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〜会議録(3月25日総務委員会)〜
○赤松委員長 次に、小川淳也君。
○小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。
福地会長におかれましては、一年二カ月、大変な御苦心、困難もおありだったかと思いますが、外目に拝見しておりましても、大変安定感のある御発言、御答弁、そして経営手腕、何か内部の信望も非常に厚いように、外目ですけれども感じております。まずは心から敬意を申し上げたいと思います。
福地会長の我が党内の勉強会における御発言の中で、視聴率にとらわれない番組づくりをやりたいんだと。これは本当に期待をしたい問題提起でございますので、主にこの点を議論いたしたいと思うわけですが、ちょっとその前に、二、三各論でお尋ねをしておきます。 小丸経営委員長におかれましても、御就任からわずかに三カ月、これも大変困難なお務めかと思いますが、これは残念なことかどうかわかりませんが、確認だけさせてください。 経営委員長の御出身であります福山通運の山陰地方の関連会社が、収納業務を請け負われてその業務に当たっておられる、この事実関係と、それから、そのことに対する御自身なりの是非の御判断をまず冒頭いただきたいと思います。
○小丸参考人 私は、みずからが経営委員という立場にあることは深く認識をしており、その職責を利用しての、特別な利益を図るというようなことは断じてございません。
御指摘のありました委託契約は、NHKが郵便事業会社との契約を廃止し、かわって山間部や遠隔地での契約収納業務を引き受ける業者がいなかったため、この地域に配送ネットワークを持つ福山通運に対しNHKから要請があったものであり、受信料の公平負担のお手伝いをしたという意味合いも含めてお引き受けをした次第でございます。
したがいまして、私が経営委員を務めていたことが契約に影響したことは全くございません。この件につきましては、私が委員長に選任された際、経営委員会に報告し、問題ないとの見解をいただいております。
以上でございます。
○小川(淳)委員 全部で五百六十件の徴収業務に百六十万円ということですが、たしかNHKさんの受信料というのは一カ月当たり千三百円前後ですか、これを収納するのに、平均しますと一件当たり三千円の費用がかかるというのは、事実関係は間違いございませんか。また、その点に対する評価はいかがですか。
○大西参考人 お答え申し上げます。
福山通運の業務を委託している地域は山間部であり、訪問すべきお宅が点在しているなど、収納業務に時間と手間が大変かかる地域となっています。また、委託している業務も、口座振替やクレジットカードの継続振替に応じていただけない契約者からの集金や、払い込みをお送りしたにもかかわらず、期日までに払い込みをいただけない契約者からの集金となっております。こうした地域、業務の困難性や他の委託業者との比較も踏まえれば、コスト的には十分見合っているというふうに考えております。
以上でございます。
○小川(淳)委員 物事のおっしゃり方もあると思うんですが、千三百円の受信料、一件あたり徴収に三千円かかっている。それはいろいろ地域的な事情もあるでしょう。
福地会長には、もう一年三カ月のお勤めですから重々御承知かと思いますが、現在、NHKに対する国民・視聴者の信頼度は約五割、受信料の収納率は約七割。昨年この質疑の機会をいただいたときにも指摘をいたしました。イギリスのBBCは、信頼度が七割、収納率が九割であります。非常に高い志を持ってこれからも改善に努めていただかないといけないわけですが、既に会計検査院からの指摘もあったと思います、全部でグループ会社が三十二法人、千四百件の委託業務のうち、千二百件は随意契約等々の数字もございます。 経営委員長、ここは改めて御見識をいただきたいんですが、運送関係でのお勤めから、新しい分野、しかも大変公共性の高い分野へ御就任された。その一点をもって、その事実をもって、今般、例えばこの総務委員会の関係でいえば、かんぽ施設の売却問題、あらゆる適正なプロセスをたどった結果オリックスが想定されましたというのが最初の御説明でありました。こういうことが議論になること自体を非常に抑制的に、謙抑の観点から、さまざまな取引関係、立ち居振る舞いを今後お願いしなければならないと思いますが、その点についての御見識だけいただいて、この点は終えたいと思います。
○小丸参考人 まず、いろいろな立場におきまして、冒頭先生の方からおっしゃいました収納業務につきましても、公平公正で、私どもの方の業務の一環としてそれをやっているのでありまして、そのあたりのところを御認識していただきたいと思います。
それから、経営委員会のガバナンスといいますか、執行部に対しては監督をもっと厳しくしていかなきゃいけないというふうに今後とも思いますので、そのあたりのところを、一生懸命業務に精通していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○小川(淳)委員 今おっしゃったとおりです。経営委員会は執行部を監督される立場におありですから、なおさらのこと。なおさらのこと、御自身の関連会社を含めて、さまざまなことには慎重な上にも慎重な御配慮をいただきたいと思います。
それからもう一点、少し気になる、昨年も議論させていただきました、NHKの雇用形態に関してでありますが、福地会長、現在世の中で派遣労働等に対する、これは本当に私は政治サイド、雇用市場の組み立て方そのものに関する責任が重大だと思っておるわけでありますが、NHKが盛んに人員削減をPRしておられること、これはこれで結構だと思います。いただいた受信料をできるだけ効率的に番組制作に専念をして反映していく、これはこれで結構だと思います。
そこで、五年前一万二千人近かった職員は、二十年度の見込みで一万八百人、千人以上の削減。これは計画どおり順調に進めておられるということでしょう。そして、来年度からさらに四百人程度の要員削減、純減で百人という計画もございます。一方、有期雇用が千七百名、派遣労働が一千名、全部で二千七、八百前後。
福地会長、昨年こういう御答弁をいただきました。ここ数年、派遣労働等の非正規雇用については、一定規模、二千八百人前後で大体推移をしているので、現在のところ、要員の削減が非正規の増加にそのままつながっているというふうには見ておりませんという御答弁をいただきました。これは、現在も同じ認識でよろしいですか。
○福地参考人 お答えから申し上げますと、昨年と同じお答えでございまして、非正規雇用の職員を今大幅に減らすことは全く考えておりません。いずれも大変いい仕事をしていただいております。それから、正規雇用についても、十六年の不祥事以降、受信料が大幅に減りました。そういった関係で、人員削減も三年間で千二百名ということをいたしまして、もう今ほぼ限界に近づいております。
そういったことで、正規、非正規を問わず、当分の間はそう大きな人員の削減は私はないというふうに考えております。
○小川(淳)委員 福地会長の、大体非正規雇用が二千八百人前後でそんなに大きく推移していないという御答弁、これは、ここまでは確かにそのとおりです。しかし、よくよく中身を見ますと、有期雇用契約は、五年前一千九百名、現在一千七百名、雇用期間が限定された職員数は確かに二百人ぐらい減っているんですね。
一方、派遣労働、これは今世の中で最大の問題になっています。派遣労働は、同じ五年前七百名前後から、現在一千名を超えている。これは、同じ非正規雇用というくくりの中で見ても、さらに不安定な方へ移行しているんじゃないですか。いかがですか。
○福地参考人 これは人数から割り出したものでなくて、仕事の内容から結果的にそういうふうになったというふうに判断をしております。
○小川(淳)委員 ここはやはり財界の御出身であるだけに、経営委員長もそうです、会長もそうです、一概にこれを悪いとは私は言えないと思います。むしろ、この雇用市場の組み立てを成長期のままほったらかしている政治の責任が重大だと思います。しかし、NHKという公共放送体ですから、その体質、体の成り立ちそのものが、やはり弱い立場にあられる方々にしわ寄せをしたり、あるいは同じ労働をしているはずなのに非常に賃金が低められていたりということであってはならないと思いますので、この点は引き続き、ぜひ経営陣としても御留意をいただきたいと思います。改めてことしも指摘をしておきたいと思います。
さて、現在、平成十六年の不祥事以降、途中インサイダー取引等もございました、引き続き、NHKは信頼回復に向けた途上にあるというふうに理解をしたいと思います。
そこで、NHKの約束評価報告書、昨年の五月に発表されたものを拝見いたしました。約束評価委員会というのはどういう組織で、NHKの事業に対してどんな役割を果たそうとしているのか、改めてちょっとそこを確認させてください。
○金田参考人 約束評価委員会は、平成十七年度から、会長の諮問機関としてスタートしました。今年度までのめどでありまして、基本的には、執行部が事業計画に基づきましてお約束をした上で、その約束の達成状況を外部の客観的な目で評価いただく、そういう諮問機関でございます。
十九年度の評価が最近のものでございまして、二十年度の評価が六月に出る予定でございます。その時点で新たに、先ほど御説明をしました、視聴者視点によるNHK評価委員会に改組する、そういう計画になっております。
○小川(淳)委員 拝見しますと、さまざまな角度から、いろいろと指標を整理しておられます。
これは資料をお配りすべきだったんですが、まことに申しわけありません、ちょっと口頭で御説明しますが、幾つかのNHKに対する評価指標を、約束委員会が五点満点で評価しています。一方、一般視聴者の方々の調査結果をわざわざ併記して、同じく五点満点で評価されている。
一番目、放送の信頼性に関して、一般視聴者の方々は五点満点の三・二ポイント、評価委員会は三・八、割高な評価になっています。経営に対する信頼性、一般は二・四、評価委員会は二・八。必要性に関しては、一般が三・二に対して評価委員会は三・九。社会貢献は、三・二に対して評価委員会は四・一。効率性に関しては、二・七に対して三・一。これはいずれも内部に甘いんじゃありませんか。いかがですか。
○金田参考人 今御指摘の数字は、十九年度の評価報告書に載っている数値かというふうに思います。
御説明のように、信頼性、必要性、社会貢献、効率性・効果性につきまして、四項目、九ポイントにつきまして評価をいただいていまして、五が十分達成している、一が全く達成していない、この評価でございます。その数字が、視聴者にお聞きした数字と委員会の評価が違っているという御指摘でございます。そのとおり、違っております。
まず、視聴者にお伺いしたのは、そういうことで十分達成しているとお考えかどうか、それでお問い合わせをして平均を出したもの、こういうことでございます。
それで、NHKの評価委員会の方は、放送サービスやイベント、受信料の公平負担など視聴者から見えやすい部分については視聴者の調査というのは有効であろう、内部統制の仕組みとか効率的な事業運営など経営に関する部分の評価については、視聴者調査等の定量分析だけでは実態把握は難しいということで、約束の項目、これは全部で細目が二十三項目ございます、それを評価委員会の方で評価されまして、その評価結果を、先ほどの信頼性、必要性の四項目、九ポイントと相関の分析をした上で、それを四項目、九ポイントに評価し直している作業をされています。つくり方が違いますので、その結果、評価レベル、数字のレベルは違っております。
しかし、その結果、先ほどの中でも、放送の信頼性、あるいは必要性(役に立つ)、社会貢献(質の高さ)(影響力)(先見性)、これらは視聴者の評価も委員会の評価も相対的には高いところに位置しております。一方、経営の信頼性、必要性(親しまれる)(接触の度合い)、この辺が低く、また効率と効果性も相対的には低い評価になっています。
ということで、このたび計画しました三カ年計画では、特に、この低い経営の信頼性とか、必要性(親しまれる)(接触の度合い)、効率と効果性、こういうところに重点を置いた経営計画を策定しているというところでございます。 以上でございます。
○小川(淳)委員 こういうものは、わざわざ外部の先生にお願いしてやっているわけでしょうから、全体の信頼性を高めるためにも、むしろ一般より厳しい評価をするぐらい、中をごらんになったからこそあっていいと思いますよ。数字の調整という御説明は、後づけでは可能でしょうが、むしろ報告書全体の信頼にかかわると思います。
その点を指摘した上で、福地会長、おもしろい考え方だと思いました。このバリュー・フォー・マネーですか、ヨーロッパで公共サービスの費用と便益をはかる観点から発達した概念だと思います。 それによりますと、NHKに対して受信料をこれぐらい払ってもいいなと思う方々の平均値が千八百十四円、実際の受信料が総合テレビですと千三百円余りですから、五百円ぐらい視聴者が払ってもいいと思う金額が多いわけですね。これは真に受けていいんですかね、さっきみたいな話からすると。また、こんな計算もされています。事業の支出額が六千億、一人当たり千八百円払うとおっしゃっているということは、それに契約数を掛けますと一兆円近い、だからNHKは費用対効果が一・五倍だ、一・六倍だという説明がありますよ。
これは、概念の立て方としては私は否定しません。しかし、さっき申し上げました、そもそも徴収率、収納率は七割ですからね。それは払いたくても払えない人もいるでしょう。いろいろな思いがそこは複合していると思いますが、これは、やはりせっかくこういう報告書をつくられるのなら、一人当たり千八百円、これに契約者数を掛けますと一兆円だというような甘い評価をあえて公表されるというのは、十分注意が必要だと思います。
会長、ごめんなさい、もう時間が切れました。この点と、それから、どうやって視聴率にとらわれない番組づくりをするか。これは私、財界におられたから余計に思うんですが、アサヒビール、会長が以前おられた会社は、果たして、収益を伸ばすことと経費を小さくすること、この二次元的な物の考え方から、どうやって社会貢献とか公共性とか公益性とかいうものを入れていくのか。これは二十一世紀的な課題だと私は思います、去年の秋以降特に。
そこで、先ほど来、過剰な報道等についても議論になっていますが、これもやはり視聴率に引っ張られている結果が多分に影響していると思います。こういう、もちろん視聴者の側からの満足度と、それから視聴率にとらわれない番組づくりをするとすれば、具体的にどうすればいいのか。これは会長の一般的な御見解をいただくにとどまると思いますが、最後にそれをいただいて終えたいと思います。
○福地参考人 実は、今年度の上期、ゴールデンタイムでNHKが、NHKができて初めてだそうなんですが、視聴率ナンバーワンになりました。私は、放送関係だけじゃなくて、広報も、いろいろな部門をひっくるめまして幹部を集めまして、なぜとれたかというのは、視聴率をねらわなかったからとれた、そのとおり申しました。
前職の場合でもそうですけれども、ビール四社ありまして、四社、シェアを低くてもいいと思っているところは一人もありません。みんなやはりシェアが上がりたいと思っています。同じように、我々放送業界の中でも、視聴率を上げたいと思っております。
しかし、視聴率を上げるということが先に来てしまいますと、相手が何をしているかということが気になってしまって、まず自分が本当にお客様に対して、お客様が求めている番組をつくっているのかどうか、それがおざなりになります。まずはやはり足元を見てきっちりとした番組をつくるべきだ。
例えば、紅白歌合戦で四二%になりました。なぜか。「歌の力 ひとの絆」という、歌に力を入れたからだ、いろいろな応援団とかなんとかじゃなくて、歌に力を入れたからよかったんだ。オリンピック放送も、オリンピックのスポーツ報道に力を入れたからよかったんだ。まずそういった、お客様が何を求めているかを中心に見てほしい、その結果だということであります。
以上であります。
○小川(淳)委員 ありがとうございました。
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