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〜会議録(4月22日総務委員会)〜

○小川(淳)委員  民主党の小川淳也でございます。

 きょうは年金に関してお尋ねをしたいと思います。ただ、その前に、大臣、ちょっとくどいようで申しわけないんですが、道路に関して二、三お尋ねさせてください。

 福田総理は、来年度から道路財源を一般財源化するということを明言されました。これは、地方分もそうですね。

○増田国務大臣  お話しのとおりでございまして、地方の財源の分についても一般財源化をするということでございます。

○小川(淳)委員  としますと、現在、地方税法で道路財源を十年間延長する法案を参議院に送られておりますが、この法案とその方針は矛盾するということをお認めいただけるかどうか、また、これをどう対処されるか、お尋ねいたします。

○増田国務大臣  一般財源化をするということをはっきりと明言しているわけでありますので、そういたしますと、今政府の方で閣法でお出しした法案でございますが、我々の方でそれを修正することはできませんけれども、いずれにしても法律的な手当ては必要になるということでございますので、必要な時期に、またそうした法律的な手当て、必要なところは手当てをしていかなければならない、このように理解をしております。

○小川(淳)委員  少なくとも、来年度から一般財源化することと現在大臣が責任者として提出しておられるこの法案が大きく矛盾していること、その点については厳重な認識をお持ちいただいた上で、今後議論を重ねてまいりたいと思います。

 最後に、私ども、この点、強く反対をする立場ですから軽々に議論しにくい点でありますが、既に与党は、三分の二の衆議院内の勢力をかさに着られまして、再議決の方針をちらつかせておられる。これに対しては強く抵抗なり反対を申し上げるつもりでありますが、それはそれとして、世の中、特に石油業界、ガソリンスタンドを初め大変多大な迷惑をかけたこの間の経過を踏まえますと、一体いつからガソリン税なり軽油の税率が引き上がるのか、これは国民的な関心事であります。世上、四月の二十九日とか三十日とか、再議決のXデーが語られておりますが、仮に四月三十日と想定をいたしますと、軽油に関する暫定税率は何月何日から上がるんですか。

○増田国務大臣  これは立法府の方の御判断の話なので、内閣の一員として、仮定の話なのでお答えできません。

 できませんが、一般論として、石油の関係、今回出している法案ということではなくて一般論として言えば、御案内のとおり、不利益なものについて遡及適用はできないということが税法上の大原則でございます。不利益処分につながるようなものについて遡及適用はできないということでございますので、一般論でございますが、仮に現在の法案が国会で成立をいただいた場合には、基本的に公布日以降に適用される、こういうことになろうかと思います。

○小川(淳)委員  はっきりとお答えになれないお気持ちもわかりますが、これは石油業界なり国民生活に大変大きな再混乱を強いることにつながりますので、ぜひその点、特に課税の関係ですから、事前の周知なり可能性の披瀝なりということに対しては、政府として責任を感じていただき、または努力をしていただきたい、そのことを改めて申し上げたいと思います。

 さて、年金の話でありますが、五千万件の記録が不明となり、現在、特別便の送付を初めとして懸命の努力をしておられる、この点は前提とした上で議論をさせていただきたいと思います。

 まず確認させていただきます。この記録の不明問題、この責任は政府にありますね。その点、確認させてください。

○吉岡政府参考人  お答え申し上げます。

 昨年の十月三十一日に、総務省の年金記録問題検証委員会で報告がございました。これにつきましては、私ども、政府の一員として年金記録を扱っている社会保険庁の責任について言及がされております。国民の大切な年金記録を正確に作成し、保管、管理するという組織全体としての使命感、あるいは国民の信任を受けて業務を行うという責任感、これが社会保険庁に決定的に欠如したという結論がなされております。

 当然、社会保険庁も厚生労働省の一部、さらには政府の一員として仕事をしているわけでございますので、今委員の御見解どおり、当然政府としての責任というふうに私ども理解しております。

○小川(淳)委員  今お答えいただいたとおり、この分厚い年金記録に関する検証委員会の報告書でありますが、歴代の社会保険庁長官また社会保険庁にかかわった職員、OBも含めて、深く反省を促す文章が正式な報告書として取りまとめられている。しかし、これはいまだ総務省の見解でありまして、社会保険庁なり厚生労働省としても、この責任をみずからのものとしてしっかりと受けとめていただく。

 以後、少し議論させていただきますが、これはすべて政府の責任です。年金の記録がどこに行ったかわからなくなった、あるいはだれのものかわからなくなった、これがたまりたまったのは、すべて政府の責任です。政府の責任だということを前提に議論させていただきますが、社会保険庁、これは、責任を感じられたなら、どのように処罰あるいは責任のとり方をされたのか、お尋ねいたします。

○吉岡政府参考人  お答え申し上げます。

 先ほど触れました昨年の総務省の年金記録問題検証委員会、ここにおけます指摘を踏まえまして、これは、社会保険庁歴代の幹部も含めて率直に反省をしなければならないということでございます。

 とりわけ、この報告の中で「歴代の社会保険庁長官を始めとする幹部職員の責任は最も重い。」とされるとともに、厚生労働省の歴代幹部職員並びに厚生労働大臣等の責任もこの報告書の中で指摘されているところでございます。

 私どもといたしましては、この十月三十一日の報告書の取りまとめを踏まえまして、一定のけじめをつけるという意味で、厚生労働大臣、副大臣、政務官、事務次官及び社会保険庁長官におきまして、俸給、具体的には昨年の十一月と十二月の二カ月分の一部、大臣につきましてはその月額の二〇%を返納するということで、これを国庫に返納する措置をとっております。

 また、あわせまして、これに先立ちます昨年六月には、安倍前総理、塩崎官房長官、柳澤前厚生労働大臣を初めとする関係閣僚等に加えまして、厚生労働省の歴代事務次官、社会保険庁長官を初めとします社会保険庁の幹部並びに現役の職員、さらに、一定の役職についていた職員、これは具体的に申し上げますと、社会保険庁が発足いたしました昭和三十七年以降の、当時は都道府県の組織でございましたが……(小川(淳)委員「もう少し簡潔な御答弁を」と呼ぶ)失礼いたしました、事務所長以下のOBにつきましても、年金記録問題についての反省と改革への姿勢を国民の皆様に目に見える形でお示しし、けじめをつけるということで、賞与相当額の全部または一部の自主返納を求めたところでございまして、これまで申し立て総額十五億二千万円となっております。

 以上でございます。

○小川(淳)委員  社会保険庁に在職した職員の方々またOBの方々を含めて、賞与の全額返納というのは大変痛みのある行為であっただろうと想像いたします。その限りにおいては、今けじめという言葉を使われましたが、一つのけじめにしたいという当局のお気持ちはよくわかります。しかし、それで本当に責任のとり方として十分なものであるのか、これでけじめは本当についたのかというと、これはまた別問題だろうと思います。

 そこで追い重ねでお尋ねしますが、ボーナスの返上にしたって給与の返上にしたって自主返納とお聞きしていますが、これは、だれ一人懲戒処分になった人はいないんですか。

○吉岡政府参考人  お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のように、今般の年金記録問題に関しまして、国家公務員法にいわゆる懲戒処分、具体的には停職、減給、戒告等、厳しくは懲戒免職がございます。また、訓令に基づきますいろいろ矯正措置も含めまして、これまで年金記録問題に関しましては、こういった処分はこれまでのところ行っておりません。

 以上でございます。

○小川(淳)委員  大臣、お聞きのとおりでありまして、これは時に必要な処分を含むと思いますが、行政の適正なりを所管しておられるわけであります。

 確かに、賞与の返上というのは大変痛みのある行為であったことは理解をいたします。一部これに応じていない職員の方もおられるようでありますが。やはり国家公務員のさまざまな公務に当たっての、違法行為にまでなればこれは当然だと思いますが、それに限りなく近いような不祥事を、だれ一人、懲戒もせずに、処分を下さずに、話によっては、OBがぬくぬくと外郭団体等で引き続き勤務しているというようなことも聞かれます。

 これでは本当に示しがつかないと思いますが、大臣、御見識をいただきたいと思います。

○増田国務大臣  この年金問題につきましては、本当に国民の皆様方に申し開きのできない、大変申しわけない事態でございますし、その責任の所在を明らかにするために検証委員会で専門家の皆さん方から客観的に検証していただき、そこでどういう責任関係であったかが記述されたわけであります。したがいまして、そういった御指摘をいただいた上で、きちんと責任を国民の皆様方に明確に見える形でしていかなければならないというふうに私は思います。

 それからあと、今これはさらに一般的な話にもなりますが、委員から御指摘いただきましたように、公務員のさまざまな不祥事等も多うございます。そこで、こういったことについて、例えば総務省の方でも、退職金の返納が極めて限定的な、禁錮刑以上というようなことで限られた場合にしか返納を命ぜられない、そしてあとは本人の同意を得て自主返納のような形になっているということはなかなか国民の理解を得られないということで、今、研究会を開いて、そこをさらに適正化しようといったようなことも行っております。

 公務員のこうした服務規律、それから、場合によってはきちんと厳正に懲戒処分などを行っていくということでいかないと、国民の行政に対する信頼が回復できませんので、このことについては、公務員行政を預かっている総務省としても、今既に取り組んでいることもございますが、今後もそういう視点で真摯に取り組んでいきたい、このように考えます。

○小川(淳)委員  先般、総務委員会でも議論になりましたNHK職員のインサイダー取引、これは予算を議論したときに、厳正な処分なりを私どもとしては求めていたわけでありますが、この中には御存じの方も、そうでない方もおられると思います。わずか四十万円余りの不正利益を得た職員がNHKでは懲戒免職、最も厳しい処分になりました。

 これは、福地新会長、アサヒビール御出身でありますが、そういう、ある種、消費者との関係、生活者との関係で非常に厳しい措置を社内でもとってこられたのでしょう、そういう文化を持ち込んだことが、私は非常に、将来ある職員のことを思えばなかなか容易な判断ではなかっただろうと思いますが、そういう厳しい措置をとられました。こういうことを積み重ねていかないと、国家公務員の世界でも、大変ぬるま湯のような状況がなかなか脱皮できないのだろうと思います。御紹介をし、今大臣から御決意をいただきましたので、今後の対応については、厳正な措置をぜひとっていただくようにお願いをしたいと思います。

 さて、その上で、責任の所在を明確にして、この問題の発端は、とにかく全責任は政府にあります。全責任は政府にある。これを唯一解消していく手だてとして期待されているのが、まさに増田大臣が所管されている第三者委員会ということになろうかと思います。これは、位置づけとしてもう明確に救済機関であり、国民の立場に立った、また、年金記録の不明問題で本当にあえいでおられる方々を救済しなければ、これは存在意義がないと私は思います。

 その前提に立ってお尋ねをいたしますが、今、記録不明が五千万件、記録の統合に結びつく可能性、淡い期待を抱いて送った特別便が一千万件、これが大ざっぱな数字であります。これに対して、記録の訂正を第三者委員会に対して申し出た申し立て件数が五万件、既に裁定をしたものが約七千件で、認められたのがそのうち半分、三千件余り。これは大臣、多いですか、少ないですか、申し立て件数、第三者委員会が裁定を認めた件数。

 今申し上げました五千万件の記録はありません。一千万件の記録の統合を期待して特別便を送りました。そういう世の中にあって、制度ができてから十カ月、申し立てを行ったのが五万人、裁定を行ったのが七千人、認められたのはその半分、三千人。これは多いですか、少ないですか。

○増田国務大臣  なかなか一概に申し上げられないところはありますが、記録の訂正に結びついたものと結びつかなかったもの、今、半々ぐらいの状況でございます。

 そこで、審議のスピードの問題と、その判断、内容の点と二つ、いろいろと御指摘もいただくわけでございますが、これについて、申立人の立場に立って第三者委員会としてこの問題の処理に当たっていく、これは基本方針の中でもそこははっきりと書いているわけでございます。申立人の立場に立って対応していく。

 それから、申立人からいろいろと状況をお聞きした後、委員会として、委員会みずから情報収集を行ったり、一緒になって探したりということで、委員会みずからそういったことで動くということがこの委員会の基本方針であり、使命でございますので、今この数字が多いか少ないかということを、いろいろ国民の皆さん方から見ますと、物足りないというふうに思っておられる方もおられると思いますが、ある程度、審議の内容については、専門家の皆さん方から公平な審議をお願いしなければいけない立場ではございますが、あくまでも第三者委員会の立場、基本的な方針として申立人の立場に立って、そして委員会も、なかなかわからない証拠の収集のためにみずから動くという立場で今後も審議に当たっていきたいというふうに思います。

○小川(淳)委員  大臣が直接その価値判断をおっしゃりにくいのはよくわかります。しかし、全体の状況をにらめば、私は少ないと思います。むしろ、そういう基本的な認識に立たねば問題を解決するための次の手が浮かびませんし、この件数、五万件を少ないと認識するだけの責任が政府にはあると私は思います。

 その前提に立ちたいと思いますが、今大臣おっしゃったとおり、この第三者委員会の基本方針には、国民の正当な権利の実現、国民の立場に立つ、権利の実現を目的とする、こういうことが何度も何度も重ね書きをされております。そして、基本的考え方の中には、「直接的な証拠(領収書等)も持たない方々のために、誠実に責任を果たして行く。」多分、この一点だと思います。第三者委員会が機能を発揮できる最大の期待値であり、責任があるとしたら、私はこの一点だと思います。

 その一点が生じてくる背景は申し上げました。これは全責任が政府にあるから。その一点に照らして現状はどうかという議論が必要だと思いますが。判断の基準は、申し立ての内容が明らかに不合理ではないこと、一応確からしいこと。これは公文書では珍しい表現だと思いますね。一応確からしいとか、明らかに不合理ではないとか。しかし、これが第三者委員会の初心だと思います。全責任が政府にあることをよく認識をした上で、申立人のおっしゃることは性善説に立って、一応確からしければ認定しなければいかぬ、明らかに不合理でなければ認定をしなければならない、これが第三者委員会が設けられた初心なんだと思います。その初心に照らして、現在の状況、全体状況、私は少ないんじゃないかと申し上げました。

 少し、個別の状況を見てみたいと思いますが、すべてこれは公表されていますから、事前に大臣もこのうちの幾つかは御存じなんだろうと思います。

 例えば、兵庫県の事案ナンバー九十五番。奥さんは二十から国民年金に加入し、未納期間もない、年金に関する意識は極めて高い、自分の分もないのは納得できない。これは申し立ての内容でありますが、これに対して、関連資料、家計簿、確定申告等がない、納付の状況が不明である。結論ですが、「国民年金保険料を納付していたものと認めることはできない。」これは兵庫県の事案ナンバー九十五です。

 事案ナンバー九十七番。私たち夫婦は国民年金保険料を一緒に納付してきた、社会保険庁の記録では妻の分は納付済みになっている、私の分だけ申請免除となっていることに納得できない。これは申し立てです。委員会の判断、やはり関連資料、家計簿、確定申告、預金通帳等がない、妻の記憶があいまい。結論ですが、「納付していたものと認めることはできない。」

 等々、ほぼ、大臣もさきの質疑の中でおっしゃいましたが、事例が積み重なって標準化しつつある局面だろうと思います。共通しているのは、やはり家計簿なり年金手帳なり金融機関の取引記録なりという証拠書類の提示を求めている。

 そもそも第三者委員会がつくられた初心は、こういった証拠書類を示すことができない人に光を当てるための制度だったのではありませんか。こういう具体の事例を見るにつけて、申し立て期間が短期間であることは信頼に足る事情だということも第三者委員会みずから定めていますよ。同居の親族が納付していることも信頼に足る事情としてしんしゃくをしなさい、みずから認めていますよ。こういう第三者委員会が打ち立てられた初心、基本方針、具体に参考にすべき事例と、現在公表されている認められなかった事例との間にギャップがある、そごがあると私は考えますが、大臣、いかがですか。

○増田国務大臣  個々の判断、事例の判断については、それぞれの委員会委員の皆さん方の知見を総動員してやられているんではないか、大臣の立場で個々の判断にはどうしてもやはり立ち入れない部分がございますので、そこは御容赦いただきたいというふうに思っております。

 やはり、この委員会の設立のときの基本方針、先ほど委員からお話ございましたけれども、そういった証拠等がない方々のために誠実に責任を果たしていくについて、したがって判断基準を、確かにこれも別の立場から見るといろいろと御議論あるかもしれませんが、明らかに不合理ではなく一応確からしいということであれば救う判断ができる、こういうことにしてございます。それから、実際に資料がなくても、周辺事情等、あるいは関連資料がなくても総合的に判断をしていいんだ、こういったようなことなども判断基準に入れているということでございます。

 個々の判断にはなかなか私の立場でも立ち入れませんが、そういう通常であれば余り考えられないような判断基準によって、あとは個々の委員の皆さん方に、この基本的考え方に書いてありますとおり、誠実に責任を果たしていくという上で、どういう判断をすれば一番いいのかということをよくお考えいただきたいというふうに思っております。

 いろいろな事例が積み重なってきて相場観ができてきたということが、決してはねるための相場観ということで考えているわけではございません。できるだけ救済をする、端的に言いますと、救済をしてそういった年金制度に対する信頼を回復するというのがこの委員会の目的であるということは常に頭に置いて我々も運営をしていきたい、こういうふうに考えます。

○小川(淳)委員  大臣、大変限られた時間でありますが、全体状況とそれから個々の判断基準との議論をさせていただいたわけです。

 そこで、私自身、各第三者委員会の結論、判断理由を拝見するにつけて、二、三、具体的にお願いしたいと思うんですが、記憶があいまいであるという記載が多々見られます。ほぼ例外なく見られます。これは当然でしょう、何十年も前のことですから記憶があいまいなのは。

 記憶があいまいであることが論拠の一つになるかのような記載、これはぜひ以後やめていただきたいと思いますが、いかがですか。

○関政府参考人  個別事案を審査いたしまして、その結論につきましてはすべて公表いたしております。その中の記述として、記憶があいまいであったという表現もこれまで使われたケースがあったと思います。

 しかしながら、記憶があいまいであるから、その一点をもって記録訂正に結びつかないということではなくて、周辺事情それから関係資料、それらを探した上で、それから御本人からいろいろな事情をお聞きして、配偶者の御様子などもお伺いして、総合的な判断として、記録訂正に結びつくかあるいは記録訂正に結びつかないかの最終判断をしているものでございます。

○小川(淳)委員  繰り返しになりますが、第三者委員会の存在意義は、救われない人を救うことにしかありません。その理由は、政府に全責任があるからです。繰り返しになります。記憶があいまいなのは、それはあいまいな人を相手にするんですから当然なんですよ。私は、第三者委員会の存在意義に照らして、これが論拠の一つであるかのごとく記載をすることは控えるべきだと思います。これは強く指摘をいたします。

 そしてもう一つ、最終の結論がほぼ例外なく、「納付していたものと認めることはできない。」となっています。納付したものと認めることはできない。しかし、もう一回初心に返ってください。第三者委員会の判断基準は、中央委員会が示したとおり、明らかに不合理かどうかを判断するんですね。一応確からしいかどうかを判断するんです。

 これは提案でありお願いですが、第三者委員会の判断理由のてんまつ、最後のところは「納付していたものと認めることはできない。」これは、認めるか認めないか、こういう書き方をすると厳しくなりますよ。却下するのなら、申立人の申し出は明らかに不合理だとしてください、明らかに不合理だと。あるいは、一応といえども確からしいとは言えない。これは言葉の使いようみたいな話ですけれども、極めて重要なポイントだと思います。

 この提案なり要請について御答弁いただきたいと思います。

○関政府参考人  先生のお話につきましては、中央第三者委員会、また地方第三者委員会の委員の方々にお伝えをし、検討していただきたいと思います。

○小川(淳)委員  四月から、家計簿とかその他の書類を持っている人に関しては社会保険庁自身で判断していただくという制度が始まるんだそうですね、大臣。そうすると、第三者委員会に上がってくるのは本当に厄介な案件ばかりになります。言葉は悪いですが、なかなかこれは証明もできない。今ですら半分しかあっせんできていないわけです。しかも、その申請件数が、申し上げたとおりわずかに五万件ですから、この五千万件という数字と比較した場合に、この第三者委員会が十分機能していると……。

 もう何回も言いますが、これはそもそも政府に重大な責任があって始めたことですから、これを解消するには、私は思い切って申し上げます。第三者委員会は今委員は、社労士の先生方、あるいは弁護士の先生方、行政のOB、税理士さん、非常にプロ意識を持って職業を遂行しておられる方々ばかりであります。この方々の職業の成り立ちは、基本的には書類主義であり、書面主義であり、申請主義であり、書類をもって折り目をつけていくことを旨としておられる方々ばかりであります。この第三者委員会を今後とも生かした組織にして十分機能させていくためには、私は、もちろんこういうプロの方々のお力添えもいただきながらではありますが、大臣、これは思い切って、いい意味での素人主義を入れていく必要があるんだと思います。

 心象だけでいい、この人何か確からしいことを言っている、多分証明できないんだろうけれども必死だ、真摯な訴えをしている、これを心象ですくい上げていく、すくい取っていく、こういうことを第三者委員会が始めないと、私は、この第三者委員会をつくった意義そのものが生かされないままに終わってしまう、未解決のままに終わってしまうという気がしてなりません。この点、今後のいろいろな実績を見ながらになろうかと思いますが、ぜひ検討事項の一つに挙げていただければと思います。

 この際、質疑に当たりまして、地元を中心に、社会保険事務所の現状、あるいは第三者委員会の現状を少し見聞きしてまいりました。そうした中からあった声、二、三お尋ねしますので、まとめて、簡潔にぜひお答えをいただきたいと思います。

 一つは、香川県の高松でありますが、大体お一人二時間待ちが当たり前だそうです。それから三十分の相談。通常、社会保険事務所には十分な駐車場はありません。周辺の混雑等々で大変迷惑をしている、あるいは利用者の不便につながっている、この点を解消する手だてがあるのかないのか。一点目。

 二点目、土日の相談を大幅にふやされる、これはいいことだと思います。しかし、肝心の相談日に社会保険庁の中央端末が使用できない。これでは、せっかく相談に来られた方に十分な対応ができないと私は思います。そこで、土日もぜひ社会保険庁の中央端末を使えるように、これは最善を尽くすべきだと思います。二点目。

 三点目、第三者委員会で審議する際に、これもやはり同じような状況ですが、社会保険庁の端末が使えないんだそうですね。これもぜひ改善をすべきだと思います。三点目。

 少しこういう具体の論点でありますが、善処をぜひお願いしたいと思いますが、御答弁お願いいたします。

○石井政府参考人  お答え申し上げます。

 大変盛りだくさんの御指摘をいただきました。できるだけ簡潔にお答え申し上げようと思います。

 まず、待ち時間の問題、それから、それに伴いまして駐車場の関係でございます。

 まず、待ち時間でございますけれども、これは私ども、現在は、特に混雑現象の激しい事務所というものをチェックしておりまして、ほぼ数時間置きにその状況というものを把握してございます。そして、各事務局においてもその情報は共有してございまして、要するに、待ち時間が非常に長くなっているところにつきましては、事務所の中での対応はシフト変更で対応することはもちろんでございますけれども、事務局本体から要員を送り込むというようなことで、できるだけ長くはお待ちいただかないような対策を講じるということを進めているわけでございます。

 と同時に、駐車場の対策でございますけれども、これは地域地域によって立地条件なども違いますので一概には申し上げられませんけれども、全般的に今、お問い合わせ、あるいは事務所の方においでいただく方の数がふえてございますので、私どもの方で用意している駐車場のいわばスペースが不十分な状態になっていることは間違いございませんけれども、やはり厳しい財政状況のもとでございまして、例えば駐車場そのものをふやすとか、そういうような形での追加的な予算措置というのは困難でございます。

 そこで、私どもといたしましては、社会保険庁のホームページなどなどを用いまして、御来訪に当たりましては公共交通機関を御利用していただくというようなこと、それから、電話相談を充実していく、さらに、社会保険労務士会によります無料相談でありますとか市町村における相談体制、こういった形で関係団体の御協力もいただきながら、なるべく御迷惑をかけないようにということで展開をしているというのが一点でございます。

 それから二点目の、休日開庁日の場合に社会保険オンラインシステムが稼働しないときがあるということについての、稼働させるべきではないかという御指摘でございますけれども、四月、私ども、土曜日、日曜日、それから国民の祝日でございますが、すべて開庁する予定でございます。

 五月も同様の方針で臨む予定でございますけれども、例えば今度の二十六日と二十七日について申し上げれば、実は非常に大きなコンピューターシステムを運用しているわけでございますが、これの保守管理とか、あるいは年金の支払い準備、要するにこれも相当な事務量があるわけでございます、そうした支払い準備の作業のために、どうしても社会保険オンラインシステムというものをそちらの用に用いる。要するにそういうスケジュールを立てる必要がございまして、先ほど申し上げた今月二十六日と二十七日は、絞りに絞ってでございますけれども、そのような、ほかの予定日というものを削減してここに集約させるような形で、今申し上げたような支払い等の業務のために充てるというようなことで、他の日におけるオンラインシステムでの休日開庁対応、これを可能というふうにさせていただいているわけでございます。

 それで、オンラインが稼働していない休日における対応でございますけれども、これは確かに、その場でお尋ねに応じて即座の回答をすることはなかなか困難な面も記録によってはあるわけでございますけれども、しかしながら、そういう形でいただいた……(小川(淳)委員「ちょっと簡潔にお願いします」と呼ぶ)はい、相談案件につきましては、きちんと保管、整理をいたしまして、平日にオンラインで当たりまして、そして一週間以内にその相談者に御回答することを目途に作業を進めるというようなことをしているわけでございます。特に、加入者の方については、やはり休日に御来訪いただくということがどうしてもやむを得ない形にならざるを得ないというふうに思ってもございますので、休日における開庁対応、そういう形での対応の中には、オンラインシステムの稼働ができない日があるということを御理解いただきたいということでございます。

 それから三点目の、第三者委員会の審議促進という見地から……

○今井委員長代理  簡潔に御答弁をお願いします。

○石井政府参考人  はい。見地から、私どもが使用しておりますオンラインシステムの端末、これを貸与できないかということでございますが、端的に申し上げますと、まさにそういう観点に立ちまして、窓口装置を貸与することを予定してございまして、現在、総務省と調整を進めさせていただいているところでございます。個人情報の取り扱いについては、もちろん、きちんと両省庁の間で協定書を取り交わすなどして、適正な取り扱いに努めながら、しかし、できるだけのことを私どもとしてもさせていただきたい、かように考えているわけでございます。

○小川(淳)委員  それぞれ現場の職員の方々、本当に懸命に当たられておりますし、また、地域の社会保険労務士の先生方初め、大変な御尽力をいただいております。それらの御尽力がぜひ効率的にうまく機能するように、運用についてはぜひ努力をいただきたいと思います。

 さて、少し話が飛躍をいたします。

 年金の受給者は当然高齢者の方々でありますが、先般スタートいたしました後期高齢者医療制度、今大変大きな話題にもなっております、これは、不確かな年金額から有無を言わさず天引きするということは、同じ当局として、厚生労働省として、いかがですか。どういう気持ちですか。雑駁なお尋ねですが。

○木倉政府参考人  お答え申し上げます。

 長寿医療、後期高齢者の医療制度でございますけれども、これにつきまして、年金からの徴収ということを四月から始めさせていただいたわけでございます。年金記録問題そのものは大変申しわけないことでございまして、きちんと対応しなきゃいけないと思っております。

 一方で、高齢者の方々の医療をきちんと支えていくということ、非常に大切なことでございまして、今も高齢者の方々、国保に入っていらっしゃる方々、たくさんいらっしゃいますけれども、本当に九九%の方はちゃんと保険料の納付をしていただいております。これにつきまして、今後とも新しい制度のもとでも、納付をしていただく際に金融機関に一々出向いてやっていただくというような手続も省ける、きちんと納付をしていただくという中でこのような制度をお願いしたということでございまして、この御理解を得るように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

○小川(淳)委員  さんざん議論になってまいったことかと思いますが、年金そのものが制度的に揺らぎ、また、受給額が本当に正確なものかどうかすらわからないという中で、有無を言わさず天引きをしていくということに関しては、当事者が同一の厚生労働大臣であるだけに、これはやや恥ずかしい気持ちといいますか、そういう気持ちというのがあってしかるべきなんだろうと思います。

 あるいは、この制度に関しては、保険料がふえるとか減るとか、いろいろな問題が議論されていますが、そもそもこれは思想的に哲学的に無理のある制度なんじゃないかという見解を私は持っているわけですけれども、これはなぜ七十五歳以上なんですか。なぜですか。

○木倉政府参考人  お答え申し上げます。

 この三月までの制度におきましても、老人保健制度、高齢者の方々に医療サービスを行わせていただく制度につきましても、七十五歳以上ということで運用させていただきました。

 この七十五歳以上という考え方につきましては、老年医学等の分野でも、一般には、複数の病気をお持ちである、療養生活がどうしても長期化しやすいという特性があるというふうなことでございまして、このような特性に応じたきちんとした医療を提供していくことが一番大切だろうと思っております。その観点もございます。

 それから、これからどうしても高齢者の方々がふえていく中で、その医療費をきちんと安定的に確保していかなきゃいけない、これを国民全体に支えていただかなきゃいけないということでございますけれども、その中で、市区町村ごとの国保制度等ではやはり大きなばらつきが出てしまう、公平も保たれないということでございます。その中で、高齢者の方々にもその負担能力に応じて公平に保険料も負担していただく、若い人にも分担ルールが明確なもとできちんと御納得をして負担していただく仕組みにしていく必要があるというような観点がございます。

 それで、市町村を超えまして、都道府県単位の広域連合という自治体を構成いただきまして、そこできちんと保険料をお預かりし、使い道を明確に、責任を持って明確な安定した運営を行っていただくという観点から、一つの制度として構築をいただいたものでございます。

○小川(淳)委員  御当局、当然御存じだと思いますが、日本の医療費が約三十兆円、七十五歳以上の高齢者は一千三百万人ですから、人口の比率でいきますと約一割。しかし、三十兆円に占める医療費のうち、七十五歳以上の高齢者にかかる医療費が約十兆円とお聞きしています。つまり、こういうことですね、一割の人口の方々が三割の医療費を使っている、大ざっぱにそういうことだと思います。

 この制度は、最も医療行為を要する、疾病率も高い、罹患率も高い、この方々を切り離して別の医療保険制度にするということです。これは保険制度の基本にもとるのではありませんか。健康な方々、病気に陥るリスクのまだまだ少ない若い方々と平均して、ならしてこの医療を安心させるのが本来の筋道ではありませんか。その点が一点。

 それからもう一つ。私は、保険料が上がるとか上がらないとか、これも大問題だと思いますが、被扶養者として扶養者の保険に入ることができなくなること、このことの方が恐らく大問題なんだろうと思います。この数が約二百万人と言われているようでありますが、御答弁いただく審議官、また大臣もそうでしょう、御自身の医療保険を振り返っていただいて、若い世代、七十五歳未満であれば、幾ら扶養家族を抱えても保険料は変わらないんでしょう。なぜ、七十五歳になると被扶養者になることもできなくなるんですか。

 これはもし、仮に七十五歳以上をこういう独自の保険制度にするのなら、御自身が入っておられるそれぞれの共済に関する医療制度、あるいはサラリーマンの健康保険の医療制度、これを全部、被扶養者の数に応じて、頭数に応じて保険料が上がるようにちゃんと制度設計し直すべきだと思いますよ。ここに大きな不公平が隠れている。基本的な制度の哲学とほかの不公平を放置したままで、これは七十五歳以上のお年寄りに負担をかぶせている、このことにおいて、私は、これは到底理解されない制度だと思います。

 これを二点御答弁いただいて、ひとまず質疑を終えたいと思います。

○間杉政府参考人  まず最初の、この制度の理念ということでございますけれども、これは、高齢者の方々、自己負担以外に保険料ということで、総医療費の一割程度を御負担いただく、若い世代から四割程度を、各制度、加入者数に応じて仕送りという形で支援をいただく、それから、公費、税金ということで五割を支えさせていただくということでございます。

 この医療費、どうしても高齢者の方々がふえていく中では総医療費はふえていかざるを得ないというふうに思っておりますけれども、この高齢者の方々に、先ほど申し上げました、心身の特性に応じた医療を提供するためにも、この負担ルールを明確にする中で御納得をいただいて支え続けていく必要があるというふうに考えております。

 それから、後の方の被扶養者の問題でございますけれども、これは、高齢者の方々、その入っておる制度によって、今のように被扶養者ということで御負担がなかった、あるいは国保のようにそれぞれの方が負担をされていた制度、それぞれでございました。しかしながら、これから大きく医療費が伸びていく中で、それを支えていく中では、やはり納得できるようなルールのもとで支えていく必要があると思います。それで、七十五歳以上を一つの集団として、その中で、被扶養者の方々にもその負担能力に応じた負担を個々人でお願いしたいということでございます。

 もちろん、加入に当たっての、移行に当たっての軽減措置はいろいろとらせていただいておりますけれども、その理解をいただく中で、七十五歳以上を、若い世代も、高齢者自身もきちんと負担をしていただく仕組みに持っていきたいということでございます。

 よろしくお願い申し上げます。

○小川(淳)委員  本当に、私はいずれ頭数で均等に医療制度を支えていく仕組みが必要だと思います。そのためには、消費税も含めたいろいろな議論が必要なんだと思います。

 大臣、年金と医療というのは、国民の最大の不安であり、最大の関心事です。こういうことが、全体構想を持たずして、何か場当たり的に局所的に治療されていることがかえって国民の不安を増大している。これは本当に、政府の、全体を構想する力の欠如だと思いますね。この議論ができるのは、大臣、閣僚以上だと思いますね。どこかの局から、どこかの課から出てきませんよ、こんな話は。これは本当に嘆かわしい事態だと思います。ぜひ、その点に、厚生労働省幹部、また適正な行政の執行を預かる総務大臣に改めて意識づけをお願いいたしまして、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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