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〜会議録(3月18日消費者特別委員会 総理質疑)〜
○船田委員長 次に、小川淳也君。
○小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。
与党の委員の方々が非常にロープ際に追い込んで答弁のしようがないということで、民主党の提案者の方は大変フラストレーションをためておられると思いますが、少々お時間をいただきたいと思います。
麻生総理、ようこそ消費者委員会へお越しいただきました。麻生総理大臣、ここ数年来の消費者事案とおっしゃっておりますが、歴史は長いですよ。ミルクに砒素が入っていたのが一九五五年、イタイイタイ病や水俣病といった公害病もありました。にせの牛缶が見つかり、サリドマイド事件、カネミ油症にスモン病、サラ金被害に薬害エイズ、マルチ商法にからしレンコン、ガス湯沸かし器に豊田商事、C型肝炎にコンニャクゼリー等々、大変歴史の深いこの消費者問題、ぜひこの間の犠牲者の方々また遺族の方々、御家族の皆さん、そしてその方々を支援しておられる方々の思いをよくよく拝察しながら、短時間ですけれども、議論をさせていただきたいと思います。
総理と野田大臣、ちょっとこれは細かく御準備いただいていないと思いますので、お答えになれる範囲で結構です、お考えをいただきたいと思うんですが、午前中の審議でありました、千八百の法律が世の中にはあります。このうち消費者庁に移管するのは二十九、専属で担当するのは九、そのうちもともと内閣府が担当しているのが六本です。私たちは、大きな看板を掲げられるわけですから、思い切って消費者庁に説明のつく限り移したらどうかという議論をしております。
平成十八年、シンドラー社のエレベーター事故で、市川大輔さん、きのうも本会議で議論になりました。高校二年生、まだまだ将来がある中で命を落とされました。私自身、高校球児だったからかどうかわかりませんが、大変にシンパシーを感じております。お母さんの正子さんは、本当に一生懸命、これを何とか解決したい、消費者庁にすごく期待しているんですよ。
しかし、消費者庁ができたって、これは建築基準法ですね、エレベーターは。消費者庁の所管法律には全くならないんでしょう。
総理、消費者にとって身近な法律を消費者庁に移すとおっしゃるんなら、耐震偽装事件もありましたよ、三年前。エレベーターの事故もあった。対処をして、ことし二月にまた二名亡くなりました。総理、ぜひこれは移すように御指示いただけませんか、消費者庁も関与できるように。総理にお聞きしています。
○野田国務大臣 個別の法律案のことにつきまして、担当の大臣から答えさせていただきます。
建築基準法は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低限の基準を定めることにより、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする法律である。同法は、住宅、事務所、店舗、学校、病院等の建築物が備えるべき構造、建築材料、形態等の最低限の基準を定めているが、建築物を利用する者が消費者である場合とその他の場合で差を設けておらず、必ずしも消費者が利用する建築物に限って基準を定めているものではない。また、いわゆる集団規定として、良好な市街地環境を確保するための基準についても定めているところであります。
このように、同法については、その目的及び規制内容に照らし、消費者庁の所管とはしなかったものでありますが、必要がある場合には、消費者安全法に基づき、内閣総理大臣が国土交通大臣に対して必要な措置を要求することができるとします。
なぜ所管しないのかということでありますけれども、仮に消費者庁が消費生活に何らかのかかわりがあると考えられる法律のすべてを所管するとした場合には、広範な分野の専門家等を集めた巨大官庁をつくることが必要になります。
消費者庁としては、こうした考え方はとらず、消費者行政に関する政府全体の司令塔として機動的に対応する簡素で効率的な組織としつつ、所管していくことが不可欠な法律二十九、とりあえず二十九を所管することとし、その他の法律については、必要に応じて所管する各省庁に対し措置要求等を行っていくこととしており、こうした役割分担が内閣全体として適切であり、かつ効率的に消費者の利益の保護を図ることができるものと考えております。
○小川(淳)委員 そんなことを言っているから、半世紀にわたって引きずっている消費者問題がずっと今まで残っているんでしょう。
これは、資料をお配りしましたが、総理もごらんになってください。
保険金の不払い事件、保険業法、これは金融庁ですよ、消費者庁に移管対象外。カードのスキミング事件ありましたよ、偽造・盗難カードの預金者保護法、これも対象外。振り込め詐欺の救済法、対象外。消費者金融、対象外。やみ金、対象外。円天、対象外。ガス器具、対象外。これは全部対象外じゃないですか。
これは全部役所の都合、国民の側から見たら関係ないんですよ。国民が求めているのは、真摯に相談してくれる機関、原因を究明してくれる機関、そして救済に働きかけをしてくれる機関、そして、二度と同じような思いをする人をつくらないでください、そのために活躍してくれる機関が欲しいんですよ。
民主党、ちょっとストレスがたまっていると思いますが、国民が求めているのは、どの法律が所管だとか一部共管だとか、そんなことじゃないでしょう。消費者の気持ちに立って、相談を受け付けて、救済してくれる機関を求めているはず。その点、民主党の考えをお聞きしておきたいと思います。
○枝野議員 委員御指摘のとおりでありまして、また、野田大臣がおっしゃられたことも全くある部分は同感です。
つまり、世の中にある森羅万象のさまざまな事象、ほとんどのことが消費者と関連をしています。ですから、世の中の法令のほとんどすべてが消費者と関連をしています。
これに対して、従来の日本の行政システムは、明治以来百年余り、分担管理という仕組みでずっと動いてきました。これが日本の行政システムの古典的な考え方です。残念ながら、今回の消費者庁設置に当たっても、政府は、この行政の分担管理という古い構造の中で、何とかそこに消費者庁を位置づけようということをお考えになったのではないかと思います。
これは、業種ごとに、あるいは事業ごとに縦割りで各役所をつくって所管を持たせるということになっていますので、その隅っこに消費者庁をつくっても、所管は非常に狭いものになったり、他の役所が所管を離さなくて、せいぜい共管にすぎなかったりということになります。 今やらなければならないのは、各業種の種類とかに関係なく、常に消費者の立場に立って、横ぐしで消費者の立場で行動する仕組みをつくらなければいけないということなので、従来の内閣制度のもとにおける分担管理の縦割りの枠の中で幾ら組みかえをしても、抜本的な解決にはならない。
ですから、我々は、その内閣の縦割り行政の外側に、だけれども、広い意味では行政の内側に、横ぐしで、あらゆる問題についてすべて自分たちの主たる役割として所管できるという形を考えるならばこういう形にしかならない、こういう帰結になったわけであります。
○小川(淳)委員 法律を所管するとかなんとかという議論に余り費やしても、消費者の側から見れば不毛ですよ。いっそ、すべてに対してオールマイティーで対応するという議論があっていいと思いますよ。
総理、各法律には必ず業界団体があります、監督している業界団体がある。その先には天下りしている役人がいっぱいいますからね。またこれは、時間のあるときに議論をさせていただきたいと思います。
私、総理のこの間の御発言で、経営者としてのお立場を強調されるシーンというのをよく拝見してまいりました。いろいろな会社の経営の御経験があるんでしょう。
少し気になるものも含めて、幾つか、過去のものでありますが、平成十九年の五月の外務委員会、経営者というものはもうからなきゃいけないんですよ、極めて簡単です、赤か黒か、それだけですから、もう答えは紙一枚、それが赤になるか黒になるかにしか興味がありませんからねと一人称で語っておられます。
経営者からこっちの世界に、実業から虚業、これは政治が虚業という意味ですか。ぜひ実業にしていただきたいと思いますが、内閣総理大臣の力で。
そして、平成十七年の十月、これは大丈夫ですかね、天下りに関してこうおっしゃっていますよ。経営者としては、天下りをしないといって定年ぎりぎりまで全員雇うと、よっぽどコストがかかって大変なことになる、そっちの方がむしろ気になりますというような発言もございます。
総理、今回の消費者庁の設置法案は、長らく続いてきた生産者側に立った行政、産業振興を、消費者の目線、生活者の目線に大きく切りかえていくというのが主眼だと思います。総理からこの間伝わってくる生活実感といえば、ホテルのバーがどうだとかカップラーメンの値段がどうだとか、そんなことしか伝わってきませんよ
。
総理、本当に被害者の方々、一般の生活者、庶民の生活感情、こういうことをしっかり踏まえて消費者行政に当たっていただく必要があると思いますが、御決意をいただきたいと思います。
○麻生内閣総理大臣 基本的に、暮らしの安心と安全ということ、これは最初からずっと言ってきたんだと思いますが、政権の主要課題の一つとして、消費者庁というのは九月に出させていただきました。しかし、今日まで審議されなかった。どういうわけだか知りませんけれども、審議をされなかったのは大変残念だった、私どもはそう思っております。
しかし、この種の問題に関して、我々は今、消費者にかかわる問題がいろいろ出てきております。カネミ油症というのは私どもの選挙区のすぐ近くの話でしたので、私どもはそういった話をかなり昔から知っておるところでもあります。そういった意味で、私どもとしては、この問題というのは長い間、昔はちょこちょこ、たまに出ると大きな事件でしたけれども、最近は、このところ頻繁に輸入のものに関しましても多く出てきておるというような事態というのは、今回のお米のカビの話にしても、いろいろな輸入されたものがそういったものが出てくるというようなことになってくると、これは国内の製造業だけをというような話とは少し違ったものになってきておるという状況は、明らかに被害者の枠が広がる、確率が広がるということを意味しております。
そういった意味では、この消費者庁をつくって、消費者側に立った行政をやるという重大性というのは、これは極めて大きくなってきておるのであって、当然のこととして、それに対応すべき政治の場として、我々としては真剣にこれを考えて、今回の消費者庁法案を出させていただいた背景であります。
○小川(淳)委員 総理から、経営者側に立ったような価値観を何度も聞いてきたわけでありますが、経営団体、日本経団連それから同友会は、消費者行政に関しては、みずからの判断と責任において主体的に選択ができる自立的な消費者を育成することが行政に求められるとか、これは本当に時代に合った価値観で物をおっしゃっているのかどうか、私はこの点、非常に疑問に思っています。
総理の経営者側に立った発想とこの経営団体の意見、それから自民党政治そのもの、今政治献金のあり方がいろいろ議論になっていますけれども、例えば経団連の会長はキヤノンでありますが、これはどのくらい献金しているんですか。総務省、ちょっとお越しいただいたと思いますが、自民党の政治団体、国民政治協会に対するキヤノンの献金額、直近の報告でどのくらいになりますか。
○佐村政府参考人 お答えいたします。
今お尋ねのありましたキヤノン株式会社につきまして、財団法人国民政治協会の平成十九年分の収支報告書を確認いたしましたところ、年間五万円を超える寄附として、キヤノン株式会社から五千万円と記載があるところでございます。
○小川(淳)委員 これは時間をかけて本当はもっと議論したいんですが、国民政治協会が十九年度に収入したのは四十一億円、そのうち企業・団体献金は三十五億ですよ。一千万以上献金した会社、団体が八十六者、こういうもので成り立っているんですよ、今の政治というのは。それで消費者、生活者と言われたって、実感がこもりませんよ。政治献金と政治構造、また、先ほどの各省縦割りではありませんが、官僚の利権とか官僚の発想とかを乗り越える消費者行政、今回、この消費者庁の設置法案をぜひきっかけにさせていただきたいと思います。
ちょっと時間が限られておりますので、同僚議員につなぎたいと思います。ありがとうございました。
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