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〜会議録(3月19日議院運営委員会)〜
○小川(淳)委員 ただいま議題となりました国家公務員の任命につき同意を求めるの件について、意見を申し述べます。
まず、日本銀行総裁及び副総裁の任期満了が本日に迫る中、今月七日に至るまで最初の候補者すら提示しなかったこれまでの政府の姿勢に対し、強い抗議と懸念の意を表明いたします。
同時に、期限がきわまって候補者を提示したことが今回の混乱の原因であるにもかかわらず、ポストの空席等の責任が野党にありと言わんばかりの政府・与党内の声は大変遺憾であり、国会での十分な議論を確保せず、みずからの人事案を押し通すことが当たり前であるかの旧来型の発想に猛省を促したいと思います。
その上で、日本銀行総裁及び副総裁のあり方について、我が党の考え方を申し上げます。
言うまでもなく、日本銀行には高度な独立性が保障され、通貨価値の安定を至上命題とする機関であります。しかし、現在、国、地方合わせて七百七十兆円に上る巨額の長期債務の存在は、ともすれば国家財政の都合により金融政策にゆがみが生じかねない、また国民の側から見てそのような疑念を生じかねないことは周知の事実でございます。
現に、八五年のプラザ合意以降、超金融緩和政策がとられ、その後のバブル経済とその崩壊、さらに、その後連なる異常なまでの超低金利政策、加えて、日銀による多額の国債買い入れ、この一連の経過は大いに教訓とすべき歴史的事実であり、今なおその背景に大きな変わりはないのであります。
したがって、日銀総裁には、第一に、国家財政からの十分な独立性を保ち、国民生活の目線に立った金融判断、金融政策の実行力を備えていただかなければなりません。また、それを期待できる環境を整えることが私たちの使命であります。
同時に、金融政策のかじ取りをする者として、過去の金融政策を正しく総括し、経済の現状について的確な認識を持つ必要があり、バブルを挟んだ一連の財政金融政策を単に正当化したり、その弊害を省みない姿勢では、日銀トップとしてふさわしくないと考えます。
さらに、米国サブプライムローン問題をきっかけに世界の金融市場が混乱する中、次期日銀総裁には、豊かな国際性、具体的には海外の中央銀行や国際金融機関関係者との豊富なネットワークを蓄積してこられた実績が望まれます。
以上の観点から、特に総裁候補田波耕治君について申し上げれば、第一に、かつて国家財政の事務方のトップにあった者であり、知見や人脈を察するに、国家財政からの独立性を十分に担保することは難しいと判断されること。第二に、同氏は、拓銀や山一証券そして長信銀の破綻が続いた、まさに大蔵省による長年の金融政策の失敗が一気に噴出した未曾有の金融危機、しかもそれがピークに達した一九九八年当時のまさに大蔵事務次官であり、今なおその責めを免れるものではないと考えられること。最後に、官僚時代のキャリアを通じて金融実務の経験はいささか乏しいと言わざるを得ず、海外の中央銀行や金融機関関係者とのネットワークも必ずしも十分とは言えないこと。以上の観点から、田波耕治君の総裁就任には懸念すべき点が多く、反対すべきと考えます。
同時に、今回の政策論議を一つのきっかけとして、長年当たり前のように続いてきた、大蔵事務次官経験者と日銀出身者が交互に総裁ポストをたらい回しにする、いわゆるたすきがけ人事の慣行に一石を投ずべきことを、あわせて主張いたします。
最後に、日銀総裁の長期空席を回避すべきは当然であり、福田内閣には、速やかに新たな人事案を提示することを強く要請し、意見の表明とさせていただきます。
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