民主党 衆議院議員 小川淳也
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〜会議録(6月8日内閣委員会での質問)〜

○小川(淳)委員  民主党の 小川淳也 でございます。

 申しわけございません。ちょっと到着がおくれました。おわびを申し上げます。

 それでは、いただいたお時間の範囲内で今回の道交法の改正案について御質問をさせていただきます。

 既に参議院の審議を終えておりまして、全会一致というふうにお聞きをしておりますので、大きな意味では、そう論点といいますか大きな対立点を残した法律案ではないものと理解をしております。加えて、私ども民主党の立場からすれば、同趣旨の関連法案を既に国会に提出をして、この政府案を見て取り下げたということでもございますので、その意味でも、大きくは賛成の立場から、しかし、やはり刑罰法規の拡充であり、新たな犯罪類型の創設でもございますので、その意味では、やはり確認なり議論をさせていただきたい、そんな趣旨で進めさせていただければと思います。

 まず大臣、非常にぶしつけではございますが、大上段のお尋ねを申し上げます。

 この道路交通法というのは、一体何を目的とし、どういうことを旨とした法律案なのか、大臣の御理解をお聞きしたいと思います。

○溝手国務大臣  道路交通法は、「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。」ということが書かれております。

 したがいまして、交通の用に使われる道路を安全に保つということがその設置の目的と考えております。

○小川(淳)委員  ありがとうございました。

 これは当然のことだと思いますが、今大臣が読み上げていただいたのは恐らく法律の一条だと思います。目的規定に、道路の危険防止、交通安全、その円滑という趣旨が記されているわけであります。

 この道交法の改正に至るまでの間、確かに、痛ましい飲酒運転の事故等々が散見をされたわけでありまして、被害者、御遺族の方のお気持ちを察しますとこれは余りあることですが、非常に取り返しのつかない、怒りともつかぬ、無念ともつかぬいろいろな感情が渦巻いておられることと思います。

 こうした交通事故、あるいは飲酒運転を含めた、犯罪にも当たるようなこうした事故の背景には、私は思うんです、やはりこの道路交通法というのは、基本的には道路交通の円滑化が目的であって、例えば、その結果、反射的にあらわれた犠牲者の方の救済とかあるいは遺族感情とか、そういったことに主眼を置いた法律案では恐らくなかったんだろうという気がいたします。

 既に参議院の参考人質疑の中で、犠牲者、被害者の会を代表して高石洋子様がお見えになっておられました。大臣も御同席あるいは話の要点をお聞きになられたことと思いますが、その中でも、やはり息子さんの事故をきっかけにして――この道交法の基礎となるものが明治のころにつくられた。まだ馬車しか走っていなかったころのものがまだ使われている。もともとは商人の交通を守るものだった。恐らく、交通の円滑化ということに主眼が置かれてきた。

 現に、この道交法は昭和三十五年の法律でありまして、当時、昭和三十年初頭の運転免許保有者数、自動車の保有台数等を見ますと、わずかに、わずかにという言い方、現在の八千万人とか八千万台と比べますと、三百万人の百四十万台ということで、今と比べれば非常に車自体が珍しい存在。しかし、昭和三十五年、この道交法ができてから、それを境にそこから十年で、免許の保有者数は三百万人から二千六百万人、自動車の保有台数は百四十万台から一千八百万台というふうに急激にふえたということだと思います。

 そこで私は、今回のこの改正案、大きく論点といいますか争点というべきものは少ないように感じますが、ひとつ、ここの道路交通法の思想といいますか哲学にかかわるような面についても、少し当局のお考えなり確認をさせていただきたいと思います。

 これが、今回の改正案の主な内容であります飲酒運転に対する厳罰化、あるいは新たな犯罪類型の創設というところにあらわれてきているんだと思いますが、順を追ってお尋ねを申し上げます。

 まず、平成十三年以降の飲酒運転に対する厳罰化の流れ、罰則の強化について大まかな要点、お尋ねをさせていただきたいと思います。

○矢代政府参考人  お答え申し上げます。

 平成十三年、刑法におきまして危険運転致死傷罪が創設され、また、道路交通法におきましては、飲酒運転の罰則の強化、それから、あわせて、制裁の対象となります酒気帯びの政令基準値の引き下げ、このようなものをやってきたわけでございます。

○小川(淳)委員  十三年以降の罰則強化、「一杯三十万円」ですか、非常に鮮烈な広告を記憶しております。現に、今も多分たくさんの先生方がそうだと思いますが、私なんか地元を回っておりますと、居酒屋さんとか困っておられますよね。本当に客足が遠のいたというような声も聞かれるぐらい、やはり浸透してきたということだと思います。

 そこで具体的にお尋ねしますが、既に資料等も午前中の質疑の中でも出されておりました。この十三年以降の罰則強化によって飲酒の事故件数または死亡事故件数、どの程度減少が成果として認められるのか、具体的にお尋ね申し上げます。

○矢代政府参考人  お答え申し上げます。

 飲酒運転によります事故、これは交通事故全体でございますが、改正前、平成十二年には全部で二万六千二百八十件、また、平成十三年に至りましても二万五千四百件の発生を見たところでございますが、これが平成十五年には一万六千三百七十四件と減少し、さらに昨年には一万一千六百二十五件と、半数以下を大きく割り込んで減少しているところでございます。

 また、このうちの飲酒死亡事故でございますが、これは、ピーク時には年間千五百件近くあったわけでございますが、平成十二年には一千二百七十六件、平成十三年の段階でも一千百九十一件でございましたが、制度改正によりまして、平成十五年には七百八十件、平成十七年には七百七件、それから昨年は六百十一件と、これも半減以下となっているところでございます。

○小川(淳)委員  やや突っ込んでお尋ねしますが、平成十二年に二万六千件の飲酒による交通事故、これが、平成十五年にかけて二年間で一万六千件、一万件の減ということがございます。これは罰則強化の成果だとお考えですか。

○矢代政府参考人  お答え申し上げます。

 やはり、その根底には飲酒運転に対する社会の厳しい目というものがございます。これを受けました制度改正によりまして、飲酒運転をやってはいけないという規範につきましての周知、これが社会の各層に及んだということ、そして、その核となります違反につきましても大きな制裁がなされた、これが、全体として飲酒運転を大きく減少させた構図であろうと考えております。

○小川(淳)委員  十三年から十八年にかけて確かに減っているわけですね。しかし、その前半二年間の減りぐあい、二年ないし三年で一万件減っている、二万六千から一万六千。平成十五年から十八年にかけて後半の三年間は約五千件のマイナス。二万六千から一万六千まで三年で一万件の減、今度は、一万六千から一万一千まで同じ三年で五千件の減、この減少の鈍りぐあいについてはどう評価をされますか。

○矢代政府参考人  お答え申し上げます。

 御指摘のような推移を見ておるわけでございますが、これについては次のように考えております。

 やはり、飲酒運転撲滅についてのキャンペーンでございますとか社会の取り組みあるいは制裁の強化ということでドライバーの意識あるいは行動というものが変わってきた、それから、飲酒運転をさせないさまざまな社会の状況というものが改善されてきた、この二つで大きくまず事故は減ったと思うわけでございますが、それによりまして効果が出ましたところにつきましてはおおむね一巡をしてきまして、それらのキャンペーンやあるいは制裁の強化によりましては是正されないところのものがまだ残っておる、このように考えております。

 特に、ドライバーについて言いますならば、平成十三年の制裁強化によりましてもまだ飲酒運転をする者が一部残っておる、こういうことではないかと考えております。

○小川(淳)委員  率直にお答えいただいたわけでありますが、確かに減少傾向が鈍っているわけですね。

 申し上げたように、私がすごく鮮烈に記憶しているぐらい、あの「一杯三十万円」という広告というのは効いたと思います。二万六千件あった事故が五年、六年かけて一万一千件まで減った、これは大きな成果です。

 ここから先、弁護士会等からは立法事実というような指摘もあるようですが、今回の引き上げになれば、一杯三十万円が一杯五十万円、あるいは、一年の懲役が三年、三年の懲役が五年になればこの一万一千件はさらに減りますか。いかがですか。

○矢代政府参考人  お答え申し上げます。

 飲酒運転をさらに減少させるためには、制裁の強化だけではなかなか難しかろうと思います。しかし、制裁を強化することによりまして、先ほど申し上げましたまだ改善されていない部分、そのようなものにつきましては、全体の対策を進めていく中で両々相まちまして効果は上がるものであろう、このように期待しております。

○小川(淳)委員  なかなかこれは本当に、ここから先、またよく観察をしないといけない数字だと思いますが、私の素朴な感情としては、この一万一千件、これもいまだに鈍ったとはいえ減少傾向にありますから、いろいろな社会規範の高まりで恐らく減っていく傾向にあるんだと思います。

 しかし、これが、三十万円の罰金が五十万円になったから減るのか、あるいは三年の懲役が五年になったから減るのかというと、そこは必ずしも、まさに御答弁の中にもありましたが、いろいろな複合的な要素がありますから、単純にこれはその連関を認めていくというのは非常に難しいのではないかというふうに予測をするわけであります。

 そこでさらにお尋ねなんですが、刑罰に関しましては、例えば、犯罪を犯した本人に対する懲戒、やはりこれは非常に大きな意味を持つことだと思います。それから、懲戒を与えることによって、再犯を含めた犯罪の抑止、今回、この厳罰化というのはここに大きな意味を持たせているんだと思います。

 それから、参議院の参考人の質疑等にもございましたし、また、この間のさまざまな事件の経過を見ますと、やはりこの厳罰化においては、被害者感情の充足といいますか、被害者感情からくるやりきれない思いを被害者に成りかわって満たしていくという要素、これをぬぐい去ることはできないと思いますが、この点いかがでしょうか。

 今、三つ申し上げました。本人に対する懲戒、そして、再犯を含めた犯罪抑止、飲酒運転の抑止そのもの、さらには、被害感情の救済、被害者感情の満足、この三つの要素からしたときに、今回の厳罰化はどの辺に力点を置いておられるか。お答えになれる範囲で結構です。

○矢代政府参考人  今のお答えを申し上げるに際しまして、昨年の飲酒運転事故の状況はどうであったかということを御説明申し上げますとさらに御理解いただけるかと思いまして申し上げる次第ですが、今ほど御指摘のありました、昨年、飲酒死亡事故件数は六百十一件と減っております。また、飲酒事故自体も一万一千件と減っておるわけでございますけれども、昨年の八月段階までは、実はほぼ横ばいになっておったわけでございます。

 それで、きょう午前中から何回か指摘されております痛ましい事故がございまして社会が大きく動いたということで、警察も動きました。各方面が動きました。この結果、実は、昨年の九月、十月、十一月、十二月と、対前年で事故はおおむね半減ないしは四割減で推移しておるのでございます。その結果、昨年は総トータルとしてこのような数字になっております。

 ことしになりましてからも、実は対前年でおおむね約四割減ほどで推移しておるわけでございます。これは、今回御提案申し上げている最中でございまして、制裁の強化がまだなされていない段階でございます。

 これは、先ほど来委員御指摘のように、制裁以外のさまざまな取り組み、それから、現在ある刑罰を踏まえての取り締まりの強化、こういうものでこれは実現しているものと思うわけでございます。

 したがいまして、この中には、各企業で飲酒運転をさせないということでのさまざまな従業員の管理でございますとか、あるいは、起きた後の懲戒でございますとか、それから、各飲食店のお店におきます自主的なさまざまな防止の取り組みもなされております。もちろん、キャンペーンもなされております。

 こういうものの中で、刑罰というものは飲酒運転の悪質性を象徴するものであろうと思うわけでございまして、したがいまして、今の刑罰の位置づけということで申し上げますれば、制裁、さらにさまざまな抑止の取り組みの中の一環でございまして、その中で、前回でしたら一杯三十万円でございましたが、今回は刑罰は二倍ということでありますが、そういう危険性、悪質性を象徴するものとして、この刑罰、これが全体に影響を与えるものであろうと考えております。

 それから、そういたしますと、やや重複することになりますが、その他のさまざまな抑止の取り組みというのは当然必要でございまして、内閣府でさまざまな枠組みも設定しております。これは引き続いて取り組んでいかなきゃならないものであろうと思っております。その中には幾つかのメニューがあろうかと思います。

 それから、被害者の方々ということでございますが、確かにこれは、これでいいのかという、世の中を動かした一つの大きな原動力でございます。私どもは、この対策を進めていく上でよくよくそのことを念頭に置きながら、対策が展開するように、常にこれは制度を考える上で、また運用する上で考えることであろうと思います。また、それがあればこそ、国民の間にこの思いというものが浸透していくんであろうと考えておるわけでございます。

○小川(淳)委員  今、局長の御答弁、少し揺れ動いたような気がしますが、制裁が高められてから確かに急激に減った、しかし、このカーブだけを見るとやや極限に達しつつある、そして、十八年五月の大変痛ましい事件をきっかけにさらにぐんと下がっている。つまりこれは、その事実関係だけ追いますと、制裁罰では極限に達したものが、さらに痛ましいショッキングな事件によって、世の中の規範といいますか、それがやや高まったということによってさらに減っているということを今御答弁されたわけでありまして、そうしますと、刑事罰の厳罰化と事故の抑止との関連性よりも、むしろ、ある事件をきっかけにした世の中の規範意識の高まりの方に期待感を表明された御答弁だというふうに受けとめました。

 その意味でいきますと、今回、一連のといいますか、道交法に関する処罰の厳罰化については、やはり多分に、被害者感情、被害感情の救済という面が非常に色濃いんだろうという気が私はいたします。そのこと自体は非常に重要な刑事政策、刑事法制でありまして、これが、冒頭申し上げたように、道交法が道路交通の円滑化ということに非常に力点を置いて昭和三十五年に整備をされて、それ以降もしかしたら抜け落ちていた観点だったと仮にすれば、これは大いに取り戻していかなければならないことだと思います。

 しかし一方で、被害者感情の充足というのは、人間の心情として非常にそこは理解を求めなくて済みますし、情緒的に共感が早いわけでありますが、やはり一方で、刑事当局としていろいろな処罰の法制あるいは犯罪類型の確定等々を規定していくというのは、これは極めて冷徹な作業であります。

 そういう意味では、非常に客観性を持たせた議論というのが大事になってくるんだろう。そのことだけは、やはりこの議論の中で、もちろん被害者、御遺族の方のお気持ち、これはもう本当に経験したことのない人間には推しはかるに余りあるものだと思いますが、それはそれとしつつも、刑事政策、刑事法制の冷徹なまでの客観性といいますか、そこについては余りそのことに引きずられ過ぎてはならないこと、ここから先の話もありますので、指摘だけさせていただきたいと思います。

 その関連でお尋ねします。

 これまで、例えば飲酒運転をした運転手が悪い、当然のことであります。スピード違反をした運転手が悪い、これも当然のこと。シートベルトをつけなかった運転手が悪い、これも当然のことであります。しかし今回は、お酒を飲むかもしれない人、あるいは飲むであろうというおそれのある人に車を貸すことが、最長で懲役五年ですか、あるいは、車に乗るかもしれない人、乗るであろう人、そのおそれのある人にお酒を提供することも懲役刑、この点に関しては、場合によっては行き過ぎではないか。非常に萎縮効果といいますか、あるいは予見の不確実さといいますか、その点に関して大いに議論があろうかと思いますが、大臣、この点いかがでしょうか。

○溝手国務大臣  お答え申し上げます。

 今私の考えるところによりますと、日本のお酒文化、酒を飲むことに対して寛容な文化というのがあったこと、ずっと底流にそれが流れていたのではないかと私は思っております。それはもちろん、飲酒運転の最大の原因は運転者本人の遵法精神の欠如にあるということはもう紛れもない事実だろうと思いますが、それにとどまらず、先生なんかまだ若い世代と我々は違いまして、我々は酒を飲むのが人生みたいな青春時代を過ごしてきた。やはり、かなり酒に対して甘い社会があったということは否定できないだろうと思います。

 ですから、この問題は、今言った刑罰の問題、刑法の問題ということもさることながら、お酒を飲まない人がふえた、お酒は楽しみのワン・オブ・ゼムであるという世の中になってきた、その世の中の変化というのがやはり罰を強化したというように影響している、私はそういう思いを非常に強く持っているんです。ですから、飲酒運転を根絶するときに、おれの酒が飲めないのかとか、おれとつき合えとかというような極めて日本的な古い伝統といいますか、そういうことが酔っぱらい運転の原因になることであったら、これはしっかりとめなくてはいけないというような議論があったのは事実でございます。

 これは世代間によって受けとめ方はかなり差があると思いますが、ぐるみで、一種の日本の社会改革かもしれませんが、私は、そんな思いも一部では持ってこの問題をとらえておるところがあります。

○小川(淳)委員  大臣、大臣の御所感としてはよくわかったわけでありますが、つまりこういうことですか。例えば親戚が集まっても、あるいは職場で集まっても、目上の人から、例えばです、お酒を飲め、いやいや車ですからと言ってもそれは通らない社会だった。しかし、そういう酒を通じたコミュニケーションそのものが薄れてきていることもあり、そういうことに例えば国家が手を突っ込もうとしたらできる時代になった、だからやるんだという理解でよろしいですか、今の御答弁。

○溝手国務大臣  いや、国家が手を突っ込もうというんじゃなくて、そういうように、今の酔っぱらい運転に対して厳格に対応して厳罰化すべきだという世論は既にできていた。したがって、どうしてそういう状況になったのかということを自分の人生の体験から見ると、私が申し上げたような面があるのではないか、こういう意味にとっていただければと思います。

○小川(淳)委員  大臣、本当に何といいますか、非常に世の中のムードをここで語られたということにはそれなりの意味があると思いますが、局長、何か交通政策、刑事政策として補足がございますか。

○矢代政府参考人  ありがとうございます。

 法技術的な面がございますので御説明申し上げたいと思いますが、今回、飲酒運転の本人だけでなくて、その周辺者に対する制裁を科そう、こういうことでございます。これはやはり、飲酒運転をしない、させないということのためには、本人もさることながら、その周辺者の対策が必要である、こういう問題認識からでございまして、これは今ほどのお話のとおりでございます。

 それで、この周辺者、車を提供した者、あるいは酒を提供した者、あるいは一定の同乗者というものは、これは従前でいきますと幇助犯でございまして、したがいまして、処罰の対象にはなれます。また、現実に一部してきているわけでございます。

 ただ、今回、この周辺者対策が必要であるということから、幇助ということでは非常に類型が拡散しておりまして、あいまいでございます。車の提供あるいは酒の提供、飲酒運転の非常に大きな要素でございますが、要求してあるいは依頼しての同乗という助長行為ですけれども、こういったものを幇助行為の中から類型化したものを取り出しまして、それで正面からこれに対する規範というものを定立し、かつ、制裁も幇助犯よりは重くする、こういうことでございます。

 それから、お許しをいただきますならば、先ほど、刑罰か、あるいはするのは対策かということでございますと、これは、制裁の強化も、やはり、今ありますさまざまな取り組みの効果というものを長期的に定着させ、ずっと維持していくという上ではその象徴的なものが必要でございますので、あれかこれかということにはならないと思っておりますし、また、被害者感情の尊重、これは当然のことなんですが、制度に移す際には、やはり、その行為の反社会性というものを法的にどう評価できるかということ、ここまで考えながら御提案申し上げているものでございます。

○小川(淳)委員  局長、御答弁、あれかこれかというよりも、こういうのは恐らくあれもこれもということなんでしょうね。その中で複合的に効果が出ていくということなんだと思います。今、まさに周辺者対策とおっしゃった。飲酒運転を助長しかねない、周辺に関与し得る方々、周辺者対策とおっしゃった。

 私はここで二つお尋ねを申し上げたいんですが、一つには、そもそも道路交通法とは一体何かということを冒頭お尋ねしたわけでありますが、もともと、道路交通法の体系をよくよくこれを拝見しますと、歩行者とか車両とかあるいは運転者とか、道路交通のまさにプレーヤーに対してさまざまな規制を及ぼしたり、あるいはルールをつくったり、違反をすれば処罰をしたり、道路交通者に対して及んでいる規範の体系、これが道路交通法であります。

 しかし、今回持ち込まれたこの処罰の体系は、道路交通とは直接の関係がありません。場合によっては酒屋さん、場合によってはお友達、あるいは酒席で御一緒された方等々、歩行者でもない、運転者でもない、使用者でもない、およそ道路交通規範の外側にあられる方に対して道路交通法を用いて規制を及ぼすというのは、果たしてこの法体系からして適切な当てはめなのかどうか、この点をまずお伺いしたいと思います。

○矢代政府参考人  お答え申し上げます。

 道路交通法は、これは戦前からの道路交通、さまざまな変遷を経てきておりますが、それに対しまして、さまざまな車馬の取り締まり、あるいは自動車の取り締まり、自転車の取り締まり、あるいは道路の取り締まりというようなことで、その安全を確保するためにさまざまな規制をなしてきた。それらを踏まえて道路交通法というものが昭和三十五年にできているわけでございます。その淵源を引いております。それで、直接的には、道路という公共空間の秩序を維持しまして安全を確保する、円滑も確保する、こういうものでございます。したがいまして、私どもが見ておりますところは、道路上のことでございます。

 ただ、それを実現するためにはさまざまなプレーヤーがおりますし、また、それに影響を及ぼす者があるわけでございます。したがいまして、道路交通法におきますれば、例えば運転者の雇用主でございますが、あるいは車の使用者ということにしておりますけれども、そのような者がみずからは行為をしなくても、それに下命をしたりあるいは容認している状況に対しまして直接にこれに制裁を科す場合もありますし、行政命令として改善の処分を付することもあるわけでございます。

 それから、単発の行為でありますれば、道路に対しまして何か物を投げ入れるとかそういうようなことは外からするものでありまして、もうそれは当然禁止しているわけでございます。

 したがいまして、今の道路交通法でどこまで可能かということになりますと、中心はあくまで道路上の安全、円滑、それから道路から生ずる公害等の防止、こういうことでございますが、それを実現するための幾つかの手だてというのは必ずしも道路上のプレーヤーだけには限らないわけでございまして、道路交通法以外の法体系でそれを実現することはございますけれども、道路交通法の体系の中でそれを規定することは、これは可能でございます、従前からやっているわけでございます。

○小川(淳)委員  ここは決め打ちするような話ではありませんので、ひとまず指摘にとどめたいと思いますが、もしこれが、例えば飲酒運転の厳罰化あるいは抑制に関する法律とかいう特別立法としてあらわれてくると、非常に自然な形ですっと入ってくるんですよね。ところが、道交法の体系自体は、申し上げたように、車両とか運転者とか歩行者とかある。中に、例外にこういうのがありますね、安全運転管理者。業として複数の自動車を用いた運送業者等に関する安全運転管理者。まさにこの運転業務というのは、事故に遭遇した場合、事故を起こした場合には、まさに業務上過失致傷という業務という観点でとらまえられる。そうすると、歩行者や自転車の例はありますが、業として、あるいは免許を持ったプロとして道路交通に参画をする一義的なプレーヤーに関するルールという法体系であれば非常にすっきりしているわけであります。

 ところが今回は、その外側におられる、ドライバーと接触する機会があるという意味においてもちろん連関はあるんでしょう、あるいは、潜在的な可能性を持ったドライバーと接触するという連関はあるんだと思いますが、まさに一般市民、普通の、もしかしたら車を運転した経験すらないような方、道路交通のまさに素人かもしれないような方でもがこの道交法の規範に巻き込まれ得るという意味では、法体系からすると、非常にある種の違和感を感じます。

 その意味では、民主党が提案した法案の中には、お酒の提供ということに関しては、業としてお酒を提供している、例えば居酒屋、飲食店等あろうかと思いますが、そういった方には、お客さんが一体車なのかそうじゃないのか、そういうことに関して高度の注意義務を課していくという考え方をとっていたように見受けておりますが、その点いかがですか。

 今回の政府案ですと、一般の市民の方、普通の方に対して非常に大きな、高度な注意義務を課すおそれがあると思いますが、業に限定して、業として酒類の提供を行っている方、業として車の貸し出しを行っている方、こういうある種プロの世界の話として注意義務を課していくという考え方についてはどう評価されますか。

○矢代政府参考人  お答え申し上げます。

 法律の立て方、整理は、これはこうでなきゃならぬということはございませんので、したがいまして、御指摘のように、一つの独立の体系を打ち立てて、それによって飲酒運転に関する交通の安全というものを実現していくということは、これは十分に考えられるところでございます。

 法技術的にどちらの法でやったらいいかということで、従前から、例えば今御指摘の安全運転管理者という制度を道交法に今置いております。つまり、一定の車を持つ者は、それは安全な管理をしなきゃならないということで義務を課しているわけですが、それはやはり、さっき申し上げましたように、道路上の交通の安全と円滑を図る上に幾つかの手だてを考えていくと、やはりそこまでは必要であるということで、まずその制度は必要であると判断しました。あと、それを道路交通法で書くかあるいはほかの法律で書くか、技術的な問題でございます。

 あるいは過積載がございます。過積載は、過積載をした本人をこれは処罰しているわけでございますけれども、繰り返しその取り締まりをしてくる中で、やはり、そのもとになる山元の方でこれを供している、あるいは容認している、あるいは下命までしておりますけれども、そこまで射程を置いて対策を立てないとこの過積載というものの根源的な解決にならないということで、その山元対策、つまり、下命、容認なり、あるいはそれに対する是正の指示などを考えていきますと、そうすると、これは必要である。

 それはもちろん、単体で法制度をつくることも可能でございますが、ただ、道路交通法ではそのように幾つかのものをずっと従前からやっておりますので、それによって可能であろう、こういうことでございます。

○小川(淳)委員  業の方はいかがですか。

○矢代政府参考人  落としまして失礼しました。

 それから、この範囲をつまり業とするか一般まで広げるかというのは、これも実は率直なところ、両方あり得ると思っておりました。

 それで、私どもも、業者だけを対象とする案を出されているのを承知しておりましたので、それについても一つの選択としては考えたわけでございます。しかし、飲酒運転を抑止する、飲酒運転をしない、させないということを実現していく上で、周辺者において酒類を提供することが飲酒運転を助長することになっておりますから、その点では、業者であろうと一般の方であろうと、道交法のそういう考え方からするとそれは基本的には差異はないということでございます。

 したがいまして、どちらの法もあり得るかとは思います。とりあえず、より頻度の高い営業者だけを対象にするというのもそれはあり得るかと思います。ただ、国民的に全体から飲酒運転をなくそうということからすると、広くそのような目安にした方がよかろうと考えるわけでございます。

 注意義務ということの御指摘でしたが、これは注意義務というわけではありませんで、過失ではありませんで、あくまで、そういう状況を認識しながらあえて酒を提供する、こういうことでございますので、改めて今の一般の方々に追加的に注意義務を課すというわけではございません。

○小川(淳)委員  局長、お言葉ですが、法形式に関して技術的というお答えがございましたが、やはり、法形式というのはある種の規範の表現の仕方ですから、そこにその意識があらわれる。そういう意味では、私の指摘の趣旨はぜひ御理解をいただきたいと思います。

 それから、何も一般の方に法的な注意義務を課すという意味では必ずしもなくて、そこまでの注意を喚起するということは、これは、もしこういう法体系をとるのなら、一杯三十万円のあのPRじゃありませんけれども、相当なPR、あるいは浸透するための努力を払わなければ、居酒屋で営業をしておられる方と一般の方々というのはやはり違いますから、そこは非常に、これはどっちをとるかによって、警察当局としても浸透のさせ方に対する努力、それはいろいろありますよ。

 宴席なんかで、私らの仕事なんかもそうですよね、よくお酒をついで回るわけですが、いやいや車ですからと言われたときに、どこまでそれを重く受けとめて本当に酌をとどめるか、あるいは、大臣のさっきのお話ではありませんけれども、日本の独特の文化に従ってついでしまうか。その方が酒気帯び運転するのか酒酔い運転するのか、しないのか。ごく普通の一般市民社会にそこまでの注意喚起をするというのは、これは容易なことではないと思います。そういう法体系をとられる以上、予見可能性といいますか、そこについては特段の配慮がこれは警察当局として必要ではないかということを改めて指摘をしておきたいと思います。

 あわせて、もう既に局長の御答弁の中にもございましたが、これまで、お酒を提供するあるいは車両を提供する、車両を提供するということは今まで一体どういう事犯があり得るのかどうか定かではありませんが、これまでも、飲酒運転本人の主犯者に対する教唆または幇助犯は成立し得たわけですね。ところが今回は、お酒を与えるあるいは自動車を与えることを、独立犯として、正犯として犯罪の構成要件を打ち立てられたということであります。

 それなのに、ややうなずきかねる記載があるわけですが、今これ手元にしておりますのは、この道交法の改正案を広く公から意見を募られたパブリックコメントに対する意見の要旨並びに警察当局の反論の要旨であります。その中にこういう記述がございます。「厳罰化の対象とする行為については、現行法でも飲酒運転の教唆・幇助犯に該当するものであり、懲役刑に処すことが厳しすぎるとか、処罰範囲が拡大するなどの指摘は当たらない」と記載されているんですね。

 もしそうなら、現行の教唆犯、幇助犯で処罰できるものであれば、それで済むんじゃありませんか。それよりもさらに広い範囲を処罰するとの指摘は当たらないんであれば、何ゆえにわざわざ、さっきも申し上げました、道交法の体系、運転手とか歩行者とか道路交通のプレーヤーを主として規制するこの法律で、その趣旨からすると一段二段遠い方を何ゆえ独立犯として、正犯として犯罪の構成要件にする実質的な意味があるのか、そこをお尋ねします。

○矢代政府参考人  お答え申し上げます。

 現在、道路交通法第六十五条第二項に、「何人も、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。」という規定がございます。これが規範になっておるわけでございます。

 それで、このうちその処罰の対象となる者はといいますと、酒類の提供について言えば、これによって幇助したということが認定される場合でございます。幇助犯については、それでは、酒ではなくて車を提供した者はどうかというと、ここには書いておりませんけれども、それもやはり幇助犯になるわけでございます。

 そういうことで、幇助犯として処罰ができるにもかかわらず、この中からなぜ独立させるかということについては二つのねらいがございまして、一つには、非常に即物的なことになりますけれども、従犯では正犯の二分の一の科刑でございます。しかし、飲酒運転に決定的なものを提供するような教唆であれば正犯と一緒でございますけれども、教唆が立つ場合もあるわけですが、教唆が立たない場合、車の提供だけだというような場合、そういう場合に制裁をさらに重くするということになりますと、やはり正面からこの規範というものを定立して、それに対する制裁を明らかにする必要がある、これが一点でございます。

 それからもう一つは、やはり、現在の道交法六十五条の二項に、「何人も、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。」こうありますので、これに基づいてさまざまなキャンペーンなり取り組みがなされているわけでありますが、そうしますと、車両を提供してはならない、あるいは同乗を求めてはならないという規範をここに明らかにすることによりまして、飲酒運転をしない、あるいはさせないということが、社会に広く規範を浸透していく上で非常に明確になっていくということでございます。

 その二つのことを考えながら、今回はこれを独立させて新たにその処罰の対象を広げるものではないけれども、重くはなります。かつ、従前ですと幇助犯ということで、一体何なんだというのがよくわかりません。それは、実際の行動として追加的に起こすのであれば、車両を提供してはならない、あるいは飲酒運転している車に同乗を求めてはならない、そういう規範を定立した、こういうことでございます。

○小川(淳)委員  そうしますと、実質的な意味は、幇助犯で二分の一の減刑では不当なケースがある。実質的な意味はそこだけだということでよろしいですか。

○矢代政府参考人  お答え申し上げます。

 科刑においてどのような効果が出てくるかということについていえば、御指摘のとおりと思います。

○小川(淳)委員  もう一つ、局長も触れておられますが、宣言効果といいますか、その効果というのは確かになくはないんでしょうね、宣言効果。しかし、そのことと、新たな犯罪構成要件をつくるということの重みといいますか、それだけだと果たしてバランスがとれているんだろうかなという気がやはりしないでもありません。その点もあわせて指摘をさせていただきたいと思います。

 この厳罰化の流れ等々に関してやはり申し上げたいのは、道路交通法の体系からすると、飲酒運転の厳罰化というのは、むしろ特別立法だったら非常にわかりやすいな、それが一点。そして、そうであれば、今申し上げたようなこういった実質的な構成要件、あるいは量刑も含めてでありますが、実質的なメリットは一体何なんだろうな、こういう問題意識も余り起きなくて済むんだろうな、今回の法案全体を通してそんな気がいたします。そういう意味では、この法案ができてきた経過から見ましても、ここが非常に大きなかなめのところなんだろうと思います。

 あわせて、そういう意味では、ほかにもたくさんの対策といいますか、これまで抱えていたものを全部吐き出されたかのようないろいろなものが盛り込まれているわけでありますが、時間も残り少なくなりましたので、それぞれポイントだけお尋ねさせていただきます。

 まず高齢者対策ですが、認知能力の検査をされるということですね。確かに、高齢者にその傾向が圧倒的ということはそのとおりだと思いますが、人権だ何だというお話もございました。認知能力というのは、これは幾つの運転者だろうと求められるわけでありまして、また最近、若年認知症なんて言われます。我々、免許の更新のときなんかは本当に大変な時間を割いてそういう検査とか受けているわけでありまして、この認知能力に関しては、いっそのこと全運転者に求めたらいかがかという気もいたしますが、この点いかがですか。

○矢代政府参考人  お答え申し上げます。

 実は、この制度を検討するに当たりまして、そのような御意見もございました。何人かの有識者の方々に集まっていただきまして検討をやったわけでございますが、その際に、やはり若年であってもそのようなものがあるのであるから、したがって、全員とは言いませんでしたけれども、例えば五十代、六十代からでもいいのではないかという御指摘もありました。

 一方では、そうはいいましても、制度的にある程度負担を課すことになるわけだから、したがって、現在、高齢者講習の対象となっております七十歳以上ということで、制度的には整合性もあるしいいのではないか、こういう御意見もございました。

 もう一つの意見が今回御提案申し上げているところなんでございますけれども、私ども、それらの意見も踏まえながら、また、現在の提案の意見についても検討してみますと、やはり最後は、交通安全は実現するということでございます。そうすると、現実に交通事故のリスクというのがドライバー当たりどの程度出ておるのかということで見ていって、それで、一定程度高いというところで皆さんの御理解を得られるんじゃないか、それが合理的ではないかということで、そのような意見がある中で、一番絞った形の七十五歳というのが一番いいのではないかということで御提案申し上げたところでございます。

 したがいまして、幾つかの視点があるとは思うわけでございますけれども、認知機能の低下という一点をとらまえて判断していくならば、確かに、もう少し幅広く対象をとる選択肢というのはあるわけでございます。

○小川(淳)委員  これも実施後の経過をよく分析していただいて、これは全年齢に義務づけても、国民感情としてはそう害されるものではないような気がしますね。むしろ七十五歳からということの方が、非常にお元気な方、しっかりされている方がおられますから、むしろそっちの方が議論が起きるのかなという気がいたします。

 次に、聴覚障害者対策について一点だけお尋ねします。

 これは、長年念願しておられた方にとっては本当に待望の法改正だと思いますが、それはそれとして厳しい立場からお尋ね申し上げますが、聴覚による情報はワイドミラーによる視覚情報によって代替できるものですか。この点、お尋ねします。

○矢代政府参考人  お答え申し上げます。

 代替することはできません。

○小川(淳)委員  非常に簡潔な御答弁、補完していくということなんだと思いますが、これもやはり、よく当事者の方々のお声をいただきながら、実施後の状況についてはよく検証をお願いしたいと思います。

 もう一つ、非常に抽象的なお尋ねです。自転車対策について、最近、自転車と歩行者との事故などもよくクローズアップされているようでありますが、私自身も高校時代なんかはよく十キロぐらい自転車で行ったり来たりしておりました。歩行者から自転車を守ることも大事ですが、自動車から自転車を守ることの方が、日本の道路事情などからしますと、その何倍もより大きな課題だと思いますが、その点の御認識、いかがですか。

○矢代政府参考人  お答え申し上げます。

 歩行者と自転車とそれから自動車、三つを比べてみますと、それぞれスピード、運動エネルギー、これは違うわけでございます。自転車と人、自転車と自動車ということになりますと、自転車の事故の圧倒的部分、九割、これは自動車との衝突でございまして、そこに被害が生じております。したがいまして、その観点からしますと、自転車の安全を考えていきますと、可能な限り自動車と分離できればそれはベターであるというふうに考えられます。

 と同時に、歩行者と自転車との関係もそれに似た関係になるわけでありまして、できれば歩行者と自転車を分離できれば望ましいという考えでございます。

 ただ、今回御提案申し上げていることとの関係で申し上げますと、自転車道があれば三つに分離できるわけですが、歩道と車道と両方しかないときにどうするか、これが現在の一番の悩ましいテーマでございまして、現在の制度は、御案内のように、車道を原則とする、それで、公安委員会が指定したところについては、これは幅の広い歩道ということになりますけれども、車道を通ってもいいし歩道を通ってもいいということでございます。

 今回、それをどうするかということでかなりの議論を重ねましたけれども、自転車の利用者が、子供からお年寄り、あるいはスポーツサイクルもあるという非常に多様性のある使い方を見ると、どっちか一方というわけにはなかなか割り切れない。現在のように、車道を原則としながらも歩道もあわせて使っていく、そういうことで対処せざるを得ない、こんなことで御提案申し上げた次第でございます。

○小川(淳)委員  ありがとうございました。

 時間が参りましたので、最後、問題提起にとどめます。

 シートベルトについてでありますが、現在、シートベルトを後部座席にも努力義務なり義務づけをしていくということでありますが、これは、運転者ではなくて同乗者そのものに罰則を科すことをぜひ考えていかれたらいかがかと思います。飲酒運転の本人よりも酒を提供した人を罰するという、全体で交通安全の相乗効果を上げていこうというその思想に必ずしも反対ではありません。今までの法体系との兼ね合いをお尋ねしたわけでありますが、それからいいますと、シートベルトの件も、運転者一人に責任を負わすのではなく、同乗者をむしろ罰していくことも含めて考えていかれたらいかがかな。指摘にとどめさせていただきます。

 ありがとうございました。

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