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〜会議録(2017年2月21日 総務委員会)〜
○小川委員 民進党の小川淳也です。
地方税法、地方交付税法についてお聞きをしたいと思います。
まず、高市大臣にお聞きをいたします。
今般の地方税法改正の全体の仕上がりについて、どのような所感をお持ちですか。ちょっと全体像についてお聞かせください。
○竹内委員長 質問の意味はとられましたか。
済みません、もう一度お願いいたします。
○小川委員 今回、地方税法の多岐にわたる改正ですが、その全体像、仕上がりについて、全体的な所感、まずお聞きしたいと思います。
○高市国務大臣 全体的な所感と言われましたのでなかなかお答えもしにくいんですけれども、精いっぱい、必要な税収を確保しながら、安定的な地方の運営が行えるように、そしてまた、特に働き方に関しまして、就業調整をしないで、働きたい方が存分に仕事ができ、女性活躍の観点からも、そしてまた、就業調整を従業員の方がたくさんされることによってお困りになる事業者の方々への配慮の観点からも、一定の改革に踏み出せたんじゃないかなと思っております。
○小川委員 大変多岐にわたる改正項目なんですが、根本的なテーマから個別特例まで、さまざまなものが入ってくるわけです。その中で、まさに大臣がお触れになった働き方改革に関連して、やはり目玉の一つはこの配偶者控除の見直しだったんだろうというふうに受けとめております。
ただ、議論の経過の中で、非常に驚きましたし、またがっかりもいたしました。最初は、この配偶者控除を廃止されるという前提で恐らくは議論が進んでいたはずなんですが、いつのころからか、逆に拡充という位置づけになったわけでありまして、これは制度改革の本旨からいいますと矛盾した対応だったのではありませんか、大臣。
○高市国務大臣 まず、配偶者控除の廃止という話につきましては、政府税制調査会が昨年十一月に取りまとめた経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告において、一定の収入以下の配偶者を有する者について担税力の減殺を調整しないのは、他の控除との整合性も含め問題があるのではないかといった課題が示されました。
また、与党の税制調査会においても、配偶者控除は、扶養控除と同様、一定の収入以下の配偶者がいる方の税負担能力に配慮する仕組みであること、諸外国においても配偶者の存在を考慮した仕組みが設けられていることを踏まえれば、廃止して配偶者に何らの配慮も行わないことには問題があるとされています。
こうした中で、就業調整をめぐる喫緊の課題には対応しなければなりませんので、そのために、配偶者控除等については、配偶者の収入制限の引き上げなどを行うこととしたということでございます。
○小川委員 まさに、配偶者の収入状況について一定配慮するということは一つの考え方としてあると思うんですが、この配偶者控除の見直しには、思い切った立場からいえば大きく二つの方法があって、収入制限を撤廃し、全ての配偶者を控除の対象にするというのが一つです。一方、この控除そのものを廃止して、これは完全なる増税でありますが、まさに子育てや教育、家庭環境を整えるための社会政策に充てる。この両方の大きな方向感の間からいうと、非常に中途半端な格好になったのではないかと思います。
ここは総務委員会ですから、少し税の理論に従って、今回のこの政策が、いろいろな税は一つの体系になっているだけに、一つがとっぴな形で、政府の立場からいえば突破口を開こうとしたんだと思いますが、税の体系からいうと非常にバランスが崩れたというふうにも感じていますので、ちょっと税理論上、大臣の御見識をお聞きしたいと思っております。
その前に、まず、先ほど奥野委員の指摘にもございましたが、きょうは厚生労働省からもお越しをいただいております。今回の対応について、所得税、地方税、住民税は、百三万の壁を百五十万に伸ばした。一方、社会保険は、百三十万と言われていた壁を百六万に縮めた。まさにこれは、あべこべ、矛盾する逆方向の改革案を、同じ目的に向かっているはずなんですが、まさに逆方向のことをやって、政策効果は互いに打ち消すんじゃありませんか。厚生労働省にお聞きいたします。
○馬場大臣政務官 お答えします。
働きたい人が働きやすい環境を整えるとともに、短時間労働者について、年金などの保障を厚くする観点から、厚生年金や健康保険といった被用者保険の適用拡大を着実に進めていくことが重要と考えております。
被用者保険は、給付と負担のバランスにより成り立っておりまして、加入し、保険料を負担いただくことによって、将来受け取ることができる年金がふえる、病気やけがで会社を休んだときの疾病手当金や出産手当金を受け取れるなどの、直接の反対給付が受けられることになります。
このため、被用者保険のメリットを受ける人をふやすためには賃金や労働時間等の適用基準を引き下げる必要があるというこの点を、税とは仕組み、目的が異なることを御理解いただきたいというふうに思います。
こうした観点から、昨年十月から、大企業で働く短時間労働者を対象に被用者保険の適用拡大が始まり、さらに、昨年末に成立した年金改革法に基づいて、ことしの四月からは、労使の合意を前提に、中小企業等で働く短時間労働者にも適用拡大の道を開いたところであります。
今後、適用拡大の施行状況、個人の就労実態や企業に与える影響等を見ながら、さらなる適用拡大について検討していきたいというふうに存じております。
○小川委員 答弁をお読みいただくのもいいんですが、質問に直接お答えをいただきたいんですね。
厚生労働省としては、社会保険、厚生年金の適用対象を百三十万から百六万に下げたわけです。所得税、住民税においては、百三万と言われる壁があったわけですね。そうすると、むしろこの壁はあった方が、税、社会保険料一体となった社会政策上、適切なのではありませんかというふうにお聞きしています。
○馬場大臣政務官 今の御質問に対しましては、今後まだ検討を進めながら、状況をしっかりと見ながら、検討はしっかりとやっていきたいというふうに思っています。
○小川委員 どういうふうに検討するんですか。
○馬場大臣政務官 今後の状況を、先ほども申し上げましたように、施行状況なりなんなり、これからしっかりと見させていただきながらということになります。
○小川委員 ということは、社会保険の方では限度額を引き下げ、税の方では限度額を引き上げたということは矛盾しているということはお認めいただけますね。
○馬場大臣政務官 お答えします。
先ほどお答えさせていただきましたが、保険料の負担をいただくことによって、将来受け取ることができる年金がふえる、あるいは病気やけがで会社を休んだときの傷病手当金や出産手当金を受け取れるなどの、反対給付が受けられることになります。
本当に先生御承知のことだというふうに思いますが、被用者保険のメリットを受ける人をふやすためにも適用基準を引き下げる必要があることは御理解いただけるというふうに思いますが、いずれにしろ、税とは仕組み、目的が異なることは御承知だというふうに思いますが、それを御理解いただきたいというふうに思います。
○小川委員 そうはいっても、働き方に対して中立な仕組みを目指すわけでありまして、現に、就労調整を疑わしめる百万円前後の壁と百三十万円前後の壁は存在しているわけですから。
ですから、当然、社会保険と税に政策目的の違いはあると思いますが、しかし、特定の給付を対価として、まあ税の場合は一般的給付でしょうね、社会保険の場合はその方に対する特定の給付でしょう。しかし、一定の公的負担を強制され、そして一定の給付を受け取るという意味において、それほど税制政策と社会保障政策は異なるとも思えません。
特に、この収入制限の引き方は、ダイレクトに就労調整に与える影響が大きいわけですから。改めて、今回の社会保険は下げたにもかかわらず税は上げたという対応については、極めて矛盾に満ちたものだという点は強く指摘しておきたいと思います。
二、三、これに加えて、ちょっと税理論上やはり整理していただきたい疑問点があるんですけれども、配偶者控除について、以前は扶養控除と同額の収入制限でした、百三万円。子供さんやあるいは老親、親も含めて扶養控除という制度がありましたし、今もあるわけですが、こちらは収入制限百三万です。ですから、配偶者控除と扶養控除は、その意味においては扶養親族に対する控除制度としては並びがとれていたわけですね。
なぜ配偶者に限って百五十万、そして扶養控除、扶養親族については百三万のままなのか。ここはどう説明されますか、高市大臣。
○林崎政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど高市大臣の方からも御紹介ございましたけれども、今般の改革につきましては、これは、就業調整をめぐる喫緊の課題に対応するために、配偶者控除等について配偶者の収入制限を引き上げるということ、そして、配偶者控除に納税者本人の所得制限を設けて、国、地方を通じて税収中立を確保する、こうしたわけでございます。
この点につきまして、配偶者控除において納税者本人に所得制限を設けることにつきましては、政府税制調査会が昨年十一月に取りまとめましたいわゆる中間報告におきまして、「担税力の減殺を調整する必要性や所得再分配機能の回復の観点から高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要性は乏しい」という指摘をされているところでございます。
関連して、現行の配偶者特別控除においても納税者本人の所得制限が設定されておりまして、前年の合計所得金額が一千万円超である場合には配偶者特別控除の適用はない、こういった制度も現状ある、こういうことでございます。
○小川委員 ちょっと林崎先輩、恐縮ですが、それは次お聞きする予定でした。
なぜ配偶者控除は収入制限が配偶者に限って百五十万、子供や親といった扶養親族については百三万のままなのですか、税理論上これはどう説明するんですかとお聞きしています。
できれば大臣から御見識をお聞きしたいんですが。
○林崎政府参考人 お答え申し上げます。
今般の見直しは、先ほど申し上げましたように、就業調整をめぐる喫緊の課題に対応するためということで、配偶者控除等について見直しを行ったわけでございます。
御指摘のように、他の扶養控除との水準は、今、状況が違っている、そういう状況がこれから起きるわけでございます。この点につきまして、これは与党の税制改正大綱でございますけれども、個人所得課税改革について、今般の改革は第一歩ということで位置づけをされているところでございます。
○小川委員 就業調整という意味では、子供であっても親であっても変わらないんじゃないですか。そういう意味では、今答弁されましたが、あくまで途中経過ということで受けとめていいんですね。
○林崎政府参考人 今申し上げたように、就業調整が主目的ということで、やはり一番大きいのは配偶者控除の扱いということだったというふうに理解をしております。
そして、今御指摘ありましたような今般の見直しにつきましては、個人所得課税改革の第一歩という位置づけとされているところでございます。
○小川委員 仮にそう受けとめるとしても、税制体系というのはある意味一つの本当に整った体系ですから、縦横、上下、前後ろ、それほど矛盾なく説明できるのがやはり理想でありまして、今般、非常に突起物が一つできたわけです。だから、途中経過ということであれば受けとめますけれども、やはり、非常にいびつな形になった、配偶者に限ってある種の矛盾を抱えた、そういうことはきちんと受けとめていただきたいと思います。
それからもう一点、先ほど少しお聞きする前に御答弁いただいた点でありますが、確かに、担税力という意味でいうと、高収入者の配偶者について控除を認めないという考え方は、それはあり得るのかもしれませんが、人的控除については、一般的な政策税制、一般的な政策誘導を行っている控除制度、税制特例とは異なり、極めて本質的な制度であり、なおかつ安定的な制度でなければならない。なおかつ、たとえ収入が何億あろうと何十億あろうと、当該その本人並びにその家族にかかる最低生計費というものはどの収入層にも存在します。
したがって、ここに、ただ担税力の一点で控除を廃止するということには非常に問題が多い、最低生計費は非課税であるべきだという考え方があり得ると思いますけれども、大臣、いかがですか。
○高市国務大臣 配偶者控除において納税者本人に所得制限を設けることにつきましては、政府税制調査会が昨年十一月に取りまとめた経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告において、「担税力の減殺を調整する必要性や所得再分配機能の回復の観点から高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要性は乏しい」という指摘がされております。
こうした指摘を踏まえて、今回の見直しにおいては、まずは就業調整をめぐる喫緊の課題に対応するために、配偶者控除等について配偶者の収入制限を引き上げるということとともに、配偶者控除等に納税者本人の所得制限を設けることにして、国、地方を通じた税収中立を確保することとされました。
現行の配偶者特別控除においても、御承知のとおりではございますが、納税者本人の所得制限が設定されています。前年の合計所得金額が一千万円超である場合には、配偶者特別控除の適用はございません。
○小川委員 配偶者特別控除については、調整措置としてこれをどう位置づけるかというのは議論のあるところでしょうけれども、一番典型的なのは基礎控除ですよね、基礎控除。本人に関して、同額、国税であれば三十八万円、地方税が三十五ですか、六ですか、三十三でしたか、この基礎控除については所得制限は一切ないわけでありまして、余り、担税力次第だ、担税力次第だということになると、基礎控除ですら所得制限を設けるということもあり得るわけですよね。大臣、そういう意味でもちょっと二、三、申し上げました。
社会保険は百六万にむしろ下げました。扶養控除の収入制限は百三万のままです。それから、基礎控除を含めた基礎的な人的控除には、基本的に本人の収入制限はない。本来、体系として一つに整っているのが望ましい所得税制体系が、極めて乱れた、不均衡を抱えたものになったということに関して、改めてお尋ねします。
これはあくまで途中経過であり、今後、抜本的な、より整合性のある、また、現代の社会状況、あるいは家族の営み、就労状況等に合わせた抜本的な改革に向けては極めて道半ばのものである、したがって、多くの矛盾なり税制体系の乱れを抱えたものであるということをお認めいただいた上で、今後の抜本的な改革に向けた大臣の御決意をお聞きして、午前中の質疑を終えたいと思います。
○高市国務大臣 幾つか御指摘がございましたけれども、今回の配偶者控除の見直しについては、働きたい方が就業調整を意識せずに働くことができる仕組みを構築するという観点から、配偶者の収入制限の引き上げを行うことにしたんですね。
先ほど被用者保険のお話もございましたけれども、被用者保険については、その加入によって将来受け取ることができる年金がふえるという、直接の反対給付がある仕組みでございます。ですから、就業調整を防ぎながら、短時間労働者の方々の保障を厚くするという観点から、その適用対象者の拡大を図ることが望ましいと考えています。
ですから、この反対給付の有無など、ちょっと社会保障制度と税制でその性格が異なるものですから、それぞれの役割、性格に応じて、できるだけ働きたい方が働きやすい仕組みにするということでございます。
また、扶養控除と配偶者控除の給与収入でございますけれども、これは百三万円でそろっております。百五十万に上げたのが特別控除の方でございますので。
委員からいろいろ御指摘ございましたけれども、まずは今回は喫緊の課題、特に就労調整をめぐる喫緊の課題に対応するということで、なおかつ、国、地方を通じた税収中立を確保するといったこともあわせまして対応した税制でございます。
今後、まだまだ改善の余地は十分にあると考えております。
○小川委員 では、ひとまず午前中は終わりまして、午後、改めてお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
○竹内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時一分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。小川淳也君。
○小川委員 小川淳也です。
それでは、午前中に引き続いて、まずは配偶者控除の点について追加でお尋ねをいたします。
重ねてになりますが、安倍総理大臣はことし、今国会の冒頭の施政方針演説で、「百三万円の壁を打ち破ります。」と大変強い表現で決意を表明されたわけですが、しかし、結果としてでき上がった百五十万円という拡充は非常に妥協的で中途半端だということを午前中御指摘しました。
それに関連して、きょうは財務省から三木政務官にお越しをいただいております。ありがとうございます。
地方税は、国税に比べますと、より地域の会費的な性格が強いと言われております。加えて、例えば、働き方に中立といったような政策誘導や、あるいは年収制限を加えるといった再分配機能の強化とは必ずしもそぐわない面が地方税にはあります。したがって、私どもも地方税法の改正に携わった経験がございますが、国税の観点からさまざまな税制改正が行われることに一〇〇%地方税が引きずられることについては、時として大きな疑問を持つことがございます。
そこで、せっかくですからお尋ねをしておきたいと思いますが、午前中の審議等を通して、今回の配偶者控除に係る制度改正は大変過渡的なものであり、かえって矛盾を呼び起こすものであったという点を指摘いたしました。なおかつ、国税の判断に地方税が一〇〇%つき合わされるということ自体にも大きな疑問を感じております。この点について、ちょっと財務省の立場からお述べをいただきたい。
せっかくですから、これからこの控除制度、今、ほとんど所得控除です。税率の高い高収入者ほど、税金が減る効果が大きいわけですね。これを思い切って、税額控除、つまり、収入の多寡にかかわらず一定額が税金から差し引かれる仕組みに変えていくことが、今後に向けては、控除制度の見直しに当たってはあわせて進めるべきだと思います。
三点申し上げましたので、整理していただくのは非常に大変かもしれませんが、ちょっと限られた時間の中で、財務省の立場から御答弁いただきたいと思います。
○三木大臣政務官 小川委員の御質問にお答えします。
同じ四国ということで、御質問いただいたお心遣いに感謝申し上げます。
地方税のことについては、総務省の方の管轄でございますので、総務省の方に御答弁いただけたらというふうに思っております。
高所得者についてのお尋ねがございましたけれども、一般論として申し上げますと、一定の収入以下の配偶者を有する場合には、そうでない場合と比べて税負担能力が減少するもの、これは委員も御存じのように、減少するものと考えられるわけでございます。
他方、高所得者につきましては、昨年十一月に取りまとめられた政府税制調査会の中間報告におきましても、税負担能力の減少分を調整する必要性や、また所得再配分機能の回復の観点から、高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要性には乏しいとの考えが示されているところではございます。
さらに申しますと、諸外国の人的控除を見ましても、一定の所得水準の者に対しては適用しない国も存在いたします。
こういったことを踏まえまして、一定以上の所得水準の者については控除を認めない仕組みというものについては合理性があるというふうに財務省の方では考えておるところでございます。
○小川委員 その点は午前中も指摘しましたが、では、基礎控除もやるんですか。基礎控除も不適当なんですか。矛盾を抱えた制度ですよ、これは。
あえて御答弁があるならどうぞ。
○三木大臣政務官 基礎控除の方の見直しはどのようにしていくのかというお尋ねだと思いますけれども、昨年末の与党の税制改正大綱におきまして、現在、基礎控除などの人的控除が採用している所得控除方式は高所得者ほど税負担の軽減額が大きいことから、収入にかかわらず税負担の軽減額が一定となるゼロ税率方式や税額控除方式の導入や、また、所得控除方式を維持しつつ高所得者について税負担の軽減額を逓減、消失させる仕組みの導入など、控除方式のあり方について検討を進める旨が示されているところでございます。
こうした与党の御議論も踏まえつつ、控除全体の見直しに関する議論の中で丁寧に検討を進める必要があるというふうに考えております。
○小川委員 当然、配偶者控除でこうやった以上、そういう議論になるんでしょうね、整合的にいえば。しかし、午前中にも指摘したとおり、収入の多寡にかかわらず最低生計費というものはありますから、最低生計費には課税しないというのは税の基本的な考え方として大いにあり得る考え方であります。この辺は十分今後の議論に当たっては踏まえていただくように、この場をおかりしてお願いを申し上げたいと思います。
厚生労働省の関係で最後にお聞きしますが、もう一点、いわゆる専業主婦の方を優遇する典型的な仕組みとして国民年金の三号被保険者制度がありますよね。こういったものについても、どこまで今の状況の中で正当性を持ち得るのか。
非常に、甚だ時代状況は変わってきました。この三号被保険者制度についても今後大いに問題意識を持って取り組んでいただく必要があると思いますが、この点の御答弁をいただきたいと思います。
○馬場大臣政務官 お答えします。
働きたい人が働きやすい環境を整えるとともに、短時間労働者について、年金などの保障を厚くする観点から、被用者保険の適用拡大を着実に進めていくことは重要であり、今後とも段階的に適用拡大することは先ほども申し上げたところでありますが、こうした中で、国民年金の第三号被保険者制度についていろいろな御議論があっております。
三号被保険者、仮に全ての皆さん方に保険料を払っていただくというような議論になってくると、短時間で働いている方や、出産や育児のために離職した方、配偶者が高所得でみずから働く必要性が高くない方など、多種多様な属性を持つ方がおられることから、社会保障審議会の年金部会でも、まずは被用者保険の適用拡大を進めつつ、第三号被保険者制度の縮小、見直しに向けたステップを踏んでいくことが必要であると整理されているところであります。
第三号被保険者制度のあり方については、こうした整理を踏まえつつ、さらなる適用拡大の検討とあわせて議論してまいりたいと存じます。
○小川委員 これも長い間議論されつつ、しかし、なかなか踏み込むのが大変なことはわかります。わかりますが、やはり控除の問題とあわせて、この年金、社会保険の仕組みについても、働き方に中立で、そして不公平のない仕組みに見直していく、不断の取り組みをぜひともお願い申し上げたいと思います。
この点に関連して、最後に一点お聞きします。
先ほど来の政府側の各御答弁の中にも、控除制度の収入限度額等とあわせて、企業が支給しているいわゆる配偶者手当の支給基準が、収入限度額として例えば百三万円に線を引いている会社もあれば、百三十万円を境にしている会社もあるということでありました。
そこで、この点は最後に人事院にお聞きして終えたいと思うんですが、いただいた調査結果によりますと、全企業の中で家族手当制度を持っている企業が七六・八%、そのうち全体の六五・九%、ですから七六・八%の中の六五%は百三万円以上収入のある配偶者には配偶者手当を支給していない。そのうち二九・五%、約三割の会社は百三十万円で線を引いているということであります。
当然、配偶者特別控除の適用が百五十万になるわけですから、そうすると、民間企業においても、こういう政府側の立場からいえば、企業における配偶者手当の支給が今の百三万ないしは百三十万よりは高い方が望ましいわけですよね。ここで必ず就労調整をやりますよね、この状態を捨ておいたままでは。だから、そういう立場だと思います。答弁は求めませんが。
そこで、人事院にお聞きしたいんですが、現在、まず隗より始めよという意味では、これは財源もかかることだと思いますが、国家公務員に対する配偶者手当の支給は、配偶者の年収要件はどうなっているのか。
そして、今般の税制改正を踏まえて、その支給基準は今後どうしていくか。
この二点お聞きして、関連の質疑は終えたいと思います。
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。
扶養手当は扶養親族がいる場合に支給されるわけですけれども、扶養親族の認定につきましては、他に生計の途がなくて、主としてその職員の扶養を受けていることが条件になっておりまして、その要件を満たすかどうかということが判断の基準になるわけです。
他に生計の途がないかどうかということにつきましては、いろいろな判断の仕方があると思いますけれども、統一的な運用を図るために、一定の所得制限というものを基準として設けている。これは、配偶者に係るものだけではなくて、例えば親であるとか、あるいは弟妹であるとか、現在の扶養手当の対象になる扶養親族全てに共通の仕組みでございます。
今先生御質問がありました、所得制限額は幾らになっているかということですけれども、現行は百三十万円というものを置いてございます。これにつきましては、国家公務員で東京に勤務する高卒の初任給の約半額というものが一つの参考指標となりまして、あわせて、共済の資格であるとか、あるいは所得税の被扶養者の額であるとか、そういうものを総合的に勘案して、現在、百三十万円というものを設定しているという事情にございます。
したがいまして、今お話がありましたように、所得税の方が百五十万に変わったら自動的に変わるのかという点につきましては、そう単純なものでもないだろうというふうに考えておりまして、扶養手当の基本にかかわる問題として、諸般の情勢というものを見ながら必要な検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○小川委員 ここで明確におっしゃれない部分だろうと思いますが、少なからず、ただ、影響は与えますよね。それから、民間企業にも影響すると思います、人事院がどうするかは。
加えて、午前中も指摘しましたが、今まさに配偶者と扶養親族を区別していない制度になっているというお話でした。しかし、今後、税制上はこれを区別する制度になりますから、それをどうするのかという意味でも、非常にこれから、ある意味、子細な検討なり難しい対応が求められると思いますが、就労調整に影響を及ぼさないために百五十万にしたというのが今回の政府の説明ですから、それに従った、全体的に均衡のとれた対応に持っていくというのが大きな方向感ではないかと思います。
その点だけ指摘をして、高層マンション課税について一点だけお聞きいたします。
これは珍しい制度を入れたなと思いました。路線価等を含めて固定資産を評価し、そして各部屋面積ごとに案分するというのがこれまでの制度でありましたが、恐らく市場価格を参考にしながら、高層階は税金を多く、そして低層階は税負担を和らげると。市場価格の面からいえば、一定の合理性はあるんだろうというふうに思います。
したがって、全体としては思い切った制度と前向きに評価しつつなんですが、一点ちょっとお聞きしたいのは、もしここまでやるとなると、例えば最上階というのは、特別、市場価格が高いんじゃないですか。それから、角部屋。南向き。それから、中には、高層マンションだと、例えば二部屋分を一部屋にしたオーナー向けの広い部屋、超富裕層向けの広い部屋があったりします。
階ごとに税金の額を変えた以上、よりきめ細かな対応を今後していかないと、課税の公平なり課税の理屈に少し合わなくなると思うんですが、この点、総務大臣、いかがですか。
○高市国務大臣 現行では、居住用の超高層建築物に係る家屋の税額は、床面積が同じであれば高層階でも低層階でも同じとなっています。これに対して、不公平感を生んでいるのではないかという御指摘がありました。
こうした点も踏まえて、今般、実際の取引価格と階層の関係を調査して、固定資産税の税額の案分方法を、その調査結果を踏まえたものに見直すことにいたしました。よって、高層階の税額は増加して、低層階の税額は減少するんですが、タワーマンション一棟全体の固定資産税の総額は変わらないということです。
今回の検討過程におきましても、今委員が指摘されたような論点についても指摘がございましたが、取引価格と例えば方角や部屋の位置との関連性を示す明確かつ客観的なデータが存在しないんですね。それで、見直しの要素たり得なかったという事情がございます。
タワーマンションの最上階部分の住戸の中には、やはり今委員が例に挙げていただいたような、仕様の個別性が強いものが存在します。階層に着目した補正のみでは捕捉し切れないものについては、天井の高さ、附帯設備の程度などによる、さらなる補正をすることができるということとしております。
○小川委員 実際の取引価格に着目した課税方法の変更ですから、本当に、これはどう評価されるのか、もう少し時間を置く必要があるかなと思いますが、とにかく、思い切った対応という意味では前向きに受けとめたいと思います。
ただ、指摘したように、これを一旦やると、こういう仕様の方がもっと高いじゃないか、価値があるじゃないか、市場価値が認められているじゃないかという議論が際限なく恐らく出てくるでしょうから、そこは今後の制度の運用あるいは制度の改正に当たって非常に注意が必要だろうということだと思います。
最後に、ふるさと納税もよく議論になっています。それで、私も何年か前からこの点をよく大臣にお聞きしているんですが、私、一つ、かねてから、このふるさと納税、非常にこれも思い切った取り組みだと前向きに評価されるべき点はあると思うんですよね。
ただ一方で、この適用税額といいますか、税収、あるいはところによっては減収額が地方税の税目に匹敵するぐらいになったときには、なかなか従来どおりの説明責任では十分でない、より加重された正当性の理由なりあるいは説明が求められてくるだろうなというふうにかねてから感じていました。
いよいよ二十七年度が一千六百億円にこのふるさと納税が到達したということですから、参考までに、大臣も御存じだと思いますが、地方税の税目ごとの収入額、これはいただいた資料ですと決算ベースかな、ちょっと参考までに御紹介したいと思います。
道府県民税の法人均等割が大体一千四百億円です。それから、利子割が九百億、配当課税が一千八百億、株式譲渡所得が一千八百億、事業税の個人分が一千九百億、たばこ税が道府県分一千五百億、自動車取得税が一千三百億。
ざっと、地方税の中でも、何兆円という固定資産税とかは別としまして、いわゆる細目に位置づけられるが、主要な収入源であるという税目に並び立ち得るぐらいの存在にふるさと納税はなったということです。恐らく、二十八年度、そして来年度、二十九年度も今の調子だともっとふえるでしょう。
大臣は、毎年四月に、返礼品を適正化するという観点から指導されていますが、残念ながら、この努力はいまだ十分成果としてあらわれていないというふうに評価せざるを得ないのではないかと思います。
そこで、この方針を来年度に向けてどうされるかをお聞きしたいんですが、一つ、その前に、大臣はふるさと納税をされていますか。ちょっと個人情報にかかわるのかな。もし差し支えなければ。
○高市国務大臣 寄附が禁止されておりますことから、ふるさと納税はいたしておりません。
○小川委員 私も、魅力的な制度だなと正直思うこともあるんです。あるんですが、やはりちょっと制度的に、地方税の理論からするとどうかという問題を提起してきた側ですから、したことはありません。
加えて思いますのは、一千六百億ということは、相当数、件数ベースで七百万件でしたか、もちろん延べ人数ですから七百万人ということではないと思いますが、恐らく相当数の方々がしているが、私は今のところ誰からも聞かないんですよ、俺は、私は、ふるさと納税をここそこにしたことでこういう返礼品をもらったとか。
大臣、いかがですか、余り聞かないでしょう。私はふるさと納税してこんないい物をもらったとか、こういういいことがあったとか、余り聞かないでしょう。いかがですか。
○高市国務大臣 個人的には、被災地に対してふるさと納税をされた方、特に昨年の災害に関してされた方のお話も伺いましたし、また、私の地元でちょっと人気になっている、とても安いお菓子ではあるんですけれども、それが欲しくてしたという友人もおりました。
○小川委員 大臣も御答弁になられましたが、被災地とか、それからこの間の火災ですよね、こういったときに寄附が非常に厚くなるというのは、大変喜ばしく、また感動的ですらあると思います。
しかし、この返礼品については、私は、ある種、これはなぜなのかなと自分なりに考えたんですが、ある部分、背徳の制度なんだと思うんですよね。二千円の自己負担で、特に、収入額の多い人ほど限度額が積み増しをされ、そしてほとんど自己負担なく、多額の、あるいは時に高額の返礼品をもらえるわけですから、これは恐らく、ふるさと納税を実際に盛んにやっている方も、どこかで後ろめたい気持ちがあるんじゃないかなというふうに想像しています。
そこらあたりも含めて、四月の指導、各自治体に対する指導、どういうふうにされるのか注目したいと思いますが、きょうはもう時間ですので、答弁は求めませんけれども、また適切な指導をいただくように改めてお願い申し上げまして、次の高井委員に質問を交代したいと思います。
ありがとうございました。
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