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〜会議録(06年6月5日 決算行政監視委員会第二分科会)〜
○小川(淳)分科員 民主党の 小川淳也 でございます。
竹中大臣には本当に予算委員会以来いろいろとお世話になりまして、ありがとうございました。大変勉強になりましたし、今国会最後にこうして竹中大臣と向き合わせていただきますことを、本当に光栄に存じております。
また、この五年間を振り返りますと、小泉内閣、小泉改革とよく言われておりますが、実質は竹中大臣のさまざまな思いとか手腕が存分に発揮された五年間ではなかったかという気がするぐらい、大変大きな存在感をお示しいただきました。時に大きな発信力、それ以上に大変大きな忍耐強さといいますか、辛抱強さ、後に続こうとする者にとっては本当に勉強になる姿勢を拝見させていただきました。その上で、幾つか総括的にお尋ねさせていただきたいと思います。
その前に、きょうは決算監査委員会でございますから、ちょっと監査報告に関してお尋ねを申し上げます。
ことしも会計検査院から全部で三百六十四件、一千億円近い不当事項等の指摘がございました。このうち総務省が七件、一億五千万円、これをいかに評価しておられますか。
○竹中国務大臣 会計検査院から不当事項の指摘があったわけでございますから、この点に関してはまことに遺憾である、真摯に受けとめなければいけないと思っております。
とりわけその一つの中心になったのが、いわゆる通信関係の事業であった。過去を振り返りますと同じような例が何回か起きていた、同じことを繰り返したという意味で、これは二重に私たちは反省をしなければいけないというふうに思っております。
どのように対処をするか等々また御質問があるかもしれませんですけれども、しっかりと受けとめまして、会計検査院の御指摘を重く受けとめて対応しなければいけないと思っております。
○小川(淳)分科員 大臣、御指摘になられましたとおり、各省ごとのシェアというのは例年ほとんど変わっていないんですね。大体、毎年三百件から四百件の指摘事項があります。
総務省は、十五年も五件、今回が七件。これはちょっと不思議なんですが、十二年、十三年、十四年、全部四十件台なんですが、十四年から十五年にかけて何か大きな取り組みはございましたか、おわかりになればお答えください。
○清水政府参考人 先生御指摘の件数の減でございますが、具体的に何がどうこうというのはちょっと存じ上げておりませんが、いろいろな指摘の中での補助対象の問題ですとか、あるいは実績報告書の確認だとか、あるいはそれぞれの事項について具体的な、これはいい、これはだめというような、そういうようなところはなるべく細かく指摘するようにしてきておりますので、その結果があらわれていたのかもしれません。そのあたりはちょっと明確には分析しておらないところでございます。
○小川(淳)分科員 ぜひこれは一回分析してみてください。十四年まで四十件台でずっと来ている。十五年になっていきなり五件、劇的な変化です。ぜひこれは分析をしていただきたいと思います。
これを見てみますと、一番ひどいのが、ひどいというのはちょっと言い方があれですが、厚生労働省なんですね。毎年百五十件前後、つまり三百件から四百件のうち半分近くが毎年厚生労働省。これは風紀の問題もあるんだと思いますが、御存じのとおり、社会保険庁を初めとしたさまざまな不祥事、こうした風紀の緩み等もこういったところにあらわれているんじゃないかと思います。
会計検査院が検査をするのはここまでだと思いますが、そこからやや突っ込んで、二点お伺いをいたします。
そもそも不当事項の指摘をされた内容を見ますと、例えば、大分県大分市で対象外のリース設備が入っていた。あるいは、富山県の情報発信拠点施設で図書コーナーとか図書用の倉庫の整備費用が紛れ込んでいた、備品の購入費に充てられていた。大阪府の阪南市、データベースの管理用ソフトに使われていた、マニュアル作成費に使われていた、運用指導に係る経費に使われていた。これは、使ったらだめなんですか。
○清水政府参考人 例えば、先ほど大分のケースがございましたけれども、インターネット設備を一たん購入して、それをリース会社にまた売却して、今度はそこで新たなリース契約を結ぶというやり方をとっております。しかし、今回の設備対象施設というものは、リースは不可能、設備としては入れませんので、こういうものは当然対象にならない、そんなようなケースもございます。
阪南のケースの場合も、話を確認してみますと、実行の実施マニュアルのところで若干その定義が不明確で、一部自治体の方の拡大解釈みたいな形で行ったものでございまして、このあたりは、対象とする設備をしっかり押さえた上で、だめなものはやはり対象外とせざるを得ないと思っております。
○小川(淳)分科員 おっしゃることはわかりますよ。通知どおりに、規則どおりにやらなきゃいかぬということなんでしょうが、会計検査院としては、規則どおりにやられているかどうかを見る権能しかないわけですね。
しかし、それを受け取った側の判断、発想としては、そもそも何でリースはだめなんだ、事業そのものを推進させるに当たって、リースが便利ならそれでいいじゃないか、図書用のスペースだっていいじゃないか、マニュアルをつくるのだって必要じゃないか、データベースの管理用だって要るじゃないか、運用指導にだって費用をかけないといけないじゃないか。本来、やはり事業そのものを自治体なり事業主体が進めやすいように運用規則をむしろ改めること、柔軟にすること、こういう発想を持つべきだと思いますね。これは強く指摘をさせていただきます。
こういう現場に合わない細かさ、事業を推進する上でかえって邪魔になっている細かさ、これが、裏から見れば不当事項を多発させる一つの要因ということだと思います。
もう一つ、やや突っ込んで申し上げます。
今回対象になりました、例えば地域イントラネット基盤整備事業、それからケーブルテレビ施設整備事業、これは、例えば年間四十億円近いお金を使って、学校と図書館と公民館と市役所を専用で結ぶ回線は必要ですか。年間三十億から四十億。それから、年間二十億円使ってケーブルテレビを施設整備する補助金は必要ですか、今の時代。いかがですか。
○清水政府参考人 先生御指摘のとおり、やはり地域におけるいわばIT革命の時代におけるそれぞれのケーブル等々のイントラ部分につきましては、各事業者等が整備するもののほかに、やはり公的な立場としての地方公共団体、あるいはCATV、これも、ある意味では難視のところも含めながら総合的な情報の確保という視点で本来助成の対象としているところでございます。
これに伴って、例えば、いろいろな設備の接続ですとか、あるいはその設備のあいている部分の活用とか、そういう面では非常に情報化に効果的であろうと思います。そういう意味で、こういうような助成金等々を現在工夫したり、実施しているところでございます。
○小川(淳)分科員 もちろん、そのようにお答えにならざるを得ないと思いますが、これは平成十年に創設されて八年間たっている。その間、民間ベースでさまざまな基本的なインフラというのがどんどん進んでいる。これを、こういう時代ですから、やはり事業の存在意義そのものを厳しく見直していくという視点が必要だと思いますよ。
竹中大臣、申し上げたとおり、会計検査院の検査には限りがあります。その検査の及ばないより深い価値判断といいますか、より上位の価値判断をぜひ政治の現場からお願いしたいと思います。
次に、同じく通信放送分野で少し私気になっておりますのが、やはりNHKさんの契約受信料等々、一昨年の混乱以来どういう状況かお尋ねをしたいと思うんですが、どういう状況ですか。
○清水政府参考人 先生御指摘のように、NHKの方のいわゆる番組制作をする人の不祥事等々もろもろのことがございまして、平成十八年三月末の契約数で、いわゆる支払い件数が七〇・七%ございますが、一方で、未契約の件数が二一・五%、未収が七・八%、そのほかに、支払い拒否あるいは支払いを保留するというものが二・六%ございまして、全体のいわば三割の、総契約対象の三割の方が実際上支払いをいただけていないという現状になってございます。
○小川(淳)分科員 これは、契約は義務なんですね。契約は義務であり、支払いは義務でない、そこの矛盾、これはどう説明すればいいんですか。
○清水政府参考人 法律上、NHKの番組が映る受信機を購入した場合は、契約の義務という形になっております。これは先生御指摘のとおりでございまして、支払い義務までは書いてございません。
これは、いわばNHKの運営に係る経費を国民の皆様方に負担していただくという形での負担金、そういうような制度の設立に際して、いわゆる契約の義務化というような形での法定をされたものと思っております。必ずしも、世界的に見ましても、この制度、いわゆる受信料制度であって、それをその機器の設置した者の契約の義務化というふうに限られているわけでございませんでして、いろんな中で、比較的日本人の当時のいわば感覚に合った形でこのような法律が定められたものと承知しております。
○小川(淳)分科員 大変苦しい御答弁、感情的にはよくわかります。わかりますが、法的にきちんと整理しないと、契約は義務なのに支払わなくていいということ自体の矛盾、これはNHKさんが信頼を取り戻していく過程と多分歩調を合わすんだと思いますが、私も、いろいろ御取材をいただくに当たって、やはり民間放送の方が焦点を置いておられる価値観とそれから公共放送が置いておられる価値観、やはり焦点の当てどころが違うなということをよく感じます。その意味でも、両輪必要だと思うんですよね。引き続きしっかりと取り組みを進めていただきたいと思います。
これに関連して、通信・放送の在り方に関する懇談会、竹中大臣の私的な懇談会だとお伺いをしておりますが、この中で、NHKのチャンネルの削減について触れられているくだりがございます。これは大臣、趣旨、真意を御説明いただけますか。簡単で結構です。
○竹中国務大臣 放送と通信のあり方を根本的に議論する中で、一つ個別の問題として特にやはり我々重視しなければいけないのは、今のNHKの不祥事の問題、ガバナンスの欠如の問題であるということだったと思います。
NHKがこれだけいろんな批判を受けているということの裏には、それだけ国民の皆様のNHKに対する非常に強い期待があるということだと思います。現に、これまでNHKは非常に重要な役割を日本の社会の中で果たしてこられたし、今も果たしていると私は思います。
放送そのものは、民放を含め、公共性を持っています。しかし、その中でNHKという公共放送、公共放送と民間放送の二元体制は維持すべきものであるということを前提にしながら、では、その中の公共放送の役割というのをどのように考えたらよいのだろうか、そういうことを考えた上で、一方でガバナンスの問題を考えて、やはり資源を集中、特化していただくということが一つ重要なのではないだろうか。
一方で、NHKに対しては別の期待があるわけです。つまり、国際放送をもっとやってくれ、これは総理からも直接お言葉がありました。また、NHKが持っている非常に大きな良質のコンテンツを将来的にはブロードバンドビジネスとしてやっていただいてもよいのではないか、むしろそれが重要なのではないか。そうすると、広げていただく分野がある。そういうことも含めると、さらに公共的な、公共性について、それを選択して集中的に資源を投下していただく必要があるのではないか、そういった議論を踏まえて、現在のチャンネル数の削減の話が出てきているわけでございます。
これはまだ具体的には議論の途上でありますけれども、基本的な考え方としては、以上申し上げたような考え方でございます。
○小川(淳)分科員 ありがとうございます。
確かに、新しい役割を担うためにもリストラしていくという価値観は大変大事だと思うんですが、NHKさんというのは言うほどチャンネル数が多岐にわたっているわけでもなくて、例えば、地上波は総合放送と教育、それからラジオが第一、第二とFM、それから衛星が第一、第二、ハイビジョンですか、それぞれやはり割と個性がはっきりしているわけなんですよね。ですから、新しいところに出ていくという価値観は、私はそれはすごく大事だと思うんですが、一方で、民間に開放すればいい、NHKのチャンネルを閉鎖して民間にその電波を開放すればいいという議論だとすると、先ほど申し上げた観点から、少し慎重さが要るのかなという気がいたします。
この懇談会の議論なんですが、非常に乱暴ですよね。難視聴者対策としては衛星放送一チャンネルで十分である、なぜ十分なのかわかりません。ラジオについては「公共放送として現行の三チャンネルを維持する必然性は薄れていることから、」これはなぜ薄れているのかわかりません。等々、非常に根拠のないままに結論が来ている。こういう乱暴な議論というのは非常に危険だと思います。大事な話であるだけに、しっかりとした議論をぜひお願いしたいと思います。
それから、次に地方自治制度全般、お伺いをしたいんですが、竹中大臣、お答えになれる範囲で結構です。
竹中大臣ほど小泉内閣で重用され、さまざまなポスト、重要ポストで御活躍をいただいた大臣はおられないと私は思いますが、これまでお務めになられた経済財政担当大臣、金融担当大臣、そして郵政改革担当大臣、この三つと比較をして、総務大臣というお仕事、何か勝手が違うなとか、あるいは勘どころがひょっとしたら異なるのかなというような点を、この八カ月、九カ月ですか、お感じになられたかどうか。新しいお務めだと思いますが、いかがですか。
○竹中国務大臣 そんなしっかりとしたお話ではなくて、印象的なお話になることを御容赦いただきたいですが、特に二つ、今までと違うなと感じたところがございます。
一つは、やはり総務省という役所の間口の広さでございます。
地方財政の話は地方財政で大変重要で、かつ深い。放送・通信に代表される、また旧郵政関係の話も非常に広くて深い。加えて、旧総務庁等々の、政府の中を相手にした行革の話がある。これはやはり、自分自身、頭を切りかえするのが結構大変だなと思うところがございます。
かつ、幅広いということで申し上げますと、いろんな表彰とか許認可等々のような、ちょっとこれは言い過ぎかもしれませんが、イベントが非常に多い大臣ポストであるなというふうにも感じます。これは、とりもなおさずそれだけの幅の広さをあらわしている、これが一つの点でございます。
実は、もう一つあります。それは、問題そのものが極めて重要であるというふうに私自身は思うんですが、一般の方になかなかわかってもらえない。
地方財政の話しかり。これは、地方の仕組み、重要だとだれでもわかりますけれども、今の仕組み、これは本当にわかっていただくのは大変なわけですね。通信・放送のように、極めて技術的な問題もございます。
たまたまきのう、タウンミーティングがございました。これは道州制のタウンミーティングで、非常に多くの方々に集まっていただいて議論が活発だったんですが、質問者の三分の二が公務員の方でした。こんなタウンミーティングは初めてです。これは、とりもなおさず、やはり地方財政の話というのは皆さん関心はあって、聞きたいんだけれども、質問できる、そういう問題意識を持っておられる方は、やはり非常に限られた、国家公務員と地方公務員とその周りの方々。
そういう点、間口が広いということと、非常に重要であるにもかかわらず一般の方になかなかわかっていただけない難しさがある、そのように感じております。
○小川(淳)分科員 率直な御感想、ありがとうございました。
その上でお尋ねに入りますが、大きく二つお尋ねします。
まず、十六年から十八年にかけて大変大きな動きがあったといえば、三位一体改革だと思いますが、三位一体の三位、つまり補助金と交付税と税源移譲、この三つについて、これは政府の御担当の方でも結構です、どう総括、評価しておられますか、その成果について。
○竹中国務大臣 三位一体の改革が始まるとき、私は経済財政政策担当大臣でございました。当時、財務大臣が塩川大臣、総務大臣が片山大臣、そして官房長官が福田官房長官、その四人で、どのようにこの問題を取り扱ってよいかということを何度も話し合いをいたしました。
私は、十五年に始まる段階で、三兆円の税源移譲ができるとは実は思っていませんでした。財務省はとても税源を出さないだろう、一兆円までいかないんじゃないか、しかし、一兆円ぐらい税源移譲しないと成果にならないな、そういう思いでいろんな議論をしていって、それで、とにかくまず補助金の削減、税源移譲、そして交付税の改革ということを一つまとめて土俵に乗せるのに、大変難しかったという思いがございます。
そういう意味では、四兆円を上回る補助金改革、三兆円の税源移譲、そして交付税についてもインセンティブを入れる等々の改革ができたということに関しては、私はやはりそれなりの進歩であるというふうに思います。
ただ、改革というのは、ある一定まで行くと、まだこれだけしかやっていないのか、もっとやらなきゃいけない、そういう、これはいい意味での欲が出てくるものだと私は思います。
そういう観点で言うならば、まだ地方の自由度は十分増しているとは思えません。これは、補助金のカットのとき、やはり各省庁がはっきり言ってどこも反対して、自分の仕事を失いたくない、そういう思いだと思います。それで大変難航した結果、地方の皆さんには、やはりもっと自由の権限を与えてほしかったという思いがあろうかと思います。今申し上げたような総体として三兆円を税源移譲して自由に使える一般財源がふえているわけですから、それなりの大きな評価だということは六団体も表明してくださっています。
しかし、その上でさらにやらなきゃいけない、そういう思いが地方にも強まっているし、私自身もそのように思います。実は、そういう思いで今回の地方分権の懇談会を立ち上げております。
○小川(淳)分科員 ありがとうございます。私も、これはまずボリューム的には大変大きな一歩だという点、全く同感であります。
ところが、大臣もおっしゃいましたとおり、やはり、質的に本当に自治体の自由度を増したものなのか、そういうかぎのかけ方においては課題が残った手法だったな。特に、教育費、教員の給与に関する補助金が一番にやり玉に上がったこととか、それから生活保護費に関する補助金が上がったこと。やはり、私なんかの発想ですと、最初に公共事業だとかそういったところにもっとメスを入れるべきだったと思いますが、こういう勢い弱い方、声の小さい方、しわ寄せの行きやすい方、取り上げやすい方へしわ寄せが行ったこと、しかも、その結果が補助率の二分の一から三分の一への引き下げという形で、結果として自治体の自由度を増すことにつながらなかったこと、この二つは大変大きな反省点だと思います。
三兆円、四兆円という規模は大きいわけですが、それよりも、一千億でも二千億でも結構です、やはりこの改革がどういう姿を目指しているのかというのは、本当の一歩であるなら、質の部分で問われる。やはり最初の一歩をこういう形でやってしまうと、次、五兆円議論しても、六兆円議論しても、この延長線上じゃないかという失望が広がるんですね。たとえ一千億でも二千億でも、本当にあるべき姿が描けていれば、次の一兆円、二兆円、三兆円には大変大きな展望が開けたんじゃないかと。
やはり量よりも質、そこを、小泉改革全般を通してそういう思いがぬぐい去れません。その点だけは指摘をさせていただきたいと思います。
○竹中国務大臣 小川委員の御指摘は、私ももっともだと思います。だから、まだまだやらなきゃいけないことがあると思います。公共投資についても、公共事業についても、三年目にしてようやく門戸が開かれまして、施設費について、それが補助金削減の対象になりました。これも、非常に強い抵抗の中、何とか門戸は開いたということなんだと思っているんです。
要は、問題を議論すればするほど、国と地方の役割分担、権限、負担、そういう問題が、現状、やはり非常にあいまいであるということに行き着くわけです。義務教育の話も、生活保護の話もお出しくださいましたけれども、今の制度というのは非常に多層的になっていて、複雑な地方自治だと私は思います。
これは懇談会のメンバーになってくださっている小早川先生の言葉なんですけれども、単純な地方自治、つまり、これは国の仕事、これは地方の仕事、そのかわり、地方の仕事は自由もあるけれども責任もある、そういう形にやはり持っていくことが私は本当の分権だと思うんです。
今回の懇談会の中で、であるからこそ、地方分権一括法をもう一度新しく議論しよう、定め直そうということを非常に重要なテーマとして掲げております。これは私たちが掲げていますけれども、各省庁、大反対があると思います。しかし、何とか地方分権一括法を新しくするということに一歩を踏み出したい。
ちょっとここから先は言いわけかもしれませんが、私は、三年前にそういう議論をしても全く歯牙にもかけられなかったと思うんです。まず土俵をつくって、限定された土俵ではあるけれども、三位一体の土俵をつくって動かしてみて、これは少し動いたけれどもやはり大変だ、だからこそ国と地方の役割分担を根本的に見直さなきゃいけないということに対して、今、やはり一つのモーメンタムができつつあるのではないかと私は思っています。
白地のキャンバスに絵をかくように改革はなかなかいかないわけでございますけれども、今の第一次の三位一体を生かして、今申し上げたようなもっとスケールの大きい地方分権改革にぜひ持っていきたいと考えております。
○小川(淳)分科員 ぜひお願いをしたいと思います。
足早に申し上げますが、交付税改革、これは、本当にすべての矛盾を解消してきたのが特会の借り入れだと思います。それから、国の借金もそうですね。あらゆる国家の矛盾を借金という形で解消してきた。これが本当に懸念材料。これは、それこそすさまじい覚悟で真っ正面から議論しないと、いつまでたってもこの状況、日本人として国家の経営に自信が持てません。ぜひこれは指摘をさせていただきます。
それからもう一つ、これも指摘にとどめさせていただきますが、税源移譲、三兆円の大きな成果でした。しかも、住民税の比例税率。これは、私も担当していた経過から言って、夢みたいなことでした。当時、口では言っていましたが、できると思っていない。ところが、これが本当に実現した。しかし、必然的に住民税を納める方の数ももちろんふえますし、額が圧倒的にふえる。これは、必然的に前年課税の問題が出てくるわけですね。年収二百万程度から年間十万円近い負担増になるということですから、所得がなくなってから課税が来るこの住民税の仕組みがそろそろ限界に来るんじゃないかと思います。これは、ぜひとも御検討をいただきたいと思います。
あわせて、もう一つの大きなテーマは市町村合併です。十八年の三月までで大きな成果がおありでしたが、この点も、総じていかに評価されますか。
○竹中国務大臣 市町村合併、民間でできることは民間で、そして地方でできることは地方で、自由と責任を持ってやっていただこう、そのためには、やはり基礎自治体がある一定程度の財務的な基盤を兼ね備えていなくてはいけないのではないだろうか、それがまさに市町村合併の一つの考え方であったと思います。
これは、平成十一年の三月末には三千二百あった、それが十八年には千八百二十になったということでございます。これは相当程度進展したと申し上げてよいのだと思います。そこで当事者は大変御苦労なさったと思いますけれども、それぞれにしっかりと話し合いをして、地元でここまで成果が上がったということは申し上げてよいのだと思います。
先般、平成十一年四月から十八年三月までの合併した五百五十七団体を対象に試算を行いまして、おおむね二〇一六年度以降、年間で約一・八兆円の効率化効果があるという試算をまとめたところでございます。しかし、まだ進捗状況には差異が見られます。特に地域別の差異も相当ございます。また、人口一万未満の市町村も、三月末で五百四存在をしています。そういう意味では、引き続きこの努力は続けなければいけないというふうに思っております。
ただ、その場合に、やはり地元の自由な意思に基づいて、みずからが必要性を認めてそのような形になっていくというそのプロセスを、ぜひ私たちとしては大事にしたいと思っております。
○小川(淳)分科員 本当に、おっしゃるとおり、数の上では、もともと明治時代に七万あった市町村が三十年かけて一万に減って、昭和になって三千、これがいよいよ千八百と。劇的な変化を推し進められたその実績というのは、本当に大きいことだと思います。
しかし、今、一・八兆円の削減効果とおっしゃいましたが、地方財政の規模が全体で百兆円を超える中での一・八兆円、これが本当にどれほどの意味を持つのか。やはり、御当局、みずからに厳しくとっていただかなければなりませんし、数が減ったことの成果をいかにあらわすかはこれからなんだと思います。その意味でも、先ほどの権限の振り分けの話も含めて、議論を一つに統合していくような作業が必要なんだと思います。
その延長線上でお聞きしたいんですが、二十一世紀ビジョン懇談会の報告書を拝見しますと、道州制についても触れられているんですね。十年後の姿として、道州制への移行の検討を進めるということでございますが、道州制については、竹中大臣、いかに、どんな評価をお持ちですか。
○竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、基礎自治体がある程度の財務的基盤を持たなければいけない。今、千八百ぐらいありますけれども、これは専門家のいろいろな御意見があります。では、最低どのぐらいの人口規模が必要かということに関しては、ある研究者は最低十万人ぐらい、ある研究者は最低三十万人ぐらい、いろいろな見解がございます。
いずれにしましても、それだけそういうふうに今後も合併が進んでいくとなると、私はよく例で申し上げるんですけれども、例えば人口三十万の都市が一つ基礎自治体としてできると、私の生まれ故郷の和歌山県というのは、県の人口から考えて市が三つできたらそれで終わりだ、人口百万程度でありますので。
そうすると、その場合、県というのは一体どういう役割を担うのか。やはり、より広域の行政体を考えなければいけないであろう。ただし、現実問題として考えると、アメリカの連邦制のように、そこが立法権や司法権を持つというのは、これは現実には考えがたいのではないだろうか。行政の権限を国から道州に、広域自治体に大胆におろして、今の県の行政の権限を大胆に市町村におろしていただく、そういう形を目指すというのは、私はこれはある意味で自然な姿であると申し上げてよいのだと思います。二十八次の地制調は、そういう観点に立って、これが適切な方向であるという答申を出された。これも画期的なことだと思います。
我々の今の務めは、地制調は同時に、これはしかし国民的議論をしてくれということが答申に書かれておりますので、総務省の当面の役割としては、この国民的議論をしっかりとしていただくようなプロセスをつくっていくということであろうかと思っております。
実は昨日、これをテーマとした第一回のタウンミーティングを開きました。実質的なキックオフであると思っております。その場でも、まだまだ、もっともっとよく中身について知らせてくれ、なかなかわかりにくいという御要望もありましたので、そういう広報、ディセミネーションを含めまして、ぜひしっかりと対応していきたいと思っております。
○小川(淳)分科員 ありがとうございました。
道州制の議論に関して、ぜひ一つ価値観をねじ込んでいただきたいんですが、市町村合併が多分広域化なり効率化というキーワードだったとすれば、例えば私は四国なんですが、四国四県を合わせますと人口四百万人、これは北欧諸国に匹敵する人口規模なんですね。ですから、広域化、効率化、市町村合併の延長線上の都道府県合併ではなくて、やはり国家像そのものにかかわる話、画一的で均質的な国づくりを目指した戦後五十年、六十年から、もっと多様でもっと本当に異質なものが織りまざるような、そういう国家像にかかわる話としてぜひ道州制をお考えいただきたいと思いますし、その意味で、今提出されている北海道の特区法案、これは一里塚になっているのかどうかすらも非常に疑問だなと思わざるを得ません。本当にそういった面からも、九月以降どうなるのか私も想像の限りではありませんが、ぜひお願いを申し上げたいなと思います。
本当にこの国会ではいろいろお世話になりました。ありがとうございました。
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