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〜会議録(4月16日消費者特別委員会)〜
○船田委員長 次に、小川淳也君。
○小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。
民主党のしんがりを務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
麻生総理には、積極的に御出席をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。 当初、我が党案と政府案との間には、哲学も含めて大変な開きがある、大きな開きがある、そう感じておりながらの審議のスタートでありましたが、実質、与野党間で一定の結論に達した、修正協議が結実をしたというけさを迎えております。まず、このことの意義について、総理大臣と、そして民主党案の提出者から、それぞれ一言ずついただきたいと思います。
○麻生内閣総理大臣 与野党ともに、これは消費者行政を強化するということに関してはもともと目的は一緒だったんだ、私はそう理解をして、どこから登るかという話なんだというような感じがしておりましたので、お互いに歩み寄って合意に至ったということは大変意義深いものだ、私自身はそう思っております。
この合意というのは、日本の行政がいわゆる消費者行政というものへ大きく転換していく突破口となり得るかなという感じがいたしておりますので、こういったものが、これは全党で合意するというのが意義があるということで、少なくとも、いろいろありましたけれども、小異を捨てて大同にとか、いろいろな表現を多分言われるんだと思いますけれども、いずれにしても、与野党の方々でいろいろ十数時間修正協議などなど、岸田先生がさっき言っておられましたけれども、こういったことに関しましては敬意を表したいと思っております。
いずれにしても、こういったものは、言われて大分久しいことになっておりますので、とにかく長い時間かけてここまで来たので、後はとにかく迅速にスタートをさせるということで、一日も早く消費者庁が設立され、設立するのが目的じゃなくて、消費者庁を設立するのは手段ですから、この手段を使ってきちんとした所期の目的達成がなされることを期待しております。
○枝野議員 消費者行政重視への転換というのは明治以来の日本の行政の枠組みそのものを大きく転換するものであると私どもは認識しています。そのために、本来であれば、明治以来の行政の基本的な構造、特に分担管理という枠組みに風穴をあけること、あるいは戦後の国と地方との関係というものに風穴をあけることが不可欠であると私どもは思っております。
ただ、まさにこの行政、明治以来の行政や戦後六十年間の国、地方の関係の根本のところに変更を加えるというところになかなか与党の皆さんには踏み込んでいただけないという前提の中で、つまり、現在の分担管理の行政のあり方や、国、地方の関係の中では、その中で消費者行政を充実させる最大限のところまで、与野党協議の理事の皆さんの御努力によって、特に与党の皆さんにも踏み込んでいただきましたので、現行の大きな枠組みの中では百点満点に近い成果を得られたということについて、理事の皆さんの努力と、それから特に与党の皆さんの譲歩は高く評価をしたいというふうに思っております。
ただ、その根本のところの枠組みにメスが入っていないということで、多くの部分が運用にゆだねられる結果となっております。まあ、長くても残り半年だと思いますが、現在の内閣の皆さんには、この合意と、それからこの後決議される附帯決議に基づいて、しっかりとした御準備と運用をしていただきたいというふうに思っております。
○小川(淳)委員 一昨年の参議院選挙以降、大変国会ではねじれが強調され、また与野党の対立が大きく報じられてきたという経過があったと思いますが、そのことに照らしてみても、今回、こういう歴史的な消費者行政の転換において与野党が歩み寄ったということは、私は、その意義は本当に大きい、小さくないという気がいたします。
また、我が党のことで恐縮でありますが、仙谷理事を初めとして、大変な決意を持って修正協議に臨んでいたその後ろ姿は大変に美しく、感動的ですらありました。御本人は六十点という評価をみずからされ、それが報道されたようでありますが、きのう、どうも八十点に修正されたようですし、また外部からは九十点という評価をいただいたこと、付言をさせていただきたいと思います。
そこで、今回のこの議論を振り返りますと、私どもは、この消費者行政をどうか実効性のあるものにしていきたい、出発点において心配したことが二つです。まず、強い中央機関をつくらなければならない、実効性のある強い中央機関をつくる。これは、一つは、これまでともすれば業界寄りだった日本の行政を、生活者、消費者の目線に置きかえられるかどうか。もう一つは、各省縦割りだった、その縦割り行政の間に埋もれてはならない。この二つが、強い中央機関をつくるということでは大きな論点だったかと思います。そしてもう一つは、後ほど議論しますが、十分な地方機関、十分な地方行政を措置していく。この二つが大きな論点だったと思います。
そこで、それに照らしますと、今回、我が党は消費者権利院。内閣からも外へ出した形で、強い独立性と権限を持った機関を主張いたしました。これに対して、政府案は消費者庁、霞が関に数ある役所の一つの形態。 そして、その下部に、単なる諮問機関として消費者政策委員会を置かれるということを想定しておられた。これが今回、消費者委員会。消費者庁からも独立をし、内閣府が直轄をする。しかし、民主党から見れば、依然、内閣の中にとどまっている。ここがまさに折衷案としての今回の結論だと思いますが、この点について、民主党はこれで十分だと考えられるか、この点についてのコメント。そして、政府からは、せっかくつくっていただいたこの独立性の強い機関ですから、今後どう実効ある運用をしていくか。
この点について、それぞれコメントをいただきたいと思います。
○枝野議員 先ほどの話ともつながる話ですが、日本の行政は、明治以来、一つは行政の無謬性、行政がやることは間違いがないんだということで、基本的に、これに対する監視、チェックというシステムが十分につくられてきませんでした。それから、これは委員も御承知のとおり、日本の今の行政システムは、内閣法などの、全体の枠組みとして分担管理ということが決められておりまして、縦割りが批判をされていますが、内閣法そのもので縦割りが決められております。その中ではなかなか消費者行政が理想的な形にならないという思いで、その無謬性と分担管理という縦割りを、現行の内閣制度、内閣法のもとでも何とか乗り越えられる制度として我々は今回の提案をいたしました。
今回の修正の結論は、その縦割りという前提のもとでつくられたものではありますが、その現行内閣法の枠組みの中では最大限の独立性と権限を持たせる形に理事の皆さんの御努力でつくっていただきましたので、しっかりとした委員の人選、それから常勤的という運用のやり方、あるいはそこの事務局に対する人事、こういったところがしっかりとすれば、我々が消費者権利院に期待した機能のかなりの部分を担うことはできるという意味で高く評価をしておりますが、まさにそれは、今後の運営、運用にひとえにかかっているというふうに思っておりますので、その点については、残り、長くても半年間の間の、今の内閣の努力に期待をしたいというふうに思っています。
○野田国務大臣 与野党協議の結果修正することで合意されました消費者委員会は、消費者の声が直接届くという大変透明性の高い仕組みになっています。この消費者委員会が独立性の強い機関として誕生することは、行政のあり方を消費者重視に大きく転換していく突破口として大変有意義だと思っています。今までにないわけですから。この考え方のもとで、法案が成立した後には、本委員会での委員のいろいろな御提言も踏まえて、消費者委員会が円滑に業務を実施できるようしっかりと努めてまいりたいと思っています。
○小川(淳)委員 内閣の外に出すことを当初主張した私どもからしますと依然課題は残る状況ですし、先ほど提出者から御答弁あったとおり、運用面をぜひ国会でもしっかりとチェックをしていく必要があろうかと思っております。
それに当たりまして、まず、せっかく独立性を強めた、権限を強めた消費者委員会ですから、実効ある機関として機能していくためには幾つかルールなり原則が必要ではないかと思います。一つには、各省横並びに埋もれないためには、ある程度の外部性が必要でしょう。そして、複雑多岐にわたる消費者問題ですから、専門性も必要になるでしょう。さらには、政府に対して遠慮をしてはなりません。職務の遂行における独立性、こうしたものが必要になると思います。 これらを担保していくために、消費者委員会の委員、実務的な修正協議の結論としては十名というふうにお聞きをしておりますが、これはやはり外部から、民間から登用すべきだと思いますが、この点に対する考え方、お聞きしたいと思います。
○野田国務大臣 修正することとされています消費者委員会の委員長及び委員は、すべて民間から登用することとしております。
○小川(淳)委員 あわせて、事務局、実際にその委員の仕事を支えていく事務局の体制の充実、これが大変にかぎを握ってくると思いますが、この事務局の体制、そして事務局員の外部、民間からの登用、さらには専任体制として十分な体制をとっていくおつもりがあるかどうか。この点、お聞きしたいと思います。
○野田国務大臣 この修正される消費者委員会は独立した第三者機関ですから、事務局はしっかりとした体制とすることが必要であると思います。職員につきましては、専任とするよう努めるとともに、多様な専門分野にわたる民間からの登用を行うことを考えております。
○小川(淳)委員 消費者委員会また消費者委員会の事務局については民間からという明確な御答弁をいただきました。
さらに、現在、国家公務員制度全般をめぐっていろいろな議論がございますし、また、天下り等々の弊害については、ここ数年来、最大の国家行政組織上の問題の一つと言っても過言ではないかと思います。
ここはぜひ麻生総理大臣の御見識をいただきたいと思いますが、民間登用、民間登用と一口に申し上げても、それはさまざまなケースが考えられます。その趣旨からして、縦割り行政の弊害に埋もれない、あるいは政府に対して遠慮をしない、あるいは長らくの業界寄り行政から脱却をすることからいえば、少なくとも、中央官庁の幹部の出身者等が直ちに消費者委員会の委員ということはこの民間登用の原則に明らかにもとるでしょう。
しかし、非常に微妙です。公的部門とはいいましても、今回の審議を通じて、たくさんの地方の現場で働いておられる方々が参考人としてお越しをいただきました。本当に消費者行政の現場で働いておられる。ああいう方々をこの際中央機関の幹部としてお迎えをする、これは大いにあっていいことだと思います。
そこで、その境目について、民間登用と呼び得るのはいかなる人材か、あるいはその原則にもとるのはいかなる人材を指すか、麻生総理大臣の原則的な御見識を御答弁いただきたいと思います。
○麻生内閣総理大臣 少なくとも小川先生はなれない。わかりますよね。国会議員がなるとか、もとの職場の自治省の職員だったとしてもなれない、基本的にはそういうことです。
○小川(淳)委員 いいですね、麻生総理、本当に。持ち味を発揮しておられるというか、非常に政権運営にもあれでしょうか、ゆとりを最近お持ちなのか。敵失もあるのかもわかりませんが、まあ余計なことはあれにして。
私も、せっかくのこういう機会をいただきましたので、もちろん消費者行政に関してより知見を深めてまいりたいと思いますし、横から縦から、いろいろな形でお役に立てるようにこれからも力を尽くしたいと思います。
しかし、経歴に照らしていえば、総理がおっしゃるとおりかもわかりません。参考までに申し上げますが、私、九年三カ月、中央官庁で勤めをさせていただきました、九年三カ月。もう離れまして六年、七年近くになります。私が幾つのときにそういうことになるのかわかりませんが、私のような人材がだめだと今はっきりおっしゃった以上、数十年前、数年間、中央官庁に籍を置いたということをもってしても、これは厳しくチェックをしていただく責任が今総理には発生をしたということだと思います。
この点、国会の方も厳しくチェックをしてまいりたいと思いますし、今の原則をいささかも緩めることなく、今後の登用をお願いしたいということを申し上げたいと思います。 そして、野田大臣には本当に、連日の御答弁、御慰労を申し上げたいと思います。
その中で、私、一つ確認したいことがございます。
この間、消費者庁が出発点に当たって二十九法律を所管するということが果たして十分なものかどうか、さんざん議論を重ねてまいりました。私自身も、きょう、都合六回目の質疑の機会をいただきました。建築基準法、エレベーターの問題に絡めてお尋ねをしました。電気通信事業法、北海道への地方視察を踏まえてお尋ねをいたしました。いずれも、野田大臣からは、使用者が消費者に限られないんだ、いわゆる消費者と呼べる方以外の方々が使用しているから、消費者庁としてはここの関係法律の共管に消極的だという御答弁をいただきました。
これから、消費者庁は、きょうあす、臨月を迎えることになるわけですが、いよいよ産み落とされたその後も大きく成長していただかなければなりませんし、その一つの着眼点はやはりこの所管法律、物を言うことのできる法律の拡大だと思います。既に推進計画にも四十余りの法律が移管の検討対象として俎上に上がったのは去年のことであります。
そこで、野田大臣、ぜひこの点は明快に御答弁いただきたいんですが、かねてからの私自身の主張です。消費者以外が使うから消費者庁の所管法律とはしないんだという考え方をぜひ改めていただき、消費者以外がそれは使うこともあるでしょう、しかし、消費者が使うんだから、ここはぜひ消費者庁として、消費者行政担当大臣として、その法律所管の必要性を積極的に検討していく、ここの基本的な哲学だけはぜひ切りかえていただくことを明快に御答弁いただきたいと思います。
○野田国務大臣 私の答弁の前に、先ほどの総理のお言葉で、ちょっと受けとめのずれがあったので再確認しますけれども、総理がおっしゃったのは、国会議員たる小川委員はなれませんということで、行政機関の職員や現職の国会議員が委員になることは想定していないというふうな総理のお言葉でございまして……(小川(淳)委員「そういう趣旨にはとれない」と呼ぶ)そういうことであります。
先ほど、何十年前にさかのぼって行政機関のどうのこうのというお話がありましたけれども、私は担当大臣として、例えば行政機関の職員のOB、かつて役所にいらして、そして今は違う仕事をされておられるOBであっても、一定期間民間でしっかりと活躍されていて、消費者行政に対して大変な専門性とか知見を持っておみえになるのであれば、民間登用と呼べるのではないかと思っています。だから、かつてどこどこの役所にいたから、今は消費者行政の専門家であるけれども、その人は民間ではないというような言い方はちょっと違うのではないかと思っています。
もう一点の、例の建築基準法とか電気通信事業法の取り扱いについてですけれども、ここで何度も申し上げたことになるんですが、仮に、消費者庁をつくるに当たって、要するに消費生活に何らかかかわりがあると考える法律をすべて手繰り寄せると膨大な数になるということは明らかで、私たちは、そういう巨大な官庁をつくるというスタートに立っておりませんでした。むしろ、内閣の司令塔として、コアな、ぎゅっと凝縮された、新たな消費者のパートナーとしての行政組織として、他の各省庁にさまざまな影響を及ぼすような、そういう司令塔的役割をとるべきという判断で、一番消費者に身近で消費者被害の大方をカバーできると言われている二十九本の法律をしっかりと取り扱わせていただこうということになりました。
ただ、将来にわたりまして、消費者庁が所管すべき法律は今の二十九本というふうに決めつけているわけではないんです。ですから、消費者庁が設置されて、そして運用が始まって、さまざまな事案と遭遇する中で、やはりそういう中で消費者行政をさらなる強化をしていくためにはという整備の観点からいろいろと企画立案を行うわけでありますし、その都度都度で社会情勢も変わってくる、そしていろいろな事案も変化していく中、二十九本以外の消費者庁が所管すべき法律について、私自身はさらなる検討を行っていくことが必要であると認識しております。
○小川(淳)委員 その点については、とにかく消費者以外が使っているから所管になりませんというのは、これは理由にならないと私は思います。バランスはとっていただいて結構です。何も巨大官庁を望んでいるわけではありませんし、森羅万象すべてをと申し上げているつもりもありません。しかし、理由づけにおいて、消費者以外が使っているからというおっしゃり方は、これはやはり誤解を招く。多くの消費者行政に期待されている方々の目線からすれば大きな誤解につながりかねない。この点はぜひ申し上げたい。
それから、総理、今国会議員の議席を預かっている私がこの委員にならない、こんなことは当たり前です。私は、そんなことを総理が御答弁されたとは甚だ思いませんが、私、自分のことを言われてやや複雑な思いでしたけれども、それだけの決意を持って、覚悟を持って総理がおっしゃるんならこれはありがたいということで、すんなり次へ行ったわけです。 総理、もう一回、その趣旨をはっきりさせてください。
○麻生内閣総理大臣 基本的には、これは民間登用といった場合の民間の定義ということに、多分そういうことなんだと思うんですが、いわゆる現職の国会議員はなれません、簡単に言えばそういうことですよ。国会議員はなれないって、あなた今現職なんだから。国会議員がなれない。それから、行政機関の現職の職員もなれない。でしょう。だから、あなたのもとおられた自治省ということをあえて申し上げたのも、そういった意味であります。
○小川(淳)委員 では、退職後すぐこの消費者委員会の委員になることができるということですか。そういう趣旨でおっしゃっていて、今、野田大臣はすべて民間から登用するとおっしゃった。その趣旨はその程度の意味しかないんですか。
○野田国務大臣 退職後すぐということではなく、私の考えでは、役所におられて、おやめになって、民間の例えばいろいろな消費者団体とかでお勤めをされていて、大体三年ぐらい、私の考え方で三年ぐらい、そこでしっかりとお仕事をされれば民間登用というふうに理解してよろしいのではないかと思います。
○小川(淳)委員 本当に、これは消費者問題に限らず、国家の統治のあり方あるいは国家公務員制度、国家行政組織のあり方において根本的な問題の一つですよ。
今、野田大臣は三年なんておっしゃいましたけれども、人事院の天下り承認が離職後二年ですよ。(発言する者あり)いや、これは、消費者委員会を独立させた趣旨を今申し上げました、修正協議をした。そのことを実効あらしめるためには、その人材の登用が極めて重要だと申し上げている。(発言する者あり)
○船田委員長 御静粛に願います。
○小川(淳)委員 それは、やめてから二年や三年の国家公務員をそのまま登用しますということが想定されていること自体、今回の修正協議の趣旨に反すると思いますが、いかがですか。
○野田国務大臣 私たちが必要としている人は、やはりだれよりも消費者行政において専門的な知見を有している人を委員として入れたいのであって、その前歴に縛りをかけると、本当に消費者にとって必要とされる知識を持っている人が委員会に入っていただけないというような阻害要因になるのではないかと思っています。御理解いただきたいと思います。
○小川(淳)委員 私、きょうは対決モードを控えたいと思ってこの場に参ったんですね。そこは、今後もこれは国会として注意深く拝見させていただきたいと思います。
時間の都合もございますので、お聞きしたいと思っていたことも含めてちょっと指摘にとどめる点も出ようかと思いますが、これから、とにかくスタート地点において、強い中央機関と十分な地方機関、この両者を両立していくことが大事だと思いますし、今後もこの消費者行政はさらにお育てをいただきたい、これは我々一同の責任だと思います。
その観点から、今、消費者安全法案は、重大事故の対象、つまり、消費者庁が能動的に動くことのできる重大事故の対象が、生命身体の安全にかかわる事案に限られています。しかし、この間、財産被害、詐欺まがい、犯罪まがいのものを含めてでありますが、金融被害やさまざまな商法の犠牲者、被害者がたくさんいらっしゃいます。こういうものについては、これからぜひ積極的に消費者庁が動けるように、法案の修正を含めて御検討いただきたい。
そして、地方機関の整備でありますが、先ほど人件費への充当を認めるということを明快に御答弁いただきました。定額給付金のときは、どうもこれは残業代にしか当たっていなかったようですが、基本的な賃金の部分を含めて柔軟な対応をお願いしたいと思います。そして、いかんせんこの基金は三年間しかありませんから、やはり四年後以降に向けて、今全国の相談員の皆様あるいは地方機関の皆様は、三年後まではよかった、四年後は一体どうなるんだろう。これは大きな課題だと思います。この点に関しても、明確な地方機関としての位置づけ等について鋭意御検討をいただきたい。
そして、先ほど階委員も指摘をされましたが、広域連合のような形もあっていいでしょう。あるいは、私の地元香川県は、日本一面積の狭い県域であります。県の事務所が全部で四カ所あります。県の担当者は、各市町村に一人ずつ担当を置くような体制よりは、むしろ県下四カ所の出先の事務所を充実して、そこである程度人を集積させていろいろなノウハウを蓄積していきたいというような意見がありました。私は、こういう地域の実情に応じた消費者行政の推進の仕方、柔軟なあり方というのはあっていいと思います。
最後に、個別の点でまことに恐縮ですが、消費者相談窓口で一本化された電話番号ができるとお聞きしています。これは非常に象徴的でもありますし、また実利的でもあるだろうと思います。
これが、最近ですから携帯電話からかかる可能性が大いにある。携帯からかかった場合には、どうも各都道府県の中核センターに電話が集中することも懸念されているようです。
たくさん申し上げましたので、どれもというわけにはいかないと思いますが、少なくとも、携帯電話で各都道府県の機関に集中した場合の見通しなり対策、これについては具体的な御答弁を、そして、財産被害を加えること、地方の体制充実については何らかのコメントをいただきたいと思います。
○野田国務大臣 電話のことはとても大切なんです。一般の消費者にとって、消費者庁ができて、そして地方の消費者行政窓口が充実すると一番身近に感ずる手段の一つが、この統一された電話番号、だれでも覚えやすい番号を使って、何かあったらすぐにアクセスできるということで、大変重要な指摘をいただいたと思っています。
もう既に、私もそういう思いがございまして、今のような御指摘を踏まえて、そういう電話がわっとかかってきたりとか、当該地域につながらないんじゃないかとか、いろいろなことを想定して今検討を始めているところで、固定電話または携帯電話、どちらからかけてもしっかりと同じように相談窓口につながるような、そういう仕組みをつくるよう、今やっているところです。
地方につきましても、もう本当にそこが原点だと思っています。地方がいて、これまで頑張ってくれたからこそ、どちらかというと国会では余り議論されなかった消費者行政が、地方の相談員の皆さんの本当に血のにじむような努力でともしびを燃やしてくれていた。でも、これが本当に大切だということで、改めて私たち国会にいる人間は、反省を踏まえて、これを機に、そういう人たちの御労苦に報いるよういろいろな支援をしていかなければならないと思っています。
また、財産被害等につきましても、何度か御答弁を申し上げたように、しっかりこれからは、消費者庁ができた暁には検討させていただくということを申し上げて、御理解いただきたいと思います。
○小川(淳)委員 なお、実際の運用ですから、総理が冒頭御答弁されたとおり、やはり運用にかかってくる、そういう意味では決して楽観できる状況ではないと思いますが、それにしても、今回の与野党合意については、私は、歴史的な意義が大きいと思います。そのことに触れ、委員長初め各党理事の皆様、また委員の皆様、そして御当局の皆様、また法制局で大変お力添えいただいた皆様、さらには、連日のように審議を見守ってくださいました関係団体の皆様、そして多くの被害者、御家族の皆様、その方々の思いにともに想像を働かせながら、質疑を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
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