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〜会議録(06年2月22日予算委員会での質問)〜
○小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。
官製談合に関してお尋ねをさせていただきます。
まず、先立つ質疑の中で気になるやりとりがございました。額賀長官、世の中にはいい談合と悪い談合がありますか。また、談合とは結果の平等を図るものですか。
○額賀国務大臣 談合事件で防衛施設庁の幹部が逮捕されたわけでありまして、私は、国民の信頼を裏切る行為であり、ざんきにたえない、二度と再びこういうことが起こらないようにということで、今、行政上、組織上の問題点を洗い出して、再発防止に取り組んでいるところでございます。
その背景については、先ほど来議論がありますように、公務員としてのきちっとしたモラル、企業人としての社会的な責任、そうしたものが欠けているというふうに思っております。その背景に、言ってみれば就職の問題だとかいうことがありますので、私は、よい談合、悪い談合ということではなくて、そういう仕組みをなくすためにどうするべきかということを考えていくのが我々の役目であり仕事であるというふうに思っております。
○小川(淳)委員 そのとおりだと思います。
ただ、先ほどの議論の中で、いい談合、悪い談合という言葉に対して失笑が起きるようなこの雰囲気、これこそが、その深層心理にやはり切り込んでいかないと本質的な解決にはならないんだと思います。
私は、とにかくこの談合の問題、本質的な課題として公務員制度との兼ね合いの中で考えていきたいと思っていますが、きょう、安倍官房長官、お忙しい中をお越しいただきました。その本質的な課題の前にすぐにでもやれそうなことをぜひ政府全体で取り組んでいただきたい、そういう観点から、三つお尋ねを申し上げます。
委員長のお許しをいただきまして、資料をお配りさせていただきました。
その一ページ目でございますが、大変取り急ぎで各省に取りまとめをお願いした関係で、基準等にばらつきがあることを事前にお断りを申し上げます。
まず一点目。問題になっております談合に深くかかわりがあると言われている指名競争入札、そしてそれを解消する一つの手だてだと言われている一般競争入札、これに関して平均落札率を各省にお尋ねをしたところ、お答えをいただいたところ、いただいていないところ、いろいろございます。区別を見ますと、そもそもこの区分すらないところもございます。
提案です。今後、官製談合に対する懸念を払拭するために、あるいは監視をしていくために、一般競争入札と指名競争入札については区別をして平均落札率をきちんと観察をしていくこと、政府全体としてお願いできませんか。
○安倍国務大臣 公共調達につきまして近年種々の問題が国会等で指摘されている状況はまことに遺憾であり、公共調達の透明化、適正化を図ることは極めて重要な問題と考えております。政府を挙げて取り組む必要がある、こういう認識に立っていることをまず申し上げておきたい、このように思います。
その上で、一般競争入札及び指名競争入札の落札率については、行政効率化推進計画において、各府省ごとに一定金額以上の公共調達について落札率を一覧表にして公表することとしており、情報の開示に努めているところでございます。
御指摘のとおり、落札率の公表に当たっては、指名競争を実施している省庁においても一般競争入札と指名競争入札を区分していないところがあるが、情報の公開の充実の観点から、より一層わかりやすい情報の開示について政府として取り組む必要があるというふうに考えております。御指摘のとおりである、こう考えております。
○小川(淳)委員 ありがとうございます。
二つ目です。資料の中ほどにございます、人事院から各省に委任をされた再就職承認に関して、独自に審査機関を設けているところはどうもないようであります。この点、例えば防衛庁には中央大学の外間先生、専修大学の岩井先生、弁護士の小室先生、このたび民営化されました道路会社におきましてはトヨタ自動車の相談役、弁護士、大学の先生等々、外部の目を入れた形でこの再就職規制、承認を行っているようですが、官房長官、二つ目の提案です。各省に委任をされているこの再就職承認に係る審査機関、今お答えをいただいたところではすべて人事課、秘書課、人事当局そのものでありますが、ここへ外部の目を入れるべきだと私は考えますが、政府全体としてお願いできませんか。
○安倍国務大臣 幹部職員の営利企業への再就職については、公務の公正性に対する国民の信頼への影響が特に大きいという観点から人事院が直接承認を行っているのに対し、本省課長補佐級以下の職員が営利企業の役員以外に再就職する場合には、人事院はその承認権限を所轄庁の長、各府省大臣等に委任をしております。
各府省に委任されている再就職の承認について、人事課や秘書課に任せるのではなく、外部の有識者の意見を取り入れて審査すべきだという委員の御指摘でございますが、各府省は人事院が定める明確な基準に従い審査承認事務を行っており、かつ、人事院は随時指導監査を行うとともに、その事務の実施状況について報告を求めることになっております。仮に疑義が生じた場合には人事院に相談することとなっておりまして、各府省が恣意的な判断をすることはできない仕組みとなっているというふうに考えております。
他方、今委員が御指摘になった、防衛庁の場合はそういう審査会をつくっているではないかという御指摘でございますが、防衛庁の職員については、その職務と責任の特殊性から国家公務員法の適用外となっておりまして、人事院の果たしている役割をかわりに果たすものとして防衛人事審査会が設けられている、こう承知をしています。
人事院の権限が及ぶ一般職の公務員については、防衛庁の職員の場合とは事情が異なっている、このように考えております。
○小川(淳)委員 明確な基準であるかどうか、これはまた機会を改めて議論したいと思いますし、こういう時代ですから、念には念を入れた方がいいと私は思います。
三つ目です。各省ごとに談合情報等がいろいろ入ると思うんですね、調達契約に関して。そのときにどう対応するのかという事前の取り決めを持っているところ、持っていないところ、これもばらつきがあるようです。私は、今回、直接は国土交通省あるいは関連団体、そして防衛施設庁、防衛庁、今直接スポットを浴びているわけでありますが、それ以外にもこれは全庁的に取り組まねばならないと思います。
そこで提案です。談合情報に対する対処方針、対応マニュアルについては、全省庁において統一的に備えてこれに対処すべきと考えますが、いかがですか。
○安倍国務大臣 次々と委員から建設的な御指摘をいただいておることに感謝を申し上げたいと思うわけでありますが、談合情報のマニュアルについては、公共工事に関しては、公共工事の入札及び契約の適正化の促進を図るための措置に関する指針、平成十三年三月九日閣議決定でありますが、これに基づきまして、談合情報を得た場合等の、違反行為があると疑うに足る事実があるときの取扱要領の策定を進めてきた結果、大半の省庁においてその整備を済ませているところでありますが、一部未策定となっている省庁が見られることから、引き続きその整備の推進を図ることとしております。できる限り早く策定させる方針でございます。督励をしていきたい、こう考えております。
なお、昨年十二月に、総理より与党に対して入札談合等関与行為防止法の改革案をまとめるよう指示があったところでありますが、あわせて、私に対しましても入札制度の改善など政府が行うべきことについて検討の指示があったところであります。これを受けまして、昨年の十二月二十六日に内閣官房に関係省庁の局長級の連絡会議を設置し、公共工事の入札契約の改善について鋭意検討を進めているところであります。
今後、政府としても、入札談合の防止について、与党とも緊密に連携しながら、できるだけ早期に結論を得られるよう検討を進めてまいりたい、こう考えております。
○小川(淳)委員 ありがとうございました。
とにかく、これはどこかの組織のどこかの個人の問題ではありません。政府全体として信頼回復に努めて、とにかくできることから手をつけていただきたいと思います。
官房長官、ありがとうございました。
続きまして、額賀長官に再びお尋ねいたします。
昨日、岩国基地、佐世保基地に関連して、既に逮捕された関係者が再逮捕という報道がございました。これに関して、施設庁長官がみずからの進退を含めた記者会見、昨日行われたようでありますが、額賀長官、これは施設庁長官の更迭あるいは関係者の処分、今念頭に置いておられますか。
○額賀国務大臣 昨日、防衛庁幹部が談合問題で再逮捕されました。そして、一昨日は起訴されたわけでございます。捜査当局が一日でも早く全容を解明されることを望んでおります。
そういう一方で、この問題を、行政上、組織上どこに問題があるのか、北原施設庁長官を中心に調査委員会を設けさせておりまして、これを徹底的に調査、問題点を洗い出す作業をさせております。一方で、防衛庁全体としても、再発防止検討委員会をつくって、これは木村副長官に仕事をやってもらっております。
総合的に、二度と再びこういうことが起こらないようにして防衛庁の新しい出発をするのが、北原長官の責任であり私の使命でもあります。
○小川(淳)委員 大変きれいな御答弁ですが、やはり関係者に対する処分、これはしっかりと念頭に置いて検討していただきたいと思います。
まさに額賀長官、調達本部事件のときに、事務次官を初め、これは全部で何人ですか、三十一名ですか、減給等々の処分をされておられますし、みずから進退を決められた、そういう御経験もおありです。真相究明をして原因究明に当たる、再発防止に当たることはもちろんですが、こうしたけじめのつけ方、ぜひとも頭の隅に置いていただきたいと思います。
引き続いて、法務省にお尋ねいたします。
この施設庁談合に関連した談合事件で、今度は受注側の営業担当者ですが、一昨日、略式起訴に遭い、罰金五十万円の略式命令を受けた。これは事実でしょうか。
○杉浦国務大臣 二月二十日に生沢守ほか二名を公判請求いたしましたが、その際に、おっしゃられておるとおり、各工事の談合に加わった民間企業の各営業担当者らにつきまして、いずれも東京簡易裁判所に略式命令請求済みでございます。
○小川(淳)委員 これは略式命令でいいんですか。五十万円の罰金でいいんですか。
○大林政府参考人 お尋ねですが、罰金ということで、略式命令請求という、公判請求に対応するものとしてそのような手続をとられたということでございまして、お答えは、罰金の命令がなされた、こういうことでございます。
○小川(淳)委員 施設庁にお尋ねをいたします。
今回、この嫌疑の対象になっています契約、空調工事に関する契約、三件あるとお伺いしていますが、全部で総額幾らぐらいになりますか。
○北原政府参考人 御答弁申し上げます。
三件の空調関係の工事でございますね。三件のうちで、ちょっと個別で申し上げますと、三宿の十六年度の病院の新築空調工事、これが十一億五千五百万円でございます。それから、同じく三宿の病院の新設空調工事、これが十億五千万円。それから、市ケ谷の庁舎の新築空調工事、これが十二億六千万円となっております。
○小川(淳)委員 三件でおおむね三十億前後の空調工事、これに絡んだ談合事件というふうに了解をいたしました。
公正取引委員会にお伺いします。
大変勇気ある調査を、これは経済財政諮問会議ですか、十六年の三月十一日、「競争政策について」ということで提出をしておられますね。この中で、談合カルテル事件についてはどのくらいの、これは無駄遣いというんでしょうか、調査に入った結果落札率が下がったという調査をしておられますが、入札談合についてはその落札率の低下率、どのくらいありますか。
○竹島政府特別補佐人 過去の公正取引委員会が取り上げました談合、それからカルテルの事件を数十件調査いたしまして、我々が立ち入りをした前と後で落札価格がどういうふうに変わったか、すなわち落札率がどのように変わったか、談合をやめてからどのぐらい下がったか調べました。
そのうち、談合については、一八・六%という推計が出てまいりました。ただ、これは単純平均値でございまして、数%のものから四〇%ぐらいまでという非常に幅がございますが、単純平均で一八・六%ということでございます。
○小川(淳)委員 ありがとうございました。
こういう調査をするというのは本当に思い切りが要ると思いますが、こういう分析をしていかないと、この問題というのはなかなか明るみに出していくことはできません。大変評価したいと思います。
その上で、三十億の発注工事に対して、一〇%台後半、ざっと二割の不正利益が蓄積されたおそれがあります。あくまでおそれです。ざっと計算すると、三十億の二割で五億から六億ぐらい受注側に利益がたまった可能性があります。これに対して、受注側の営業担当者が五十万円の罰金で済む。
法務大臣、これは、談合とはやった者勝ちですか、やり得ですか。いかがですか。
○杉浦国務大臣 一般論ですが、検察庁は、法と証拠に基づいて、内容を精査の上、公判請求なり略式命令なりを行っておるものと承知しております。
○小川(淳)委員 国会が、個別に罰則を強化せよ、個別の事件に対してもっと厳罰をもって臨めとかいうふうに申し上げるのは筋違いだと思います。しかし、仕組みの問題として、構造の問題として、もちろん、もっと罰則強化、これはかねてからの課題ですよね。
現在の刑法でも、二年以下の懲役刑はありますよ。二百五十万円以下の罰金刑、ございます。それから、これをもっと強化しようという話もあります。アメリカでは、法人に対して百億円の課徴金ですか罰金、個人に対しても一億の罰金または十年の懲役。これくらい談合に対しては厳しく対処しているのがアメリカの刑事法制ですね。
やはり、談合をやった者勝ち、やり得という状況に置いていたのでは、さっきのいい談合、悪い談合じゃありませんが、これは社会からなくなることはないと思います。徹底的に罰則強化に向けて動かなければなりません。
重ねて、公正取引委員会にお伺いします。
競争政策の観点から、刑法とは別に、調査権を発動して告発をして、さらに課徴金とか罰金とか追いがけしていくことができると思いますが、間違いありませんね。
○竹島政府特別補佐人 それは可能でございます。個別の事件ごとに我々として判断させていただきます。
○小川(淳)委員 こういう時代ですから、ぜひ厳正に対処していただきたいと思います。厳しい基準をもって臨んでいただきたい。決して甘い処罰になることがないようにお願いをしたいと思います。
加えて、もっと罰則強化の観点からお尋ねを申し上げます。
この談合事件、逮捕された道路公団の内田さんの問題ですか。空港公団の客野さん、伊藤さんの問題ですか。防衛施設庁の生沢さん、河野さんの問題ですか。
去年の十二月の毎日新聞の記事です。逮捕された空港の伊藤部長さんに関して、電気のことなら伊藤に聞けと言われるほど豊富な知識を持っていた、かつての上司は、担当外の仕事でも嫌な顔をせず相談に乗っていたと、定年まであと三年、空港は周辺に騒音問題という負の遺産を残した、ボランティアでもいいから騒音をなくす仕事がしたい、癒着とは最も縁遠い人物、正義感の強い彼でさえのみ込まれてしまうほど不正がはびこっていた、こういう報道事実もございます。
それぞれお尋ねをしたいと思います。
道路会社さん、お越しをいただきました。一連の道路橋梁談合に関して、これは個人の問題か組織犯罪か、いずれかをお答えください。
○村上参考人 お答えいたします。
日本道路公団から改組されました東日本、中日本、西日本道路三会社におきまして、昨年九月二十九日、公正取引委員会の改善措置要求を受けまして、鋼橋上部工工事に関する入札談合に関しまして、事実関係の調査と関与行為を排除するための必要な改善措置の検討を行ってきたところでございますが、二月十六日に公正取引委員会にその結果を御報告させていただいております。
この調査の結果を見ますと、やはりこうした事実は、今回の事件は組織的な関与があった談合であったと考えられますので、関与行為が認められた社員に対しましては、別途処分を行っているところでございます。
○小川(淳)委員 ありがとうございました。
関与行為が認められた個人はもちろんですが、やはり組織として、法人として構造的な問題をぜひ考えていただきたいと思います。
空港会社にお尋ねをいたします。
これも私ども、捜査機関ではありません、新聞報道された事実をもとにお尋ねをいたしますが、組織性に関して、工事の配分表を発注側の部下が調整をして、上司が了承していたのかどうか、そしてその受発注、調整の仕組みは、その秘法は後任から後任へと伝授をされていたのかどうか、その二点、お尋ねをいたします。
○上子参考人 お答えを申し上げます。
当社の前身でございます新東京国際空港公団が、十五年度でございますけれども、発注した受変電設備工事に関しまして、社員二名が競争入札妨害罪で起訴され、現在公判中であります。改めておわび申し上げたいと思います。
この事件に関しましては、捜査当局による捜査とは別に、私どもも、公団時代を含めまして、工事発注全般につきまして内部調査を進めてまいりました。その結果、受変電設備工事に関しまして、当時の工務部電気課長を中心に、御指摘のありました配分表の作成あるいは価格漏えい、そういったものが入札不正に関与している事実が判明をいたしました。電気職という限られた範囲ではありますけれども、御指摘のような関与があったものと認識しておりますし、また、少なくとも三代にわたってそういうことがあったという事実を確認しております。
以上でございます。
○小川(淳)委員 施設庁にお伺いをいたします。これも報道された事実に基づいてお尋ねをいたします。
官製談合の受注配分に伴って天下りファイルが作成をされていた。受注金額とか受注件数、それを採点してポストの受け入れ先を調整していた。これは事実ですか。
○北原政府参考人 御答弁申し上げます。
ただいま先生御指摘の点につきましては、新聞報道等で報道されていることは承知いたしておりますが、御承知のように、現在、防衛施設庁のこの件につきまして捜査が行われ、また裁判が始まろうとしておりますので……(発言する者あり)いや、起訴され、また逮捕もされております。そうした中で、我々はそういったものを見守ってまいりたい。
いずれにいたしましても、私どもといたしましては、行政上、組織上の問題点を徹底的に洗い出せという大臣の御指示をいただいておりまして、副長官をヘッドに検討会を立ち上げておりますので、そうした中で、二度とこうしたことがない施策を打ち出していきたい、そのように考えております。
○小川(淳)委員 徹底的に調査をお願いしたいと思います。
今、この場でそれぞれ関係者の皆様からお答えをいただいたとおり、私が申し上げたいのは、ただ一点です。この官製談合は個人の問題ではありません、組織犯罪です。何かのために脈々営々と続けられてきた、営まれ続けてきた組織犯罪であります。
私は、この際、司法当局の目で見て、もちろん談合罪、入札妨害罪、個々の事犯に対する位置づけは必要だと思いますが、加えて、組織犯罪として取り締まって、組織犯罪として処罰をしていく、そろそろそういう観点が必要な時期に来ているんじゃないかと思います。法務大臣、いかがですか。
○杉浦国務大臣 委員は、組織犯罪処罰法の適用を考えたらどうかというお考えのようでございますが、この組織的犯罪処罰法というのは、典型的な暴力団ですとかあるいは犯罪会社のような、そういう行為を反復、業として繰り返している組織に対する処罰を念頭として、要するに、普通の罪であっても、殺人罪であっても、そういう組織がやった場合は科罰するという趣旨でつくった法律でございます。
したがいまして、先生のようなお考えであるとすれば、この法律を改正して談合罪を対象に加えたらどうかというようなお考えだと思いますけれども、そのような改正については、それらの罪が暴力団等の犯罪組織によって典型的に犯されると言えるか否かや、その処罰として従来の法定刑では不十分か否かなどを慎重に検討することが必要だというふうに思っております。
○小川(淳)委員 法務大臣、そうお答えにならざるを得ないと思いますが、もっと、法律にどう書いてあるか、組織犯罪処罰法にどう書いてあるかに忠実であるべきだと思います。初心に返るべきだと思いますよ。
これは、団体要件、共同の目的を有する多人数の継続的結合体としか書いていませんよ。犯罪組織とは書いてない。行為の全部または一部が組織によって反復して行われるものをいう。犯罪行為だと書いてない。これは、ある犯罪行為が組織的に反復して行われているものを処罰できるように書いてあるんですよ、この法律は。
役所に対して適用したくない、役所に所属する人たちに対して適用したくない、その気持ちはわかりますよ。しかし、そろそろ、この談合の問題、明快に組織犯罪として処罰をしていくべきだと思いますし、今の法律でどうしてもできないなら、この構成要件の中に談合罪、競争入札妨害、これは法制的な立法論としてやっていくべきだと思います。
とにかく、この談合の問題、どこかのだれかさんが悪い、捕まった人が悪い、個人が悪いと言っている限り、絶対なくなりませんよ。役所に対して衝撃をもたらすような警鐘を鳴らしてください。もうここで細かい法制論をしてもしようがありませんから、原文にもっと忠実になっていただく必要があることだけ指摘をしたいと思いますし、その前提でこれからこの組織犯罪に対する向き合い方を考えていただきたいと思います。
それで、竹中大臣、ぜひこの談合の問題、私、犯人捜しで終わらせてはもったいないと思っているんですね。本当に何が問題なのか、これは相当深い洞察が必要だと思っています。
そこで、ちょっと防衛庁長官と国土交通大臣にお伺いしたいんですが、これまで、談合と天下りの問題に連関があるということは既にお認めをいただいたと思います。もしそうであるなら、これをしっかりと解明して再発防止を徹底するまでの間、公務員の再就職、幹部職の方、これは一切再就職を停止してみたらどうですか。
防衛庁長官、いかがですか。
○額賀国務大臣 先ほど安倍官房長官もお話をしておりましたけれども、防衛庁の場合は、二十数万人の実力部隊を持ち、日夜、二十四時間、国家国民の安全のために精励をしております。国家国民だけではなくて、イラクにも人道復興支援、あるいはゴラン高原にもPKO部隊として、そしてまた、いつ何どき、世界じゅうに災害が起こったり、あるいは国内で、先ほどの豪雪被害のときもそうでしたけれども、いつでも国民の安全のために対応しているのが自衛隊の役割でございます。その国民の期待にこたえていくためには、いつも若くて力があって、しかもなおかつ緊張感を持っているということで、弾力的な運用がなされてきていると思っております。
そういう意味で、この再就職の問題について、今度の案件を踏まえてどういうふうにすべきかということについて、再発防止の一環として今考えているところでございます。抜本的な対策を講じてまいりたいというふうに思っております。若年退職制の見直し、定年制の延長、あるいはまたそういう組織的な見直しをしていく、そういうことを考えながら国民の期待にこたえるようにしたいというふうに思っております。
○小川(淳)委員 ぜひ再就職を一たん停止してみることをお考えいただきたいと思いますが、引き続き、国土交通大臣、昨年の五月から橋梁談合の問題が大きな問題になりました。これはもちろん、本省の話ではありません。ありませんが、厳重なる当事者意識を感じていbニは痛感をしているところでございますが、委員も御承知のとおり、これまで長く続いてきた早期退職慣行というのがございます。この是正をしていかねばならないというふうに思っております。
もちろん、これまでも取り組んでいるわけでございまして、本省幹部また地方の出先の整備局等の職員の人たちの早期退職慣行について是正をすべく今取り組んでいるところでございますが、これは、政府全体としてこの早期退職慣行の是正をどうしていくか、やはり公務員制度改革全体の中で位置づけて論議をしていただく必要があると考えているところでございます。
○小川(淳)委員 おっしゃるとおりですね。
ただ、ここは誤解のないように指摘をしておきますが、早期退職慣行で四十代とか五十代とか、小泉総理もおっしゃっています。しかし、よくごらんになってください。これはほとんどが六十前ですよ。五十七、八、九、幹部職が終わった後、再就職しています。ですから、その点は認識にもし誤りがあればよく確かめていただきたいと思います。
そして、防衛庁については、もちろん制服組の現場の自衛官の方、それはおっしゃるとおりだと思いますよ。しかし、今回の事件は防衛官僚ですよ、防衛庁の高級幹部。これは決して議論を履き違えてはいけないと思います。この点、指摘をさせていただきます。
道路会社にお伺いしますが、いいですか。
これは平成十七年の八月に、当時の道路公団総裁、近藤総裁がまとめられた不正行為防止策についての取りまとめ文書であります。よく中身を読んでおられると思いますが、そこに私は、びっくりというかなるほどというか、一文を発見いたしました。これは本当に正直ですよね。「企業への利益誘導の疑惑を抱かせるような再就職は今後絶対にあってはならないとの考えの下、」「民営化後の新会社においては「天下り」の必要のない人事制度を導入する。」と書いてあるんですよ。今までやはり天下りは必要だったんですか、それまでは。
○村上参考人 お答えいたします。
従来、道路公団におきましては、恐らく、五十二歳ぐらいで退職して、新たな企業に再就職したというような慣行があったんだと思います。
今御指摘の対策、これは、先ほど申し上げましたが、公正取引委員会から受けました措置要求に対する改善措置の中にも盛り込んでいるところでございますが、そういった再就職規制について改善措置にも盛り込んでおります。
これは、いろいろ規定はあるんですが、入札契約に従事させないような再就職の規制ということでございまして、すべての再就職を規制するというわけにはいきませんので、そういう規制を盛り込んでおりますし、かつ、そうなってきますと、今五十二歳でやめているのは非常に早いわけでございますので、それをどうしていくかについて、新人事制度について現在検討中でございます。まだ具体的な案はできておりませんが、例えば役職定年制といったものも一つ検討させていただいているところでございます。
○小川(淳)委員 必要だったんだと思いますよね。
そこで、竹中大臣、なぜ必要なのかというところ、本当にこれはもう三歩、四歩掘り下げないと答えは出ないと思っています。
私は三年前、役所をやめました。そのとき嫌だったこと。一つ、退職金が少ないこと。一つ、医療、年金を初めとした社会保障制度の枠外に置かれること。これは現場の公務員にとっては物すごい圧力です。
それで、ちょっと資料を見ていただきたいんですが、日本では、係長の給料と部長の給料、日本の国家公務員、どっちが高いかわからないんですよ。二ページ、十一級というのは部長の職務、六級というのは係長の職務です。三ページ、六級、係長で一番高い人、月額四十一万六千七百円、十一級、部長職で一番低い人、四十一万六千円。係長の方が七百円高いんですよね。やはり役所で勤めるということは、そこで長い間いないと元が取れないんですよ。
もう一枚めくってください。四ページ、退職金。私、少なかったですよ、九年間で。十年前後で私はやめました。これは、二十年たつと一千万になるんですよね、退職金が。三十年たつと三千万になる。もっとこれが幹部になると、六千万、七千万、八千万ざらですよ。これはやはり、そこで長く勤めないと元が取れない、そして、勤めた後はさらに天下りで面倒見てもらって、高給をはんで、退職金をはんでいかないと元が取れないようになっているんですよ。
これは、その背景にあるのは、やはり日本の終身雇用の文化です。民間では、高度成長でもたなくなっているので、こんなものはもうなくなってきていると思いますが、医療や年金制度、それから年功序列の賃金、余りに手厚い退職金とそれを支える退職税制、これを根底から見直さないと、この公務の世界で長く身を置いて、さらにその後も関連の企業、団体で利益をはんでいく、この構図は根本的には決してなくなりません。
竹中大臣、これから公務員制度改革、いろいろ考えていかれると思います。この本質をぜひよく御認識をいただきたいと思います。御所感をどうぞ。
○竹中国務大臣 小川委員は、総務省で御活躍の後、そのような決断をされました。実は、かくいう私も三十代で政府系の金融機関を退職しまして、今まさにおっしゃったと同じような思いをそのとき感じたことがございます。
その背後には、やはり日本の制度そのものが、長くいればいるほど厚遇されるような制度になっている。その背景をあえてたどれば、やはり若いころに組織そのものが人的投資を行うので、その投資を回収しなきゃいけないという組織の論理として、長くいてもらいたい。長くいればいるほど、だから居心地がいいような制度が自然発生的に、日本の雇用、これは官だけではなくて民も含めてできてしまったということであろうかと思っております。
そういう意味で、問題意識は持っております。同時にしかし、これは民間も同時に変わっていかないとなかなかできないことでありますので、民間と歩調を合わせるような形で、そういった意味でのキャリアパスの多様化等々、ここはしっかりと取り組みたいと思っております。
○小川(淳)委員 この日本の社会を硬直化させている、構造変化を難しくしている本質は雇用制度の硬直さにあること、これはぜひ本質を見きわめていただいて、今後の議論にちょっとでも生かしていただけたらなと思います。
谷垣大臣、ほとんど予算の話がなかったこの予算委員会、いかがでしたですか。お疲れになられたと思うんですが、九十四時間に及びましたよ、ここまで。BSE、耐震偽装、ライブドア、官製談合、不祥事ばかりですよ。それで、谷垣大臣、これはなぜこういう不祥事をこの予算委員会で審議するんだと思いますか。
○谷垣国務大臣 伝統的に、予算委員会というのは、もちろん予算を本体として議論するわけでございますけれども、そのときそのときの問題点がいろいろ、スキャンダルであるとか犯罪にやはりあらわれてくるんだろうと思います。そのこと自体が予算と余り関係ない場合も、それは今までなかったわけじゃありませんけれども、予算に関係ないとは私は思いません。予算の質を向上する上では意味のあることだと思いますが、やや、全体を見渡した議論ももう少ししていただきたいなというのが、大変答弁する者として傲慢かもしれませんが、率直な感想でございます。
○小川(淳)委員 まあ、せめぎ合いをやっていることは事実ですよね、与野党間で。それは事実です。しかし、いろいろな事件が起きること、不祥事が起きること、失態が起きること、これらすべてが予算を調製されたその責任主体そのものの信頼性にかかわってくること、これはぜひ御自覚をいただきたいと思います。
その上でお尋ねしますが、谷垣大臣は、弱肉強食社会を否定されたでしょう。それから、きずなが大事だとおっしゃった。これは、弱肉強食社会を否定すると、企業間の受注調整はいいのか、官と民とのきずなは大事なのか、天下りとか談合とか。これは違いますよね。
○谷垣国務大臣 おっしゃるように、私は、いろいろなきずなというものが社会を支える非常に重要な基盤だと思っておりますし、いろいろな改革をしていった結果が弱肉強食であってもいけないと思っております。
ただ、そのことが何か不透明なべたべたしたものを許すというようなことであっては、これはならないんであって、上善水のごとしという言葉がございますけれども、やはりそのきずなということを大切にしながら、同時に透明性や公正性を追求していく、そういう社会をつくっていく。私どもが予算をつくったりなんかすることも、そういうことでなければいけないと思っております。
○小川(淳)委員 重ねてお尋ねいたします。
今回、特別会計それから一般会計、予算案を調製されました。この一般会計七十九兆六千八百六十億二千四百二十二万一千円、この中に、一円たりとも一銭たりとも無駄、むら、非効率はありませんね。
○谷垣国務大臣 今回の予算編成に当たって私が重視したことは、今までいろいろな御議論があった改革、社会保障の改革であるとか三位一体の改革であるとか公務員制度の改革であるとか、あるいは特会であるとか、随分御議論をいただきました。そういう成果をできるだけ予算に取り入れようということが一つ。
もう一つは、やはり執行面まで着目して予算編成をしよう。特に予算の質の改善という点から、予算執行調査とか、従来の積算の基礎までできるだけ踏み入ってやろう、それから予算執行調査や予算執行実績というものを十分生かしていこうと、最善を尽くしたつもりでございます。
人間のやることですから、全く無謬であると言うつもりはございませんけれども、これからも最善を尽くしたいと思っております。
○小川(淳)委員 谷垣大臣、それ、言いたい気持ちはわかりますが、そこをぐっとこらえないとだめですよ。無謬であるかどうかなんて言ったらだめ。責任持ってやりましたと言わないとだめですよ。
それで、最後にお尋ねします。
そこまで努力して七十九兆円の予算をつくった。今回、国債発行枠を三十兆円以下に抑えたですね。これは大変な私も成果だと思いますよ。
しかし、立ちどまって考えていただきたい。谷垣大臣にとって、あるいは小泉内閣にとって、三十兆円枠を守ったことと、やはり三十兆円近い借金をせねばならなかったこと、せねば国家運営ができないこと、国家の経営ができないこと、どちらの事実があなたにとって重いですか。
○谷垣国務大臣 公債発行を三十兆に抑えたということ自体は、民主党自体も御評価をいただけることだと思っております。しかし、私の気持ちの中では、今おっしゃったように、これだけやってもまだ三十兆、国債依存率が平成十八年度予算で三七%を超えている。これは果たして私たちの後の世代に十分責任を負い切れる数字だろうか。何とかこれをもう少し改めていかなきゃいけない、こういう気持ちでございます。
○小川(淳)委員 やはりそうだと思うんですよね。三十兆を守った守ったといって、予算の要旨ですか、もう一様に書いていますよ。それはいいことかもわかりません。だけれども、なおこの国は三十兆借金しないとやっていけないんですよ。そのことに対する責任意識というか規範意識、これは本当に重いと思います。
小泉内閣になってから百四十兆円でしょう、十五年の九月に谷垣大臣が就任されてから百兆円ですよ、借金が。そのことに対してはやはり強烈な意識を持っていただきたいと思いますし、無駄がないですかとお聞きしたその問いに対して、もうすさまじい迫力で、ありませんと返ってこないと、この赤字体質というのは、この国、永遠になくならないと思います。大臣にはぜひそれを期待したいと思いますし、もしできないんなら、今は逆風下にありますが、私たちの手でやらないかぬと思っております。
ありがとうございました。
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