民主党 衆議院議員 小川淳也
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〜会議録(2013年6月19日 文部科学委員会)〜

○松野委員長  次に、小川淳也君。

○小川委員  民主党の小川淳也でございます。

 過去も含めて、本当に数多くの犠牲の上に成り立った大変大事な法案だと思いますし、これに最前線で協議に当たられた先生方に心より敬意を表し、質問を行わせていただきたいと思います。

 ちょっと、各論も大事なんですけれども、限られた時間の中で本質論を聞かせてください。

 極めて誰も反対しないであろうと思われるこの法案なんですが、意外とお便りがたくさん来ていますよね、それぞれの先生方の中に。私、これは、いろいろ背景なり立場があってのことだと思いますので、全部が全部とは思いませんが、こういうお便りがあります。いじめは、禁止したり懲戒したり、法律でなくなることはありません、そういうお便りがある。

 こういうことに対してどう応えるか、私なりに、質疑に立つに当たって自問自答したわけですが、少し提出者とそれから大臣の御見識を聞かせてください。このいじめの問題の本質をどのように捉まえておられるか。

 当委員会で、かつて、今国会中に問題になった幾つかの事案があります。例えば、体罰、そしてパワーハラスメントを含めた暴力と、いじめの問題は同じですか、違いますか。

○笠議員  今、小川委員の方から御指摘ありましたように、いじめというものがこの法案だけでなくなるとは私も思っておりません。しかしながら、やはり、大津の事件を初めとしてこれまでも、いじめが原因で子供がみずから命を絶つ、このことだけは何とか防いでいかなきゃならない、あるいはなくしていかなきゃならない。そういう、各党みんな、この委員の皆様方も同じような思いで今審議に立っておられるというふうに思います。

 それで、今、いじめと体罰あるいは暴力は同じなのか違うのか。私どもは、これは違うということでこの法案については整理をさせていただいております。

 本法案については、第二条第一項において、いじめを、「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」と定義をし、本法案の射程をいわば子供の間の行為に限定することとしております。もちろん、大人の中でもいじめはあるわけでございますけれども、少なくとも本法案の中では、子供の間のということに限定をしているわけでございます。

 お尋ねのあった暴力については、それが一定の人間関係のある子供の間の行為であれば、およそ、暴力を受けた児童等は心身の苦痛を感じると考えられることから、いじめの定義に含まれるものと考えられます。

 一方、体罰については、学校教育法十一条において「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」というふうに定められているように、子供の間の問題ではなく、学校でいえば、むしろ先生と子供の間の問題であると考えられます。いじめとの違いということでいえば、行う主体の違いということになるのではないかというふうに思っております。

○下村国務大臣  今、いじめ、体罰、暴力については、笠さんからお答えがありましたし、そのとおりであるということで、重複は避けたいと思います。

 確かに、法律ができることによって根絶するわけではありませんが、しかし、一定の抑止力にはなるというふうに思いますし、文部科学省の全国の教育委員会を通じた昨年半年間の調査の中でも、十五万件いじめに遭っているという数字が上がっている中で、現実問題として、今いじめに遭っている被害者、加害者、傍観者も含めて、この推進法をつくることによってより早く関係機関や関係者が対応する、そのことによって一人でも多くの子供たちを救済し、あるいは抑止する、そういう効果があるというふうに期待をしております。

○小川委員  ありがとうございました。

 主体間の関係で整理をいただいたことに、大変勉強にもなりますし、一定程度の評価といいますか、それを申し上げたいと思います。

 これは、振り返りますと、私自身も加害者になった、あるいはなり得た、逆に被害者になり得たことは多々あった、自分自身もそう思います。そして、一人の親として、学校に子供を通わせる身でいる生身の人間として、常にそういう事態に、子供が被害者にもなってほしくない、ましてや加害者になってほしくもない、そういう不安、心配を常に抱えながらである。

 それを考えれば考えるほどなんですが、この問題の深刻さ、厄介さは、まさに笠提出者がお答えになったとおり、大人社会にも明確にあり得る問題。歴史上もあり得た、政治的にもあり得た。さまざまな人種差別、民族差別を含めて、人間社会の抱えているある種の病理現象。そして、これが、社会性が未熟なために、子供社会で一たび起きたときは、極めて残忍性、残酷性を高めかねない。しかし、大人社会にも、同様かあるいはそれ以上の危険性を持った世界の話だ。

 その意味で、暴力は明らかに反社会的行為です。そして、体罰は、もちろんその許容限度というのはどんどん狭くなるべきだと思いますが、しかし、教育的指導という社会的行為の中で概念されている。しかし、このいじめというのは、社会の外ではもちろんあり得ない。しかし、内なるものであって、公認されていない、黙認されがちであり、深く潜行して存在しがちである。人間の社会性の病理であり、社会性の裏返しであるというところが極めて厄介だ。

 この法案提出に当たって、あるいは成立させる私たちの、この大人社会の見識なり責任意識、深い自問自答、自覚、自制がなければ、この法案の提出そのものがそらぞらしく感じられる。そのことを冒頭に少し押さえさせていただきたいと思います。

 そして、限られた時間ですので、ちょっと、この間の与野党協議に極めて高い敬意を払いつつでありますが、その与野党の協議に性格の違いがよくあらわれたと私自身認識しておりますのが、九条、保護者の責務についてであります。

 原案は、与党案は、保護者は、子の教育について一義的責任を有する、そして、いじめを行わないよう、規範意識を養う、その他の必要な指導を行うと書いてある。むしろ当然のことかもしれない。しかし、与野党協議の結果として、「指導を行う」から「指導を行うよう努める」というふうに規定が改められた、緩められた、この理由。

 同様に、第四項に、第一項の規定は、家庭教育の自主性の尊重を侵すものではない、これに変更を来すものではないということを改めて明記している。この趣旨、あるいは対立点がなぜ生じたのか。

 この点、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

○笠議員  対立点かどうかは別といたしまして、これが大いに議論になったことは間違いありません。

 私も民主党の提案者として、保護者が子の教育について第一義的責任を有すること、あるいは、児童等の規範意識、これを養うことがいじめの防止について有効であるということを否定するつもりは全くございませんし、そのことは必要なことだというふうに思っております。

 ただ、国や地方公共団体が家庭教育の自主性を尊重するという教育基本法第十条第二項の規定の趣旨を踏まえて、ちょうど、私ども、生活の党、社会民主党、三党で参議院に提出をさせていただいた三党案においては、与党案の第八条第一項のように、保護者に児童等の規範意識を養うための指導を行う責務があるということを、あえて法律の条文に位置づけることはいたしておりませんでした。

 また、与党案の保護者の責務の規定については、与野党の実務者協議の中でも、国や地方公共団体が家庭教育の自主性を尊重するという教育基本法第十条第二項との関係、あるいは、これに伴う、百六十四国会における当時の小坂文部科学大臣の、個々の家庭における具体的な教育内容について規定する法律を新たに設けることを意図したものではないという答弁等々の議論もございました。

 その上で、与野党の実務者による協議において、本法案第九条第一項の規定が、教育基本法第十条第一項の範囲内において、保護者がその保護する児童等に対して規範意識を養うための指導を行うよう努める責務があることを確認した規定であって、家庭教育の内容を具体的に規定したものではないということを確認したことでございます。

 これにより、家庭教育の自主性については尊重されているということが与野党の実務者の中では共通の理解になったわけでございますが、なお、そのことを入念的に、本法案第九条四項に、第一項の規定は、家庭教育の自主性が尊重されるべきことに変更を加えるものと解してはならないという規定を置いたということでございます。

○小川委員  これはいたずらに対立点と受けとめてはいけないのかもしれません。提出者御答弁のとおりですね。

 しかし、現政権あるいは与党の考え方に極めて親和的な部分と、私は、これはいい協議の結果、いい成案になったと考えている立場なんですが、私ども野党の立場で、時に相克を生じる部分ではないかというふうに、極めて特徴的だと思いました。

 というのも、伝統的な家族観、あるいは、そこに対する国家としての介在の余地の大小、それを比較的積極的に捉えられる現政権、与党・政府の考え方と、家族の変化とか多様性に対して寛容であり、そこに対する国家の介在を抑制的、慎重に考える立場。そして、多々いただいていたお便りも、恐らくその部分に対する懸念というのは一定程度あったというふうに理解しております。

 今回、大変いい協議が行われ、成案にまとまったわけですから、極めて評価をし、敬意を表する立場に変わりはございませんが、この点は、教育政策はもちろんのこと、今後の家庭政策、子供政策、そしてひいては憲法改正に至るまで、さまざまな課題に相克を生み得る部分でありますので、これはいたずらに、まさにおっしゃったとおり与野党の対立ということではなく、この価値観について、極めて健全に、積極的に、穏当に、冷静に議論を積み重ねていく必要があるということを指摘して、質疑を終わらせていただきたいと思います。

 本当にお疲れさまでございました。ありがとうございました。

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