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〜会議録(5月16日内閣委員会での質問)〜
○小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。
きょうは、直接の連関まではないかと思いますが、よく報道等で登場いたします、また政府としても注目をしておられると思います二つの死亡数統計、またその対策についてお伺いをしたいと思います。
一つ目は、交通事故死亡者数統計、死亡者対策でございます。端的にお伺いいたしますが、交通事故死亡者数の推移、どんな状況でしょうか。
○野村政府参考人 お答えいたします。
交通事故死者数の推移ということでございますが、簡単に戦後の我が国の状況を申し上げたいと思います。
自動車交通が戦後急成長に入りました昭和三十年代から、事故死亡者は激増しております。四十五年には一万六千七百六十五人というふうにピークになっております。それ以降は一たん減少に転じまして、昭和五十四年にはほぼ半数の八千四百六十六人にまで減少いたしております。しかしながら、五十年代半ばから再び増加いたしまして、平成四年には一万一千四百五十一人を記録しております。平成五年以降、再び減少傾向に転じまして、昨年、平成十八年には六千三百五十二人ということで、昭和三十年以来五十一年ぶりの六千人台前半となったところでございます。この傾向は本年に入りましても続いておりまして、減少傾向が続いております。
○小川(淳)委員 大臣、お聞きのとおりでございまして、第一次交通戦争、第二次交通戦争と言われた当時からすれば、ほぼ三分の一まで激減しているわけでございます。
大臣、これはなぜだと思われますか。
○野村政府参考人 お答えいたします。
私どもは、戦後非常に努力をいたしておりまして、昭和三十年代から激増したというふうにただいま申し上げましたが、このような背景の中で、交通事故問題を行政各分野が協力して取り組むべき重要な政策課題というふうに位置づけまして、昭和四十五年に交通安全対策基本法が制定されました。その法律に基づきまして中央交通安全対策会議が設置されまして、同会議で策定いたしました交通安全基本計画に基づいた総合的な交通安全対策が講じられてきたところでございます。
警察におきましても、道路交通法制の整備あるいは信号機等の交通安全施設の整備、体系的な交通安全教育の推進、さらには交通指導取り締まり等の街頭活動の強化、こういった各種対策を継続的に講じてきたところでございます。
先生御指摘のように、死者が近年減少傾向にございますのは、このような関係行政機関、団体が継続して総合的な交通事故抑止対策を講じてきた効果があらわれているというふうに認識しております。
○小川(淳)委員 あわせて事実関係をお聞きします。
交通事故件数そのものの推移はいかがですか。
○野村政府参考人 お答えいたします。
交通事故件数については、若干、死者数の推移と異なっております。戦後まず、死者数と同様に、昭和三十年代から事故そのものも激増いたしました。それで、四十四年に七十二万件とピークを迎えましたが、それ以降、減少に転じております。それで、五十二年、四十六万件まで減少したわけでございますが、五十三年以降、ほぼ一貫して増加傾向を続けておりまして、平成十六年に約九十五万件という数字を記録いたしております。その後、十七年、十八年につきましては二年連続で減少しておりまして、昨年、平成十八年は九十万件を下回ったというふうな数字でございます。
○小川(淳)委員 大臣、ぜひお答えいただきたいんですが、交通事故件数そのものは減っていない、むしろ増加傾向、死亡者数は相当激減というこの状況をどう分析されますか。
○溝手国務大臣 いろいろな対策を打ったことによって、死亡について皆さん非常に注意をする、シートベルトなんというのはまさにその問題だろうと思います。それから、交通事故そのものの発生件数というのは別の要素があるんだろうと思います。
高速道路の発展、延長によって、いわば高速道路を含めて高スピードの状況における死者というのはふえる傾向にあるんですが、町の中での交通というのはだんだん平穏化してきているというような感じで思っています。
○小川(淳)委員 端的に私の所感をぜひお聞きいただきたいと思うんですが、事故は減っていないのに死亡者は減っている、最近の、ここ近年の現象ですから、恐らく、ボディーの強化とかエアバッグとか停止制御装置とか、そういう自動車技術の革新によるところが大きいんだろうなという気がいたしております。この結果自体は大変望ましい結果だと思います。もちろん警察当局も、飲酒運転の取り締まり強化、処罰の強化、それからシートベルトの着用義務化等々の努力をしておられることはそのとおりでありますが、やはりこれは、むしろ自動車メーカー側の技術によって立つところが大きい結果ではないかというふうに率直に思うわけであります。
これから先、飲酒運転の取り締まり強化に向けてはさらに、スウェーデン方式ですか、呼気を吹きかけることで飲酒のないことを確認してエンジンがスタートするとか、つまり、警察当局として、やはり相当、自動車メーカーの技術に対してある種の強制力を及ぼすような取り組み、これをあわせて進めていかれることを、この際、ぜひお願いを申し上げたいと思います。
それから、もう一つお伺いいたします。これはわかる範囲で結構です。
私自身が実はある県の市役所で勤務をしておりましたときに、この交通死亡事故統計について非常に疑問を感じたことがございました。つまり、交通事故死亡者数の統計を見ていくということは、この統計調査そのものの信憑性についていろいろとこれは問われるわけでありまして、私自身が経験したところでいきますと、例えば、事故発生から二十四時間をもって、一秒でも二秒でも生き長らえた方についてはカウントしないとか、あるいは、事故の態様によっては、これは自殺行為じゃないかという判断を警察当局が下す。あるいは、事故の直前に心臓、脳を含めて急死に至るような病があったんじゃないか、つまりこれは交通事故ではなくて病死じゃないか、こういうふうに、これは当然のそういう力学が働くんだと思います。
交通事故死亡者数のカウントそのものを抑制していくという力学が警察当局としては働いて、そのこと自体は理解できます。しかし一方で、できるだけ正確に統計をとるという要請があるわけですから、その辺のバランスについて一言、御答弁をいただきたいと思います。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
死者数につきましては、先生御指摘のように、私どもが今数字で申し上げましたのは二十四時間以内の死者数でございます。そのほかに、三十日以内の死者数、あるいは厚生統計というふうな三つの数字がございます。例えば二十四時間以内死者と三十日死者を比べますと、約一四%ほどふえます。
ただ、私、先ほど傾向をずっと申し上げましたが、基本的にこの傾向というのは同じでございまして、二十四時間が減るときには三十日以内も減っております。したがいまして、一四%の差、これは大体キープしておりますので、基本的に二十四時間以内の死者でいろいろな統計を考えるというのを、基本的な対策の整理としてはいいのではないかというふうに考えております。
〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
○小川(淳)委員 御指摘の傾向については、私も理解できます。
ただ、申し上げたいのは、とにかく正確な統計をとるという一点に徹する形で全国の警察当局、これもできるだけ減らしたいのが警察署長さんの心情でありますから、私が現場で感じた感覚を今この場で初めて申し上げますが、そういう観点から、ぜひ全国の警察当局を御指導いただきたいと思います。指摘だけさせていただきます。
それからもう一つの死亡者数統計で、やはり非常に重々しい数字でありますが、自殺者統計、自殺者対策ということがございます。国内の自殺者数の推移、まずは事実関係をお聞きしたいと思います。
○片桐政府参考人 お答え申し上げます。
自殺者数でございますが、平成十七年中の自殺者の総数は三万二千五百五十二人でございまして、前年に比べて二百二十七人、〇・七%の増加となっております。
そこで、推移というお尋ねでございますけれども、自殺者数は平成十年に三万人を超えまして、それ以来、八年続けて三万人を超えているという現状にございます。最近五年間の数字を申し上げますと、平成十三年が三万一千四十二人、平成十四年、三万二千百四十三人、平成十五年、三万四千四百二十七人、平成十六年、三万二千三百二十五人、そして十七年、今申し上げたように三万二千五百五十二人でございます。
○小川(淳)委員 今お答えいただいたとおり、九八年ごろから急増しているわけであります。九七年当時、九七年、八年というのは、まさに山一証券を初めとした金融危機も言われましたし、経済危機が論じられたころでありました。そのころから急激にふえたわけでありますが、九四年以降、景気は一貫して拡大していると言われています。こういう中で自殺者数が一向に減らない。
この現状についてどういった感想を持たれるか、お伺いしたいと思います。
○高市国務大臣 まず、近年、三万人を超える方々が自殺で亡くなられているのは大変残念で痛ましいことだと思います。そして、これまでも、平成十二年以降、平成十二年三月に厚生労働省が策定した健康日本21でも目標が定められているんですけれども、結局かなり達成が難しい状況にある、これもまた事実だと思います。
この状況の分析も非常に難しいんですが、一つは、やはり今御指摘のあったような経済危機の問題。それから、多重債務ですとか詐欺に遭ってどうしようもない状態に追い込まれている方が出てくる。そして、高齢化が進展して、介護疲れによる無理心中といった痛ましい状況も発生している。それから、ネット自殺というのも近年の傾向だと思います。ネット上で中傷されたというような事例もあるし、ネットの自殺サイトなどで見も知らぬ人とともに自殺をしてしまうというような事例も出てきた。それから、子供さんの自殺というのも社会問題となってきた。それから、うつ病に対する対策がなかなか効果的に打たれていないんじゃないか、こういった事情もあると思います。そしてまた、自殺事案が発生したときのマスコミの報道の仕方によっては連鎖的な反応も出ている、マスメディアの進展といったものも社会的な背景にはあると思います。
過去の政府の目標値の達成が非常に難しくなっているし、新たな社会的な要因も出てきたということの反省と、そしてまた自覚に立って、いま一歩踏み込んだ自殺対策というものを進める必要がある、そういう時期にあると考えております。
○小川(淳)委員 大変丁寧な御答弁、ありがとうございました。
まさにそういう中で、昨年十月ですか、自殺対策基本法、そして先月二十七日にこの大綱案を示されて、今月十日には、これに対する広く一般からの意見の募集を締め切られた、今まさにそういう状況でありますが、正直、この自殺問題というのを公の場でどこまで取り上げるかというのは、非常に悩ましいぐらいセンシティブな問題、また逆に、そこを突き破っていかないとなかなか真相にたどり着けない、そういうジレンマを抱えているテーマだと思います。
あわせて、この自殺対策基本法、そして総合対策大綱、このセールスポイントといいますか、特筆すべき、ぜひPRすべき点がございましたら、ポイントだけお聞きをしたいと思います。
○柴田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、自殺対策基本法の方でございますけれども、御承知のように、昨年の六月に成立しまして公布されました。そして昨年の十月から施行されています。
そのセールスポイントとおっしゃいましたけれども、目的をまず申し上げますと、自殺対策を総合的に推進する、自殺の防止を図り、あわせて自殺者の親族等に対する支援の充実を図り、もって国民が健康で生きがいを持って暮らすことのできる社会の実現に寄与するということです。
基本理念の中でポイントがうたわれておりまして、自殺は個人的な問題としてのみとらえるべきではなくて、背景にさまざまな社会的な要因がある、今大臣からも御答弁申し上げましたけれども、そういう要因があることを踏まえて、社会的な取り組みをしていくんだというのが一つであります。それから、やはり対策をする限りにおいては実態に即してやらなければいけませんから、ちゃんと調査をして、実態に即して実施をするんだ。三番目は、事前の予防、危機への対応、それから、そういうことだけではなくて事後対応の各段階に応じた効果的な施策として実施するんだ。それから、自殺に至る悩みをいろいろ持っておられる方というのは、制度や施策からいいますといろいろな広範な分野に分かれるわけでありますけれども、一人の人を支えるわけですから、相互の密接な連携のもとに実施するんだ。
大体、このようなことが自殺対策基本法の大きなポイントではないかというふうに考えています。それを政府で総合的に、関係各省が集まって、関係各大臣が集まって総合的に進めていくんだというのがポイントだと思います。
それからもう一つ、大綱についての御質問がございました。
今、先生からもお話がありましたように、自殺総合対策大綱につきましては、基本法に基づきまして、自殺総合対策会議で案をつくるということになっています。今まで案をつくるための作業をずっとやってきまして、今先生のお話にございましたように、四月の二十七日に自殺総合対策会議を開きまして、大綱の素案というのをパブリックコメントに付すことを決定したということであります。そして、その日からパブリックコメントを御紹介しまして、十日にはパブリックコメント募集の終了をしたということであります。
その中身について申し上げますと、現状とか基本認識については先ほど来のお話がありますので省略いたしますが、基本認識を申し上げますと、一つは、自殺は追い込まれた末の死であるということで、個人の自由な意思とか選択の結果じゃない。それからもう一つは、自殺の直前にうつ病などの精神疾患に罹患していることが非常に多いんだ、そこをよく認識すべきじゃないかというのが一つです。
それから二番目は、ですから、自殺は防ぐことができる。この防ぐのは、制度、慣行の見直しとか相談支援体制の整備というような社会的な取り組み、これは先ほどの法律にもありましたけれども社会的な取り組み、それから、うつ病などの精神疾患に対する適切な治療、こういうことをやることによって防ぐことができるんだ。
それから、自殺を考えている方は何らかのサインを発している。なかなかその悩みを人には言わないものですけれども、近くの人がよく見ていると、いろいろなサインを発しているということで、それを早く気づいて対応につなげていくというのが大事なんだということが基本認識で触れられております。
そういうもとに、どういう考え方で臨むかというと、一つは、さっき申し上げましたように、うつ病対策は当然やる。それだけではなくて、働き方の見直しとか再チャレンジ可能な社会の構築とか、あるいは失業とか多重債務の相談支援体制の整備、こういうような社会的要因も踏まえた総合的な取り組みを行うということであります。
それからもう一つは、やはり国民一人一人が自殺予防の主役となるようにしなきゃいけないということも言っております。
それからあとは、先ほど理念のところにもありましたので、ダブるから省略いたしますけれども、実態解明につきましても、これは当面これまでの知見に基づき政策を展開しますけれども、これからは本格的な実態解明を進めるとか、あるいは、なかなか特効薬がないわけですから、中長期的な視点に立って対応を考えていく、こんなようなことがうたわれているわけでございます。
個別の政策については省略いたしますけれども、大きなところではそんなところでございます。
○小川(淳)委員 大変総花的な各方面にわたる対策、といってもスローガンにとどまらざるを得ない面が大きいのだとは思いますが、先進各国に比べると日本の対策というのは大分おくれていると言われていますから、これからということなんだと思います。
一つ具体的にお尋ねしたいと思いますが、おわかりになればお答えください。
二〇〇五年の十二月、総務省が、国と地方団体を対象に自殺予防に関する施策の調査を行った。その結果、十六都道府県が、特に対策は持っていない、実態把握もしていないというような調査結果が二〇〇五年の十二月、一年半前に出されたようでありますが、その後、追跡調査あるいは改善された点は見受けられますか。いかがですか。
○柴田政府参考人 済みません、ちょっと突然のお尋ねですので手元に資料がありませんけれども、実は、今度の自殺対策大綱を決めましたら、これは各都道府県に当然説明しようと思っております。そしてその中で、決めた後はやはりそれぞれの、例えば県の組織の状況、そういうものがどうなっているかとか、どういう取り組みをしているのかというのを丁寧にフォローしていこうというふうに考えております。
○小川(淳)委員 今お答えいただいたとおり、これは本当に幅広い要因が複雑に絡み合う問題でしょうから、そういうアプローチが必要なんだと思います。
今指摘申し上げた都道府県の体制あるいは内閣府の体制そのものを、これは恐らく古くないと思うんですけれども、今、内閣府のホームページからデータをいただきました。ほとんどの都道府県が、やはり精神保健係、障害福祉課、つまり精神疾患としてまずは窓口を設けようという感じなんですよね。それから内閣についていえば、これは自殺対策室か支援室という組織ができたんじゃなかったでしたっけ。中央官庁を見ますと、内閣府がまだ企画調整課とか、それから、これは関係あるのかどうかわかりませんが、各省庁を見ても、およそ、何でも課がひとまず窓口を置いている。官房の企画課とか、こんな状態なんですよね。
その辺、情報がアップデートされていないのであれば、これは直ちにお願いをしないといけませんし、まだ現にこういう認識であるとすれば、ぜひ全国に対しても働きかけを強めていただかなければならないと思いますが、いかがですか。
○柴田政府参考人 まず、自殺対策関係のデータにつきましては、ホームページ上でどんどんと更新をするということで私ども考えております。そのようにやっていきたいと思っています。
それから、組織の関係につきましても、これはいろいろ、もともとが精神保健の関係から手をつけてきたこともあって、都道府県では精神保健中心にやっているところもあると思います。
国は、総合調整あるいは総合的な企画をやる内閣府で、高市大臣のもとで各省、自殺総合対策会議というのをつくって、そして大綱をつくり、しかもその大綱をフォローアップしていく、おくれているところはもう少し頑張ってくださいというようなこともやっていくということでございますので、先生の御懸念の点につきましては、そういうことを適切に運用することによってきちっとやっていきたいというふうに思っております。
〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
○小川(淳)委員 高市大臣、率直にお尋ね申し上げたいんですが、いろいろな課題を抱えておられるわけでありまして、少子化の数字もそうでしょうし、それからこの自殺者の数字というのも大変重大な数字だと思います。
私は、政治にかかわろうとするに当たって、この自殺者数というのは本当に重たい、いわば政府にとっての非常に大きな通信簿のような気がしています。安直にそういうことを申し上げるのは非常に不謹慎ととられるかもわかりませんが、やはり幾ら経済がよくなったって、幾ら景気がよくたって、年間何万人という方々がみずから命を絶たれる、この数字が多いままでは、非常に不幸な社会なんだという気がしてなりません。あらゆる社会の病理といいますか、病といいますか、それが最後そこへしわ寄せになって、一番弱いところへ、死に追い込むという形で結果としてあらわれる。
ですから、政府としては、この十二年の目標値、三割減でしたよね、二万二千人に減らそうという三割減。今回の大綱が、二万五千人ですから二割減です。実際にその実現可能性というのをにらむのも必要なんでしょうが、ここは非常に大きなメッセージ性のある部分だと思いますし、自殺者数というこの数字そのものに、本当に厳重な通信簿を毎年もらっているというぐらいのお気持ちで、ぜひこの数字とは向き合っていただきたいという気がいたします。
二万二千人目標から二万五千人目標に変更された、その点についての御認識を最後にお聞きしたいと思います。
○高市国務大臣 今後、六月に向けて、パブリックコメントの結果も受けて自殺対策大綱の取りまとめをしてまいります。その中で私たちが設定する目標の数字というものが最終的に決まるものでございます。過去の健康日本21で、目標を立てたものの、自殺者数というものが結局それほど減少できなかったというようなこともございますので、今回はまさにその反省に立って、さらに踏み込んでいこうということになります。
ただし、数字というのは、今非常に新しい社会的な要因も発生する中で、高齢化も進行する、そして、先ほど申し上げましたような新しいネットですとか、そういった要因も出てくる中で、あらゆる対策を打てるだけ打って、その結果、全く達成不可能な数字を一時的な一般受けのために打ち出すというつもりはございません。あくまでも、緻密に一つ一つの対策を誠実に打って一人でも多くの方の命を救う。例えば、目標値が二〇%だったとしても二〇%にとどまらない、二〇%以上を目指す、人数で設定したとしても一人でも多くの方の命を救う、そういう思いを持って省庁を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
○小川(淳)委員 私、やはりこの法案が、これは社会問題だ、個人の問題じゃないというふうに位置づけられたところには大きな意味があると思います。しかしながら、大綱の中身が、どこかでまだ、個人の精神疾患、そこに相談をしなきゃいかぬ、手を差し伸べなきゃいかぬという部分を脱し切れていないような懸念がまだ残るような気がします。
この社会構造の問題というところからいえば、やはり小泉政権以降、小さな政府とか筋肉質だとかなんとかおっしゃっています。もちろん必要な部分もあるんでしょう。高金利の問題、わずかながら改善されました。日本特有だと思いますが、分厚い個人保証の仕組みとか、それから無年金のお年寄り、高市大臣がおっしゃいましたが介護サービスは十分なのか、医療費の負担、リハビリの打ち切り、障害者自立支援法、減税の廃止に各種控除の廃止。やはりそこに目を向けることで自殺のすんでに追い込まれつつある方そのものを減らしていくことが、本当の意味での社会構造からのアプローチなんじゃないかという気がしてなりません。
そこが、小泉政権以降、非常にいい仕事もされている反面、切り落としている部分。そこにやはり警鐘を鳴らしているのが、二〇〇四年以降、景気回復と言われながらもなかなか自殺者数が減らない、そこに結果としてあらわれているんじゃないかということを警鐘として申し上げて、質疑を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
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