トップ>衆議院TV
〜会議録(3月31日消費者特別委員会)〜
○船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。小川淳也君。
○小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。
野田大臣には、連日、質疑への対応、お疲れさまでございます。 まず、午前中の泉委員の質疑を少し追っておきたいと思います。当局から事前に参考人に対して説明がなされるというのは、時によって予断を持たせかねない、また無言の圧力になりかねないと思いますが、大臣、その点いかがですか。
○野田国務大臣 一般論になるかもしれませんけれども、やはり参考人はそれなりに見識をお持ちですし、専門性の高い方です。また、議事録等、速報とか、いろいろな情報も既に入手された前提で臨んでいただけると思っておりますので、そういう接触があったとしても、それなりにキャリアの中で築き上げている何かを御披露しに来られるわけですから、そんなに大宗に影響するものではないと思っております。
○小川(淳)委員 いや、大臣、御認識が甘いと思いますよ。中央官庁の幹部の方というのは、やはり一般の方からしますと大変敷居の高い方です。私でもやはり怖いですものね、いろいろと御説明いただくときは。
それで、そこは、中立公平な委員会審議の信頼性をより高めるために、ぜひ抑制的にお考えをいただきたいと思いますし、委員長にもお願いを申し上げたいんですが、参考までに、これまで当委員会で多数の参考人が意見をお述べいただきました、その方々に対して、いつ、だれが事前に接触を図ったのか、一覧にして当委員会へ御提出をいただきたいと思います。大臣の御答弁、または委員長のお取り計らいをいただきたいと思います。
○船田委員長 ただいまの小川君の御要望につきましては、理事会において協議をさせていただきます。
○小川(淳)委員 大臣、お出しいただけますね。だれが、いつ、どの参考人に事前に御説明に上がったかの一覧を当委員会へお出しいただけますね。
○野田国務大臣 今まさに委員長おっしゃったとおりで、委員長の方でやっていただけると思います。
○小川(淳)委員 それから、前回の委員会質疑、少しこれもフォローしておきたいと思いますが、地方はとにかく人件費に使いたいんだ、せっかくいただく基金ですから。手薄な人員等については、前回申し上げました、これを補充したいという声が切実であります。
これは、なぜ人件費に使えないんだというお尋ねをいたしましたら、自治事務だという御答弁をいただきました。まさにことしの定額給付金は、自治事務だといって、その上で人件費を手当てしているんでしょう。総務省からお越しをいただいていると思いますので、御答弁をいただきたいと思います。
○倉田副大臣 定額給付金は自治事務かというお尋ねかと思います。(小川(淳)委員「いや、人件費を手当てしたか」と呼ぶ)そういう意味ですね。そのとおりでございます。それに関して、人件費についても補助金が出ているのではないか、こういうお尋ねでございますか。あらかじめ御質問もいただいておりますので、そういう趣旨でお答えをいたします。
定額給付金給付事業は、国の生活対策における重要な施策の一つであり、景気後退下での生活者の不安に対処するため、家計への緊急支援として行う単年度限りの施策であります。このため、この制度の構築は国が責任を持って行い、それに要する経費は、給付金のみならず、事務費についても国が全額負担することとし、地方財政法第十六条の国庫補助金として地方団体に交付する、こういうことになっているわけでございます。
御質問の人件費についても、定額給付金の給付事務に関連する時間外の勤務手当を対象経費とする方式で国庫補助金の対象としているところでございます。これは平成十年度の地域振興券の際に時間外勤務手当を補助金の対象とし、全額国費で措置したのと同様の措置でございます。
以上であります。
○小川(淳)委員 野田大臣、お聞きのとおりですので、法的には問題ないみたいですね、人件費に充てるのは。時間外でも結構ですよ。
とにかく、地方の現場では今どういう議論が起きているか。何かこういう営業が来ているんだそうですよ。基金で大きな画面のテレビを買いませんかとか、トイレをシャワートイレにしませんか、あるいは、もういっそのこと、これは本当に使いたいところに使えないから思い切り無駄遣いしてしまおうかと言っている人たちもいるらしいですよ、大臣。
やりたくもない事務を自治事務だと言って押しつけて、言葉は悪いですが、はした金を押しつけてやらせて、やりたい事業に、自治事務だというへ理屈で人件費に使えない。これは大臣、何とかお願いできませんか。超過勤務でも結構ですよ、人件費に使わせてあげてください。(発言する者あり)
○船田委員長 御静粛に願います。
○野田国務大臣 三月十八日の委員会に、小川委員から、なぜ自治事務では人件費が手当てできないかという御質問をいただきまして、宿題ですねという話をさせていただいたと思います。
まず、今回、基金を都道府県に置かせていただくわけですけれども、約三年、これは集中育成・強化期間と位置づけて、消費生活センターの設置、拡充、相談員の養成、レベルアップなど、消費生活相談窓口の強化等を図ろうとする地方公共団体を支援するもの。
今そういう話を聞きましたけれども、それはもう許されないことでございまして、むしろそれを聞いたらしかりつけていただきたい。先生の地元でそんな話が出たら、そんなための基金ではないということをむしろ厳しく御注意いただかないと、やはり正直申し上げて、相談員の待遇改善もそうですけれども、相談員そのものがいない地域もまだまだたくさんあるわけですね。私たちは、この基金、約三年をめどにしているのは、そういうところにもやはり消費者行政というのを根づかせたい。そのためには窓口が要るでしょう、そのためにはそこで相談に乗ってくれる相談員が要るでしょう。でも、そこに人がいないのであれば、まずは研修等々で人を育てていくということから始めていかなければならないような状況でもあるということをぜひ御理解いただきたいと思います。
地方公共団体に対する補助につきましては、人件費というのは経常的な経費ですね。先ほどの定額給付金というのは今回限りということで限定されていますが、相談員の方は、これから末永くずっと地域で消費生活の相談をしていく限り頑張っていただかなきゃならないという、一回限りの話ではございません。ですから、安定的に、やはり地方自治の責任のもとで、一番地域住民に身近なサービスの一つとして消費者行政窓口が根づいているわけですから、そういう地方の自主性を失わせることも地方自治の本旨に反するわけでありますから、そういうことで、基金というのは、ダイレクトに人件費そのものの報酬に対しては対象外と、区別をさせていただいているところです。
繰り返しになりますけれども、私も議員もやはり人が大切だというところには変わりがありません。今いらっしゃる方もそうですけれども、まだまだその相談員の数すら間に合っていない中、まずはこの三年の期間をもって、そういうこれからの消費者行政の窓口の最前線に立っていただける人材を育てていくということでしっかりと御利用いただく中で、その研修参加者に対しては、たくさんの時間をいただくことになるわけですから、その分の日当相当ということで支給することにさせていただいております。
○小川(淳)委員 大臣、水かけ論をしてもあれなんですが、人を育てることも大事でしょうけれども、絶対的に足りないと言っているんですからね、地方は。人件費が九五%だそうですよ、消費者行政予算に関連して。
これをとにかく自由に使わせるようにしないと、何でこういうことが成り立つんだろうなと私なりに考えるんですけれども、やはり結果が問われないんですね、成果が問われない。今、電話相談も四件に一件しかつながらないところもあるそうですよ。そこから、具体的にどのくらいがあっせんにつながっているかという、やはり、成果で勝負します、結果で勝負しますというふうに政府が本気になったときは、こんなつまらない限定をかけて本当に使いたいところに使えないなんということはあり得ないと思いますよ。
これは大臣の一存でしょう。法律で決まっているわけでもない。予算の補助要綱だけでしょう、人件費を使わせないのは。これは大臣の一存だと思いますよ。ぜひ、改めて御検討をいただきたいと思います。
ちょっと時間の関係もありますので先へ進みたいと思いますが、きょう、国土交通省それから国家公安委員長、お忙しい中ありがとうございました。資料にお配りをさせていただいたとおり、午前中の中にもございましたが、きのう、シンドラー社を初めとした市川大輔さんの事件に関連した方々、合計六名が書類送検されたという報道がございます。事実関係をお尋ねしたいと思います。
○佐藤国務大臣 お尋ねの事故につきましては、平成十八年の六月、東京都港区所在の高層住宅において、男子高校生がエレベーターからおりようとしたところ、挟まれて亡くなられたというものでございます。大変痛ましい事故で、お亡くなりになられました市川さんの御冥福をお祈りするとともに、御家族に心からお悔やみを申し上げたいというふうに思います。
この事故につきましては、警視庁において事故原因の解明や因果関係、刑事責任の所在などを捜査した上、昨日、製造会社及び保守管理会社の社員等六名について、業務上過失致死罪で書類送検したとの報告を受けております。
○小川(淳)委員 そういう意味では、責任の追及は私ども一同待ち望んでいたことですので、これからもこの推移をしっかりと見守ってまいりたいと思いますが、野田大臣、この事件は、消費者安全法案に言う消費者事故、そして重大事故に該当しますね。
○野田国務大臣 します。
○小川(淳)委員 ということは、関係各省庁に対する措置要求、そして、関連する業界に対する勧告権限を近い将来お持ちになるかもしれないという前提でお答えをいただきたいと思うんですが、まず、事故の原因、これは、被害者のお母様正子さんが最も待ち望んでおられた見解だと思います。保守点検の不足ということでよろしいんですね、国家公安委員会。
○米田政府参考人 事故の原因は、エレベーターのブレーキライニングを開閉させる回路がショートをいたしまして、ブレーキドラムと接触した状態で長時間使用させたがために、このライニングの摩耗が進行し、ブレーキの制動力が低下したということによるものでございます。
それで、昨日書類送致をいたしました被疑者六名の過失でございますが、まず、エレベーター製造会社、これが当初は保守管理も担っておったわけですが、平成十六年当時に生じたこのブレーキライニングの摩耗に関して根本的な原因調査や再発防止の措置を行わず、また、平成十七年以降に保守点検を行うこととなった業者に対して、この摩耗の再発可能性防止のための措置に関する情報を提供せずに、漫然と事故機の走行を継続させたという過失でございます。
それから、保守管理会社の役員等三名につきましては、担当者に事故機の保守点検を行わせる際、ブレーキ構造等に関する十分な調査や、これに基づく点検実施計画等の策定などの措置をとらず、漫然と保守点検を開始、実施させた過失でございます。
それから、当該メンテナンス担当社員につきましては、ブレーキの構造あるいは保守点検方法等について十分な調査を行わず、ブレーキライニングの摩耗を発生しないと軽信するなど、漫然と同機を走行させた過失であるというように報告を受けております。
○小川(淳)委員 いずれも、保守点検に関する過失というふうに承りました。
国土交通省は、このエレベーター事故の原因、どう評価しておられるんですか。
○金子副大臣 この大変痛ましい事故でお亡くなりになられました市川さんの御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆さん方に改めてお悔やみ申し上げたいと思います。
昨日、関係者が書類送検された東京都港区シティハイツ竹芝エレベーター事故の事故原因につきましては、今もお話がありましたように、ブレーキライニングの摩耗や不適切な保守管理といったことが指摘されておりますけれども、昨年十二月三日に、捜査当局の御協力のもと、社会資本整備審議会の専門委員等によりまして行われた事故機の調査におきましても同様に、ブレーキライニングが摩耗していたことが確認されております。これが物理的な面での直接的な事故の原因ではないかと考えております。
本件の事故を踏まえまして既に基準の強化等を行ったところでございますが、今後、昨年十二月の調査結果等も踏まえまして、関係省庁と連携をいたしまして、社会資本整備審議会のもとに本年二月に設置いたしました常設の昇降機等事故対策委員会におきまして、事故原因の解明を進めます。
これによりまして、適正な管理のあり方など、さらなる対策の必要性が明らかになれば、速やかに措置を講じてまいりたいと思っております。
○小川(淳)委員 既に副大臣が御答弁の中で触れておられますが、昨年十二月に、これは直接調査に入ったんですね、警察の御協力をいただいて。
逆のお尋ねです。これをなぜ昨年十二月までほっておいたんですか。事件が十八年六月に起こって、二年半なぜほっておいたか。お尋ねします。
○小川政府参考人 お答えをいたします。
この本件事故につきましては捜査当局による捜査を優先してきたということでございまして、捜査の結果、新たな検討事項が生じた場合には、改めて事故対策部会等におきまして再発防止等の対策の検討を行うこととしていたところでございます。
しかしながら、捜査の結果が明らかにならないまま二年以上が経過したことを踏まえまして、昨年六月に国土交通省の方から警察庁の方に、こういう社会的な関心が高く、かつ再発のおそれの大きい建築事故に的確に対処していくため、相互に連携協力し情報交換をしていく旨の申し合わせをいたしました。
これを踏まえて昨年十月十五日に警視庁に申し入れをし、昨年十二月三日に、警視庁の協力のもとで審議会の専門委員等が調査を行うということになっております。
また、こういった経過を踏まえまして、本年二月六日に、社会資本整備審議会のもとに、事故原因解明に関する調査あるいは再発防止策等の検討を行う組織といたしまして、常設として昇降機等事故対策委員会を設置いたしまして、この委員会につきましては、警察庁と協議を行い、重大事故の場合には、事故発生直後から、警察の協力のもと、建築の部局、これは地方でも建築の部局がございますが、そういう部局が事故現場への円滑な立入調査、こういったものが実施できるといった体制を構築したところでございます。
○小川(淳)委員 野田大臣に、これは重大事故だという前提で評価をお伺いしたいんです。
これ、調査まで二年半かかったことと、送検まで三年近くですか、二年八カ月……(発言する者あり)ですか、かかったことは、消費者行政、後続の事故を防ぐ、あるいは被害者の感情に救済を与える、いろいろな役割があると思いますが、遅きに失すると思いますが、御判断いただきたいと思います。
○野田国務大臣 このエレベーターの事故は本当に痛ましいもので、市川さんそしてお母さんには、心からお悔やみ申し上げたいと思います。
こういう痛ましい事故があったがゆえに、やはり我々は、迅速な対応ができる行政組織を持たなければならない、その犠牲を無駄にしてはならないということで、速やかにその中核的な役割を担う行政組織としての消費者庁の創設に向けて、今皆さんと力を合わせて頑張っているところだと理解しております。
○小川(淳)委員 やはり時間がかかり過ぎでしょうね。二年半調査もできない。あるいは送検、これだけはいろいろな要素があるでしょうね、捜査に関しては。これは何とも私も申し上げにくいところはありますが、しかし、警視庁がブレーキ異常だと断定した、これは事故の二週間後ですよ、報道ベースで。やはり、本当に親身になってどんどんやるべきことを進めていけばもっともっと早い解決がこの事件に関してもあり得たんじゃないかと思いますし、消費者担当大臣としてのお立場からいえば、この被害の救済もそうでしょうし、それから、何より再発防止に向けても、多くの方々に安心感を抱いていただけるような施策が必要なんだと思います。
そこで、ちょっと構造的な問題点を指摘したいと思いますが、お配りをした資料の二枚目をごらんいただきたいと思います。これは、被害に遭われた方々を弁護しておられる弁護団からいただいた資料でありますが、下線部、今回の事故は、警察当局もそれから国交省も保守点検の不備だということを認識しておられると思います。これは事件に至るまでの保守点検の推移を示したものであります。もともとエレベーターの製造会社であるシンドラー社が、そのまま平成十四年から十六年まで保守点検を行っておりました。そして、十七年に日本電力サービスにかわっている。十八年に、今回容疑の対象となりましたエス・イー・シー株式会社に保守点検が移っています。 これは保守点検ですから、場合によっては十分な費用と人手をかけて、手間をかけてやっていただく必要があると思いますが、もともと四、五百万かかっていた保守点検が、事件を起こした、容疑の対象になっているエス・イー・シー株式会社では百二十万で保守がなされている。これで十分な保守点検ができたかどうか。これは、事故の再発防止という観点からも極めて重要な視点だと思いますよ。
この点に関しては、既に、公正取引委員会にきょうお越しをいただいていると思いますが、対処をされたのは二〇〇二年ですね。ちょっとこの間の経緯、勧告の内容も含めて御報告をいただきたいと思います。
○竹島政府特別補佐人 お答え申し上げます。
二つのことをちょっと混同しておられるのではないかという心配を今しつつ答弁席に立っているんですが、公正取引委員会が問題にいたしましたのはシンドラー社の件ではございませんで、平成十四年の六月に、三菱電機ビルテクノサービス株式会社が、独立系のエレベーターの保守点検業者から三菱電機製のエレベーターの保守に必要な部品の調達依頼があったのに対して、一言で申し上げますと取引妨害をした、必要のないのに納期をおくらせた、それから納入価格が他の相場よりも高かったということによりまして、独立系の保守点検業者の業務を妨害したということでもって排除勧告をいたしました。それは平成十四年の七月に決着を見ております。
○小川(淳)委員 二〇〇二年の排除勧告は三菱系列だとお聞きをしています。しかし、公正取引委員会委員長、せっかくお越しいただいたのであれなんですが、エレベーターの保守分野が非常に寡占的な市場だという基本的な問題意識はお持ちなんでしょう。それなしで単に排除勧告をやっているんですか。
○竹島政府特別補佐人 私どもは、独禁法に違反する事案につきまして、関係人からの申告であったり、または公正取引委員会が職権によって探知をしたという場合に、それを審査して、違反行為が認められる場合には勧告をする、命令を出す、こういうことをやっているわけでございます。
ただ、背景といたしましては、委員御指摘のとおり、エレベーターにせよ立体駐車場にせよ、主要なメーカーというものが大変大きなマーケットシェアを持っております。それで、そのメーカーが自分の子会社として保守会社を持っている。したがって、縦系列になっていまして、三菱は三菱、東芝は東芝というふうになっているわけですが、これらのマーケットシェアが非常に高い。それに対して、独立の保守業者というのがいるわけで、彼らは、主要なメーカーの保守業者に比べると安い価格でもって一生懸命仕事をしている。
私どもとしては、そういうときにいわば公正な競争が行われる、その結果として需要者にとってよりいいサービスがより安く得られるということが望ましいわけでございますので、その保守業者間の競争がちゃんと行われるように、大きなシェアを持つ、その結果として、いわば優越的地位の濫用であるとか取引制限とか拘束条件をつけるとかというようなことが行われないようにウオッチをしている、こういうことでございます。
○小川(淳)委員 御答弁のとおりで、単に三菱ビルテクノがどうだこうだ、三菱が独立系の会社に対して部品の納期をおくらせたとか、そういうことに対して、今回は具体的に二〇〇二年に勧告されている、これは確かに個別の問題ですよ。しかし、それらを受けて、平成十五年に発表しているじゃないですか。マンションの保守管理に関して、エレベーターの保守分野のような寡占的な市場構造、これに対しては十分な監視が必要だとみずからおっしゃっているじゃないですか。
それで、大臣、基本的な問題意識として、エス・イー・シーが悪いとかシンドラーが悪いとか言っている分にはまだまだ問題の本質に行き当たっていない可能性があるわけです。 それで、資料の三枚目もあわせてごらんいただきたいと思います。
今回、あえて国土交通省にお願いをして、エレベーターの保守点検に関して調べていただきました。三段に分かれておりますが、一番上、日本エレベーター協会の会員企業、これはいわゆる大手メーカー系です。公正取引委員会は御存じだと思いますが、シェアが八割から九割近いと言われています。エレベーターの保守点検業界においてですよ。二番目のエレベータメンテナンス協会と、三番目、エレベーター保守事業共同組合、この二つの協会は、いわゆる独立系と言われていますが、大手メーカー系以外。ですから、この二つのグループが必死に残り一割から二割のシェアを奪い合っているわけです。
下に少し注記をしております、注の三番をごらんいただきたいと思いますが、エレベーター協会の会員会社は九十八社、全体で六十三万件の保守管理をやっていますから、一社当たり大体六千台から六千五百台。独立系は、二グループともに一万台余りを十八社、十七社で担当していますから、計算上、大体一社当たり八百から九百。ということは、さっき落札金額もごらんいただきました、ぎりぎりのマーケットの中で大変苦しい環境下に置かれている。
この表を見ますと、二〇〇二年がまさに公正取引委員会が排除勧告した年です。それから数字がとれた二〇〇七年まで、寡占状態はむしろ進んでいるんじゃありませんか。公正取引委員会、いかがですか。その後ウオッチしているんですか。何らかの対処をとっていますか。
○竹島政府特別補佐人 公正取引委員会がウオッチしていますのは、そういうシェアの大きいようなところがそうじゃない者に対して取引妨害をしたり、拘束条件的な取引をしていないかということ、その行為をウオッチしているわけでございまして、その業界がどういう構造になっているのか、寡占なのかそうじゃないのか、これは、我々はいわば与えられたものとして見ております。
したがって、その業界の構造改革をするという仕事を公正取引委員会がしているわけではありません。例外は、企業結合、合併の場合に合併を審査していますのは、それは予防的に、大きなものを認めてしまうと競争を実質的に制限することになりかねないということでチェックしていますが、そうじゃないケースにつきましては、今申し上げたとおりでございます。
○小川(淳)委員 仮にそうだとしても、これは警戒すべきでしょうね。こういう寡占市場で、どういう力任せのことがやられるかわからない。
そこで、国土交通省に何らかの警鐘を鳴らしましたか。国土交通省は何らかの対応をとりましたか。
○小川政府参考人 お答えをいたします。
御指摘の排除勧告、平成十四年のでございますが、公正な取引確保の観点から、いわば保守業者に対して保守用部品を不当に高い価格で販売する行為等をとりやめるよう勧告したものというふうに承知をしているものであり、私どもとしては、特段の対応というものはとっているものではございません。
一方、安全性の確保という点からは、当然、こういうメーカー系列か否かにかかわらず、エレベーターの保守管理が適切かつ円滑に行われることが重要でございます。先ほどの事故の後に設けられました建築物等事故対策部会の、これは平成十八年九月に出た中間報告でございますが、適切かつ円滑に保守管理業務がなされるよう、エレベーターの保守管理に必要な技術情報が関係者の間で共有されることが重要であるという指摘をいただいております。
これを受けまして、国土交通省といたしましては、建築基準法の施行規則を改正いたしまして、本年九月から、保守点検の内容、いわゆる保守管理マニュアル、これを確認申請に当たって添付する図書の一つに位置づけるということで、所有者がこういった保守管理マニュアルを所有し、それを関係の保守管理業者に提供できる体制を整えたというところでございます。
○小川(淳)委員 まず、野田大臣には、これは重大事故という前提で議論を進めていますので、業界構造がこういう構造だということについてもぜひ理解をいただきたいと思います。
関連してもう一点、今回送検の対象になった方だと思いますが、実際に点検をしていた方、この方は保守点検の資格を持っていなかったということが疑われていると思いますが、この点、警察の方にお聞きしましょうか、間違いありませんか。
○米田政府参考人 保守点検の資格は持っていたということでございます。
○小川(淳)委員 それでは、報道は誤りですか。
そうしたら、一般論にしましょうか。保守点検を行う資格に関しては、相当な割合の方々が、経歴を詐称するあるいは実務経験が足りない等々、虚偽の申請をしている、こういう実態があると言われておりますが、国土交通省、この点、いかがですか。
○小川政府参考人 お答えをいたします。
恐らく、御指摘の点は、平成十九年三月に、昇降機検査資格者が、これは講習などを受講することによって与えられる資格でございますが、受講するに当たり必要となる実務経験を詐称していたということが明らかになって、これは会社名でいうと、シンドラーエレベータで五十三名、それから、これは独立系の保守業者と伺っておりますけれども、株式会社ハインで十四名、そういったものが出たということがございました。 これにつきましては、当然ながら、国土交通大臣が定める要件を満たさないということになるため、資格を喪失させております。 また、その余の状況につきましては、業界等に調査を指示し、またサンプリング調査などもこの後実施をするという形になっております。
○小川(淳)委員 これは、経歴詐称等の虚偽で取得をしても何の罰則も行政処分もないんでしょう。いかがですか。
○小川政府参考人 処分としては、資格の取り消しという処分でございます。
○小川(淳)委員 野田大臣、こういうのはいかがですか。重要な保守点検に関連してエレベーターの事故がたび重なっているわけでありまして、この保守点検というのはこれからますます重要な資格なり業務になるんだと思います。これは虚偽で取得をしても取り消ししかないんですけれども、ぜひ罰則あるいは処分等を設けるべきだと思いますが、消費者庁の立場から、いかがですか。
○野田国務大臣 今の保守点検についてのお尋ねですけれども、新法消費者安全法第十六条一項においては、消費者被害の発生、拡大の防止を図るために実施し得るほかの法律の規定に基づく措置があり、かつ、消費者被害の発生または拡大の防止を図るため、当該措置が速やかに実施されることが必要であると認めるときは措置要求を行うことができると規定されておりまして、そういうふうに消費者庁は動いていくと思います。
○小川(淳)委員 罰則は必要なんですか、必要じゃないんですか。どう思われますか。
○小川政府参考人 お答えをいたします。
建築基準法の体系ということでございますが、一度できてしまった建物といいますか、適法につくられた建物がしっかりと適切に維持管理をされる、これが非常に重要で、特に不特定多数の方がお使いになるところについては重要でございます。これを踏まえまして、所有者あるいは管理者に、そういう適切な維持管理の状況を報告させる義務を課しております。もちろん、報告しない、あるいは虚偽の報告、こういった場合には罰則を規定しております。 一方、この検査の資格者でございますが、これは、所有者、管理者の義務を適切に履行することに資する目的で設けられたものでございまして、いわゆる不誠実な行為といったものについては、資格の取り消しといったような処分で担保しております。
もちろんのことながら、財産の被害でありますとか反社会的な行為、あるいは生命身体などに及ぼすような行為につきましては、これは一般的な刑法で担保しているというところでございます。
○小川(淳)委員 野田大臣、いずれ、もしそういう権限をお持ちになったら、これは罰則が必要だとかつけろとかいうことをおっしゃらないといけないわけですからね、御自身が。措置要求の是非を一々御判断されないとだめなわけですから、ぜひ、せめてシミュレーションといいますか、当事者意識を持ってお考えをいただきたいと思います。
そして、エレベーターに関してもう少しお尋ねしますが、審議官の御答弁の中でも触れられたと思いますが、幾つか改善点、今回の市川さんの事件を受けて、去年の四月以降、定期点検に関する改善点があろうかと思います。また、ことしの九月から施行される政令、政省令の改正部分がございますね。これの内容をちょっと御説明いただきたいと思います。
○小川政府参考人 お答えをいたします。
改善点といいますか改正点でございます。
一つは、昨年二月に建築基準法の施行規則の改正を行いまして、定期検査報告制度について、検査方法、エレベーターにつきましては、例えばワイヤロープのたわみといいますか、すり減り、摩耗、そういったものを具体的に計測した上でその記録を提出する、あるいは、ふぐあいがあった場合にどういう措置をしたのかといった内容もあわせて報告をしていくといった、検査方法等のより一層の具体化をいたしました。
それからまた、昨年九月に、これは技術基準の施行令を改正いたしまして、いわゆる今回の事故にありましたように、戸が開いたままエレベーターが動くということを防止するために、新しい、二重の安全装置を義務づけをいたしました。これは、本年の九月二十八日に施行する予定でございます。
それから三点目といたしまして、先ほど答弁させていただきましたいわゆる保守点検マニュアル、これについて、建築確認申請に当たって添付する図書の一つとして提出を義務づけをした。これも本年の九月二十八日から施行という、この三つの措置をしております。
なおまた、今回、送検等の事実があったわけでございます。これについて、さらに事故原因等について先ほど申しましたような昇降機等事故対策委員会によって調査中でございますが、またさらに、さらなる対策が必要であるということであれば、速やかに追加措置を講じてまいりたいと考えております。
○小川(淳)委員 ちょっと、そこなんですが、ことしの九月から施行される部分、安全装置を追加で設置する等々ございますが、去年の四月、これは保守点検に関連して、基準の明確化それから資格者の明記、結果表の添付などの義務づけを行ったわけですね。
その後、事件がまた多発したんでしょう、ことしの二月。この両者の関係はどうなっているんですか。あるいは、調査に行ったんですか、行っていないんですか。ことしの二月、再び、二月の十六日、新宿区の信濃町のエレベーターで転落死、二月二十五日、兵庫県の姫路市でやはりこれは転落と思われる事故死。いかがですか。
○小川政府参考人 お答えをいたします。
新宿のエレベーターの事故及び兵庫県姫路市のエレベーターの事故、ともに事故発生直後から警察の協力のもと、特定行政庁であります都道府県、市等が事故現場への立入調査を実施するとともに、この昇降機等事故対策委員会の委員等が立ち会い調査を行っているところでございます。
このように、非常に迅速に事故原因調査についての立ち上げを行っているところでございますが、現在、警察当局と連携をとりながら、その事故原因の解明に当たっているところでございます。
現在のところ、まだ特定はされておりませんが、事故原因の解明に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
○小川(淳)委員 こういうのは完全にというのは、ひょっとしたらそれはなかなか難しいのかもわかりません。しかし、対策が後手後手に回っているようでは、こういう事故は防ぎ切れないと思いますし、保守点検に関するマニュアルを建築確認に添付するようにしたとお聞きいたしましたが、その内容についてはどうなっているんですか。何か標準化されているんですか。こうこうこういうことで保守点検をやりなさいということが建築確認のときにきちんとルール化されているんですか。そこはいかがですか。
○小川政府参考人 お答えをいたします。
それぞれのメーカーによって機種が、もちろん構造、設計的に違うわけでございますので、それぞれの会社によって今はどういったものを点検マニュアルとして添付するかということはお願いをしているところでございますが、私どもといたしましても、当然関係者の間で、先ほど申しましたように、情報の共有が適確に図られるということが重要でございますので、そういった標準的なものになるのかならないのか、そういった検討は今後とも進めてまいりたいと考えております。
○小川(淳)委員 大臣、お聞きのとおり、建築確認のときの保守点検の内容については、まだ標準化されていません。それはもう、幾らやってもこれは事故を繰り返すということ、現実はなかなかそうなのかもわかりませんが、とにかくそういうお立場に立たれて、これからより大きな権限を持たれるとしたら、こういうことにやはり口を出していかないとだめなんでしょう。口を出して手を出してやっていくことこそが、消費者の立場からすれば求められているんだと思いますよ。
きょうお聞きしました、国交省の調査、二年半後、これは遅くありませんかと大臣にお聞きした。そして、資格の不正取得に関する罰則がありません、これは消費者の立場からすると不足じゃありませんかというお尋ねをしました。そして、この建築確認に対する保守点検の内容、標準化されていないこと、これもぜひ私は大臣に、標準化すべきだという措置要求をするに該当することじゃないかと思います。
以上三点、もう一回いかがですか。(野田国務大臣「消費者庁ということじゃなくて、今ですか」と呼ぶ)いや、将来的に。
○野田国務大臣 将来的にという話でありますけれども、今のように、罰則を設けるとかそういうことを国土交通省に働きかけること、これは消費者行政担当大臣の勧告権の中に含まれると考えていますけれども、今のような個別の本事案につきましては、今ここで予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきます。
○小川(淳)委員 こういうことは、一義的には所管官庁だという定例的なお答えの仕方があるんでしょうけれども、それを言い続ける限り、これはやはり被害者の、積極的にやっていきますとか、そういう御答弁がせめて出てこないと、これは利用者、消費者側からするとほとんど期待できないじゃないですか。
民主党の提出者はいかがですか、これは。権利院の立場からすると
。 私は、三つ申し上げました。調査に素早く入るべきだと言った。これだけの重大事故の遠因になっているはずの保守点検資格については、より厳しい規制なり罰則を設けるべきだと申し上げた。そして、保守点検の基準についても、建築確認のときからきちんと標準化してルール化すべきだということを申し上げました。この三つを前提に、権利院だともう少しはっきりしたことをおっしゃれるんじゃありませんか。いかがですか。
○階議員 お答えします。
私、弁護士時代に犯罪被害者の支援の仕事をしていまして、被害に遭われた方がどういうことを一番大事にしているかというと、まず一つは、真実が知りたい、それから、二度と同じようなことを繰り返してほしくない、この二点なんですよ。この二点について、被害者の立場、そこに立って仕事ができるかどうか、それがこの消費者権利院、我々の考えているものが対応できるというふうに思っています。
まず、我々は、消費者権利院法の三十一条によって、このような事件が起きた場合に、消費者権利官が、国交省や自治体や警察などに資料の提出を求めることができます。それから、三十四条によって、独自に立入調査を行うこともできます。 また、原因究明のことについてなんですけれども、二十九条二項によって、我々の消費者権利院法案では、国民生活センターを消費者権利院の組織に取り込んでいることによって、商品テストをしっかりと行うことができる。また、五十三条一項によって、専門的知見を有する国の研究機関や大学等に協力を依頼して分析を行うことができる。
以上のような原因究明に基づいて、必要があれば、行政処分の勧告であるとか、あるいは立法提言などを行う、こういうことを我々はやろうとしております。
○小川(淳)委員 ぜひ期待したいと思いますし、野田大臣、これは、私、前回、建築基準法を何で所管しないんだ、口出せるような関係をつくらないんだというお尋ねをしたときに、こうお答えになりましたよ。この法律は、建築物の利用が消費者である場合とその他の場合で差を設けていない、必ずしも消費者が利用する建築物に限って基準を定めているものではないという御答弁をされました。
確かにそうでしょう、消費者だけが利用するわけじゃない。しかし、消費者が利用するんですから、恐らく大半はそうでしょう、今の権利院のような積極的な御答弁がここで出てくるようじゃないと、これは消費者庁ができたって期待できませんよ。 以上申し上げて、質疑を終わりたいと思います。
○野田国務大臣 私も全く同じようなルーチンをたどると思っていますが、消費者庁ができた暁には、例えばこのようなエレベーター事故が起きたときには、速やかに緊急対策本部とかを設けまして、関係の国土交通省や警察庁と意思疎通を図りながら迅速な対処をしていくわけですけれども、必要な場合には建築基準法に基づく地方公共団体による違反建築物是正のための措置がとられるよう、国土交通大臣に対し、地方自治法に基づく技術的な助言または勧告を速やかに行うよう、新しい消費者安全法に基づき措置要求を行うことができるので全く遜色はない、しっかりやっていけると思っております。
○小川(淳)委員 ありがとうございました。
▲このページのTOPへ
|