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〜会議録(2015年1月29日予算委員会)〜

○小川委員  小川淳也でございます。

 総理初め閣僚の皆様、本当にお疲れさまでございます。特にここ数日、総理におかれましては大変な苦悩、苦心の中におられると存じます。

 特に外交、安全保障関連をお尋ねいたしますが、事態は進行中であり、なおかつ切迫をしている、さまざま私どもとしても踏まえるべき状況がございます。これを前提に、さきの本会議でのやりとりを少しフォローさせていただきながら、最低限の事実確認なり検証をさせていただきたいと思います。

 まず、この邦人拘束事案についてでございますが、総理も御答弁されましたとおり、昨年段階で既に連絡室なりが設置されているということでございます。そうなりますと、当然のことながら、中東訪問を計画されるに当たって、総理御自身がこの邦人拘束あるいはその可能性があるということは御存じだったということでよろしいかどうか、まずその点を確認させてください。

○安倍内閣総理大臣  これは既に御答弁を申し上げておりますが、昨年八月に湯川さんが、そして十一月に後藤さんがそれぞれ行方不明になっているとの事案を認知した直後に、官邸に情報連絡室、外務省に対策室を設置するとともに、ヨルダンに現地対策本部を立ち上げ、全力を挙げて情報収集や協力要請を行ってきたということでございます。

○小川委員  総理は、そうした状況について十分レクチャー等を受けながら、事態を見守っておられたということだと思います。

 そういたしますと、その後の情勢として、さまざまなテロ事件も発生をいたしましたし、また、昨年十一月に国連安全保障理事会に提出された報告書によれば、いわゆるイスラム国の関連で、身の代金目当ての誘拐事件、そしてその略取した身の代金については四十億から五十億とも言われているような、さまざまな事態がございます。

 そういたしますと、さきの本会議において明確には御答弁になられておりませんが、今回の事態は想定の範囲内か、全くもって想定外か、リスクをどのように考えておられたのか、この場で改めてお答えいただきたいと思います。

○安倍内閣総理大臣  先般はパリで言論に対する大きなテロがございました。また、ベルギーにおいても、大規模なテロの準備が行われていたという中で銃撃戦が行われたという事案があったわけでありますし、大勢の人々がこのISILによって略取されている。いわば、どの国もテロから完全に安全ではない、この認識のもとに、いかにこのISILの影響力をそぎ、過激主義の流れをとめていくか、その中で我々日本もその責任を果たしていかなければならない、こう考えているわけであります。

○小川委員  もう一点、確認させてください。

 これもあくまで結果論でありますので、しかし、なお今後慎重を期すという意味で確認をさせていただきたいと思いますが、まさに今回の補正予算の中に、この中東関連の支援が計上されていると思います。予算書並びにその関連資料には、あくまでこれは人道支援であり、また、事務的に確認をいたしましたところによりますと、国連の難民高等弁務官事務所、国連の世界食糧計画、赤十字国際委員会等々の極めて中立的な機関を通して各国に人道支援が行われるということのようであります。

 しかし、総理は、さきの日・エジプト経済合同委員会におけるスピーチの中では、いわゆるイスラム国、ISILと闘う周辺各国に総額で二億ドル程度、支援をお約束しますというふうに表現をされた。

 この予算の趣旨と政策的なアピールが必ずしも一致をしていない、あるいは曲解されるおそれがある、あるいはつけ入られるおそれがある、そのことについての評価なり御認識をお聞かせいただきたいと思います。

○安倍内閣総理大臣  我々日本は、エネルギーを中東地域に負っているわけであります。また、中東地域の平和と安定は、世界にとってまさに実現をしなければならない大きな課題であって、その中で日本もその貢献を果たしていく当然の責務があるわけでございます。

 その中において、日本は過激主義の流れをとめなければならない。イスラムと過激主義はまさに全く別のものであり、中庸こそ最善である、これが私がカイロで発出したメッセージのメーンテーマでございます。

 その中で、過激主義をとめる意味において、いわゆるISILの、今彼らが行っていることをとめなければならないわけでありまして、この中において、闘いというのは、具体的に戦火を交えるだけではなくて、その中でたくさんの難民を受け入れている国々もあるわけであります。そういう国々へのいわば、我々は周辺国支援が目的でございますが、彼らもまさにISILによって大きな被害を受けている国々であり、難民と同じような思いをしていると言ってもいいんだろうと思います。彼らに日本の連帯の意思を表明することは当然大切なことであって、ともに闘っているということが今求められているわけであります。

 そこで、我々は、ISILの意図に屈し、あるいはテロに屈して、そういう国々への連帯を表明しないということこそ私はおかしいんだろう、こう思うわけでありまして、あの二億ドルの表明については、もちろんこれは詳細な説明は別途しているわけでございますし、ここはまさにISILが我々の意図、つまり周辺国に対するこうした人道支援すら敵に回したということではないか、このように思うわけでございます。

 これはISIL側に立って解釈するとなれば、それはさまざまな、当然いろいろな理由は出てくるのであろう、このように思うわけでございますが、基本的に、ISILによって我々のいわば政策が、ISILに対する恐怖によって我々の中東政策がねじ曲げられる、あるいは変更されてはならない、このように思っております。

○小川委員  総理の御趣旨には賛同、共感するところ大でございます。

 しかし、何分にも、相手は予測がつかない、あるいはこちらの常識の範囲内で動いてくれる相手ではありません。そういう意味でいいますと、より、今後も総理は、積極的平和主義を掲げて、さまざまな外交努力、これ自体は極めて大いに評価されるべきことだと思います。しかし、相手は極めて言語道断、非道きわまる存在であり、いささかもつけ入るすきを与えないというふうに、少し緊張度といいますか、配慮の度合いを上げていく必要はあるのではないか。今回の事案を拝見して、そういうふうに感じております。

 そのことは申し上げた上で、さきの本会議で、私は、このテロ対策を含めた総理の外交姿勢に関して、極めて重要な御答弁があったというふうに認識しております。リスクをどう考えるかという前原委員の問いに対して、リスクを恐れていては周辺国への人道支援はおよそできなくなってしまうということを明快におっしゃいました。

 これはもちろん、許すべからざる行為であり、言語道断であることは何度も確認したいと思います。しかし、現実は理論、理屈を待ってくれません。あらゆる事態が想定され得ますし、起き得るという前提の中でいいますと、やはりさまざまな場面にかかわればかかわるほど、積極的に平和外交を進めれば進めるほど、それがどう利用され悪用されるかも含めて、いろいろなリスクを負うということをお認めになった。

 総理の掲げる積極的平和主義には伴うべき相応のリスクがあるということをお認めいただいたというふうに私は受けとめておりますが、それでよろしいですか。

○安倍内閣総理大臣  委員が何をもってリスクというふうにおっしゃっているか、私もよく理解できないところがあるのですが、例えば、今、我々と情報を共有し合っているヨルダンは難民を受け入れているわけであります。このヨルダンに対して、世界が支援の手を差し伸べているわけでございます。また、この周辺国のさまざまな国も、そのように難民を受け入れているわけであります。ただ、難民を受け入れている国に対しても、ISILはその牙をむいているわけであります。

 そういう国の例えば元首が日本にやってくるということだけにおいても、そしてその国に対して日本が支援をするということに対しても、当然それは、もし小川さん流に言えば、リスクはある。だったら、では、それは断るのかという話になってくるわけでありまして、それはあり得ないわけであります。

 いわば、そのリスク、リスクということでいえば、当然さまざまなことにはリスクが伴うわけであります。そうしたリスクに対して、我々は最大限の緊張感を持って臨んでいくのは当然のことであります。緊張感を持って臨んでいくのは当然のことでありますが、ISILに対して我々が気配りをすることはないということは申し上げておかなければならない。

 むしろ、テロに対しては毅然と、国際社会とともに手を携えて、地域の平和と安定を実現するために努力を重ねていきたい、こう思うところでございます。

○小川委員  恐らく、この国会での終盤、後半は、安全保障法制をめぐる議論が最大の焦点、山になるんだろうと思います。この間、特に集団的自衛権の議論を含めて、やはり総理の御説明なりお答えを拝見している中で私が一番気になるのは、例えば、自衛隊の活動領域が明らかに広がるわけですね。広がらないのであれば、法的安定性をわざわざ変える必要はありません。

 いずれにせよ、例えば、七月一日の閣議決定に照らしていえば、相手国、領域国の同意に基づけば、邦人救出などの警察的な活動に自衛隊を送る可能性に言及しておられます。今回の事案は、まさにそうした事態に、少なくとも検討対象になる一つのケーススタディーかもしれません。

 あるいは、最終的には、集団的自衛権ですから、我が国に対する直接の攻撃がなくとも武力攻撃に及ぶ可能性がある、紛争や戦争に巻き込まれる可能性もある、そこのリスクを総理はきちんと国民に説明してきたかということに関して、私は甚だ不満に思っています。

 もちろん、政策的には私はそもそも慎重な立場ですし、賛否はその上で議論しなければならない。しかし、賛否を議論する前に、総理は、この重大な安全保障政策の転換に当たって、そのリスクをきちんと国民に説明をし、いわば国民に覚悟を求めるということをあわせて行うことが、事この政策に関して、この過程において、内閣総理大臣の最大の務めだと思いますが、その点いかがでしょう。

○安倍内閣総理大臣  今、リスクというお話を中心にされているわけであります。

 我々が今進めようとしている安全保障法制は、まさに国民の命と幸せを守るための法制であります。それはつまり、我々がしっかりと法制を定めて自衛隊が活動をしなければ、国民に大きな被害があるということであります。つまり、そこにこそ問題があるわけでありまして、では、それを放置していればリスクはないのかということであります。

 例えば、邦人の救出について言及をされました。海外に住む日本人は百五十万人いるわけでありまして、さらに、年千八百万人もの日本人が海外に出ているわけであります。これらの邦人が救出された際に、領域国の受け入れ同意がある場合には、自衛隊の持てる能力を生かし、その救出に対して対応できるようにすることは国の責任であろう、私はこう思うわけであります。

 今の段階においては、自衛隊は、輸送はできますが、救出のためには武器の使用はできないということになっているわけでございまして、邦人が人質になっていて、そこにいわば救出のために輸送に行って、そしてその地域の皆さんの軍事力あるいは警察力に協力してもらって、しかし、救出そのものをするのは、その地域の方々にお願いをしなければならない。これは、たとえ日本人だけが人質になっていて、たとえこちらの装備の方が上回っていたとしてもそれはできないというのは、我々はそれはおかしいであろうということであります。

 つまり、そこは、例えばそれを可能にするということも含めて、ちゃんと議論していこうということであります。これは、受け入れ国が同意をしているかいないかということも重要なことであります。

 先般、アルジェリアでああした出来事があったわけでございますが、ああした際に、あのときには当事国が救出のオペレーションを行ったわけでございます。しかし、例えば英国等々他の国々は、自分たちの国の国民に対しては自分たちでオペレーションをして、またあるいはアルジェリアと協力してオペレーションをしようということも当然考えるわけでございますが、日本は基本的に、これは、私はもう既にその段階ではお願いをしたわけでありますが、これはお願いをするだけになるわけでございまして、大変危険なそうしたオペレーション、例えば日本人のみを助ける場合であっても、そうなってくるということであります。

 そこで、では、日本人も一緒に行ってくれよと言われても行けないということになって、果たして責任を果たせるかということについては、我々立法府の一員としても、当然、私は行政の一員でございますが、考えていく必要があるのではないかということを申し上げているわけでございまして、であるならば、そこで、リスクとは何かということであります。

 いわば、火事が起こってそこに消防士が入っていくのは、これは当然リスクであります。でも、消防士が火事のときに家に入って救出をしないのであれば、救出されない人は命を落とすということになるのではないか、このように思うわけでありまして、国全体として考えれば、そういうときにこそいわば消防士は、これは危険を顧みない行為ではありますが、救出に向かっていく。もちろん、安全を確保する上において、最大限消防士の安全も確保するというのは当然のことであろう、このように思います。

 行動する自衛官においてもそうでございます。自衛官はまさに、事に当たって危険を顧みず、任務を全うするために全力を尽くしていく、こういう趣旨の宣誓をするわけでございます。もちろん、こうした仕事をする上において、その安全の確保について全力を尽くすのは当然のことであろう、このように思うわけでございます。

 リスクを恐れて何もしないということは、果たしてそれでいいのかということについては、常にこれは考えなければいけないわけでありますし、私は決してそれでいいとは考えていないわけでございます。

○小川委員  総理のおっしゃる国民の命と幸せを守る、非常に美しい言葉です。それから、消防士の例も出されました。恐らく皆さん命がけで、いざというときには出動しておられる。しかし、消防士の例でいえば、これは他国の火事に消防士を派遣するということですから、集団的自衛権を行使するということは。そうしたことも含めて、やはり無傷では済まない。

 総理のおっしゃる積極的平和主義は、国民に対して、あるいは自衛隊員に対して、無傷では済まない。そのことのすさまじさといいますか、そうした覚悟を十分国民に求めるところからこの議論はスタートしなければならないということを、ぜひ、今後、この議論は本格的には後半国会でありますが、今回の事態、直接関連を置くのはどうかと思いますが、いろいろなことを考えさせられる事案でした。そういう意味で、少し押さえさせていただきたいと思います。

 次に、経済財政についてお尋ねいたします。

 どうしても、総選挙後初めての国会での論戦でありますので、本会議でも議論になりましたが、総理は、さきの総選挙を前に消費増税の延期を決められ、そして衆議院を解散された。総理は盛んに正当化しておられますけれども、非常にそれに対していぶかしがる気持ち、納得しがたい気持ちは国民の間にもあると思います。

 私も選挙中よく言われました、何で今ごろ選挙をやっているの、何のための選挙ですかと。いやいや、私が解散したわけではありませんと申し上げながらですけれども、そういう意味では非常につらい選挙でした。十二月といえば、まさに世の中は忙しい時期でもあります、当然。地域の飲食店からは、さまざまな会合がキャンセルになって悲鳴が上がっているというような声もありました。

 こうした国民との関係をあえて無視して、そして解散に突っ切ったその要因が消費税の先送りだった、これは極めて理解しがたいものでありました。

 そこで、ひとつ、やはりいずれにせよお認めいただかなければならないのは、一四年第一・四半期の景気が一見いいように見える状況でありますが、ほとんどは設備投資と住宅とそして個人消費。個人消費の中身は耐久財と半耐久財です。つまり駆け込みです。その後の激しい落ち込みは、明らかにその駆け込んだものが反動減で落ちている。

 つまり、ですから、アベノミクスが本当に実体経済にいい影響を及ぼしているかどうかをよく見るためには、この反動減からの回復ぶりがそれ以前の水準を上回るかどうか、これをよく見なければならないということだと思います。

 そういう意味では、総理、アベノミクス、この間、誤算、副作用、限界、さまざま議論されていますけれども、決して万能ではない、いろいろと心配もあれば不安もあるということそのものは、まずお認めいただかなければならないと思いますが、その点いかがでしょう。

○安倍内閣総理大臣  投票日については、野田総理の行った解散と二日しか違わないということは申し上げておきたいと思いますし、いわば野党の立場にあれば、解散がない限り政権は絶対にとれないわけでございまして、我々は野党になった次の日から、与党を解散に追い込ませるために全力を尽くしてきたところでございまして、野党第一党の方にそう言われるとは全く思わなかったわけでございます。

 つまり、選挙が必要ないということは安倍政権のまま続いていくということでございまして、それを望んでいただいたのであれば大変ありがたい話だとは思います。

 しかし、そうはいっても、税制において大きな変更をする以上、我々は解散すべきだ、このように考えたところでございます。

 そこで、私たちが進めている政策でございますが、我々は、デフレから脱却して経済を成長させていく、国民生活を豊かにしていくためにはこの三本の矢の政策しかない、こう考えているところでございます。

 その中で、消費税の引き上げを行った際、消費が冷え込んだのは事実でございます。そこで、さまざまな経済対策を打ったわけでありますが、我々は、消費税の引き上げを本年十月から一年半先延ばししたところでございます。

 大切なことは、やはりしっかりと賃金が上がっていくということでございまして、賃金が上がっていく、あるいは中小・小規模事業者が材料費等々について価格に転嫁できる状況をつくっていくことも大切であろう、こう思っておりますが、景気の好循環をしっかりと回していくように力を入れていきたい。まだまだ、そういう意味においては道半ばである、こういう認識を持っております。

○小川委員  実体経済に本当にいい影響が出ているかどうかは、繰り返しますが、この反動減の戻りぐあいがアベノミクスの前の水準を上回るかどうか、これは本当に注意深く見る必要があると思います。

 もう一点。きょうは、日銀総裁、お忙しい中ありがとうございます。もう一つのアベノミクス、アベノミクス劇場といいますか、非常にこれが注目をされている、やはり陰の立て役者は日銀であります。異常なまでの金融緩和を続けている。

 しかし、ちょっと資料をごらんいただきたいと思います。物価の上昇を分析したその中身であります。

 最近、原油価格が下がりつつあることで、恐らく、二年で二%という物価上昇目標は、黒田総裁、なかなか難しくなっているんではないかという気がいたします。

 この資料をごらんいただきたいと思いますが、消費者物価の総合指数、これはほとんど公共料金、電気やガス、それから消費財。しかも、もう一枚おめくりをいただいて、その消費財の中身でありますけれども、次の資料をごらんください。消費財の中身のほとんどを占めるその内訳でありますが、食料関係、そして石油製品。

 明らかに、黒田総裁、この間の物価上昇は、エネルギー、食料ですから、ほとんど輸入に頼っている、輸入物価が牽引することで初めて実現した物価上昇であるというふうに考えられると思いますが、それをお認めいただけるかどうか、そしてそれは望ましい姿かどうか、あわせてお答えいただきたいと思います。

○黒田参考人  まず、二〇一三年の四月に始めましたいわゆる量的・質的金融緩和の効果につきましては、基本的に所期の効果を発揮しておりまして、物価は、企業収益あるいは雇用者所得の増加などを伴いながら上昇してきているというふうに見ております。

 やや詳しく申し上げますと、消費者物価、除く生鮮食品の前年比は、量的・質的金融緩和を導入する直前の二〇一三年三月の段階ではマイナス〇・五%、〇・五%下がっていたわけですが、その後、水面上に出ましてプラスになり、昨年秋にかけて、一%程度の上昇で推移していたわけでございます。ただ、その後、原油価格が大幅に下落いたしまして、プラス幅は〇%台の後半というところに縮小をしてきております。

 ただ、基調的な物価上昇というものは続いているというふうに見ております。その背景といたしましては、何といいましても、需給ギャップが縮小してきているということと、物価上昇期待が高まってきているということでございます。

 御案内のとおり、GDPギャップは、主として、失業率が三・五%という非常に低いところに来ていることからも明らかなように、労働面を中心に縮小してきておりまして、現段階で、需給ギャップは長期的な平均とほとんど近い、需給ギャップがいわゆるゼロに近いというところまで来ております。

 また、中長期的な予想物価上昇率も、やや長い目で見ますと高まってきておりまして、こうした動きは、賃金あるいは物価の形成過程にも影響を及ぼしているというふうに思っております。

 賃金につきましては、昨年、十数年ぶりにベースアップが復活いたしましたし、今、足元で春闘の議論が始まっているわけですけれども、そこでも労使双方で賃上げに向けた動きが進んでいるということであります。

 物価上昇の要因につきましては、個々の品目ごとの動きというのはそれぞれの要素であるわけですが、やはり、中長期的な物価の基調という意味では、この需給ギャップの動きと物価上昇期待がどのように動いているかということに注目し、さらには、何度も申し上げて恐縮ですが、やはり賃金が上がっていくときに物価も上がる、物価が上がるときにも賃金が上がるということで、この両者の動きも相当よく見ていく必要があるというふうに思っております。

 その意味では、原油価格の下落によって、足元、今後もやや物価上昇率が下がっていくと思いますけれども、原油価格の下落というのは基本的には経済にプラスですので、二〇一五年度後半にかけて物価上昇率はまた加速していき、基本的に二〇一五年度を中心とする期間に二%に達する可能性が高いという見通しは引き続き持っておりまして、その意味で、金融政策としては、二年程度を念頭に置いて、できるだけ早期に二%の物価安定目標を達成するという基本的なスタンスには変更はございません。

○小川委員  総裁、そして総理、デフレからの脱却は大事ですよね。そういう意味では、緩やかなインフレというのは経済全体にとっては望ましいでしょう。しかし、私はその中身を問うています。

 おっしゃったように、雇用やあるいは需給の逼迫を含めて、いい形、需給の逼迫によって安定的に物価が上がる場合は、例えばその関係で値上がりした売り上げ上昇分は国内に還流しますよ。しかし、原油高と円安によって輸入物価が牽引する形でインフレが起きても、それによって仮に売り上げ等が上昇しても、それは海外の支払いに消えるんだから、決してそれはいい形の物価上昇とは言えないじゃないですか。こんなことを想定して異常な金融緩和を続けているんですか。違うでしょう。限界がある。

 しかも、この間の、日銀そのものが実施された昨年十二月の生活意識調査、生活は苦しくなっているという人が五一%ですよ、楽になったと答えた人は三%強。極めて偏りのある、このアベノミクスの状態をもたらしているのではありませんか、総裁。

 こういう輸入物価の上昇、輸入物価が牽引する形でデフレから脱却しても、決して日本経済、国民生活にとっていいとは言えない。そのことをはっきりお認めいただきたいと思います。どうですか。

○黒田参考人  物価の動きを見る場合に、先ほど申し上げましたように、個々の品目ごとの動きを見ることも重要ですけれども、やはり中長期的なトレンドというものを見ていく必要がある。

 その場合には、例えば特定の輸入品の価格が上がったということがあったとしても、それが短期的には物価上昇率を上げるかもしれませんが、中長期的にはそういったことが経済全体にとってプラスにならなければ物価はやはり上がらないということになりますので、あくまでも、二〇一三年の四月に量的・質的金融緩和を始めて以来、マイナスの物価上昇率が徐々に上がってきて、昨年の秋まで一%台で推移し、その後、原油価格が非常に大きく下がったために〇%台後半に落ちてきている。

 こういった中長期的なトレンドを見る場合には、個々の品目で云々するよりも、常に、需給ギャップであるとか、あるいはインフレ期待であるとか、そういったマクロ的な指標を見ていく必要がある。そうでなければ、中長期的な物価上昇率を予測したり、あるいはそれに働きかけて物価安定を達成するということも難しくなると思います。

 輸入物価が下がっている、今、大幅に原油その他一次産品価格が下がっていますので、下がっています。これは、足元、物価上昇率をもちろん下げるわけです。しかし、それは日本経済にとって大きなプラスであり、日銀が最近公表いたしました政策委員会のメンバーの予測の見通しでも、二〇一五年度、二〇一六年度と成長率を上方修正しています。

 そうした中で、物価上昇率も、来年度は前の予想よりも下がっていますけれども、実は、二〇一六年度、再来年度については、むしろ若干上方修正して二・二%ぐらいになるというような見込みをしておりまして、個々の品目の動きとか輸入価格の動きというのは重要なんですけれども、それが何かトレンドとしての物価上昇率を決めているということではないというふうに思います。

○小川委員  総裁、やはり本当に中身が重要なんですよ、同じインフレでも。それは率直に認めてください。これはもっとよく時間をかけて検証する必要があるとは思いますが、日銀のこの金融緩和自体が極めて難しい事態に陥りつつある、出口も見えず、思ったほどの効果も出ず、そういう状況になりつつあると思いますよ。それは指摘をした上で、物価についても、実体経済についても、そういう意味では、総理、非常に正念場を迎えているということだと思います。そういう御認識だと思います。

 その上で消費増税なんですが、二年後、一七年の四月。これまで総理は、景気だ、景気だ、景況感だ、税率を上げても税収が上がらなければ元も子もないとずっとおっしゃっていた。しかし、二年後に向けては、景気は一切考慮しない、何が何でも消費税を上げるんだとおっしゃっている。この矛盾は一体どういうことですか。どういう形でこれはここまで極端な判断を変更されたのか、お聞きしておきたいと思います。

○安倍内閣総理大臣  金融緩和を含めた三本の矢の政策が確実に成果を上げているのは間違いない、このように思います。有効求人倍率も二十二年ぶりの高水準を記録しておりますし、昨年は十五年ぶりの高い水準の賃金の上昇幅であったわけであります。そこは間違いないんだろう、こう思うわけでございます。

 そこで、今、消費税、平成二十九年には景気条項をなくしたことについての御質問がございました。

 もちろん、リーマン・ショックのような事情の変更があればこれは別でございますが、今回のような景気判断は行わないということにいたしました。それは、我々としては、賃金が上昇していくというトレンドをつくり出すことができたということが一つの大きな自信でございます。

 昨年も、二%物価上昇目標以上に二・二%引き上げることはできたのでございますが、三%消費税が上がった。これに追いつくことができなかったことによって、ことしはそれを延期したのであります。

 しかし、ことし二%上がれば、これは純粋に昨年よりも二%乗ってまいりますので、昨年との比較においては、実質賃金においても上がっていくことは間違いない、昨年と比べたらですね。そしてまた、さらに来年も上げていく。ことし、来年、再来年、しっかりと上げていけば、私は、消費税を上げていく環境はつくり出すことができる。

 そしてまた同時に、国際社会に対する国の信認を確保するということも大切でございます。この消費税の引き上げということは、事実上法律でもって国際社会にアナウンスをしている中における変更でございますから、我々は、今回は、次なる消費税引き上げについては、法改正の際に景気条項をなくすということにしたところでございます。

○小川委員  非常に、総理の御説明そのものが、やはり場当たり的といいますか一貫性がないといいますか、私は、外交・安全保障政策にせよ経済財政政策にせよ、そういう印象を拭えません。

 日銀総裁、また追って議論をさせていただきます。どうぞ御退室ください。

 その上で、もう残り時間は少々でありますが、補正予算についてお聞きします。

 補正予算は、財政法に、麻生副総理、こういう記述があります。次に掲げる場合に限って補正予算を提出することができる、特に、予算作成後に生じた事由に基づいて緊要となった経費の支出という財政法の記述があります。

 そして、副総理は、財政演説の中で、本対策におきましては、経済の脆弱な部分に的を絞り等々とございまして、その成果を地方に広く早く行き渡らせるというお題目をお述べになった。

 補正予算全体、約三兆円でありますが、どうも中身を見ますと、ずさんなお手盛りがたくさんあるのではありませんか。

 裁判所の地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策の一環として災害、危機等への対応を図るために行う司法情報システムの整備。内閣官房の情報通信施設の整備。警察庁、警察庁施設の整備、刑事部だと思いますが、捜査に当たっての録音、録画装置の整備、科学警察研究所は鑑定機材の整備。刑務所は保安用機器の整備。文科省に至っては、日本原子力研究開発機構の中性子線施設整備、その他、国際宇宙ステーション開発、国立美術館施設整備。官庁施設整備、果ては掃海艦の建造まで、さまざまなものがここぞとばかりに潜り込んでいる印象であります。

 あわせて、同趣旨の事業に対して、各省が同じような名目で、さまざまな事業をダブって実施しているのではないかと疑われる事例もあります。

 地方への人材移出、これは重要なテーマでしょう。内閣府が、プロフェッショナル人材事業、都市部の高度専門人材を移すということだとお聞きしています。総務省は、全国移住促進センターを設置する。経済産業省は、中小企業・小規模事業者人材対策事業、若者や女性を首都圏から地域に移す。厚生労働省の地域しごと支援事業。各省がいかにも縦割りで、ばらばらな形で、整合なくやっているような印象を受けます。これがもう一つ。

 もう一点。例えば総務省の放送コンテンツ事業でありますが、昨年も話題になりましたけれども、去年の夏、概算要求をした。そして、それはゼロ回答だった。やや趣旨を変えたとの説明は事務的に受けておりますが、今度、それが補正で復活している。

 この場当たり的なお手盛りの官庁内の施設営繕、整備の予算、そして各省似たり寄ったりの、整理が十分ついていないと思われる重複予算、そして概算要求の再提出予算、こうしたものがたくさん紛れ込んでいるのではありませんか、補正予算。

 副総理、この趣旨についてお聞かせください。

○麻生国務大臣  今回の補正予算において、今、最初に言われましたように、経済の脆弱な部分に的を絞るということで、先ほど総理も述べられましたように、現下の経済情勢を踏まえた生活者、事業者への支援、また、地方の直面する構造的課題等々への実効ある取り組みを通じた地方の活性化等々の話をさせていただき、災害復旧復興加速化など災害、危機への対応、この三つに重点化をいたしております。

 その三点のいずれかにかなうものとしてやっておりますので、こじつけたというような話で、そう言いたい気持ちはわからぬじゃないのかもしれませんが、御指摘は当たっていないと思っております。

 例えば、総務省で、御出身のところでいえば、地方創生関連施策につきましては、従来の施策を検証させてもらって、問題点を、重複しているんじゃないかというようなことを指摘して、関連施策を精査した上で、事業内容の重複がないようにしております。

 また、二十七年度の当初予算として概算要求されていた事業は二十六年度補正予算で計上されておりまして、二十七年度当初予算では全然計上されなかったという例もありますが、緊要性の観点から全ての、補正予算に計上したものでありまして、特段問題があるというように考えているわけではありません。

 もう一個は放送の話をされましたが、この事業は地域の魅力を紹介する放送コンテンツの海外的な発信を支援するもので、この事業によって地域における観光とか産品輸出の増加が期待される地方活性化につながること、また、まち・ひと・しごと等々の総合戦略におきまして緊急的取り組みとして位置づけられたものとして踏まえて、補正予算の計上をさせていただいた次第であります。

 これは、新たに放送コンテンツを作成して、ASEAN等の放送局の放送時間を買い上げて、一定期間、持続的に放送するというようなことを考えたり、いろいろなことをやっておると思いますので、補正予算の手当ての直後にまたというようなことも考えて当初予算には計上しておらぬというように御理解いただいたらよろしいんじゃないでしょうか。

○小川委員  理解はいたしません、大臣。

 もう時間があれですので、目玉の一つのプレミアムつき商品券について問題点を指摘して、御答弁があれば、石破大臣、どうぞ。

 過去、地域振興券を含めて、商品券を発行したことはありました。しかし、実際の経済効果は、その発行額の二五%ということで、十分じゃなかった。今回、そうした検証を十分踏まえているのかどうか。

 そして、プレミアム部分に今回は出すということだそうですね。一万二千円券のうち、二千円分だけ公費で負担する。ですから、一万円分については、消費者に自分で買ってもらうということです。

 問題だと思うのは、これは二千五百億円なんですが、単純計算しますと、二千円部分を負担するということであれば、一億二千五百万枚発行する前提になっているんですよ、この二千五百億円。国民が一人一万円以上、全員が買うということですか、そういうことまで含めて事務的に聞けば、一切積算していませんというお話なんですね。

 そんなずさんな、スケジュール感もままならない、そういう予算では甚だ国民に対して誠意を欠く対策だと思いますが、その点も含めて。

○石破国務大臣  それは、それぞれの地域でどういう設計をするかということにかかっております。

 つまり、御自身で御負担になるわけですから、それは使わなければ損ということになるわけですね。御自身で御負担になったが何も買いませんでしただったらば、それはそのお金は一体何だったんだいということになるわけです。

 それぞれの地域ごとにどんな商店街があるか、どんな商品があるか、どういうような消費状況であるかということを把握した上で自治体において設計をいただくわけでありまして、それは最大の効果が出るように、それぞれの地域が一番よく御存じですから、最大の効果が上がるように設計をしていただく、そういうものです。

○小川委員  一億二千五百万枚、国民全員が一枚以上、一万円出して買うという前提ですからね、この予算は。よく結果を検証させていただきたいと思います。

 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

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