民主党 衆議院議員 小川淳也
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〜会議録(2015年8月7日 予算委員会)〜

○小川委員  民主党の小川淳也です。

 総理、先ほどの階委員の問いに引き続いてちょっとお尋ねをいたします。

 非核三原則を堅持すると毎年歴代の総理大臣は明言したわけでありますが、昨年以前の文案と比較をいたしまして非常に私はこれは、言わなくてもわかるだろうというのでは済まない、明言しなければならなかったことではないかと思います。

 なおかつ、これは事務方が起案して落としたとは思えない。総理なり総理周辺の指示でこの非核三原則を堅持するという文言が落ちたのではありませんか。

○安倍内閣総理大臣  もう先ほども申し上げたとおりでございまして、今まで三回、以前に三回、平和記念式典には出席をしております。その際、非核三原則は堅持するということは申し上げておりますし、また、国会等においてもそうした発言をしているわけでございます。

 それを前提として、まさに核兵器のない世界を実現する重要な使命を有しており、その実現に向けて国際社会の取り組みを主導していく決意をるる述べたわけでございますし、そして、その後直ちに行われました被爆者団体の代表の皆様との会合におきまして、その際の御挨拶におきまして、非核三原則の堅持について明言をしているところでありまして、その姿勢には一切変化はないということは申し上げておきたい、このように思うところでございます。

○小川委員  懇談会の場でおっしゃったということはお聞きしておりますが、大勢の集会参加者、式典参加者を前に総理は明言されるべきでした。そして、世界に向けて中継もあったわけですね、その場で、私は、申し上げるべきだったと思います。

 総理はこの原稿を、もし総理の指示でないとすれば、目にしたときに相当違和感を感じていなければおかしかった、私はそう思いますよ。

 総理、もし姿勢が変わっていないというのであれば、ここで明言してください。あさって長崎に行かれますよね。ここではきちんと非核三原則を堅持すると明言、長崎でするとこの場でお答えください。

○安倍内閣総理大臣  先ほど来、当然の前提として申し上げているわけでございまして、毎年毎年私の場合は、今、連続して出席をさせていただいているわけでございますし、二つの式典にも出るわけでございますが、長崎の式典におきまして、この文言は入っているものと承知をしております。

○小川委員  あえて落としたのでないとすれば、うっかり落ちた。しかし、それは今回、さまざまな波紋を呼びました。素直に、長崎ではきちんと文言を入れるということでありますので、それはしっかりと受けとめたいと思いますが、特に今、国民の一人一人が戦争の惨禍をそれぞれの立場で振り返っているこの季節であります。改めて、総理の一言一言の影響力の大きさにしっかりと思いをいたしていただきながら、さまざまな場での発言なり、また国会での御答弁なり、しっかりとお願いをしたいと思います。

 あわせて、昨日は、七十年談話に関する有識者会議の報告書が提出されたという非常に重要な節目でございました。

 この中では、さまざまな表現がございますが、焦点でありました、満州事変以降、侵略は拡大したという表現、そして、三〇年代以降、植民地支配が過酷化したという表現、これは明確に入っているようであります。

 こうした、侵略の拡大、植民地支配、そして、あえて言えば、痛切な反省、さらに言えば、今後、焦点は、心からのおわび、これを政府の公式見解としてきちんと近隣諸国を初め国内外に対して示すということが重要だと思いますが、現時点の総理のお考えをお聞きします。

○安倍内閣総理大臣  戦後五十年には村山談話、そして戦後六十年には小泉談話が出されているわけでありまして、安倍内閣としては、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく考えであることは、累次申し上げてきているとおりでございます。戦後七十年の談話は、それを前提として作成するものであります。

 その上で、新たな談話の内容については、さきの大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後、日本として、アジア太平洋地域や世界のためにさらにどのような貢献を果たしていくべきか、次の八十年、九十年、そして百年に向けて、日本はどのような国になることを目指すのかといった点について、世界に発信できるようなものを英知を結集して考え、書き込んでいく考えであります。

 そして、昨日の夕方、二十一世紀構想懇談会から報告書を提出していただきました。戦後七十年の談話につきましては、発表の形式、内容を含め、提出していただいた報告書をよく読んだ上で適切に考えていく方針でございます。

○小川委員  総理は確かに再三、過去の談話を全体として引き継ぐとはおっしゃっています。しかし、個別に、特にキーワードを引き継がなければ、大きくその精神が変わったととられるリスクがあるわけですね。

 私は、この過去の談話は、ある意味日本外交が積み重ねてきた一つの外交資産でもあると思っています。この局面でそれを傷つけるということはあってはならない。侵略戦争なり植民地支配というのは事実の認定です。そして、痛切な反省というのは我が国の話です。心からのおわびというのは、諸外国に対する、相手のある話です。これはあくまで三点セットでなければ、日本としてメッセージを変えたと受け取られかねません。

 総理は再三、未来に向けて、未来に向けてとおっしゃいますが、やはり過去に対する厳格な反省、正確な認識、これがあってこその未来ではありませんか。そういうことに対して、極めて、場合によっては甘いお考えを持って、不用意な談話を発表されるということは決してあってはならないと思いますし、植民地支配、侵略をしっかりと認める、そして、心からのおわび、これをしっかりと対外的に表明していく、このことを改めて求めたいと思います。

 そして、季節柄もございますけれども、現在、安保法案の審議が参議院で進んでいる、そして、国を挙げて今は戦争を振り返る時期でもあります。そういう中で、政府・与党内から極めて不用意な発言が頻発、連発しているということは、大変残念なことであります。

 特に、取り上げることもはばかられるような思いでありますが、さきには、御党の武藤議員、若い人たちが今、デモを初めとしてさまざま行動しているようでありますけれども、これに対して、これは戦争に行きたくないじゃんという自分中心、極端な利己的考えに基づく、利己的個人主義だと。とんでもないと耳を疑いました。

 総理、この発言、総理はどう受けとめておられますか。戦争に行きたくないというのは自分中心の極端な利己的考えですか、そもそも。総理のお考えをお聞かせください。

○安倍内閣総理大臣  そもそも戦争は違法化されているわけでございまして、いわば、その阻却の理由としては、個別的自衛権、集団的自衛権の行使、あるいはまた国連決議があった際ということになっているわけでございます。いわば戦争というのは違法化されているということを、まず認識として我々申し上げているところでございますが、当然、これは政府・与党、共通の認識と言ってもいいんだろう、このように思うわけでございます。

 その上におきまして、現在、我々、平和安全法制を御議論していただいているわけでございますが、これはまさに日本人の命と幸せな暮らしを守るために切れ目のない対応を可能とするためのものである、こういうことでございます。いわば、その認識のもとに我々はこの法案を審議していかなければならない、こう思っているわけでございます。

○小川委員  この武藤議員の、戦争に行きたくないというのは自分中心で極端な利己的考えですか、これに対して総理はどう評価しておられますかとお聞きしています。

○安倍内閣総理大臣  先ほど申し上げましたように、そもそも戦争は違法化されているわけでございます。その上において、そういう認識を持った上において、我々は今法案を審議しているところでございます。

 この武藤議員の発言がどういう文脈でなされているかということを私は詳細には存じ上げませんが、これは党の方において、必要とあればしっかりと吟味するということになるんだろう、こう思うわけでございます。

 そもそも戦争は違法化されているわけでありまして、違法な戦争に参加するということは、そもそもこれはあり得ないわけでございまして、これは個人の勝手とかいう問題では、そもそもその前提が、前提として、戦争は違法であるということは申し上げておきたい。

 戦争が違法だということの上において、その違法な戦争にそもそも参加をすることを強制されること自体が間違っているわけでありますし、また、戦争自体に、徴兵制とか戦争法案というレッテル張りが行われているわけでありますが、先ほども申し上げましたように、戦争はそもそも違法なものであるということでありますし、徴兵制ということは憲法上もあり得ない、こういうことでございます。

 今私が申し上げたことから、これは当然御理解をいただけるものと思います。

○小川委員  総理、何で正面からお答えいただけないんですか、こんなことに対して。戦争に行きたくないというのは当たり前のことでしょう。普遍的な思いでしょう、平和に対する思い。こんな発言はけしからぬとなぜここで一言言えないんですか。そういう総理の甘い姿勢、この手の発言に対する甘い姿勢が、この間頻発、乱発している大きな原因ではありませんか。

 あえて一覧にさせていただきましたよ。この国会が延長される前後から、マスコミに対する強権的な姿勢、そして今回の武藤議員、さらに礒崎総理補佐官におかれては、総理の補佐官であり、安保法制の担当補佐官です。そして、今も総理の身近で、この安保法制に関連してさまざま技術的な助言、アドバイスをしているんじゃないですか。そして、この安保法制を議論するに当たって、法的安定性は崩していないという強弁が、一つの安倍内閣の、安倍政権の筋道でした。しかし、それをいとも簡単に、法的安定性なんてものは関係ないと言った。致命的だと思いますよ、総理、これは。

 総理、ちゃんとおっしゃってくださいよ。この武藤議員、発言撤回しないと言い放っています。総裁として、武藤さんには発言を撤回させて謝罪させる、礒崎さんは、この際けじめをつけてもらう、更迭する。しっかり総理、けじめをつけてください、矜持を示してください。

○安倍内閣総理大臣  まず、武藤議員の発言につきましては、今申し上げましたように、戦争は違法なんですから、その違法なものに参加しなければならないというのは、前提そのものが本人の発言として間違っているということは、はっきり申し上げたではないですか。

 その上において、これは党の、私は行政府の長でありますから、党については党にお任せしているところでございますので、党においてしかるべく適切に判断されるものと思います。

 そして、礒崎補佐官の発言につきましては、これまで繰り返し申し上げているとおり、先日、礒崎補佐官自身が、国会において、説明、おわびをしたところでありまして、私自身も、礒崎補佐官に対し、誤解をされるような発言は慎むべきであるとの注意をしております。

 礒崎補佐官は、法的安定性は関係ないという部分の発言を取り消すとともに、今後、補佐官としての職務に精励する旨説明をしており、引き続き職務に当たってもらいたいと考えているところでございます。

 今回の平和安全法制につきましては、自衛のための必要最小限度の武力の行使しか認められないという従来の政府見解における憲法第九条の解釈の基本的な論理は全く変わっていないわけでございまして、四十七年の解釈における見解といわば基本原理が変わっていない中において当てはめを行ってきたものであり、法的安定性は損なわれていないというのが我々の基本的な考え方でありまして、補佐官もそのことは十分に認識をしているものと思います。

○小川委員  それをいとも簡単に覆したから申し上げているわけです。これは重大だと申し上げているわけです。

 引き続き精励するからそれを認めるということは、総理大臣として、極めて甘いし、けじめがついていない、矜持を示せていない。だから、この手の発言が頻発、連発するんですよ。これは、ますます国民の、この安保法制そのものに対しても、不信を高めていると思いますよ。

 少し残りの時間で国立競技場問題についても聞きたいと思います。

 この国立競技場問題がここまで混乱してきたことにも、一部報道等では集団的無責任体制と言われています。一体誰がこの責任を負うのか。

 そして、ここではっきりお聞きしたいんですが、七月の十七日に、総理はいきなり、突然、突如、白紙撤回だということをおっしゃいました。しかし、その直前まで、総理も下村大臣も遠藤大臣も、国会を初めしかるべき場で、見直しは難しいということを盛んにおっしゃっていた。

 急転直下、十七日になって、白紙撤回。私、乱暴だと思いますが、急転直下白紙撤回に至ったその理由を、総理、おっしゃってください。

○安倍内閣総理大臣  このザハ案につきましては、先ほど御法川委員からも御紹介をいただいたように、民主党政権下において、国際的なデザインのコンペを行い、ザハ案に決定をし、いわばIOCとの関係においても、国際コンペを行ったということ、そしてそのザハ案を採用したということについて、これは明らかにしたわけでございます。

 これは、そのときに、千三百億円のもとで、我々も当然、その案を採用したのだろう、こう考えていたわけでございます。しかし、その後の経緯は委員も御承知のとおりだろうと思います。

 そして、六月にザハ案と見直し案について下村大臣から説明を受けた際、それぞれの案のメリット、デメリットについて説明があったわけであります。下村大臣からは、見直し案でも、特にラグビーワールドカップには間に合わない、また、オリンピック・パラリンピックにも間に合うかどうかについても確信が持てないとの説明がありました。その際、私から、工期も含め見直すことが本当にできないのかさらに研究を進めてほしい旨指示をしたところであります。

 その後、下村大臣から随時状況の報告がありましたが、七月の十七日には下村大臣から、新たに事業者選定を行うこととし、選定まで約半年、そして設計から工事完成まで五十カ月強で、今月中に見直しを判断すればぎりぎり二〇二〇年東京大会に間に合うとの報告を受け、計画を白紙に戻し、ゼロベースで見直すことを決断したところであります。

 新国立競技場の整備計画の見直しについては、現在、遠藤大臣を議長とする関係閣僚会議を中心に検討を進めています。見直しに当たりましては、新しい競技場を世界の人々に感動を与える場とすること、その大前提のもとに、できる限りコストを抑制し、現実的にベストな計画をつくることが重要であると考えています。

 オリンピック・パラリンピックを成功に導いていくことは私の使命であります。メーンスタジアムとなる新国立競技場の整備について、国民やアスリートの声にしっかりと耳を傾け、御理解をいただきながら、二〇二〇年の開催まで、間違いなく完成させるように、内閣全体で責任を持って取り組んでいく決意でございます。

○小川委員  一カ月前から検討をしたと総理はおっしゃっているんです。七月十七日の一カ月前、六月中旬、下村大臣もそうお答えになっている。

 であれば、なぜ七月九日に、スタンド工区の工事三十三億ですか、あるいは工事監理業務二十三億ですか、何で契約するんですか。保留すべきでしょう、せめて。今、白紙撤回の可能性を含めていろいろ研究している、契約書にはサインできないと言うべきじゃありませんか。

 JSCの理事長もきょうお越しいただいていると思いますが、施工主であるJSCの理事長ですら、十七日に総理がおっしゃるまで白紙撤回の話は聞いていないと国会で言っているんですよ。これは真剣に検討したんですか。うそじゃないですか。十六日に安保法案を衆議院で強行採決しましたね。それに対する目先をそらして、批判をかわして、この競技場の問題を政治利用したんじゃありませんか、総理。

○下村国務大臣  先ほど総理から答弁ございましたが、ことしの四月にザハ案の問題点、工期の問題とか費用の問題、これにつきましてJSCの理事長からの報告を受け、私としては直ちに、コストの縮減等の検討について指示しました。また、私自身も、さまざまな関係者から話を聞いて研究を行いました。その上で、六月に、ザハ案とそれから見直しをする場合の案、これについて総理に御説明をいたしました。

 ただ、この見直し案におきましても、槇さんたちの案はラグビーワールドカップも間に合うということでの見直し案だったんですが、さらに精査しても、私としては、ラグビーワールドカップにやはり間に合わないのではないか、また、そもそも、オリンピック・パラリンピックにも、見直しをして本当に間に合うのかどうか、これについては、その六月の時点で確信がはっきり持てませんでした。そういうことを受けて、総理からさらに研究を進めてほしいという指示がされました。

 ですから、見直しをするという確定ができれば、それは、今、小川委員が指摘されたように、契約をストップするということもあり得るというふうに思いますが、その時点においてはまだ確証が得られなかった。

 しかし、総理には随時状況については報告しておりましたが、七月の十七日になって、私の方から総理にはっきりと、事業者選定までで約半年間、それから、設計から工事完成までで五十カ月強、これをスキームとして考えれば、七月中に見直しを判断すればぎりぎり二〇二〇年東京大会に間に合うという報告を七月の十七日にしたところでございます。

 今回のゼロベースの見直しは、ラグビーワールドカップには間に合わないが、オリンピック・パラリンピックには間に合うとして総理が決断されたものでございまして、その際、そういう経緯も踏まえまして、私の報告を踏まえてなされたものであるというふうに承知をしております。

○小川委員  何で契約を保留しなかったのかと聞いているんですよ。ストップと言っていませんよ。せめて保留すべきでしょう、結論が出るまで。全くもって真摯な検討をしていると思えない。

 六十億というのは、これは既に支払い済みの分だけで、総理、もし御存じでしたらでいいんですが、選手強化費用がどのぐらいか御存じですか、このオリンピックに関して、今年度予算で。御存じなければ、もうそれで結構です。

○遠藤国務大臣  ことし、七十数億だったと思っております。

○小川委員  パラリンピックの十億分を含めてそうなんですよ。オリンピックに関して言えば六十億なんです。

 総理が白紙撤回したことで全く無駄になった支出ですよ、デザイン、設計、監修業務から。これは誰が払うんですか、この六十億。オリンピック選手の強化費とほぼ同額ですよ。何のためのオリンピックで、誰のためのオリンピックで、そういうことを本当に問われていると思いますよ。

 ちょっと駆け足で、数字を見ていただきたいと思いますが、仮に今回の二千五百億、絞って一千億台にするとかいろいろなことが報道では言われていますけれども、それでも過去五回分のオリンピックの競技場費用は、見てください、これ。三百億から五百億。

 ちょっと時間がないので急ぎますが、きのう、民主党内では、建築家の森山先生をお呼びしていろいろお話をお聞きしましたよ。世界では、競技場は改築せずに、改修して見事に生まれ変わらせているという例も多々あるんだそうですね。

 東京オリンピックだって、まさにコンパクトでエコなオリンピックを主張されていたんでしょう。これから人口減少、高齢化に対してきちんとメッセージを発するということもあったんじゃないですか。まさにこれから公共施設の老朽化、そしてそれに伴う改修の需要だって莫大ですよ。一つのモデルケースにすべきだったと思う。

 そういうことも含めて、真摯な検討をしたとはとても思えない。この問題を政治利用していることは明らかだ。

 総理は格好よくおっしゃいますよ、競技場問題については国民の声を聞いた、アスリートの声を聞いた。辺野古移設も一カ月停止するんですか。しかし、考えは変えない。政府高官は絶好のタイミングだろうとつぶやいたと言われています。この手の問題では国民の声を聞いたといって盛んに政治的にアピールをする一方で、肝心の安保法制については全く耳をかさない、国民の声を顧みない。

 この安保法制こそ、これだけ不安が高まっている、審議すればするほど疑念は高まっている、反対は強くなっている。白紙撤回すべきじゃありませんか、安保法案こそ。

 せめて、私は再三申し上げますが、消費税の増税を延期することで総理は国民の信を問うたんですよ。これだけの安保政策の大転換で、国民が自己決定すべきじゃないですか、これこそ。この安保法制、白紙撤回するか、解散するか、国民の信を問うか。総理にそれを求めたいと思います。

○安倍内閣総理大臣  国立競技場について政治利用しているのは委員の方じゃないですか。

 我々はあえて余り言っていませんけれども、では、なぜ、国立競技場を、今までの国立競技場を壊して新しいものをつくる、そういう案を決めたんですか、民主党政権時代に。民主党政権時代に決めて、それを、まさに国際コンペを行って決めたじゃないですか。そして、それをIOCに対しても主張したんですよ。

 WTO上の課題も出てきたわけですね、その中において。そして、IOCとの関係も出てきたわけですよ。その中で皆さんはザハ案を決められて、しかし、そのときは千三百億ということで決められたんでしょうけれども、その後膨らんでいった。我々はそれを受け継いで、IOCとの関係もありますから、そう簡単にそれを直ちに撤回というわけにはいきませんよ。その方向でこれは進めていくしかないじゃないですか。しかし、その中でどんどんとこれは工費が膨らんでくる設計だということがわかりましたから、最終的にああいう決断をしたところでございます。

 ただ、間に合うかどうかがわかるまでは、表に出すこともできませんし、それを多くの人たちに伝えるわけにもいかなかったんですよ。もちろん、間に合わないかもしれないのにいきなり私が白紙撤回するという、そんな無責任なことはしませんよ。当たり前じゃありませんか。それはしっかりと間に合うかどうかということを確かめながら、最終的にその確信が得られたから、十七日にそれを申し上げたわけでございます。

 そしてまた、この問題と安保法案の問題は全く別の問題であって、私たちは、国民のまさに命と幸せな暮らしを守り抜いていく使命があるわけでありまして、必要な自衛のための措置とは何かを考え抜いた結果、いわば四十年以上前の解釈は一部変更して、必要な自衛のための措置の中に、今回私たちが解釈を変更したものも、集団的自衛権の行使の一部を容認すること、これはまさに国の存立、国民の命がかかわるということについてのみだけ行使をするということは、十分にその範囲の中に入っている、この確信の中で、今回、法改正を行っているわけでございます。

 そうした法改正を行っていくことは、さきの総選挙においても我々はお約束をしているわけでございます。選挙を経た上において、我々は今回、法案の御審議をお願いしているということでございます。

○小川委員  私どもとしては、デザインまでは当然そうでありますが、それも含めて、国民は見透かしていますよ、総理。そのことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

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