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〜会議録(2月27日予算委員会での質問)〜
○小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。
先ほどの大串委員のやりとり、こうした予算の調整あるいは執行過程そのものに、いろいろな御説明はあり得るんでしょうが、疑念を抱かせることそのもの、ぜひとも閣僚の皆さんには振り返っていただきたいと思いますし、また、御担当の皆様にも、しっかりとした資料の提出等を改めてお願い申し上げたいと思います。
あわせてきょうは、こうした問題に加えて、官製談合を中心とした構造癒着の問題について、現在の状況あるいは今後の調査等についてお伺いをしたいと思います。
まず初めに、昨年、官製談合に関する集中審議をこの予算委員会で行わせていただきました。その際の議論の経過について、成果、あるいは成果となっていない部分を含めてお尋ねを申し上げたいと思います。
昨年二月二十二日のこの予算委員会集中審議での議論でございます。当時、私の方から、各中央官庁での落札率の公表について、一般競争入札と指名競争入札、これを区分して公表するようにお願いをしたところでございます。これに対する当時の安倍官房長官の御答弁、その方向で取り組みたい、一層わかりやすい取り組みを進めたい、御指摘のとおりであるという官房長官の御答弁がございました。
あれから約一年、塩崎官房長官、その後いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 昨年二月二十二日の先生からの御質問がございました。
落札率の公表につきましては、行政効率化推進計画におきまして、これまで、各府省ごとに定める一定金額以上の公共調達について、毎年度取りまとめたものを一覧表にして公表することとされているわけでありますけれども、一般競争入札及び指名競争入札の区分、今御指摘の点でありますが、これはそこまでは求めていなかったというのがその当時のことであります。
しかしながら、より一層わかりやすい公共調達に係る情報開示を行う観点から、先生からの御指摘もございました、昨年の八月に行政効率化推進計画を改定した際に、一般競争入札及び指名競争入札の別を明らかにして公表することを各府省共通の取り組みとしたところでございます。
○小川(淳)委員 ありがとうございました。
もう一点お尋ねを申し上げます。
当時、一年前です、各省庁において談合情報を入手した際の対応方針、対処方針については、整備をしていたところ、備えを持っていなかったところがございました。
その際の指摘として、全省庁において統一的に対処いただくことをお願い申し上げました。これに対しても前向きな当時の安倍官房長官の御答弁をいただきましたが、その後一年、状況をお伺いしたいと思います。
○塩崎国務大臣 談合の問題について先生から御指摘があったわけでありますけれども、談合情報のマニュアル、これにつきまして、公共工事に関しては、公共工事の入札及び契約の適正化の促進を図るための措置に関する指針というのがありまして、これは平成十八年の五月二十三日に閣議決定をしておりますけれども、これに基づいて、談合情報を得た場合等の、違反行為があると疑うに足るる事実があったときの取扱要領の策定を進めてきたところでございます。
昨年の二月二十二日の時点では、一部省庁において、これは四つありましたが、まだ未策定でございました。この先生からの御指摘も踏まえまして、できる限り早く策定するようにということで督励をしてまいりましたけれども、現在はすべての省庁においてその整備を済ませたところでございます。
今後も談合排除の徹底に努めてまいりたい、このように思っております。
○小川(淳)委員 ありがとうございました。半歩半歩前進をぜひこれからもお願い申し上げたいと思います。
ちょっと、質疑時間を短縮いたしました関係で御指摘にとどめさせていただきますが、先ほどの落札率の公表に関して、八月二十五日の財務大臣通知と八月二十九日の関係省庁連絡会議の申し合わせ事項との間に若干のそごが見られるような気がいたします。これはぜひ、また細かい点、追って事務的にやりとりをしたいと思いますが、あわせて規定の整備をお願い申し上げたいと思います。
こうした準備を政府は政府で進めておられるわけでございますが、昨年の和歌山、福島、宮崎におけます地方自治体での官製談合、そしてことし早々も、冬柴大臣には大変衝撃的なニュースが飛び込んだわけでございますが、旧建設省あるいは国交省本体に関する談合に対する関与疑惑、こうした疑惑が報じられました。
公正取引委員会は国土交通省本体に対して官製談合防止法の適用を決定する見込みだという報道がございます。この点、どう受けとめておられますか、冬柴大臣にお伺いをいたします。
○冬柴国務大臣 談合はあってはならないものであります。とりわけ、それに官が絡むというような官製談合は絶対にあってはならないものであると思います。
御指摘のように、一月の六日、七日、我が国土交通省の元職員等がこれに絡んでいる疑いがあるという実名報道、写真入りでされまして、私は大変な衝撃を受けました。
したがいまして、それは休み中でしたけれども、休み明けの九日に、事務次官初め幹部を全部集めまして、これは徹底的に究明しなければならない、もしそういうことがあれば本当に国民に対して申しわけないことになる、遺憾千万であるということで、直ちに我々は調査委員会を、名前は後にきっちり、入札談合防止対策検討委員会と長ったらしい名前になりましたが、省を挙げてこれはやろうということで、事務次官を長といたしまして、外部から九名の専門家、だれが見ていただいても納得をいただける人たち、例えば元高裁長官、元特捜部検事、元公正取引委員会事務局長、それから弁護士、そしてその余五名は専門の大学教授、計九名の外部の人を直接委員に入れまして、そして、その人を含め国土交通省の職員等六十一名の陣容でこの検討委員会を発足させ、今鋭意調査を遂げているところでございます。
本当にこれがもし事実であるとするならば、本来は、これは公正取引委員会が調査をして告発あるいは起訴というようなことになったら、今までは、過去はそういう調査委員会が各省で開かれておりましたけれども、我々はそれを待つことなく、我々は我々としてやろう、そして、事実関係、背景、動機、それを踏まえた対策を立てていこうということで発足をさせ、現在に至っているところでございます。
○小川(淳)委員 ありがとうございました。
各大臣の皆様、簡潔な御答弁、ぜひ御協力をお願い申し上げたいと思います。
実名報道、確かに大臣がおっしゃるとおりでございまして、元建設施工企画課の課長補佐の方、そして元技監の豊田さん、さらには元国土地理院長の山口さんということで大変な疑惑の対象になっているわけでございますが、この件が最初に報道されたのは昨年の三月でございます。その後、六月に国土交通大臣は、この件に関してのひとまずの調査の経過を記者会見等で公表をされておられます。その際に、この実名を挙げられた方々あるいはこれに関係した方々についての関与の疑惑等は把握をされていたのか、いなかったのか、お答えをいただきたいと思います。
○竹歳政府参考人 お答えいたします。
昨年の報道の時点ではそこまで明らかでございませんでした。したがいまして、私どもとしては、現役職員百六十七名に対して調査を行いまして、この過程では現役職員の不正行為は確認できませんでした。
○小川(淳)委員 きょうは、昨年大きな議論になりまして、また、その後さまざまな対策を進めてこられたはずでございます、防衛施設庁北原長官にお越しをいただきました。
この施設庁のまとめられた調査委員会の報告書、拝読をさせていただきました。冬柴大臣もぜひお読みをいただきたいと思いますし、お目通しをいただきたいと思いますが、北原長官、あれから一年、この調査報告に至るまでのさまざまなやりとり、あるいはこの調査を受けての職員に対する処分、そして関係企業、受注先に対する処分等々経過があったと思いますが、概要で結構です、その後の防衛施設庁の取り組みについて御説明をいただきたいと思います。
○北原政府参考人 小川先生に御答弁申し上げます。
その前に、本当に我が防衛施設庁におきまして大変な事態を生起いたしましたことを、改めて国民の皆さんにおわび申し上げます。
そして、私どもの職員三人が逮捕されました、前職も含まれておりますが。それが昨年の一月三十日でございまして、直ちに翌日一月三十一日から、私を委員長とする調査委員会並びに副長官を委員長とする再発防止検討会を立ち上げたところでございます。
そして、それぞれ並行してやってまいりましたが、私どもの調査委員会は六月十五日に報告書をまとめました。そして、再発防止策を翌六月十六日にまとめました。大変広範にわたるものでございます。契約のあり方、人事管理、組織等々でございますが、今現在は、防衛省、防衛施設庁挙げて、その再発防止策を着実に実施していく、そして、失った国民の皆さんの理解を一日でも早く回復したい、そういうことで今努めているところでございます。
○小川(淳)委員 冬柴大臣、後ほどこれはかいつまんで中身を御紹介申し上げたいと思いますが、先ほど、昨年の六月の調査結果で、今回報じられている、容疑者と言ったら失礼なんでしょうが、名前が挙がっている方々についての疑惑を解明する、あるいはそこに探り当たることができなかったというお話でございますが、今、国交省の担当の局長さん、御答弁いただきました。なぜ、このときは現職の職員に限って調査をされたんですか。なぜ、OBに調査をしようということに思いが至らなかったのか。
○冬柴国務大臣 現職の職員に対しては、雇用契約上、我々から呼び出して、我々の問いに対し答えていただくということを行うことができます。しかしながら、OB、すなわち退職をしてしまった人たちに対しては、何らかの端緒、今回のように実名報道があるとか、あるいは、これがこのような談合にかかわったとかいうような端緒がなければ、この人を呼び出して調べるというわけにはいきません。
したがいまして、百六十七名は、疑いをかけられた部門で過去十年間とか、この場合は五年間だと思いますが、担当した人たちを、地方に行っている人もみんなありますけれども、そういう人たちを調べたわけでありまして、その中にはそういう今の疑惑の人はいなかった、そういう趣旨でございます。
○小川(淳)委員 今改めて一月にスタートされた調査でどの程度本気でやられるのか、そのことにかかってくると思います。
これは防衛施設庁さんの調査委員会の報告書、国会の場でも当時議論になりました。これは組織的にやられたことなのかどうか、あるいは、それが後任から後任へと受け継がれていたことなのかどうか等々ですね。これは北原長官御自身がまとめられたわけでありまして、私は、途中経過としてはやはり評価すべき内容だと思います。非常に赤裸々な告白といいますか、それがなされている。
冬柴大臣、かいつまんで御紹介申し上げますのでちょっとお聞き届けをいただきたいと思いますが、このとき施設庁は、現職の職員百九十五名、そしてOB百十名、合計三百五名に対して聞き取り調査を行っています。施設庁の全職員三千百人に対してアンケート調査を行っています。
その結果明らかになった事実として、まず、こうした官製談合についてはこういうものがあるんじゃないかという前提で調査を行う必要があると思いますが、工事の割り振り表であります。これについては施設庁は、再就職先の確保、また、再就職先でOBが寂しい思いをしないようにということへの配慮を目的として毎年作成をしていた、技術審議官が決定をしていたんだそうです。そして、受注先企業をあらかた決定すれば、本省の企画官から地方の計画課長へ、目的を明らかにしないまま、指名業者に加えるよう非公式に連絡をしていたんだそうです。
その割り振り表の配分基準でございますが、指定職で退職した技官、六十歳までの若年者については年間一人当たり十一億、六十歳を超えますとやや減って八億、六十四歳を超えますと六億、つまり、退職をしたあるいは再就職した時点の役職あるいは年齢によって一人頭の金額を決めて、その金額を天下りをしたOB分合算して受注表を作成していたということでございます。
割り当て工事の大体の概要ですが、平成十七年、四百八十九件、六百億の工事のうち約三百億、半分がこの割り振り表によって配分された可能性が高いと結論づけています。過去をさかのぼっても同様であります。
本庁施設庁の建設部が中心になったわけですが、人事部局からほかの部局の職員についても、再就職先を確保するために、その要請を受けて会社、協会と密接な接触を図ったということであります。
その動機づけ。退職した先輩、同僚の再就職先の確保に役立っている。自分の利益を図るものではないので許される。先輩、同僚が再就職先で肩身の狭い思いをしたらかわいそうだ。やがては自分もその世話になる。これまでも発覚していないので自分も大丈夫だろう。仕方がない。こういう動機のもとで綿々と繰り返されてきたのがこの官製談合。
さらには、悲しい実態があります。歴代の企画官の中には、上司に対して、こうした行為を中止したい、そう進言した者があるんだそうです。これに対して上司は、企画官としての仕事であり、嫌なら仕事をやめるしかないと人事的な措置を迫った、こうした実態が非常に赤裸々につづられているわけでございます。
今申し上げたようなことからいえば、冬柴大臣、この疑いがかかった、しかも国交省です、公共事業の発注の全体の八割を預かって、しかも、都道府県を初め、あるいは各省庁に対して入札契約の適正化を旗振り役として推進していかれるお立場であります。やはりこうした構造癒着、現役職員だからどうだとか、OBにだってこれはやはり防衛施設庁はやったんです。しっかり話を聞かないといけないと思いますし、こうした構造癒着があるんだと、これと同等の報告書がやはり国交省から出てこないと、私は、本当に切り込んだという評価は世間から受けないと思います。改めて決意をお述べいただきたいと思います。
〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕
○冬柴国務大臣 防衛施設庁のその問題は、ちょうど私が衆議院の決算委員長のときに取り上げた問題でございまして、それを契機で逮捕という衝撃的なことがありました。
その調査はその逮捕の後ではないですか。すなわち、その後これは有罪になり、そして当時、自衛隊の隊員というのはほかの役所の人よりも若年で退職するわけです。もっと年を上げられないかということもいろいろ議論になりましたけれども、諸外国では軍人は四十代で退職さす。そういう人たちが、この長寿社会の中にあってその後どう生きていくかということがその背景にあったと私は思います。
しかし、私どもも、今まだ逮捕もされていません。それどころか、公正取引委員会はまだ調査中でございまして、いわゆる業者が談合したかどうかということの確定もまだしていません。もしそれが確定した後に、今度は官がそれに対して関与したかどうか、これは、三要件、今度一つ加わって四要件ですけれども、関与したかどうかという順序で解明されていくわけでありまして、まだ公正取引委員会も確定的にそのような事実をしていないわけであります。
冒頭申し上げたように、また委員から御指摘がありましたように、我々はこういう入札契約をたくさんやっておりますし、そういうものがあってはならないということで今まで努力を重ねてきた官庁としてこんな恥ずかしいことはないわけでございますから、今の立派な報告書のように私どもはきちっと報告もするし、そしてまた、それによってその動機とか背景をきわめて、今後こういうことが起こらないような処置をとりたい。
二度と再びこういうことに手を染めた場合には、官の方はもう生涯その人生を失ってしまう、それから業者の方は、それをやればその会社は幾ら大きくても倒産してしまうんではないかという大きなダメージを受ける、そういうような処置まで、今講じつつありますけれども、我々としてはとりたいというふうに思っております。
○小川(淳)委員 大臣、おっしゃることはよくわかります。しかし、施設庁のこの北原長官の取りまとめに当たって、当時の額賀長官の相当なリーダーシップがあったことは紛れもない事実でございます。ましてや、国交省の大きなお立場を踏まえれば、相当な緊張感、相当な御決意、覚悟を持ってこの調査に当たっていただきたいと思います。
北原施設庁長官、これ、御報告を取りまとめられたのは六月十五日であります。六月十五日はどんな日だったか御記憶ですか。十六日はどんな日か御記憶ですか。
○北原政府参考人 私まず、十九回にわたりまして調査委員会を開いてやってまいりました。そして、六月十五日になりましたが、この発表をさせていただいたところでございます。あわせて国民の皆さんに調査内容を記者会見等で御報告させていただき、さらに、三千百名全職員を集めまして、二度とこういうことがないように、初心忘るべからずで本当に厳正に仕事をやっていこうじゃないかという訓示をしたところであります。そして、十六日に、再発防止策ができ上がったということでこれが公表されているところでございます。
御質問の趣旨が必ずしも明らかではございませんけれども、その後の国会等で御指摘を受けましたのが、国会がもうぎりぎりのときとか、そういったのをねらって発表したんじゃないかという御指摘を受けましたけれども、決してそういうことではございません。本当に、我が防衛施設庁に与えられた最後の行政府としての自浄能力を示すということで懸命にやってきて、結果として十五日の発表になったものでございます。
○小川(淳)委員 そういう御説明になろうかと思いますが、今おっしゃったとおり、六月の十六日が国会の会期末でございました。
冬柴大臣、ぜひ御決意のほどをいただきたいんですが、一月、ちょうど調査のスタートは去年の施設庁とほぼ同じタイミングであります。ぜひこの国会中に、しかもできるだけ早いタイミングで、もちろん、公正取引委員会の捜査の進捗段階と異なることはあるでしょう、しかし、できるだけ早いタイミングでできるだけ根の深い調査、この国会で御説明をいただくこと、御決意をいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 そのように努力をする決意でございます。
○小川(淳)委員 あわせて松岡大臣、昨日、水門談合事件に関して農水省の御担当の方々の関与が報じられました。この件に対する御所感、そして、私が申し上げたいのは一点、農水省においても、こうした施設庁の内部調査あるいは冬柴大臣が進めておられる国交省の内部調査、これに類するあるいは同等の調査をぜひ進められるべきだと思いますが、松岡大臣、いかがですか。
○松岡国務大臣 小川先生が御指摘の点でございますが、きのう、そういったような報道がございまして、この点につきましては私ども報道をまことに重く受けとめておりまして、また、この点につきましては今公正取引委員会で調査中でございますから、それをまず見守るというのが基本的な姿勢でございますが、これまでこの公正取引委員会の調査に対しましては、我が省といたしましても全面的に協力を申し上げてきたところでございます。もし、その結果として不正なことがあれば、これは厳正に対処する必要がある、まずこのように思っております。
そこで、今、小川先生御指摘の調査の件でございますが、報道によりますと、九六年までは農水省の職員が関与しておった、それからその後、〇一年まではOBによる受注調整が行われておった、こういう報道でございますが、その事実関係については私どもまだ把握をいたしておりません、確認をいたしておりません、できておりません。したがって、報道でもそのようなことがあったことでありますので、いずれにせよ、事実関係がどのようなことなのか、私としても、きのう、可能な限り最大限の範囲でその確認をするよう指示をしたところでございます。
ただ、過去のことでもございますし、それから、今、OBの方ということになっておるものですから、当時は構造改善局がこの水門関係は所管をしておった、したがって、当時の幹部、こういった方々に可能な限り最大限お聞き取りをする、こういうことになると思っております。
いずれにしても、その事実関係を把握した上でその後の対応ということについてはしかるべく考えたい、このように思っております。
○小川(淳)委員 現時点ではそのような御答弁だと思いますが、松岡大臣、後手に回らないように、ぜひ、みずから積極的に手を突っ込む覚悟でこの問題のお取り組みをお願いしたいと思います。
渡辺大臣、この官製談合に関連して、公務員制度改革あるいは公務員の再就職の問題、根深い問題としてやはり背景にある、これはもう皆さんがお認めのことだと思いますが、かねてから議論になっています、総理が所信の中でおっしゃった押しつけ的な天下りという言葉、あるいは、一月二十九日、経済財政諮問会議で大臣御自身が資料として提示された中に押しつけ的な再就職という概念を提示しておられる。
あったとかなかったとかいろいろな議論がありますが、これはやはりあったということでよろしいですね。
〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕
○渡辺国務大臣 総理答弁で申し上げておりますように、あるから根絶をするわけでございます。
○小川(淳)委員 すばらしい御答弁でした。
これから多分各役所の担当者の方々は、いろいろな弁明、いろいろな言いわけ、いろいろな説明を考えてこられると思います。しかし、一切そういうのは封じて、とにかく、あった、あったかもしれない、恐らくあったという前提に立ってぜひこの公務員制度改革を進めていただきたいと思うんです。
もう一つ突っ込んで、先ほど施設庁の調査報告を御紹介申し上げました。これを見ていると、天下りを受け入れたことで仕事がセットになってついてくるんですね。これを押しつけというべきなのか、あるいは、ウエルカム、ウエルカム、どうぞ仕事をしょってきてくださいということなのか。私は、これは受け入れ側の主観的な要素をむしろ問題とすべきではなくて、主観のいかんにかかわらず、構造癒着の問題として切り込んでいただく必要があると思いますが、大臣、いかがですか。
○渡辺国務大臣 押しつけ的あっせんによる再就職というのは、内部から見ますと、役所の方から見ますと、余りよく見えないんだろうと思うんですね。したがって、確認されていない、こういうことになるのかもしれません。
一方、今御指摘のように、受け皿の方から見た場合は一体どうなのか。役所サイドから見ると押しつけではないと思っているが、受け皿の側から見るとかなり強烈なプレッシャーを感じている場合なんかもございます。
いずれにしても、公務員制度改革の要諦は、公務員がやる気と情熱を持って仕事に邁進してもらうことと同時に、国民が公務員制度に対する信任、信頼がなければこれは元も子もない話でございます。したがって、国民の側から見て押しつけのように見える、つまり、予算と権限が背景ですから、国民の方から見て押しつけのように見えるものについても、これはどこからどこまで押しつけ的なあっせんになるのかを検討しなければならないと考えております。
○小川(淳)委員 大体の場合において発注者側と受注者側であるケースが多いわけですから、関係は対等ではありません。そのこともよく踏まえた上で、主観のいかんにかかわらず、構造癒着の問題としてぜひ引き続き御検討、精査をお進めいただきたいと思います。
以上、国土交通大臣、そして農林大臣、行革担当大臣、あわせて公正取引委員会にはきょうお尋ね申し上げませんが、厳正なる処罰をもって厳しい課徴金の適用等々、特に、今回の国交省の事案は官製談合防止法の罰則が適用される以前の行為でございますが、それも含めて対応をお願い申し上げたいと思います。
先日来、事務所費を初めとした問題、そして、内閣の一体感といいますか総理のリーダーシップの問題、そしてきょうこの構造癒着の問題、さらにもう一つ、私、どうしても昨年九月からぜひ一回議論をさせていただきたいんですが、一体、この安倍内閣の閣僚の皆さん、本当に国民の声を拾っておられるのかどうか、私はその点に本質的な疑問を持ち続けてまいりました。
ちなみに、昨年十月の内閣府大臣官房で行われました国民生活に関する世論調査、あるいは各新聞社の世論調査等で、これはお答えになられる方はぜひお答えをいただきたいんですが、一体、国民の声は今の政府に対して、政治に対して何を一番望んでいるのか、何を一番望んでおられるのか、柳澤大臣、御存じでしたらお答えください。
○柳澤国務大臣 平成十八年十月十九日から十一月五日に行われました、内閣府の面接方式によります国民生活に関する世論調査によりますと、政府に対する要望として一番この上位に挙げられましたのが「医療・年金等の社会保障構造改革」ということでございまして、非常にこの面での要望が強いということでございます。
この要望が強いという裏側には、恐らく、年金、医療等の社会保障制度に対するあるいはその安定に対する不安感というものがあって、だから不安がないような改革を要望したい、これが国民の意識ではないか、このように考えております。
○小川(淳)委員 ありがとうございました。おっしゃるとおりです。
七二・七%が社会保障制度の構造改革を望み、また、鰍ニしに入ってからも再計算されたわけですね。年金財政についての収支を再計算された、暫定試算。例えば、内閣府の示した長期金利と財務省がお使いになる財政収支のための長期金利の水準、それから、厚生労働省さんがお使いになる年金の運用利回りのための金利水準あるいは運用利回り、これは全部ばらばらなんですよ。私は、かた目に見積もるならわかります。年金は年金で低目に見積もる、財政は財政で、国債の支払いに備えないといけませんから高目に見積もるならわかります。しかし、事は逆なんですよ。年金は高目に見積もる、財政は低目に見積もる、内閣府の試算よりですよ。
こういうことの繰り返しが、これはわかりやすく説明するとかいうことを超えて、非常に国民はいぶかしがっているんだと私は思います。理論的に数字まで含めて理解している人は恐らくいないでしょう。しかし、直観的にわかっているんですよ。やはり、これから本当に人口構成が大きく変わるわけですから、もうとにかく現役世代でお年寄りの暮らしを支えていく、その構造そのものが限界に来ているというのが私は国民の直観的な判断じゃないかと思います。
これに関連して、厚生年金に加盟している会社が今全国の会社のどのくらいの割合なのか、大臣、御存じですか。
○青柳政府参考人 全国の会社のどのくらいが厚生年金に適用されているか、こういうお尋ねでございましたが、全国の会社というのを、どこを母数にとるかということはさまざまな調査によって数字が違っております。
厚生年金につきましては、適用事業所ということでとらせていただいております数字が、平成十七年で百六十五万カ所というふうになっております。
○小川(淳)委員 ざっと申し上げます。全国には三百万の法人があるんですね。大臣御存じだと思いますが、会社、法人というのはすべて厚生年金に加盟しなければならないことになっています。そのうち、ざっと百五十万から百六十万、半分しか入っていないんですよ、厚生年金に。これは恐らく、法人税総額に匹敵する事業主負担、これを嫌ってのことだと思いますし、これは二重の意味で、厚生年金に加盟している会社がこれからもどんどん減り続ける可能性があります。そして、雇用そのもの、事業主負担を負わせられる正社員を抑制していく傾向に働く可能性が高いと思います。
私は、この現役世代あるいは現役企業、現役法人がこのことも含めてお年寄りの暮らしを支えていくにはここから先限界があるという前提に立って、この制度そのものを組み直していく必要があることを強く御指摘申し上げたいと思います。これは、百五、六十万社を三百万社に上げるということですから、並大抵の、徴収率向上みたいなそんな小手先の話ではどうにもならない問題だと私は思います。
あわせて、この年金不安の最たるものは国民年金だと思いますが、この国民年金の支給基準額、どう決まったのか、どう決まっているのか、そして、それは老後の生活保障として十分だとお考えかどうか、大臣のお考えをお聞かせいただけますか。
○柳澤国務大臣 先ほど来のお話はどういう前提に立っているのか、ちょっと小川委員の立場がわかりませんが、現役世代がその時々の高齢者世帯を支えていくという方式が限界に突き当たっている、こういうことは、小川委員は、今の例えば年金制度なんかを賦課式ではなく積み立て式にしない限り国民の信頼が得られないというようなお立場なのかどうか、これはもう非常に根本的な問題だというふうに思います。これから将来、長きにわたっていろいろな議論があり得ると思うんですけれども、それはそれでお立場はわかりますけれども、現実論としては、なかなかそこまで飛躍した考え方でもって議論をするということは現段階では難しいのではないか、このように思います。
それから、今、国民年金の基礎年金、厚生年金の基礎年金部分もそうでございますけれども、基本的にこれは、全体の、特に厚生年金については、報酬比例部分との絡みもありまして、基礎年金部分を一体どのぐらいにするのが所得再分配の効果としてもあり得るかというようなことも勘案しながら、国民年金の基礎的な部分の金額が決まっている、このように理解をいたしております。
○小川(淳)委員 大臣、もしご存じなければ申し上げます。国民年金の支給基準は、全国消費実態調査から参考にとった、高齢者世帯の食料費とか住居費とか、それから光熱・水道費、家具や被服、こうした費用が当時大体四万から五万ぐらいという計算に立って設定されたんだそうですね。これを少しずつ経済成長に伴って伸ばしてきて、現在の満額で六万六千円ということになっているわけですが、現在の消費実態調査に合わせて、これは総務大臣にお越しをいただきました、今、昭和六十年当時につくられた計算の参考数値を基準にこれを現在の全国消費実態調査に置き直すとどのくらいの数字になりますか。あるいはその趣旨等も含めて、総務大臣からお答えをいただきたいと思います。
○菅国務大臣 最新の平成十六年の全国消費実態調査によりますと、六十五歳以上の無職の単身世帯における食料等の基礎的な支出額としては、食料、住居、光熱・水道、家具・家事用品、被服及び履物を合計すると、月額七万六千六百六円となっております。
○小川(淳)委員 ありがとうございました。
柳澤大臣、お聞きのとおりです。当時、四万七千円で設定された。現在、国民年金の支給満額六万六千円。しかし、当時と同じ水準で高齢者の生活支出を測定すると七万六千円。もう一万加えないとだめなんですね。そういうことも含めて、私は感覚的にすごく気にかかってしようがないんです。
大臣もよく熟読されたと思います、この安倍総理の「美しい国へ」という御著書ですね。この中に年金に関していろいろな記述がございますが、「早く死ぬと損するのが年金というもの」、それはそうでしょう。八十五まで生きれば、払った額の二倍の給付が受けられる。そうなんでしょう。自分が払うのは半分だけ、残りの半分は国が払う。年金の破綻というのはないんだ。もし破綻するというのは、どこかで将来払えなくなってしまう。払えなくなってしまうことを破綻というのだ。年金というのは、ざっくり言ってしまうと、集めたお金をためて配るというシステムだ。それはそうなんですよ。こんなローリスク・ハイリターンの金融商品というのはめったにないのではないか。これは全部そうなんです、当たっているんですが、単に預けたお金が損しないように返ってくるだけということなら、わざわざ国家がやる必要はないじゃないですか。
やはりこれは、明らかに老後の生活保障なんですよ。だから、本当にこの国で安心して年をとれる金額を是が非でも確保しないとだめなんじゃないですか。それのために必要だったら、現役世代の負担が必要なら、これは命がけで説明しなきゃいけないんじゃないですか、柳澤大臣。
年金は金融商品、そうなんですよ、そうなんですが、老後の生活保障だということに対する思いが十分至っていない。この感覚こそが、まさに最初に申し上げた、国民が一番不安がっていることの最大の原因じゃないかと思います。柳澤大臣、いかがですか。
○柳澤国務大臣 要するに、年金が安定するというのは、長期にわたって負担と給付が安定的な関係にあるということでございます。したがいまして、これは、給付を多くしようとしたら今度は保険料として支払う負担が多くなるというところでありまして、そういったものを総合的に勘案して、それぞれの負担それから給付の状況を見て、それをバランスするところでその水準を決めていくということだろうと思います。
しかし、これだけ長期のものを国民がそれなりに信頼をして、この制度の中で老後を考えるとかというようなことというのは、国家の信用あるいは国家の保証というものがその基本にないとやはり難しいだろうと私は思います。
したがって、そういうものとして今も公的な年金制度ほかいろいろな社会保障制度が国家の信用、保証のもとで行われているんだ、このように私は理解をいたしております。
○小川(淳)委員 大臣、私も老後が不安なんですよ、議員年金が廃止になりましたからね。国民年金だけで本当に大丈夫かな、物すごく不安です。この同じような不安を、やはり、もちろん厚生労働大臣そして総理にもお持ちをいただかないといけないんだと思いますね。でなければ、国民の不安感、感覚に本当に寄り添った政策決定とか政策判断というのはなかなかできないんじゃないかと思います。
少し話がそれるんですが、麻生大臣、私は、安倍総理のいろいろなお言葉あるいは国会での御答弁、御著書の中でも非常に気になるのが二点ございます。
一つは、御著書の中でおっしゃっておられます。中国との関係についてかつておっしゃっていました。政治問題を経済関係に発展させない、政経分離だというお考えが一つ。そして、歴史認識について政治家は積極的に語らないんだ、歴史家に任せるべきだ。今、日中歴史共同研究なんかされているみたいですが、この二つは麻生大臣も同じようなお考えですか。いかがですか。
○麻生国務大臣 二つというのは、歴史認識の歴史の話でしょうか。(小川(淳)委員「政経分離」と呼ぶ)ああ、政経分離。
歴史の話につきましては、これは基本的に、安倍総理が語っておられるように、政治家が語るのは極めて謙虚でなければならぬという話を言っておられるんだと存じます。
この件に関しましては、生まれられる前の大分前の話だと思いますが、松岡洋右、小村寿太郎という二つの例だと思います。当時、ポーツマス条約を結んだ小村寿太郎は、焼き討ち食うやらえらい騒ぎで迎えられた。傍ら、国際連盟を脱退した松岡洋右はちょうちん行列で迎えられた。歴史はどっちを評価したかといえば、明らかに小村寿太郎の方が高かったのではないか。私どもは、歴史を見るときにそういうことを考えると、こういうことに関しては、その現象に関して極めて自分ではよくやったと思ったつもりでも、歴史の評価にたえ得るかいかがかは別の問題なんだというのは、そういう認識があります。
それから、日中の話でもう一つが政経分離の考え方で、この話に関しては、政治問題を経済関係に影響させてはならずという例のせりふなんだと存じますけれども、私は、これは政経分離というのではなくて、二つは車の両輪みたいなものであるべきが最も正しいんだと思いますので、少なくとも、社会主義国において政経分離というのはなかなか現実的には難しいというのは、だれが考えたってそうなんじゃないでしょうか。
しかし、現実問題としては、政冷経熱とかいろいろ言われておりましたけれども、昨年、中国に対する日本からの対中投資は、四月―九月で三一・四%ぐらいマイナスになっておりますので、そういった意味では、極めて厳しいことに昨年はなった。トータルで三〇%前後だったと思いますので、そういう意味では、今度は逆に政治の方がそこそこ十月以後動き始めて、経済の方が逆に厳しくなっておるという状態になっているのではないかというのが私の認識であります。
○小川(淳)委員 大臣、ありがとうございました。
私も麻生大臣の今の御見解に全く賛同であります。やはり、政治と経済は不可分で切り離せないんだという前提に立ってこそいろいろな発言が生まれてくるんだと思いますし、いろいろな政治的な取り組みが進められるんだと思います。
ただ、安倍総理の頭の中がどういうことなのかな、私もここ半年近くいろいろ考えていたんですが、ある日、新聞でこの歌を目にしました。岸信介さんの歌だそうです。「名にかへてこのみいくさの正しさを来世までも語り伝へん」というこの岸信介さんの思い、これをやはり総理は引きずっておられるんだろうなと。そうするといろいろなことが、憲法に対する思い、安全保障、歴史観も含めていろいろ見えてくるんです。
しかし一方で、一般国民、一般庶民は、さっき申し上げたとおり、この社会保障制度を何とかしてくれよ、談合を初めとした無駄遣いを何とかやめてくれよ、松岡大臣、ぜひ一回、改めて農政について議論させていただきたいと思いますが、地方の経済、地方の活性化を何とかしてくれよと。
総理の思いは個人的に本当によくわかるんですが、国民的なニーズ、国民の本当の不安感、関心の置きどころとは甚だ乖離をしておられる。このことをやはり強く御指摘を申し上げて、ここにこそ私たち民主党の出番がなければならないと思っておりますが、これからも正面から政策論争を闘わせていただきたいと思います。
きょうはありがとうございました。
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