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〜会議録(2016年10月4日 総務委員会)〜
○竹内委員長 次に、小川淳也君。
○小川委員 民進党の小川淳也でございます。
まず冒頭、大変恐縮ですが、この委員会の立ち上がりが異例の形をとらざるを得ませんでした。私ども理事間のコミュニケーションが十分でなかったということで、委員の皆様にも大変御迷惑をおかけしたことをおわびし、あわせて、私自身も心したいと思いますが、委員長のたっての御指導と、また与党側の御配慮を重ねてお願い申し上げたいと思います。
その上で、質問に入らせていただきます。
高市大臣には、大変長時間の予算審議、お疲れさまでございました。また、新任の政務三役の皆様には、フレッシュな顔ぶれで、御期待を申し上げつつ、しかしながら、私ども野党の立場ですので、時に厳しく御指摘も申し上げたいと思っております。
大臣の予算委員会での御答弁機会はそれほど多くなかったようにお見受けをしておりますが、今般の地方交付税の改正、私どもは補正予算全般に賛成することはできないという立場で臨みました。しかし、この交付税法の改正については、必ずしもその限りではございません。その前提で、特にこれは災害対策ですから、お聞きをしたいと思います。
まず、この五百十億という金額でございますが、これは今回の被災状況に照らして十分なものであるかどうか。そして、これはどのような形で被災地の復興に役立てられる予定なのか、その使途について。二点、大臣にお聞きをいたします。
○高市国務大臣 今回、この復興基金の総額ということなんですけれども、これは、熊本県からも発災直後から非常に強い御要望がございました。被災団体が地域の実情に応じて実施されるさまざまな事業について、単年度予算の枠に縛られずに弾力的に対処できる資金ということで、復興基金の創設について支援をすることにいたしました。
十分な額かどうかということでございますけれども、これは、取り崩し型の基金ということで、現在、低金利でございますので、措置をしまして、この算出をするときに、基金に対する交付税措置額については、東日本大震災における被災三県と同様の算定方法によって算出をいたしました。
具体的には、阪神・淡路大震災復興基金事業を現行の制度等のもとで実施した場合に必要となる交付税措置額を算出して、当該交付税措置額と兵庫県及び同県被災市町の標準財政規模の割合を求めて、当該割合を熊本県及び同県被災市町村の標準財政規模に乗じて総額五百十億円を算出しました。
ただ、被害の状況は非常に大きゅうございます。熊本地震は、内閣府の五月二十三日に公表した熊本地震の影響試算によれば、二・四兆円から四・六兆円、熊本県の試算によれば三・八兆円になりますので、非常に被害状況は大きゅうございますが、各省が講じます補助事業もございます。こういった中で、私どもの基金も、それぞれのニーズに即して、被災団体のニーズに即して御活用をいただけるというものとして位置づけています。
具体的にこれをどのように使うのか、どのような運用をするのかについては、熊本県の自主的な判断によります。けれども、基金規模を算定するときに市町村の財政需要も踏まえたものでございますし、また、きめ細やかな事業を実施するという基金の趣旨からも、市町村の事業に十分に配慮した運用をしていただくように期待をしています。
○小川委員 結論から言えば、基金という形での支援は、私は、やはりスピード感とかあるいは柔軟性を考えれば、やむを得ないというふうにも思います。
一方で、基金の設置そのものについては、国政上もさまざまな批判もございます。また、基金を繰り戻してもらうというようなケースもほかの政策メニューでは多々あるわけです。
それから、少し気になりますのは、東日本大震災の特会にも今回補正編成されておりますけれども、かなり繰越額が多い。もちろん、被災地の特殊な事情を踏まえれば、余り厳密な財政事情ばかりを押しつけるわけにはいかないと思います。
しかし、それにしても、この基金という出し方が、現状これしかないということについては理解をいたしますが、非常に、ある意味、国費を無条件に提供し、それが自由に使われるという意味においては、必ずしも財政規律なり、また説明責任という意味でいうと、百点満点のものではないんだろうという気がいたします。
その関係も含めてでありますが、ちょっと法的な側面、これをぜひ、興味深い点でもございますので、高市大臣の御見解をお聞きしたい点があります。
交付税といえば、全体総額が十六兆、十七兆ですから、大変大きな規模であります。政府の一般会計歳出でも、社会保障に次ぐ巨額の支出です。ここに対して五百億の補正をするということをもって、交付税法を改正しなきゃいけない、法律改正をしなきゃいけない。このことについて、私自身、思いが半々なんですけれども、大臣、この十六兆円を上回る特会で五百億の補正をするに当たって、法律改正をしなきゃいけない、この手続面の重さについてどう評価するか、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
○高市国務大臣 今回、この補正予算の御審議をきょういただきまして、それに合わせてこういった形をとらせていただくというのは、当初で計上されております交付税ということになりますと、全国の地方公共団体がやはりこれは共通に活用されるべきものでございますので、なかなかそこからという形になりますと被災地以外の自治体の御理解も得られにくいものであろうと思います。
多くの方が被災地に心を寄せてはおられますが、ほかの自治体でも必要な財政需要がたくさんございます。今回は本当に特例的な措置として、このような形をとらせていただきました。
○小川委員 財政民主主義という観点からいえば、そうだと思うんですね。
もう一つお聞きしたいのは、法的な手続の重たさについてなんです。
これは、毎年予算を組む、また、地財計画をつくるたびに交付税法の改正というのは行われるわけです。法律、具体的に拝見しても、具体的な金額が並んでいます。これは、ある意味、法的安定性という意味では極めて周到なやり方であります。しかし一方で、行き過ぎると、大変に法的に硬直な仕組み、法的硬直性という意味合いでもあるわけです。
これは考えるに、たどれば、やはりもともと交付税は国税の一定割合で総額を規定するという大原則のもとにあるにもかかわらず、年度間のさまざまな繰り入れや、特例的な加算や、あるいは減算を繰り返して総額が決まっていくというところに端を発しているんだろうなという気がいたします。
ですから、これは問題の根は深いわけでありますが、非常に、法的安定性という意味では一々法律改正をして総額を決めていくということに一定のメリットはある一方、機動的な財政支出、柔軟な地方財政支援という意味でいうと、もう少し、十六兆円も全体総額があるわけですから、例えば五百億程度であれば柔軟な加算、加減でもって対応できるという仕組みもあっていいと思いますが、大臣、いかがですか。
○高市国務大臣 大変難しい問いであると思います。
しかし、今回は本当に激甚な、大規模な災害でございました。熊本の地震が四月に発生しまして、その後も台風、また豪雨による災害も続いております。全国各地で今後、例えばきょう、あした、来週、どんな大きな災害が起きることかもわかりませんので、これはやはり、今回については特別な措置として対応させていただきたいと考えております。
そして、やはり過去のさまざまな震災、阪神・淡路大震災や中越地震やさまざまな大きな災害とのバランス、こういったものも考えながら、特別の措置をとらせていただいたということでございます。
また、普通交付税等につきましては、先般からの大雨などがございましたので、十一月分を前倒しで交付したり、そういったことで当初で対応できるものはしてきておりますが、今回は大変大きな規模のものであるということで、御理解を賜りたく存じます。
○小川委員 今回は熊本地震対策がメーンであります。大臣が今おっしゃったのは、そのとおりなんです。ただ、私が申し上げている問題意識はちょっと逆サイドの問題意識でして、より法律改正を伴わずに柔軟な対応ができれば、より便利な部分もあろうかというふうに思います。
ただ、交付税財源の確保そのものが硬直的なためにやはりこういう形にならざるを得ないということの制約との関係で、非常に問題ははらんでいるなという気が今回特にいたします。額が小さいだけに余計にですね。
それから、今回、補正の中に、今回は熊本地震対策なんですが、特に北海道の台風十号とか、北海道、東北地方ですね、ここが措置されていないということは、今回の補正予算全体の中では一つの大きな論点、問題点でもありました。
まさに大臣おっしゃったように、これから、一般の枠内での普通交付税なりあるいは特別交付税の配賦、交付という段に当たっては、もちろん特段の御配慮をいただく必要があろうということもあわせて指摘をしたい、お願いをしたいと思います。
それから一点、歳出面についてお聞きしたんですが、今度は、この五百億の財源、これはどこから来ていますか。
○黒田政府参考人 事実関係を申し上げますと、今回は国税の補正はやっておりませんので、予算の全体の枠の中で財源が捻出されている、そういう構造でございます。
○小川委員 大臣、この間、予算委員会では相当指摘もさせていただいたとおりなんですが、第二次安倍政権ができて初めて、大幅に国債を発行しなければ補正が組めなかったというのがこの二十八年度補正なんです。
総理は盛んにアベノミクスの果実ということを主張されるわけですけれども、実際にはそれは前年度までの話であって、それは税収の上振れ、あるいは前年度剰余金という形で、目に見える形でお金がありました、前年度までは。ところが、ことしに入って、本当に初めてです、総額で六兆円に余る国債を新たに起こして公共投資を行っていく。
ですから、この五百億の財源はどこからかと聞かれれば、全体に紛れ込んでいますから、どの部分だとは言いがたいのが事実、実際だとは思いますが、しかし、それにしても、この五百億も借金から来ている、少なくとも一部来ているということは、十分これは我々踏まえなければならないのではないかと思います。
その意味で、総務大臣としての御答弁の機会はなかったと思いますので改めて求めたいと思うんですが、先週発表した総務省の家計調査あるいは物価動向、これは明らかに、家計消費の縮小そして物価の下落、盛んに安倍政権が主張してきたアベノミクスの果実とは裏腹の展開をここへ来てたどり始めていると私は心配をしています。
地方財政、地方の景気、あるいは地方の振興という立場から、このアベノミクスの、私どもから申し上げれば曲がり角に来ているわけでありますが、高市大臣はどのように評価しておられるか、その点お聞きしたいと思います。
○高市国務大臣 明らかに、有効求人倍率などで見ますと、これはやはり働く側にとっては売り手市場になってきていると思います。これは数値によって明らかなものでございます。
総務省のやっている家計調査及び物価の動向などから判断してということでの問いだと思いますので、八月の二人以上の勤労世帯の状況を見ますと、一年前と比べて、消費支出は実質四・五%の減少であります。これは大変残念なことでございます。収入の方は実質一・五%の増加でございました。
収入の方、それからまた、働く場所がふえているというところには明るい兆しは見えているんですけれども、消費には弱い動きが見えているというのが、客観的に私が感じるところです。
特にこの夏の消費を見ますと、天候要因のみならず、自動車の燃費の不正の問題もございました、自動車の売れ行き、落ちておりましたし、また、各地で発生したテロなどへの懸念もあったんでしょうか、やはり旅行支出なども減っておりました。なかなかまだ消費は弱いな、そして、もう少し設備投資がふえていくようにしていかなきゃいけないなと思っております。
○小川委員 比較的正面からお答えいただけたことに敬意を表したいと思います。
安倍総理は、いつも都合のいい数字を並べられて、全くかみ合わない議論をされる傾向があります。これをまねする閣僚の諸先生方が多くて、私ども野党の立場からすると、なかなか建設的な議論にならずに四苦八苦することが多いわけでありますが、ただいまの高市大臣の御答弁は比較的率直に、正面からお答えいただいたというふうに受けとめたいと思います。
やはり、金融政策に非常に寄りかかったこの間のあり方、そして一方で、国内の構造改革、人口動態とか人口減少とかいったようなものへの取り組みがまだまだ浅いこと、私は、これらが長期的に、いろいろな意味で限界を呈する、その本当に曲がり角に差しかかっているのではないかということを大変強く感じております。
地方財政、地方振興、地方景気、これらを総じて御担当になられる高市大臣ですから、こうした構造的なアプローチもぜひ内閣の中でお取り組みいただきたい、希望として申し上げます。
最後に、総務行政の全体像の中で、最近やはり、きょう予算委員会でも質疑が出ておりましたが、地方議会における政務調査費の問題はかなり国民的関心事だと感じます。
特に富山市議会を中心に、大量の辞職者が出たということはゆゆしき事態でございまして、これは当然、私ども国会議員も改めて一人一人心せねばならないことでありますが、今般の政務調査費の不正受給について大臣がどう受けとめておられるか、まずお聞きをし、時間がございませんので、あわせて、私、ちょっと気になる点があるんです。
一人、おやめになった議員が、地方議員年金が廃止されたことで不安に駆られて政務調査費を不正受給したと、ちょっとわけのわからないことをおっしゃっているんですね。
私は、政権与党の側にいたときに、やはりこういう時代ですから、地方議員にだけ特別な年金制度ということはふさわしくないということで、先頭に立ってこれを廃止した側の人間であります。ですから、このような理不尽な理屈立てでみずからの不正受給を正当化し、場合によっては議員年金を復活させかねないかのような議論につながることは甚だ不本意でございます。
大臣にこの点をお聞きして、質問を終わりたいと思います。この不正受給の受けとめ、そして、地方議員年金が復活するということはあり得ない、この二点、大臣の御答弁をいただいて終わりにしたいと思います。
○高市国務大臣 まず、政務活動費の不正が相次いで、議員辞職も相次いでいることは大変残念に思っております。
これはもうできるだけ早く対応する必要があると思いましたので、先週の金曜日のうちに、各都道府県知事及び議長、そして各指定都市の市長、議長に対しまして、「政務活動費に係る対応について」という通知を発出いたしました。その中で、不適切な事案があった自治体においてはやはり地方自治法など関係法令の規定を踏まえて再発防止に取り組んでいただくこと、それから、全ての自治体において政務活動費の適切な取り扱いと、それから、もう一つ問題だったのは情報公開制度が適切に運営されなかったということでございますので、この改善について徹底したところでございます。
それから、この問題を地方議会議員の年金制度が廃止されたことの理由に使われるというのは、甚だ不本意でございます。政務活動費の問題というのは、これは法律を守るかどうか、特に条例によって定められている事項をしっかりと守るかどうかの問題で、これは地方議員年金制度とは関係のない話であると思っております。
○小川委員 では、また追っての機会に議論させていただきます。
ありがとうございました。
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