民主党 衆議院議員 小川淳也
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〜会議録(2017年5月9日総務委員会)〜

○小川委員  民進党の小川淳也です。

 まず、この地方公務員法については、大変、きょうは関係諸団体の皆様も傍聴席にお越しでございます、国会の諸事情によりまして、既に参議院で審議が終わっているものを、きょうこうして衆議院で受けとめるということでございまして、しばらくお時間をいただいたことを、やきもきさせたのではないかと思います、おわびを申し上げ、きょうの審議に臨ませていただきたいと思っております。

 再三、我が党の議員から御指摘ございましたとおり、半歩前進と受けとめております。したがって、賛成をさせていただくわけでありますが、その上で、諸課題については、この審議を通しても確認させていただきたいという立場でございます。

 まず、そもそも論で、ちょっと高市総務大臣にお尋ねをいたします。

 現在、六十万人に及んでおります非常勤職員でありますが、かつて、統計がある限り、地方公務員三百三十万人と言われていた時代がございました。現在、それが約二百七十万人ですから、六十万人正規職員が減っているというふうにも見られるわけであります。その一方で、非正規については、統計がある限り、平成十六年、十七年、今から十年ぐらい前が四十五万。それ以前はないようでありますが、現在、六十万人。

 ちょうど正規職員が減った分非正規がふえたというふうに受けとめることができると思いますが、高市大臣、いかがでしょうか。

○高市国務大臣  本来、公務員というのは、正規による採用で、公平性、公正性も担保しながら、そしてまた長期の人材育成ということを前提にしながら採用されるべきものとされてまいりました。

 そんな中で、働く側の多様なニーズもあり、そしてまた住民の方々の多様なニーズ、そして突然起こる臨時的な事態にも対応するような形で、臨時、非常勤の職員というものがふえてきたものだと思っております。

 正規の方々が減った分、その分を臨時、非常勤職員で埋め合わせるという考え方は、決して適切なものではないと私は考えます。

○小川委員  少なくとも、建前としては、ただいまの大臣の御答弁を受けとめたいと思いますが、先立つ池田委員の質疑の中で、まさに地方公共団体における労務管理、人事管理の仕事をしていたその一環として、行革の観点から正規職員数を減らしてきたという、大変正直な質疑があったわけであります。

 それは、私は、むしろ実態に近いのではないかというふうに受けとめています。特に、小泉内閣における三位一体改革、交付税の減額といったような圧力が自治体の現場には相当な影響を与えたのではないかというふうに、これは想像するところであります。

 大臣、改めて、非常勤と臨時任用の原則論を確認したいと思うんですが、仕事が一時的にふえた、これを一時的に賄う非常勤職員。一方、常勤職員が欠けた、これを賄うための臨時職員。今、十分通じておりますでしょうか。一時的に仕事がふえた、それを賄うための非常勤、そして、本来いるはずの常勤職員が病欠や産休等で欠けた、これを賄うのが臨時職員というのがそもそもの原則論だと思うんですよ。

 しかし、それは実態と建前がかなりかけ離れて、財政的に逼迫する中で、先ほど、正規職員の減少数と現在存在する非常勤、非正規と言われる方々との数が、いみじくも一致するわけであります。

 この待遇格差たるや、二分の一とも三分の一とも言われておりますし、ここには、恐らく総務省の指導において、非常勤、非正規の職員を定員管理の枠外にしてきたということも影響しているでしょう。ですから、制度的なアプローチと財源の制約の中で、本来常勤職員によって賄われるべき仕事がいや応なしに非常勤に押しつけられてきたという歴史、現状があるのではないかと思います。

 だからこそ、今回、完全なる解決策とは私どもの立場からは思わないわけでありますが、非常勤の職員、会計年度職員に対して期末手当が支給されるということをもって、半歩前進というふうに受けとめているわけです。

 先立つ高原部長の御答弁の中で、ではこの期末手当の支給水準をどうするのかという質問に対し、国家公務員の支給状況を見ながら決めたいというお話でございました。

 そこで、お忙しい中、官房副長官にお越しをいただいております。

 現在、国家公務員における非正規職員、非常勤職員への期末手当の支給状況、国家公務員においてはどうなっているのか。まず現状の御報告をいただきたいと思います。

○萩生田内閣官房副長官  国家公務員の非常勤職員に関する処遇については、昨年、全府省に対し実態調査を行っておりまして、期末手当や勤勉手当などの支給の有無といった基本的な事項について、現在、内閣人事局として把握をしているところでございます。

 非常勤職員については、その職務の内容や勤務時間や任期など、職員ごとに多様であるため、御指摘の支給される給与の額などは、現状では把握をしておりません。

○小川委員  高原部長にお尋ねしますが、今、国家公務員の支給状況を見ながら決めたいという御答弁と、今し方の萩生田副長官の、国家公務員においては把握していないという御答弁の、このはざま、どう埋めるんですか。

○高原政府参考人  御答弁申し上げます。

 本法案成立の暁には、内閣人事局等とも話し合いをさせていただきまして、国家公務員の方の状況をお伺いした上で、私どもとして、この夏のマニュアルに向けて歩みを進めていきたいと考えております。

 以上でございます。

○小川委員  萩生田副長官、どうされますか、これ。割合でいうと九七%の職員に期末手当が支給されているとお聞きしています。しかし、金額は把握していない。これは把握すべきではありませんか。

○萩生田内閣官房副長官  先生もお役所にいて、その仕組みは御存じだと思いますけれども、各省で、今までは、言うなら各省の判断の中で期末手当の支給がなされてきたわけですけれども、ここできちんとルール化をして、今御指摘のあったように一〇〇%に近い形での支給を実施するというふうになったのは、まだ昨年来のことでございます。

 他方、臨時職員の勤務体系、あるいはその職種、内容によっては、非常に役所ごとに異なるものがございますので、それを一律に横串を刺していくということには、若干、調査をし、時間がかかるんだと思います。

 しかしながら、目指すべき方向は、そういったものがきちんと把握ができていないと、地方公務員に対してもインセンティブを発揮することができないと思っておりますので、そういった努力は今後も続けていきたいと思っています。

○小川委員  実態がさまざまである、あるいは時間が少々かかる、それは結構だと思いますが、少し答弁の末尾を確認したいと思いますが、国家公務員においてきちんと把握する、各省に調査するということでよろしいですね。

○萩生田内閣官房副長官  現状を把握するということの必要性よりは、今後、その支給のシステムを画一的にきちんと、どこの省庁であっても同じような仕組みをつくることの方が有意義なのではないかと私は思っておりまして、調査そのものに莫大な時間と費用をかけるよりは、今回こういった法律を成立させていただいた上に、地方公務員に与える影響というのも当然出てくるわけですから、システムの方できちんとルールづくりをしていきたいと思って、その作業を現在進めているところでございます。

○小川委員  そうしますと、各省ばらばらに行っている任用の仕組み、あるいは支給の水準等を均てん化していくといいますか、標準化していくといいますか、そういう方向感を持って、地方公務員に対する対処上、参考になる指標なりデータも提供するというふうに理解をいたしました。

 では、その前提で、国、地方あわせて、連携のもとに取り組みを進めていただきたい、そのことをお願い申し上げ、萩生田副長官、お忙しいとお聞きしていますので、どうぞ、これで結構です。ありがとうございました。

 それでは、今の前提で、全体の支給水準をこれから議論していただく、そして、夏の通知ではあらかた具体的な指標なり基準を示していただくということを期待を申し上げたいと思います。

 その上で、では、裏づけとなる地方財政措置についてお聞きをいたします。

 これは、残念ながら、施行期日が三十二年でありますから、三年後なんですよね。せっかくいい制度改正が行われても、実際に法律の施行まで三年を要するというのはやや遅きに失する、時間がかかり過ぎだというふうな受けとめを持っております。

 恐らくその理由の大きな部分は、制度設計もあるでしょうが、地財措置、金目の部分においてきちんと手当てできるのかというところが大きいのではないかというふうに想像をいたします。

 まず、高市総務大臣、今般の、特に会計年度、単年度で採用された職員に対する、特に期末手当の支給、これは総額においてどのくらいと見込まれるのか、そして、どのような形で地方財政措置を手法としてとられるおつもりか、この二点、お聞きをいたします。

○高市国務大臣  現在は、各地方公共団体において、臨時、非常勤職員の方々に対する報酬水準がさまざま異なっています。また、勤務形態も多種多様で一律ではございませんので、今回の制度改正によって、全国でどの程度の財政負担が生じるのかということを現時点で正確に見積もるということは困難でございます。

 今回の制度改正について、必要となる財源につきましては、今後、各地方公共団体の対応などについて調査を行う必要があると考えています。その実態を踏まえながら、今回の法改正の趣旨がしっかりと実態としてあらわれてくるように、必要な地方財政措置、そしてその手法についても検討してまいりたいと存じます。

○小川委員  全く白紙というふうに受けとめざるを得ない御答弁なんですが、正確にとまでは申し上げておりません、あらかたと申し上げておりまして、大体どのぐらいの費用がかかるのか。だからこそ自治体には慎重な意見もあるのかということからいえば、あらあらの議論は先行してあっていいと思うんですよ、正確な試算の前に。

 私ですら、これはあらかた電卓をたたけると思いますよ。約六十万人ですよね。高原公務員部長、そこでうなずいていただければ結構なんですが、大体、非常勤職員の年収ベースでいうと、平均的には百八十万円でしょう。そうですよね。期末手当の支給水準は、大体ですよ、標準的にいえば、月給の二・六倍、二・六カ月分。間違いありませんね。ということは、百八十万円ですから、月給ベースだと大体十五万、月額。その二・六カ月分ですから、年間ベースで一人当たり三十九万円。これに六十万人を掛け合わせれば、ざっとですよ、ざっと二千四百億円前後、約二千億という試算。

 そんなに外れた試算ではないと思いますが、高市大臣、いかがですか。

○高原政府参考人  御答弁申し上げます。

 六十四万人のうちには、現在、フルタイムの臨時的任用の方とかがおられます。フルタイムの方には期末手当が出ているケースもございますので、そういった方は今回の地財措置の対象外といいますか、もう既に出ているということでございますので、そこら辺の分析に、私どもかなり時間がかかっているということでございます。

 以上でございます。

○小川委員  それは仮にそうだとしても、二千が三千、五千になったり、二千が千やゼロになったりする話じゃないでしょう。あくまで誤差の範囲内。そうすると、ざっと二千億円前後の追加経費がかかるというもくろみは、当然総務省当局としては持っておられる。私はその前提に立ちたいと思います。

 そうすると、大体、地方公務員の人件費総額が二十兆円前後だと思いますから、約一%人件費増というふうに今回試算すべきではありませんか。そうだと思うんですよ。

 そのときに、問題は、地方財政措置について、この約二千億をどう措置するかを考えたときに、私は、二つ問題にしたい点があります。課題としてしっかり明確にしておきたい点が二つあります。

 一つは、手法として特別な交付金、特例的な交付金を制度設計するということは難しいでしょう。ということは、地方交付税措置を行うということしか具体的には考えられないと思います。

 そうなりますと、地方交付税措置は、御存じのとおり、さまざまな加算、減算を行った結果として総額が決まります。したがって、仮にこの二千億を追加経費で見込んだとしても、さまざまな減算、例えば今年度であれば、特例的な財源措置を、五千億でしたでしょうか、特例加算をやめるという形でマイナス五千億、たしかしていたと思うんですね。このぐらいのオーダーですから、追加的に帳面上やることはできても、実額として本当にのるのかどうか、これは自治体は非常に不安な点だと思います。これが一点。

 もう一点は、各自治体に対する措置のあり方なんですけれども、まさに先立つ御答弁の中で、この会計年度任用職員ができた以上、こちらに誘導したい、通知で誘導したいという明確な御答弁がありました。ぜひその方向でお願いしたいと思いますが、これをあわせて地方財政措置で行えないかということであります。

 ですから、異例の非常勤制度がそのまま残った自治体よりも、せっかくできた会計年度任用職員をしっかりとふやした、あるいは移行した自治体にこそ地財措置を丁寧に行うべきではないか、財源措置によって政策誘導を行うべきではないか。しかし、それができるのかという問題です。

 実際に交付税措置で行うということになりますと、単純に言えば人口とか面積とか職員数とか、非常にこれはいいことだと思いますが、あらあらの数値、測定単位でもってしか地財措置を行いませんので、例えば非常勤職員を減らしたのか、会計年度職員をふやしたのか、こういったところまで踏み込んだ細かい措置というのはできないはずなんですよ。

 この二点。私は約二千億円と踏んでいますが、総額を本当にのせることができるのかどうか、これが一点。そして、会計年度職員をふやすということをもって、具体的な地財措置による誘導ができるのかどうか、これが一点。この二点について、対策、現時点でのお考えをお聞きしたいと思います。

○高原政府参考人  御答弁申し上げます。

 地方財政措置の必要額の確保につきましては、先ほど来、大臣からも御答弁がありましたように、私どもしっかりと対応させていただきたいと考えております。

 その上で、ある意味、その配分のあり方ということになろうかと思いますが、地方交付税の性格からして、標準的な行政経費を措置する、やはりそういう考え方に基づいて交付税は措置することになるのかなというふうなことを今の段階では考えております。

 なお、私ども、会計年度任用職員の移行につきましては、やはり国全体で働き方改革に取り組んでいるという中でございますので、地方公共団体に対しても丁寧に説明して、地方が働き方改革のトップランナーみたいな形になってもらわなきゃいけません。そういう形でしっかりと進めてまいりますので、御理解をいただければと思っております。

 以上でございます。

○小川委員  現時点では今の御答弁をひとまず受けとめたいと思いますが、大臣、そういう課題があるという前提のもとに、今後、具体的な地方財政措置をぜひとも御検討いただきたい。

 最後のお尋ねです。

 冒頭の問題意識に戻るんですが、やはり非常に財政が逼迫する中で、定員管理の外に置かれてきた非常勤職員がふえてきたという認識を私は実質的に持っています。

 実は、この問題は公務の世界に限られません。まさに一般の会社等においても、非正規雇用の割合は四〇%と言われておりますし、また、その待遇格差たるや、同じく、半分とも三分の一とも言われている現実があります。

 これに対して、安倍政権として、いわゆる働き方改革、あるいは同一労働同一賃金という高い旗印を掲げて取り組む、その姿勢を示しておられるわけであります。

 そこで、お尋ねなんですが、既に民間の労働契約法においては、有期雇用を五年間継続した場合には無期雇用に転換すべきであるという趣旨の上に立った法改正が行われました。公務においては、残念ながらこれがないんですね。

 現状、冒頭の問題意識に戻りますが、欠けた常勤職員の三カ月、半年の病欠や産休を補うための臨時任用、あるいは、季節的な事務が一時的にふえた、これを補うための非常勤採用、これは理解しますが、実質、極めて常態化をし、本来常勤職員によって賄われるべきものが、それとは全く異なる事情によって非常勤に置きかわってきたこの歴史、実質的にですよ、それを踏まえれば、少なくとも、民間の雇用契約同様、通算五年を超えた有期労働契約の反復更新に対しては、無期雇用への切りかえを主張する、あるいはそれを求めることができる、このような地方公務員法体系に将来的に移行すべきという認識を私は持っていますが、高市大臣、いかがでしょうか。

○原田副大臣  お答え申し上げます。

 地方公共団体の常勤職員につきましては、国家公務員と同様、競争試験による採用が原則とされております。厳格な成績主義が求められているものでございます。これは、長期継続任用を前提とした人材の育成、確保の観点と、人事の公正を確保し情実人事を排する観点から必要とされているものでございます。

 このため、地方公共団体の臨時、非常勤職員が常勤職員に転換する場合には、競争試験などにより、常勤職員としての能力実証を改めて行う必要がございます。一定期間勤務を継続したことのみをもって常勤職員に転換することは困難であると考えております。

 なお、地方公共団体においては、実態として、教員などの資格職を初めとして、過去に臨時、非常勤職員の勤務経験がある者について、競争試験等により厳格に能力実証を行った上で常勤職員として採用しておる例もあると聞いておりまして、その際、常勤の教員の採用に当たって、臨時的任用教員または非常勤講師等としての勤務経験を考慮し、一部試験を免除し、または特別の選考を実施している地方公共団体もございます。

○小川委員  ただいまの御答弁も、一面からする建前としてはそのとおりだと思いますが、実際に非常勤の反復更新が行われて、常態化しているわけです。

 最後に、厚生労働省が出版をされています無期転換ルールハンドブックの一部を読み上げて、質問を終わりたいと思います。

 多くの会社にとって、有期社員が戦力として定着していると言えます。特に長期間雇用されている有期社員は、仮に一年契約で働いていたとしても、実質的には会社の事業運営に不可欠で恒常的な労働力であることが多く、ほぼ毎年自動的に更新を繰り返しているだけと言えます。このような社員を期間の定めのない労働契約の社員として位置づけ直すことは、むしろ自然なことであり、実態と形式を合わせる措置と言えます。このように考えれば、無期転換は特別なことでも、また、大変なことでもなく、より適切な雇用関係にしていくための取り組みであります。

 これが民間における政府の立場であります。これは地方公務員の雇用関係においても全く同様のことが言えるのではないか、重ねてこのことを申し上げて、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

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