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〜会議録(2016年3月1日 総務委員会)〜
○遠山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川淳也君。
○小川委員 民主党の小川淳也です。
大臣、体調の方はいかがですか。ちょっと私も、けさから少し頭がぼうっとしておりまして、きょうは精いっぱい頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、長時間の予算審議、大変お疲れさまでございました。関連法案について最後の質疑ということでございまして、交付税に関してお尋ねいたします。
本年度の補正予算におきまして、地方財源は、国の三兆円の税収増に伴い、一・三兆円収入増がございました。これは交付税の財源として繰り越した。その補正予算に、私ども賛成いたしました。
しかし、来年度の交付税交付額を拝見しますと、今年度の十六・八兆円から十六・七兆円に、一千億円減になっています。
一・三兆円、財源を繰り越して確保したにもかかわらず、出口ベースで交付額が前年比で一千億円減少する、この意味なり意義について、まずお尋ねしたいと思います。
〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕
○高市国務大臣 平成二十七年度の補正予算における国税の増収に伴い生ずる地方交付税の増収分は、今おっしゃっていただいたとおり一兆三千百十三億円でございますが、これらについては、平成二十八年度においても地方の巨額の財源不足が生じることが見込まれたということから、平成二十七年度における普通交付税の調整減額分四百六十九億円を追加交付した上で、残余の額一兆二千六百四十四億円について、平成二十八年度に繰り越して、交付税総額の確保及び臨時財政対策債の抑制に活用するということにいたしました。
具体的には、今回の繰り越し措置によりまして、平成二十八年度の折半対象財源不足が繰越相当額の一・二六兆円縮減し、これに伴い、国からの地方交付税の特例加算及び地方の臨時財政対策債の発行額が、その二分の一に当たる〇・六三兆円ずつ縮減しています。トータルでは、平成二十八年度の地方交付税が〇・六三兆円増額し、臨時財政対策債の発行が〇・六三兆円減額しています。
このような措置も含めまして、二十八年度の地方財政対策においては、地方交付税総額について、前年度とほぼ同程度と言わせていただいていいかと思いますが、十六・七兆円を確保しながら、赤字地方債であります臨時財政対策債の発行を〇・七兆円減額して、大幅に抑制するということにいたしました。
○小川委員 地方の赤字地方債である臨時財政対策債を相当額減少させたということに関しては私も同意をいたしますし、また評価をするところなんです。
ところが、一・三兆円繰越財源を確保したはずなのに、実際の手取りベースでは交付税は前年より減っているということに関しては、自治体の思いとしては複雑ではないかと思います。
これは、実際国もそうでして、やはり税収が上がった分、赤字国債を減らす形で歳出を抑制している。ですから、国も地方も大変厳しい財政状況下にあるということはそのとおりだと思うんですね。
しかし、事前年の税収増あるいは当該年度の税収増、当初よりも税収増が見込まれた部分については、例えば国であれば、今回の補正予算、三兆円の見込み違い、見込みよりも三兆円の増収があった分について、例えば三万円の給付金を創設しているわけでしょう。これは大いに問題のある政策だと野党の立場から議論してきました。特に、七月の参議院選挙を前に、六月の段階に現金給付するなんというのは、あらぬ疑念を招きかねない政策だと私も思います。しかし、そういうことも含めて、国は税収増分をそのまま大盤振る舞いできるわけです、特に補正財源については。
しかし、地方財政は、この補正財源分も含めて、当該年度の歳出抑制、財源抑制、赤字は減らしたとしても、赤字地方債は減らしたとしても、そういう形で極めて、地方自治体だって社会保障やあるいは福祉や子育て、教育、さまざまなものに、ふえ続ける財政需要に応えようと努力しています。そういう中にあって、一般財源全体として、ですから交付税と地方税ですね、一般財源全体として前年並みを維持しているという理屈のもとに、全く伸長性がなくなっている。このことに対しては、地方財政に責任を持つ総務大臣として、両手を振って、何か自慢するような状況ではない。
むしろ、税収があったにもかかわらず地方には依然として我慢をお願いせざるを得ない状況にあるということについては率直にお認めをいただいて、交付税が総額として、マクロで地方財政の調整弁になっている、本来自主財源、独自財源、共有財源といいながら、地方財政全体を操る調整弁になっている、そういう指摘に対して、大臣、どうお答えになられますか。
〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕
○高市国務大臣 地方財政計画でございますが、これは、国として地方団体が標準的な行政水準を確保できるように地方財源を保障する、そういう役割を持つものでございます。このような役割を踏まえまして、二十八年度の地方財政計画においても、必要な経費を適切に歳出に計上し、これに必要な財源を確保しております。
このことを前提にして、国税の増収に伴って生ずる地方交付税の増収分につきましては、平成二十八年度の交付税総額の確保及び臨時財政対策債の抑制に活用することによって、地方交付税総額について前年度とほぼ同程度の額を確保しながら、臨時財政対策債の発行を大幅に抑制して、地方の一般財源の質を改善しております。
したがって、国の補正予算に伴う地方交付税の繰り越し措置に伴って、その分歳出が増加するといった類いのものではないと考えております。
○小川委員 税収増があったにもかかわらず交付税が抑制されていることで、実際に地方財政の伸長性がなくなっているということを指摘しています。その点については、ぜひ率直にお認めをいただきたい。
ですから、繰り返しますが、自主財源、独自財源だといいながら、実際は地方交付税がマクロでの地方財政の調整弁に成り下がっている。そういう点については厳しく指摘をしたいと思います。
あわせて、このマクロの面の限界に関連して、ミクロでも少し首をかしげるようなことがございますので、お尋ねさせていただきます。
総額調整をする中で、これまで地域経済・雇用対策費として組まれていた需要額について、二千億円程度減額しているようであります。
この交付基準は人口なんですね。ちょっと電卓をたたきました。人口一人当たりでいうと、一般市町村については、これまで千四百十円交付されていました。それが、どうもこの減額に伴って七百四十円になっているようであります。交付基準の話です。
ところが、この地域経済基盤強化・雇用対策費を減額した分、今度は、さんざん大臣がPRなさっているとおり、自治体情報システム構造改革費、高齢者の生活支援、地域の暮らしを支える仕組みづくりの推進費等々として新たな費目をつけ加えましたということをPRされているんです。
それで、減額していた地域経済基盤強化・雇用対策費は、申し上げたとおり、人口一人当たりで大体千四百円から七百円ですから、七百円の減になっています。それはどういう理由なのか。
加えて、上がった分、自治体情報システム構造改革費、人口一人当たり百六十円、そのうち包括算定経費分として恐らく四百八十円、さらに高齢者生活支援の仕組みづくりに人口一人当たり七十円つけ加えているんです。
ちょっと複雑ですから、大臣、もう一回頭を整理します。
減らした額は、人口一人当たりざっと七百円減らしているんですね。ふやした方は、情報システム改革だとか高齢者の生活支援だとかいいながら、大体、人口一人当たり七百円ふやしているんですよ。これは単なる数字遊びではありませんか。交付税に関して、ミクロの基準についてです。
○安田政府参考人 お答えいたします。
来年度の地方財政計画についてでございますが、リーマン・ショック後に設けられました歳出特別枠の扱い、これが一つの問題になったわけでございます。
これにつきましては、危機対応モードから平時モードへの切りかえを進めるという観点で、四千億円減額いたしました。普通交付税の算定におきましても、これに対応して、人口を測定単位とする地域経済・雇用対策費及びその他の既存経費の単位費用を減額するということにいたしたところでございます。
また一方で、地方財政計画には、地方の重点課題に対応する経費及び公共施設の老朽化対策について、この歳出特別枠の減額幅と同額を計上しているところでございます。
地方公共団体の財政需要を的確に捕捉するために、それぞれの歳出にふさわしい測定単位を用いつつ、必要に応じて補正措置を講ずること等によって適切に算定しているところでございます。
○小川委員 局長、適切に算定と口ではおっしゃいますが、申し上げたとおり、大臣、これはぜひよく頭に入れていただきたいと思う点なんですが、いろいろ名目はつくんですよ、交付税の配分基準というのは。
しかし、それは、実際には人口一人当たり幾らで計算している例が多いんですね。ほかにも、世帯数、一世帯当たりとか、物によっては、今回ですと、例えば林野面積とか林野従業者数とかいうよりミクロな指標が立つこともあります。しかし、人口や面積を指標にしているものは多い。
これは、一方で望ましいことなんです。できるだけ客観化をし、自治体に予測可能性を持たせるという意味では、望ましいことなんです。ですから、それはそれで、むしろ包括算定経費、今回大分減額しているようなんですよ。理由を聞くと、経費の節減合理化だという紙が出てきたんですね。根拠が全くわかりません。
つまり、申し上げたいのは、ミクロでいろいろと大義名分をつけつつも、中身の数字遊び、操作によって、総額から逆算することしかできていないということなんです。総額で幾ら払えそうだ、したがってどういう指標に単価当たり幾らつければいいのか、単位指標当たり幾らつければいいのかという電卓の話にしかなっていないわけです。
ですから、今回、二点ちょっと問題点を指摘したいわけなんです。
まず、交付総額においては、全体の地方財政の調整弁に成り下がっているということ。
そして、個別の算定指標においては、あたかも客観性を装いながらも、その実態においては、極めて恣意的な、客観性を揺るがす、自治体から見れば予測可能性のない形で、恣意的な操作が行われているというふうに言わざるを得ない。そういう調整が行われている。
率直に申し上げて、正直、私どもも余り大きなことを言えた義理ではないんです。政権時代の三年間、こういった問題にも思い切って取り組みたいという思いはありました。しかし、現実の壁は非常に厚いし、高い。そのことはよく理解しています。しかし、改めて野党の立場から、筋論といいますか、客観的な議論をこの場でさせていただくことも重要なことでございます。
今、二点申し上げました。総額が地方財政の調整弁に成り下がっているのではないかという点、そして、個別の算定基準が、大義名分を装いつつ、数字の単なる操作、数字遊びに成り下がってはいませんかというこの二点、改めて大臣から御答弁いただきたいと思います。
○高市国務大臣 まず、地方財政計画でございますが、多くの行政分野で国と地方の役割分担などを法令等に定めて、地方に支出を義務づけていますので、国として地方団体が標準的な行政水準を確保できるよう地方財源を保障すること、国の予算に計上された施策や事業を盛り込んで、これらが着実に実施できるようにしているといった役割を持つものでございます。
こうした地方財政計画の役割のもとで、骨太方針二〇一五で示された方針を踏まえて、地方財政計画の歳出において、国の制度などの見直しや国の一般歳出の計上の動向、社会保障・税一体改革における社会保障充実分などを適切に反映させて、その上で所要の一般財源総額を確保するということにしております。
二十八年度の地方財政対策におきましても、地方団体が自主性、主体性を最大限発揮して地方創生に取り組めますように、まち・ひと・しごと創生事業費について、前年度同額の一兆円を計上するということにした上で、地方の一般財源総額について、前年度を〇・一兆円上回る六十一・七兆円を確保したものでございますので、調整弁にというお話もございましたけれども、地方が自由に使える一般財源総額をしっかり確保できたと思っておりますし、今回の地方財政対策についても、地方六団体から御評価をいただいております。
二点目でございますけれども、先ほど少し局長からもお話をしましたが、危機対応モードから平時モードへの切りかえを進める観点から、歳出特別枠を四千億円減額し、普通交付税においては、人口を測定単位とする地域経済・雇用対策費などの単位費用を減額しています。
一方で、地方の重点課題に対応するための経費及び公共施設の老朽化対策を重点的に地方財政計画の歳出に計上した上で、普通交付税においては、人口だけではなく、それぞれの事業にふさわしい指標を用いて適正に算定することとしています。
ですから、地方財政計画において、めり張りをきかせて歳出の重点化、効率化を行いながら、一般財源総額を確保するということに対応して、普通交付税においては、地方団体の財政需要を合理的に算定しているところであります。
○小川委員 名目は変わっても、同じ人口単位で計算して、百円乗せたり百円引いたりしているだけですから、おっしゃるめり張りというのは余り実効的になっていないんですよ。
この質問を機に、ぜひ大臣、そういう形で配られているんだということを頭の片隅のどこかに置いていただいて、今後の制度改革の議論等に当たってはリーダーシップを発揮していただきたい。改めて指摘をいたします。
ちょっと地方税についてもお聞きしたかったんですが、時間の都合もありますので、気になる点の指摘にとどめます。
今回、大臣が再三PRされている地方税の増収についてでありますが、全体一・二兆円です。しかし、地方消費税が約三千億、法人事業税の制度改革分が約六千億ですから、合わせて九千億程度は制度改革に伴うものであって、いわゆるアベノミクスが地方に行き渡ったものとは評価しかねる部分があります。
一方で、所得割はほとんど横ばい。個人の所得に係る所得割が横ばいである中にもかかわらず、配当課税分が一千二百億円増になっています。それから、株式譲渡分がこれも一千二百億円分ぐらい増になっている。ですから、制度改革分を除けば、ほとんどが株の売買と株から受けた配当による地方税増収なんですね。これは恐らくですが、都会に集中しているでしょう、都会の富裕層のみでしょう。
この地方税収をもって税収が十分だから交付税額を抑えるということになりますと、都会の税源は潤うが地方には十分お金が回らないということになりかねません。
それから、経済構造からいってもこれは格差の増長であり、地方財政の安定運営に貢献するものとは必ずしも言いがたい。株式の売買益や配当課税分のみが伸びるような現在の地方税収状況については、バランスのとれたものとは言いがたい。この点、指摘をいたします。
加えてもう一点、地方税に関してこれから心配なのは、ふるさと納税の企業に対する拡充についてであります。
いかがでしょうか、いただいた資料によると、ふるさと納税の実績額が、去年の上半期だけで前年を上回る数字、四百五十億円を超えているようです。そうすると、いよいよ昨年あるいはことしは一千億オーダーになってくる、ふるさと納税が。
そうしますと、今までは二百億、三百億のかわいらしい話だったんですが、一千億オーダーになってきますと、これは一つの税目に匹敵する税、例えば自動車取得税とか、一千億オーダーの地方税の税目というのは複数あります。
こういうことを考えますと、かなり、返礼品等の問題も含めて説明責任はより加重されてくるというふうに認識をしていただく必要がありますし、これを企業に拡大するということになりますと、各企業は地元自治体との間で入札やあるいは取引関係、場合によっては電源対策等も含めて、企業にはさまざまな思惑があります。この思惑に従って自治体に寄附をし、その寄附の六割が還元されるという仕組み。さらに、企業に対してはどういう恩恵をもたらすのか、それは返礼品なのか、あるいは取引や入札、契約上の有利な計らいなのか。こういったことについても十分注意をしなければなりません。
地方税について極めて憂慮すべき点、二点指摘をし、大臣からコメントがあればいただきたいと思います。
○高市国務大臣 まず、個人住民税のお話がございました。
二十八年度の地方財政計画では、地方税収は一・二兆円の増加を見込んでおりますが、そのうち配当割で千二百五十五億円の増、株式等譲渡所得割で千百九十億円の増をそれぞれ見込んでいます。これは、好調な企業業績により配当が伸びていることや、株価の推移などを踏まえて見込んだものでございます。
一方で、給与所得者に係る収入が大宗を占める所得割も、県民税、市民税合わせて千二百八十億円の増を見込んでおります。政権交代前の平成二十四年度と比較しますと、所得割は〇・四兆円増加しております。給与所得も確実に増加していると考えられますので、今後は、やはりローカルアベノミクスの全国展開によって、地方でも雇用や所得の拡大というのがしっかりと波及して、そして景気回復の実感を皆さんに感じていただけるように、総務省としても頑張ってまいるということでございます。
それから、ふるさと納税でございます。
まず、企業版のお話でございますけれども、これは、入札などに例えば特別な対応をするということは明確に禁止をされると承知をしております。
それから、ふるさと納税制度なんですけれども、これも、二十七年度の税制改正で、寄附枠を拡大する、それから郵便局の活用などを含めた利便性向上もあって、先ほど小川委員が言ってくださったとおり、かなり大きく実績を伸ばしています。
一方で、やはり総務省としては、地方への応援が継続的に得られるように、地方団体で、ふるさと納税を活用する施策の明確化ですとか、活用実績のわかりやすいPRをするなど、使途を評価してもらう、ここに力点を置いた取り組みが広がっていくという方向でさらに活用を図っていきたいと思います。
また、返礼品も、既に昨年四月の大臣通知で良識ある対応をお願いしているんですが、これも、税法上、行き過ぎてしまうと一時所得に該当しますので、引き続きしっかりと良識のある対応をしていただいて、せっかくのいい制度だと思いますので、健全に発展するように努力を続けてまいります。
○小川委員 都市部なり富裕層に恩恵が行き過ぎる環境については、地方税制、地方財政上は必ずしも望ましいとは言い切れない。その点と、それから、確かにいい面もあるでしょう、ふるさと納税については。しかし、弊害も大いに議論されている制度であるということについては、改めて指摘をしたいと思います。
後半なんですが、大臣、これはちょっと触れないわけにいきませんので、放送法の関連についてお尋ねします。
昨日、折しも、メディアの世界での重鎮、論客六名が集合されて、田原総一朗さん、岸井成格さん、青木理さん、大谷昭宏さん、鳥越俊太郎さん、金平茂紀さんですか、かなり強い表現もあります。これは政治権力とメディアの戦争である、ここまで露骨にメディアをチェックし、牽制してきた政権はなかった。田原さんなんかは、高市氏の発言は非常に恥ずかしいというようなことまで指摘されています。
「私たちは怒っている」という緊急声明でありますが、大臣、どういうふうにきのうの意見表明を受けとめておられるか、まずお聞きしたいと思います。
○高市国務大臣 きのう、午後は私も委員会に出ておりましたので、会見そのものは夜のニュースにちらっと映ったものを見たのと、あと、声明文は拝読をいたしました。いろいろな御意見があるのだなと感じさせていただきました。
○小川委員 この議論、大変尾を引いているわけです。
先般の私自身の質疑の中で、大臣、総務大臣として、中立公正に職務を遂行することに心を砕きたいという御答弁がございました。そういう努力目標としては受けとめたわけですが、そう答弁せざるを得ないこと自体が、本質的に政治家は、あるいは政党は政治的中立ではあり得ないということを事実上吐露していただいたというふうに私は受けとめています。
この間の答弁の中で、大臣も、再三の撤回を私どもとしてはお勧めする中で、常に拒否をされていますので、ちょっと私自身の納得のいかない点を御答弁いただきたいと思うんです。
まず一点目。大臣は、私が総務大臣のときにこんなことをするとは思わないが、将来の可能性は排除できないという言い方をされています。しかし、この国は法治国家ですので、大臣御在任中であっても、該当の案件、該当するような事態に至れば電波停止命令権限は行使する、みずから行使するということをまずお認めいただきたいと思うんです。
○高市国務大臣 ここで答弁をしますと、今まで、私が大臣であるときに、正確に言いますと電波法第七十六条に規定をされている無線局の運用停止命令ということになりますが、それを行使することは私が大臣である間はないだろうというふうに申し上げてまいりました。
現在、電波法の対象事業者及び放送法百七十四条の対象事業者、それぞれ種類が違うんですけれども、しかしながら、合計をいたしますと千三百七事業者ございます。それでも、免許をしているわけでございますし、それぞれ現在のところ問題も起こらず、電波法七十六条ですとか放送法百七十四条の適用ということになりますと、それは非常に極端な場合でございますので、そういったことが起こらないような状況で、それぞれの放送事業者が自律的に法を守っていただいている。
このように考えておりますので、まず私が大臣である間はそのような心配はないのであろうということを申し上げてまいりました。
○小川委員 大臣、希望的観測をお聞きしていません。法的環境について聞いています。
今、現に大臣が心配されているような事態が起きれば、大臣御自身がこの権限を行使されますね。
○高市国務大臣 内閣は、憲法第五章において行政権の主体としての地位を認められております。また、憲法の条文には、内閣の職務として法律を誠実に執行するという規定がございます。
そういう意味でございますので、ここは法治国家でございますから、法律に規定されたものにつきましては、放送法や電波法に限らず、必要があれば誠実に執行するというのが内閣の役割であると思います。
○小川委員 事と次第によっては大臣みずから行使されるという御答弁と受けとめました。
つまり、これはそのぐらい腹をくくって言わなきゃいけないことなんですよ、大臣。法的環境次第ではあり得るが私のときはやりませんなんという答弁は許されない、そもそもです。それぐらい覚悟を持って言わなければならなかった答弁だということを重ねて指摘し、そして、今の御答弁を重く受けとめたいと思います。
そういう中で、きのうメディアの有識者の方々がいろいろと強い言葉を使って御発言いただく中で、非常に気になる発言のくだりがありましたので、紹介かたがた、国会の議事録に残させていただきたいと思っています。
これは全て匿名でありますが、一つは、在京キー局報道番組ディレクターの方の意見です。
高市大臣発言を含めて一連の安倍政権下の動きで、実際の報道現場に影響が出ているのは確かです。最も顕著にあらわれているのが、番組内の決定権者らの自粛です。それはやりたいのはわかるが我慢してくれ、そこまでは突っ込めないなどと言われることは何度もあります。これまでなら当然指摘してきた問題の掘り下げなどについてです。政権批判ととられるのではないかと恐れ、自粛しています。これは報道側の情けなさではありますが、実際にある圧力によって影響を受けています。
これがお一人。
もう一人、在京キー局報道局の中堅社員の方からだそうです。
報道現場に充満する自粛の空気というのは……(発言する者あり)
○遠山委員長 御静粛に願います。
○小川委員 皆さんが想像する以上の深刻な域に達しています。我々は、今、伝えるべきことを伝えられていないという自責の念に日々駆られています。表向き、各局の記者やコメンテーター、経営陣が恥ずかしくて認めないため、多くの国民の知るところとなっていませんが、現場には明らかに大きな影響が出ています。街頭録音を削りました。デモの批判的な映像も自粛しています。デモは市民の意思をあらわす動きですが、デモを警戒している官邸に気を使ったのです。ニュースの選択の段階で気を使い、なくなったニュース項目は山ほどあり、数を挙げたら切りがないほど気を使っています。
最後にお一人、在京キー局の報道局の若手社員だそうです。
報道現場の萎縮とは、意識して始まるものではなく、現場の人間でさえわからない間に侵食されてしまうものだと感じている。気づけば、争点となる政策課題、例えば原発、安保を取り上げにくくなっている。気づけば、街頭録音で政権と同じ考えを話してくれる人を何時間でもかけて探し回って、探しまくって放送している。気づけば、政権批判の強い評論家を出演させなくなっている。
一連の、これは匿名ですから真偽についてさまざま確認の必要はあるでしょう、しかし、それなりに責任のある方が公の場で表明された、こうした……(発言する者あり)
○遠山委員長 御静粛に願います。
○小川委員 報道機関内部でのこうした自粛なり萎縮の動きについて、放送免許を所管される総務大臣として、極めて繊細な危機感を抱くべきだと私は思いますが、大臣、この点いかがですか。
○高市国務大臣 きょうの予算委員会でも、会派を同じくされる柿沢未途議員が、NHKのテレビ中継が入っているところで一方的に、高市大臣が電波を停止すると言った、停止すると言ったと言い続けましたよ。とんでもない話です。私は、まず、電波を停止すると言ったことはございません。法律、現行法の内容について聞かれたから、説明はいたしました。
それから、まず私自身がメディアによる政権批判について何かコメントをしたことはございません。全く、国会の場でそれを大臣として申し上げたことは一度もないはずです。議事録をごらんいただけたらと思います。
そして、その匿名の方々による制作現場の萎縮という話なんですが、先般来、各放送局の社長さんたちが会見を開かれた中でいろいろ発言をしておられますけれども、萎縮をしているという発言をされた方もいらっしゃいませんし、まず自律的にしっかりと報道の自由を確保していかれる旨を発言しておられると思います。これは、各社社長様のインタビューが出たときに、新聞にも出ておりますので私も目を通しておりますけれども、そのようにちゃんと矜持を持って報道をされる、そして自律的に放送事業者が表現の自由を確保するために放送法を守っていかれる、その趣旨の御発言であると考えております。
そしてまた、きのうもテレビを見ておりましたけれども、私に対して、何ら手心は加えていただいていないどころか、大変厳しい報道をしていただいております。とても萎縮はしておられないと思います。
○小川委員 放送局、経営層の方々との接触の方が、大臣、多いと思うんですね。ここで言われている懸念は、報道の現場です。取材の現場であり、制作の現場です。ここが経営層の意思をそんたく、おもんぱかって、現場が萎縮することに対しての危機感が表明されているわけです。
これは仮にとしか言いようがありませんが、仮にこういうことが報道現場で起きているとすれば、それはゆゆしきことであるということを、大臣、ぜひ認めてください。
もう一点、基本的な認識ですが、マスコミの役割について、大臣の御認識を最後に聞いて、終わりたいと思います。
政治的に中立公平というのがこの間さんざん話題になっていますが、客観的に中立とか客観的に公平というのはあり得ないんですね、そもそも。それが私の立場です。
したがって、政権はある一定の政治的立場をとります。それは、安全保障政策にせよ、経済政策にせよ、社会保障政策にせよ、政権はある一定の政治的立場をとります。これに対して、メディアは第四の権力と言われます。むしろ政権に対して批判的に、政治権力に対して批判的立場から検証を重ねるのが私はメディアの本来的な役割だと思います。
ですから、メディアに対して中立公正を求めることそのものがこの本質的な議論を履き違えたものであって、政治的立場を一定明確にする政府、広く言えば野党議員も含まれますが、国会、こうした政治権力に対して批判的立場から検証を加え、ひいては、多様でそして自由な言論空間、日本の民主主義の発展に貢献していくのがメディアの役割である。
この認識二点について、大臣の御見識をお聞きして終わりたいと思います。一点目。現場で萎縮が起きていることは危機ですよね。そして、マスコミの役割は、政治権力、政府に対して批判的立場をとることがむしろ健全な役割である。この二点について、大臣の御見識をお聞きして、終わりたいと思います。(発言する者あり)
○遠山委員長 御静粛にお願いいたします。
○高市国務大臣 私も、さまざまなテレビの番組の制作会社の方々、そしてまた放送事業者内の本社に勤務されている方の中で制作部門におられる方々、お会いしてまいりましたけれども、それはやはり報道マンとしての矜持を持って制作をされていると思いますよ。決して現場が萎縮するということはあってはならないと思います。メディアは伝えるべきことを伝えるべき存在です。
必ず政権をたたかなきゃいけないかといったら、それはまた違うと思います。野党であれ与党であれ、また内閣であれ、何か批判されるべきことがあれば、それはしっかりとお伝えされているんだろうと思っております。
放送法の第一条でございますけれども、放送の不偏不党、真実、自律を保障することによって放送による表現の自由を確保するとございます。第四条も、放送事業者は、放送番組の編集にあっては次の各号の定めるところによらなければならないとして、政治的に公平であることや、報道は事実を曲げないですること、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすることということでございます。
放送法につきましては、民主党政権時代、平成二十二年に大きな改正をされました。これが現在の条文でございます。
○小川委員 また追って議論したいと思います。
ありがとうございました。
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