トップ>衆議院TV
〜会議録(2015年3月13日本会議)〜
○小川淳也君 民主党の小川淳也でございます。
私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出、平成二十七年度予算三案について、反対の立場から討論いたします。(拍手)
まず初めに、三月も半ばに差しかかった今、既に予算の年度内成立は困難な情勢であり、いまだ本院において予算案を議論していること自体が政治の停滞であります。これはそもそも、昨年の解散・総選挙が強引、無理筋のものであり、いわばこうした党利党略が国民生活を人質にとったものにほかならず、改めて苦言を呈し、反省を求めたいと思います。
加えて、予算案の審議に際しては、閣僚席からのやじが円滑な審議を妨げ、質問には直接関係のない答弁が延々と続けられ、議論の深化も妨げられました。さらに、あろうことか、総理みずからが閣僚席から事実誤認の不規則発言を繰り出し、後日訂正、謝罪するという前代未聞の事態に至りました。国会の歴史に大きな汚点を残すものであり、まことに遺憾、大いに反省を求めるものであります。
さて、予算審議開始早々に、西川前農林水産大臣が政治資金問題に関連をして辞任、下村文部科学大臣にも不透明な政治活動の疑惑が連日報じられています。また、西川前大臣の辞任当日には、同じ農水省の中川政務官が軽率な行動で政権への信任を傷つけるなど、予算の中身以前の問題として、内閣の資質について大いに議論せざるを得なかったことは、まさに国民にとって不幸であり、巨大与党の緩み、おごりのあらわれではないか。猛省を促したいと思います。
政治と金の問題をめぐっては、昨日も、補助金を受けた四十五の企業から自民党の政治資金団体国民政治協会に資金が流れている実態が明らかとなりました。
結局、自民党は変わっていない、変わったように見えてもなかなかその本質は変わらない、改めてそのことを実感します。
そして、政権与党、ましてや補助金交付に影響を及ぼす閣僚が補助金交付先から資金を得たのでは、政策決定や予算執行に疑念を持たれるのは当然です。総理は事の重大性を深く認識し、西川前大臣や下村大臣、また、過去問題となった事案の当事者に対しても、真相究明、説明責任を果たすことを求め、関係者の出処進退を含め、断固たる決意でみずからの任命責任を果たしていただくことを求めます。
同時に、政治と金の問題をめぐっては、新たなルールづくりも必要です。
我が党も党内論議を加速しており、野党からの建設的な意見、提案に対しても、謙虚に耳を傾け、改革の実現に御協力をいただくことを強く要請いたします。
さて、予算案についてです。
政府は、これを経済再生と財政再建の両立を図るものとしています。しかし、実際には、消費増税が先送られる一方で、膨らんだ公共事業費はそのまま温存され、財政規律には既に緩みが見られます。二十六年度補正予算には粉飾まがいのつけかえが多数盛り込まれ、それでも本予算の歳出規模は九十六兆三千億円と、史上最大に膨れ上がりました。
そして、この膨大な予算を陰で支えるのは、日銀による国債の大量購入です。
もはや、これは財政ファイナンスというほかなく、こうした異常な事態は財政規律を麻痺させ、やがては国債価格の暴落、長期金利の上昇、財政破綻や金融システムの毀損、そして悪性インフレと、国民生活を根底から脅かす要因となりかねません。
同時に、株価操作かと疑われるような、年金資金による大量の株式購入も大問題です。
目先の株価や経済指標にとらわれる余り、国民の暮らしと財産を質入れするかのようなアベノミクスには限界があり、もはや、経済政策というより、国を挙げてのかけごと政治、まさにアベノリスクともいうべき事態が進行しています。政府がこうしたリスクについて国民に真摯に説明しようとしないこともまた、大きなリスクです。
実体経済に目を転じても、国民が感じる景気回復への実感は極めて乏しいものと言わざるを得ません。
昨年の経済成長率はマイナスであり、実質賃金も十九カ月連続で低下、相対的貧困率は先進国最悪の水準、不安定な非正規雇用もふえ続け、今や全勤労者の四割に達しました。
しかも、こうした問題への政権の感度は極めて鈍く、暮らしの不安、都市と地方の格差、大企業と中小企業の格差に立ち向かうという熱意は、全くもって感じられません。
個別論点についても指摘をします。
まず、国民生活に直結する社会保障関連予算です。
本予算では、消費増税の先送りと同時に、社会保障の機能強化までも先送られました。特に、低年金生活者に対する月額五千円の追加給付、年金受給資格の十年への短縮といった、かつて三党で合意したはずの重要施策があっさりと見送られています。介護報酬の大幅な引き下げ等と相まって、高齢弱者の暮らしを直撃することになります。
一方、富裕層には贈与税の非課税枠がさらに拡大されます。住宅、結婚、子育て、教育、合計五千五百万円が無税でその子や孫に贈られます。
近年、親の経済力が子供の学力に大きな影響を及ぼすという調査結果も見られ、また、一人親家庭の子供の貧困問題も深刻です。日本では経済的に恵まれない家庭の子供は平等にスタートラインに立つことすらできないのか、そんな社会に夢や希望があると言えるか、社会の健全な発展は果たして可能か、党派を超えて真剣に考えなければならない問題です。
さらに、地方創生関連予算。都市部の大企業に恩恵をもたらす法人減税が決まる一方、地域経済の柱、雇用のよりどころとなる中小企業への外形標準課税が強化されます。地方創生の看板とは裏腹に、中小企業の負担増はさらなる地方の疲弊につながることは明らかです。
肝心の地方創生予算、政府は次元の異なる大胆な政策と豪語しますが、内実は、関連七千二百二十五億円の九割近くが従来予算の焼き直しにすぎません。自治体にまたぞろ総合戦略を策定させ、国が認定して補助金を交付する。異次元でも何でもないではありませんか。旧態依然、霞が関主導のもと、地域の自主性、自立性を脅かす仕組みがまた一つふえただけではありませんか。
加えて、基地建設をめぐって緊迫する沖縄に対して、知事との面会に応じないばかりか、交付金の削減という仕打ちをもって迎えるなど、民意を無視した強権的な手法が目に余ります。こうした政権の姿勢が、真に地方創生を促すはずがありません。
十年で農家の所得を倍増する、農業についても威勢のよい言葉が躍ります。しかし、実際には戸別所得補償の支払いは半減し、昨年来の米価の下落は農家の経営に暗い影を落としています。所得倍増どころか、廃業すら考えざるを得ないのが実情ではありませんか。農業を魅力あるものにするためには、戸別所得補償制度の復活を含め、セーフティーネットの再構築が必要不可欠です。
政府の掲げる地方創生は、まさに統一地方選挙目当ての、看板倒れ、見かけ倒しと言われても仕方ないのではありませんか。人口減少や超高齢化の最前線で闘う地方を真に応援するものとはとても言えません。一括交付金を初めとした本格的な地域主権改革こそが真の地方創生策であり、その早期復活を含め、抜本的な改革を求めます。
以上、わずかにその一端を述べたにすぎませんが、本予算案は、経済再生、財政再建、地方創生に資するものとはほど遠く、むしろ、国民生活を大きなリスクのもとに置き、景気回復の実感は乏しく、さらなる格差拡大、地方の疲弊を助長するものであり、到底賛成することはできません。
景気回復や地方創生には一向に本気度が感じられない一方で、集団的自衛権や憲法改正など、安倍カラーと言われる政策は着々と進んでいます。ここに安倍政権の隠し切れない本質がかいま見え、これに不安を感じる国民も多数存在します。
改めて、民主党は、こうした国民の声にしっかりと応え、むしろ、人口減や高齢化といった社会の構造変化に真っすぐなまなざしを向けたいと思います。まやかしの金融緩和に依存せず、困難な現実を含めて国民と真摯に語り合い、厳しい現実を乗り越えて、未来を切り開いてまいります。
公平公正な社会、経済の成長と社会保障の安定、高齢者の安心と若い世代の希望の両立を図るべく、これからも真摯に取り組んでまいる決意を申し上げ、私の本予算案に対する反対討論とさせていただきます。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
▲このページのTOPへ
|