民主党 衆議院議員 小川淳也
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〜会議録(2011年2月7日予算委員会)〜

○中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算、平成二十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。
  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川淳也君。

○小川委員 おはようございます。民主党の小川淳也でございます。

 今週も元気に参りたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  まず、昨日は、愛知県の選挙結果、既存の政党にとっては大変厳しいものでございました。一度謙虚に受けとめて、この国会審議にもしっかりと心して臨んでまいりたいと思います。
  玄葉大臣は大変お忙しいとお聞きしております。まず冒頭お聞きをいたします。
  我が党のマニフェストの修正について、どういう基本理念で、どういう基本的なお考えで臨まれるか、まず冒頭お聞きしたいと思います。

○玄葉国務大臣 マニフェストにつきましては、まずは、衆議院任期の折り返し地点がことしの九月に参ります。したがって、すべてにおける検証が必要だということでございます。

 同時に、社会保障分野につきましては与野党協議を呼びかけているわけでありますので、これらについては、特に社会保障分野は四月までに見直し作業を党の方で基本的には終えたい、そういう基本的な考え方、スケジュールで進んでいるところでございます。

○小川委員 私自身も、政策調査会の役員として、玄葉大臣を全力でお支えする立場にございます。それを前提に、これ以上ない公の場ですので、あえてお願い申し上げたい点が三点ございます。

 一つは、任期の折り返しに差しかかったということ自体は、国民から見れば余り関係がありません、私たちの党の都合でありまして、いずれにしても、私たちは、どう修正するにせよ、あのとき掲げたこのマニフェストの責任から逃れることはできません。四年間この責任を負い続けて政治に取り組んでいくという責任意識を、ぜひ政策調査会で共有したいということが一つ。
  そして、仮に修正するとすれば、当初に提案したとき以上の説明責任が求められる、そのことを一度心したい。このことが二つ。
  そして最後に手続でございますが、玄葉大臣、できるだけ全国へ政調の役員そして関係閣僚の皆さんが出かけていって、全国の皆さんの声を精いっぱい聞いて、オープンミーティング、タウンミーティングを精力的に開催した上でという手続を大事にしていただきたいと思いますが、その点、いかがですか。

○玄葉国務大臣 小川さんがおっしゃることはよくわかりますし、そのとおりだというふうに思います。

 したがって、マニフェストについてしっかり検証して、見直すべき点についてはしっかりと説明をしていく。しかも、党内でも、もっと言えば全国的に、参議院選挙のマニフェストの見直しのときもそうさせていただきましたけれども、それぞれの支部などでもしっかり議論をしていただく。そして、国民の皆さんとの対話というものをしていく。透明で丁寧なプロセスでやっていかないといけないのではないかというふうに考えておりますので、そういったことを心してマニフェストの検証作業に取り組んでいきたいというふうに考えております。

○小川委員 ありがとうございました。

 とにかく、その私たちの責任は大きいわけでございまして、それをしょったまま、現実に合わせて修正していくという大変厳しい作業にともに突き進んでまいりたいと思います。  加えて、ちょっと私、内容的にどうしても心配していることがございます。
  私どもは、精力的に、予算の組み替え、マニフェストの修正、財政再建、公務員の人件費改革、議員定数を含めた国会改革、それぞれいい議論が進んでいると思います。しかし、それを全体に統合して総合化する、全体として一つのトータルなパッケージにしていく力が依然不足している。そのことを強く感じておりまして、大臣、ちょっと私の持論、提案、少し、一分お聞きいただきたいと思います。
  私たちは、もともと予算を一割組み替えると主張してきました。しかし、そのとき、野党時代は、天下りだの特殊法人だの、国民生活にほとんど影響しないことをモグラたたきのようにやれば簡単に二十兆出てくるかのような幻想を振りまいた、このことは率直に謝罪すべきだと思います。しかし、今の財政状態、そして将来に向かうためには、この一割の歳出組み替えは、依然として放棄できない非常に大きな務めだと思います。
  その上で、一割組み替えれば二十兆円の財源が出てくる。半分の十兆円でマニフェストを修正した上で半分実行し、残りの十兆円で仮に借金を減らすことができれば、これで税収五十兆円時代にもし戻れば、一気にプライマリーバランスは黒字化する、それぐらいのインパクトがあります。
  これは国民生活に多大な影響を及ぼします。場合によっては、年金の高額部分のカット、失業給付の支給停止、子ども手当の大幅な所得制限、さまざまな国民生活に影響を及ぼしながらしかできない改革です。これを理解していただくために、国家機構の社員たる国家公務員の人件費の二割削減、これはそこへ位置づけるべきだと思います。国民生活に影響を与えるこの一割の歳出組み替えを理解いただくために、国家機構の社員たる人件費を二割削減する。
  そして、ここが大事なんですが、国家機構の社員たる公務員に二割の痛みを押しつけるなら、理解をいただくなら、国家の役員たる国会議員、閣僚、総理を含めて、最低三割、国会経費をトータルで削減していく取り組み、この全体の統合された取り組みを一括法で、パッケージとして国民に提示する。これぐらい力強い取り組みが必要だと思いますが、いかがですか。

○玄葉国務大臣 ただいまの小川さんの御指摘、ごもっともだというふうに思います。ですから、マニフェストを最終的に検証して見直しをする、どうしてもできないことが明確になったときには謝罪をする。そして同時に、全体パッケージとしてこれからどうするか。優先順位をどういうふうにつけていくのか。財源は、約束した財源をどの程度まで、どこまできちっと捻出をして何に具体的に使ったのか。

 税収は、もともと見積もっていた税収とどのくらい、実際九兆、最終的には、二・六兆プラスアルファで税収が上がりましたので、九兆マイナス二・六兆だと思いますが、そういう事情も含めて、すべてわかりやすく明らかにするということが大事だし、私は、社会保障と税の一体改革のときもそうでありますけれども、今おっしゃったように、景気の動向のみならず、政治家そして役人が身を切るということは絶対に必要不可欠なことであるというふうに考えております。

○小川委員 力強い御決意をお聞きしました。とにかく、玄葉大臣を全力でお支えし、国民の期待にこたえたい、その一念で頑張りたいと思います。

 大臣、お忙しいとお聞きしておりますので、どうぞ御退室ください。
  松本防災大臣、連日大変お疲れさまでございます。週末に一部避難勧告が解除されたとはいえ、大変緊迫した状態が続いているとお聞きしております。  そこで、地元で大変頑張っておられます皆吉衆議院議員、もちろん自由民主党には小里委員、本当に精力的に取り組んでおられると思います。こういう現場から上がってきた声を三つお伝えしますので、御理解をいただいた上で御答弁をいただきたい。
  一つは、灰を取り除く清掃車が決定的に不足しているということが上がってきております。二つ、ふもとの高原町の牛、種牛含めてでありますが、人は避難できるが牛を避難させる場所がない、こういう悩みが上がってきております。最後に、霧島連山は温泉の大変有名な場所でありますが、風評被害含めて観光客が減っている。こういったことを総合的に支援する必要があると思いますが、大臣、いかがですか。

○松本国務大臣 お答えいたします。

 二十六日の発災から二十九日に宮崎、鹿児島それぞれ行ってまいりました。今おっしゃるとおり、宮崎の都城の地域では本当に灰がすごいということで、牛の世話もできない、鶏の世話もできないという状況がございました。また、霧島の方では風評被害があって、なかなかそれはつらいんだという話も聞きました。小里委員も一緒に参られたところであります。  それを今一生懸命頑張っておりますけれども、いずれにしても、それぞれ、鹿児島の方では霧島、牧園、また宮崎では都城、高原町等々、きょう朝、チームを派遣いたしまして実情を聞いているところであります。そういう意味では、現場の声をしっかり酌み上げていきながらやってまいりたいと思います。
  きのう、五百十三世帯の避難が少し解除されたようでありますけれども、その辺の事情も含めて、これから取り組んでまいりたいというふうに思います。

○小川委員 松本大臣、もう一点お聞きします。

 過去の火山災害、噴火災害を見ますと、平成六年、雲仙・普賢岳の災害については激甚災害指定がなされました。平成十三年は北海道の有珠山、平成十五年には三宅島の噴火、以上激甚災害の指定をもって強力に支援しているケースがございます。
  今回の新燃岳については、いまだそこまでの被害状況にはないというふうにお聞きしておりますが、今後の噴火、さらには降雨による土石流、もちろんないのが一番いいわけですが、万一の事態に備えて、激甚災害指定を含めた強力な支援体制を想定しておく必要があろうかと思います。
  この点、中井予算委員長は、前防災担当大臣として、指定要件を緩和されるなど大変精力的なお取り組みをなされたというふうにお聞きをしております。この点も踏まえて、松本大臣、今の点、いかがですか。

○松本国務大臣 お答えいたします。

 今おっしゃったとおり、平成六年の雲仙岳、そして平成十三年の有珠山、平成十五年に三宅島の火山災害がまさに激甚指定ということになりました。
  しかし、これらは火砕流とか土石流が起こって道路や河川に大きな被害があって、その災害復旧事業費が指定基準を超えたために局地激甚災害に指定をされたところであります。けさチームを派遣いたしましたけれども、今まだそういう状況にはありません。
  今、降灰事業につきましては、活火山法第十一条で除去をしていくという支援法もありますし、災害復旧事業でやるという方法もあります。あらゆる手だてを講じてやっていきたいというふうに思っておりますし、いずれにしましても、被害状況をしっかり見ていきながら、これから各省庁連携をして一丸となって取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

○小川委員 重ねて連日のお取り組みに敬意を表しますと同時に、今後、あらゆる可能性を視野に置いて、想定してお取り組みをいただきたいと思います。

 松本大臣、お忙しいでしょうから、どうぞ御退室ください。ありがとうございました。
  続いて、政権交代なくしてはなかなか成らなかった幾つかの成果を個別にお聞きしたいと思います。 まず、海江田大臣にお尋ねします。
  今般、初めて本年度の予算案に離島向けのガソリン税負担の軽減対策が盛り込まれたとお聞きしておりますが、その趣旨について、意味についてお尋ねします。

○海江田国務大臣 小川委員にお答えをいたします。

 御指摘のように、離島におきましては流通コストなどが高いことから、ガソリンの小売価格が、今大体平均をしまして、リッター当たり二十円ぐらい高くなっております。
  このため、SS等が島民にガソリンを販売する際に、特に離島と本土の流通のコストの差分を補助するということで実質的に小売価格が下がるように支援策を創設したところであります。
  経産省としましては、これは石油情報センターが価格を調査しております。モニタリングをしております。このモニタリングを見ながら適切に行っていきたい、そのように考えております。

○小川委員 私ども、きょうは後ろにおります打越委員を含めて、離島議連としては、これは悲願でありました。離島政策PTとしても悲願でありました。

 その心なんですが、先ほど大臣御説明になられたとおり、手元に、去年十二月のデータです。  ガソリンが、全国平均はリッター当たり百三十円。しかし、一番高い小笠原、二百六十二円、リッター当たりですね。これは、もちろんさっきおっしゃった輸送コストで、今般お聞きしたところによりますと、人口規模や輸送形態に合わせて、一番小さくてリッター七円、次はリッター十円、最大はリッター十五円減税される。これは本当にありがたいことだと思います。
  本来、離島振興を担当しておられる大畠大臣、ぜひ、ここも申しわけありませんが、ちょっと持論を一分だけ。
  かつて、日本の離島振興策は、ほとんど公共事業の補助率のかさ上げでした。ピークは平成十二年の一千七百億。本年度予算ではわずか四百億ちょっとです。しかし、私は、これはやむを得ないと思います。これ以上離島に公共事業を供給しても、離島が栄えるとはとても思えない。
  これからヨーロッパの地中海の一部離島では、本土で二〇%の消費税を二%にし、大幅に航路助成を行う。国土が連続している、海も、航路も道路だ、これは離島の方がよく言う言葉です。私も、小豆島や直島、豊島、たくさんの離島を抱えていますが、こういうことで、要するに、公共事業中心から減税と航路助成へという大きな流れを九〇年代中盤からとっています。今回は画期的なその第一歩を踏み出した。
  そして、折しも、私自身、国土審議会離島振興分科会の分科会長として、再来年の離島振興法の十年ぶりの抜本改正に向けた議論をリードさせていただきたい。これには、武部先生、大変経験豊かなお立場から参画をいただいておりまして、ぜひとも党派を超えてお力添えいただきたい。
  大畠大臣、離島振興に責任を持たれる立場で、申し上げた、公共事業中心から減税と航路助成へ、この大きな価値観の転換についてどうお考えになるか、お感じになるか、お聞かせいただきたいと思います。

○大畠国務大臣 小川議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 離島にお住まいの方々の生活というものを考えて、真剣な提言をいただきました。
  先ほど海江田大臣の方から、ガソリンに関する今回の民主党政権としての一つの考え方が提示されたわけでありますが、私の方からは、離島航路あるいはそういうことに関して御報告を申し上げさせていただきたいと思います。
  確かに、小川議員からお話がありましたように、従来の離島対策というのは、離島振興法第七条による事業にかかわる支援というのがありました。海岸の高潮対策、侵食対策、あるいは道路、港湾、空港、それから水道、廃棄物対策、こういうものに対して内地と離島では補助率を変える、こういうことで支援をしてまいったところであります。これはこれとして大事なものだと私は思います。
  ただし、御指摘のように、これからどういう形で特に離島航路などの支援をしていくかということでありますけれども、平成二十二年度予算は地域公共交通機関にかかわる予算として二百十五億円でありましたが、九十億円ふやしまして三百五億円を計上しておりますし、また、離島航路助成にかかわる予算として、平成二十二年度当初予算は四十八億円でございましたが、これに十二億円を足して六十億円とさせていただきました。
  今後とも、議員から御指摘ありましたように、税制問題については、公平、透明、納得という税制の原則に照らしながらも、税全体の方向性について議論を行うことが必要だと思います。
  いずれにしても、国土交通省といたしましても、離島にお住まいの方々が安心して生活ができるように、離島振興施策について十分検討してまいりたいと考えているところであります。

○小川委員 力強い御答弁、ありがとうございました。

 ちなみに、日本はまさに海洋国家でありまして、島の数は六千八百余り、人が住んでいる島が四百余り、かつてそこに九十万人の人が暮らしていました。現在四十万人、半減しています。高齢化率は、全国平均が二〇%、離島に限って言えば三〇%。これは人ごとではありません。恐らく、日本全体がこれから先、今の離島か、それ以上に厳しい状況を迎える。そこで、一国二制度は不公平だとか何だとか言う人たちがいますが、同じ条件で生きろということが本当に公平なのか、こういった根本哲学の転換も含めて、ぜひこの離島行政、議論をさせていただきたいと思います。
  海江田大臣、どうぞ、お忙しいでしょうから。ありがとうございました。
  それでは、大畠大臣にもう一点お聞きします。  地域振興に関連して、現在、高速道路の料金体系の見直しを精力的に進めておられる。その中で一つ、本四架橋、私自身も選挙区が香川でございまして、二点お尋ねしたいと思います。
  ちなみに、今、高速道路、いろいろな割引制度がございますが、それを捨象して、一キロ走るのに全国の皆さんは平均で二十四円払っています。建設費が大きかった関門海峡、一キロ六十四円払っています。全長二十二キロにわたります最長のトンネル、中央道の恵那山トンネル、一キロ三十九円払っています。瀬戸大橋でありますが、全長十三キロ、料金はかつて六千円、現在四千円。現在ではじいても、架橋部分に限って言えば一キロ三百円払っているということがございます。
  そこで二点。一つは、きょうあす直ちには無理だと思いますが、四国四百万島民の希望からすれば、これは国家プロジェクトでつくった橋ですから、全国の皆さんと同じように、一キロ二十四円、距離に応じた一体的な料金を望んでいます。その気持ちを御理解いただけるかどうかが一つ。
  もう一つは、そうはいっても、料金をまけるために地元自治体に出資を頼み続けてきました。かつては、料金を引き下げるために必要な額の半分は地元自治体負担、最初の十年。次の十年は三分の一が地元負担。これからもう次の十年を議論する必要があります。私のお願いとしては、最初の十年が二分の一、次が三分の一であれば、今度は四分の一を含めて、国家プロジェクトですから、少しずつ地元負担は下げてやっていただきたい。
  この二点、大畠大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

○大畠国務大臣 本四架橋の料金等々について御質問をいただきました。

 現在、この本四高速を含めて、全体的な料金について検討しているところでありますが、御指摘のように、将来というものを考えながら料金制度というものは決めなければならないと思います。
  現在、高速道路の有効活用あるいは渋滞緩和、交通需要の調整、地域振興などの観点から、財政状況や地方の御指摘の地域の自治体の皆さんの御意見も踏まえて、できるだけ利用しやすいものとなるように、検討を進めているところであります。
  特に、御指摘の本四高速の料金割引につきましては、これまでに、地域の方々の御意見も賜りながら、調整会議を二回開催してきているところでありますが、まだ意見の一致を見ていないところであります。
  しかし、ここについては、御指摘を踏まえて真剣に話し合いをしておりますので、地方の求める高速道路料金全国一律制度を視野に入れつつ、御指摘の点を踏まえて、今後の割引のあり方についてしっかりと検討をしてまいりたいと考えているところであります。

○小川委員 ありがとうございました。現時点においては精いっぱいの御答弁をいただいたと思います。深く感謝を申し上げます。

 また同時に、フェリー対策も含めて、本当に課題は山積しています。あれもこれもという時代ではありませんが、冷静に議論をぜひさせていただきたいと思います。
  大畠大臣、どうぞ御退室をいただきますように。
  片山総務大臣、大変お待たせをいたしました。
  私自身、かつて自治省で勤務をさせていただいて、係長をしておりましたときに、大臣は隣の課の課長でいらっしゃいました。当時から大変毅然としておられ、非常にバランスのいい御判断をされ、また周囲に対してもすばらしい説得力がある。当時、ともに勤務しておりました部署は、今の日本たばこビル、JTビルの十三階でございまして、毎日深夜三時、四時までの勤務でしたから運動不足で、時たま私は階段で十三階まで上がっていました。だれにも会うことはないんですが、大臣は御記憶にないと思うんですが、大臣にだけはたまにすれ違っていたんですね、階段で。私は上る方で、大臣はおりる方なんですけれども。そういう意味では、非常に自己管理の行き届いたすばらしい先輩だなと。ちょっと物思いにふけっておられるなというのを、正直、隣の課で感じていたら、鳥取県知事選挙に出馬されたということで、非常に思い入れの深い先輩であります。
  前置きはおきまして、大臣、御着任されて半年たちました。御着任されて、政権交代なかりせば起きようのなかった変化、また進むはずのなかった改革が、各論です、個別です、新聞やテレビの一面トップを飾るような話ではない、しかし着実に進んでいることを感じられたんじゃないかと思います。  実例を、ちょっと二、三。
  まず、大臣もお詳しい税に関して言えば、地方税の非課税等特別措置、いわゆる租税特別措置は、かつて三百ありました。これは政策税制であると同時に、裏からいえば大変な不公平税制の象徴。私自身、政務官として仕事を一年させていただき、これを半減させるぞという目標を立て、初年度は三百のうち百個期限が来ましたから、半分に減らして五十にしました。次年度も五十に減らし、現在、総数は、かつて三百あったものが百九十六、二百を切った状態にあります。
  財政。交付税特会の借り入れ、事業仕分けでも問題になりました。隠れ借金と言われた三十三兆円の負債、毎年法律改正して、ことしはやはり返しません、来年以降返しますと、できもしない、ありもしない法律改正を繰り返してきた。野党時代、じくじたる思いでした。今回、初めて、わずか一千億です、両手を挙げて褒められたものじゃない、三十三兆円返すためには三百三十年かかる、しかし、それでも武士の一分です、借りたものは返す、一千億の償還に私もこだわりました。大臣の御決断で実現した。
  そして直轄負担金。香川県議会でも問題になりました。二千億あったものが、一兆円余りから二千億の維持管理費、去年、ことしで廃止しています。
  こういったもの総体をとらえられて、大臣、着任早々どうお感じになったか、また今後どう進めていかれるか、決意も含めてお聞きしたいと思います。

○片山国務大臣 小川議員にお答えをいたします。

 前段で昔のこともありましたけれども、私も階段でお会いしたのを覚えております。私はおりるだけではなくて上がりもしておりましたので、つけ加えておきます。
  政権交代がありまして、私はその一年後にこの内閣に加えていただくことになりましたけれども、以前、政権交代前の時代に、私も長い間役所でいわゆる官僚をやっておりました。そのときの経験とか記憶からいいますと、やはりこの政権交代によって随分変わったことは多いというのが実感であります。
  例えば、先般も議論になりましたけれども、一括交付金などというのは、従来でありましたら、本当にちょぼちょぼっとしたことはできたかもしれません。しかし、五千億なり、翌年の計画では一兆円というものが、いろいろこれから制度を進化させなければいけないということは当然でありますけれども、とりあえずそれぐらいの規模のものが自由度をぐんと増す、そういうことができるというのはやはり政権交代した成果だろうと私は率直に思います。
  それから、今、小川議員がおっしゃいました税制、地方税制でありますとかそれから地方交付税の問題にしましても、従来からやっていたことに新しい観点を加えて、これが大きく地域主権改革といいますか、自治体の自由度を増すとか、それから、今までの抱えていた課題に大きなメスを入れるという、その第一歩、着手をしたということは、これはやはり政権交代の一つの効果だろうと思います。
  税制でいいますと、先ほど小川議員がおっしゃったように、数多くの特例を、やはりこれはいろいろな観点から見直そうということでありまして、税は簡素、公平、中立という基本的な原則はありますけれども、簡素化という面でもそうでありますし、それから課税の公平という観点からも、租税特別措置、特例措置は見直さなきゃいけないということで、この二年間、今、これから地方税法の改正案を審議していただきますけれども、それを含めて、二年度間で、かなりやはり整理合理化できると思います。
  加えて私は、この際、税制についても、分権型の税制といいますか地域主権改革型の税制にしたいということで、これは一気にはできませんけれども、政府の税制調査会の中に一つの問題を提起いたしまして、これから議論をしたいと思っております。こんなことも政権交代のもとでできたのではないかと思います。

○小川委員 ありがとうございました。

 改めて国民の皆様にも申し上げたいわけですが、政権交代なかりせば決して起きようのなかった変化、決して実現しなかった成果は、個別具体に、各論で、小さな果実がたくさん生まれています。しかし、私たちは、それを統合し、総合化し、大きな力にすることに失敗している。そこはこれからの本当に大きな課題だと思いますが、ぜひ、果実が一方にあることも強調したいと思います。
  加えて、自治法の改正についてお伺いします。  議員定数の規制撤廃、これも名古屋で大きな変動がございますが、これは、ボランティア議員から少数精鋭のプロフェッショナルまで、いろいろな議員がいていいじゃないかということの意思表示でありますし、会期制を廃して通年制にする、国会に先んじた取り組みであります。それから、阿久根市の混乱、反省がございました。議会の招集権、議長に与えていいじゃないか。住民投票の導入、それから、副知事や副市長を含めた人事権の勝手な専決を許さない、こういったさまざまな改革が進められようとしています。大いにエールを送り、激励を申し上げたいと思いますが、二点だけちょっとお尋ねさせてください。
  まず、住民投票の対象は、今総務省でまとめておられる案、対象は公共事業だけでいいのか、これが一つ。
  もう一つは、長と議会は常に連携をしつつも牽制し合う関係にあるでしょう。そのとき、最も議会の干渉を受けてしかるべきなのは議案、条例案、その次は予算案、最も議会の干渉から守られるべきは恐らく人事権だと思います。今回、総務省の考えとしては、副市長や副知事、議会の議決がなければ任命が全くできないという案になっていますが、私の考えとしては、阿久根のように議会にかけもせず専決するというのは論外です、議決を前置した上で、否決をされればみずから任命できるというのが一番ほどよい改正案ではないかという気がしております。  この二点、片山大臣のお考えを簡潔にお答えいただきたいと思います。

○片山国務大臣 お答えをします。

 住民投票については、私はかねがね、我が国の間接民主制を基本とする地方自治制の中に、それを補完する意味で、例外的といいますか、特別の場合に住民が直接意思表明をする機会があってもいいのではないかというのが持論でありまして、これを今回実現したいと思っておりますが、考え方として、幅広く住民投票の対象にするということ、これも考え方としてはあると思いますけれども、余りこれまでやっていない政策なものですから、一歩一歩で小さく始めるということも一つの具体的なやり方ではないかと思って、今回は、大規模な公の施設を設置する、これの是非について住民投票制度を設けることができる、こういう仕組みを法案の中に盛り込んでおります。ぜひこれは御議論を法案審議の段階でやっていただければと思っております。
  それから、人事権の問題につきましては、これは小川議員のおっしゃったような意見もあると思います。長の仕事をだれに補助させるかということでありますから、長の思ったとおりの人にさせたいということがあると思いますが、トップは選挙で選び、それに準ずるような人、例えばアメリカでいいますと、大統領に対して副大統領、これは選挙のときに、大統領と副大統領はセットで、ランニングメイツということで、一緒に投票を受けるわけでありまして、そういう意味では、どこまでを公選職ないしそれに準じたことにするかという選択の問題だろうと思います。
  我が国では、副知事、副市長、こういう職種については、選挙にかえて議会の同意を得る、こういう仕組みにしているわけで、これは大いに政策をめぐって議論があってしかるべき課題だろうと思います。

○小川委員 ありがとうございました。その点はまたぜひ総務委員会で議論をさせていただきたいと思います。

 ただ、この間、地域主権改革、武正先生のもとで党でも議論をしてまいりましたが、一方で、自治体の側にも覚悟を求めたいと思うことが多々ございました。例えば、直轄負担金の業務委託費を廃止したときに、知事会の側は補助金についている事務費は残してくれと言ってきたんですね。私は、けしからぬと言いました。直轄負担金の中から事務費的なものを除くんだから、もらえる補助金からも事務費は除くべきだ、知事会を説得し直してきてくれと私は突き返しました。
  それから、今回、ハローワークの議論もさんざんいろいろとありました。世の中では後退感を持って受けとめられて、大変残念に思っていますが、しかし、雇用保険の事務を法定受託事務として移管するなら、生活保護同様に、地方負担の議論をしなければモラルハザードに対する心配は取りぬぐえません。自治事務として移管するならば、雇用保険財政主体そのものを、国保や介護保険同様、自治体に移管するのが筋であります。しかし、今回の言い方は、自治体の側でありますが、権限と財源は欲しい、責任は要らない、そう聞こえるようなものが多々ありました。こういうものとはむしろ、自治体の側に向かって闘いながら、この地域主権改革は進めていかなければならないと思います。
  そこで、きのうの愛知県もそうですが、大阪では大阪都構想、九州では九州行政機構、これは、私自身、将来の道州制に向けて、経済産業政策を一手にブロックでやっていくという意味においては非常に期待できる運動だと思っていますが、関西広域連合はまだしも、大阪都構想、私自身、ちょっと若干違和感を感じたりします。むしろ、大阪市が一層制で、その地域の都市行政を一手に担うということの方が自然じゃないかと。イギリスなんかそうです。バーミンガムのような巨大都市は一層制、その他の田舎は二層制。
  大臣、この点、お答えにくい面もあるかと思いますが、大阪都構想、率直にどう感じておられるか。

○片山国務大臣 大阪都構想、それから最近では中京都構想とか新潟都構想とか出ておりますけれども、これは、一つの大都市行政、それから大都市とそれを包含する広域行政体との関係をどう整理するかという問題提起だろうと思います。

 問題提起の一つは、大都市の区域では二重行政になっている、これをどうするかということだろうと思います。もともと、政令指定都市と言われるものがスタートしたときには特別市構想でありまして、昭和二十年代でありますけれども、そのときには、小川議員がおっしゃったように、府県から独立させてしまうという、大阪市は大阪府からは別のものになるんだ、こういう構想であったわけでありますが、これが当時の都府県の反対によって今のような政令指定都市構想になっているわけで、生い立ちから二重行政の面については少し問題を含んでいるということであります。
  これを解消するために、この際、大阪府と大阪市を合併させてしまおうというのが、一つの大阪都構想であります。これは今、東京都に原型があるわけでありますけれども、実は、東京都の都区ができたのは昭和十八年でありまして、このときは、いかに戦争をスムーズに遂行させるかという、戦時遂行体制の中でできたわけでありまして、いわば自治の否定なわけであります。これが現在の都の一番のオリジンでありまして、これが果たして本当に、民主主義とか地域主権改革とか地方自治とか、そういうときにいいのかどうかというのは、よくよく考える必要があるだろうと思います。
  それを考えれば、小川議員のおっしゃったように、これは法律改正はもちろん要りますけれども、府と市をもっと分離するという、それで市を、一層制がいいのか、その市の中でさらに基礎的自治体をある程度つくるという考え方も含めて、そういう応用も含めて、この際、改めて大都市の行政の仕組みというものを考えてみる必要があると私は思っております。

○小川委員 ありがとうございました。

 まだまだこれは先の長い議論が必要かと思います。
  あわせて、政権交代ならではのもう一つの成果、統一地方選挙が間もなくでありますが、やはり地方議会議員年金制度。四年前、この改正で二十年大丈夫だと当時の竹中総務大臣が明言をされ、四年後に破綻が明らかとなりました。そして、このままほっておけば、来年六月、資金は枯渇し、支給は滞ることになります。政府内でも、また党側でも精力的に議論をし、今回、廃止を前提に議論させていただくということになりました。これも一つの英断であり決断だったかと思います。
  この点、きょうは時間の関係で問題提起にとどめますが、自民党さんを初めとした野党からは、事実上、内々に、共済へ加盟させてはどうかといった提案もいただいておりますし、これも謙虚に耳を傾けたいと思っております。
  あわせて、万に一つ、三月、四月、いろいろなことが言われておりますが、関連法の成立がおくれた場合、総務省にも試算いただきましたが、間違いなく六月に資金ショートを起こすということでありまして、内容の議論と同時に、この問題一つをとっても、非常に緊迫した時期を迎えるということでございます。
  きょうは、もうお尋ねにかえて大臣の強力なリーダーシップをお願い申し上げまして、片山大臣への御質問を終わらせていただきます。どうぞ御退室をいただきますよう。
  それでは最後に、年金、財政問題、議論をさせていただきたいと思います。  細川大臣、大変お待たせして申しわけございません。
  ちょっと本題に入る前に、先ほどの離島振興と絡むんですが、委員長のお許しをいただいてお配りさせていただきました資料の一ページをごらんいただきたいんですが、これは済生丸という診療船でございまして、瀬戸内海海域をずっと巡回して、診療所や病院のない離島の患者さんへのニーズにこたえておられます。
  そこで、年金問題について多くの問題、悩みを抱えておられるお年寄りもいらっしゃるわけですが、このたび、瀬戸内の社会保険労務士会から、この済生丸、実はこれは民間の医療法人の船なんですが、厚労省の支援を得て運航しています、同乗をして、離島のお年寄りの年金相談に、ぜひそのニーズにこたえたいという要望がございます。具体的にもしそういう相談があったら、前向きに積極的に御相談に応じていただければありがたいんですが、細川大臣、いかがですか。

○細川国務大臣 島の人たちにとっては、なかなかそういうことを相談できる専門家もいないだろうというふうに思いますので、それはぜひ検討はしていきたいと思います。

 私としたら、そういう船で、年金だけではなくて法律相談とかいろいろな相談ができれば、島の人にとっては大変助かるのではないかというふうに思います。

○小川委員 温かい御答弁ありがとうございました。

 さて、細川大臣、本当は、三号被保険者の問題、これもちょっと議論させていただきたかったんですが、いろいろな兼ね合いでちょっとお尋ね申し上げたいと思います。  与謝野大臣、大変お待たせをして申しわけございません。
  野党時代から闊達に御議論をさせていただき、大臣の御見識には深く敬意を表する人間の一人でございます。あえて、いろいろな批判を覚悟の上で、この時点で火中のクリを拾われた。その識見なり胆力に対しても深く敬意を表したいと思います。
  これから四月にかけて、社会保障の抜本改革を案を取りまとめられるという大変困難な作業に取り組まれるということで、きょうこの場で言えることと言えないこと、いろいろあると思いますが、社会保障を議論するに当たって根本的な議論だけ押さえさせていただきたいと思いますので、現時点での与謝野大臣のお考えを、ちょっと骨太なところでお聞かせいただきたい。
  視点は三つです。これから先の年金は、賦課方式か積立方式か、これが一つ。もう一つは、税方式か保険料方式か、これが一つ。最後に、働き方のいかんにかかわらず一元化すべきか、それとも分立やむなしか。
  以上三点について、与謝野大臣の基本的な御認識、お考えをお聞きしたいと思います。

○与謝野国務大臣 まず第一点は、賦課方式を選択せざるを得ないと思います。

 第二点の税か保険料という議論は、実は、だれが負担するかという観点から考えますと、両方とも国民が負担をする。ですから、税か保険料かというのは、公平性とか制度の効率的な運用とか、別の観点から考えなきゃいけないことだと思っております。
  最後の一元論については、考え方としてはわかるところがありますが、一元化に伴うメリット、効能、こういうことが十分説明されていないうらみがあります。それからもう一つは、明らかな一元化したときの技術的な難しさというのがあります。それから、制度の移行期間がかなり時間がかかる、そういう問題があります。しかし、私は、それでも議論に値する考え方であると思っております。
  その議論に値するための最低条件は何かといいますと、社会保障制度の番号制が導入され、それが定着した時点では、一元化の議論は十分可能な議論として議論し得るのではないかと私個人は思っております。

○小川委員 大変御見識の高い御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 賦課方式か積立方式か。積立方式というのは、結局、個人口座と一緒ですから、給付は確定拠出にならざるを得ません。これは、ひいては民営化も含めた、民間でもできることでありまして、公的年金としてやっていく以上、当然、賦課方式ということであろうかと思います。  二点目の、税方式か保険料方式か。与謝野大臣、大変意味のある御答弁をいただいたと思いますが、これはだれが負担するかの問題だという御答弁をいただきました。
  ちょっと、お手元にお配りさせていただいた資料をごらんいただきたいんですが、資料の二ページでございます。だれが負担をし、あるいはだれに負担をさせ、どう給付を実現していくかと考えたときに、これは、とりもなおさず、ひとえに人口構成とかかわる、人口構造とかかわるというのが私自身の仮説であります。
  二ページは、現在、二〇一〇年の人口構造であります。ひょうたん形をしていますが、上の出っ張りはいわゆる団塊世代、下の出っ張りは団塊ジュニア世代、私どもの世代であります。これは現在の人口構成です。
  もう一枚おめくりをいただいて、資料の三ページでありますが、これは、今から四十年後、二〇五〇年前後の人口構成であります。まさに逆三角形に近い形になっている。だれに負担をさせるかという切り口で考えたときに、もはや現役世代に負担をさせるということがこの図を見て可能かどうかという着想を一番にすべきだろうということになります。
  参考までに、もう一枚おめくりいただきたいんですが、四ページ、これはまさに今の日本の社会保障制度がほぼその原型を完成させた一九六〇年代前半の人口構成でありまして、国民皆年金が始まった六一年ごろであります。まさにきれいな正三角形をしておりまして、当時、会社の定年は五十五歳、年金支給は五十五歳から、若年世代の保険料負担はわずかに三%という時代に今の制度はできたわけです。
  そして、これがこれから四十年かけて体の形が余りにも変わり行くこの日本で耐えられるかどうか。間違いなく、答えは耐えられないだと思います。
  もう一つ興味深い資料、五ページでありますが、日本が求めている二〇一〇年現在における社会保障構造の抜本改革に向けた道筋は、ここにすべて描かれていると私は思います。 この表をよく、注意深くごらんいただきたいんですが、先ほどごらんいただいた正三角形時代、一九六〇年、人口構成は先ほどごらんいただいた正三角形、高齢化率は五%、このとき、今の社会保障構造の原型ができました。そして、それから五十年、二〇一〇年、人口構成はひょうたん形に変形していますが、若年世代の負担を三%から最大で一八%まで引き上げることによって、何とかやりくりしてきたのがこの五十年でした。
  そして、ここから先、あえて四十年と示しています。二〇五〇年に、先ほどごらんいただいた人口構成、ピラミッドはきれいに逆三角形になったその二〇五〇年、人口構成は逆三角形、高齢化率は左の数字のとおり四〇%に到達し、なおかつそれが、二一〇〇年まで五十年間、ほぼそれで固定するということであります。
  そうすると、今、日本に求められている社会保障の抜本改革とは何か、もっと具体的に定義する必要がある。つまり、これは、二〇一〇年から二〇五〇年にかけて、高齢化率二〇%の時代から四〇%に到達するその激変期を、若年世代に負担を負わせてきた社会保障構造を、高齢世代から赤ん坊世代まで、全世代でできるだけ薄く広く負担を分かち合いながら、最低限必要な医療、年金、介護の費用を捻出していく、二〇五〇年をターゲットにした負担の構造改革だ、あるいは規模の構造改革だというふうに定義をして具体の議論をすべきだと思うわけですが、大臣、今の点、いかがですか。

○与謝野国務大臣 先生の議論を私なりに集約しますと、一つは持続可能性の問題、一つは世代間公平の問題、この二つに先生の議論は集約できると思いますが、まさにそのとおりであると思っております。

○小川委員 ありがとうございました。

 細川大臣もぜひ持ち帰って研究いただきたいんですが、今、自民党さんからありがたいお声がけをいただいたんですけれども、今、百年安心プランというのがありますね。あれは運用利回り四%で設定しています。国民年金に関して言えば、未納率を四割から二割に改善するという前提になっている。しかも、これは、ここが最大の問題なんですが、年金財政収支しか見ていないんですね。最大で基金は、積立金は五百兆まで膨らむ。しかも、この二〇五〇年にです。
  私、極論すれば、二〇五〇年に積立金は枯渇したっていいんです、その時点で消費税による負担にするものに変えることができれば。まさに人口構造の激変をにらみ、この四十年を集中改革期間と位置づけ、何のためにどういう正確な手だてを打つかという議論をすべき今局面にある。
  年金財政収支だけ考えると、細川大臣、こういう問題が起きます。掛金を納めない人には年金を払わなくていいから、年金財政は大丈夫だと言う人がいる。大間違いです。今、生活保護世帯は大量にふえていますが、半分は無年金のお年寄りです。
  つまり、負担の構造の仕方として、いかに全員を漏らさず、能力に応じて負担をしていただき、そしてターゲットは二〇五〇年。このときまでに積立金を取り崩したっていい。四十年で百二十兆取り崩すなら、毎年三兆取り崩せます。そういうことも含めて抜本的な議論をしてほしい、それが政権交代に対する大きな期待だったと思います。
  そして、与謝野大臣は、あらゆる批判を覚悟の上で、あえてその火中のクリを拾われた。最も本質的で、強くて、そして優しい、温かい議論をぜひお願いしたいと思います。  そして最後に、野田財務大臣、本当に連日そこにお座りになられて、質問が一つ来るか二つ来るか程度の中、本当に忍耐強く連日の御審議、お疲れさまでございます。
  大臣は、今回の予算、御自身で自己評価、自己採点、どの程度しておられるか。そして、私は正直、気になる借金の問題、これを考えれば、大臣の御苦心は多としながらも非常に課題の多い予算であることも事実だと思いますが、その点。そしてあわせて、率直に、この借金体質はあと何年持ちこたえられるか、お答えいただきたいと思います。

○野田国務大臣 答弁の機会をちょうだいしまして、ありがとうございます。

 予算の評価ですけれども、今回の九十二兆四千百十六億円は、いろいろな環境の中で私はベストの予算をつくったと思っています。三段構えの経済対策の一環としてのその特色と、それから、三・六兆円の安定財源を確保しながらマニフェストの主要事項を着実に実施していくということと、冒頭、地方の問題も触れられておりましたけれども、四年連続地方交付税交付金は増額になるし、地方一般財源総額も、今進行中の平成二十二年度が過去最大規模ですが、それに約一千億円プラスしており、一括交付金もつくったという意味で地方にも最大限配慮しているという意味、加えて、歳出の大枠そして国債発行額、当初の目標どおりクリアをしたという意味で、いろいろな条件の中ではベストのものをつくったというふうに思っております。
  その中でも、厳しい状況はもうあえて言うまでもないと思いますけれども、私どもが政権を引き継いだときがリーマン・ショックの直後であって、あのとき、決算ベースでいうと税収が四十兆に落ち込んで、そして国債発行を約五十三兆だったと思います。借金と税収との差が十四兆ぐらいあったと思います。平成二十二年度はその差を七兆にまで縮めました。二十三年度の予算については、それを三兆まで縮めてまいりましたけれども、いずれにしても、国債の方が税収より多いという異常事態が続いているというその厳しさは、常に認識していかなければいけないと思います。
  最後に、何年もつかというお話がございました。これは、持続可能な財政にしなければいけない、何年ももたなければいけない、そういう意味で財政運営戦略をまとめさせていただきましたので、着実にその道筋をたどっていきたいというふうに思います。

○小川委員 ありがとうございました。

 ちなみに、数字だけ御紹介したいと思いますが、現在、政府の負債総額、一千兆円を上回りました。家計にもたらされております貯蓄は一千四百兆余り。しかし、住宅ローンは四百兆ありますから、ネットで一千兆。
  そうすると、いろいろな仮説の立て方はあるでしょうが、ほぼ国家の負債と国民の資産が見合うところまで来ている。国内消化率九五%を高らかにうたう人たちもいますが、これは裏を返せば、国内の富の総量を負債は超えられないということの裏返しでもあります。そういう意味でも緊張感を持つ必要があります。
  最後に、与謝野大臣、先ほどの年金改革なんですが、粗い試算をしますと、今総額で約八十兆です、社会保障の給付費が。高齢化率が倍になれば、ざっと百五十兆から百六十。単純計算ですよ、人口の増減とか経済成長率はちょっと捨象します。そうすると、八十兆の負担増をどこかに求めなきゃいけない。
  消費税を二五%にしても五十兆しか出てきません。ということは、もっと具体的に言えば、二〇五〇年までに消費税を二五%にし、なおかつ社会保障給付費を二割減らす、これが今、日本に求められている社会保障構造改革の将来的なマクロの抜本的な姿だろうと思います。  このことも申し上げ、重ねてになりますが、民主党政権は本当に成果はたくさん上げています。上げていますが、大きなところ、本質的なところ、高いところでまだまだ課題が多い。閣僚の皆様の日々の激務、精励に本当に心から敬意を申し上げ、また、それを全力でお支えすることを改めてお誓い申し上げ、質疑を終わらせていただきます。
  ありがとうございました。

○中井委員長 これにて小川君の質疑は終了いたしました。

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