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〜会議録(2014年10月15日地方創生に関する特別委員会)〜
○小川委員 民主党の小川淳也でございます。
地方創生に関連いたしまして、野党の立場から議論をさせていただきたいと思います。
まず石破大臣、冒頭、この地方創生に向けた取り組み、意気込みをお聞きいたします。
特に二点ほどフォーカスしていただきたいと思いますが、大臣は九月十九日の会見の中で、地方創生、官だけでやっても絶対に失敗します、民の意識改革というのも当然必要、それが思いつきのような話ではなくて、今、世の中はこうなっている、経済はこうなっている、世界の流れはこうなのだ、その中にあってなぜこういうことをお願いするのか。まさにコンセプトのベースになる部分を発言しておられます。それに沿って御説明をいただきたい。
あわせて、アベノミクスが間もなく二年を迎えます。アベノミクスという全国レベルのマクロ政策では地方の再生、創生には限界があるというのがこの時期の地方創生の議論でいいのかどうか。
特にこの二点、フォーカスを当てた上で、意気込みをお聞きしたいと思います。
○石破国務大臣 結局、民間の意識改革というのはどうしても必要で、これは、経済において公が占める部分というのは極めて少ないわけであって、経済のほとんどは民間が負っているわけでございます。国ができる限りのことはやりますが、大宗は民間が担っているということであります。
そうしますと、地方の経済というものを考えたときに、どういう主体があるかというと、まず、かつて多くの雇用を実現していた第一次産業というものがあります。そして、企業誘致によって雇用を維持していたという部分があります。あとは、役場とか市役所とかいう公の部門がありまして、あとは公共事業という分野があって、そういうものを除いたサービス業というのがあるわけです。
これから先、公の雇用というものはそんなに出てくるかというと、それはおのずと限界がございましょう。あるいは、電機や自動車のようなそういう産業がこれから先雇用をつくっていくかというと、それはグローバル経済の中で極めて難しいということがございましょう。あるいは、公共事業もこれから先どんどん伸びるかというと、そういう話にもならぬでしょう。
そうすると、大宗を占めている第一次産業あるいはサービス業というものがおのずから変わっていかない限り、地方の創生なんぞということがあるはずがないということだと思っております。
では、農業政策は今までのままでよかったか、漁業はそうなのか、林業はそうなのかといえば、根本から見直していかねばならない部分があります。その萌芽が地方には随分あるだろうと思います。
先ほどの議論の中で、観光業とかあるいはスーパーとかそういうお話がありました。それも、地域地域において今までのやり方を変えていただかねばなりません。民が主体であるというのはそういうことだというふうに私自身は認識をいたしておるところでございます。
そして、ローカルアベノミクスというのは、グローバルアベノミクスという言葉があるかないか私は存じませんが、大胆な金融緩和、そして機動的な財政出動で、経済はあの異様な円高というものも脱しつつあります。そして、株価の水準も随分と回復をしてまいりました。そこまではうまくいったんだと思います。
その次の成長戦略において、経済の多くの部分を担っております、いわゆるローカル経済というものをどのように立て直していくか。ローカルアベノミクスの内容というものは、グローバルアベノミクスという言葉を仮に使うとすれば、それとはかなり内容が違ってくるんだろうと思っております。
ここにおいて、アベノミクスなるものによって光と影があって、地方における影の部分をどのようにして消していくかということも考えていかねばなりません。
そして、地方の優位性というものを最大限に生かした、要はそれぞれの地域においてうまく経済が循環をしていくか。今うまく循環しているというふうな認識を私は持っておりませんで、それぞれの地域において経済がうまく循環をしていくということがローカルアベノミクスであり、そこにおいて地域の優位性をいかに生かすかということがポイントだと考えております。
○小川委員 同感な部分、多々ございます。
これまで何かと、地域振興というと、都会のまねごとをするのが地域振興。しかし、おっしゃったように、これから、都会にまねできないことをいかに伸ばしていくか、それを国として妨げない、後押しするという姿勢なんだろうと思います。
大臣、中身に入りたいんですが、ちょっと野党側としては、最初の機会ですので、大臣御就任に当たって紆余曲折ありましたと報道等でお見受けしております。その点をちょっとお聞かせください。
というのも、もちろん地方創生に関する意気込みを今お聞きしました。大臣も中学までは鳥取でお過ごしなんですか。私も高校まで高松でありまして、大学進学時にこの東京のばかでかさに圧倒されて、自治省に入りました。何とか地域振興というのは自分のライフワークにしたいという思いであります。後ほど質疑に立ちます重徳理事、自治省の同期でありまして、民主党と維新の党、こういう形でも連携しております。
一方、予算委員会等で大臣のお姿を拝見しておりますと、やはり、国防の石破茂、安全保障の石破茂というふうに自認されているんだと思いますが、安全保障の議論になったときの方が非常に目が覚めておられる、表情が生き生きしておられる、答弁の出番はないにもかかわらずです。そういう感じも受けるんですよ。
それで、地方創生に入る前に、ちょっとこの経過だけお聞かせください。
安保相に就任の打診があったというのは事実ですか。そしてそれは、安全保障政策は総理と一〇〇%一致する人がやるべきだということで御辞退になられたとお聞きしておりますが、それは事実ですか。どこがどう異なるから受けられなかったのか、そこをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○石破国務大臣 人事権は総理・総裁たる安倍晋三総理がお持ちであります。ですから、党の人事は総裁たる安倍総裁、そして、政府の人事は総理たる安倍総理がお持ちであります。お決めになったことには従わねばなりません。そういうことであって、紆余曲折あろうが何しようが、決まったことには従うのは組織人として当然のことだと考えております。
また、何か防衛になると目がらんらんとしてという御指摘を頂戴いたしましたが、私もともと、本業というのかしら、ずっと農林水産をやってまいりました。一番最初に政務次官になったのは宮沢内閣でございます。その後、森内閣で副大臣、当時でいいます総括政務次官を務め、農林水産大臣もやらせていただきました。確かに、防衛というものに対しても強い思いを持っております。長くその仕事もやってまいりましたが、同時に、農林水産の仕事も随分と長くやってまいりました。
私は、私ごとになって恐縮ですが、今から三十年前に議員になりたいと言って地元へ帰ったのです。そのときに一番最初に歩き始めたのは、県境の、本当にちっちゃなちっちゃな集落から歩き始めました。それぞれ選挙のやり方はあるんだろうと思いますが、私は、もちろん法律の範囲内ですが、一軒残らずその地域を歩き、その人たちの話を聞かなければこんな仕事はできないと思っております。
香川県もそうでしょうが、私の鳥取県も全国で一番ちっちゃな県でありまして、スタバはないが砂場はあるとかなんとか、よくわからないお話があるところでございますが、やはり地方というものが、二十八年議員をやってきて、本当に衰退しているねというのは、いても立ってもいられない危機感が自分にはございます。
世の中が変わってきたのに政策が変わっていないという部分が随分あるのではないかと思っておりまして、政治の力で地方を創生するというのも、自分が政治家として有権者のおかげで長くやらせていただいている者の務めとして、何とかその方向性だけは不可逆的なものにしてまいりたいと考えております。
○小川委員 直接委員会所管外のことをお尋ねするのは大変恐縮でありますが、やはり、全体としてこの地方創生に対する本気度、意気込みを問うに当たっては、その経過をお尋ねしたいということでありました。
加えて私は、つけ加えさせていただきますが、現在の安倍内閣の安保法制に関する議論については非常に危惧しておりまして、やはり、米艦船に搭乗した日本人を守らなくていいのかという情緒的な議論になったりとか、あるいは、もっと危険性をしっかり説明した上で、その上で国益のために必要だということを真摯に説明しなければならないと思いますが、そういうところをすっ飛ばしていたりとか、そういうところは非常に曖昧で、私は危険だと思っています。
石破大臣には、閣内にあって、もちろん表で言えること、言えないことはあると思いますが、ここはぜひ閣内において、まさにライフワークでありますので、そういう意味でも存在感を発揮していただきたい、そのことは申し上げたいと思います。
さて、この地方創生の法案でありますが、これは石破大臣御自身も満足しているとは私は思えないんですよね。法律事項がないじゃないですか。本部の設置、これは閣議決定一枚でできますよ。基本理念、計画策定の努力義務、そんなものは通知一枚でできる話であります。何か閣議決定でやっちゃいけないことは閣議決定でやるが、閣議決定で十分じゃないかということに関しては、わざわざ看板を掲げるための法律を出してくる。これは全く法律の中身がない。
しかも、こうして特別委員会を設置して、大臣初め三役の皆さん、お忙しい中お越しいただいています。もちろん、やる以上、関係の皆様にはいろいろと御意見をお聞きしたいと思いますが、ちょっと看板が大き過ぎて中身がない、見かけ倒し、看板倒れ。この法律の中身はそうじゃありませんか、大臣。
○石破国務大臣 これは委員は百も御承知の上で質問をしておられると思いますが、こういう組織を決めるというのも法律事項でございます。ですから、それは権限と関係ないではないかという御指摘もあるのかもしれませんが、組織をきちんと法律で定めておきませんと、そこから権限も出てまいりません。これは関係の教科書にも書かれていたので私は読んだんですが、やはり法律において組織を定める。
ですから、次の内閣になりましたと、次にどういう内閣ができるか、それは存じませんが、ずっと内閣が変遷していく。では、もうこれはやめちゃおうということになると、それはやはりぐあいがよくないだろう。法律できちんと組織を定め、権限の淵源たる組織を法律によって定めるということは、法律事項たるゆえんだと私自身は考えております。
中身がないじゃないかというお話ですが、これは基本法的な位置づけを持つものでございます。ですから、基本法を頂点としていろいろな法体系というものがあるという形では必ずしもないので、基本法的なという言い方をいたしておりますが、そこにおいては、基本法のパターンであります、理念を掲げ、そして責務を書き、組織をつくるという基本法のセオリーにのっとってこの法律はつくっているものでございます。
ですから、この法律をまずベースとして、その後どのような政策を立案していくべきかというのは、今回で終わるお話ではございません。これは私は冒頭申し上げたかもしれませんが、日本の国のあり方というものを根本から変えるというのがこの地方創生なのだと思っております。そうすると、膨大な法体系というものも変えていかねばならぬでしょう。
あるいは、委員の御専門だと思いますが、交付税のあり方というものも問われていくべきことだと思っております。一括交付金にすればそれでいいというお話だと私は思っておりませんで、交付税の持っている機能というのはそもそも何なのかというところから問いかけていかねばならぬことだと思っております。そこにおいては、恐らく、結果平等という概念と機会平等という概念がもう一度論ぜられるべきものだと考えております。
そうしますと、まず、この法律を御審議いただき、この法律を成立させていただき、そしてその後に、そもそもということを見直していかなければなりません。ですから、この法律に中身がないという御批判は当たらないものと考えておりまして、しかしながら、同時に、この法律さえできれば事成れりだとも全く思っておりません。
○小川委員 後段の点はそのとおりだと思います。法律ができたからそれで完成ということでは当然ありませんし、不断の政策実現に向けたさまざまな取り組みは必要だと思います。それはそのとおりだと思います。
しかし、ちょっと野党の立場からでありますが、もともと、七月一日に先ほどの安全保障に関して閣議決定をされた。そして、この秋の国会ではその安保法制に関する議論がメーンになる予定だった、その時点では。そして、年末にはガイドラインの見直しを予定していた。ところが、七月十三日、滋賀県知事選挙で結果がひっくり返った。政権としてはたじろいだ。その安保法制を先送り、にわかに統一地方選挙前に持ってきたのが、この地方創生という看板。しかし、内閣発足後、余りの突貫工事で、基本的な理念も指針もなく、とりあえず法律をつくれと。
大臣がお持ちの予算、自前の予算は、恐らく一銭もないと思いますね。支えておられる事務員の方々は、全部各省からの出向組、併任も含めて。極めて手持ちの資産、財産のない中で、奮闘はしておられる。そういう様子が見え隠れいたします、野党の立場から見ると。
予算に関して、加えてお尋ねいたします。
麻生財務大臣、お忙しい中お越しいただきました。
内閣改造は九月三日であります。現在の政府、現内閣が提出した概算要求は、前内閣のもとで行われたんだと思います。
一時、こういうことが話題になりました。これは、時事通信の九月の十八日の報道であります。
政府は十八日、各省庁が八月末までに提出した一五年度概算要求について、地方創生の観点から全般的に見直す方針を決めた。まち・ひと・しごと創生本部の打ち出したばらまき排除の基本方針にのっとって、各省庁には予算の精査を要請、必要があれば再提出を求める。提出済みの概算要求を大規模に見直すのは異例だが、無駄を省き、効果の高い政策への重点的な配分を目指す。
この報道に触れたとき、私は、ああ、本気なんだなと思いました。しかし、その後、全くそうした作業、手続はせずに今日に至っていると思いますが、麻生大臣、その点について御答弁いただきたいと思います。
○麻生国務大臣 自治省だか総務省にしばらくおられたので、この種のことはよくおわかりの上で聞いておられるんだと思いますが、概算要求基準におきまして、一般論として、やむを得ない場合というような場合は、要求の出し直しをすることが理論上、実務上認められております。これは御存じのとおりだと思います。
しかしながら、平成二十七年度予算要求に際しては、概算要求基準に定められておりますように、地方の創生と人口減少の克服に向けた取り組みを含めた要求、要望を既に行っていただいております。これはもう御存じのとおりです。
また、その要求、要望を受けて、まち・ひと・しごと創生本部や、その下に設置されることになっておりますまち・ひと・しごと創生会議などにおける議論を踏まえて、私ども財政当局としては、まち・ひと・しごと創生本部と連携をしながら、これはさらに十二月末まで精査、磨き上げを行っていくところであります。
したがって、内閣改造に伴って地方創生担当大臣が設けられたからといって、機械的に一律に地方創生に係る要求の出し直しを求めるというような必要性は私どもから見て乏しい、そのように考えております。
○小川委員 石破大臣、同じお尋ねですが、これは同日の会見だと思いますが、余りゼロベースでやり直せというのは例として多くはないと思っているが、要は、効果を発現するためにあらゆる可能性は否定されない、今後さらによく検討してお答えいたしたいと。
石破大臣としては、地方創生をこれだけ看板に掲げ、そして地方創生国会とまで銘打ってやっているわけです。これは、概算要求もそれに沿った形で見直したかったのが本意じゃありませんか、石破大臣。
○石破国務大臣 今財務大臣がお答えになったとおりだと思っております。
この地方創生なるものが大臣を設け本格的に稼働したのは、確かに概算要求の後でございます。そうすると、概算要求の出し直しということになるのか。予算編成のスケジュールから考えて、余りそれは現実的なことだと思っておりません。
実際に本格的な予算編成というのはこれから行われるわけでございまして、今回法律をお認めいただければ、今でも内閣府設置法によって調整権限は私が持っておりますが、この法律によってまたそれを持つことに相なります。
私が予算編成権を持っているわけではありませんが、総理から、ばらまきは排除せよ、そしてまた縦割りは断固排せということを言われているわけで、きのうも会見で申し上げましたが、私は結果が全てだと思っております。
でき上がりました予算が、ほれ、やはりばらまきではないか、ほれ、やはり縦割りではないかと。私は、縦割りが全て悪いということを申し上げているのではありません。地方においてそれが使い勝手がいいのか悪いのかということなのでございます。地方に使い勝手の悪い縦割りの予算というものはあるべきだと考えておりません。また、どういうところも一律的にお金を配るという意味でのばらまきがいいとも全く思っておりません。
これから予算を編成するに当たりまして、よく財政当局とも御相談をしながら、そういうあしきばらまき、ばらまきというのはあしきに決まっていますが、ばらまき、そして地方にとって使い勝手の悪い縦割り、そういうものを排した予算というものを実現しなければ、それは責務を果たしたことには全くならないということはよく自覚をいたしております。
○小川委員 大臣、今の、結果が全てだと思うという言葉の責任は重いと思います。改めて、もちろんこれから予算の具体的な調整過程に入ると思いますので、私どもとしても結果をよく検証させていただきたい。
しかし、ここで申し上げているのは、一度提出された概算要求がベースにならざるを得ないわけですね。麻生大臣御答弁のとおり、よほど強いリーダーシップなり、異例の事態なり、高い必要性があれば、それそのものを出し直すような見直しも可能なのかもしれません。しかし、現実には恐らくそれはないという前提に立たなければいけないでしょう。
となれば、前内閣で、人口減少等が議論になり始めたのはまさに、「地方消滅」、増田日本創成会議議長の報告が本になって出版されたのは八月、それ以前、骨太の方針や日本再興戦略に基づいて出したのがこの概算要求でありますから、少なくともそこにメーンテーマとしてまだフォーカスはされていなかった、周辺にいた。であれば、その後やったのであれば、相当さま変わりしていたはずなんですよ。
現に、現在の概算要求、これはよく言われていますが、百一兆円、史上最大規模であります。ふえているのは何かな。特に要望枠、特別枠との関係も含めてでありますが、厚生労働省は前年と比べると九千億余りふえています。これは、恐らく社会保障の自然増を含めて、やむを得ない数字でしょうと思います。が、メーンはやはり国交省の一兆円近い、これはほとんど公共事業だと思いますが、そこですよ。
石破大臣は今、結果が全てだと御自身がおっしゃった。これは、この後、使い勝手も含めて、縦割り、ばらまきの要素を緩めること、なくすことを含めて、どういう結果を出されるのか、改めて野党としては注目したいと思います。
この法案の中身のなさ、そして予算についても前内閣そのまま、これがまさに安倍内閣の地方創生。看板は立派ですよ。しかし、本気ですかと。どの程度本気でやろうとしておられるのか、その迫力なり熱意は十分に伝わってこない。
もう一点、高市総務大臣、お忙しい中ありがとうございます。地方財政に関してお尋ねします。
きのう、折しも総務委員会で大臣から所信的御発言をいただきました。その中で、地方財政措置、これも車の両輪ですよね、国の法律、予算と地方に対する財政措置。
私、ちょっと気になったんです。大臣は、地方創生、人口減少はもちろんこの所信の中で触れられました。しかし、地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額については、二十六年度、今年度の計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保するとおっしゃった。
これで十分ですか。これだけ地方創生、地方再生、地域の再生と議論しているときに、一般財源総額は前年並みでいいんだと早々とおっしゃっている。ここにもまさに本気度が問われる総務大臣としての姿勢があると思いますが、その点、いかがですか。
○高市国務大臣 実質的に同水準をと申し上げましたけれども、まず、実質的にというのは、社会保障などによります増加分も加味して同水準をということでございます。
地方が安定的に財政運営を行って、それから地方創生に積極的に取り組むためには、やはり地方が自由に使える一般財源というのはしっかり確保することが必要だ、これは私もそう考えております。
ただ、地方財政における巨額の財源不足というのは恒常化いたしておりますから、地方財政の健全な運営のためには、やはり歳入においてふやしていく努力、そして歳出においてめり張りをつけていく努力、これは続けていかなければなりません。
ですから、これは昨年ですけれども、閣議了解されました中期財政計画の中で、地方の一般財源総額は、二十六年度及び二十七年度において、平成二十五年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することに加えまして、歳出面、歳入面における改善を進めること、こういう方針になっておりますから、この方針に基づいて最大限の工夫をしていきたい、効果の最大化を図ってまいりたいと思っております。
○小川委員 重ねてでありますが、リーマン・ショック以降、これは麻生政権のときだと思いますけれども、地方交付税に関して申し上げますと、地域経済基盤強化・雇用対策費として約一兆二千億積まれています。そのことは、財源の問題、あるいは地方の財政赤字、国の財政赤字の問題はさておけばですが、相当程度、地方にとっては一息つく効果をもたらしたと思います。
しかし、今般、これは報道ベースでありますが、地方交付税に関連して、地方創生枠のようなことを交付税制度の中に盛り込むというようなことが検討されているという報道があります。しかし、それが、一兆円なり一兆二千億、まさに麻生政権後、リーマン・ショック後に設けられた地域経済基盤強化対策費とバーターになるんじゃないか。
地方交付税の仕組みは、幾ら新たなメニュー、新たな予算を措置しても、それ以外、あるいは以前、既存のメニューと差し引きで、問題は総額がふえるかどうかですから、そういうことはあってはならないと思いますが、高市大臣、創生枠とリーマン・ショック後の経済枠との関係について御答弁ください。
○高市国務大臣 週末の新聞報道で、今委員がおっしゃったバーターの話が出ておりました。約一・二兆円の分をそのまま今度地方創生のためのものにということでバーターしてしまったのでは、これは何も効果が出てこないわけでございます。
現在、政府としてそのようなことを取り決めたという事実はございません。
○小川委員 麻生財務大臣、今の点、財務大臣としてのお立場から一言御答弁いただきたいと思います。
○麻生国務大臣 政府として申し上げれば、御指摘のような、報道ベースの話でしょうか、今の話は、という固めた事実はありません。
○小川委員 ここは往々にして、総務大臣と財務大臣との立場が、利害が相反する部分でもございます。ぜひ、これだけ地方創生ということを看板に掲げている内閣のされることですから、ここも、その結果責任、事の結果責任、しっかり野党の側から注目をいたしたいと思います。
今度は、法案の中身それから予算、地方財政措置についてお聞きしましたが、もう一点、プロセス等についてお聞きしたいと思います。
地方創生法案の閣議決定、それから予算の概算要求の決定、そして地財計画等々について。
民主党政権時代に、国と地方がしっかり協議をして物事を前に進めていく、お互い対等の立場だと、今般の地方創生にもつながり得る一つのインフラだと思いますが、この仕組みを法制化いたしました。
石破大臣、この法案の決定、予算案の決定、そして地財計画等々含めて、国と地方の協議の場、しっかり活用いただけましたでしょうか。
○石破国務大臣 この協議の場というものを、必要であれば活用しなければいけないものだと思っております。しかしながら、では必ず協議の場にかけなければいけないかといえば、そういうものでもないと考えておりまして、地方六団体の方々とは随分この間議論をいたしてまいりました。協議の場にかけるということがマストだと私は考えておりません。
要は、大事なのは、これから先、地方六団体の方々とどれだけ意見交換を行うかであります。これから、先ほど来委員が問題意識をお持ちの予算編成というものを控えているわけでございまして、これからそういうような六団体の方々がそれぞれいろいろな会合をお持ちになります。そこにおいて、今までのような形ではない、新しい地方創生とはどういうことなのかということについて私なりの考えを申し述べ、そこから御異論があれば承りたいと思っております。
地方との協議の場も必要であれば活用いたしますが、そこの場のみならず、いろいろな形で六団体の方々とお話をし、そこにおいて、本当に、余り遠慮していても仕方がないし、そんたくし合っていても仕方がないことであって、本音の議論というものをさせていただきながら、これから先の制度設計というのを考えてまいりたいと思っております。
○小川委員 大臣、それは法律軽視の御答弁じゃないですか。事実上、実質的に議論をし、コミュニケーションをとる、それは当たり前のことですよ。しかし、それだけでは不足だ。
政権の意思やあるいは政権の性格にかかわらず、日本の地方税財政、行政制度は極めて国と密着した形になっています。特に内政の課題について言えば、どれ一つと言っていいほど、国が独自で実行できるものはありません。ほとんどが地方の協力なくしてはなし得ないことばかりです。
だからこそ、私たちの政権担当時代にこれを法制化して、法律によってこうした協議の場を設けるということを制度化したんですね。必要に応じてやっているからこんなものは要らないんだというのは、法律軽視の答弁じゃありませんか。
○石破国務大臣 必要な場合には十分活用すると申し上げました。全くこの地方との協議の場を無視してやるということはいたしません。したがいまして、法律軽視ということではございません。
しかしながら、その場のみならず、これは、地方六団体、あるいは総理大臣を長といたしますし、招集権者は総理大臣でございます。そういう都合がいつも合うとは限らない。これは委員も現場にいらっしゃったから御存じでしょうけれども、これを開催するには膨大な事務手続が必要となります。そういうことが必要であれば行いますが、それと同時に、実質的な議論というものを重ねていきたい。
別に法律を軽視しているつもりは全くございません。
○小川委員 それ以外の場も大事ですが、その場も大事でしょうと申し上げているわけであります、公式な場ですから。
ちなみに、数を御紹介したいと思いますが、この国、地方協議の場、平成二十三年には十二回行われているようです。政権がかわりまして、二十四年、四回、二十五年、三回、二十六年、一回。少なくとも形の上では甚だこれは軽視されているというふうに言わざるを得ないと思います。
今後、予算も大詰めを迎えるでしょうし、あるいは法律に書かれた具体策をこれから具体化していくんだと思いますが、より一層法律の趣旨にのっとって、開催をお願いしたいと思います。
大臣、これはちょっと、きょう、残念ながら時間の限りもありますが、地方創生を議論される上で、民主党政権時代に大事な布石を打ったこともたくさんあるんですよね。この国、地方協議の場もそうです。そして、一括交付金制度も創設した。しかし、政権再交代後、廃止された。でも、これはまた、にわかに交付金の復活のようなことが議論されていますよ。それから、地方という観点、地方経済、農政という観点からいえば、所得補償制度、これも廃止される。
そして、小渕大臣にも、お忙しい中ありがとうございます。
地方の自立、再生を考える上で、エネルギーの地産地消というのはこれから鍵だと思います。これも民主党政権時代に固定買い取り制度を入れた。しかし、それが、飽和状態という名のもとにだと思いますが、現在、申請も受け付けられないような状態になっている。こういったこと、個別にきょうお聞きする予定でしたけれども、また機会を改めます。
小渕大臣には、エネルギーの地産地消と現在の行き詰まり、これをどう解消されるか。スケジュール感、具体策、御答弁いただきたいと思います。
○小渕国務大臣 お答えをいたします。
御指摘のように、再生可能エネルギーの導入でありますけれども、現在、九州電力を初めとする電力会社によりまして、接続のお申し込みに対して回答の保留というような状況になっております。
これは、昨年の年度末、三月の時点で、それまで一年間分ぐらいの申し込みが殺到してしまいまして、それによりまして、出力の不安定な太陽光が多かったものですから、電力会社によって、なかなか安定供給が難しいだろうということで、一旦、系統への影響を精査するということで、回答の保留をしているところであります。
しかし、それぞれの電力会社の受け入れ可能量というものが、実際それが正しいのかどうか、また、受け入れがもうちょっとふやせるのではないか、そういうことを調べるために、あしたから、十月の十六日から系統のワーキンググループというものを開きまして、その内容というものをしっかり検証、精査してまいりたいと思います。
再生可能エネルギーにつきましては、最大限導入するという方向に変わりはありませんので、できるだけ早く答えを得られるように、年内をめどに進めてまいりたいと考えています。
○小川委員 また追ってこの委員会でも議論をさせていただきたいと思いますが、重ねて、やはりエネルギーの地産地消というのが、地方の経済あるいは雇用を考える上で鍵だと思います。
固定買い取り制度がとまっているという事態は極めて大きなハードル、壁になり得る話でありまして、きのう渡辺委員も本会議でお尋ねしておられましたけれども、蓄電池なり、系統、送電網の強化なり、あるいは揚水発電なり、いろいろな対策を組み合わせることができると思うんですよね。ぜひ精力的に取り組みを進めていただきたいと思います。
幾つか先ほど申し上げた一括交付金や所得補償の関連で、時間の関係でちょっと一つだけお尋ねさせてください。
一括交付金はなぜ廃止したんですか。縦割りを排して地方の裁量をきかせるという意味では、極めてチャレンジングな、一つの突破口になり得る制度だったと思いますが、なぜ廃止したんですか、政権再交代後。
○石破国務大臣 なぜ廃止したかといえば、地方から、手続が煩雑であって使い勝手が悪いということで御批判をいただきましたのでこれを廃止いたしたということが答えになりますが、ただ廃止をしただけでは能がないのであって、廃止をいたしました、では各省庁に戻しましょうということではなくて、細分化されていたものをできるだけ大くくり化にする、あるいは、御指摘を受けました事務手続の煩雑さというものを解消するということをやってきたわけでございます。
ですから、何も民主党だから廃止をしたとか、そういうつまらないことを言っているわけではございませんで、地方のニーズというものをきちんと踏まえた上でやったということでございます。
ですから、一括交付金というやり方を私は決して否定するものではございませんが、それを実際に使う側が手続が簡便になるということ、そういうことが大事だと思っております。ですから、地方にとって使い便利のいい、そういうような一括交付金という概念は、それはあってしかるべきものだと考えております。
○小川委員 これは地方の要望でありますけれども、必要な予算総額を確保してくれ、知事会、指定都市会。各府省に予算を移しかえることなく内閣府に一元化してほしい、知事会、指定都市会。確かに、事務手続、提出書類の一層の簡素化、これは、しかし、常に出る要望ですよね。さらなる予算の流用弾力化、より自由度を増してほしいという要望は確かにありますよ。しかし、だからといって、廃止して二年間もほったらかすということはないんじゃないですか。
大臣、先ほど、予算概算要求の件をお尋ねしました。確認しますが、概算要求のメニューは前内閣と変わっていないんですね。ということは、もし新たな交付金を創設するということになりますと、現在要求している予算がベースにならざるを得ない。
ということは、民主党時代は、これは、八府省の十八事業を統合し、約六千七百億円の予算額を用意しました。そして、これは、地方の側から見て、必要とあらば、文教、交通、水道、農水、社会福祉等々、学校も含めて、いろいろと流用することができた。
私は、推測するに、概算要求のメニューが変わっていないということは、同じ仕組みをとらざるを得ないんだろうと思います。新たに交付金の創設はできない。現在要求している予算をベースに幾つかを大ぐくりにする、その間の、役所間の流動化を容認するということ以外に選択肢はないんだろうと思います。
廃止して、そして二年間ほったらかして、それでその程度のものができ上がってくるというのでは甚だ不十分、この地方創生に対する本気度が極めて疑わしいということと、そして、民主党に対する遺恨で国民生活や地方制度をむしろ人質にとっているんじゃないか。両面から、極めて問題点が多いということを指摘し、今後もぜひ中身について議論をさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
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