トップ>衆議院TV
〜会議録(2018年3月22日総務委員会)〜
○古屋委員長 次に、小川淳也君。
○小川委員 小川淳也です。
まず、公文書の偽造についてお聞きいたします。
大臣には複数質問が飛んでいますので、この際、会長、少し所感を聞かせてください。
本来、日本放送協会を指導監督する立場にあった政権内部において大規模に公文書が書きかえられているという事実が明らかになっています。みずからも公共企業体のトップでいらっしゃる。この事態をどう受けとめておられるか、感想でも所感でも結構です、一言お聞かせください。
○上田参考人 お答えいたします。
NHK会長としての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○小川委員 正しい姿勢だと思いますが、一言、事の重大性に鑑みて、御自身のお考えなり感想をお述べいただきたかったところであります。
大臣、大臣には、この背景なり原因について大臣なりのお考え、どのようなものをお持ちか、これはここで発言できる範囲で結構ですので、この背景なり原因にどういうことが考えられるか、大臣の所感をお聞きしたいと思います。
○野田国務大臣 お答えしたいところですけれども、まさに今、国会の、参議院の予算委員会始め各委員会で、それが、さまざまな与野党の国会議員の皆さんによって議論をされているところだと思っております。
私自身は、そういうこともやはり起きてしまっていること、公文書が書きかえられたというゆゆしき事態に対して、二度と起こらないために、まず隗より始めよということで、総務省をお預かりしていますから、総務省でできるだけのこと、そして総務省がやっていることで他省庁にもできること、例えば電子決裁を速やかに進めていただいて、先ほど申し上げましたけれども、履歴が明らかになる、そういった意味で、書きかえ等ができにくくなるようなことを一日も早くつくり出すことが、特に国民の不信を解消するのには絶対だと思っているところです。
○小川委員 技術的にはそれは一つのアイデアだと思います。
私、申し上げたいのは、最近、流行語にもなっているそんたく、行き過ぎたそんたく、配慮、これの背景には私は人事権があると思っています。高級官僚の人事権を官邸が掌握したというのは恐らく歴史上初めてのことだろうと思います。
ここは少し、民主党政権時代に内閣人事局構想をぶち上げて、残念ながら実現には至りませんでした。それを第二次安倍政権が実現された。そのことがあたかもおかしいことかのように議論する風潮も一部にありますが、私は、最高責任者が人事権を掌握するというのは当たり前のことであり、大事なことだと思っているんです。問題は、そのシステムや仕組みより、人事権を行使する側のモラルあるいは徳性、そういったものこそが問われていると私は感じています。
今般の一連の経過で、この問題に限りません、さまざまな問題について、ひたすら政権の顔色をうかがい、そして、尻拭いに尻拭いを重ねた人が必ず人事で報われるという慣行が二度三度、表から見えるだけで繰り返されていること自体が、組織のモラルと社会の規範とを乖離させる極めて不当な人事権の行使ではないかと思います。
大臣に一つだけお尋ねします。
今、審議官以上の高級幹部の人事権は内閣人事局、官邸の手中にあると思いますが、本来、総務大臣たるもの、少なくとも総務省内の局長、審議官、特別職の人事権はみずからが主導的にその人事権を行使してこそだと私は思うんですが、実態はどうなっているんですか。官邸と総務大臣との人事権は、事高級幹部に関してどうなっているんですか。
○野田国務大臣 総務省においては、人事を決めるのは私の仕事で、それを官邸と協議するということになります。
○小川委員 実質的によく協議されているんですか、官邸とは。
○野田国務大臣 実は、私、八月に大臣になったばかりなので、まだその時期に至っておりません。これからのことです。
○小川委員 四月に大きな人事があるでしょう。既に内定が出ているんじゃないですか、三月に。
○野田国務大臣 ちょっと四月のことはわからないですが、通常七月に大きな人事があります。
○小川委員 指定職以上はそうですか、ほとんど七月ですか。それは受けとめたいと思いますが。
本来、私が申し上げたいのは、政権は閣僚に対して人事権を持っていますから、その閣僚が組織内で有効に人事権を行使できれば求心力は発揮できるはずなんです。
しかし、歴代の慣行によって、余り、現場で閣僚が官僚に対する人事権を行使することにある種おっかなびっくりになってきた経緯があります、実態として。したがって、次官の人事は歴代次官が行うというような変な慣行もあるわけですよね。ですから、本来は、閣僚が主導的に我が省内の人事権を行使するというのが最も健全な姿なんです。しかし、それに実効性がないがために、内閣人事局という大がかりな仕掛けをつくって各省庁の人事権を掌握しようとしたという一連の経緯にあります。
したがって、二つ申し上げたいのは、大臣には有効にみずからの人事権を行使していただかなければならない。しかし、行使するに当たっては、極めて重大なモラルなり、あるいは国民との関係における説明責任なり、徳性が極めて厳重に求められるということの自覚を持って、私は、この公文書偽造の問題が、内閣の人事権が悪いかのように議論されることに違和感を感じていまして、それは行使する側が問われているんだということをもって、この議論はぜひ建設的に進めていただきたいと思っております。
会長、冒頭の御質問にはお答えいただけなかったんですが、御就任から間もなく一年強ですか、この一年、いかがですか。成果とそして課題、簡潔に振り返っていただくと、会長みずからの、トップとしてのこの一年の任期、振り返られていかがですか。
○上田参考人 お答えいたします。
今先生がおっしゃいましたように、一月の二十五日に就任いたしましたので、一年二カ月ということになります。
この間、残念なことで申し上げますと、やはり不祥事が後を絶たなかったということで、これに関して私は非常に申しわけなく、かつ、残念に思っていまして、二度と、過労死の問題は私以前ですけれども、こういった問題も含めまして、やはりまずはコンプライアンスに関して徹底した対応をとっていきたいと考えております。
その上で、私は、できるだけコンセンサス経営といいますか、役員の間で、ともすれば縦割りと言われがちな組織でしたので、たまたま新しい三カ年の経営計画を策定するという時期でもありましたので、この一年間、十二名の役員の間で、恐らく数十時間といいますか、大変に長い時間を使って、NHKが抱えている経営課題に関しては皆で情報を共有し、それぞれの経験、立場を踏まえて意見を述べてもらうということでやってまいりました。
私は、三年間をホップ、ステップ、ジャンプというふうに呼んでいまして、このホップ期間に、課題の洗い出し、それから、次の経営計画を含めた目標、ビジョンというのをある程度示せたんじゃないかと考えておりまして、次のステップの期間に、例えば三つの改革を今掲げているんですが、一つは働き方改革です。これはしっかり取り組んでまいります。それからもう一つは、やはりグループ経営をどうするかという問題がありまして、このグループ経営改革。それからもう一つは、地方に寄り添うという意味で、地方改革と呼んでいますけれども、この三つ、具体的にどういう形で、組織的な対応も含めてやっていくかということの、そういう仕組みを組織の中にしっかりと埋め込むということをやっていって、三年目のジャンプの期間で、それをしっかりとビジョンに向かって着実に積み上げて実行に移していく、そういう心づもりで経営の旗を振っております。
○小川委員 前会長が非常に個性の際立った方でありましたので、新会長就任後、外目には、協会運営は落ちついてきているのかなという印象は受けとめています。
これは一月四日ですか、会長の年頭所感を拝読させていただきました。今まさにお述べになったとおり、意外なほどにといいますか驚くほどに、この働き方改革をイの一番に挙げておられるということを私なりに受けとめさせていただきました。それだけ、さきに明らかになった過労死の問題を含めて、重大な関心を会長御自身が寄せておられる。また、政権の主要課題にこの働き方改革が掲げられているということも背景としてあるような気がいたします。
ただ、残念なのは、この会長の年頭所感の中に、この過労死の事実あるいはそれを長年公表してこなかったことについては一切触れられておりません。こうしたことを率直に触れてこその改革マインドではないのかという点は、少し不満に感じます。
その上で、協会内部で現在裁量労働制はどのように適用されているのか、その適用状況をお聞きしたいと思います。
○上田参考人 お答えいたします。
NHKでは、以前、事業場外みなし労働時間制を導入していましたけれども、佐戸未和記者がお亡くなりになったことを踏まえまして、これを契機に、労使で記者にふさわしい勤務制度について協議を重ね、昨年四月に専門業務型裁量労働制を導入いたしました。
制度導入の検討に合わせて、記者の働き方を見直すプロジェクトを立ち上げまして、長時間労働の抑制や休日の一層の確保等に取り組んでまいりました。
その結果、休日の確保が着実に進み、昨年四月から九月の上半期は、前年の同じ時期と比べまして、一人当たり月平均一日、半年では六日ふえております。
制度の導入に当たっては、給与体系については旧制度と同様とし、総体として処遇水準を維持することとして設計いたしております。
専門業務型裁量労働制は、勤務状況に応じた健康確保措置が義務づけられており、導入により、記者に求められる自律的な働き方を担保しながら、勤務管理や健康管理の強化が図られてきているというふうに考えております。
○小川委員 月に一日休日がふえたというただいまの御報告でありますが、昨年、労働基準監督署から注意を受けていますよね、NHKは。このみなし労働時間の適用状況について御報告ください。
○根本参考人 お答え申し上げます。
ただいま、裁量労働制につきましては、全国、NHKの取材記者九百人におよそ適用させていただいております。
今先生御指摘の指導の件ですけれども、昨年十二月十四日に労働基準監督署から指導票を受領しております。
指導の主な内容は、昨年四月から記者に導入している専門業務型裁量労働制について、制度内容の見直しなどを求めるものでありました。
具体的には、専門業務型裁量労働制において、労使協定で定めるとされているみなし労働時間について、実態を踏まえて適切な水準に定めるよう、業務の見直しも含めて対応を求めるものでありました。
NHKとしましては、労働基準監督署からの指導を重く受けとめまして、健康被害を防止する必要な措置をとりたいということで、現在、労使で協議をしているところでございます。
○小川委員 いや、質問に答えてください。今、何時間、みなし労働時間になっているんですか。
○根本参考人 現在のみなし労働時間は七・五時間ということになっております。
○小川委員 会長、報道の現場の御経験はありませんよね。記者としての経験もない。記者の方に一日七・五時間のみなし労働時間を適用しているということは御存じでしたか、会長御自身は。
○上田参考人 お答えいたします。
先ほど根本の方から説明させていただきましたが、労働基準監督署の指導票は、制度自体を不適切としたものではなく、みなし労働時間と勤務の実態との間に乖離があるのではないかという観点からの、みなし労働時間について労使で検証し、その結果に応じて適正な水準に定めるように求められたものと考えておりまして、これを議論する過程においては私も七・五時間というのは理解いたしておりました。
○小川委員 これは大臣始め政治家の皆様もよく御存じだと思います。現場の、これは政治部に限らず、記者の方々のお仕事ぶりたるや、いわゆる夜討ち朝駆けですか、ちょっと尋常とは思えない勤務時間、勤務体系、それを一日七・五で丸めるということ自体、少し理解できませんし、また、法令上、確かに、この報道職は裁量労働制の対象に明示的になっているんですよね。
しかし、よく考えると、いわゆる本来の企画業務、極めて集中的な頭脳労働によって高い付加価値を生むという職種も確かに世の中にはあるでしょう、クリエーティブな仕事を始めとして。しかし、現場記者の労働形態たるや、どちらかというと肉体労働ですよ。特に、取材対象者に肉薄をして、いや、家族より取材対象者と長く一緒にいるんだと豪語される記者も一人や二人ではありません。極めてその労働時間、拘束時間に比例する形で、情報をとって、情報機微に触れて、人間関係をつくってという職種形態なんですよね。それからすれば、確かに法令上そうなんですが、ましてや七・五時間という形で丸める、一まとめにした労働契約そのものが極めて妥当を欠くと思います。
現在、労使でその見直しを協議しているということだと思いますが、再三会長が口にされておられる働き方改革、そして職員の心身の健康、さらには現政権が掲げているこの制度改革の趣旨等に鑑みて、極めて働く者の立場に立ったこの裁量労働制の適用の見直しを、組織の責任者として、会長として、誠実に労使協議に臨み、それを、この春、四月ですか、実現するということをここでお約束いただきたいと思います。
○上田参考人 お答えいたします。
今後のみなし労働時間につきましては、先ほどから何度か申し上げていますように、労基署からの指摘もありますし、よく組合と検証、議論しながら、適切な水準を見きわめてまいりたいというふうに考えております。
○小川委員 ぜひ、四月には、目に見える形でいい結果をお出しいただくことを御期待を申し上げ、受信料や番組内容についても少しお聞きをしたかったのですが、また機会を改めたいと思います。
ありがとうございました。
▲このページのTOPへ
|