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〜会議録(2015年6月18日 予算委員会)〜
○小川委員 民主党の小川淳也です。よろしくお願いいたします。
まず、年金記録の漏えいについてでありますが、総理、私、この一報に触れたとき、またかと思いました。非常に残念であると同時に、私は今、野党ですけれども、国民の皆様に対して本当に申しわけない、生活の根幹にかかわる、老後の安心、また加入者の方々にとっても大変大きな心の支えである年金制度が、たび重なるこういう不祥事で傷んでいくということは本当に申しわけないことだ、その思いを胸にしながらお尋ねをしていきたいと思います。
既に、年金機構それから厚生労働省内で極めてずさんな管理が繰り返されてきたことは、本日もそうでありますが、各委員会等の審議を通じても明らかになってきたところであります。
先ほどの岡本委員の質問に関連して、まず総理自身の危機管理についてお聞きしたいと思いますが、秘書官から一報を受けられた後、幹部をしっかり呼んで直接お話を聞くというようなことの必要性とか、あるいはそうした迅速な対応を総理はとられるべきではなかったかと私は思いますが、その点いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 当然、この一報を受けた後、秘書官を通じて指示を出しております。また、官房長官ともしっかりと対策について議論をしながら、また厚生労働大臣にも指示をしているところでございます。
○小川委員 今回は年金情報の漏えい、年金記録の漏えいということでありますが、さかのぼること八年前、いわゆる宙に浮いた、消えた年金問題、これは第一次安倍政権の存亡を揺るがしたわけでございまして、当時の記憶なり、また総理なりのいろいろな教訓なり反省なりということが少し頭をよぎられた可能性は、私は今回あったのではないかと想像いたしております。
もう既に大分議論が出ておりますので、先ほど、同じく岡本委員の指摘に対して、責任についてそれぞれ言及をされました、塩崎大臣含めて。
年金機構の理事長、そして塩崎厚生労働大臣、そして内閣総理大臣、この責任に伴う処分のあり方について、みずからその処分の具体的可能性について、ここで言及してください。
○水島参考人 もちろん、今回の本事案に関しまして、私自身、重い責任を感じております。
これから検証委員会で、この間の経緯について厳しい検証が行われると思います。それを踏まえまして検討をしてまいりたいというふうに思っております。
○塩崎国務大臣 当然、まずやるべき二次被害の防止、そしてまた原因究明、そして二度とこういうことが起きないようにということをやることが私のまずは最初の責任だというふうに思っています。
先ほど来申し上げているように、今回のは今までとはかなりレベルの違うサイバー攻撃であったということがだんだんわかってきているわけでございまして、それも、ひとり年金機構だけではなくて、その他のところにも先ほど出てまいりましたようなケースが、そうかどうかは調べてみないとわかりませんが、そういう可能性もあり得るというふうに思っていかなきゃいけないぐらいさまざま起きて、もちろん海外では起きているわけでありますから、そういうことを踏まえると、本当にセキュリティー体制そのもののあり方も考えなきゃいけないと思っております。
一方で、今回、年金機構が個人情報の流出を起こした、サイバーテロに言ってみれば負けたということに関して、監督責任として、私は、厚生労働大臣としても責任があることはよくわかっております。
もちろん、何が本当に問題だったのかということは、第三者委員会で徹底的に、厚労省の役人は事務局には入れずに、ロジ以外は入れずに、徹底的な検証を第三者の専門の方々にお願いしているわけでありますが、その中でも恐らくどこに問題があったかが出てくると思います。それに応じて、やはりけじめはつけていかなきゃいけないというふうに思っております。
○安倍内閣総理大臣 私は行政府の長でありますから、当然、行政上のさまざまな課題、問題については、最終的に責任を負うのは私であります。
今までも、各部門、行政府においていろいろな出来事、事件もございました。もちろん、私が最終的に責任を負うわけでありますが、私の責務とは、そうした出来事を二度と起こさないようにしていくことでありますし、徹底的な原因究明をしていく、体制をしっかりと整えていくということであります。
○小川委員 それはそのとおりですが、やはりけじめのつけ方の一つの表現の仕方は処分しかありません。
中でも、理事長におかれましては、大変重い処分の可能性を含めて、みずからに課しておられるという雰囲気を感じ取りました。もちろん、当面責任を果たしていただくということは別のことだと思いますが、今の大変重々しい表情なり御答弁ぶりについては、きちんと受けとめたいというふうに思います。
その上でなんですが、総理、やはりいま一度、宙に浮いた年金問題を少し振り返っていただきたいと思うんですが、先ほど来、午前中の質疑からありましたように、総理は、最初、この問題はあおるなというお立場でいらっしゃいました。しかし、事の深刻さが次第に明らかとなるにつれて、ちょうど今からもう八年前になります、平成十九年の六月、国会で総理はこのようにおっしゃっておられます。
この年金記録の問題については、多くの国民の皆様に不安を与えましたこと、行政の長として大変申しわけなく思っているところでございます、今と似たような表現ぶりです。私の責任は極めて重いと思っております、最後の一人に至るまで徹底的にチェックをし、そして全てお支払いをするということはお約束をしたいと思います、このように明言されております。そして、記録の突き合わせのチェックをこの一年以内に行います、八年前であります。そして、間違いなく年金に加入してよかった、そう思っていただけるような対応をしてまいることをお約束を申し上げる次第でございます。
これが一連、一部抜粋ではございますが、総理が国会の場で御発言になった概要であります。
私、今回ちょっと共通していると思うのは、当初、事態をそれほど重く見ないという油断が見られるのではないかということ、そして、途中、安受け合いをして、できるかできないかわからないことを勇ましく国民に対して約束を言葉の上でされるということ、そして、最後に、きちんとお尻が拭けたかどうかわからないままに事がうやむやになり、その責任の所在、処分のあり方を含めて問題がたなざらしになるということ。今回も、場合によってはより重大な事態が背後に控えている可能性はないとは言えません。
その前提で確認したいと思いますが、年金記録問題、当時、五千万件が宙に浮いたと言われました。八年かかって解決した記録、件数は何件ですか。
そして、こういうさなかにあって、先ほど岡本委員も指摘されましたが、今月末で総務省に設置した第三者委員会を廃止するという判断は正しい判断ですか。
そして、昨年三月、郷原委員長が指導されました総務省の年金業務監視委員会、まさに、運用上のさまざまな不条理、不合理を正すに当たって極めて有効な役割を果たしてきた。そして、今回の情報の漏えい問題。
郷原委員長はこうおっしゃっているんですよ。この調査委員会は、厚生労働省から情報が上がってくることはないと言うんですよね。むしろ、社会保険労務士や、あるいは機構内部の職員の告発や、正規のルートでは上がってこない情報をしっかりとつかまえて外部からチェック機能を果たせる、これが非常に有効な機能を果たしてきた、だからこそ存続させなければならない、これが郷原委員長の主張でありました。
年金記録は、八年たって何件解決したか。そして、この時期に、今月末で第三者委員会を廃止することは本当に正しい判断か。さらに、業務監視委員会を廃止したことは、今回の一連の不祥事に少なからず影響を与えているのではないか。この点について御答弁いただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 年金記録問題については、これまで、全ての加入者等にねんきん特別便を送付いたしまして、紙台帳とコンピューター記録の突き合わせを行うなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。システムによってできる突き合わせ作業は、平成二十五年度末までに終了しております。さまざまな取り組みを行ってまいりました。
その結果、五千万件の未統合記録のうち、約三千万件が回復をしておりますが、なお約二千万件が残っているものと承知をしております。さらに、一人でも多くの方の記録の回復につなげるため、記録統合の可能性が高いと考えられる方に対し、文書や電話、訪問により、個別に直接接触する方法などに取り組んでいます。
引き続き、国民の皆様の御理解と御協力を得られるように、政府として年金記録問題にしっかりと取り組んでいく考えでございます。
○塩崎国務大臣 今、小川先生の方から、年金記録の訂正手続の問題について、第三者委員会がなくなるということをおっしゃりました。年金記録確認第三者委員会の廃止、この問題が御指摘がございました。
厚労省による年金記録の訂正手続の実施に当たっては、今まであった総務省年金記録確認第三者委員会による手続と比較して国民に不利益が及ぶことがないようにするという方針のもとで、これは参議院の厚生労働委員会の附帯決議にその旨が記されておりまして、それを引き継いで厚生労働省の中に、社会保障審議会の年金記録訂正分科会の方で引き取るということになっているわけでございます。
先ほどの年金業務監視委員会の廃止については、先ほど総務大臣からもお話があったように、社会保障審議会の年金事業管理部会が、この監視委員会と、それから年金記録問題に関する特別委員会、これも去年の一月に終わったわけでありますけれども、その機能も引き継ぐ形でやるということで、先生御案内のように、年金機構は厚生労働大臣の監督のもとで事業が行われるということになっているわけでありますので、監督者としてこのような八条委員会でチェックを入れていくというのは当然のことであって、その際のニュースソースがどこから出てくるかというのは、これは運営の問題であって、今お話があったように、社労士さんとか、あるいは内部告発の問題とか、そういうお話がありました、それも一つの情報源だと思います。
しかし、今回のこの委員も、委員長には増田さんになっていただいていますし、中には長年、社保庁時代から年金の事業の問題について厳しく問題点を指摘されている方々にも入っていただいておりますので、これはむしろ、厚生労働大臣としてどういう責任を果たしてチェックをしていくのかということであって、これが機能しないということになれば、厚生労働大臣のチェックの機能が十分ではないということになりますから、そこは私どもが真剣に取り組むということに尽きるというふうに思うわけであります。
○小川委員 ざっと、その五千万件のうち、解決したのは八年たって三千万件なんですね。二千万件は未解決のまま残っているんです。
厚生労働大臣、厚生労働大臣として責任を果たせなかったからこういう問題が起きてきたんですよ。だから総務省に第三者委員会をつくった。その経過というのは私は重いと思いますよ。この局面でそれを廃止するというのは、私は判断が間違っていると思います。
その上で、機構の体質、私、これは本当に、国民の皆様にも、迷いましたが、改めて見ていただきたい。総理も、これはお耳には入っていると思いますが、あえて改めてごらんください。資料の二枚目です。
私は、五月の八日から六月の一日まで、機構なり厚生労働大臣の公表、公開がおくれたということは非常に問題だと思いますが、一方で、未確認とはいえ、恐らく機構の職員が公表前にインターネットの掲示板にこうした書き込みを行うというのは、ちょっと考えられない、余りにもみっともなく情けなく恥ずかしいことであります。
「皆さん、やっぱり、本当にヤバいことは書かないね。」本当にやばいことって何ですか。「パスワード強制変更&フォルダー閲覧禁止のこと?個人情報が流出したわけじゃあるまいに。」「うわあ、ほんとうにやんなった もうムリ 辞めるしかない!」「あそこまで必死ってことは 個人情報でも流出したのかなと 実際どうだったの?」「その話はやめなさい マスコミの格好のネタになるよ もう一度解体になるよ おい、ここにいる職員よ、絶対に垂れ込むなよ? いいな、絶対だぞ?」「買いたいの解隊でまた公務員になったりして」「個人情報流出したのなら 月曜日に会見とかやるの 現場のしたっぱは何も聞いてないけど」「仕事が進まないよ 休日出勤して月曜日から正常になるんだろう 元々不備だらけだけど」。
理事長、これは本当に理事長もショックを受けておられると思いますが……(発言する者あり)もちろん、確認は必要ですよ、確認は必要ですが、確認作業しているんじゃないですか。
この機構の体質、監督責任について、ちょっとここで答弁してください。
○水島参考人 今回の個人情報の流出に関しまして、機構職員のみが知り得る機構の内部情報が2ちゃんねるに書き込まれていた旨の報道がなされております。事実でございますれば、職員として絶対にあってはならないことだというふうに考えております。
仮に、職員の関与が明らかになった場合には、日本年金機構法第二十五条及び第三十一条の第二項に違反する可能性がございます。
現在、告発に向けまして、警察当局と協議を進めているところでございます。
○小川委員 しっかりこれは確認、今の時代ですから、できる可能性はあると思いますし、とにかく、およそ考えられない書き込みが行われているということであります。その可能性がある。
外部からの、やはり第三者の目で厳しいチェックというのを機構に対して私は改めて行っていく必要があると思いますし、今般、追ってちょっと議論したいと思いますが、本当に解体的出直しが機構にはいま一度求められているのではないかと思います。
もう一点。今回の情報漏えいした総件数が今のところ百二十五万件ということでありますが、先ほど来、岡本委員の指摘、また大西委員の指摘の中で、今、目で確認していると。ファイルが、その他、サーバーの中にどのぐらいあったのかですね。それを目で確認するのに時間がかかるというのは一定理解できるんですよ。
私、昨夜、では、これはどうですか、サーバーに入っていたデータの総量はどのぐらいですか、不審な通信をしたと思われるデータの総量はどのぐらいですか、それをお聞きしたんですね。これはワンクリックで済む話だと思うんです。
サーバーの中にあるデータの総量、そして、不審な通信をしたと思われるデータの総量、これはなかなか事務的にお答えいただけなかったんですが、理事長、御報告上がっていますか。どのぐらいのデータ量がサーバーの中にあったんですか、そして、どのぐらいのデータ量が流出したんですか、定性的に。
○水島参考人 全国にございます共有サーバーが四百を超えているということは、先ほど申し上げたとおりでございます。
それで、その中に個人情報がどの程度入っているかということに関しまして、極めて大量のファイルを人の目で見ていくことによるその作業の正確性とか、そういう面も含めましてやはり問題があるというふうに認識をいたしておりまして、そのために、現在、システムでそれを一挙に調べていくという準備を進めております。
現在、システムの開発に入った段階でございまして、いつごろできるかということに関しましては、大変申しわけございませんが、ここでお約束することはできかねるのでございますけれども、極力早期に全容をつかんでまいりたいというふうに考えております。
○小川委員 理事長、今お聞きしたのはデータの総量なんですね。普通、パソコンの中あるいはサーバーでも、ワンクリック、ツークリックでぱっと出てくる数字なんですよ。それぐらいはすぐわかるでしょうと私はお尋ねしたんですが、事務的には、なかなかそれはお答えできないということだったんです。だからこの場で改めてお聞きしているわけですけれども、これは出せないのではなくて、出さないんだと思いますよ。(発言する者あり)隠蔽ですよ。
これは本当にすぐわかることだと私は思いますので、目で見る検証の前に、ぜひ、委員長、委員会に、どのぐらいのデータ総量が扱われていたのか、どのぐらいが不審な通信に使われたのか、そのぐらいのことはすぐわかるはずですから、理事会において御協議をいただきたいと思います。
○河村委員長 理事会において協議をさせていただきます。
○小川委員 それに関連して、ちょっと総理、ここはよくお聞きをいただきたいところなんですが、今回、私は最初は、百二十五万件の個人情報の流出事案だと思ったんです。でも、いろいろとよく聞けば聞くほど、これはそうじゃないと。
この間、さまざまなサイバー攻撃に政府機関はさらされ続けています。そして、どれだけの情報が流出したのか、していないのかがわからない。たまたま今回、警察が百二十五万件分のファイルを発見した、これが実はこの事態の真相ではないか。私は、いろいろと話を聞けば聞くほどそういう感覚になっているんですね。
内閣官房のサイバーセキュリティセンターにお越しいただいていると思いますが、昨年一年間、どのぐらいのサイバー攻撃を受け、そしてどのぐらいの不審通信を認知して、警報を発したか。そしてそこから、どのぐらいのデータが、個人情報が含まれている、含まれていない、いろいろあると思いますが、流出したのかしていないのか。そもそも確認ができるのかできないのか。ちょっと事実関係をお答えいただきたいと思います。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
NISCにおきましては、各府省等にセンサーを設置しておりまして、サイバー攻撃あるいはその準備動作を検知する業務を行っております。平成二十五年度のデータでございますけれども、政府機関への脅威と認知された件数は約五百八万件、対前年度比で約五倍という数字でございます。
また、この監視活動によりましていわゆる不正アクセス等を検知した際には、当該政府機関への通報を行っております。この数が平成二十五年度におきましては百三十九件でございます。
さらに、私どもの活動におきまして、政府機関が受信をいたします不審なメールにつきまして、情報の集約と注意喚起を行っております。この数字でございますけれども、平成二十五年度におきましては三百八十一件の注意喚起文書を各府省に発出しているところでございます。
○小川委員 今お聞きのとおりでありまして、一年間に五百万件の攻撃を受けているわけです。そして、不審な通信を察知して警報を発したのが百三十件余り、今回はそのうちの一件なんですね。
塩崎大臣にもお聞きいただきたいんですが、なぜこの情報のやりとりが係長レベルで三週間もとどめられていたのか。大臣の耳に入ることはなかったわけですね。
私、これは想像ですが、もし警察がファイルを発見しなければ、この件は未来永劫公表されることはなかったと思います。そのぐらい頻繁に起きている事態なんです。そして、その被害の全容はわからない。ひょっとしたら、今回明らかになったのはほんの氷山の一角かもしれないというのが今回の事態の真相だと思うんです。そういう問題意識のもとで、これからさまざまなサイバー対策なり、いろいろ講じていくということが求められているわけです。
そこで、塩崎大臣、先ほど、今回は過去にない攻撃を受けているのでいろいろ研究も必要なんだという答弁をされました。それはそうなのかもしれませんが、要は、迷惑メールをあけなければよかっただけのことなんですね。あけたら線を抜けばよかっただけのことなんです。
そこで、余りにもずさんな年金機構と、そして割とガードのかたい国税庁、ちょっときょうは対比させてください。これからどうあるべきか、極めてシンプルな話です。
このデータをごらんいただきたいと思いますが、年金機構は全国で三百カ所余りの事務所があります、国税庁は五百カ所。職員は二万人、これは影響しているかどうかはわかりませんが、とにかく、先ほどの指摘にもあったように、年金機構の職員の約半数は非正規の方々、極めて不安定、さまざまな思いを抱えながら仕事をしておられる方が多いと思います。国税庁は五万人余り。
ここにありませんが、参考までに。年金機構には三万六千台のパソコンがあります。そのうち外部接続がなされているものが約八千台。国税庁のパソコンは六万五千台、そのうち外部接続分が五千台。
ここで、極めてシンプルなことなんですが、国民の皆様にも誤解なきようお伝えしたいのは、今回、年金機構の抱えている基幹システムが荒らされたわけじゃないんです。システムの性質なりに不備があったわけではないんです。そこから職員が、外部接続されている自分のコンピューターにデータを持ち出した、そこにウイルスメールが来たことで情報が漏えいした。つまり、運用の問題なんですね、運用のずさんさなんです。
それでいきますと、基幹システムへのアクセス、年金機構は誰でもできるんですよ。しかし、国税庁はセキュリティーをしっかりかけて、誰が見たか、いつ何を見たかをしっかりチェックしている。データの持ち出し、部長の決裁といいますが、下にもあります、もし持ち出す場合はパスワードをしっかりつけてデータを管理しなさいよとあるわけですけれども、このあたりの業務の取り扱いが、恐らく全体として極めてずさんで、緊張感に欠けたものだったはずなんです。
国税庁、ここにありますが、データの持ち出しは、基幹システムから、つまり納税情報、家族の情報、収入、就労状況を管理している基幹システムから、個人の職員の端末に情報を持ち出すということは原則ないということでいいですよね。これは確認させてください。それから、外部接続をした、約一割の端末は外部接続しているわけですが、そこにこの個人情報を持ち込んでそこで仕事をするということはないと。国税庁、この点、ちょっと確認させてください。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
国税庁におきましては、納税者情報を管理します基幹システムに接続する職員の業務用パソコン、それとインターネット用のパソコンを物理的に分離しておりまして、インターネットを通じて外部から納税者情報に不正アクセスを受けることがないようにしております。
さらに、今先生おっしゃいましたように、インターネット用パソコンにおきましては、納税者情報を取り扱うことを禁止しているところでございます。
○小川委員 安倍総理、そして塩崎大臣、そういうことなんですよね。もう極めてシンプルで簡単なこと。これからそれを徹底していくべきではありませんか、政府機関を含めて。
どうぞ、大臣。
○塩崎国務大臣 少なくとも、これをお配りいただいておりますけれども、基幹システムへのアクセスがあたかも日本年金機構は誰でもできるかのようにお書きになっていますが、これは必ずしもそうではなくて、やはりセキュリティーポリシーに基づいてアクセス制限がかかっています。ですから、必ずアクセスするときには確認されるというふうに私は聞いています。間違っていたら、理事長から説明してもらわないかぬというふうに思いますが。
そしてまた、誰が何を見たかもチェックできるというふうに私は聞いておりますので、もし違ったら、理事長の方から説明してもらおうと……(小川委員「大臣、そこはいいです」と呼ぶ)いや、こういうものをお配りになって、テレビでお映しになられたら、国民の皆さんは、誰でもまたのぞき見をしていると思っちゃうじゃないですか。これは必ずしも正しく、必ずしもというか、全く正しくないということを私としてはまず申し上げなきゃいけないということなんです。
ただ、今回は、サーバーに一時期だけしか置けない、そして、そこにはアクセス制限をかけ、そしてパスワードをかけなきゃいけないものをかけていなかったという機構の職員のこの意識の低さ、これは大問題だということを私たちは言っているわけでありまして、それは先生御指摘のとおりだというふうに思います。
○小川委員 そこは改めてちょっと確認したいと思います。
ここで大事なことは、基幹となっているシステムから個人情報を個人の端末に、ましてや外部接続されている端末に持ち出すことを国税庁はやっていないわけです。年金機構はやっているわけです。しかも、パスワードも含めて甘い。
甘利大臣にきょうお越しいただいているんですが、これからマイナンバー制度が始まりますよね。今は、年金情報に関連した年金機構、住基カードに関連した地方自治体、数えるほどの主体が、量は多いですけれども、番号に関連した個人情報を管理しているわけです。
しかし、マイナンバーが始まりますと、これはもうライフステージ全てにかかわってくるんですよね。出生した瞬間、そして奨学金、そしてアルバイトを含めた就職、原稿料や報酬の支払い調書、不動産取引、株式の口座、ありとあらゆる生活の場面に、この番号を付された個人情報が管理され、出回るんです。
もう一回確認しますが、システムそのものの安全性が実は今回問われたわけじゃないんですね。それを持ち出した人たちの管理のずさんさが問われたわけです。
お聞きしますが、来年一月以降、マイナンバー制度が施行されると、どれぐらいの主体が、何百万主体ですか、中小企業まで入れると。どれぐらいの主体が、何千万件ですか、何億件ですか、どのぐらいの番号にひもづけされた個人情報を扱う時代がやってくるんですか、甘利大臣。
○甘利国務大臣 お尋ねのマイナンバーを取り扱う主な主体としては、行政事務においてマイナンバーを利用することができる個人番号利用事務実施者と、これに協力するためにマイナンバーを扱う個人番号関係事務実施者があります。
主な個人番号利用事務実施者といたしましては、都道府県や市町村、健康保険組合などがありまして、これらを合わせますと三千団体以上になります。
一方で、個人番号関係事務実施者の主なものは、例えば、従業員に給与を支払う際に所得税の源泉徴収を行う企業等でありまして、その数は約三百五十六万であります。
また、個人番号利用事務実施者が取り扱うマイナンバーについては、社会保障関係では、例えば、医療保険者が取り扱う医療保険被保険者数は約九千二百八十一万人、これは平成二十三年度ベースですが。税関係でいいますと、例えば、国税庁が取り扱う所得税の確定申告者数は約二千百四十三万人であります。
一方で、個人番号関係事務実施者の取り扱うマイナンバーにつきましては、例えば、企業においては、その従業者総数である約五千五百八十三万人のマイナンバーを取り扱うということになります。
○小川委員 それは足し込まなきゃいけないんでしょうけれども、ざっと何百万主体が何千万、何億件の個人情報を番号つきであちこちで預かっている状態が一月以降やってくるということですよね。
この事業者の方ですが、それは大企業もあれば個人事業所もあるでしょう。規模も管理能力も、あるいはモチベーションもシステムも、千差万別、さまざまだと思いますよ。
そして、今回のように、悪意を持った人たちがそこにアクセスをしようとする意欲は極めて高まると思います。果ては預金情報から何から全部つながるわけですから。
ですから、私は、今回用意されているガイドラインを見ましたよ。ウイルスソフトを新しくしましょうとか書いてある。しかし、今回の事案でとにかく明らかなことは、年金機構もそれはやっていたわけですから、個人情報を外部接続された端末では管理しない、そのことだけ全国民、全事業所、そして全政府機関に徹底することがマイナンバー導入の大前提になるんじゃないですか。甘利大臣、いかがですか。
○甘利国務大臣 御指摘のように、今回の事案については、別管理されているものを、ネットワークとつながって、いわゆるインターネットでつながっているパソコンの中に持ち込んで使っていた。これはやっちゃいけないことで、しかも、パスワードもかけないということであります。
基本的に、行政が取り扱うマイナンバーというのは、機関ごとに別管理されている、一元管理、いわゆる芋づるができないように管理されています。それから、アクセスする人が限定されている。それから、その情報間のやりとりは専用回線で、インターネットの回線とは違うもので、しかも暗号でやりとりされる。
問題は企業等ですね。従業員情報を取り扱うところについてどういう指導をしていくかということで、ヒューマンエラーが事実上起きないようなシステムの分断をするということを御指摘だと思います。
まず、ガイドラインをつくりまして、これは、もちろんヒューマンエラーにきちっと対処しなければなりませんから、やるべきことをきちっと例を挙げて、わかりやすいガイドラインをつくっております。ただ、三万人の会社と三人の零細企業と同じことをやれといってもこれは無理ですから、その規模によって、それに準ずる指導をしっかりしていきたいと思います。
それから、インターネットで取り扱うことがゼロにできるかどうかということは、実は私が同じような疑問を持って今調査をさせております。
ただ、いずれにいたしましても、暗号化して取り扱うということになりますので、システム上のリスク対応はしっかりやっていく。最終的には、それを取り扱う人に対してどこまできちんとルールを徹底できるかということも極めて大事になってくると思います。
○小川委員 行政側のシステム対応というのは、大臣が言うとおり、しっかりやっていると私も思うんですよ。でも、その議論が、今、事の本質をかえって見えなくするので申し上げているんです。
民間事業者はそうじゃないんです。全て番号にひもづけられた、恐らく何億件という情報が飛び交っている。だから、一番シンプルで一番確実なのは、外部接続された端末ではそれは扱わないというのが一番シンプルなんですよ。
それで、塩崎大臣、検証委員会の結論の時期ですが、ちょっといいですか、甘利大臣。この間、会見でこうおっしゃいましたよね。今回の事案をしっかり検証して、年金にマイナンバーを使用するということについてはその上で対処したいと。つまり、検証委員会の結論が出なければ、マイナンバーへの年金接続は考え直すという趣旨だと受けとめましたが、そういうことでいいんですよね。
○甘利国務大臣 まず、ことしの十月にマイナンバーを通知いたします。そして、マイナンバーカードは年明けから交付できるような体制がとられます。この全体の日程は、支障がないように進めていきたいと思います。
それから、御指摘の点につきましては、この事案の検証をしっかりやってもらいます。原因を究明し、再発防止策をきちっととっていただく。その進捗を見ながら、予定どおりやっていいものか、あるいは、時間を置かなければならないものか、その判断をしたいと思います。
○小川委員 ということは、塩崎大臣、マイナンバーの接続、業務が始まるのは一月ですから、年内がお尻ということでしょう、検証委員会の結論を出すのは。明言してください。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたとおりでありますが、いろいろ検証を、いろいろなケースでこれまであったと思います。例えば、同様の、教育関係の大きな企業で大々的に個人情報が出たときには約三カ月と、この間、参議院の厚労委員会で参考人で来られた方は、メンバーの一人として、約三カ月かかったということを言っておられました。
いろいろなものがあって、何とも言えないところではございますけれども、私どもは、先ほど申し上げたとおり、事は年金の個人情報でありますから、もうこれはスピード感が大事だ、皆さんの年金に対する信頼感を戻すためにはやはりスピード感が大事だ、しかし、徹底的な解明もしてくれ、こういうことを甲斐中委員長にお願いをしているわけであります。
今、時期がいつかということは申し上げませんけれども、やはり常識的に考えて、この問題に国民の皆さん方が納得できるタイミングというものを考えていただくということで、私どもは話し合いをしていこうというふうに思っております。
○小川委員 塩崎大臣、ここは力強い答弁が欲しいところでした、ぜひリーダーシップを発揮していただいて。
総理、最後に、ちょっとごらんいただきたい資料がありますので、これをごらんいただいて終わりたいと思います。
私は、ずっと注目している数字がありまして、国民の国に対する期待です。
一枚目の資料なんですが、安倍政権発足直後、景気対策を望む人が一番多かったんですね。でも、それから二年半、景気対策を望むという方々の割合は減る一方です。これは、ある種、アベノミクスに対する限界、あるいは、自分自身はそのターゲットじゃないなと感じている人もふえてきているんじゃないでしょうか。
一方で、社会保障改革に対する期待感はどんどん上がってきていますよ。この二五%、社会保障改革に期待するというのは、民主党政権発足直後に近い数字です。そのぐらい、国民の願いはそこにあるんです。
一方、外交、安全保障をごらんください。これだけ連日報道されて一割ですよ、国民の望むというのは。
総理は、第一次政権の失敗を踏まえられて、こうおっしゃったと仄聞しています。第一次政権の失敗は、自分のやりたいことと国民がやってほしいこととが乖離していた。私は、そこを上手にコントロールされた二年半だったのではないかと拝見しています。しかし、ここへ来て、再び、総理のやりたいことと国民の願いとは大きく乖離してきているのではありませんか。それは、大きく傾向を変えてきているのではありませんか。
そして最後に、この間の民放の調査結果ですけれども、憲法審査会に加えて、憲法違反の疑いがないと言い切った人は、百九十八人の憲法学者のうち三人という状態です。
ここはひとつ、私は、撤回されて、無理やり数の力で、国会を無理やり延長して、何としても成立させるという強硬な姿勢ではなく、一度、これらの国民の声に謙虚に耳を傾けられ、仕切り直しをされる方が賢明だと思いますが、最後にその点、総理の御答弁をいただいて終えたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 国が取り組むべき課題、最初は景気対策だったと思います。私も、アベノミクスを進めていくというお約束をしました。三本の矢の政策。これが成果を上げて、この二年半、GDP、名目においてはプラス五・四。ですから、大きな成果を上げています。企業は最高の収益を上げ、そして、賃金は昨年、十五年間で最高。そして、ことしはそれを上回っておりますし、有効求人倍率は二十三年ぶりのいい数字になっている。雇用も賃金も上がっている中において、満足をしてきていただいたのかな、この数字を見ながらそう思ったわけでございますが、しかし、我々は、満足することなく、しっかりとさらに成長戦略を進めていきたい、完全にデフレ脱却をし、経済成長を確かなものとしていきたい、こう思っております。
その中で、社会保障については、人口構造が大きく変わる中で、果たして、年金、大丈夫なのか、あるいは、医療や介護、大丈夫なのか、そういう御心配があるんだろう。それに応えていくことについて、我々はしっかりと責任を果たしていきたい。
そういう中におきましても、我々は、先般、消費税を引き上げまして、次の世代にこの世界に冠たる社会保障制度を引き渡していきたい、と同時に、サービスを低下させることなく、効率化を図ることによってこの社会保障制度を守っていきたい、こう思っております。
そして、安全保障については、これは常に、それほど高いパーセンテージにはならないわけでありますが、常に我々は、国民の安全は守らなければいけないという責任感のもとに、その責任を果たしていくことはまさに政治家の責務であろう、このように思っております。
さらに、憲法学者については……。
もういいですか、答えなくて。もう次の方があそこに待っておられますね。それでは、答弁はこれで打ち切らせていただきます。
○小川委員 国民が満足しているというのは違うと思います。それはまた次回にしたいと思います。
ありがとうございました。
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