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〜会議録(6月22日本会議登壇)〜
会期延長の件
○議長(河野洋平君) 会期延長の件につきお諮りいたします。
本国会の会期を七月五日まで十二日間延長いたしたいと存じ、これを発議いたします。
本件につき討論の通告があります。順次これを許します。 小川淳也君。
〔 小川淳也 君登壇〕
○小川淳也君 民主党の小川淳也でございます。
私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました会期延長に反対の討論を行います。(拍手)
理由の第一は、国会運営の基本にもとると考えるからです。
国会の会期は国会法で百五十日間と定められており、国政全般を効率的に運営する見地から、国会運営には惰性を許さず、規律と緊張感を持って当たるべきと考えます。当然、法案提出を図る政府には事前の十分な計画性が必要であり、たとえ与党といえども、この原則をねじ曲げた場当たり的な対応は許されないのであります。
延長の主たる理由である国家公務員法改正案の提出は四月二十五日、審議入りは五月十五日、なぜもっと早く出せなかったのですか。それは、抵抗する中央省庁、与党内部の調整に手間取った政府の側に責任があるのではありませんか。その不手際、不始末を会期延長という形で国会運営に押しつけるのは、まさに本末転倒、責任転嫁も甚だしい、廃案として、出直しを図るのが筋道ではありませんか。
理由の第二は、法案の中身についてであります。
これをしゃにむに成立させて、本当に国民のためになるとは思えません。真に天下り問題は解消し、談合はなくなるのか。世論調査によれば、この問題で政府案に期待する国民はわずかに一割、一方、民主党案に期待する国民は実に四割を超えるというではありませんか。会期を延長するなら、むしろ民主党案を審議し、その成立を図るのが道理と考えますが、いかがですか。そのための会期延長なら、むしろ国民の理解を得ることができるのではありませんか。
年金についても、時効の撤廃を先行させて、一体どれほどの方々が救済されますか。鳴り物入りの社会保険庁解体で、国民は本当に年金を取り戻すことができるのでしょうか。これらの法案もむしろ廃案として、出直しを図られるのが国民のためではないかと考えます。
一たん提出したからとにかく成立をさせたい、そうした子供じみた主張だとすれば、どうぞ、お得意の突貫審議に強行採決で事を進められればいかがですか。つい先日、参議院でも、イラク特措法に教育三法、そのお家芸を披露されたばかりではありませんか。
参議院内閣委員長は我が党の出身者であります。それに何か差しさわりがあれば、横光懲罰委員長と同様、数の力でその権限を奪えばよいではありませんか。
そうして多くの審議を強行し、幾度となく採決を強行してきた。そして、あろうことか、我らが同僚内山議員には余りに理不尽、不節操な処罰まで押しつけてきたではありませんか。何を今さら、今ごろになってちゅうちょをすることがあるのですか。選挙が近づいてきたからですか。何物も恐れぬかのような不遜な態度、最後まで貫いた方がむしろ潔いのではありませんか。
忘れもしません、三月二日、衆議院予算委員会。思えばあの日から、今期全般にわたる強引な運営、相次ぐ強行採決、まさに暴徒と化したような与党の凶行が始まりました。
この間、何度議場の騒乱を目にし、何度苦渋の思いをかみつぶし、何度怒り、憤ったか。同時に、国会に籍を置く一人として、何度この惨状を憂い、そしてそれを恥じたか。
確かに、国会は多数決。数があれば何でもできる。やりたいことはすべてやれるんです。だからこそ、してはならないこと、踏み越えてはならぬ一線、踏まねばならない手続、そうした国会運営の矜持があるのではないでしょうか。駆け出しの新人議員として、目の当たりにしてきたこの百五十日間の凶行、みずからが政権運営に立った際には大いに反面教師の糧としたい、その決意を先輩、同僚諸氏とともにしたいと思います。
理由の最後は、参議院選挙の準備に及ぼす影響です。
既に、七月二十二日の投票日を想定し、全国の候補予定者、選挙管理委員会、関係者は一丸となってその準備を進めています。今回の会期延長案は、その選挙の後倒しまでを迫るものであり、廃棄を免れない印刷物の数々、掲示板の作成や会場確保への動揺、地方同日選挙対策への支障、その悪弊は、ひとり国会内部にとどまるのではないのであります。
国会運営の基本、法案の中身、参院選への影響、いずれを考慮しても許されない今回の会期延長。もしこれに国民の年金問題への怒りを冷却しようとの意図があるとすれば、結果は真逆のものとなるに違いありません。国民が忘れるわけはありません。年金問題に対して、総理が、柳澤大臣が最初に示されたあのさめた対応、国民が忘れるわけはありません。その後の支持率急落に慌てふためいた政府のろうばいぶり。
この国会の多数決。しかし、いかなる与党の多数をもってしても届かぬ、かなわぬものは、真に国民の立場に立ち、国民の理解を得、その共感を得、心をつかむことではないでしょうか。
この間の総理のお姿には、失礼ながら、一たび目にとまったおもちゃに執着をし、買ってもらえるまで断固ねだり続ける、そんな愛らしい少年の姿ではありませんか。
総理には、そのソフトな風貌、やわらかな物腰の一方で、見え隠れをし始めた強権、独裁の気風、やがてそれは政権から人望、人徳といった最もとうといエネルギーを失わしめることにつながるでしょう。そして、その権力の瓦解は、国民からでもなく、野党からでもなく、まさに与党の内部から、最も身近なところから起き始めることに警鐘を鳴らしたいと思います。
最後に、重ねて、今国民が望むことは、実効性の疑わしい法案の成立に固執をし、会期延長はおろか、選挙の期日までを後倒しすることでは決してなく、むしろ、法案は廃案、出直し、そして現下の惨状に、一刻の猶予もなく、みずからの一票を行使し、民意のありかを示したい、それこそが国民の思いであることを強く主張し、私の討論とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
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