民主党 衆議院議員 小川淳也
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〜会議録(06年4月11日行革特別委員会)〜

○小川(淳)委員  民主党の小川淳也でございます。初めてこの行政改革特別委員会に参戦、参画をさせていただきます。委員長初め委員の皆様、閣僚の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 きょうは、特別会計改革また市場化テスト法案に対する集中審議ということでございます。

 まず、特会改革について端的にお尋ねをいたします。谷垣大臣、この特会改革の主眼、どこに置いておられますか。

○谷垣国務大臣  特会改革の出発点となりましたのは、私の前任者、塩川財務大臣が、母屋で一生懸命おかゆで我慢しているのに、離れで子供たちがすき焼きを食っているようなことがあってはいかぬとおっしゃったことからスタートしたわけでございます。

 塩川大臣が何を問題にされたかというのを今考えてみますと、一つは、本来、特別会計というのは、ある分野に関しての経理関係をはっきりさせて、透明化、今の言葉で言えば説明責任をはっきりさせる点にあったと思うんですが、たくさんあることによって、そういうことが難しくなっていることがあるじゃないか、目が届いていないじゃないかという点が一つあったと思います。

 それから、固有の財源等があって、必ずしも今その歳出が必要ではなくなっているのに、固有の財源があるがゆえに無駄な事業が行われているのではないかということもあったと思います。

 それから三番目に、そういうことの結果、不要不急の積立金というんですか剰余金というようなものが中にため込まれていて、これだけ財政の厳しいときに、そういう財源が有効に活用されていないじゃないか、こういったようなことが問題であったのではないかと思います。

 これを踏まえますと、今回の改革の目的は、一つは、複雑になっている特別会計というものをもう少しわかりやすいものにしていく、明確にしていく、そして説明責任を果たしていくということであると思いますし、それからもう一つは、無駄に使われている支出、それから、必ずしも有効に活用されていない、中にたまった滞留している資金を財政再建にどう役立てていくかということであろうと思います。

 ちょっと長くなりましたが、まとめますと、説明責任をはっきりさせるということと、無駄な資金を活用して財政再建に役立てていく、こういうことではないかと考えております。

○小川(淳)委員  幾つかポイントをおっしゃっていただきましたが、説明責任を果たすとか、透明にする、見えやすくする、これはすべて恐らく最初に谷垣大臣がおっしゃった無駄をなくしていくための手段ではないかという気がいたします。

 とにかく、この特会改革の主眼は、私は、無駄をなくするんだということに尽きるんじゃないかと思います。そのために、透明性を増さなければなりませんし、説明責任も果たせる体制をつくらなければならない、数も減らさなければならない、すべて手段ではないかという気がいたします。

 その上で、これは一体何が無駄で、それをだれが判断するかという大変大事な問題が残るわけでありますが、今度は、無駄だ無駄だと言われ続けてきた分野について、担当の大臣にお聞きをさせていただきたいと思います。

 川崎大臣、けさ、朝五時半から、私がTBSをかけましたら、大変さわやかな時間帯でしたけれども、みのもんたさんがさわやかに主張されておられました。雇用保険を用いた赤字施設に関して、一億円の体育館が一万円で売り払われた、二千万円かけてつくったプールが千円で売り払われた、勤労者福祉施設、全部合わせて四千億円かけた施設が百億で売り払われた。こうした例は枚挙にいとまがないと思います。

 グリーンピア、この言葉は大変有名になりました。北は北海道大沼から南は鹿児島指宿まで、全部で十三カ所、売却、よく御存じだと思います。最近よく言われています、我が党からも視察に参らせていただきました京都の私のしごと館という施設は、建設費が五百億、運営費二十億、入場料等収入一億という実態だそうです。例を挙げれば切りがありません。年金会計の保養施設、外国旅費やマッサージチェアなどの備品購入。

 川崎大臣、もうこういう批判にはややなれっこになっておられるかもわかりませんが、こういう批判をお受けになられて、どんな感想をお持ちでいらっしゃいますか。これは、本当に無駄ですか、それとも堂々と胸を張ってやってこられたことですか。川崎大臣、いかがですか。

○川崎国務大臣  まさに、まとめて全部言われると、全部悪いじゃないかという議論になってしまう。一つ一つの事業を吟味していただいて、国会でも御議論いただいてやってきた経過はございます。例えばグリーンピアでも、年金積立金を被保険者の福祉還元に使うべきという附帯決議が当時の国会ではあった、その経過の中でやってきた。

 しかし、振り返れば、五十五年当時ですか、まさにリゾート開発の時代、民間も争ってホテルを建てゴルフ場をつくった時代に、何で官まで一緒になってこんなことをやっちゃったのかね、振り返ればこんな反省はあるだろう。一方で、つくって、それを地方公共団体がお使いをいただいたわけですから、一定の成果はあったんだろうと思っております。しかし、一方で、地価の下落、そういうものも重なって年金に大きな損失を与えてしまったということは間違いないだろう。そういう意味では大いに反省をしなきゃならぬだろうと思っております。

 もう一つの切り口の私のしごと館は、今日的な役割を考えますと、若者に仕事というものをまず理解してもらう、特に高校の時代、中学の時代に仕事というものを理解してもらう、そして、自分はこういう仕事をしたいなという意欲を持って勉強にいそしんでもらう、そういうものを早くから醸成していくことが大事だなという目的でつくられました。

 ただ、こうしてつくられたものが、大変多くの方々に御利用いただくようになってまいりましたけれども、その払っていただくコストだけで合うかということになるとなかなか難しい問題があるんだろう。これは、NTTが持っている展示場にしたって、トヨタさんが持っている展示場だって、そこへ来る人の入館料で何とか賄えといったって合う話ではない。要は、今の若者に仕事というものをしっかり理解してもらうという中でつくってきた制度でございますから、そういう意味では、知事さんや地元の財界の皆さん方から、いろいろな批判はいただいているけれどもより効率的にやらせます、やっていきますから残してやってほしいという強い陳情を、私が大臣になって一カ月目ぐらいかな、いただいたところでございます。

 そういった意味では、国会において説明責任をしっかり果たしながら、私自身は、グリーンピアの問題を初め、この問題については至らない面があったと認めますけれども、一方で、私のしごと館が持っている今日的な意義というものはどうぞ御理解を賜って、そして、できるだけ経費の削減も努めてまいりますけれども、より多くの人たちがここへ訪れていただくという方がより大事だろうと思って、これは残しますと宣言をしながらやらせていただいております。

○小川(淳)委員  ありがとうございました。

 とにかく、無駄なものは無駄ですし、反省すべきは反省すべきだと思いますし、一方で、今大臣がおっしゃったように、これは自信を持ってやったんだ、何が悪いんだとむしろ胸を張って言えるぐらいのことがもっとほかにもあっていいと思います。一々、国会で批判された、世論から批判された、それを乗り越えて、堂々とやっていますというぐらいの自信を持つ施設、施策、あっていいと思います。その上で、まずかった、悪かった、反省しなきゃというものに関しては、どうしてそうなったかということに関しての深い洞察をお願いしなければなりません。

 この無駄遣いの例と関連をいたしますが、もう一つ、きょうは経済産業省から副大臣にお越しをいただきました。一つ、昨年までの状況で、私どもクレームをいただいた件があります。御紹介をさせていただいて、実態の御説明をいただきたいと思います。

 これは、石油エネルギー特会に関連をした公益法人、財団法人エコ・ステーション推進協会というものがございます。ここへこの特会から補助金が流れまして、その補助金を使って、例えば、天然ガスステーションとか自然エネルギーを使ったLPガスとか電気自動車の普及推進に努めておられるということだと承知をしております。この財団の補助金収入が三十億余りですね。この補助金収入を使って各種事業を行っておられます。

 副大臣、お尋ねいたします。この三十億余りの補助金収入以外に、この財団には一般会計というものがおありのようですが、これはどういったものですか、御説明ください。

○伊吹委員長  西野経済産業副大臣、要点を簡潔に説明してください。

○西野副大臣  お答えをいたします。

 今御質問されましたエコ・ステーションは、運営補助金のことだろうというふうに思っておりますが、これは、新エネ等に対する、天然ガス等の御指摘がありましたが、それらの設備を設置するために、事業者の負担を軽減する意味で、例えば、当初三年間は年額で百九十八万交付をいたしておるわけであります。また、その協会の方に、賛助会員として、一口五万円以上を十口以上、そして四年目以降は一口以上、実はこういう内部規定があったわけでありますが、この賛助会費はあくまでも事業者の自主的な自発的な判断によるというものでございますから、補助金を受けている事業者の中でおおむね一二%程度は、実はこの賛助会費は払っていないという事実がある。そういう事実関係だけは明確に申し上げておきたいというふうに思います。

 しかしながら、いやしくも不適正な補助金執行が行われておったのではないか、そういう誤解を招くようなことがあってはいけないわけであります。そのために、賛助会員の規則のうち、補助金を受給している事業者とそうでないところを区分しておりました、こういうものを指導いたしたわけでございます。早速協会の方では、内容を申し上げますが、過ぐる三月の十六日、理事会を開いて、これらについては、指導のとおり撤廃をいたすこと、削除いたすことになったわけでございまして、四月一日からその旨訂正をして執行しておるところでございます。

 今後とも、この協会の運営等につきまして誤解を招かないように、しっかりと経産省としても管理監督を進めていきたいというふうに思っておりますので、御了承いただきたいと思います。

○小川(淳)委員  今のお話、整理して申し上げますが、このエコ・ステーション協会というのは、さまざまなそういう天然ガス等々の事業に対して、年間二百万円の補助金を三年間交付しているわけですね、年間二百万円を三年間。そして、その三年間、補助金を受けた会社に対して、年間五十万円を支払う賛助会員になってくれということを言っているわけなんですね。

 つまり、そういう話なんですよ。七千万近い収入をこれで上げているわけですが、賛助会員二百七十社のうち二百三十四社が補助金を受けた会社、二百万補助金をもらったら五十万会費で納めている、こういう格好がまかり通っているわけなんですよね、少なくとも去年三月まで。

 これは、この財団だけなのか、あるいは賛助会費という形であればほかにもたくさんあり得るのか、よく調べてみないといけないと思いますよ。いみじくも副大臣おっしゃった、自主的、自主的という話が通る場合と通らない場合があります。対等な関係にはありませんよ、補助金を交付する側と交付される側。いみじくもおっしゃったとおり、こういうことが疑われることすらないような、襟元を正した対応を私はすべきだと思います。

 先ほどの年金厚生施設等々の無駄遣いの話、そしてこういった不透明ととられかねないような対応の仕方、これらすべて襟元を正さないと、この特別会計に対する信頼あるいは一般会計を含めて政府全体に対する信頼は上がらないということだと思います。

 そこで、はっきり申し上げたいんですが、これは、特別会計三十一をたとえ二十にしたって十にしたって、無駄遣いをなくす、本質的な議論になりますという話には全くならないと思います、数を減らしたところで。もっと申し上げますよ。なぜ特会でこんな無駄遣いが続いてきたか。これは、各省庁の裁量の範囲が広いからですよ、独自の財源を持っているからです。

 私は、やや突っ込んで申し上げますが、この特会改革で財政規律を高める唯一の手段は、もちろん透明性を高める、いろいろありますが、財務当局の関与を徹底的に高めることだと思います。財政再建に関心を持った財務当局の関与を徹底的に高めるべきだと思いますよ。

 今回、十三・八兆円の余剰金を引っぺがしましたね。十三兆円の余剰金を五つの特会から引っぺがして借金の返済に充てました。これ、大いにこれからも恒常化すべきだと思います。このためには法的な手当てが必要なはずです、そんな手当てをこそ、今回の法案に書き込むべきだと思います。

 電源特会、電源促進税制については、特会への直入をやめると御判断された。これは一般会計に一たん受け入れてから、必要な分だけ出しますとおっしゃった。すべての特会についてそうすべきだと思います。それこそ、法律に書かなければできないことです。法律に書かなければできないことこそ、今回の法案に書き込むべきだと思います。そのために、今回の法案をわざわざこうした大変な労力と時間をかけて審議する、そういう場にすべきではないかという気がしてなりません。

 財政当局の規律を高める、これは、入り口でまず、一般会計で全部整理する、必要な分しか出さない。もう一つは、今度は出口、さっきの公益法人とか特殊法人に流れるときに全部財政当局で規律を持ってチェックする、余ったものは全部一般会計に引き揚げて借金の返済に充てる。こういう法律に書かなければできないようなことこそ、この法案に盛り込むべき、審議をすべきだと思います。

 関連して、この特会、少し皆さん萎縮しておられるんじゃないかという気がしてなりませんので、お尋ねを続けさせていただきます。

 今、日本でも、ニートとかフリーターというのは大変な問題になっていますね。厚生労働省さんの推計ですと、日本のニートが六十万人、フリーターが二百万人強ですか。イギリスでは、七十万人のニートに対していわゆるニューディール政策というのを打たれたそうです。これによって、半分近くが就労に成功していると言われています。

 こういう若年者の雇用対策というのは、まさに厚生労働省さんにとっては今、喫緊の課題の一つだと思いますが、川崎大臣、この若年者雇用対策、フリーター、ニート対策、どういう形で今とっておられますか、概要だけで結構です。

○川崎国務大臣  まず、ニートとフリーターというのは基本的に分けなければならないだろう。フリーターというのは、労働意欲があります。ニートは、労働意欲をまず引っ張り出すという作業をしなきゃならない、そういう意味では、文科省と私どもの共同作業という認識の中でやらせていただく。ここは切り分けていただきたい。

 それから、ニートという表現で同じ表現を使っておりますけれども、イギリスのニート、移民政策の中での、要するにその国の言葉がしゃべれないという人たちの政策と、先ほど言いましたように、少し、高校進学の過程なり大学進学の過程の中で労働意欲を失った子をどうやってもう一度引っ張り出すかということについては、政策的には違うということはぜひ御理解をいただきたい。

 フリーター政策全体につきましては、やはり今、若者の雇用、特に二十五歳から三十四歳ぐらいにフリーターの数がふえてきてしまっております。簡単に言えば、自分たちが大学や高校を卒業したときに、我が国の経済状況が極めて厳しかった時代に就職というところへ挑戦をした人たち、この人たちが、就職できずに、もしくはしっかりとした正規雇用に結びつかずに、残念ながら次のチャンスを求めている。この人たちにどうしていくかということでございますから、今ハローワークで二十万人常用雇用計画を組みまして、この五月前ですけれども、二十万人は突破するめどがつきましたので、来年は二十五万人に上げさせていただきます。

 その中で、一つの事業としては、今フランスでも議論になりました、とりあえず若者を雇ってくれということで、トライアル雇用というのがございまして、これで九十九億円を使わせていただいています。それから、ジョブカフェ二十六億円、日本版デュアルシステム、これは教育と仕事と両方兼ね合う、これが八十七億円というような形で、雇用保険を利用しながら若者の雇用促進のために努力をさせていただいているところでございます。

○小川(淳)委員  ありがとうございました。

 本当にこれは喫緊の課題だと思いますが、いただいた資料によりますと、もちろんそういうところにもお金を使っておられるんでしょうね。その他、ニートの自立を支援するための地域における体制の構築三億円、若者自立塾十一億、若者の就業をめぐる悩みに対する専門相談体制四億等々、もっとお金を使っていいんじゃないかなという気がしてなりません。イギリスでは、例えばこのニューディール政策ですか、約四百億円を投じて若者の就労を支援している。

 そこで、今、雇用保険三事業ですか、廃止する廃止する、廃止を含めた見直しとおっしゃっていますが、それは本当に廃止でいいんですか。四千億円のお金を持っているわけですよね、雇用三事業だけで。やっていることに関して後ろめたいことが多いと、廃止しろと言われると廃止しますと言わざるを得ない。だけれども、自信を持ってやっていれば、やめなくて済むじゃないですか。もっとこういうことに金を使わなきゃいけないんだ、日本ではまだまだ若年者対策弱いんだと堂々と言えるじゃないですか。

 例えば、さっきの無駄遣いの話、それから不透明な運用、こういうことで政府御自身が後ろめたさを抱えておられると、新しいところへ打って出られないんですよ。しっかりと自分たちに自信のある施策を打っていれば、多少どんな批判にさらされようと、もちろん無駄なものはやめます、必要なものはやらせてくれと堂々と言えるじゃないですか。単にそんな、全部減量します、やめます、ダイエットしますに単純に乗らないでいただきたい。必要なものはしっかりやらなきゃいけないですよ。これは厳にお願いをしておきます。

 とにかく、申し上げたいのは、しっかり襟元を正さなければ、必要なところにすらお金が使えない、堂々とそれを主張できない、そういうところが、私は、行政改革の本当の意味、本当の話だと思います。単に特会を三分の一にしたって二分の一にしたって、さしたる財政再建効果ありませんよ、こんなものは。ありませんが、襟元を正すことで信頼を回復する、信頼を回復して本当の議論に入る、こういう道筋、手順の話ですよ、本当は。そういう御認識をぜひいただきたいと思います。

 市場化テストに関連してお尋ねしますが、中馬大臣、もし官民でこういう仕事を奪い合うというような結果になりますと、それまで雇用されていた公務員の方の処遇の問題、これは大きな問題だと思いますが、中馬大臣、いかがですか。

○中馬国務大臣  市場化テストは、従来国がやっておりましたことを民でやれる分がかなりできてまいりまして、力もついてまいりました。それをいわゆる仕分けをいたしまして、そして、こういったものができるじゃないか、民間業者からの手も挙げていただきまして、監理委員会でそのことの是非をしっかりと議論した上で、最終的には政府が決めるわけでございますが、そういうことによりまして、かなり民間の力も活用できてくるんだ、このように認識いたしております。

○小川(淳)委員  もし仕事をとられた公務員の方は、その間どうするんですか、これは。民間へ移るんですか、いかがですか。

○中馬国務大臣  とられたというわけじゃなくて、官もこれは入札に参加してもいいわけでございますから、その刺激をもとに、公の方が頑張って、いや民間よりももっとサービスよく効率的にやっていけば、従来どおり官でできるわけでもございますし、また、その経験を買われて民間の方に移籍される方もいらっしゃいましょう。

 しかし、そうしても、それでも行けない方は、これはもちろん皆様方の御協力も得るということを非常に今やっているところでございますが、そうした形で他の部門に移る、その場合もちゃんと研修等をして他の部門でも十分に活動できる形をつくっていく、そのことがちゃんとこの法律で担保されております。

○小川(淳)委員  恐らく、担保されているとおっしゃったのは退職金のことだと思いますが、日本の退職金制度というのは、御存じだと思います、一年たったら一年分、三年で三年分、五年で五年分というふうに比例曲線になっていませんよね。つまり、少しでも空白期間があると不利になる仕組みになっているんですね。それから、年金だってそうですよ。官民で今断絶があるこの年金制度、これは一本化してやらないと自由に行き来ができない。

 つまり、申し上げたいのは、市場化テストというのは多分イギリスの強制競争入札がモデルになっていると思います。思いますが、イギリスの官民雇用文化には格差がない、区別がない。ところが、日本には厳然たる区別がある。

 申し上げたいのは、私は、本来議論すべき公務員制度改革とは、こういう市場化テストとか、あるいは、右肩上がりが終わった時代、終身雇用が難しくなった時代に合わせた公務員制度をつくることではないかと申し上げたい。ところが、今のこの法案では、定数を、五%を何年以内に削減するだとか、何割以内に減らすだとか、その数字ばかり躍っている。もっと本質を見きわめた、本当に今の時代にとって何が必要かという、施策を含めた、理念に基づいた制度改革を志すべきではありませんか、中馬大臣。

○中馬国務大臣  まさにおっしゃるとおりで、この法律の中にも公務員制度の改革のことをうたっております。

 これから詳細のところの議論も、労働組合の方々との御議論も踏まえてやっていきますけれども、そういうことをあわせて、これまでの公務員のあり方も含めて官の役割というものを大きく民間に移していく、こういうことをこれから進めるわけでございます。

○小川(淳)委員  とにかく、総じて申し上げますが、そういうことも含めて、政府全体が本当にやれることをやっていますという迫力を取り戻さないと、本当に必要な議論に入れないんですよね。

 そこで、関連してもう一つお尋ねします。

 今まで政府系金融機関とか周辺のことをお尋ねしてまいりましたが、この間、会計検査院の報告を拝見してあれっと思ったんですね。職員に対する旅費の不正支給、これを還付させた。厚生労働省と財務省の資料を拝見しました。これは、全部で七千万ぐらいでしたですか、厚生労働省さん。

 これに課徴金を何%課してその不正受給した旅費を戻させたか、御存じですか、谷垣大臣あるいは川崎大臣。

○伊吹委員長  事務的なことだけれども、谷垣大臣、答えられますか。極めて事務的なことだと思いますが。

○谷垣国務大臣  御答弁する前に……

○伊吹委員長  ちょっと待ってください。

 厚生労働省金子総括審議官。(発言する者あり)まず答えてから政治的な答弁はいたします。

○金子政府参考人  遅延利息を付して国庫に返還した際の年利につきましては、五%を付しまして返還をさせていただいております。

○谷垣国務大臣  この御答弁の前に、先ほど特会改革の中で、やはり法律にきちっと書き込まなければこれから先進まないぞという御指摘がございました。

 これは、来年に向けまして、特会改革の法案をまとめまして提出いたします。そのときに、今まで特会のいわばメリットとされていたような例外規定、こういうものを見直して、法律の中にきちっと書き込んでお出しをするということにいたします。

 それから、今の点でございますが、今まさに厚生省から御答弁がありましたように、やはり私どもも、払った金を返せという場合には法律の根拠がなければいけないということでございまして、これは、民法の不当利得の場合に、悪意の場合には五%と民法で決められておりますので、それに従って返還請求をしたということでございます。

○小川(淳)委員  例えば、政府系金融機関からお金を借りた方が何%の延滞税を支払っているか、御存じですか、谷垣大臣。

○谷垣国務大臣  今ちょっと延滞税の数字は頭に入っておりませんが、十数%、一三%台ではなかったかと思います。

○小川(淳)委員  一四%台なんですね。国税の延滞税もそうです、一四%。この低金利の時代に、国は、おれたちにきちんと期限までに払わなかった場合は一四%払えと言っているわけです。一方、国家公務員が不正に旅費を受給した、この返還は五%でいいよと言っている。もっと言えば、政府が債務の支払いがおくれた場合は、私たちは三%の利息を払いますと言っている。こういう不均衡も、やはり襟元を正すという意味では、一つ一つ見直していく必要があると思います。

 それで、竹中大臣、ちょっと話が飛び飛びになって申しわけありません。政府系金融機関、ずっと見直していくわけですが、たった一つ廃止だと言っている公営企業金融公庫、これは本当に廃止で大丈夫ですか。

○竹中国務大臣  公営企業金融公庫に関しましては、これを廃止しまして資本市場等を活用した仕組みに移行するということ、そして必要な財政基盤を確保する等廃止に向けた一定の移行措置を講ずる、この二つを基本的なボトムラインとして決めているわけでございます。

 資金の流れを官から民に変えていくということは、これは必要なことでございましょう。同時に、国は地方公共団体の資金の調達に支障が生じることのないようにしっかりと対応しなければいけないというふうに思っております。これは、地方公共団体が個々に創意工夫して資金調達するということがまず基本、重要である、そして、財務上の戦略として共同調達するという選択肢もあり得るというふうに思っておりますので、今後の制度設計の中で具体的に検討してまいる所存でございます。

○小川(淳)委員  竹中大臣、地方にはいろいろな事情を抱えたところが千差万別あります。ぜひそういったことも含めて、よく御検討いただきたいと思います。

 時間もなくなりました。非常に限られた時間でしたが、とにかく申し上げたかったのは、この法案に書いているようなことは、言ってみれば庭先の掃除みたいなものです。これから本当の本丸の議論に入るに当たって、庭先の掃除、門前を掃き清める、みずからの身を正す、そういう話にすぎません。この改革が行き着いた先に国民の幸福とか幸せはまだまだ遠い、それをしっかり認識していただきたい。

 三つ警鐘を鳴らしたいと思いますが、一つは、小泉内閣の路線、小さな政府ですか、簡素ですか、効率的、この減量路線は、私は体質改善を伴った減量路線でなければ意味がないと思っております。単に減量、減量と並べ立てることはかえって危うい。そのことを厳しく警鐘を鳴らしたいと思います。

 もう一つ、小泉内閣が登場した五年前と今では大きく時代背景が変わりつつあります。既に世の空気としては、格差社会あるいは光と影。谷垣大臣御自身が、きずなが大事だとおっしゃっている。この五年間で時代の空気は変わりつつある、そういうことにもっと敏感であるべきだと思います、この法案を提出されるに当たって。これも警鐘として申し上げたい。

 最後に、法律に書かなくてもできることは、わざわざ法案化して審議の時間をとって浪費する必要もない。法律に書かなくてできることは、さっさと黙ってやればいい。法律にどうしても書かなければならないことだけ、しっかりとコストをかけて議論すべきだと思います。

このことを最後に御指摘申し上げて、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。


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