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〜会議録(2015年3月6日 予算委員会)〜
○小川委員 民主党の小川淳也でございます。
きょうは地方創生に関連してお尋ねをいたします。
その一つの柱である農業の再生、農政改革等々、政務三役の資質を含めてきょうは御質問をさせていただく予定でございましたが、残念ながら、通告をいたしました中川農水政務官、御出席いただいていないようであります。その理由、また上司としてどういう報告を受けているか、まず林農林水産大臣にお伺いをいたします。
○林国務大臣 小川委員から委員会に出席するようにということは、理事会で御要請があったということはお聞きしておりますが、中川政務官におかれては入院をされたということで、そういう事実を承知しております。
詳細についてはまだ聞いておりませんが、入院をきのうしたということでございます。
○小川委員 大事な国会審議の場でございますので、政策及び政務三役の資質等についてもきちんとした説明を求める機会であります。きちんとした御報告を受けていただきたいと思います。
また、委員長にお願いがございます。
こういう公式な場に出られないということでありますので、医師の診断書その他、事情をきちんと公に証明するものを当委員会に御提出いただきたい。
○大島委員長 理事会で朝協議して、その方向で今協議しておりますので、そのことを踏まえて御質問ください。
○小川委員 よろしくお取り計らいをお願いしたいと思います。
御本人のお言葉をかりれば、軽率な行動であったという事案でございますが、報道によればですけれども、二月の二十三日月曜日といえば、まさに前西川農水大臣が辞任を突如表明され、そして林新大臣が就任をされる。その間、夕刻から夜にかけて、恐らく、省内初め、また官邸、そして宮内庁関係者含めて相当な緊急事態に忙殺されながら対応していたのではないかと思います。そういう中にあって、御本人の言葉をかりれば、軽率な行動、こういう形で著しく信任を傷つけた可能性があります。
農林水産大臣、今後、農協改革を初めとした農政の見直し、そしてTPPの交渉、さまざまな困難に打ちかちながら政策を前に進めなければならない、そういう中にあって、この中川農水政務官、職責にたえられますか。その評価をお聞きしたいと思います。
○林国務大臣 まず、当日のことについて御指摘がありましたが、二十三日の月曜日でございましたけれども、政務官におかれては、事務方と連絡をとりつつ対応していたものと承知をしております。
また、中川政務官におかれては、前任の西川前大臣時代から、今お話のありました農協改革、農政の改革を前に進めていく上で大変重要な役割を果たしてこられた、こういうふうに思っておりますので、一日も早く回復をいただいて、この職責を全うしていただきたい、こういうふうに考えております。
○小川委員 職責にたえられるかどうか、診断書の提出等も待った上で、野党のサイドからもしっかり議論をさせていただきたいと思います。
少し、私自身の感想でありますけれども、私も、想像いたしました。
政権を担当させていただいたときに、総務省の政務官を務めさせていただきました。当時、政務三役には相当な一体感がございまして、あらゆる困難に共同して立ち向かっていたというのが真相であります。
これは私自身想像したわけですが、万一、突如大臣が辞意を表明し、そして、その後の展開がどうなるのか、誰が新たに来られるのか、そこでどんな指示をされるのか、あるいは会見の対応はどうなるのか、考えれば考えるほど、私は、役所内に待機をして、そして新大臣の無事の着任を見届け、さまざまな指示、相談事項等を速やかに、緊急のものを含めて済ませと対応するのが当然ではないかと思いますが、農林水産省内のそのあたりの危機管理、危機対応はどうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
今先生の方から御指摘ございました二月二十三日の経緯でございますが、夕刻の五時半ごろに西川大臣の辞任の報道が入りまして、直ちに私ども、十七時四十分ごろでございますが、両副大臣そして両大臣政務官に対しまして、登庁に備えて都内近郊で待機いただくよう要請、依頼したところでございます。
○小川委員 都内待機では足りないと申し上げています。極めて当事者意識、当事者感覚に欠けているのではないか、業務を進める上に当たっての責任意識にも欠けているのではないかということを指摘しております。
最後に、この問題に関して内閣総理大臣にお尋ねをいたします。
先ごろ、政治と金の問題をめぐって担当大臣が辞任し、交代したばかりでございます。その直後に、こういう形で軽率な行動をもって信任を傷つけ、そしてこの大切な国会審議の場にも出てこられない。こういう事態を目の当たりにして、業務遂行、総理はよくおっしゃいます、政策を前に進めることをもって任命責任を果たしていきたい、これは総理が再三口にされる言葉であります。その言葉に照らして、今後の職務の遂行を含め、当然総理にも御判断をいただかなければならないと思いますが、罷免、更迭含めて、総理の任命責任、これをお尋ねしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 中川政務官をめぐる報道について、詳細について私が承知をしているわけではございませんが、大臣が交代した二月二十三日についてはただいま農水省から説明があったとおりでございまして、危機管理上の問題はなかったと考えています。
いずれにしても、今後は、公人として誤解を受けることのないようみずからを律しつつ、政務官としての職務に全力で取り組んでもらいたいと考えております。(発言する者あり)
○大島委員長 お静かに。
○小川委員 より緊張感を持って、もっともっと厳しく、政務のメンバーに対しては統率をお願いする、その姿勢が大切だと思いますよ。
中川政務官には、御退院後は速やかに国会にお出ましをいただき、さまざま説明責任を果たしていただきたい。また、野党としてもその立場から引き続き議論をさせていただくことを申し上げて、この問題はひとまずおかせていただきたいと思います。
きょうは、地方創生等が主題でございます。先ごろ、委員長を座長とする視察団、地方公聴会団、金沢に参らせていただきました。新幹線の開業を直前に控えて、極めて町の盛り上がりは熱気に満ちて、非常に思うところ多々ございました。
きょうはあらゆることに関してお尋ねをしたいところですが、時間の制約もあり、私自身かねてから高い関心、問題意識を持っております地方創生とふるさと納税との関連についてお尋ねをしたいと思います。
ふるさと納税は、言わずと知れた、安倍内閣の地方創生策の一つの目玉でございます。誤解なきように申し上げたいと思いますが、二〇〇八年の制度開始以降、地方に対する財源の移譲、そして地域の特産品のPR、さらには販売促進含めて、一定の成果を上げているということに関しては、私も認める立場でございますし、その限りにおいては応援をする立場でございます。
しかし、いかんせん、この制度設計がもたらしているさまざまな弊害、こちらの方に対しても、総務行政、地方行政をつかさどる大臣としてはよく目くばせをお願いしなければならない、その観点からきょうはお尋ねを申し上げたいと思います。
制度発足後、二〇一一年に震災がございました。そのときに爆発的にこのふるさと納税は活用が拡大をしており、実に寄附金総額が六百四十九億円、そして、ふるさと納税を利用した方々が七十四万人と言われております。
ただ、まずこのグラフ、資料からごらんをいただきたいと思うんですが、一枚目のグラフです。これはある資料をもとに私の方で作成したものでございますが、極めて妙なことが起きているなという印象であります。二〇一一年にかけて、まさに被災地である福島県や岩手県に対する寄附額が急増をしています。ところが、被災地は急減をし、この際、きょうの質疑では名指しを避けますが、とある県は逆に急増しているという傾向が見てとれます。
高市大臣、地方税財政を所管するお立場でありますので、これを見て、なぜ被災地以外の県で急に伸びているところがあると御想像になられるか、お考えになられるか、まずその点をちょっとお聞きしたいと思います。
○高市国務大臣 さまざまな事情はあると思います。
ふるさと納税の趣旨に沿って、我が地方はこういう政策を実行したいということを非常に上手にアピールをされて、それに賛同する方々が積極的にその地域を応援しようとされたケースもありましょう。
他方で、非常に過剰な返礼品競争というものもございます。ちょっと、私から見てもこれは異常だと思われるような高額な返礼品もございますので、そういったものに興味を持って、引かれて納税をされた方がいるということも、これも紛れもない事実だと思います。
○小川委員 まずは、大臣に率直にお認めをいただいたことに敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。
まさにそのとおりなんですよね。これは各自治体の努力によるところですから、評価するべき部分もあると思います。しかし、もともと、住民税ですから、本来、住んでいる地域の学校や病院、ごみ処理、さまざまな経費をみんなで分かち合う、そして、その納税の対価としていかなる特定の利益も受けることはないというのが税の基本であります。しかし、今回のふるさと納税に関しては、どうもこの点をないがしろにしかねないおそれがあり、現にこうした傾向にあらわれているということだろうと思います。
現在のプレゼント合戦でありますが、肉や魚、地域の特産品、これは当たり前です。果物、旅行券、最近では、航空会社のポイント、さらには電子マネー、ありとあらゆるものが出つつある。一つ問題だと思うのは、これはどんどん高額化しているんですね。報道等によれば、例えば二百万円寄附してくれると六十五万円のかばんを上げます、三百万円くれると百三十万円のコートを上げます。
さらに、この資料も、きょうはあえて図示させていただきましたが、これも名指しは避けたいと思います。関東のある市では、百万円寄附してくれれば四十万円近い布団のセットを差し上げます。九州のある町では、三百万円の寄附で牛一頭を差し上げます。近畿のある市では、一千万円寄附してくれれば宅地を差し上げます。ちょっとこれはやり過ぎじゃないですか。
幸いにもといいますか、最後の土地については、さすがに総務省も見かねたのか、事実上の行政指導、助言をもって、控えなさいということをおっしゃった。それで踏みとどまったようであります。
この過剰なプレゼント合戦、大臣、先ほどお述べになられましたので、ぜひともこれは抑制していくべきだと思いますが、自治体自身が悩んでいますよ、過剰なプレゼント合戦で、やり過ぎだと。大臣、まずその決意を述べていただきたいと思います。
○高市国務大臣 まず、返礼品については、先ほど委員もおっしゃってくださいましたけれども、地場産品の振興ですとか、それからまた、ふるさとの宣伝にもなります。ただし、これは節度がある場合でございます。ふるさと納税の趣旨から逸脱するような高額なものであったり、それからまた換金性の高いようなものであると、これは税法上も問題が生じると思っております。
昨年末からさまざま、予算編成や税制に向けて、地方の各団体とも私たちは何度も会議の場を持ちました。その場でも節度ある対応を申し上げておりますし、地方六団体の方でも、今かなり問題意識を持って、節度のある対応をするべきだということで打ち出していただいております。
まだこの改正地方税法、成立しておりませんので、今の段階で大臣通知として発出するのは早いと思いますが、成立後速やかに、節度ある対応について、大臣としての通知を発出いたします。
○小川委員 正式な通知は、法律が成立して以降だと思います。しかし、一月の時点で事務連絡は既に行っている。それから、二年前ですかね、二〇一三年にも事実上の指導は行っている。しかし、一向に改善が見られる傾向にないということを前提に、大臣には指導力を発揮していただかなければならない。
改めて地方税法の規定も確認しておきたいと思いますが、寄附金控除の対象となる経費に、確かに都道府県、市町村に対する寄附金が挙げられているんですね、法律上ですよ。しかし、その中には、資料にも示しました、括弧書きで、ただし、特別の利益が当該納税者に及ぶと認められるものは除くとはっきり書かれている。
ということは、まかり間違っても、特定の利益、確約された利益、期待された利益と引きかえに納税するということは税の本来の趣旨にもとるわけでございまして、この法律的な意義についてもまずはよくかみしめていただきたい。
加えて、私、もう一つ大きな問題だと思っていることがあります。
ふるさと納税の限度額は、現在、おおむね住民税の一〇%です。住民税の一〇%ということは、住民税は所得の一〇%ですから、大体所得の一%前後が自己負担二千円で寄附できる上限になる。そうすると、ざっと言えばですけれども、百万円の所得の方は一万円です、上限が。一千万円の所得の方は十万円寄附できる。一億の収入がある方は百万円寄附ができる。いずれも上限は二千円ぽっきりです、二千円どまり。つまり、十万円寄附すれば九万八千円返ってくる。百万寄附すれば九十九万八千円は返ってくるんです。
その上で、最近、大臣も御存じだと思いますが、ふるさと納税を推奨する推奨本が世の中に氾濫している。これも実名は避けます。避けますが、納税モラルの点からいって、私はとても看過できないという記述が多々見られる。
例えば、ちょっとした手間でとんでもなく得をする、余りにおいしい仕組み、どうすれば何をもらえて、どれだけ得をするのか。所得税、住民税を合わせて私は年間数億納める、納税が国民の義務だということはよくわかっている、しかし、これだけ納税しても、例えば保育園の競争倍率に優遇があるわけでもなく、何もいいことはない。
納税ってそういうものなんですよ、もともと。誰かに特定の利益を及ぼすものじゃない。
果ては、何月にどこに寄附すれば、いつ何が送られてきて、我が家の食費はゼロだということを豪語しておられる。
大臣、謎解き、答えられますか。ふるさと納税とかけて、家でゲームばかりをしているニートと解く。その心は、ただ飯を食べますだそうです。とんでもないですよ、これは。
同じ公益的な寄附でも、例えば日本赤十字社、共同募金、一〇%は必ず自己負担になるという仕組みが入っている。ところが、ふるさと納税には限度額もなければ二千円ぽっきりという変な制度が入っているがゆえに、高額所得者は、何百万も寄附して、ほとんどが返ってきて、おまけに食べ切れない、数え切れないプレゼントをもらっているということが現に起きている。
私は二つ提案したいと思います。
まず、他の公益的法人に対する寄附と同様、一定割合で自己負担を求める。自己犠牲、自己負担あってこその寄附だと思いますが、こうした制度改正をする気はないか。
もう一点。早速にもことしから、この限度額を住民税の一割から二割に倍増されるおつもりだと聞いている。大臣が今決意をおっしゃった、過剰なプレゼント合戦を抑止する、指導力を発揮するとおっしゃった。その効果が立ちあらわれるのを確認してから、やられるならやられればどうかと思います。すなわち、ことしの倍増については見送るべきだと思いますが、この二点、御答弁をいただきたいと思います。
○高市国務大臣 まず、ふるさと納税制度は、納税者が納税対象地方団体を選択できる道を開くものとなるように、寄附金税制を活用することで、住所地団体から寄附先団体に対して実質的に個人住民税の一部を移転する効果を生じさせるものでございます。そういう制度として創設をされました。
この制度創設の趣旨に鑑みて、ふるさと納税については、寄附金税制を活用する仕組みではございますけれども、他の寄附金税制とは区別されて議論がなされてまいりました。
現在の仕組みにおきましても、二千円の自己負担にとどまる寄附枠には所得に応じた一定の上限というものが設けられております。上限を超える額の寄附を行った場合にはその超過分は自己負担となる仕組みですから、行政サービス主体である住所地地方団体への納税の確保にも配慮しております。
このふるさと納税の制度を進めることで、私はやはり、寄附を行うということ、それに伴って税制上の手続をすること、それから寄附文化全体の醸成につながる、結果的には、ほかのNPO団体等の行っているさまざまな寄附に向けても皆様が気持ちを寄せてくださる、その効果もあります。地方創生という最重要課題に取り組む上で効果はございますので、ここは御理解を賜りたいと思います。
二点目でございますけれども、一割から特例控除額の上限を二割に引き上げるということですけれども、これで寄附枠を拡大するわけです。これもやはり、政府の最重点課題であります地方創生をしっかりと進めていくということ。それから、この拡充案でも、個人住民税所得割額の二割という上限の中で特別控除を適用するものですから、一定の範囲内で活用していただくという仕組みになっております。
先ほど申し上げましたが、とにかく地方公共団体に対しまして、良識のある対応は、しっかりと私、今までも要請してまいりましたし、これからもいたします。
それから、委員がおっしゃいましたとおり、ちょっと税制上の問題についても、しっかりと警鐘を鳴らす必要を感じております。特に、所得税法、地方税法、返礼品も法人から寄附者への贈与と解されますから、返礼品については一時所得に該当することになります。
良識の範囲内にとどまる返礼は、一般論として申し上げると、特別の利益に該当するとは考えられませんけれども、それでも、全体の金額から、普通でしたら経費を引いて、それから五十万円の控除があって、二分の一掛けて、そしてまた給与価格と合算する。こういった通常行っている税制上の措置を考えますと、私は、先ほど委員が例に挙げられたような高額過ぎるものというのは、明らかに税制上の疑義を生じ得るものであると思います。
やはりこういう寄附金控除の適用の否認が危惧されるような状況を生じますと、ふるさと納税制度そのものの健全な発展の阻害要因になってしまいますから、これは本当に、地方団体において、本気で寄附金控除の趣旨を踏まえた良識ある対応をしていただかなければなりません。
ただ、民主党政権の間も続けてくださったこのふるさと納税制度、本当に多くの地方活性化に資する効果を上げておりますので、ぜひとも、ふるさともしくは縁のある地方公共団体に対して寄附をしたい、そうお考えの皆様にも良識のある対応をお願いしたいと思います。
○小川委員 大臣、一時所得は五十万円の控除がありますから、五十万円分のお土産をもらうというのは、それだけで異常な事態です。
それから、非常に純朴なことをおっしゃっていますが、先ほどの本のくだりをあえて改めて紹介しますと、私は今後も毎年数百万円のふるさと納税をする、それもこれも、節税と無料お取り寄せグルメという営利的な動機があるからで、社会正義などは、非営利的なものは長続きしない、営利的な動機は絶対なくならないというような、裏をかくようなことを盛んに勧めている方もいるわけです。
そういう意味では、もっと政策当事者として厳しい目を持ってこの制度、まあ、生み育てなければならない部分もあると思うんですよ。しかし、制度がいかんせん弊害を抱えているがために、これは租税社会に対する信頼とか信任とかいう基本的なものを侵しかねない。その意識をしっかりお持ちいただいて、今後取り組んでいただくことを心よりお願いを申し上げたいと思います。
残りの時間で、少し安全保障の問題を取り上げさせてください。
特に、集団的自衛権を含めて、政府・与党協議も進んでいるというふうにお聞きしております。特に防衛省設置法、けさ閣議決定されたんですか、文官優位規定を見直したということでございますが、それに関して、過去の総理大臣の答弁との矛盾を先般の委員会の中で指摘をしたものに対し、きょうは政府統一見解をお述べいただくということをお聞きしております。
まず、どういう統一見解になったのか、総理大臣からお聞きをします。
○大島委員長 いや、まず中谷大臣からお答えさせた上で、質問があれば総理にしてください。(発言する者あり)
中谷大臣、きちんと答えなさい。
○中谷国務大臣 お尋ねの件に関して、文民統制、シビリアンコントロールにつきまして、次のとおり内容をまとめましたので、答弁をさせていただきます。
文民統制(シビリアンコントロール)とは、民主主義国家における軍事に対する政治の優先を意味するものであり、我が国の文民統制は、国会における統制、内閣(国家安全保障会議を含む。)による統制とともに、防衛省における統制がある。そのうち、防衛省における統制は、文民である防衛大臣が、自衛隊を管理・運営し、統制することであるが、防衛副大臣、防衛大臣政務官等の政治任用者の補佐のほか、内部部局の文官による補佐も、この防衛大臣による文民統制を助けるものとして重要な役割を果たしている。
文民統制における内部部局の文官の役割は、防衛大臣を補佐することであり、内部部局の文官が部隊に対し指揮命令をするという関係にはない。
以上でございます。
○安倍内閣総理大臣 文民統制と内部部局の文官の役割についての政府の基本的な考え方、これは不動の考え方でございますが、ただいま中谷大臣から答弁したとおりでございます。
○小川委員 統一見解ですか。
○安倍内閣総理大臣 これは防衛省の大臣として中谷大臣が答弁し、そして総理大臣として今答弁をまさに追認した、追認というか、これは統一した見解でございまして、総理大臣として、いわば内閣を代表して答弁をしているわけでございますから、当然、政府の考え方でございまして、これは今までの考え方と変わりがないということでございます。
○小川委員 きょうは、この点はまず受けとめたいと思っているんですが、二、三、指摘をさせてください。
過去の総理大臣答弁と比較をしますと、厳密な文理解釈が、今おっしゃった見解で本当に耐えられるかどうか、これはちょっと、なお疑問があります。
そして、この法律改正によって、今後の業務遂行に当たって制服組と背広組との実態関係に何らかの影響を及ぼすのかどうか、これは一つの大きな論点です。さらに、もし仮に何らかの変更があるとすれば、これまで統合幕僚長を初めとした制服組は一切国会での説明責任を果たす機会から免れておられます。それは、今後出てくるのかどうか、これも一つの大きな論点であります。
きょう、ここでは議論いたしませんが、非常に大きな論点をこの統一見解、またこの法改正は伴うということをひとまず指摘をさせていただきたいと思います。
次に、ちょっと私、今度は、後方支援と集団的自衛権について議論をしたいと思っています。
この間、総理に、レッテル張りだというふうに叱られたんですけれども、私はやはり心配しているんですよ。
後方支援の拡大、ここにもございますとおり、恒久法を制定するわけですから、いつでも行けるわけですね。周辺事態概念を撤廃するという議論が言われていますから、これはどこでも行けるんです。米軍以外も支援すると言っているわけですから、誰とでもやれるんですよ。弾薬も提供する、何でも。国連決議や国会承認をこれからどうするのか。
後方支援の拡大に関しては極めて丁寧な、緻密な、抑制的な議論を積み重ねてきたこの七十年の歴史に対して、総理は一夜にして、一足飛びにして、大きく踏み越えようとしておられる。ここに対しては大きな心配と疑問を私は持っています。
加えて、先ほど、下にも書かせていただきましたが、文官優位規定。それから、既に武器輸出三原則は大幅に見直されました。また、PKO等を含めた武器使用の拡大。そして、後ほど議論したいんですが、集団的自衛権。これは、憲法九条の制約、存在感、一体この国ではどこに行ってしまうんですか。
仮にこれだけのことを本気でやるのであれば、総理、真っ正面から憲法九条改正をまず国民に問うべきではありませんか。来年の憲法改正発議、自民党内でされているという報道もございますが、そこに九条改正を正面から持ってくる気概と覚悟は総理にありますか。
○安倍内閣総理大臣 先般、こうした議論は緻密な議論が必要であって、レッテル張りはやめた方がいい、こう申し上げておりました。今回も、いつでも、どこでも、誰でも、何でも、どのようにでもと書いてありますが、しかし、クエスチョンマークが書いてありますから、これは委員の御疑問なんだろう、このように思います。
そこで、一言申し上げておきますと、文官優位規定、正式に申し上げますと、これはあくまでも文民優位でございます。それがシビリアンコントロールであって、文官はまさに補佐する、文民である防衛大臣を補佐するわけであります。防衛大臣も補佐をしますし、あるいは統幕も補佐をする。
まさにシビリアンコントロールというのは、基本的に、国民によって選ばれた内閣総理大臣が最高指揮官であり、そしてまさに同じように、文民である防衛大臣が指揮をしていく、こういう構造になっているわけでございますし、自衛隊の活動においては国会の決議も必要であるし、また、予算においては国会を通らなければならない、これこそがまさにシビリアンコントロールと言える。
基本的には、国民から選ばれた内閣総理大臣が最高指揮官であるということにおいて完結をしていると言ってもいいんだろうと思います。
その上において憲法改正の必要があるかどうかということでございますが、その中において、まさに、我々は今回、グレーゾーンから、そして集団的自衛権の一部行使容認に至るまで、切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を進めていく、この中において、今までの憲法解釈との関係においてはきっちりと整理をしてきたわけでございます。
今回、憲法改正をしなければならないような法律は当然ないわけでありまして、それを出せば違憲立法ということになるのは当然のことでございます。それに先立ちまして、昨年、閣議決定を行い、政府としての考え方をお示ししたとおりでございまして、その上に立って、今、法案を与党において協議をしている次第でございます。
与党案ができ次第、政府案として提出をし、国会で御審議をいただきたい、このように考えております。
○小川委員 私は、疑問は持っていません。ただ、法律が成立していないので、最低限のマナーとしてクエスチョンマークをつけましたが、総理は一〇〇%この方向でやられるんだろうという確信を持っています。その上で心配をし、質問をしているわけであります。
周辺事態の概念について言えば、これは平成十一年、小渕総理大臣、総理もよく御存じだと思いますが、「周辺事態が生起する地域にはおのずと限界があり、例えば中東やインド洋で生起することは現実の問題として想定されない」という議論の積み重ねのもとにでき上がっています。
周辺事態に関して米軍を支援するのは、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っているという制約が入っています。
武力行使との一体化については、武器の提供を含めて、我が国が武力の行使をしたとの法的評価を受ける場合があり得る、そのことを考慮して、我が国の憲法が欧米諸国に例を見ない戦争の放棄等に関する九条の規定を有することから生まれる当然の解釈だ。極めて抑制的な解釈を積み重ねてきた歴史があるわけですね。
総理は先ほど、最高指揮官である内閣総理大臣のもとでというふうにおっしゃったわけでありますが、私は、その言葉に全てが集約されているような気がしてなりません。確かに、総理は自衛隊の最高指揮官でいらっしゃる。しかし、それも法律と憲法という制約のもとにあるということを時にお忘れになっているんじゃないかというふうに感じるときがあります。
逆サイドからお尋ねします。
先般、辻元委員が極めて重要な点を指摘いたしました。逆サイドからですよ。唯一、総理がみずから制約を口にされているのは、イラク戦争、アフガン戦争、湾岸戦争には行かないとおっしゃっている。それは、辻元委員もこうおっしゃいました、法的制約で行けないと言っているのか、政策判断で行かないと言っているのか、どちらですかというお尋ねをいたしました。私もそれをお聞きしたい。
果たして、イラク戦争、アフガン戦争、湾岸戦争に行かないと宣言しておられるのは、行かないんですか、行けないんですか、政策判断ですか、法的制約ですか。
○安倍内閣総理大臣 今まで何回も明確にかつ簡潔に答弁させていただいているとおりでございまして、政策判断ではございません。
いわば、海外に武力行使を目的として自衛隊を派遣することは、まさに三要件の中にあります必要最小限度を超えるものであると考えているわけでございますから、これは基本的に憲法上出さない、こう考えているわけでありまして、一般に海外派遣は許されていないという考え方でございます。
一般に許されていないという中において、繰り返しになりますが、武力行使を目的として海外に自衛隊を派遣することはできない。つまり、イラク戦争……(発言する者あり)済みません、今答弁している最中ですから。答弁中は、済みません。よろしいでしょうか。
そこで、イラク戦争やあるいはアフガン戦争や湾岸戦争等に自衛隊を派遣して戦闘に、戦争に参加することはない、これは今まで累次答弁をしているとおりでございまして、これは明確でございます。
○小川委員 私は、総理、その答弁はおかしいと思うんですよ。
武力行使の新三要件は、武力行使をするための要件なんですね。総理は、武力行使を目的として自衛隊を海外に派遣することはないとおっしゃっている。違うんですよ。武力行使をする場合はどういう場合ですかとお聞きしているんです。
それに対して総理は、イラク戦争、アフガン戦争には行かないとおっしゃっている。今あるいは過去にも、いみじくもおっしゃっているのは、必要最小限度の実力行使、反撃を超えるということはおっしゃっている。第三の要件です、ここで言えば。
では、逆にお尋ねします。
アフガン戦争のきっかけは、ニューヨーク貿易センタービルに対する航空機による攻撃。あそこでは日本人も二十四名亡くなっています。そして、イラク戦争は、大量破壊兵器の所持疑惑、そして国際社会から要請した査察に応じないという事態であります。湾岸戦争は、クウェートに対するイラクの侵攻。こういう事態は、総理がおっしゃるように、三の要件、必要最小限度の実力行使にとどまらなければならないという要件はそうかもしれない。
では、逆のお尋ねですが、今申し上げたような三つの事態は、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃であり、これにより我が国の存立が脅かされている、いわゆる今議論されている存立事態に当たるんですか。
○安倍内閣総理大臣 これは明確でございますが、いわば、武力行使をするに当たっては、三要件に合致をしなければならないということでございます。
ですから、この三要件に合致をするかしないかの中において、そこで必要最小限度がかかっていますから、それにおいては、海外に出ていって、つまり、領土、領海等に入っていって、まさに武力行使を目的としていわば自衛隊を派遣することはできないわけでございますから、それはできないということはもう明確であるということは累次答弁させていただいているとおりでございます。
○小川委員 では、逆にお尋ねしますが、必要最小限度の反撃にとどまる反撃であれば、イラク戦争や湾岸戦争、アフガン戦争のような事態に際しては行使し得るということを今おっしゃったんですね。
○安倍内閣総理大臣 それはもう今まで何回も、何回も何回も何回も申し上げておりますように、つまり、例えばアフガニスタンに行って、あるいはイラクに上陸をして、部隊を送って、そこで武力行使をするということは、これは必要最小限をそもそも超えている。つまり、武力行使を目的として海外に出かけていって、武力行使を目的としてですよ、海外に出かけていって、いわば、そこで空爆を行ったり戦闘行為を行うということは、必要最小限を超えているということでございますから、それはできないということは明らかではないか、このように思います。
○小川委員 総理、質問に答えてください。
必要最小限内にとどまる反撃であればできるということ、加えて、このアフガン戦争やイラク戦争のきっかけになった事態は、日本にとって存立事態に当たり得る、つまり、第一の要件は満たす可能性があると今おっしゃったと私は受けとめましたが。(発言する者あり)
○大島委員長 議員の皆さん、非常に大事な議論ですから、特に後ろの方と山尾君、ちょっと静かにしなさい。
○安倍内閣総理大臣 今お答えをさせていただきたい。これは同じお答えでございますから……(発言する者あり)
○大島委員長 誰なの。自分の席に座りなさい、あなた。(発言する者あり)パネル……。それでも後ろの方に座りなさい。自分の席じゃないところはだめだよ。静かに聞いていればいいけれども。
○安倍内閣総理大臣 同じ答えでございますから、申し上げたいと思います。
まさに、海外に出かけていって、いわば武力行使を目的として他国の領土に入っていくということはできないということでございます。
ですから、これはアフガン戦争にしろ、湾岸戦争にしろ、そこに自衛隊の部隊を送るのは、これは武力行使を目的に行く、いわば、そこで、上陸をしていくという、戦闘状況が起こっているときには、武力行使を目的にして行くに決まっているじゃないですか。
基本的に、それ以外においては、例えば後方支援という考え方はございますよ。後方支援という考え方については、これは武力行使と一体化していませんから、一体していないことしかできませんから、それは武力行使ではないということでございます。
今……(発言する者あり)でも、これは明らかじゃないですか。これがわからない人は、私、どうかしていると思いますよ。こんな理路整然とした御説明をさせていただいているところでございます。
何回も御説明をさせていただいておりますように、湾岸戦争やアフガン戦争やイラク戦争に参加しない。参加できるんですねと今、小川委員がおっしゃった。参加できないということは、今申し上げましたように、武力行使を目的として、武力行使を目的としてアフガニスタンやイラクに上陸していくことはできないし、まさにそれはできないということでありますから、これはできないということは明らかである。
今、小川淳也さんは、何ができると言おうとしているんでしょうか。それをまずは明確にしていただかないと、それ以上のお答えはできないということでございます。
○小川委員 残念ながら時間ですので、また改めたいと思いますが、これは、総理、極めて大事な議論なんですよ。日本が戦争をどういうときにするのかしないのかの、ぎりぎりの議論なんですよ。
必要最小限の実力行使にとどまるからできないとおっしゃるということは、第一、第二の要件には当てはまるということをおっしゃっているんです。そこをぜひ、物すごい大事な論点ですから、総理。
私、今の総理の説明がわからないならどうかしているなら、どうかしているで大いに結構ですよ。国会でどう言い逃れるかじゃなくて、国民に対して、どういうときに日本は戦争するのか、どういうときにしないのか、このぎりぎりの事例を話し合っているわけですから、これはしっかり説明をしていただきたい。
残念ながら時間ですから、機会を改めますが……(発言する者あり)
○大島委員長 答弁されますか。もうよろしいですか。
○安倍内閣総理大臣 今、私は、第一、第二の要件を満たしているということは申し上げておりません。第三の要件を満たす必要がいずれにいたしましてもあるわけでありまして、第三の要件についてはまさに満たしていないということを申し上げているとおりでございます。
第三の要件は満たしていないわけでありますから、これはできないということは明々白々であるということでございます。
○小川委員 もう終わりにしますが、今、中谷大臣が閣僚席から不規則発言で、第一、第二は判断しないとおっしゃった。それは、つまり、武力を出すかどうか、武力行使するかどうかは白紙委任、ブラックボックスということだ、この要件は。何のための新三要件かわからない。そのことを申し上げて、質疑を終わります。(発言する者あり)
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