民主党 衆議院議員 小川淳也
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〜会議録(2017年6月1日総務委員会)〜

○小川委員  民進党の小川淳也でございます。

 大臣、連日の国会質疑、お疲れさまでございます。最後の内閣提出法案と今国会はお聞きをしておりますので、真摯な御答弁をぜひお願い申し上げたいと思います。

 まず、電子委任状法に関連して、この法案に私どもは賛成をいたします、したがって、大きな異議があるわけではございませんが、少し形式面と実態面で確認したいことがございますので、それぞれお尋ね申し上げます。

 まず、形式についてでありますが、先ほど高木委員が電子署名法に触れられました。恐らく、契約書類あるいは申請書類等を電子化するに当たって、本人性を電子空間上確かめるという意味ではこの電子署名という概念があるんだと思います。今般、これに加えて、電子委任状法という委任関係を明確にするための法律が、新法が一本立てられるわけです。そこに若干違和感を感じております。

 委任関係というのは、いわば契約関係あるいは申請書類等でいえば、補完的、補足的な役割を果たすものだろうと思います。したがって、法形式上、電子署名法の改正により、電子委任という枠組みを一つ、カテゴリーを設けることの方が実態に合っているのではないかと思います。

 新法ということに少し違和感を感じておりますが、まずこの点からお聞きしたいと思います。

○谷脇政府参考人  お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、電子署名法の改正による対応ということも確かに選択肢の一つではあったというふうに考えております。

 しかしながら、電子署名法における特定認証業務が個人の本人性を証明するものであるのに対しまして、本法案における電子委任状取扱業務は役職や権限などの個人の属性の証明にかかわるものであり、この両者の性質が異なるということ、それからもう一点、電子署名法における電子証明書が認証事業者によって作成されるものであるのに対しまして、本法案における電子委任状はあくまで法人代表者等が自分で作成するものであり、この両者の位置づけが異なることから、法制上の整理といたしまして、電子署名法とは別の法律により対応を図ることとしたものでございます。

○小川委員  ぜひ大臣から御答弁、大臣にもちょっとお考えいただきたいところがありましたので、昨日も、局長の陪席については了といたしますが、大臣にお聞きしますということで御出席いただいていますので、細則は結構ですが、基本的なところは大臣から御答弁いただきたい。ちょっと確認させていただきます。

 その上で、今の御答弁に関連すると思われます、形式と実態との関係について。

 今回、この法案の必要性を事前に御説明いただく際に、例えば党の部門会議等でよく事例として挙げられましたのが、先立つ質疑の中でも出ておりましたが、雇用証明とか、そういう法人関係のものが専らでありました。

 もちろん個人間でも委任関係というのは発生しますから、この法律にそれなりの意義はあると思いますが、私は率直に、法人であれば、法人としての何らかの証明、申請、あるいは契約関係を行うのであれば、まさに、法人に電子署名、あるいは法人としての電子署名を認証する仕組みがあれば、委任関係を一々追跡する法整備をする必要もないし、むしろ、その方が社会通念に合っているという気がいたします。

 実態面のお尋ねは、委任関係を追跡する法制整備より、むしろ、法人の電子署名、法人の電子署名に対する認証制度をつくるということの方が適切だったのではないかというお尋ねですが、これはぜひ大臣から御答弁ください。

○高市国務大臣  法人による電子署名ができるような制度をつくるという御指摘でございますが、我が国の民事法の体系上、法人は権利義務の帰属主体とはなり得るのですけれども、契約などの具体的な行為は、あくまでも代表者である自然人が行い、その効果が法人に帰属するということとなっています。

 ですから、今回は、現行法制度との整合性を図るべく、法人の電子署名を制度上位置づけるという方法はとりませんでした。

 政府としては、対面、書面原則というものを転換して、手続の電子化を推進していくということが基本的な方針でございます。

 今後の技術ですとか社会の変化も踏まえながら、この法案も含めて、既存の制度や業務のあり方ということを不断に見直していくというのは必要だと考えております。

○小川委員  今の御答弁、ひとまず受けとめたいと思います。それに、電子化を推進していくということからいえば、一里塚であり、そしてさらに便宜を図ったという意味で、今回、私どもも賛成するわけなんです。

 しかし、後にちょっと質問させていただきますが、例えば今般、ふるさと納税に関して、総務省として通知を発せられました。それは担当課長名で発せられているんですね。これを受け取った側からすると、この担当課長は、もちろん、つかさつかさで分掌しているわけですから、一定の権限はあると思いますが、最終的には、総務大臣の助言、指導権限を背景に通知を発しているわけです。

 そうすると、あえて今回議論していることを現物で、実態面でイメージしますと、この課長通知と、そして大臣から担当課長に委任状、この担当課長は真に私の、総務大臣のこうした技術的助言を行う権限を持った者です、ですからその権限を委任していますという委任状とがセットで来るというイメージなんですよね。

 一方、総務大臣名での通知に、総務大臣の公印を押すということはよくあることだと思います。この総務大臣の公印は、まさに高市早苗さんの印鑑なのか、いや、誰が大臣であるかにかかわらず、総務大臣という公職の、政府機関、法人を代表する者の公印なのか。私は、後者だと思うんです。

 ですから、例えば今議論になっている雇用証明やさまざまな法人の証明関係が担当者名で来るよりは、正当に本来の権限を有した例えば代表取締役から来る、その電子署名を行ったかどうかは、担当部長なのか担当課長なのか係長なのか、いろいろあるでしょう、しかし、それは社内の問題であって、社内規定により整理をしていればいいというふうに、社会通念に照らせばそうだと思うんです。

 その意味で、今回、あくまで一里塚としては賛成するんですが、将来的には、やはり法人としての公印、法人としての電子署名、そしてそれを認証する仕組み、これを考えていくべきだと思いますので、この点、大臣、もう少し前向きに、きょうあすとは言いません、長期的な課題としてはそれは大きな課題だ、政策課題だということをぜひ御答弁いただきたいと思います。

○高市国務大臣  総務省だけで決断することはできません。

 先ほど申し上げましたように、例えば民法第三十四条の規定など、現在の民法の考え方というものがございます。法人というのは自然人におけるような意味での行為能力ということを観念することができないとされておりますので、今後、先ほどの答弁申し上げた件から一歩進めてというのは現段階で非常に難しいんですが、やはり今後の技術ですとか社会の変化も含めて、法務省などとも協議をしながら、業務のあり方を見直していくということでございます。

○小川委員  ちょっとしつこくて恐縮です。半歩前向きなニュアンスを受けとめましたが、まさにその点、法人は実在しているのか、あるいは擬制されたものなのか、これは非常に学術的な問いであり、なかなか一義的に答えが出にくいことかもしれません。

 まさに今大臣がおっしゃった点を、昨日、担当課とさんざん議論をさせていただいた上でここに臨んでいるわけでありますけれども、例えば法人に関して言えば、印鑑登録というのは法人にも認められていますよね。そういう実態面からすれば、法人の印鑑登録を電子化する、シンプルに考えれば。そういう議論でもあり得るわけですから、ぜひここは余りかたくなになられずに、今回の法案は今回の法案として、やはり将来的には、法人の法人としての意思表明、あるいは権利義務主体、この世界観を電子化していくということもぜひお考えをいただきたい。しつこくて恐縮ですが、今後の検討課題としてぜひ引き取っていただきたいと思います。

 その上で、個人番号カードの利用状況等については先ほどの質疑の中でもございました。一点、ちょっと、国民に身近な話になり得ることですので、その利用普及促進の観点からお尋ねさせていただきます。

 当然、この電子的な意思表示等には、マイナンバーカードを取得して、その読み取り機を含めたインフラ整備が必要でありますが、まだまだ一千万枚ちょっとということで、国民全体からすれば、普及度合いは一割に満たない状況でしょうか。そのように受けとめております。

 この利用普及促進の観点から、例えば、民間のポイントカードや銀行のキャッシュカード、あるいは国保、私は、場合によっては運転免許証のようなものも含めて、このICチップに記入する、記載をする、一種のオールマイティーなカードとしてマイナンバーカードが利用されるときがやってくるというのが一つの方向感。もちろん、管理をすることの要請というのは極めて高まるわけでありますが、それにしても、何枚も何枚も似たようなカードを持たされている現状からすれば、極めて有効な方法だろうと思います。

 したがって、運転免許証や国保、社会保険関係といった公的なものと、それから各種ポイントカード、ポイントプログラム、民間の利活用の局面、この双方あわせてどのようにこれから利用していくのか。これを進めていくという報道も先ごろ見られましたのでお尋ねをしていますが、どういう課題に対してどのようなスピード感で進めていかれるのか、この点をお聞きしたいと思います。

○高市国務大臣  マイナンバーカードの公的個人認証の機能、いわゆるマイキーの部分でございますが、これは、国や地方自治体だけではなくて、民間でも活用していただけるものでございます。

 このマイキー部分のさまざまな可能性を活用して、より便利な暮らし、それから、できますれば地域の活性化につなげていきたいという強い思いがございまして、マイナンバーカードを各種カードのサービスを呼び出す共通の手段とするためのマイキープラットフォームというのを構築しております。これによって、マイナンバーカード一枚で、例えば図書館カードや商店街、自治体のポイントカードなど、さまざまな利用カードとして使えるようにしていきたいと思っております。

 それから、クレジットカードなどのポイントやマイレージ、携帯電話のポイントなど、これが毎年度数千億円規模で発行されているんですけれども、相当程度使われていないという話もあります。私自身もそうです。はっと気がついたら、一生懸命ためたポイントが期限切れだったということがございます。これらを地域経済応援ポイントとして自治体ポイントに合算して、それぞれの地域で使えるようにして地域の消費を拡大して、地域の活性化につなげたいと考えました。

 そこで、マイキープラットフォームと自治体ポイント管理クラウドを構築して、クレジットカードなどのポイントやマイレージをそれぞれの自治体のポイントに合算して、地域にとっても利用者の方にとっても使いやすいものにしてまいりたいと思っております。

 具体的には、今、地域の商店街などで使う、それから観光地で使う、オンラインで全国の地域の特産品などが購入できるようにすることを想定しながら、関連システムを構築中でございます。今年度内のできるだけ早い時期に運用開始を目指しております。

 それから、先ほど、例えば運転免許証ですか、そういった公的なものとしてもということで事例を挙げていただきましたけれども、さまざまな用途がこれからあるということで、健康保険証を初めさまざまな使い方、診察券として使えるんじゃないかとか、各省と連携をしながらお話し合いをして、順次できたものからマイナンバーカードを使って実行していくということで、先般、マイナンバーカードの利活用のロードマップを策定して発表させていただきました。ことしの三月につくったものでございます。

 スピード感を持って進めてまいりますし、このロードマップは、技術の進捗の状況などもありますから、絶えず進捗管理をしながら、必要に応じて前倒したり、時には安全性ですとかいろいろなことを勘案しながら少し後ろにずらすこともあるかもしれませんが、進捗管理をしながらしっかりと改善を積み重ねて、少しでも便利なカードへと発展させていきたいと思っております。

○小川委員  これからも、もちろん、個人情報を含めた安全管理の研究と利便性を高める研究、そして冒頭申し上げた法人にとっての便宜、これらのセットでぜひとも御議論をいただきますようにお願いを申し上げ、この点についての質問をひとまず終えたいと思います。

 後半、ちょっと総務行政全般についてお聞きをいたします。

 大変残念なことでありますが、ここはちょっと野党の立場から看過できませんので、少し大臣の受けとめを改めて公式にお聞きしたいと思います。

 ほかでもありません。先月ですか、五月の二十九日に、国連の人権理事会に提出される特別報告者の報告が、非常に、日本の報道の自由あるいは表現の自由に対して、政府並びに与党から圧力ともとられかねない状況が頻発をしている、そのことに対する懸念が表明されたわけであります。

 これについて、まず大臣の受けとめをお聞きしたいと思うんですが、その中でも、名指しで、昨年さんざん総務委員会でも議論になりましたが、いわゆる高市大臣の停波発言、ここが引用されているわけであります。これについては、おどしともとられかねないという大変強い表現もございます。国連の人権理事会にこのような報告がなされているということについて、まず総務大臣の受けとめをお聞かせいただきたいと思います。

○高市国務大臣  デビッド・ケイ氏は表現の自由国連特別報告者でありまして、この方による訪日報告書案というもの、まだ事前の未編集版だと聞いておりますが、これが国連人権高等弁務官事務所のホームページ上に公表されました。

 その中で、私が答弁した放送法第四条と第百七十四条に関する、これは民主党政権時代と同じ従来からの政府解釈でございますが、この内容がメディアを制約する脅迫として受け取られる可能性というような表現で指摘されているということでございます。

 この点につきましては、これまでも機会を捉えて丁寧に説明を続けておりますし、ケイ氏からの求めに応じて、日本政府としての説明文書を送って、誤解に基づく点について再考を求めたにもかかわらず、日本政府の立場を反映していない内容の報告書案を公表されたということは大変残念に思っております。

 欧米などの主要国において、番組規律違反に対する刑事罰ですとか、行政庁による罰金の規定というのが設けられていて、実際に発動された例もあると承知していますが、日本にはそのような規定はなくて、放送法第四条違反として放送法第百七十四条や電波法第七十六条を適用した例もございません。

 ですから、今後、日本政府としては、説明文書に記載したわけでございますけれども、総務省としては、ケイ氏に対して、日本の国内法である放送法の解釈を含む状況というのが正しく理解されるように、外務省と連携しながら取り組ませていただきます。

○小川委員  最終的には当然そのような御答弁だろうと予想もしておりますし、また、日本政府として反論書を送られたということでありますので、そういうことだとは受けとめているんですね。

 ただ、後にももう一点お聞きしたいんですが、やはり少なくとも国連の、まあどういう、国連を代表する方かどうかは別としても、国連の公式機関あるいは公式に委託された研究者が、日本の報道の自由あるいは表現の自由に関連して、特に政府あるいは与党という非常に強い権力を持った側からおどしともとられかねないような状態、事態が起きているということが公式に述べられたことに関しては、厳粛に受けとめるとか、あるいは真摯に受けとめるとか、まずそのワンクッションがあって、その上で反論されるというのが常識的な対応ではないか。私はそう思うんですが、大臣、いかがですか。

○高市国務大臣  まず、ケイ氏がまとめられた報告書案でございますけれども、大いなる誤解に基づくものだと考えております。

 奥野先生もいらっしゃるので恐縮でございますが、昨年二月八日の衆議院予算委員会における私の答弁は、奥野先生から御質問を受けて、放送法第四条第一項に違反した放送が行われた場合に、その放送事業者に対して、放送法第百七十四条の業務停止命令や電波法第七十六条の無線局の運用停止命令に関する規定が適用される可能性はあるのかと問われたため、従来からの法律の枠組みですとか解釈を答弁したものでございます。

 民主党政権下でも同様の答弁があり、また、その前の自公政権下でも同様の答弁がございますので、行政の継続性の観点から、これはあくまでも法律の枠組みや解釈の答弁でございますから、これはそうさせていただいたということも含めて、ケイ氏には説明をさせていただいております。

 国連の人権理事会の特別報告者ということですが、これは特定の人権テーマについて調査報告を行うために任命する独立専門家ということですが、この報告者の見解というのは個人としての資格で述べられるものであって、国連または人権理事会としての見解ではない、その報告書に含まれる勧告に法的拘束力はないと聞いております。

 それから、以前は主に中東、アフリカなどの国を訪問されたことが多かったと思います。例えば、米国、アメリカですとか、中国、ロシアにはなぜ行かないのだろうという御疑問もあるかもしれませんけれども、これも、二〇一一年ですから民主党政権時代ですが、全てのテーマ別特別手続に関する無期限有効な招待状というものを日本の方から発出しているので、それをもって、日本に対して、昨年初めてこの報告者が来日されたということを聞いております。

 一旦それを受けとめてというお話でございますけれども、個人の資格での見解でございます。国連としての公式見解だとは受けとめておりませんし、誤解に基づく部分について、説明した、日本政府から反論したことについて十分に反映されていない内容だと考えておりますので、引き続き外務省と連携して理解を求めてまいります。

○小川委員  反論の内容については、私も受けとめるべき部分はあると思うんですよね。

 ただ、やはり、ちょっと国会審議の場ですから、余り曖昧なこと、中途半端なことを申し上げにくいんですが、野党としては、これはずっと懸念してきたことです。政府側の反論、高市大臣の反論はあると思いますが、野党としては、同じような懸念をずっと表明し続けてきたことであります。

 それと同趣旨のことを国連のしかるべき方がおっしゃった。代表しているのかどうかは別ですが、少なくとも公式な機関に所属をされる方の報告ですから、私は、まず、それなりに重く受けとめる、あるいは真摯に受けとめる、謙虚に受けとめるという一言があれば人心がおさまるという部分において、非常に大臣の御発言なり御答弁が一面的だというふうに感じるわけなんです。

 民主党政権時代の解釈の表明もありましたし、同じような御答弁だということでありますが、恐らくこの方も、いろいろな周辺状況をあわせて総合判断しているんじゃないかと想像します。それは、与党側のいろいろな発言もありました、それから安倍総理御自身がニュース番組の席上でおっしゃったこともあった。ですから、政権全体としての立ち位置やあるいは体質、そうしたものから総合的に評価、判断しておっしゃっている可能性もあるわけで、そこはぜひ、謙虚に受けとめたい、あるいは真摯に受けとめたいというお言葉が一言あれば、その上で反論をお聞きする、野党側としてもそういう心境になるわけでありまして、その点は重ねて指摘したいと思います。

 同時に、政府・与党と報道機関との関係もありますが、今般、最近といいますか、特に議論されているのは、政府、政権と官僚との関係であります。

 特に、やはり私どもも衝撃を持って受けとめたわけですが、前川前文科次官の、加計学園問題に対する総理官邸からのプレッシャー、圧力が実際にあった、そして文科省から流出したと思われる文書は真正なものだという告発、これも同様に、私は、政府として、あるいは責任ある閣僚として極めて重く受けとめるべきだと思います。反論はあっていいですよ、反論はあっていいと思いますが。

 これに関する大臣の会見発言を拝見しました。行政がゆがめられたとみずからおっしゃるとしたら、私には理解できかねます、仮にそのようなおそれがあるのであれば、官僚として、それもトップとして、しっかり意見の食い違っている他省とお話し合いをされるべきだったと思いますと。

 これはそのとおりなんですよね。私も同感です。全くそのとおりです。ただ、やはりおっしゃっていることは一面的なんですよ。

 もう一つおっしゃるべきことが私はあると思います。それは、総務省ではないにしても、政権中枢で事務次官まで務められた方がです、事務次官まで務められた方が、ああして顔をさらして、体を張って告発に踏み切らざるを得なかった、そこには相当強い力学が働いた結果、ああいう形になったと思われます。このことに対しては、尋常ならざる事態だ、同様に、真摯に謙虚に政権として受けとめなければならないということをまず一言おっしゃって、その上で反論なさるべきではありませんか。

○高市国務大臣  私の記者会見に触れられましたが、これは五月二十六日の閣議後記者会見でございます。

 これは、前川次官の記者会見についてどう評価されるかということを聞かれましたので、会見を私が見ていたわけではございませんから、会見の詳細は承知していないということ、また、大学の設置認可や国家戦略特区法は私の所管外なので、特にコメントはございませんというふうにお答えしたものです。

 その後、さらに、公平な行政がゆがめられているという指摘も前川事務次官の方からあったのですが、その点について、行政評価を担当する大臣としてどうお考えかということでしたので、先ほど委員が御紹介いただいたように答弁をしました。

 つまり、国家公務員は、政治的にも中立で、公平公正に行政を執行する責務を担っている、そのトップであられた方が行政がゆがめられたとみずからおっしゃるとしたら、私には理解できかねるというふうにお答えしました。続けて、仮にそのようなおそれがあるのであれば、官僚として、それも、トップとして、しっかり意見の食い違っている他省とお話し合いをされるべきだったと思うということも申し上げました。

 私が事務次官のおっしゃったことを一旦受けとめるべきだという御指摘なんですが、私が申し上げた趣旨は、例えば総務省でも、入省式のときに、入省者全員が宣誓書を署名、捺印して提出をされ、そして代表者がそれを読み上げます。これは各省共通のものでございますが、「私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の職務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います。」ということです。

 ですから、官僚というのは、不偏不党であり、また、公正に職務の執行に当たるということを誓って、それぞれの職務についておられる。そのトップにおられた方がみずから行政がゆがめられたとおっしゃるということについては、私は理解できないと率直に感じました。

 そしてまた、もう記者会見録をお読みでしょうから御承知だと思いますが、総務省でも、確かに他省と意見の食い違うことはあります。内閣府とも、また内閣官房とも意見が食い違うことはあります。それでも、そのときには、担当局長なり官房長、また事務次官などがカウンターパートといろいろ議論をします。それでも、どうにも折り合わない、向こうの言っていることがどうにも納得できないというようなときには大臣に報告があります。これは、私自身がその役所に出向いたり、また、電話でその大臣と話したり、大体対面をすることが多いのですが、その省の大臣に対して、もう一度御説明申し上げ、理解を求めることもあります。

 政府として、内閣としては、やはり国会に対して、行政執行について一致して責任を持たなきゃいけませんから、その統一した意思決定までの過程にはさまざまなことがございますけれども、そのときにはやはり、そのために政務三役がいるのですから、相手方の、私でしたら大臣としっかり話をして調整をしていく、意思決定、統一した意思の決定ができるように努力をしていくというのが一つの筋だと思っておりますので、そのように私はお答えをいたしました。

○小川委員  建前からいえば、大臣のおっしゃったことは全て正しいと思いますが、今、中央官庁の幹部人事は、内閣が一元的に取り扱うということになりました。これはもともと民主党政権が志向したことで、実現できなかったことでありますので、それ自体を否定するものではありません。

 あわせて、内閣総理大臣が一年や二年でころころかわるというのは私もよくないと思います。決してそれがいいとは思いません。

 したがって、一定の期間、やはり一人の指導者が国家のかじ取りを担うというのも大事なことだと思いますが、政権が長期になればなるほど、いろいろなおもんぱかりや、あるいは最近はやりの言葉で言えば、そんたくということが生じかねないわけでありまして、今まさに大臣がおっしゃった、建前どおりに全ての行政執行が、どこから見られても、あるいはどう情報公開しても大丈夫なようであればいいんですが、なかなかそうはいかない局面も日々刻々出てくる、あるいは出てきても、それは病理現象ですけれども、長期政権の生理現象の裏返しだと私は思うんですよね。

 だからこそ、事務次官まで務めた方がああいう告発に踏み切ったということのシグナルを、これは在職中それから離職後含めて、相当なプレッシャーなりいろいろ積み重なった思いがなければあり得ない言動であり行動だということに対する、もっと感度のいい反応なり、まあ対外的に言いにくいことはあるにしても、私はそういうものが伝わってきてしかるべきではないかと思います。

 最後に、これも断定は避けたいと思いますが、いま一度、報道機関、公共放送として、NHKに関連してお聞きします。

 この前川発言、前川告発が行われたのは五月二十五日の夕方であります。私も断定は避けますが、名前も伏せます。ある民放の、それこそ無視できない方から、公共放送としてちゃんとこのことを報道しているんでしょうかというお尋ねが私にありました。私もわかりませんし、個々の内容に踏み込むわけにまいりませんので、客観的な事実だけ教えてくださいということで昨日お聞きしました。

 二十五日当夜、この前川発言、前川告発はかなり社会的に大きな出来事だと私は受けとめていますが、公共放送として公共放送の視聴者に、具体的に「ニュースウオッチ9」にしましょう、何分間これを報じたんですか。何分このニュースを取り扱ったのか、その事実だけ教えてください。

○木田参考人  お答えいたします。

 当日、二十五日木曜日の「ニュースウオッチ9」では、およそ六分間お伝えいたしました。

○小川委員  この評価も、私もできる立場にありませんし、重ねて断定は避けたいと思いますが、同時刻同時間帯には民放各社がそろってニュース番組を提供しています。社によっては、二十分を超える重大な取り扱いをした局もあります。

 そして、好むと好まざるとにかかわらず、非常に民放界で権威ある方がそういう懸念を個人的にも表明しているという事実もあります。

 この点を表明させていただいて、全体の質疑を終えたいと思います。ありがとうございました。

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