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〜会議録(2014年4月2日外務委員会)〜
○小川委員 民主党の小川淳也でございます。
ぜひ、先ほどの岸本委員のお尋ねに対しては、委員長初め、前向きな御検討を委員会においてお願いしたいということを付言させていただきます。
原子力協定に関連して、去る三月二十四日、二十五日に行われました核セキュリティーサミットの成果等についてお尋ねします。
二点、まず、日本政府が高濃縮ウラン、それから分離プルトニウムをアメリカに移設するということを表明されたというふうにお聞きしています。その意義について一つお尋ねをいたします。
それから、関連してこれはお尋ねせざるを得ませんので、触れていただきたいと思いますが、政権発足から一年三カ月経過して、ようやく日米韓、日韓の首脳同士が顔を合わせた。テレビ画面を通じますと非常に複雑な表情が伝わったように感じますが、その成果なり課題について、特に、アメリカの仲立ちなくして、一年三カ月、日韓の首脳が顔を合わせなかったというその現実についても触れていただきたい。二点お尋ねいたします。
○岸田国務大臣 先日のオランダ・ハーグにおきます核セキュリティーサミットにおきまして発表いたしました、世界的な核物質の最小化への貢献に関する日米首脳による共同声明、この日米の共同声明におきましては、核テロ対策の強化、そして研究開発の推進を両立させる日米協力として、次の点で一致をいたしました。
一つは、日本原子力開発機構の研究炉の一つであります高速炉臨界実験装置にある高濃縮ウランとプルトニウムを全量撤去の上、米国に移送し処分するということ、二点目としまして、米国による研究炉使用済み燃料引き取りプログラムを日本について延長するということ、そして、高速炉臨界実験装置、FCAから撤去する核物質を用いて行う予定であった研究は、代替燃料を用いて日米協力により実施すること、こういった点で一致をした次第であります。
この声明の評価ですが、日米首脳が世界的な核物質の最小化のために強いリーダーシップを示すことができたと考えております。
そして、もう一点の御質問の日韓関係についてですが、今回、核セキュリティーサミットに合わせて行われました日米韓三国の首脳会談でありますが、北朝鮮問題を中心とする東アジアの安全保障について、三カ国が今後とも緊密に連携していくことの重要性が確認されたということであり、この点において大変意義ある会談であったと認識をしております。
そして、今回の日米韓首脳会談は、我が安倍総理と朴槿恵大統領にとりまして、初の直接の会談ということになりました。ぜひ、我が国としては、今回の会談を第一歩として、大局的観点から未来志向で重層的な日韓関係を築いていく、こうした協力関係を進めていくこととしていきたいと考えております。
日韓関係、言うまでもなく、我が国にとりまして最も大切な二国間関係であります。そして、北朝鮮を初めとする東アジアの安全保障環境を考えましても、この二国間の関係が安定していることは大変重要なことであります。ぜひこうした大切な二国間関係を進めていかなければいけないと思っておりますが、そのためにも意思疎通、対話が重要であると思います。
残念ながら、今日、日韓関係は大変難しい状況にあり、そして、今回の日米韓首脳会談に至るまでトップ同士の会談が実現してこなかった、こういった状況にありました。
しかしながら、日韓関係においては、さまざまな経済関係あるいは市民交流を初め、交流があります。また、北朝鮮を初め、共通の課題があります。こういったものを通じてしっかりと意思疎通を積み重ねていき、今後とも高いレベルの政治対話、トップの政治対話、こういったものを続けられるようにしっかりと努力をしていきたいと考えています。
○小川委員 日韓に関して言えば第一歩だと思いますが、甚だおくればせながらの、そして国際会議の場に、あわせて第三国の仲立ちという、決して大きいとは言えない第一歩だと思います。そのことは今後もぜひ心して、日韓関係の改善、外交努力を積み重ねていただきたい。
あわせて、核物質のアメリカへの移設について若干素朴な疑問もあります。そんなに日本の管理状態はアメリカから見て危険なんですか、不十分なんですか。
そして、これは高らかに共同声明でその成果を発表しておられる、表現しておられるようにお見受けしますが、一方で、核物質に対する日本の管理情勢に対するある種自信のなさなり、アメリカから見た不安なりということを公に表明したことにもつながるんじゃないかという、ちょっと素朴な疑問を持っていますが、この観点からお答えいただける方はいらっしゃいますか。
○北野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣からも答弁させていただきましたように、核物質の最小化といいますものは、今回の核セキュリティーサミットでも議論をされました、国際社会としての大きな課題であるということでございます。
その中で、米国は、機微な核物質をより機微でない形に転換する、そういうふうな能力を持っておりまして、これまで世界各国の機微な核物質を受け入れ、そして処分をしてきた、そういうふうな実績があるところでございます。
したがいまして、今回の日米での合意また決定といいますものは、機微な核物質を最小化するというその課題を実現するに当たって、最も適切な方法を日本政府として総合的に判断したその結果によるということでございまして、我が国と比較して米国のセキュリティーの方がどうか、そのような考慮に基づいて行ったということでは必ずしもございません。
○小川委員 私は共同声明を拝読して素朴にお尋ねしているんですね。これ以上深追いしませんが、「米国に安全に輸送された後、セキュリティの強固な施設に移送され、」というくだりがありますよ。お尋ねの趣旨については理解していただけると思いますが。
原子力協定を議論するに当たって、福島の事故を背負っているということが一つ大きくあります、背景として。そして、今般、自国では処理しかねる、あるいは安全に保管しかねるというような見られ方を国際的にされたおそれもある。しかし、高らかにその成果を宣言しておられるようですが、そこに対しては、そういう問題意識は当然内在すべきだ、そのことはちょっと指摘した上で本題に入りたいと思います。
原子力協定に関して、率直に申し上げて、民主党内でもさまざま議論がありました。いろいろな報道もなされた。それは当然踏むべき過程だったと思いますし、その上できょう質疑に立たせていただいております。
一番シンプルなお尋ねをいたします。この協定は原発輸出推進協定ですか、それとも核不拡散、安全使用推進協定ですか。大臣、お答えいただきたいと思います。
〔委員長退席、原田(義)委員長代理着席〕
○木原(誠)大臣政務官 お答えを申し上げます。
シンプルにということでありますが、少し丁寧にまず御説明させていただきたいというふうに思います。
我が国は、原子力の平和利用における三つのSというもの、すなわち、セーフガード、不拡散のための保障措置、セーフティー、原子力の安全、そしてセキュリティー、核セキュリティーというものを重視してまいりました。
そして、この原子力協定は、我が国が原子力協力を行う際に、平和的利用、不拡散を法的に確保し、三つのSの強化に資する重要な枠組みである、このように理解をしております。
○小川委員 丁寧に説明することは大事だと思います。特に国会の場はそうかもしれません。
しかし、この議論に関して、冷静な議論をややしがたい状況があるのは、一つには、先ほど申し上げた国内事情があります。それはもう当然のことだと思います。
しかし、一方で、あえてシンプルにお尋ねしますと申し上げたわけですが、この協定は、政府として、原子力発電の輸出に対して前のめりな、積極的な姿勢をとろうとしているのか、それとも、現状の世界において利用せざるを得ない、あるいはされざるを得ない核燃料に関して、極めて安全を担保し、安定的に、そして濃縮を制限し、第三国への輸出を食いとめるという核不拡散、拡散抑止の観点からの条約なのか。ここに関しては、国民的な理解を含めて、極めて認識が十分に議論されていない。あるいは、私は、政府の側からいえば、これは極端な話ですが、協定の名称を含めて、コンセプトの組み立て方を含めて、甚だ不十分ではないかということを申し上げたいわけであります。
当然、そうはいっても、これはきれいごとでは済まない世界がやはりあります。この協定なくしては、少なくとも主要部分については輸出できないわけでありますから、一方で、輸出に向けて橋をかけるという側面があることは、これは否定しがたいんだと思います。
しかし、重ねて申し上げますが、これはあくまで国際社会において核不拡散のためであり、拡散の抑止であり、そして安全利用であり、平和利用である。
そういう観点について、私は、名称も含めて、いま一度、よくよくこれは国民感情にも配慮し、そして現実、事実を正確に御説明するという観点からの気遣いが必要だと思いますが、重ねて、ちょっとその点、御答弁いただきたい。
○木原(誠)大臣政務官 再度御答弁をさせていただきます。
具体例でいえば、トルコ、そしてアラブ首長国連邦、両国とも原子力の平和利用を促進していきたい、こういう思いがあり、そして我が国の平和利用に関するこれまでの知見、経験、技術を活用したいという思いがある。
そういう中にあって、この原子力協定を結ぶことによって、私どもとしては、原子力の平和利用における枠組み、そしてまた、不拡散の枠組みをしっかりと確保し、同時に、先ほど申し上げた三つのSについて、相手国、すなわちトルコ、そしてアラブ首長国連邦においてもその三つのSについての取り組みを強化、促進、向上してもらうように促すということがこの枠組みの大きな目的であろう、このように理解をしております。
○小川委員 今の点、ちょっと確認します。今度は大臣に御答弁いただきたい。
まさに、先ほど木原さんが御答弁されたように、相手国のニーズに対して、日本政府として、あるいは日本の産業界として、これを真摯に受けとめていく、ついては、こうした協定が必要だという、恐らく事の運びとしてはそうだと思うんですね。
その点、ちょっとはっきり御答弁いただきたいんですが、これは民主党政権時代、二十四年の九月に、いわゆるエネルギー・環境会議としてまとめたエネルギー・環境戦略であります。この中には、再三議論になってきましたが、二〇三〇年代に原子力に依存しない世の中を目指すということをはっきり明記いたしました。
関連して、国際社会との関係についてはこういうくだりがあります。諸外国が我が国の原子力技術を活用したいと希望する場合には、相手国の事情や意向を踏まえつつ、最高水準の安全性を有した技術を提供するんだというくだりがあります。つまり、諸外国が我が国の技術を活用したいと希望した場合に限って、あえて言えば受け身で、しかし、誠意を尽くすというたてつけになっているわけであります。
この点、政権がかわった後の、再交代した後の文脈をやや確認しようとしているわけですが、例えば、ことしの二月十日の予算委員会、安倍総理は御党の高市政調会長の御質問に対して、原発輸出に際してはこう御答弁されています。「いろいろな議論がありますが、相手国の意向や事情をしっかりと踏まえながら、」というくだりがあります。私どもがとってきた、よい意味で受け身の姿勢とこれは軌を一にするものなのか。しかし、相手国のリクエストがある場合とはっきりは書いていません。
あわせて、御党のあるいは安倍内閣の姿勢についてちょっと改めて御確認をいただきたいと思いますが、今現在、案段階のエネルギー基本計画には、国際社会との関係について、「核不拡散及び核セキュリティ分野において積極的な貢献を行うことは我が国の責務であり、世界からの期待でもある。」と。
ですから、改めて確認しますが、私どもの政権のときには相手国のリクエストが前提でした。それに比べると、少しそこがはっきりしないんですね。今回の協定締結に至る経過もいろいろあったと思いますが、私の希望としては、相手国のリクエストがあって初めて、よい意味で受け身で、しかし、必要な誠意を尽くすということであっていただきたいわけですが、そこは政権として、政府として、その観点からする立ち位置、姿勢は前政権時代から変わったのか変わっていないのか、そこを大臣、御答弁いただきたいと思います。
○岸田国務大臣 現政権の基本的な考え方ですが、福島第一原発の事故を経験した我が国として、こうした貴重な経験あるいは知見、これを国際社会と共有することによって原子力の平和利用に貢献する、これは我が国の責務であるという考え方に基づき、具体的には、相手国の要請、あるいは相手国の原子力政策、そして国際的な議論、こういったものを勘案しながら相手国への協力のありようは考えていく、こういった考え方に立っています。こうした諸点を総合的に勘案して方針を考えていくということかと思います。
相手国からの要請を前提としているのかという御質問でありましたが、現実問題、相手国が全く要請していないのに我が国が何か強引に押しつけるということは考えにくいのではないかと考えます。
前政権との方針、その御指摘の部分だけに限って、一致しているかどうかという部分については、今、たちまちには厳密に検討することはできませんが、重なっている部分は当然あるんだと思っております。
そして、先ほど協定の位置づけについてお話がありましたが、今申し上げました方針によって相手国の原子力の平和利用に貢献するとしましても、その大前提として、これは平和利用でなければならない、そして、核の不拡散の見地から、しっかり前向きなものでなければならない、こういった考え方があります。それを確保するのがまさに原子力協定の役割だと認識をしております。
しっかりとした方針で国際的な原子力の平和利用に貢献したいと思いますが、その大前提であります平和利用、そして核の不拡散、これを法的に確保する、これが原子力協定の意味合いだというふうに考えております。
○小川委員 ありがとうございました。
大臣がそう認識しておられるのはそれで結構です。ただ、冒頭お尋ねしたのは、それを国民に説得し、理解をいただくには、より大きな工夫なり、国民の目からの見え方を意識する必要があるのではないですかということを申し上げているわけであります。
その上で、民主党としては、さまざまな議論を積み重ねた上で、この協定そのものには賛成させていただく前提で議論を集約いたしております。
ただし、核の拡散を防ぐ、不拡散に貢献し、安全利用、平和利用に限定するという、その協定の趣旨に賛成するということでありまして、これは、直ちに原発輸出に対して積極的とか、あるいは原発輸出を推進する、言葉を悪く言えば、積極的に売って歩くということに対してはかなり懐疑的であります。
むしろ、そこは慎重に、現在の国内情勢等を踏まえれば、極めて謙抑的に、党内議論をさらに積み重ねるという前提に立っての採決姿勢であるということもちょっとこの場で公に明らかにさせていただきたいと思います。
その上で、個別に、相手がトルコであり、またUAEでありますから、具体的に、トルコに関して、日本と同様、大変地震の頻発する国であり、なおかつ、最近は特に政情不安も言われました。さまざまな騒乱や、場合によってはテロといったことに対する緊張度が比較的高いということも想定する必要があると思いますが、事トルコとの関係においてこの点をどう評価されたか、具体的にお述べいただきたいと思います。
○上村政府参考人 お答え申し上げます。
まず、地震につきましての事実関係でありますが、トルコの首相府の災害緊急事態管理庁の発表によりますと、トルコ国内を五つのカテゴリーに分けて危険を分類しております。そのうち、シノップ地域の黒海沿岸、まさに今回、原子力発電所の建設がトルコ政府によって計画されている地域につきましては、危険度の低い方から二番目に属するという報告が行われております。
また、地震の規模でありますけれども、マグニチュード五というのが震央付近で建物に被害が出ると言われておりますが、同じくトルコの災害緊急事態管理庁の資料によりますと、シノップ及びその周辺地域で、一九〇〇年から今日まで、マグニチュード五以上の地震は発生していないという発表がなされております。
また、津波につきましても、トルコの国立地震モニタリングセンターによる発表によりますと、シノップ地域の面する黒海沿岸で地震による津波が発生した記録はないということであります。
次に、政情につきまして、五つほど指標を挙げて御説明を申し上げます。
まず、一般犯罪でございますが、トルコの警察庁の公開資料はやや古うございますけれども、二〇〇六年の資料で、発生率は日本とほぼ同じというか、日本よりも低いぐらい、十万人当たり一千件程度。
テロにつきましては、二〇一二年、一昨年からトルコの中で一番テロの問題となっておりましたクルドの問題、北イラクを中心としますPKKとのテロとの闘いでありましたが、これも和平プロセスが一昨年より進んでおりまして、ここ最近はこのPKK起因のテロはございません。
三番目、確かに、極左の自爆テロは、昨年二月、アメリカの大使館を目がけて自爆テロがございました。一名の死者が残念ながら出ておりますけれども、それ以降、極左の自爆テロというものにつきましても起こっておりません。
四番目は、去年五月、六月からイスタンブールでデモが起こりまして、国内が騒乱とした時期がございました。これは、イスタンブールの市街開発計画をベースとする市民運動、環境運動がベースでありましたけれども、これも今は鎮静化をしております。
最後に、つい先月末でございますけれども、トルコで大きな地方選挙がございまして、その場でも、現在の与党であります公正発展党、AKPが支持率を上げておりまして、四六%の支持を受けている。
一応、事実関係として、トルコの治安情勢をそのように判断しております。
○小川委員 おっしゃるとおりです。るる詳細にわたって検証されるということは当然必要なプロセスだろうと思います。
しかし、そのことと、最後のお尋ねですが、国内でもそうでしたが、安全神話に陥ってはならない、これは誰しも共有することだろうと思います。先ほど、岡本委員の御指摘の中でも、国際的に輸出を考えていく部分についての安全確認、安全技術、あるいは安全規制といったようなことが空洞地帯になっている、これは大変重要な御指摘だと思います。
それから、もっと突っ込んでお聞きしますが、日本企業が海外において原子力発電所の建設にかかわり、あるいは、その後、場合によっては運用にもかかわるでしょう、さまざまな技術協力等を通して。そして、結果として、あってはならないこととはいえ、想定すべきだと思いますが、重大な事故、過酷な事態に立ち至った場合、日本企業、場合によっては日本政府、どういう責任を負うんですか、お答えいただきたいと思います。
〔原田(義)委員長代理退席、委員長着席〕
○北野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、我が国として原子力協力を行う際には、これまでも再々答弁がございますように、相手国の原子力安全のためにさまざまな協力をするということが大前提となることをまず申し上げたいと思います。
今委員からも御指摘がありましたように、万が一の事態ということを想定いたしまして、原子力発電施設において万が一原子力事故が起こった場合の責任ということにつきましては、企業の契約内容であるだとか、あるいは当該施設が所在する国の原子力損害賠償に関する国内法というものに照らして責任が判断されることになるというふうに考えております。
トルコの場合でございますけれども、トルコは原子力損害に関するパリ条約というものを締結しております。この条約におきましては、施設の運営者である原子力事業者というものへの責任集中、被害者が一体誰に対して訴えを提起するのかという意味での責任集中でございますけれども、これが定められているということでございます。トルコは今、この規定を踏まえまして、トルコ側として原子力損害賠償に関する法案を整備しているというところでございます。
したがいまして、我が国の企業が製造した原子炉などの原子力関連資機材が納入されたということが想定をされ、そして、トルコにおいて、そのような原子力発電所において万が一原子力事故が起こったというときには、被害者の責任は誰に対して提起をするかということについて言いますと、これは原子力事業者でありますところの事業会社が負うということでございますので、当該の資機材のメーカーである日本企業あるいは日本政府に対してそれが向けられるということには必ずしもならないということでございます。
○小川委員 建前として、そういうことなんだろうと思います。ただし、これは、おくればせながら、日本もこの原子力損害賠償に関する国際条約に加盟の準備を進めている、その事実も確認したいと思いますが、その理屈は国内における東電と同じ構造ですよね。電力事業者が一義的に責任を負うんだというたてつけ、建前になっています。しかし、事はそれで済まないのが万一の際の原子力災害です。
今、一通り表面的なことを御説明いただきましたが、事前に事務的な説明を受けた中では、物によっては、場合によっては、原子力事業者から製造責任者に対する求償契約、特約というものがあり得るというお話をお聞きしましたよ。これは、実態、どうなんですか。可能性はどうなんですか。
○北野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど私から答弁させていただきましたのは、万が一の原子力事故の場合、被害者の方がその被害についての提起を誰に行うか、そのような意味での責任集中ということでは、パリ条約、そして、トルコではパリ条約を踏まえた上で国内法の整備を行うであろうから、それは原子力事業者である事業者に向けられるということを申し上げました。
今委員から御指摘がありましたように、それでは、被害者から責任追及、被害についての提起を受けた原子力事業者がその先どうなるのかということについての点でございます。
パリ条約におきましては、契約によって明確に規定をされているような場合には、その規定する範囲内におきまして原子力事業者がメーカー等に対して求償を行う、そのようなことも認められておりまして、この点は今委員御指摘のとおりでございます。
トルコの原子力損害法というのは、先ほど申し上げましたように、現在、整備の途中であるということでございますので、トルコ側として、パリ条約の趣旨を踏まえた上で、国内の制度整備を行っていくということだろうと思います。
メーカーについての求償権ということにつきましては、先ほど申し上げましたように、契約がどのような形になるかというところによって決まってくるということでございますので、政府として予断することは差し控えたいと思いますけれども、今申し上げていることは、被害者の損害賠償は誰に向けられるかということとはまた別の次元のところでございまして、被害者からの損害賠償の提起ということにつきましては、先ほど申し上げた責任集中の制度となっているということでございます。
○小川委員 とにかく、これは重要な論点だと思うんですよね。政府として、民民の契約だから一定配慮します、あるいは立ち入りませんというのは、一般的にはそうでしょう。しかし、事原子力災害において、しかも安全神話に戻ることはできない、なおかつ国内事情を抱えているということからすれば、改めてそこに対する大変慎重な研究なり、場合によっては情報収集なり、行政指導なりということも当然視野には入るべきだと思います。
そのことをつけ加え、重ねてになりますが、平和利用それから核拡散抑止という観点から賛成をいたす予定ではありますけれども、実際の原発輸出に対してさまざまなおそれ、注意すべき点、論点が残るということに対しては、我が党として大いなる、さらなる研究を積み重ねさせていただくということをつけ加えさせていただきまして、質疑を終えたいと思います。
ありがとうございました。
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