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〜会議録(5月21日総務委員会)〜
○赤松委員長 次に、小川淳也君。
○小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。
それでは、早速ですが、この臨時勧告を前提に質疑をさせていただきます。福田委員があらゆる論点を網羅していただきましたので、追い重ねになります点はお許しをいただきたいと思います。 まず、副大臣にお尋ねいたします。
きのう、与党の方で国会議員のボーナス二割削減ということが意思決定されたかのような報道がございますが、この事実関係と副大臣の評価をお聞きしたいと思います。
○倉田副大臣 私も新聞報道でのみ知っておるわけですが、それによりますれば、昨日、与党の国会改革プロジェクトチームにおいて、国家公務員の一般職の夏季ボーナスが約一割減額が決まったのに対して、特別職の国会議員にもこれは準用されるけれども、与党としては、景気悪化の中、一般職を上回る努力が必要だとのことで、今委員がおっしゃったような決定をしたと承知しております。
○小川(淳)委員 副大臣の評価をお聞きしています。
○倉田副大臣 国民と痛みを分かち合うという意味で、与党のチームがそのような方向で決めた、そういう評価をしております。
○小川(淳)委員 賛成ですか、反対ですか。
○倉田副大臣 私は、今、総務副大臣としての御答弁ですので、個人的な意見は申し上げるつもりはございませんが、与党の一員としては、やはり国民の人たちと痛みを分かち合うという共感は持っております。
○小川(淳)委員 精いっぱいの御答弁であろうかと思いますが、私は賛成であります。大いにやるべきだと思います。その前提に立ちませんと、今回のこの臨時勧告は議論にすら入れないと思います。
そこで、谷総裁、先ほどから大変信念に満ちた御答弁、ある種敬意の気持ちを持ちながらお聞きをしておりましたが、我々国会議員は別です、直接国民の皆様から選んでいただき、その職にあずかる人間は、恐らく最先端でこういう民間のいろいろな世情あるいは経済情勢の影響を受けるべきなんでしょう。しかし一方で、総裁が預かっておられるのは、永年社員として、勤労者として、労働者として働くことが予定されている国家公務員の処遇であります。その観点からいえば、総裁の信念はよくわかりました、信念はよくわかりましたが、もう少し合理的に、客観的に情勢を御説明いただく必要があろうかと思います。
きのうの報道、ことしの第一・四半期、GDPのマイナスが一五・二%、昨年の第四・四半期も一三%以上の下落ですから、確かに経済情勢はかつてない落ち込みだと思います。その臨時異例ということはよくわかりましたが、総裁、どの程度、何が臨時異例なんですか。なぜ過去にたった一度しか経験していない臨時勧告を、ことし、今回、今行わなければならない合理的な理由は何ですか。
○谷政府特別補佐人 若干先ほどの御答弁と重複するところがあるかもしれませんけれども、まず、本年三月十八日の民間春季賃金改定の集中回答日以降明らかになりました民間の夏季一時金の決定状況から見ますと、過去二十年以上にわたって見られないほどの大幅な前年比マイナスとなる傾向がうかがえました。そういう急速かつ大幅な一時金の減少というのは、それは異例の事態でございますので、これに対しては、その状況をできる限り精確にかつ早期に把握して対応措置を検討する必要があると考えまして、緊急の特別調査を実施したところでございます。
その結果によりますと、民間における本年の夏季一時金の妥結状況でございますけれども、対前年比で平均マイナス一三・二%という減少でございました。民間の夏季一時金と公務員における特別給に大きな乖離があることは適当ではなく、可能な限りその時々の民間の状況を公務員に反映することが望ましいということが一点。また、もう一つは、十二月期の特別給で一年分を精算しようとしますと、大きな影響が出ます可能性もあることを考えますと、やはり六月期の段階で何らかの抑制的な措置を講じておくことが望ましいと考えた次第でございます。
しかし、現時点で夏季一時金が決定しております民間従業員は、従業員数で見まして全体の約二割ということでございますので、今後変化があり得るわけでございますから、その全体状況を精確に把握、確認して、例年どおり必要な勧告を行うことができますようになりますまでの間の暫定的な措置として、六月期の期末手当、勤勉手当の支給月数の一部を、凍結という言葉は使いましたけれども、いわば保留をいたしまして、夏に精算をするといいますか、その扱いを決めるということが適当であると考えたわけでございます。
このマイナス一三・二%というのが異例だということについて、なぜかという御質問だと思いますけれども、厚労省の昨年、平成二十年の民間主要企業夏季一時金妥結状況という調査によりますと、過去二十年の夏季一時金の対前年比伸び率は、最も大きな年で、プラスについては、平成元年がプラス八・一%、平成二年がプラス八%。この当時は私どもとしても三%程度のベースアップの勧告をいたしておりますので、その分を差っ引きますと五%前後になる。大ざっぱに申しますと、そういう可能性が考えられるわけでございます。
それから、マイナスにつきましては、平成十一年でマイナス五・六五%、平成十四年でマイナス四・三%ということでございました。これはもちろん、同じ前提条件での調査の数字ではございませんので、この細かな数値そのものが直ちに私どもの参考になるわけではございませんけれども、しかし、いずれにしても、今回の民間の状況というものは、明らかに今までなかったような状況でございます。
基本的には、やはりその時々に民間の状況を反映することが最も適当なわけでございます。しかし、民間の状況は結果としてしかわからないわけでございますから、その措置をいたします時期とその内容を把握いたします必要な事実との関係で事後措置となることが多くなることはやむを得ないわけでございまして、そういう意味で大きな変化がない限り十二月期で調整する。しかし、このことは必ずしも最上の策ではないわけでございます、反映と精確さとを兼ね合わせた結果の判断でございます。
したがいまして、大きく変化いたします場合には、やはり何らかの特例的な措置を講ずることが必要ではないか、適当ではないかと考えた次第でございます。
○小川(淳)委員 そのマイナス一三%、これは、総裁、いつの時点で四月に調査するということを決断されたんですか。
○谷政府特別補佐人 三月十八日の集中回答日の結果が出ましたときでございましたから、その数日後ではなかったか。正確な日はちょっと今申し上げられませんけれども、少なくとも私はその段階で、人事院としての決定ではございませんが、その段階で私としては調査を行う必要があると考えました。
○小川(淳)委員 総裁は既に御答弁されましたが、過去の勧告を拝見いたしますと、平成十五年には〇・二五月分減額勧告。その前年の民間のボーナスの落ち込みがマイナス四・三%、中小企業に限って言えばマイナス八・七%。平成十一年には〇・三月分減額勧告。この前年は、御答弁されたとおり、民間ボーナスはマイナス五・六五%の減、中小に限ってはマイナス七・四%。
今回、〇・二月分の減額の凍結勧告ですから、この程度のことであれば十二月で吸収できたんでしょう、〇・二ぐらいであれば。こういう判断は働きませんでしたか。
○谷政府特別補佐人 最終的にどの程度になるかということは、調査をしてみた上でのことでございました。かなりのものになる可能性があるという判断をして調査をしたわけでございます。
それから、年間月数としてどの程度の月数を変更させるかということと、夏なら夏のボーナスの分だけでどれぐらい大きく減とするかということはあるわけでございまして、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、若干のものであれば年間で調整するということも許されると思うわけでございますが、基本的には、できる限り近接した時点で反映することが望ましいということでございます。
○小川(淳)委員 いや、過去に、平成十一年に〇・三月分、平成十五年に〇・二五月分をやっていますからね。そこで私は何回も申し上げますが、合理的な説明が必要でしょうと申し上げているんです。
ということは、こういうことでいいんですか、民間のボーナスがマイナス五%、六%、あるいは中小に限って言えば八%から九%近い落ち込みを過去に経験していますよ、今回は大企業を中心に、春闘ですから大企業中心でしょう、マイナス一三%、これは放置できない。中小のマイナス八%までは年間一括でできる。こういう御判断でいいんですか。二けたに乗ったら、これは人事院として捨ておけないという一つの前例を今回つくったということでいいんですか。
○谷政府特別補佐人 判断できる時期における民間状況がどの程度だったかというその時々の状況というのは、例えば、今回、三月の十八日の集中回答日にいきなり大きな変化が出てきた、そういうものがまとめて出てこないで年間の間で見られるという状況の変化はまた別にあろうかと思います、年間としての調整月数と夏季だけに限っての必要な調整月数。今回は三月十八日の状況を見まして、従来では考えられなかったような大きな変化があると認めましたので、そのような判断を行いました。
それからまた、今後のことでございますけれども、これは将来のことについて私は申し上げられませんが、ここで何%というものが出たから直ちに今後すべてそのパーセンテージで物事を決めていくというものではなくて、その時々の状況の判断と、そのときにそれを担当する人事官の考え方ということはあろうかと思います。
○小川(淳)委員 もっともらしい御答弁ですが、これはある程度予見可能性を持たさないとだめなんですよ、人事院の機能、役割からいって。ということは、二けたの落ち込みになったらこれは踏み込みますというぐらいの予見可能性は、私は持たせた方がいいと思いますよ。
関連してお尋ねします。 昭和四十九年、四半期でGDPが一〇%以上落ち込むというのは過去一回きりしかありません。この四十九年のオイルショック、このときにも臨時勧告を行われた。二回しかありませんよ、今回とこの四十九年。
総裁、これは、経済情勢なり賃金情勢なりどのように評価されているんですか、過去の四十九年と今回と。実質に踏み込んでどう評価されていますか。
○谷政府特別補佐人 私どもは、経済情勢そのものを分析してどう評価するという能力もございませんし、そういう立場ではございません。
ただ、四十九年との関係で申しますと、情勢適応の原則が、ある程度のときになりましたときには、精確さの事後措置よりもやはり適時の措置を講ずることの必要性というのは大きくなってくるだろうと思うわけでございまして、その際に、引き上げるときには臨時の勧告をするけれども引き下げるときにはしないということはおかしいわけでございまして、私は、引き上げるときの臨時の勧告もあるならば、引き下げるときの、ただ今回は引き下げではございませんで保留措置でございますけれども、そういう適時の対応措置ということも必要であろうと考えた次第でございます。
○小川(淳)委員 いや、総裁、経済情勢の観察、分析、これは踏み込まないと勧告そのものが説得力を持たないじゃないですか。
これは勧告の一ページ目に書かれているでしょう。ボーナスは、民間労使の妥結資料によると、製造業は前年比で大幅な減少、それ以外の一部産業ではほぼ前年並みとなると。業種分析されているじゃないですか。
この背景にある経済環境をどう把握されているんですかとお尋ねしているんです。
○谷政府特別補佐人 私どもは、しかし、この措置を決定いたしましたのは、それぞれの業界別、産業別に違う数字が出ておりますので、それを全従業員ベースに引き直すという形で、その異同といいますか、状況の変化を織り込んでおりますけれども、それがそれぞれの業界のどのような事情によってもたらされたものかということが直ちに勧告の内容に影響するものではないと考えております。
○小川(淳)委員 いや、だから説得力が薄いんじゃないですかと申し上げているんですよ。
昭和四十九年の第一・四半期の経済の落ち込みは、ほとんどは原油高に伴う内需です。今回、去年の第四・四半期は特にそうです、同じ一三%台の落ち込みですが、ほとんど外需です、輸出。恐らく、ことしの第一・四半期に関して言えば、国内の設備投資とか消費とか、内需関連が大分影響はしているんでしょう。しかし、基本的に、今回の景気の大幅な落ち込みは、もちろん去年の秋以降でありますが、世界的な景気後退の影響を受けた輸出の減がほとんどです、発端です。
だからこそ、勧告の一ページ目でそれに触れられているわけでしょう。製造業では大幅減、それ以外ではほぼ前年並み。確かに、各企業別に見れば、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、自動車産業は大体二〇%から三〇%の減。電力に至ってはプラスもあるじゃないですか。本来、こういう状況をつぶさに把握した上で臨時勧告という大変重い切り札を切られるべきだと思いますよ。こういう大変まだらな状況下でいきなり一割減という言い方は、私はやや乱暴じゃないかと思います。
福田委員も既に御指摘になられましたが、今回、そこの説得力を増す可能性があるのはこの四月の調査です。先ほど来、統計的に十分な数字だというような御答弁をされていますが、通常、一万一千社調査するんでしょう。今回、二千七百ですか。通常は、担当官の方が会社に出向かれて、直接状況を聴取されるんでしょう、事情をお聞きになられるんでしょう。今回は郵送だけとお聞きしましたよ。しかも、返ってきたのが三百だか四百だか。ほとんどの会社が決まっていないと言っている。
これは一部の状況だけで判断した、大変粗っぽい、乱暴な勧告ではありませんか。いかがですか。
○谷政府特別補佐人 三月十八日以降の状況を見まして調査をして、場合によっては何らかの措置を講ずる必要があると判断いたしました際に、やはり六月一日の基準日ということが念頭にございましたので、できる限り早急な調査を行う必要がある。しかし、その中でできる限り多くの調査対象を選択する必要があるという判断がございまして、そのぎりぎりのところで選んだわけでございます。
それから、今回、通信調査ということもそういう制約の中のことでございまして、文書あるいは一部電話の督促等も含めた調査でございますが、例年行います調査に比べますと調査事項が極めて限られているわけでございまして、現場に出かけていって台帳に当たって調査をするというような調査とは性格を異にしまして、昨年の支給額と今年の妥結額との比較という調査でございましたので、通信調査でもある程度正確な数字を把握することができると考えた次第でございます。
○小川(淳)委員 お聞きしたところによりますと、通常は五月から六月の中旬まで六週間かけて一万一千社。今回は、四月の七日から二十四日ですから、三週間かけて二千七百社。通常の調査の半分の期間で四分の一。しかも、郵便。
これは、その気になればもっとやれたんじゃありませんか。
○谷政府特別補佐人 今回は準備期間も調査期間も、先ほど申し上げましたように六月一日、それから、私どもが申し上げるのは大変僣越でございますけれども、国会における御検討の期間、これは私どもが勝手に考えるわけにはいきませんけれども、そういうことを考えますと、できる限り早期に結論を出すべきであるということで、私どもとしましては、ぎりぎりの調査をいたしました。
その際の調査の方法、内容について、できる限り精確かつ簡潔な調査を心がけた結果がこういうことになっているわけでございます。
○小川(淳)委員 いや、戦後二回しかない。伝家の宝刀を抜いたわけですから、より説得力を増す合理的な説明が必要ではないですかと先ほど来申し上げています。
急ぐ急ぐとおっしゃったって、三週間の期間はとられたんです。通常の調査期間が六週間。繰り返しになりますが、半分の期間があったわけですから、例年と同じ体制で臨んでも半分はできるはずだ。しかも、郵便。これは、その気になれば全部できたんじゃありませんか。お尋ねします。
○谷政府特別補佐人 例年の民調は、基本的な調査のシステムというのが何年にもわたって構築されておりまして、調査も地方の人事委員会の方々の多大な御協力をいただいて実施しております。
今回は初めての調査でございまして、そういうシステムができ上がっておりませんし、また時期的にそういった御協力をいただくというシステムもございませんので人事院の職員だけで調査をする。それからもう一つは、調査項目が限られておりますので、通信調査でもできるというふうに考えてやったわけでございますので、従来とは調査の仕組みそのものが全く異なるわけでございます。
○小川(淳)委員 こういう臨時異例の措置には、なおさらのこと強い説得力が必要だと私は思います。その点からの指摘は重ね重ね申し上げておきたいと思います。
関連して、調査の対象企業でありますが、従業員三千人以上の大企業においては四百七十二社中四百七十二社を調査した、千人から三千人の企業においては一千四百社中二百七十、五百人から千人の会社は二千三百社中百五十、百人から五百人は一万六千社中一千百、百人未満の会社に至っては九千八百社中六百五十。 これは大企業偏重の調査ではありませんか。
○谷政府特別補佐人 確かに、企業別に区分いたしまして、抽出割合が大きく異なっているというのは御指摘のとおりでございます。
この際考えましたのは、大企業においては妥結率が非常に高い、そして、小規模の企業においては妥結時期がかなりずれてまいりますので、調査を行いましてもなかなか大きな数が出てきません。もちろん、それであればなおさらそれなりにできるだけ多く拾うべきではないかという御指摘もあることはわかりますが、しかし、短期間の調査の中で効率よく調査をいたしますためには、調査対象の絶対数そのものも絞る必要がございますので、そういう形での調査をしたわけでございます。 何度も繰り返し申し上げますけれども、今回の措置で最終決定をしているわけではございませんで、最終決定は従来どおり夏の勧告で行うということでございます。
○小川(淳)委員 ということは、大企業に偏った調査だということはお認めいただけるということですね。
○谷政府特別補佐人 大企業に偏った調査という表現をいたしますと、誤解を生むおそれもあると思うのでございますが、調査効率上、大きな企業の規模においては妥結率が非常に高く、従業員数も多うございますので、従業員数で考えました際には効率よくサンプルをとることができるということがあったからでございます。
○小川(淳)委員 従業員数でとるとどうなるんですか。この大企業に偏った状況は緩和されるんですか。
○谷政府特別補佐人 今ちょっと手元に正確な数字は持っておりません。完璧な調査ができるということではございません。今回のことは、あくまでも、もし捕捉できたとしても、従業員数としては二割にとどまるわけでございまして、まだその一部でございますから、一番の理由は妥結率が高いということでございます。
○小川(淳)委員 先ほど御紹介しましたが、大体ボーナスが落ち込むときというのは、中小の方が二割から三割増しで落ち込んでいますよ、過去の例を見ますと。
ということは、とにかく、繰り返しになるんですが、暫定的な措置だから大ざっぱな調査でいいんだとおっしゃるなら、これは八月にすればいいんですよ。暫定的な措置だから大ざっぱで許されるんだ、とれるところからとりましたというおっしゃり方そのものが、人事院勧告の信頼感とか品位をおとしめることにつながっていませんか。いかがですか。
○谷政府特別補佐人 もし私の表現に不適切な点があったらおわびをいたしますが、暫定的な措置であるから調査内容が不正確であってもよい、あるいは、もっとひどい言葉を使えば、ずさんであってもよい、そんなことは全く考えておりません。時間的制約の中で、どの程度まで調査ができるかということでということを申し上げました。
それからもう一つは、基本的に、精確さということを重んじまして十二月精算をいたしておりますけれども、このこと自体も、本来、考えてみればおかしなことでございます。できる限りその時々に合わせることができれば、それにこしたことはないわけでございます。
しかし、調査の精確さということを申しますと、結局、十二月期で精算するしかないということで、今回も結果的に言うとそういうことになるわけでございますが、しかし、やはりその時々にできる限り近い数字でということと、公務部内の夏冬バランスということを考えてそういう措置をとったということでございまして、決して、暫定措置であるということを私は確かに強調いたしておりますが、であるから調査内容が不正確であっていいということを申し上げているつもりはございません。
○小川(淳)委員 総裁の信念なり姿勢に関しては、私は、冒頭申し上げたとおり、ある種敬意の気持ちを持ちながらお聞きしています。しかし、いただきたいのは合理的な、具体的な説明です。
今回、大企業を中心にとりました、そういう意味では暫定的な措置、あるいは速やかな決定のためにやむを得ない、そういうことをさんざんおっしゃってきたわけですから、この点については人事院として指摘されるすきを残したと思いますよ。
そこで、先ほど来議論になっていますけれども、総裁が調査を決断されたのが三月の十八日前後だとおっしゃった。そして、その理由は、ボーナスの落ち込みが一三%、これがかなり異例のことだからとおっしゃいました。
少し与党の先生方にも御関心の点だと思いますが、四月三十日の日経新聞の夕刊、公務員のボーナスが政局の渦中に置かれているということが報じられています。この記事を総裁はお読みになられたかどうか。それから、「人事院と公務員給与を所管する総務省は今年一月ごろから、与党議員と水面下で調整を始めた。」内閣人事局の設置に揺れていた人事院の当時の状況を反映して、「人勧制度の根幹を守るためにも「存在意義を見せつけないといけない」(幹部)と躍起だった」という報道がありますが、総裁、この報道に関して、御一読されたかどうか、中に書かれていることは事実かどうか、お尋ねしたいと思います。
○谷政府特別補佐人 それにお答えをいたします前に、私が決断いたしましたのは、集中回答日の数日後ということを申し上げました。これは、私個人としてそう考えた時期でございまして、人事院としての決定というのはそのもう少し後になるわけでございます。
それから、その日経新聞でございますが、正確に覚えておりませんけれども、私はそれを読みました。どのような根拠に基づいてこのような記事をお書きになったのか。一流、大変重要な新聞であるわけでございます。しかし、残念ながら、現下の公務の状況を見ますと非常にわかりやすい説明になっている、そのことについては私ども公務全体がやはり反省する必要がある。しかし、それは全く事実に反する。
しかし、それを抗議するというようなことをやっていましても、結局証明することもできませんし、その手の記事は、大変失礼でありますけれども、いっぱい散見されると言っては言葉は適当ではありませんが、あちこちにあるわけでございますので、私は、非常に残念な思いはいたしましたけれども、その記事はそのままにいたしました。
○小川(淳)委員 大変御見識ある御答弁だとは思いますが、世の中一般から、特に私どもの立場から申し上げても、一方にこういう見方というのはあり得るわけです。
現に、今葉梨委員がおられますけれども、これは五月七日の予算委員会ですか、あるいは四月の十四日、与党のプロジェクトチームが立ち上がったのは二月の十二日だそうですね、第二回の会合は三月の四日で経団連からヒアリングを行った、公明党と協議に入った、四月の二日から減額に向けて政府に求める方針を固めた等々の経過があるようですが、四月の十四日の総務委員会での質疑、これは総裁も御記憶だと思いますが、六月の一日の基準日に間に合わせろという趣旨の質疑が行われております。 葉梨委員の表現を引かせていただきますが、「もし間に合わなかったときのことを考えますと、私どもとしては議員立法というのをしっかりと用意させていただこうというふうに思っているわけです」、これは大変な御決意でしょうし、場合によっては圧力ともとられかねない。「今の人事院の制度、人事・恩給局の制度では対応できない、恒常的に議員立法を出さざるを得ない」、そんなことになれば、「人事院も人事・恩給局も半分ぐらい定数を削減してもいいんじゃないかという議論が当然出てくる」。「そのことも念頭に置いてしっかりと判断をしていただく」「ちゃんと出せなかったら定数は大幅削減というぐらいのつもりでやっていただきたい」。
総裁、どう受けとめられましたか、この質疑。
○谷政府特別補佐人 これは総務委員会という極めて公の場での御議論でございまして、当然、圧力であるとかないとかということではなくて、国会という国権の最高機関の場での御議論でございまして、それぞれのお立場でお考えを述べられたんだと思います。
確かに、私どもとして、定員が削減されますことは事務の遂行上支障を来すわけでございますけれども、先ほども御答弁しましたように、そのことをもって私どものあり方を判断していくべきものではない。そういう判断をすべきでないということが、現下の公務の部門における最大の改善策であると私は考えております。
○小川(淳)委員 当然、それぞれにさまざまなお立場なりお考えがあるのはそのとおりだと思いますが、まさに逆サイドから人事院の存在意義が問われかねない今回の事態だと私は思います。やはり、戦後たった二回しかないこの伝家の宝刀を抜いたわけですから、相当な説得力なり客観情勢をもって御説明をされる責任が総裁にはある。
それが仮に不十分となれば、国家公務員、郵政の方々が切り離されましたから一般職は三十万人ぐらいですか、防衛職が三十万で六十万、ひいては三百万人の地方公務員、こういう方々の処遇をいわば一手に預かっておられるわけです。
人事院は、労働基本権制約の代償措置だと言われている。中立公正なんてよく言いますが、私は違うと思いますよ。労働組合を結成して、団体交渉をして、その締結権を行っていく、そちらの利害を反映しているんだ、人事院というのは。労働基本権がきちんと公務員に認められたときには、その存在意義はまさに根底からなくなる。労働基本権の実現をする代償機関なんです。
そういう観点に立った日ごろの御説明のされ方なり、あるいは材料の集め方なりが非常に重要だと私は思います。
この削減あるいは凍結、削減と言ってはだめですね、凍結そのものは、私は必要なことだと思いますし、また、国会議員一同が先頭を切ってやるべきだと思います。
ただ、福田委員もおっしゃいました、こういう多くの働いている方々のお一人お一人は力がないわけです。こういう方々の働きぶりなり暮らしぶりなりを人質にとった形で、場合によっては選挙目当ての人気取り政策という形で人質にとられることだけは、人事院は体を張って本当に阻止してもらわないと困るわけですね、そういう理解だとすれば。そのことは重ね重ね申し上げたいと思います。
ちょっと肩の力を抜いて、人事院総裁と倉田副大臣にお尋ねしたいんですが、日本の公務員の給与は高いですか、そうでもないですか。副大臣、国会議員の歳費は高いですか、そうでもないですか。それぞれ御見識をいただきたいと思います。
〔委員長退席、森山(裕)委員長代理着席〕
○谷政府特別補佐人 公務員給与は、民間企業と違いまして、これを決定する要素というのはないわけでございまして、決定することは非常に難しい。したがって、市場の原理その他で合理的に決定されます民間給与を反映させて決定していくというのが法律で定められた基本原則でございまして、それに従いまして私どもに使命が与えられております。
毎年精確な調査を行いまして、民間給与のいわば平均値を勧告させていただいておるわけでございますので、そういう意味では、私は適正な給与であると考えております。
○倉田副大臣 これは私が総務副大臣として聞かれているわけではないと考えてよろしいんでしょうかね。
議員として、国会議員の給与が高いか否かということですが、私が十年近く前に国会へ出てくるのに、国会議員になってお給料がもらえるとかもらえないとかいうことは実は考えておりませんでした。平成十二年六月末に当選したものですから、当選後間もなくボーナスも出ました。私のところはそれまでずっと弁護士の事務所をやっておりまして、ボーナスの時期には必ず私どもの懐はへこむわけです、払いますから。そう考えておったところが、国会議員になりましたら、議員としてのボーナスがもらえた。あら、すごいものねというのが家内の言葉でございました。
そういうことで、少なくとも国会議員は、まずは奉仕の気持ちが第一だと私は考えてきておりますので、ただいまいただいているお給料で十分だと考えております。
○小川(淳)委員 ありがとうございました。
それぞれの信条から御答弁いただいたわけですが、私も一人の国会議員としてちょっと見識だけ申し上げさせていただいて、質疑を終わりたいと思います。
公務員の人件費は、例えば諸外国、OECDなんかの統計でいきますと、経済規模に応じても、あるいは政府支出に応じても、日本の場合、決して高くはありません。しかし、特殊法人、あるいは天下り団体、こういうものは総合して考えないといけないでしょう。
それから、人事院が、この二十年来、二十年来と総裁が盛んに強調されています。確かに、二十年前に日本経済は天井を打ったんでしょうね。それからの比較を、各省の皆さんの御協力をいただいて数字をいただきましたので、ちょっと参考までに聞いてください。 平成二年から平成二十年までの約二十年で見ますと、GDPは二〇%増、民間給与は一八%増、国家公務員の給与は一四%増です。この二十年で、経済が二割、民間給与が一八%、国家公務員の給与が一四%伸びているんですね。しかし、問題なのは、税収は、例えば二年と二十年で見ますと、二四%の減です。これは借金をしながらやりくりしてきたんでしょう。こういう状況にあるということをひとつ御認識いただきたい。
そして、国会議員について申し上げます。副大臣、私は、国会議員の歳費は半分でいいと思っているんです。ちなみに、御紹介します。アメリカの上院議員一千五百万、イギリスの下院議員八百万、ドイツの連邦議会議員一千万、フランスの両院の議員一千万。ざっとこんなものですよ、国会議員の歳費なんというものは。しかし、その分、数億の例えば事務所の手当、あるいは通信費等々を準備している国も多々あります。
これは私の一つの見識でありますが、個人的な歳費なんてそんなに多くなくていい。しかし一方で、今、不透明ないろいろな政治資金の問題も盛んに議論になっていますが、必要経費については当然必要だろうという立場でありまして、今般の国家公務員のボーナスの削減についても、こういった全般の議論といろいろと絡め合わせながら議論しなければ局所的な議論に終わってしまう、このことを申し上げ、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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