民主党 衆議院議員 小川淳也
TOP事務所案内お問合わせリンク
ビデオメッセージ
小川淳也の国会での本格論戦
映像・報道他

映像生の声等新聞掲載等テレビ等書籍等ポスター

淳也ブログ 活動報告 応援のお願い小川 淳也へのネット献金はこちら 過去の活動報告
ケータイからもブログを ご覧
いただけます!
http://blog.m.livedoor.jp/junbo_blog/
ごあいさつプロフィール政策・理念トピックス会報誌

トップ衆議院TV

〜会議録(2013年11月6日 外務委員会)〜

○鈴木委員長  次に、小川淳也君。

○小川委員  民主党の小川淳也でございます。

 大臣初め三役の皆様には、大変な激務への御精励かと存じます。心より敬意を表したいと思います。

 ただいまの長島先輩の質疑をお聞きしながら、やはり極めて現実的な対処、専門的な対処が改めてこの外交政策に関しては重要だということを感じましたし、一方、高い理想を掲げて、そこに積極的にコミットしていくという姿勢も、日本国の価値を高めるという意味で極めて重要だというふうに感じながら、今お聞きをしておりました。

 非常に、安倍政権全体、調子いいと思います。私どもも学ぶべきところは多いというふうにつくづく最近感じています。

 しかし、与党三年三カ月の経験の中で、やはり現実とのすり合わせ、その苦悩、懊悩にほとんどのエネルギーがとられるということをつくづく感じましたし、一方、野党ですから、改めて筋道を立て、長期的な展望を持ち、理想論に立って議論をするということをもって、みずからを鍛え直したいという気持ちでおります。

 その意味で、大臣の所信演説に関連をして、少し胸をおかりしながら議論をさせていただきたいと思います。

 まず、大臣は、所信表明の中で、三本の外交政策の基本の柱を立てられました。日米同盟の強化、近隣諸国との協力関係、そして経済外交。この三本の柱、日米同盟は後ほどお聞きしたいと思いますが、非常に調子よいように見える安倍政権にとって最大のアキレス腱の一つが、この近隣諸国との関係ではないかというふうにお見受けしております。

 政権発足から間もなく一年でありますが、いまだに日中、日韓、首脳同士の対話が行われていない。私、改めて事務当局にお聞きしました。過去、第一次安倍政権からさかのぼって八内閣、ほとんど数カ月以内ですよね、日中、日韓の首脳会談が行われている。

 この状況を、大臣、どう受けとめていますか。どう責任を感じているか、今後どう取り組むか、それはなぜこのような事態に至っているのか、ちょっと基本的な所見をお伺いしたいと思います。

○岸田国務大臣  御指摘の三本柱のうちの近隣諸国との外交推進ですが、近隣諸国の中で、ロシアとは半年で四回首脳会談が行われる、また、ASEAN諸国とは、日・ASEAN四十周年というこの節目の年、来月には日・ASEAN特別首脳会談を東京で開催するなど、さまざまな動きがありますが、その中にあって、御指摘の日中、日韓、この二つの国の関係につきましては、首脳会談等対話が行われない、こういった状況が続いています。

 日中、日韓とも、我が国にとりまして大切な二国間関係のうちの二つでありますし、そして、こうした国々との関係を発展させる、安定させるということは、地域や国際社会にも大きな影響があるわけですから、我が国を含めて、中国も韓国も地域や国際社会に対して大きな責任を担っていると考えています。そういった中にあって、我が国としては、個別の問題があったとしても、二国間関係全体に影響を及ぼさないようにしっかりとコントロールしていかなければいけない、このように考えております。

 そういったことから、さまざまな具体的な課題あるいはさまざまな具体的なレベルにおいて対話の積み重ねは続けているところであります。しかし、やはり、高い政治のレベルでの対話、これが重要だということは強く感じております。首脳レベルあるいは外相レベルでの意思疎通が十分行われていないということ、首脳レベルにおいては全く行われていないということ、こういったことにつきましてはしっかりと受けとめて、そして、対話の実現に向けて努力をしていかなければならない、このように感じております。

 個別の問題があったとしても、個別の問題があるからこそ政治のレベルでの対話が重要だということ、こうしたことを我が国としても今後ともしっかり訴えていきたいと考えております。

○小川委員  まず、誠意ある御答弁をいただいたことには感謝申し上げたいと思いますが、大臣、同じく所信の中で、北朝鮮に関連をして、拉致の問題、核の問題、さまざまございますが、これは関係国との緊密な連携が鍵だと御自身が述べたんですね。

 そして、特に中国との関係ですが、現在大変厳しい状況だとお認めになった上で、今も答弁の中で触れられましたが、個別の問題があっても全体に影響を及ぼさない、こんなことは可能ですか。個別の問題とは何ですか。個別の問題が全体に影響を及ぼすんじゃないですか。いかがですか。

    〔委員長退席、原田(義)委員長代理着席〕

○岸田国務大臣  個別の問題があったとしても全体の関係に影響を及ぼさないということは、日中、日韓以外の二国間関係においては多く見られることだと思っています。

 ロシアとの間にも北方領土問題は存在いたしますが、首脳会談を半年で四回行う等、さまざまな意思疎通を図っております。

 ほかの国々においても、個別の問題、さまざまな問題が存在いたしますが、その二国間関係において、トップはしっかりと意思疎通を図り、そして議論をしていく、こういった関係はほかの国においてはたくさん見ることができる例ではないかと思っています。

○小川委員  大臣、お言葉ですが、今の御答弁は、私は、日本国の外務大臣として、もう少し見識を感じさせていただく答弁を期待していました。

 全体状況というのは個別の課題の積み上げですよ、積み重ねです。そして、ロシアとの関係は確かにいろいろと波はあると思いますが、根っこに北方領土問題が刺さっていることは間違いない。大変重要な、喉仏に刺さったとげですよ。こういう認識が前提になりませんと、むしろ個別の問題に対して正対する、正面から向き合うということを抜きにしては、全体の最適な関係づくりにはとても及ばないと思いますよ。

 大臣、具体的に御答弁がなかったので、ちょっと個別にこちらから指摘します。個別の問題とは尖閣問題と靖国参拝問題ではありませんか。

 二つお聞きします。

 きょう、官房副長官、お忙しい中、ありがとうございます。

 これは、自民党さんの掲げている、いや、私どもも人のことを言えた義理じゃない面もあるんですよ。やはり苦心しました、この尖閣問題は。そこから学んだこともあるし、反省すべきこともある。しかし、その上でお尋ねします。

 自民党さんの掲げている、尖閣への公務員の常駐の旗はおろさないんですか。これは引き続きそういうことなのか。

 もう一つ。靖国参拝に対して、岸田大臣は、どういう姿勢、どういう評価、外務大臣として、政治家として、日本国の国会議員として、どういうお立場をおとりになるのか。

 日中韓に最も深刻なとげとなっていると思われるこの二つの問題について、それぞれの立場から答弁を求めたいと思います。

    〔原田(義)委員長代理退席、委員長着席〕

○加藤内閣官房副長官  小川委員の御指摘のように、自民党のJ―ファイル二〇一三、総合政策集においても、尖閣諸島に関して、「島を守るための公務員の常駐や周辺漁業環境の整備や支援策を検討し、島及び海域の安定的な維持管理に努めます。」こういうことを書いているところであります。

 尖閣諸島及び周辺海域を安定的に維持管理するためのまさに具体的な方策については、さまざまな選択肢があるわけでありますけれども、今の公務員の常駐も含めて、実際にどういう状況の中でこれを検討していくのかという、このこと自体も非常に戦略的な観点から判断すべきもの、こういうふうに考えております。

 いずれにしても、御承知のように、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土でありますし、我が国はこれを有効に支配しております。また、海上保安庁におかれても二十四時間体制で対応しているところでありまして、今後とも、自国の領土、領海、領空を守るという、確固たる、断固たる決意を持ってこれに対処していきたい、こういうふうに考えております。

○岸田国務大臣  靖国参拝についてですが、まず、国の内外を問わず、国のためにとうとい命を犠牲にされた方々に対し、手を合わせ、そして御冥福をお祈りし、そして尊崇の念を表するということ、これは大変重要なことだと思っています。

 そして、靖国の参拝につきまして、閣僚の参拝につきましては、それぞれ私人の立場での行動だと認識をしております。そして、私自身は、安倍内閣の外務大臣として、適切に対応していきたいと考えております。

○小川委員  冒頭申し上げた、とにかく今は異常事態ですよ。内閣発足後、一年たとうとして、日中の首脳会談、外相会談すら行われていない。これは、せっかく三役の皆さんが控えておられますから、こういうとき、三役の皆さんはどう動くんですか。

 聞いたところ、この一年、日中関係で、局長会談も課長会談もないという。これは、三役の皆さん、御担当がどなたになるんですかね。せっかくですから、待機していただいているので、ちょっと考えを述べてください。

○三ッ矢副大臣  アジア大洋州地域を担当させていただいております三ッ矢でございます。

 先ほど大臣もお答え申し上げたとおり、やはり、日中、日韓というのは非常に重要な二国間関係でございます。それはもう論をまたないところでございますが、委員御指摘のとおり、安倍政権発足以来、首脳会談も行われていない。我々も非常に残念だというふうに思っております。

 ただ、これまで大臣からもるる答弁があったと思いますけれども、常に我々としては対話のドアはオープンにしておるということでございまして、それと、先ほど大臣がお答え申し上げましたが、個別の問題があっても全体に影響のないような関係を構築していきたい、この思いで、いろいろ問題はございますけれども、我々としては、この両国との関係が円滑に進むように、いろいろなレベルで努力を重ねていきたいなというふうに思っておるところでございます。

○小川委員  ありがとうございました。

 残念だと思っているということは、もう少し当事者意識を持った、責任を負った立場にある政府の幹部、外務省の幹部としての御発言をもう少し期待したいと思いますし、これは、閣僚そして総理が動けないときこそ、公式、非公式、いろいろな場はあると思いますよ、三役の主導的な御活躍をぜひ期待したい。あわせて要請申し上げたいと思います。

 それで、岸田大臣の御答弁の中で、靖国参拝は、閣僚の参拝が私人の立場だと理解しているとおっしゃった。まさにとげになっているのはそこじゃありませんか。彼らに、あるいは大臣もそうかもしれない、私人の立場として、公の行動ですよ、新聞記者もいるだろう、テレビカメラも回っているでしょう、そういうことがそもそも許されないんだという、自制のきいた、統制のきいた姿勢がそもそもあれば、問題はここまでこじれていないんじゃないかと私は思います。

 大臣にここまで申し上げる以上、私自身も、少し政治的な立場、一人の国会議員ですよ、野党の国会議員ではありますけれども、明らかにしたいと思います。

 私は、祖母の弟、大おじが海軍の航空隊におりました。現在、靖国神社そして遊就館に、遺影入りで、遺影を伴って祭っていただいております。そういう立場であります。ですから、心の中では常に手を合わせているつもりでありますし、広く言えば、遺族の一人としての敬けんな気持ちを持っております。

 しかし、もちろん個人的に、全く私服で、誰も知らないところで靖国神社に参拝したことはありますが、国会議員として、公にそうした行動をとったことはありませんし、とるつもりはありません。

 理由の一つは、仮にも外交問題に常に発展しているこの課題を刺激するその一因になりたくないから。理由のもう一つは、やはりA級戦犯の合祀ということそのものに対して、私なりに自分の中の決着がついていないからであります。

 岸田大臣に私はあえて期待したいから、こういうお尋ねをしました。

 週末、ちょっと縁がありまして、用事がありまして、香川県内の大平正芳記念館に足を運んだんですね。郷土の偉大な政治家としての先輩であります。私、選挙区はちょっと重ならないんですが、偉大な先輩であります。

 総理大臣でいらっしゃったころ、私はたしか記憶では小学生でした。ある意味では滑舌がいいとは決して言えない先輩でしたが、永田町に来てみると、非常に尊敬を集めている政治家の一人であるということを肌身に感じ、郷土の人間の一人として非常に誇りに思っております、これは党派を超えて。

 そして、その思想、これは経済政策、外交政策に具体的にあらわれる思想です。対外的にも寛容を旨とし、そして国内の多様性にも一定の尊重の姿勢をとうとび、そして軽軍備、経済重視、そして分配の適正化、公正な社会、大まかに勝手ながら定義すればそのようなイメージかと思いますが、その伝統、流れをくむ、いわゆる宏池会ですか、大臣は一定の思想信条をともにする方々を率いておられる立場にある。

 しかし、これはたまたまですが、この週末、十一月二日土曜日、朝日新聞の天声人語です。特定秘密保護法案、原発、改憲、金融緩和、経済、株等々、これは抜粋でありますが、「景気のいい安倍政権に自民党のリベラル派は蒸発してしまったかのようだ。」という評がある。一つの報道ですよ。一つの評価、一つの切り口。

 しかし、今笑っておられる方がいらっしゃるが、こういう空気なり皮膚感覚というのは、私は、多くの心ある国民、自民党を支持しておられる方々の中にもあると思うんですよね。

 それに対して、私は、岸田大臣は、外交問題の責任者であるという立場はもとよりでありますが、こうした流れをくむ政治家の大先輩として、主要な役割を政権内において果たすべきだと思うし、そして、先週、私は公明党の岡本委員の御質疑をお聞きしながら、集団的自衛権の行使に対するやや抑制的な、慎重な立場からの御意見、そして国連改革に対してのさまざまな御提言、非常に共感するところ大だと思いながらお聞きをしておりました。こうした自民党内の一定の勢力、そして公明党さんの役割というのは、現在の安倍政権においては極めて重要だと思う、野党の立場ながら。

 その点に対して、岸田大臣、より外務大臣ということを、少しのりを越えるかもしれませんが、一人の責任ある政治家、大先輩として、この点に関する見識、ひとつ述べていただきたいと思います。

○岸田国務大臣  ただいまの委員の御質問の中で、大平総理あるいは宏池会について触れていただきました。

 私自身、こうした諸先輩方の系譜につながる、こうした立場にあることについては誇りに思っておりますし、こうした歴史を振り返りながら、政治信条等において大切な部分は今後もしっかり大切にしていきたい、このように思っています。

 そして、そうした思いを持ちながら、現実の政治に向き合うときにさまざまな課題があります。我が国の厳しい安全保障環境の中で、我が国の安全保障政策をどうするかという問題。さらには、他国との関係で歴史認識についてどう考えるかという問題。その歴史認識の中においても、歴史的な事実もあれば、国による歴史もあれば、歴史教育もあります。こうした歴史認識の問題があり、さらに言うと、憲法改正の問題もありますし、また民法改正等、こうしたさまざまな議論の中で、国民の自由とか権利、こういったものについてどう考えるか、こういった議論もあります。

 そういったさまざまな課題の中で、どういった立場にあっても、国民の生命財産を守る、この厳しい安全保障環境の中で我が国の安全保障政策としてやるべきことをやらなければならない、この点については違いはないと考えております。

 この部分につきましては、政治信条にかかわらず、冷静な認識、判断のもとに、しっかり対応して政策を進めていかなければいけないと外務大臣としては考えているところであります。

 他のさまざまな課題においては、それぞれ具体的な中身をしっかりと確認しながら、政治家としてしっかり判断をしていきたい、このように思っております。

○小川委員  ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。

 ただ、大臣、もっと私は苦悩する姿を見たいんですよね。

 冒頭申し上げたとおり、やはり、政権を担当するということは、目の前の課題に対処するというのが八割ですよ。それはやはり重かった。大変なことだと思います。しかし、やはりこれだけの御見識と御経歴を持った方ですから、今回の核使用に関する人道的な国連の意見表明ですか、それに対する指導力、私は評価する立場であります、そういったことにもあらわれているんでしょうけれども、もっともっと苦悩する姿を拝見したいなと希望として申し上げたいと思います。

 靖国に関連して、ちょっと日米関係をお聞きしたいんですが、先日、2プラス2を開催され、大臣のお立場からいえば、一定の成果につなげられたんだろうと思います。

 そのときに、私は興味深いと思って拝見しているのは、十月三日、ケリー国務長官とヘーゲル国防長官がそろって千鳥ケ淵の戦没者霊園に参拝をされ、献花をされたというのは、極めて私は注目しております、非常に示唆に富んだアメリカなりの行動だろうと。

 時間があればちょっとこの点もひとつ議論したいところですけれども、注目に値すると、日本政府としての受けとめ方、あるいは今後の日中、日韓。アメリカは日中、日韓の平和と安定を望んでいるんだと思いますよね。緊張は望んでいない。これに対して、別にアメリカのためではありませんが、日本政府としてどう対処していくかというときに、一つのヒントを投げかけてきていると私は理解し、解釈したいと思いますし、あえて触れておきたいと思います。

 そして、間もなくですか、キャロライン・ケネディ次期駐日大使が着任するというふうに聞いております。彼女は七八年に大臣のふるさとである広島を訪問している。そして、報道によればですけれども、そのときに大変心を揺さぶられた、そのこともあって、上院での公聴会で、日本ほど私が尽くしたいと思う国はないとまで明言されたそうであります。

 先ほどの核使用に関する意見表明にもかかわりますが、大臣に、ここもひとつ政治家としての見識をお聞きしたい。

 大臣は、広島での生まれ育ちではないとお聞きしていますが、実際に広島とのどういうかかわりをお持ちなのか。そして、今回、国連のステートメントに対する指導力を発揮されるに至った恐らく背景だと思いますが、核使用について、もっとずばり申し上げます、アメリカが終戦間際に原爆を投下した事実に対して、どう歴史的に評価しておられるか、この点をずばりお聞きしたいと思います。

○岸田国務大臣  幾つか御質問がありましたが、まず、私と広島のかかわりについて御質問があったと存じます。

 私の家は代々広島でありまして、広島にルーツがあるわけですが、私自身は、生まれたときに、私の父が公務員だったものですから、成人するまでは広島以外で過ごすことが多うございました。しかしその後、広島に拠点を戻し、そしてその後、広島で選挙に出るようになり、人生の半分以上は広島で生活をしております。家族も今、広島で生活をしております。

 もともとルーツがあり、私自身、本籍地でもあり、そして人生の半分以上を過ごし、家族が生活している場所、そういう意味で、ふるさとと感じておりますし、大変強い愛着を感じている土地でございます。

 そして、御質問としまして、核兵器廃絶、軍縮・不拡散に対する思いの中で、アメリカの原爆投下をどう評価するかということでありますが、核兵器の非人道性を考えた場合に、核兵器の使用ということは、これは許してはならないことであると私は認識をしております。

 ぜひ、未来に向けて核兵器のない世界という大きな目標を実現するために、現実的、漸進的に努力をしていきたい、このように思っております。

○小川委員  ありがとうございました。言い切っていただいて、大変歓迎申し上げたいと思います。

 平時においては人を殺すことは最も悪です。しかし、やはり戦争ですから、いかに人を殺し合うかを競争するのが戦争ですから、いろいろなことで異常事態が発生するのはそうだと思います。しかし、そこにあってもなお、大臣がおっしゃったとおり、私も、これだけ無差別に大量破壊をもたらし、そして多大な犠牲を強いる、後々の後遺症たるやもう筆舌に尽くしがたい、これはやはり私は、戦時においてなお許されない行為だ、本当にそう思います。断言すべきだし、明言すべきだ。

 アメリカも、時間はかかるでしょうが、一定、ケネディ大使の着任、そして、これも報道ですけれども、オバマ大統領の広島訪問なども検討されているというふうに報じられております。こういうことに対しては、ぜひ日本政府として期待感を表明すべきだと思いますし、大臣の方からも、ぜひ広島に一度来てくれ、実情あるいは歴史を見てほしいという態度で臨まれるのが一番大臣ならではの、大臣をおいてほかにはそれをできないというぐらい大変大きな重い使命ではないかと思いますので、提言申し上げたいと思います。

 その日米関係です。もう残念ながら、ちょっと時間の経過により、また次回以降申し上げたいと思いますが、私は、ガイドラインの見直し、そして、大臣の所信で日米関係は一番に出てくるんですが、軍事面のことしか触れていないのはちょっと残念だなと思っています。同盟強化なり、米軍再編なり、軍事面のことにしか触れていない。これは、日米関係全般をごらんになる立場からすれば、非常に残念だというふうに感じておりますが、私の問題意識は、ちょっとまた時間を改めて詳細をさせてください。

 この間、債務の上限引き上げをめぐる問題で、危うく世界を混乱に陥れかねない大変な事態を招きました。辛うじて一時的には場をしのいだようでありますが、世界的に大変なリスクであった、アメリカ発のリスクであったというふうに感じます。

 そして、シリア情勢ですが、これは、大臣、どう評価されているか私もお聞きしたいところなんです。まず拳を振り上げたわけですね。当然、シリアのアサド政権の化学兵器の使用というのは許されないと思います。しかし、それに対して攻撃を示唆し、拳を振り上げた。

 しかし、イギリス議会の否決により、最大の同盟国であるイギリスが事実上撤退し、その後、オバマ大統領は議会に諮ると言い出した。そして、議会での可決、通過の見通しを持てない状況の中で、もちろん鋭意努力はされたんだと思いますが、ロシアから助け船、事実上の助け船だと思いますが、それが出され、平和裏の中に、国際的な管理のもとで、このシリア問題から、解決に導くような、まだこれは途上だと思いますけれども、そういう道筋に流れた。

 これは、結論から言うと、平和裏のうちに解決を目指した国際社会の姿は正しいと思います。大臣も歓迎のステートメントを発行しておられますね。しかし、事アメリカの威信という意味でいうと、一旦振り上げた拳をこういう形で振りおろしたこと、振りおろさざるを得なかったことについては、一定程度傷つけた、それは国内外ともにです。私は、このシリア問題をそういうふうに受けとめています。

 そして、もう一つ深刻だと思うのは、メルケル首相を初めとした同盟国を含めた各国に対する盗聴疑惑。あるいは、電子メールやインターネット接続を含めれば、海底ケーブルに接続していると言われていますから、もうほぼ全部筒抜けというふうに思う必要があるんじゃないかと思います。

 この点、きょうは重ねて加藤副長官にお尋ねしますが、十月二十四日の菅官房長官の会見の中で、日本に対する盗聴は心配していない、安倍総理の携帯電話は大丈夫だというふうに答弁されたようであります。この事実関係と、それはどうやって確認したのか、あるいは確認する必要があるのかないのか。私は、九九・九%そういう可能性のもとに置かれているという前提を置く必要があると思う。それを、なぜ容易に心配ありませんと言い切るのか。アメリカに確認したのかどうか、その点ちょっとお聞きします。

○加藤内閣官房副長官  二十四日の記者会見で、記者の方から、安倍総理の携帯電話は大丈夫ですかと聞かれたのに対して、菅官房長官から、全く問題ないと思っています、こういうふうにお答えをしたところであります。

 米国の国家安全保障局、いわゆるNSAによる通信記録の収集問題については、これまでも日米間でいろいろ意思疎通を図ってきておりますし、また、今回の一連のさまざまな報道等の状況も踏まえて、さらに一層そのコミュニケーションを図っているところでございます。

 また、我が国において、常日ごろ、総理の携帯電話も含めて、情報保全については対策に万全を期しているところでありまして、そうした我が国における情報保全体制、また米国との意思疎通、具体的にどこがどうかということは、事柄の性質上、申し上げることができませんけれども、そうしたことを踏まえて菅官房長官が記者会見でそのような話をされた、こういうことでございます。

○小川委員  これは加藤副長官もお気をつけになるべきだと思います。気をつけるといっても限界がありますけれどもね、こればかりは。

 岸田大臣もそうだと思いますよ。お聞きしたところ、私用携帯電話と公務用携帯電話と二つを併用しておられるというふうに事務的にお聞きしました。それにどういう安全措置が講じられているのかは機密上言えないということでありました。それは是といたしますが、少なくともこれはアメリカに確認するとか、同盟国に対して、こういうことは大変信頼を裏切る行為だし、失礼だ、私どもの国益を害する行為だとはっきり言える日本じゃないとだめだと思いますよ。

 つまり、申し上げたいのはこういうことなんです。債務の上限問題というアメリカの財政問題、そして、シリア情勢に対する姿勢の変遷という外交、軍事姿勢の問題、プレゼンスの問題、そして情報統制、情報収集・管理の問題、いずれも、かつては世界において圧倒的なパワーだと思われたアメリカが、各方面によって、少しほころびといいますか、少し陰りといいますか、リスクを抱えつつあることを世界に対して示す大変大きな転機を迎える潜在的な可能性がある。私は、これらの一連の事件をそういうふうに受けとめています。

 そこで、もうちょっと事実に即して問題提起したいんですが、いわゆる学術上、パクス・アメリカーナ、第一次大戦後だと思います。今ちょうど、第一次大戦の終結から百年です。その前にはパクス・ブリタニカと言われる時代がありました。大英帝国の覇権の時代。安定の時代。これも、十九世紀初頭から中盤、二十世紀初頭にかけてと言われていますから、最長で見て百年です。

 アメリカの経済力、GDPが世界に占める割合なんですが、六〇年代は、ほぼ四割、世界のGDPの四割がアメリカでした。現在、それは二割まで低下しています。日本のGDPも、バブル期前後には世界の二割を占めていました。現在、一割を切り、七、八%にまで低下しています。

 そして、アメリカの世界に占める経済規模のウエートが半減した、この傾向は、恐らくこれからも変わらない。日本の低下傾向もこれからも変わりません。日本の推計によれば、世界のGDPの、最盛期は二割、やがて二、三%になるということが想定されています。恐らくアメリカもそうでしょう。二、三%とは言いません。しかし、かつて四割、現在二割、やがて一割前後というようなこともあり得る。

 けさの報道で、ヘーゲル国防長官は、アメリカの世界における経済的、軍事的プレゼンスを維持することには一定の限界が見えつつあるということを、これも初めてだと思いますよ、公に表明された。

 となると、きょうは残念ながら時間の問題で、中は立ち入りません。機会を改めてさせていただきます。大臣の目指しておられる日米ガイドラインの改定作業、そして積極的平和主義の実践のあり方、もっと言えば、日米同盟における地位協定、私は米独協定に大変興味がある。そして、ホスト・ネーション・サポート、いわゆる従来で言う思いやり予算も、ドイツ政府がどうしているかに大変興味がある。しかし、事務的に外務省に聞いても、知らないと言う。研究させるべきだと思いますよ、同じ敗戦国として。そして、加えて、もちろん沖縄の基地負担の軽減。

 こうした課題に、今申し上げたような世界的なベクトル、スペクトルの中でどう組み立てていくかを考えなければならない時期に差しかかっている。そのことは、とりもなおさず、日中、日韓、朝鮮半島情勢を含めて、どう自前で平和裏のうちに友好で安定的な関係を築けるかにかかってくるという歴史観のもとに置く必要があると思う。

 それを指摘し、最後に、きょう、あえて国土交通省からお越しいただきました。私は日米関係について三つ指摘しました。地位協定、そして思いやり予算、沖縄の負担軽減、そして最後に四つ目、私は、横田の空域管制を一つ大きな課題だというふうに認識しています。

 これだけ首都圏近郊の、新潟から三浦半島、伊豆半島に至る巨大な空域を外国軍隊が管制しているという例は、事務的に聞いても、わかりませんという答えでしたが、恐らくないと思う。ドイツにおいても、冷戦終結後、ほとんどの空域、全ての空域が返還されていると聞きます。猪瀬知事、また石原前知事は、横田の軍民共用化を一つの都としての希望としておっしゃっている。こういうこともある。

 私は高松ですから、大臣も広島からの往復のときよく経験されると思いますが、大幅に南回りで、伊豆大島上空から房総半島を大幅に旋回し、羽田に向かいますよね。これは恐らく数分のロスだと思います。しかし、時間的あるいは燃料コストはばかにならない、これだけの便数が飛んでいますから。

 私は、嘉手納の空域返還が二十二年ですか、実現した、これに引き続いて横田の空域返還も、ぜひ返還に向けて積極的に取り組んでいただくべきだと思いますが、この点、せっかくお越しいただいたので、国交省の政務官からお聞きをして、質問を終わりたいと思います。

○坂井大臣政務官  横田の空域に関しましては、まず、平成十八年十月に、削減で日米間で合意をしておりまして、それに基づいて、平成二十年九月から、削減空域の管制権限が日本側に一部移管をされております。そのことによりまして、羽田空港の出発機に対する管制容量の拡大と飛行経路の短縮化が図られてはおります。

 その結果、来年、平成二十六年度中に、一応七十五万回ということで、成田、羽田の発着量ですけれども、これを実現するために必要な当面の交通容量は処理することができるようになったというのが今までの現状でございまして、その現状を踏まえ、七十五万回以上、この羽田空港の容量拡大を図るためには、横田空域を新たに通過する航空路の設定を検討するということが当然必要になってきまして、しかし、そこには、羽田空港の出発機と到着機相互間及び横田空域内の横田、入間等の基地を発着する航空機等の安全確保、並びに、安全確保だけではなく環境問題等、技術的課題への対応が必要と考えております。

 米軍が管制業務をしておりますこの空域の返還に関しては、従来より、日米合同委員会民間航空分科委員会において要請をしておりますので、こういう状況を鑑みながら、引き続き要請を続けてまいります。

 また、技術的問題に関しましても専門家で委員会を立ち上げまして、一方では要請をしながら、一方では拡大に必要な技術的課題は年度中に結論を出すようにということで、今お願いをしているところでございます。

○小川委員  ぜひ積極的な取り組みをお願いし、最後に、重ねて岸田大臣に、自民党リベラル派の支柱としての積極的な御貢献、御活躍を要請、祈念申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

▲このページのTOPへ

香川事務所 〒761-8072 高松市三条町315-3 TEL:087-815-1187 FAX:087-815-1189
国会事務所 〒100-8982 東京都千代田区永田町2-1-2 衆議院 第二議員会館1005号 TEL:03-3508-7621 FAX:03-3508-3251