんだから。だから、それはそういうことですよ。そういうことじゃないですか。
だから、三年に一遍がらっとかえると旧サンプルと新サンプルで段差が出る、そこが問題視されたということですよ。
○小川委員 大臣、何を御答弁されている。
つまり、そういうことなんです。それで、段差が出ることは統計処理上課題がある。それはそのとおりです。したがって、これを三分の一入れかえ制にすれば比較的統計は連続するでしょう。しかし、それは、世の中の経済実態から少しとはいえ乖離した指標が出がちになる調査方法に変更したということです。しかも、一七年と比較すると一八年は比較的高く出る、これで一段目のげたを履いたわけです。
もう一つ聞きます。
この年、もう一つやっていますよね。これまで勤労統計は常用雇用者について調べているわけですが、常用雇用者の定義から日雇労働者を外しましたね。それまで、月に十八日間勤務していた日雇労働者は、常用雇用者に含めて計算をしていた。ところが、この一八年一月から、常用雇用者からこの日雇労働者を除いた。これも賃金は高目に出るんじゃありませんか。
○根本国務大臣 日雇を除いたのは事実です。
その結果どういう影響が出るかというのは、私は、にわかには、今お答えはできません。
○小川委員 わかる範囲でお答えいただければいいとはいえ、どう考えても上がるでしょう。
御紹介しますよ、統計委員会の部会での審議。
実は、今回の勤労統計の統計手法の見直しに当たって、ここは統計委員会から相当警告が来ているんですよね。それを振り切ってやったんですよ、今回、厚生労働省は。
読みますよ。まず部会の委員から、これはどのぐらいの影響があるんだと質問している、議事録を見ますとね。そうすると、労働者数でいうと、大体全体の一%だという統計はとれているという答弁がありました。しかし、残念ながら、これは、賃金水準の調査が明確にあるわけではないので、わからないということになっているんですが、納得のいかない委員が、更に追いかけてこう言っているんです。
ざっとイメージしようじゃないですか。常用雇用者の賃金が大体三十万円として、仮にです。日雇労働者の賃金が大体二十万円だとすると、労働者数が一%であれば、これは賃金水準に最大〇・三%の影響がある可能性がありますよ。それは黙っていていいんでしょうか、頬かむりしていていいんでしょうか、そのまま先へ進むというのはやはり難しいんじゃないでしょうかとまで立派な意見を言っている人もいるんです。これを振り切ってやったんだ。
統計の正確さを正そうとか連続性を高めようとか、それは美名のもとにいいですよ。しかし、実際には、あの手この手を尽くして、賃金水準を少しでも上げてやろう、そういう絵姿が見え見えじゃないですか、これは。この上に三倍補正をやったんだ。それで三・三%なんという二十一年ぶりの数字。しかも、総理は、それは余り記憶にないと言う。
今回、これで無理をした結果、長年陰に隠れていた不正が明るみに出たわけです。異常に高くなったからです。そして、異常に高くなった背景には、こういう、それをそれと気づかせない、隠された意図、隠れた故意で、統計の数字に政治が介入してきた疑惑がある。
これが果たして、勤労統計だけなのか、それにとどまらないのか。私は、徹底的な検証が必要だと思いますよ。なぜなら、この政権は、公文書を書き換えさせているからです。
私も霞が関の出身ですよ。官房長官、よく聞いていただきたいんですが、最近、この質問の準備をするに当たっても、あるいはその他ででも結構ですよ。現場で、私は野党ですから、幹部の方は来られません。せいぜい係長、課長補佐、若い人が来ますよ。しかし、彼らのモラルは今どうなってしまったんだと思うことが多々ある。組織にこびへつらって、何が正しいかではなく、何が都合がいいかを一生懸命探し、一生懸命、この政権に対して、尻尾を振れば必ず出世し、盾突いて正論を吐けば飛ばされて左遷される。どうですか、霞が関の皆さん。そういう体質が蔓延してきているんじゃないですか。
私は、民主党政権のときに十分に国民の期待に応えられなかったことは、今でも良心の呵責です。その後、自民党は立派だと思ってきた面もある。確かにプロですよ、政治の運営にかけては玄人だ。しかし、政権が、それでも、これだけ長く続くと、この霞が関のあんな若い人たちまでこうしてしまうのかと。私は、やはり長期政権はかえなきゃいけないと。非常に強い危機感。これはやがて社会の隅々まで、末端までモラルを崩壊させる。正義感や倫理観を失わしめる。政権の延命以外に目的がないじゃないですか。私は、今回それぐらいのことを感じているわけです。私だけですかね、この統計に関して言っているのは。
きょう、お忙しい中、日本銀行に来ていただきました。関根局長は、大変お忙しい中ありがとうございます。
ちょっと、私もこの記事、驚いたんですが、もちろんここで言えること、言えないことあるでしょう。しかし、こういう報道が出たこと自体、非常にゆゆしき事態だと私は思います。しかも、公的機関の最たるものである日本銀行が、政府、内閣府の出している統計を信用できない、もとデータを出せといったようなことを言うというのは前代未聞。
関根局長、ここで言えること、言えないことあると思いますが、なぜもとデータを出せというところまで言わなければならなかったのか。私に言わせれば、言うところまで追い込まれたのか。この政府統計の不信に対するあなたの考えをここで述べてください。
○関根参考人 私がこの場に出席させていただいておりますのは、日本銀行調査統計局長としての立場でございます。
統計委員会では、日本銀行としてではなく、一有識者としての立場から御意見を申し上げておりました。統計委員会に関する事項については、本日はお答えする立場ではございませんので、御理解を賜れればと思います。
○小川委員 関根さん、立場は理解しますよ。それは言えないでしょう、ここではね。だけれども、相当いろいろなやりとりをしていることは統計委員会の議事録にも残っていますから。そして、内閣府がそれに抵抗をし、一定の折り合いをつけたんでしょうが、少なくとも、それが外部に漏れて、これだけの報道の紙面を飾ったということ自体ゆゆしきことです。
関根局長、これから内閣府からデータをもらうんでしょう。それは自宅に持ち帰って趣味で扱うわけじゃないでしょう。日本銀行の調査局に持ち帰るんですよね。そして、いろいろ、金融政策を考えるに当たって、経済指標の分析に使うはずだ。統計委員会の一員としてであって日銀の背景はないという御答弁は、大分割り引いて、私も立場をわきまえたいと思いますが、それでも不適切だと思いますよ、不正確だと思う。だから、こういう報道につながっているんです。
最後に、勤労統計について、その隠れた意図があると私は思っている、隠された意図があると私は思っている。しかし、何といっても、アベノミクスの本丸はGDPでしょう。
麻生発言の前の月に、安倍総理は、私だけではないと思いますが、相当世の中は、あるいは国際社会は、GDP六百兆というのは唐突に受けとめました。なぜなら、その時点でのGDPは五百兆に届いていなかったからであります。そして、五年間で六百ということは、四%近い成長を毎年しなきゃいけない。しかし、その時点まで、まさに今世紀に入って、二〇〇〇年代に入って、この二十年、実現できた成長率は、三%に到達した年はありません。
したがって、これは経済界からも、単なる政治的なメッセージではないか、あるいは外国メディアも、これは根も葉もない、余りまともに取り合う必要がないんじゃないかという冷ややかな受けとめでありました。
しかし、後にややちょっと驚いたことがあるわけですけれども、ちょっと先にお聞きしましょう。
総理は、このGDP六百兆円構想、私の仮説では、この六百兆円構想がエンジンになっているんですよ、いい数字を出すということに関して、経済指標、雇用指標。これにみんな仕えているわけです、一生懸命。この六百兆という構想をぶち上げたときに、総理は、どの程度の確信なり、あるいは自信があったんですか。まず、それをお聞かせください。
○安倍内閣総理大臣 五年で六百兆ではなくて、二〇二〇年代の初頭という言い方をした、こう思っております。ですから、二〇二〇年にということではないわけでございます。
その中で、デフレではないという状況をつくった。この後、黒田総裁と政府との間で、インフレについて、物価安定目標を二%としているわけでございまして、この二%はデフレーターとイコールではございませんが、この中で、しっかりと成長を確保し、この物価安定目標に近づいていくことによって成長を確保していけば、十分に可能性があるのではないか。それと同時に、観光も伸びておりましたし、あるいはまた、この第四次産業革命の大きな波の中で、生産性を上げていくということではないかと思います。
その中で、別に、その六百兆円目標に向かって、統計をいじるということではなくて、いかにこれは、生産性を上げていくか、投資を伸ばしていくか、あるいは人材に投資をしていくかという、みんなでそういう目標を共有することが大切だ、こう思ったところでございます。
○小川委員 ただ、実際には、総理、総理の御発言が一五年の九月です。一六年、翌年の十二月、GDPの計算方法が大幅に見直されました。それによって、何とGDPは三十一兆円、こんなに、GDPの国際基準に合わせるという名目のもとにですよ、計算方法を変えて、成長率を伸ばした国はほかにはありません。
わかればでいいんですが、一六年の時点ではじいたGDPは、一五年のものなんですね。その時点で、一五年のGDPは史上最大規模になりました、伸ばしたことで。もし統計方法を変えなければ、一体、史上何番目ぐらいのGDPが史上最高になったか、おわかりの方はいらっしゃいますか。茂木大臣、いかがですか。
○茂木国務大臣 二〇一五年度のGDPにつきましては、旧基準と比べて、国際基準への対応によりまして二十四・一兆円、最新の産業連関表や推計手法の反映によりまして七・五兆円、合計で三十一・六兆円の上方改定となっております。
なお、先ほど申し上げましたが、この方針は、先生が与党時代、二〇一一年の民主党政権時代に基本的な方針を決められ、その後、実際には、統計委員会を始め、民間の有識者によります審議を経た上で行われた。
いずれにしても、古い基準、これを日本だけが使い続けて、いい悪いと言ってもしようがないんですよ。やはり、国際競争力を強めて、潜在成長率も上げて、正しい、実力として六百兆円経済を目指していく、これが安倍政権の方針であります。
○小川委員 わかりました。
お言葉ですが、大臣、内閣府に、国民経済計算、つまりGDP計算、次回基準改定に関する研究会で、具体的な方針の検討に入ったのは一三年の三月です。いいですか。そこでの検討を踏まえて、統計委員会GDP計算部会における具体的な審議に入ったのは一四年の十月です。この具体的な検討の中で、何は入れる、何は入れない、入れるとしてどう計算する、入れないならなぜという検討をやっているわけです。
お答えになりませんでしたから、私の方から申し上げましょう。
二〇一五年のGDPは最高水準になっています。総理は今も、一六年のGDP、一七年のGDP、一八年の速報値、毎回のように本会議を始め会見でも、GDPは史上最高になりました、史上最高になりました、毎回のように繰り返しておられる。
しかし、ごらんのとおり、これは、図、わかりますでしょうか。一六年にGDPの計算方法を改定して、こんなにかさ上げされているわけですね。過去までさかのぼって試算すると、全てにおいて上昇しているわけです。しかし、上昇幅は昔はさほどない。安倍政権になってから、上昇幅はワニの口のように開いている。つまり、旧基準で計算したGDPより新基準で計算したGDPは、安倍政権になってからのはね幅、上げ幅が大きいということです。
茂木大臣、先ほどもきれいごとをおっしゃいました。国際基準に合わせたんだとおっしゃる。その部分、確かにあるんですよ。
しかし、このグラフを見てください、今お手元。国際基準に合わせたのは、あくまで、このグラフ、棒グラフでいう白い部分です。ここはわずかに三%程度の上昇にしかなっていません。実は、これは研究開発費を入れたとかその手の話なんですが、確かに、今大臣おっしゃったように、国際基準に合わせて、先行しているのはヨーロッパ諸国なんですよ。ここでも確かに大体二%から三%上げているんですよね。それでいうと、日本もそれに符合するんです。
ところが、この赤い部分、わかりますか。ちょっと資料が白黒の先生方には申しわけないんですが、赤い部分は、国際基準適合と違う、その他の部分ですから。その他の部分で、過去のGDPは、試算すると押し下げ要因になり、そして、安倍政権になってからの三年間はウナギ登りの上昇要因になっている。いろいろ説明も聞きましたよ。わかるところ、わからないところ、ある。でも、結果においてこれは不自然だ。どう見ても不自然です。
このその他の部分を少しわかりやすく線グラフでも御用意しましたので、ちょっと見ていただきたいんですが、どうですか。安倍政権になる前はほとんどマイナスでしょう、このその他の伸び率が。ところが、安倍政権になるとウナギ登りなんですよ。
こういう状況で、総理、一つ聞かせてください。
一五年の九月に総裁に再任されてGDP六百兆円を打ち出したとき、翌年の統計改定で三十兆円以上GDPがかさ上げされるということは御存じだったんですか。
○安倍内閣総理大臣 基準改定が行われること自体は承知をしておりましたが、具体的な計算方法までは説明を受けておりませんから、それが果たしてどういう方向に行くかということについては私は存じ上げませんでした。しかし、目標というのは、絶対できるからということで立てるというよりも、やはり、これから、ある種のそこで跳躍をして進んでいくということでありました。
確かに、これは随分高い目標だなということは私は感じておりましたが、しかし、それは、例えば農林水産物の輸出額一兆円だって、これは絶対できないと言われていました。あるいはまた、昨年ですね、海外からの観光客が三千万人を超えるなんということを六年前に誰が想像していましたか。大体八百万人がずっと壁だったんですから。
そういう中において、しっかりと目標をつくったことでそれが達成できたわけでありますから、達成できないかもしれないというリスクはありましたが、それをみんなで目標にしていこう、こういうことでありました。
ですから、その目標に向かって、こういう、基準値をどうのこうのということは、これは考えられないことであります。
○小川委員 私は、今の御答弁は怪しいと思いながら聞きました。
当時、経済財政担当大臣は甘利さんなんですよ。総理のまさに盟友中の盟友とお聞きをしております。そして、内閣府はさまざま試算をやっているらしいですね。ちょっと私も、これは公開資料からしかたどり着けないので、どれほど詳細に、どれほど具体の数値を挙げて、どれほどのオプションを議論しているかはわかりません、正直。
しかし、例えば、報道ベースで御紹介すると、霞が関は、既に内閣府は、ひそかに二〇一一年からGDPを新基準で再計算していて、総理の六百兆円表明の時点では、まあ二十兆以上は上乗せされることは織り込み済みだと自民党関係者は言っているとかですね。
しかし、その裏には、後にこういう記事も出始めるんですが、GDP六百兆円が見えてきた。これは日本経済新聞です。内閣府の幹部はしびれたと言って驚きを隠さない。数字を見てですよ。恐らくこれは試算の数字でしょうね。そして、与党の一部や日銀、財務省は、GDPを始め政府統計が実体経済を反映できていないとして見直し圧力を強めている。これに対し、当の内閣府からは、改善は大事だが、GDPを押し上げるために統計の仕事をしているわけではないんだと幹部からの恨み節が聞こえてくるという報道もあるわけです。
火のないところに煙が立っているんだとおっしゃりたいんでしょうが、私はなかなかそうじゃないと思いますよ。
総理が今おっしゃったのが本当かどうか。これは統計委員会の公開資料なんですが、一四年の十月の時点で、研究開発費の算入、暫定試算で三%から三・六%程度押し上げるだろう。防衛装備品、軍事物資、軍事装備品の算入により〇・一%程度押し上げるだろう。不動産の仲介手数料を計算に入れることにすれば〇・二%程度上昇するだろう。土地改良の対象範囲を見直せば〇・三%上昇するだろう。中央銀行の産出額の計算方法を見直せばわずかだが上昇するだろう。まあ、どうすればGDPが上昇するかの試算を連発しているんですよ。
茂木大臣、もし知っていたら答えてください。このとき、国際基準に合わせるという名目のもとに、一つ議論になったことがあるんですね。それは私立学校の扱いなんです。従来は、非営利法人、非営利性の事業体としてカウントされていました。しかし、一定程度授業料収入がありますから、私立学校の場合は。これは市場性の事業法人に位置づけるのが国際基準に倣ったやり方なんです。けんけんがくがく統計委員会でこの点を議論されています。
まず、この議論があったことを御存じですか。
○茂木国務大臣 存じ上げませんので、また確認をさせていただきますが、一点だけ。
我々は、統計をよくして経済を上にさせよう、そんなことは考えていません。先ほど先生がお示しいただいたグラフ、これは、GDPの算定方法を変更する前でも後でも、前の政権の時代より圧倒的にGDPは伸びているんですよ。
我々は、人づくり革命を進める、生産性革命を進める、そういった中で潜在成長率を高めていく、こういったことによって六百兆円経済をしっかりと、正々堂々と目指していきたいと思っております。
○小川委員 ぜひそうしてください。ここで統計をさわってGDPを上げようなんて思っていますなんという人はいないんですよ、この場で。それが本当かと、一つ一つ情況証拠を積み上げながら聞いているわけです。私にも証拠はない、内部資料は持っていないし。しかし、情況証拠はかなりいろいろ怪しいですよと申し上げている。
それで、まさにおっしゃった正々堂々とでいいんですよ。最後のパネルを見ていただきたいんですが、これは極めてちょっと政治的に、どうなんですか。前の総選挙、二〇一七年、総理、これは自民党広報のツイッターか何かだと思いますが、ぜひ拡散してくれと。この五年間でGDP、五十兆円以上ふえたんだということを盛んにPRしているんですよね。
それは勝手といえば勝手ですよ。しかし、問題にしたいのは、GDPの基準を改定した後、一六年、一七年の旧基準の数値は出さないことになっているんですよね。私は出してほしい。
なぜなら、国民は、イザナミ景気を超えたんですか、今。一体、誰がそんなに好景気を実感しているんですか。七割以上の人が、ほとんどない、全くないですよ。しかし、GDPは史上最高だと総理はおっしゃる。
ちなみに、税収も史上最高ですとおっしゃいますよね、総理。消費税を五%も上げた総理大臣、過去いませんからね。これだけで十数兆、十五兆円近い増税ですよ。むしろ、私の経済政策の成果ですと誇らしく言うんじゃなくて、私は史上最高に増税した総理大臣です、国民負担をお願いした総理大臣ですと申しわけなさそうに謙虚に言ってもいいぐらいだと私は思う。
新基準で五十兆円ふえたという主張はわかりますが、旧基準だったらどうなのか。私、見てみたいので出してください、総理。
○安倍内閣総理大臣 安倍政権で名目GDPは一割超えて五十四兆円増加をしておりますが、これは基準改定後の数字同士の比較でありますから、前の数字が改定前の数字で、今がそうでなければ、それはおかしいと思います。
それと、私が二〇一二年の政権交代前にお約束をしていたのは、GNI、国民総所得ですね、失われた五十兆円を取り戻します、こう申し上げて、このお約束はかなり早い段階で達成したわけでございます。
それと、ちなみに、来年度予算の税収の見込みでございますが、六十二・五兆円、これは過去最高になるんですが、これを、次の二%の引上げ分を引いてもこれは過去最高になるということは、一応つけ加えさせていただきたいと思います。
○小川委員 その前に三%上げているじゃないですか、総理。
茂木大臣、今ちょっと言い忘れたんですが、結果として、いろいろ議論あったようですが、私立高校は入っていないんですよ。国際基準に合わせなかった。もし合わせていたら、GDPは〇・八兆円下がっていたんです、どうも議事録を読みますと。
つまり、いろいろ理由はあるでしょう。が、取捨選択しているということです、安倍政権になってから。
最後に、こんなことを聞きたくないけれども、つまり、統計の信頼は揺らいでいる、これは認めていただけるでしょう。そして、それには、技術的なものもあれば、役所が隠蔽してきたこともある。そして、その背景に、背後に、政治的なプレッシャーがあるのかないのか。これは間違ってもないようにしてもらわないとということは重ね重ね申し上げたい。
それで、もうこんなことを聞きたくないんですが、最後、菅家政務官、来ていただきましたので、今どきまた家庭にカレンダーを配って歩いているというのは言語道断じゃありませんか。
○菅家大臣政務官 御指摘の点は、あくまでも政策広報用の室内用ポスターとして作成をいたしました。希望者のみに作成趣旨を説明いたしましてお渡しをしてきた点でございますが、ただ、国民の皆様方に誤解を与えている点については、心から反省し、おわびを申し上げます。
以上です。
○小川委員 内部資料という説明は通らないと思いますよ。カレンダーという有価物にあなたの写真を入れたんだ。そして、配っている。公職選挙法違反だと思いますよ。
引責する気はありませんか。
○菅家大臣政務官 室内用ポスター、ごらんになったと思うのでありますが、あくまでも政務官の集合写真です、を踏まえて、やはり、そういった、私も政府の一員として職責を、しっかりと取り組んでいくということを多くの支援者の方々にPRする、広報するための目的としてつくったものでありますので、まさに政策広報用の室内用ポスターでございますので、当然、職責を全うしてまいりたいと思います。
以上です。
○小川委員 極めて軽率きわまりないと思います。
委員長、次回は、必ず、私どもが要求した参考人をこの場にお呼びいただくことを心からお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○野田委員長 後刻、理事会にて協議をいたします。
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