民主党 衆議院議員 小川淳也
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〜会議録(06年5月16日 本会議答弁)〜

○小川淳也君  民主党の 小川淳也 でございます。

 小野委員長の御報告には、お言葉ではございますが、ただいま議題となりました政府提出、証券取引法等の一部を改正する法律案外一案に反対、我が党提出の証券取引委員会設置法案に賛成の立場から討論を行わせていただきます。(拍手)

 大変残念なことに、昨今の金融市場をめぐっては、騒がしい話題に事欠きません。プロ野球の買収、放送局の支配、総選挙への立候補、本当は何がしたかったのかわかりませんが、とにかく勢いに乗った時代の寵児は、とらわれの身となり、そのうそと偽りがあらわになりました。

 二十一兆円の売り上げと過去最高益を更新した日本の自動車メーカー、その決算にかかわったのは、粉飾疑惑により業務停止に追い込まれた監査法人でありました。

 低金利下で高い収益を上げる大銀行、その圧倒的な力は、弱い立場の中小企業にリスクの高い商品を売りつけていました。そして、今度は、その経営手腕が、民営化される郵政会社で試されるのだそうです。

 私たちは、何を信じ、何を信じてはいけないのか、どの明るさは本物で、どの輝きには危うさが伴うか、その見定めが決して容易ではない不安な時代を突き進んでいます。しかし、後戻りをしようというのではありません。自由や競争の価値を認め、市場経済、貯蓄から投資、間接金融から直接金融へ、そのかけ声とともに、経済の力を高めねばなりません。

 一方で、私たちは覚悟しています。真の自由には、それをはるかに上回る規範を必要とします。自由な市場には、これまでにも増して手間暇と費用をかけ、はぐくまねばなりません。だからこそ、私たちは、十分な権限、人、政府からの独立、これらを兼ね備えた監視機関を日本市場につくりたいのです。三千人を超えるアメリカの体制に対し、日本はわずかに三百人余り。

 委員会審議の中、独立した強い機関が必要、その声は与党内ですら拮抗している、そう告白されたのは、ほかならぬ与謝野大臣御自身でした。そして、十四年前、今の監視委員会の姿に飽き足らずに、より高い独立性と強い権限を持たせることを主張されたのは、公明党の大先輩であられました。

 与党の皆様、私どもの主張に対して、何も恐れず、ひるまず、とらわれず、皆様の拮抗したお考えをぜひ行動に移していただきたいのです。(拍手)

 昭和二十三年以来歴史ある証券取引法は、新たに金融商品取引法へと生まれ変わります。株や債券にとどまらず、さまざまな商品を一手に扱うこの法案、しかしながら、不十分な点を指摘せざるを得ません。

 なぜ、横断的と言いつつ、銀行と保険を含めないのか。なぜ、小さな元手で巨額の損益を左右する商品取引を対象に含めないのか。外貨取引には電話や訪問勧誘を禁止しているではありませんか。なぜ、はるかに被害と苦情の多い商品取引は放置したままなのか。そこには、金融庁内部の縦割り、経産省や農林省との縄張り争いがあったのではありませんか。

 仮に役所の組織立てが立ちはだかるなら、そのときこそ政治の出番ではありませんか。困難は百も承知、利害錯綜は覚悟の上、それでも、そこへ手を突っ込んで、泥をかぶり、国民生活の安心のために、譲れない一線をかち取ってくるべきではありませんか。国民の暮らしは、決して役所の縦割りに沿って営まれているものではありません。

 私たちは、この商品取引を金融商品に位置づけ、その主務大臣には、農林、経産両大臣に加え、金融当局を追加すべきことを主張します。

 一連の高邁な看板と裏腹に、肝心かなめのところで、役所の利害を、関係団体の顔色をうかがってきてはいませんか。それが小泉改革の一面の実相ではありませんか。一部の明るさと引きかえに、不正や不公平を見過ごし、勝ち組に喝采を送る一方で、多くの不安や不満を顧みずにきた。そのことが格差の拡大する不安な社会を助長してはいませんか。

 格差は悪いことではない。本当ですか。開き直るようなことですか。言葉少なに苦渋の表情を浮かべ、宰相たるものの国民への愛情を示してはいただけませんか。国民に国を愛せとおっしゃる前に、宰相こそが、まずは国民への深い思いをお伝えになるべきではありませんか。(拍手)

 経済界の要請に、総理は、経済と、政治と商売が別だとおっしゃった。それは本心ですか。古くから、経世済民、政治とは、物心両面から国民生活の憂いを除き、幸せの増すことを願う営みではありませんか。

 靖国は心の問題だからですか。正気でおっしゃっておられますか。拉致や核の問題を抱えた今、中国や韓国と語り合えない今の状況は、すぐれて、国際政治、経済の問題ではありませんか。

 総理が進めてこられた金融の自由化、民営化、市場原理に競争社会、大いに結構です。しかし、私たちの社会は、そんな価値観だけで成り立ってきたわけではありません。互いに思いやり、いたわり合い、慈しみ合い、助け合ってきた、そんな情緒と知恵に満ちたものでした。私たちが大切にしてきた、そのもう一つの価値を再び取り戻す日本を築きたいと思っています。

 総理、あなたが冷徹を通される限り、私たちは、どこまでも温かくありたいと思っています。あなたが非情なら私たちは情け深く、あなたが切り捨てたものを私たちは拾い上げ、紡ぎ合わせる側に回りたい。あなたが目をそらしてきたものに私たちはひとみを見開き、耳を閉ざしてきたその小さく埋もれそうな声に私たちは耳を傾けたいと思います。

 今こうしている間にも、庶民の平穏な暮らしには魔の手が伸びようとしています。すきに満ちた日本の市場には、暴利をねらう拝金主義が虎視たんたん無垢な暮らしをねらっています。

 どうか議員の皆様、私たちの思いに御理解、共感をお寄せくださいますことを心よりお願い申し上げ、私の討論とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

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