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〜会議録(2015年5月27日 厚生労働委員会)〜
○小川委員 民主党の小川淳也でございます。
このたび、急遽、厚生労働委員会に移籍になりました。委員長初め理事、委員の皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
初めてでありますので、ちょっと基本的なこともお聞きすることをお許しいただきたいと思います。
塩崎大臣、午前中から午後に至って初めて派遣法の議論をお聞かせいただいて、私自身、ちょっと大臣の基本的な御認識をお聞きしたいんですが、今の日本の雇用市場、雇用政策の状況に対する危機感、非正規労働が四〇%です、働いても食べられないと言われている人もいる、そういうことに対する危機感なり、その厚生労働行政、労働行政を担当する大臣としての熱意、気迫のようなものが全く伝わってこない。
株式市場に年金資金を突っ込むというときの大臣の熱意は、相当なものを感じていました。これは、現在の労働市場に対するある種の危機感を共有していただく、あるいはその先頭に立っていただく必要があると思いますが、どういう認識で今おられるんですか。その点、ちょっと聞かせてください。
○塩崎国務大臣 一概に、労働政策全般に対する認識ということで、なかなか難しい、大きい話であります。
今、私どもの日本の抱えている経済の問題というのは、いろいろな言い方があると思いますけれども、基本的には、過去、この二年半ぐらいは随分好転をして、逆転をしてきたと思いますけれども、それまでの歩みは、相当な閉塞感に押し込められて、雇用の面でもいろいろな、希望者が働きたくても働けないというようなことがありました。
それが今どうなっているかというと、雇用の全般的な改善は明らかであって、賃金も上がり始めている。こういう好循環が始まっていることは、やはりこの二年半の大きな前進だというふうに私は思っているわけであります。どこに行っても人手が足りない。私ども国会議員のところに、かつてはよく就職の相談が来ましたが、今は割合限定的な案件しかなかなか来ないということであります。
ですから、そういう意味では、大きな方向としては、私は、かつてよりいい方向には行っていると思います。
しかし一方で、子供の貧困や一人親家庭の問題、そういう中で、働く方の、特に女性の賃金、非正規雇用の賃金の相対的な劣後している姿というのは、これはほかの国ではないほど問題があるというふうに思っています。
今、非正規労働の話、後でまた出てくるのかもわかりませんけれども、ふえてきている大きな要因は高齢化であるということは間違いないわけでありまして、長くなるのでやめますが、その辺についてはまた申し上げたいと思います。
今問題なのは、二年半前までは、なぜ日本の経済がこれだけ弱くなったのかということを考えてみると、やはり産業が弱くなり、企業が弱くなり、競争力が全般的に落ちた、その中で労働生産性が落ちていく。それを反転、逆転していかなきゃいけないという中で、労働政策もできるだけ多様性を持って、世界に勝てる経済になるための働き方、そしてまた働く人のニーズも随分変わってきていますから、子育てをしている人たちから始まって、若い人たちも含めて、どうやってそのニーズに合った働き方をしていくかというのは、これは不断の、やはり我々の仕事の一つとして、国会でできることは、政府でできることは全てやっていかなきゃいけないというふうに思います。
○小川委員 経済のことを考える人は政権内に必要だと思います。しかし、塩崎大臣にはこれにあらがう形で、時に労働者の立場に立ち、労働者の保護なり雇用市場の安定なりのために闘っていただかなきゃいけないんですよね。個人的な御趣味は別ですよ、どちらに関心があるのか。しかし、厚生労働省の大きな務めはそれですよ。ちょっと一度、設置法をよく読み返してください。きょうは読み上げませんけれどもね。
それから、認識で、きのうも事務的にお聞きして、同じことを大臣はおっしゃるが、現在非正規がふえているのは、高齢人口がふえていることはあるでしょう。しかし、最大の問題は若い世代ですよ。
これはきのういただいた数字なので、御紹介しておきます。平成元年、平成に入ってから比較しましょう。お手元にも数字があるんでしょう。平成元年の十五歳から二十四歳の正社員、五百二十四万人。直近、平成二十六年の十五歳から二十四歳、二百四十四万人、正規雇用が半減ですよ。逆に、六十五歳以上、平成元年三十八万人、二十六年八十六万人、三倍増ですよ。
二十六年たっていますから、昔正社員だった人がそのまま正社員という人もいるんでしょう。しかし、高齢者の割合がふえている、高齢者が非正規雇用でふえているから非正規がふえているんだなんという認識は、全くもって勘違いだと思いますよ。だからこそ、この問題は深刻なんだ。だからこそ、その立場に立って、今回の派遣法も丁寧に議論する必要があるんですよ。
しかも、厚生労働大臣には、さっき読み上げないと言いましたが、念のため読み上げますよ。厚生労働省の第一の任務は、第三条、国民生活の保障ですよ。労働条件その他、労働者の働く環境の整備だ、職業の確保だ。所掌事務の第四条五号には労働組合その他労働に関する団体に関する連絡調整、労働者の団結する権利、団体交渉その他の団体行動する権利の保障に関すること、労働関係の調整に関すること、これが厚生労働大臣の務めです、職責です。その立場に立って、御答弁をぜひいただきたいと思います。
それで、ちょっと本題に入りたいんですが、先ほどの岡本委員の示した数字、私、改めて、恥ずかしながら愕然としています。マージン率八七%とは何ですか。搾取そのものじゃないですか。人身売買とも言えるような数字じゃないですか。
まさに、この数字を見て、一概に言えませんとか、評価は難しいとか、分析はまだだとか言っている感覚そのものが、これだけ日本の労働市場を弱体化させて、雇用不安、生活不安、将来への心配を深く蔓延させている大きな原因じゃありませんか。厚生労働大臣、この数字を見て、即時に、瞬時に、異常だ、おかしい、余りにもひどいと、厚生労働大臣の人権感覚に対する感度が問われているんじゃありませんか。
これは即中身を調べて、これは八七%、割合ですよ。実額で幾らもらって、そのうち幾らピンはねしているのか、すぐ調べて委員会に御報告いただくということを御答弁いただきたい、お約束いただきたい。
○塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、これにつきましては、調べられるだけのことはやって、お調べをして、御提示を申し上げたいということを先ほど岡本先生にも申し上げたところでございます。
先ほど設置法のことをおっしゃったんですが、先生御存じで飛ばしたんだろうと思いますが、「国民生活の保障及び向上を図り、」その後、「並びに経済の発展に寄与するため、」という大きな目的が第三条に入っていることも忘れないようにしていただきたいというふうに思います。
○小川委員 その「経済の発展に寄与するため、」では、その後を読みましょう。「社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上」なんですよね。お互い都合のいいところだけつまみ食いするのは、では、やめましょうか。
しかし、では今の大臣の御答弁を前提にすると、時によって、経済の発展のために、雇用環境の悪化につながり得る規制緩和を大いにやっていくということですか、厚生労働省。違うでしょう。
○塩崎国務大臣 この第三条、先生はお役人出身ですからよくわかっていて、私は民間から来ていますからよくわからないところがありますけれども、第三条の「任務」のところが、「厚生労働省は、国民生活の保障及び向上を図り、並びに経済の発展に寄与するため、」というのが大目的なんですね。これが目的ですよ。
これは、厚生省と労働省が一緒になったので、この「経済の発展に寄与するため、」という意味合いのことは労働省側にあったんです。それを一緒になったときに設置法の中に両方入れ込んで、目的はですよ、ということで、その後、「社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進並びに労働条件その他の労働者の働く環境の整備及び職業の確保を図ることを任務とする。」ということ。
先ほど小川先生は、経済に関心を持つこと自体にいかがなものかという感じのことを何か言われたような気がしないでもないんですが、やはり経済が悪くなる中で働く人たちの条件がよくなることはまずないんだろうと思うんです。ですから、経済もよくなって働く人たちの条件もよくなるということが私は大事だというふうに思っていますので、そこのところはぜひ御理解を賜れればというふうに思うところでございます。
○小川委員 閣僚としておっしゃりたい気持ちはわかりますが、ぐっとこらえなきゃいけない一言もありますからね、よく読んでいるとか読んでいないとかも含めて。
そのことは指摘した上で、大臣、やはり今、これは日本だけじゃないと思います、世界じゅうそうだと思いますが、経済がよくなっても、昔はそれに合わせて国民生活はよくなったんですよ、今は、時々経済がよくなっても、必ずしもそれに一般国民の暮らしがついてこないという構造問題にどの国もさらされている。
そこで、まさに厚生労働大臣には、それがなぜなのか、どこに問題があるのか、どうすればいいのかというところに苦悶していただくことが厚生労働大臣の第一義の務めだということをお願いかたがた申し上げているわけです。
私は、維新の党が提出された同一労働同一賃金の法案、これは極めて、大いに評価をする立場でありますし、ともにその方向で戦っていきたいと思っています。
それで、余りにもこの議論も軽薄なので、大臣、少し御見識をお伺いしたいんです。
今の雇用市場が二極分化していること、きのうも厚生労働省、過労死防止大綱に向けての議論が大詰めを迎えられたという報道がありました。狭き門をくぐった正社員は、無制限な働き方とそして過労死寸前のぎりぎりの生活を強いられているという、一方の極端な例が多発しています。一方、この狭い正社員の門をくぐれなかった人たちは非正規雇用の形に追いやられ、一たび追いやられたら、一生賃金が上がらない。一生その世界で、家族生活を営むことも思うようにならないという状況下に置かれている。この二極分化ですよ。私は、これは本当に立場を超えて話し合わなければならないことだと思うんです。
さっきおっしゃっていたジョブ型雇用と、そしてメンバーシップ型雇用。ちょっとわかりにくいので、日本の雇用は極めて身分的なんですよね。正規と非正規という形で、身分雇用型に二分化されている。さっき申し上げました、正規は過労死、非正規は人生設計が立たない。いずれも不健全な形に追いやられている。なぜこうなったのか。
これは私、一つの持論なんですが、私見も入ります。
これは「非正規大国」という本なんですね、日本について書いている。昔、非正規労働、正社員という言葉を政府が初めて使ったのは一九八〇年代だと書いてあります。当時、正社員が九四%だったんだそうですね、そのころですよ。恐らく五〇年代から六〇年代、六〇年代から七〇年代、人口増大、経済成長、新卒採用、年功序列、そして退職一時金、そして心配のない年金という形で、全ての税制、雇用の仕組みが設計された。
しかし、矢印は逆回転を始めています。にもかかわらず、基本的な社会保障とそれを支える諸税制の仕組みが変わらない。そのはざまに煩悶しているのが日本の雇用市場じゃありませんか。
それで、具体的に一つ指摘したいのは、退職金税制なんですね。
新卒時に、若くして馬車馬のように働かされ、そして給与の後払いのような形で、三十年後、四十年後に退職金を受け取る。その退職金に対しては、例えば二千万もらっても三千万もらっても、税金は二十万、三十万です。もしそれが普通の給与所得であれば、一千万、一千五百万は税金で持っていかれる。それはそうでしょう。若いときは安月給で働いて、三十年、四十年、一つのところで勤め上げて、そして最後の報酬で退職金をもらい、税負担はほとんどなくというような、先進国にはこんな仕組みはありません。
こういう遺物を一方で残しながら、さらに、雇う側だってそうですよね。昔の社会保険料は収入の三%ですよ。これを労使折半していた。今、三〇%を労使折半しています。払えないんですよ、社会保険料だって。
こういう企業別の社会保障制度、そして異常に優遇する退職税制、こういうものを放置したまま、ジョブ型雇用もメンバーシップ型雇用もあったものじゃない。このままだと、正規も非正規もどんどん二極分化して、片や過労死、片や人生設計が立たない。こういう状況はどんどんこれからも悪化し、深刻化すると思います。
なぜ日本の雇用思想がここまで不公平で、不安定で、そして二極分化しているのか、その点について、今、私の私見も含めて、一端を申し上げました。
大臣、ちょっと、私の私見に対してで結構ですが、御認識、御答弁いただけませんか。
○塩崎国務大臣 変わり行く世界経済の中で日本がどう生き残っていくかという中で、対応していることと対応していないこと、そしてまた、高齢化が進み少子化が進む、これについても、対応していること、していないこと、確かに御指摘のとおり、遺物として残っていて、今の新しい例えば働き方あるいは企業の活動の仕方、これに合っていないまま来てしまっているというところはたくさんある、私は同感でございます。
もちろん、例えば今女性の活躍法案を御審議いただいておりますけれども、これに関して、女性が活躍することに関してもやはり税制の問題が深く大きくまたかかわっていて、今は人手不足ですけれども、十二月になるとさらにそれがひどくなるのは、やはり百三万円の壁であり、そして百三十万円の壁であったりするわけで、そういう中で、働きたいけれども働かない方が有利かなと思っていらっしゃる専業主婦の方がパートの途中で年末の方になると出てこなくなるということで、むしろ経済実態にとっては大変なマイナスに、出てきていただけないということで困るような現場がたくさんあるというようなことも聞いているわけであります。ですから、退職金税制の話、今、大変重要な問題を御指摘いただいたというふうに思います。
そういうことを考えてみたり、社会保険料は今もそのとおりでありますが、社会保障と税の一体改革でその取っかかりを自公民でつくったと思いますけれども、これはまだ道半ばでありますから、さらに新しい時代にふさわしい、そしてまた少子高齢化のピークを乗り越えられるだけの備えというものを我々は歳出歳入両方の面から考えていかなきゃいけないというふうに思いますし、翻って、厚生労働省の労働政策という意味でも、今申し上げたように、働くことについての、言ってみれば障害になっているものについては、できるだけ早くにそれを解消していくために努力をしていかなきゃいけないというふうに思います。
○小川委員 ごめんなさい、ちょっと時間がかかり過ぎました。ありがとうございました。
ただ、派遣法の議論がきょうはもちろん一番大事なことなんですが、少し、やはりやや視野を広げて、そういう構造問題をしっかり背景に見据えて議論しないと、極めて各論に落ち込むし、本当の解決方法は見えてこないということを申し上げたかったわけです。
そういう状況の中で派遣法を議論しなきゃいけないんですが、臨時的、一時的だと言いながら、さっき阿部先生も御指摘になられました、臨時的、一時的と言う以上、三年というのは長過ぎるでしょう、原則三年というのは。無期限に更新できるなんというのはあり得ないでしょう。私は、一年でも長いと思いますよ。
私も想像しましたよ。自分の事務所で、例えば、一時的、臨時的に欲しい雇用というのは、どういうときにどういう人が欲しいかなと想像しましたよ。あり得ないですよ、三年間なんて。これは常用雇用だ。一年たって、それが三年まで延長できた際には常用雇用にしなさいという建前でやってきたはずです。それを原則三年、無期限に更新できる、それは常用雇用そのものじゃないですか。
今申し上げた大きな観点からいって、今回の派遣法改正は、全くもって厚生労働大臣が提出するものとは思えない。百歩譲って、経済産業大臣が出してきた、それに対して厚生労働大臣が戦っているという構造なら、これはまだうなずける。だけれども、全くもってこれは欺瞞でしょう、これで労働者の権利を守りますとか、正社員化を進めますとか。まさに派遣の常態化だ。これによって、さらに派遣によって賄われる労働はふえる、そこにつく若い人たちもふえる、生涯に対して人生設計が立たない人たちもふえる、日本社会はさらに弱体化する。
この十年、二十年、厚生労働省がやってきた派遣法だって、最初は十三業務でしょう。それを拡大に拡大し続けてきた。最初はポジティブリストだった。極めて簡便なネガティブリストに変えた。原則と例外を入れかえた。そして、今度はついに期間制限も外して、業務制限も取っ払う。まさに派遣の常態化、常用化であり、雇用市場に決定的に不安定さ、不信感、不安感、格差感、場合によっては、派遣労働者の方がよくおっしゃるんですよ、人間としての尊厳を侵されている、そういうものを助長する法案じゃありませんか。
具体的にお聞きします。
労働政策審議会において、私、これは西村理事が指摘された極めて重要な点だと思うんですが、派遣業者の意見を聞きましたか。派遣労働者の意見を聞きましたか。それだけちょっとお聞きします。
○塩崎国務大臣 私は去年の九月から今の立場に立っておりますけれども、もともと私の後援会や友人の周りにいろいろな職業の方がおられて、中には派遣の方も、特に女性に多いわけでございますが、男性もそういう方々がおられるということをわかっております。
それから、それとはまた別に、私どもとしては、まず、正式に省としては意見をちゃんと、派遣労働者の声を聞いたかという意味においては、労政審でも、労働者代表の方、派遣労働者を含む労働者全体の代表という立場から御議論をいただいているわけでありますから、そういう立場で聞いているとともに、私のオフィスにも実際に来ていただきました。
連合の方にも御協力をいただいてお話を聞いたこともありますし、それとまた別途、別のルートで、やはり派遣労働で働いていらっしゃる方々に、それぞれ特徴のある方々でありましたが、おいでをいただいてお話を聞いて、いずれの場合も大変参考になったわけで、同時にわかったことは、極めて御意見に幅があるということもよくわかりました。
それは何度も申し上げているように、正規労働になりたいと思っていらっしゃる方と、派遣でないとむしろ困るという方がおられるという、両極端に分かれているということも同時にわかったところでございまして、今お話をいただいたように、一つの価値観で判断するということはなかなか難しいほど、いろいろな方々が派遣で働いていらっしゃるなという印象でございます。
○小川委員 いろいろなルートで意見を吸い上げられることは大事だと思いますが、公式に労働政策審議会があるわけですから、そこでどういう形で、事務的にお聞きしたら、個人情報にかかわるので、聞いたことの詳細なり、あるいはどういう人から聞いたかという報告はありませんでした。
個人名は結構です。どういう人から議論をあるいはヒアリングをして、そしてどういう意見が上がってきたか。それはぜひ、大事なことですから、この委員会に資料として提出をしていただきたい。委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。
○渡辺委員長 理事会で協議いたします。
○小川委員 きょうは最初ですので、私も、積年の思いもありまして、少し持論が先行して申しわけなかったんですが、大臣、日本の労働者の権利は、やはり私は十分に守られていないと思います。
今回、労働政策審議会でも、連合さんは労働者を代表して頑張ったと思います。でも、連合の組織率というのは、大臣、どのぐらいか御存じですか。席上で結構です。(塩崎国務大臣「一七%」と呼ぶ)そうなんですよね。二割切っているんですよ。つまり、全勤労者の二割、大企業の正社員が中心ですよね、どうしても。そういう方々の声は何とか集約しようということに努力はしているし、一定の力は持っている。
しかし、派遣労働者の方々を含めて、先ほど西村理事の、派遣先で労働組合をつくるのか、派遣元で労働組合をつくるのかというお話がありました。両方とも非現実的ですよ。一緒にいない人たちが団結するなんてあり得ない。行った先で、極めて少数派で弱者の立場に置かれている人たちが団結したところで、力を発揮するというのはあり得ない。
私はやはり、まさに日本に本当の意味での企業、業態横断的な労働組合が結成されるべきだと思いますし、それなくして二千万の非正規雇用の方々の置かれている現状なり声なりを国政なり法制度に届けることはできない。
そこで大臣、これもぜひ御存じであれば改めて御認識をいただきたいし、御存じでなければぜひこの際頭に入れていただきたいんですが、これから先モデルにすべき国柄の一つの参考例として、やはり北欧諸国のような、高成長、高負担、高福祉を三位一体でなし遂げているような国があります。そういうところは、労働組合の加入率というのは九〇%を超えているんですよね。なぜか。基本的に、職業紹介、職業訓練、そして失業給付、失業時の支援、これは労働組合がやっているんですよ。私も詳細はよく調べなきゃと思っていますが、基本的に労働組合こそが、そういった社会的な、より公的な機能、権能を担っている。ですから、みんなが参加をして、そして一定の社会的勢力として力を発揮している。
この間の二十年の歴史からいえば、これだけ労働者の権利がないがしろにされてきた二十年でした。そして、社会はますます不安定化している。もはや厚生労働省に雇用政策の枢要部分を担っていく資格もないんじゃないか、私はそう思っています。将来的に、厚生労働省から剥がして、労働組合に職業紹介、職業訓練、そして失業給付を含めた労働者のための公的な権能を担わせていく方向感すら持つべきである、そのことを強く主張して、ひとまずきょうは、最初の質問でしたけれども、終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
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