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〜会議録(06年1月27日予算委員会での質問)〜
○小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。よろしくお願いいたします。
これまでの我が党の質疑並びに先ほどの大串さんの質疑に関連をいたしまして、テンポよくお尋ねをさせていただきたいと思っております。
まず、BSEの問題に関しまして、副大臣にお尋ねをいたします。
このBSEの問題、素朴な国民感情は、ほら見たことか、やっぱりなということだと思いますよ。副大臣、いろいろきのうきょう議論されています。この責任は日本政府にありますか、アメリカ政府にありますか。端的にお答えください。
○宮腰副大臣 今回の事案の責任についてということでありますが、輸出プログラムの遵守を求めている我々ではなくて、遵守をすべきアメリカ側がこの責任を負うべきものというふうに考えております。
○小川(淳)委員 きのうも、質疑の中でも、小泉総理は同様のことをおっしゃっておられますね。アメリカ側の関係者等にルール違反という責任がある。
その後の対応ですが、ゼーリック国務副長官、ジョハンズ農務長官と中川大臣との電話のやりとり、抗議を含めてなされたと思っておりますが、その点、間違いございませんか。
○宮腰副大臣 私も電話会談のときに同席をいたしておりまして、しっかりと抗議、怒りという言葉も使って、農務長官に中川大臣の意思をしっかり伝えておいでになったということだと思います。
○小川(淳)委員 しっかりやっていただきたいと思いますね、農水省さんには、本当に。
これは、農林省では農林省で大臣中心に徹底的にやっていただかなきゃいけません。しかし、この問題は、御存じのとおり、昨年十一月の日米首脳会談、これを一つの時間的な軸にして大きく事が動いてきた、そう見られてもしようがない、私はそう思っております。
日米首脳会談の概要を外務省が公表していますね。幾つかのテーマが話し合われたことが記載されています。一つ目、イラク、アフガンを含めた日米関係、二つ目、中国との関係、三つ目、北朝鮮との関係、四つ目、BSE問題。
私は、この問題は、ひとり農林大臣、農水省のみにとどまる問題ではないと思っています。安倍官房長官、その点の御認識、これは官邸マターだ、官邸主導の、官邸が責任を負う事項だという私の認識は誤っていますか。
○安倍国務大臣 この問題につきましても、当然、官邸において対応しなければならない問題である、こう考えております。
そこで、私も、二十一日に二橋副長官に指示をいたしまして、そして関係の局長の会議で対策を検討させたわけであります。二十三日におきましては、中川農水大臣と関係省庁を官邸に呼びまして、中川農林大臣と米側とのやりとりについて聴取を行い、対策を協議し、そしてそこの場において、各業者について、もう既に出回っているものについて自主的に検査するよう促すように指示をしたところでございます。
また、ゼーリック長官に対しては、中川農林大臣と同様に、アメリカ側が遵守義務を怠ったことは極めて遺憾であり、原因をしっかりと究明し、そしてその再発防止策についてあわせて日本に報告をしてもらいたい、それまでは全面的に輸入をストップするという旨、先方に申し渡したところであります。
○小川(淳)委員 これも、安倍官房長官を中心に官邸でしっかりやっていただきたいと思います。
私が官邸と申し上げているのは、当然これは、小泉総理とブッシュ大統領との首脳同士の人間関係に基づいて、政治判断のもと、日本政府での検討が進められた。これに対しては、既に議論になっておりますとおり、食品安全委員会、政府内にもさまざまな懸念がある中での決断だった。長官、簡潔にお答えくださいね。小泉総理はこの件を怒っておられますか。
○安倍国務大臣 昨日の予算委員会において、総理が答弁しておられます。そもそも、輸入再開においては、食品安全委員会の科学的見地からの決定でございますが、その前提は、しっかりと米国が輸出するに際しての義務を遵守する、しかしこの義務が遵守されていなかったことは極めて遺憾であるということを言っておられました。そのときの小泉総理の答弁ぶりを見ていただければ小泉総理のお気持ちがわかるのではないか、このように思います。
○小川(淳)委員 小泉総理は、この問題のある牛肉の輸入が発覚した後、ブッシュ大統領とは直接のやりとりをしておられますか。直接抗議しておられますか、あるいは逆に、ブッシュ大統領から小泉総理におわびの電話の一本でもございましたか。
○安倍国務大臣 本件につきましては、小泉総理から、二十三日午後、来日中のゼーリック国務副長官に対し、日本国民は食の安全については極めて敏感である旨を述べながら、再発防止に向けてしっかりとした対応を求めたところでありまして、この小泉総理の申し入れは、当然ブッシュ大統領にも報告されているものというふうに考えています。
○小川(淳)委員 これは、本当に私は怒っていますよ。日本国民は怒っていると思いますよ、なめられているんじゃないか、ふざけるなと。
しかも、この問題は、小泉総理とブッシュ大統領との恐らく個人的な信頼関係があるんでしょう、首脳中心で、首脳主導で、官邸主導で進めてきた話題。しかも、これをこんな簡単な形で裏切られた。これに対して怒るなら、憤るなら、ブッシュ大統領に直接小泉総理は抗議すべきじゃないですか。ブッシュ大統領は、おわびの電話一本、日本国民への敬意を込めて、反省を込めて寄せてくるべきではありませんか。それに対して、抗議、日本国政府としての意思、改めて表明するお気持ちはございませんか。
○安倍国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、中川農林水産大臣からも、そして私からも、また総理からも、先方に対して、私はゼーリック副長官に申し上げたわけでありますが、先方は、率直におわびをし、早急に原因を究明し、日本に対して報告をする、こう言っているわけでありまして、我々は、すべて全面的にストップをするという措置をとっております。これで十分である、私はこのように思います。
○小川(淳)委員 とにかく、日本国民の誇りがしっかりと維持できるように政府として対応していただきたい。厳しいことも強いこともしっかり言っていただきたい、首脳同士で。強くお願いをしておきます。
さて、これはアメリカに責任があるというお話でした。被害者は日本国民ですよ。政府を信頼して、アメリカ政府を信頼して、アメリカ牛肉をもう一回食べようと思った日本国民が被害者です。
しかし、直接の被害者がこの件に関してはいますね。既に輸入された千五百トンのうち、半分は流通にかけられたと言われています。副大臣、この点、間違いありませんか。
○宮腰副大臣 約千五百トンの牛肉が国内に今到着をしている、しかし、そのうちのほぼ半分の七百三十トンが手続を終えて市場に流通しているということでありますが、その先については、今、どういうふうになっているのか、厚生労働省の方で自主的な調査を求めているという状況であります。
○小川(淳)委員 当然ですよ。これはしっかり調査して、私の地元にも、早速輸入して、消費者の口にまで届けようとしたスーパーがありました。急いで店頭から引き揚げた。これは、賞味期限内に処分できなければ廃棄せざるを得ないと思いますよ。
七百五十トンという牛肉が経済的にどれだけの損失なのか、わかりません。知りません。しかし、たとえそれが千円でも二千円でも、これは責任を持って日本政府が買い取るべきじゃありませんか、おわびを兼ねて。日本政府に責任がないなら、今回の件がアメリカ政府の責任なら、アメリカ政府に買い取らせるべきではありませんか。厚生大臣、いかがですか。
○川崎国務大臣 今農林水産省の副大臣からお話がありましたように、地方自治体を通じながら自主的な調査をお願いいたしております。基本的には、全ロット、サンプル調査をしておりますので、危険部位が混入したと私どもは考えておりません。しかし、念のために、今、自主的な調査をお願いしている。二月上旬に大体中間的な報告をまとめられるだろうと思っております。
一方で、アメリカの対応については、まさに今、アメリカが考えられているところでありますから、アメリカの一つの結論というものを得ながら私どもも議論をしていくことになるだろう、こう思っております。
○小川(淳)委員 二月までにまとめていただきたい。アメリカの結論を待つんじゃありませんよ、これは。日本政府として、これは日本の国内の事業者に、こんな被害に遭って、牛肉、たとえ一円分でも二円分でも、廃棄処分しなければならない責任は一切ありませんよ。アメリカ政府の決断を待つんじゃなくて、日本政府として、アメリカ政府に買い取れ、謝罪を兼ねて買い取れとしっかり意思表示をしていただきたい、意思表明をしていただきたい。厚生大臣、いかがですか。厚生労働大臣にお聞きしています。
○川崎国務大臣 今申し上げましたように、アメリカが重大な約束違反を行った、さあ、そこで、すべてを全面ストップですよ。その中で、今、アメリカがさまざまな検証を行われているという中でございますので、その議論を経ながら私どももいろいろな議論をしていくことになるだろう、こう思っております。
○小川(淳)委員 とにかく、私たちの誇りが侵されないようにしっかり筋道立てていただきたい、お願いしますよ。
そして、今回のこの失態、農林省では一体どなたが責任を負われるんですか。副大臣、どうぞ。
○宮腰副大臣 御案内のとおり、今回の事案につきましては、日米間で合意したルールが遵守されなかったことによって生じたものであります。責任はアメリカ側にあるというふうに思っておりまして、現在、米国に対して、徹底した原因究明と再発防止をしっかりと求めているところであります。
○小川(淳)委員 アメリカが悪いですよ、確かに。しっかりやってもらわぬとだめですよ、こんなものは。でも、日本政府はだれもこれは責任をとらない。私、これは国民感情として、素朴な国民感情として納得できないと思いますよ。
副大臣、あなたはBSE対策本部本部長でおられますね。責任は、副大臣として、本部長として、あるいは個人として、いろいろ感じておられると思います。これは何でもいいですよ、訓告処分でもいい、減給でもいい、停止でもいい、しっかり処分をして、けじめをつけていただきたい。きちんと折り目をつけてくださいよ、この失態に対して。副大臣、いかがですか。
○宮腰副大臣 先ほど申し上げたとおりでありますけれども、今回、ルール違反を犯したアメリカ側に責任がある。農林水産省としては、厚生労働省と協力をして検疫をしっかりやって、その結果、今回の事案が発覚をしたということでありまして、日本政府としてしっかり引き続いて取り組んでいきたいというふうに考えております。
○小川(淳)委員 頼みますよ、本当に。
三つ申し上げました。米国へのしっかりした抗議、そして被害を受けた事業者に対するおわび、謝罪と補償、そして責任者、担当者のかなえの軽重をしっかり日本国民に対して示すような処分、これ三つ、しっかり検討して対応していただきたいと思います。
次に、耐震偽装に関してお尋ねをいたします。
これも、素朴な国民感情、素朴な国民感情と申し上げますが、私はそれを代弁したくてここへやってきているんです。そして、これに関して申し上げますよ、北側大臣。これに関する国民感情は、ああ、だまされた、気の毒だ、何とかしてあげてください、そういう声が一つ。もう一方は、自己責任だろう、よく見て買わない方が悪い、彼ら自身にやらせたらいい、そういう声が一つ。これはどっちも、まさに理のある主張です。
そこで、大臣、これはきちんと腹を固めていただかなければならないわけですが、きのうも御答弁をお聞きしていて、紆余曲折、あっち行ったりこっち行ったりしている。事業者の責任だとおっしゃれば、純然たる民民の話でもない、あっち行ったりこっち行ったりしている。
端的にお伺いします。
今回の支援をなさる根拠は、悪かった、ごめんなさい、政府として何とかします、ごめんなさい、支援しますということなのか。いや、政府は悪くないんだ、危ない建物をほっておいたら周辺の方もそこにお住まいの方も心配だ、公益性の観点、あくまで公益性の観点から支援なさるのか。いずれですか、端的にお答えください。
○北側国務大臣 今回の支援措置は、国が法律上の責任があることを前提として支援措置をつくったものではありません。今おっしゃったように、緊急性また公益性という観点から支援措置をつくらせていただきました。
○小川(淳)委員 はっきりしていただいて、ありがとうございました。
とにかく、ごめんなさいとか、賠償とか、申しわけないとかいうことじゃないということですね。あくまで公益性なんだ、建物がほっておいたら危険じゃないか、そこに住んでいる人、周りの人が迷惑をこうむるじゃないかということですね、と了解しました。
さて、そこで、今回耐震偽装の被害になった物件は全部で九十六件と言われています。その中で、支援の対象としたい、しようとしておられるのはわずかに十件。
対象とならないものを申し上げます。
分譲されたマンションのうち、耐震基準が半分以上のもの。御存じない方もおられると思いますね、今回支援の対象にしようとしているのは、分譲マンション、その人が買って住んでいるマンションのうち、必要とされる耐震基準の半分に満たないものの十件に限って支援しようとしておられるわけです。そうすると、残り四十四件、全部で分譲マンションは五十四件あります、四十四件は対象にならない。耐震基準が半分以上あるからです。そして、四十件、耐震基準が強いか弱いかにかかわらず、買って人に貸すマンションだから、投資、賃貸用のマンションだから、対象にならない。もう一つ、六十件、ホテルだから対象にならない。
今、大臣、公益性の観点、緊急性の観点から支援したいとおっしゃった。であるならば、今申し上げた物件のうち、耐震基準を半分以上満たしているもの、これは対象としない方針に一貫性がありますよ、一貫性がある。
しかし、建物が危ないからほっておけないんだ、公益性の観点だとおっしゃる以上、たとえホテルであろうと、そこにはお客さんが泊まるんだ。たとえ投資、賃貸用のマンションであろうと、それは人に貸される可能性があるんだ。仮に使用を停止しようと、倒壊して御近所に迷惑をかける可能性があるんだ。この耐震基準が半分に満たないホテルの十一件、投資、賃貸用のマンション八件、対象とすべきではありませんか。
○北側国務大臣 まず、ホテルや賃貸マンションにつきまして、これはきのうも答弁をさせていただいているわけでございますけれども、ホテルや賃貸マンションの場合は、その所有者の方々は事業主でございます。そこから収益を上げるためにホテルやマンションをつくられた、そういう事業主でございます。その事業主の方が、建築主としてみずから施工者を選び、そして設計事務所選びをされているわけですね。ですから、まずは事業者として、みずからの責任で対処をしっかりしていただくことが基本であるというふうに我々は考えておるわけでございます。
一方、先ほど〇・五、半分、半分とおっしゃいましたが、もう少し正確に言いますと、保有水平耐力の指数値が〇・五未満の危険な分譲マンション。こちらの方については、一つは、居住者の方々は、こうした危険なマンションができたことに関して、偽装がされたことについて、そういったことには全くの責任はございません。みずからが施工者や設計事務所を選んでいるわけじゃないわけですね。それは売り主である建築主が選んでいるわけです。そこから買っているわけです。ですから、買い主であるところのこの危険な分譲マンションにお住まいの方々については、こういう危険なマンションができたことについては全く責任がないわけでございます。
次に、それらの方々は、それぞれ住居としてそこにお住まいなわけですね。住居というのは、これはもう生活のそれぞれの本拠でございます。そういう住居の、住まいとしてそこにいらっしゃる、この住宅の安全性を早く確保していくというのは、これは極めて公益性もあるし、また緊急性もあると思うんですね。
さらに、分譲マンションの問題の難しい問題は、例えば取り壊すにしても、取り壊しをするかどうか、退去するかどうか、そしてその後建てかえをするのかどうか。
分譲マンションの居住者の方々、それぞれ共有持ち分で持っていらっしゃいますよね。そうすると、合意形成をしないといけません。この合意形成に大変な時間がかかります。時間がかかっている間にどんどん時が過ぎてしまって、そういう危険な状態が放置をされてしまう、そういう状態が続くわけです。やはりこれを早く、急いでいただくためにも、公的な支援スキームというのをつくって、そうした解体、建てかえまでが円滑に進むようにすることは、これはやはり公益性、緊急性が私どもはあるというふうに考えているところでございます。
そういうことで、まず危険な分譲マンションについて、これは最優先でそこにお住まいの方々の居住の安全と、そして居住の安定を確保していく必要がある、また、近隣の住民の方々の不安を取り除いていく必要がある。そのように私ども考えて、最優先にこのような支援対策をつくらせていただいたところでございます。
ちなみに、今委員のおっしゃった、耐震度が〇・五未満のホテルや賃貸マンション、今十八棟ございますけれども、そのうち除却を開始または予定をしているものが七棟ございます。建てかえを検討したものが一棟ございます。また、改修を決定または検討中のものが十棟、今あるわけでございます。
私どもも、こういうものに対して全く無関心であるわけじゃありません、当然関心を持っております。関心を持って対応をしなければならないわけでございますが、これらのものについては、例えば、これは分譲マンションと違いますのは、一棟のホテルでございます。ホテルでございますし、また、賃貸マンション、もう既に賃貸マンションの方は全員退去されていらっしゃるわけでございますが、これは、例えば改修という方法も場合によっては考えられるんですね。そういうことについても、しっかり相談体制は、専門家による相談体制はとらせていただきたいというふうに考えております。
○小川(淳)委員 事業者だから収益性もあるし、自己責任の度合いも高い、これはもうそのとおりですよ。だから、やはりそういう違いがあることは理解できますよ。
でも、公益性と言った以上、本質は変わらないですから、しっかり追跡して、本当に被害に遭われる方あるいは周辺におられる方、御迷惑がかからないように、しっかりと追跡をしていただきたいと思いますし、住宅という意味でいえば、きのうも質疑の中で指摘がありました、日本国内の建物の四分の一は耐震基準を満たしていないと言われているわけです。一千万戸を超えるとも言われているわけです。これらについても、今回の措置と格差、不公平のないように考えていく必要があると思いますよ、公益性という観点であれば。
でも、私が本当は申し上げたいのは、やはり国として本当は責任を感じるべきだと思いますよ。しっかり、この今ある地域住宅交付金という制度を使いますということじゃなくて、本当に、今回の事態を重く見て、根っこから制度をつくり直してやるべきだと思いますよ。その点、御指摘だけさせていただきます。
そして、最近話題になっております格差社会、こちらについてちょっとお伺いをしたいと思いますが、私ども民主党も、小泉改革の光と影という角度からお尋ねを代表質問以来させていただいております。公明党の神崎代表も大変いい御質問をされておられます。自民党の青木参議院議員も大変いい角度から質問をしておられます。昨日の公明党、上田委員もそうでした。格差に関して、一言で言えば心配しているわけですね。
この点に関して、小泉総理は、格差拡大は確認できない、そうおっしゃいました。これは、総理に何度聞いても同じでしょうから、少し相手方をかえて、谷垣財務大臣にお尋ねをしたいんですが、日本社会の格差の拡大は確認できない、大臣も同じ認識ですか。
○谷垣国務大臣 きのう総理がお答えになった背景には、先ほど大串さんも指摘されたと思いますが、内閣府の月例経済報告で出された分析というものが背景にあると思うんですね。私も、基本的には、あの分析を聞きまして、ああそういうことかなと思っているわけです。
ただ、やはり、マクロの統計上の数値と、それからミクロに見ていった場合のいろいろな問題点、それから、もし格差社会があってそこで痛みが生じているんじゃないか。あるいは、今おっしゃったおそれが、そういう感覚があるとすれば、それがどこに由来するものなのかというのは、私たちは注意深く見ていかなければならないと思っております。
その一つの例は、きのう総理が言われたことですが、ニートとかフリーターというものが結局将来の格差というものを固定していくものにならないかということで、そこに力を入れなきゃいけないということを我々も取り組んでいるわけですね。結局、自由な競争の中で、ある程度格差が生じてくるということはあり得るわけですけれども、それが固定化されていくというのは、自由な社会にとっては望ましくない。
ですから、私どもはやはりそういう感覚で、基本的には総理の認識と私ども共有でございますけれども、今行われている議論にもよく耳を傾けていきたいと思っております。
○小川(淳)委員 財務大臣、基本的に同じとおっしゃったわけですが、大臣は財政演説の中で、この構造改革の先にある社会は弱肉強食の社会ではないんだ、家族や地域社会のきずなの中で支え合っていく、活力と信頼に満ちた社会なんだとおっしゃったわけなんですね。
私は大臣に期待したいんですよ。大臣からは、小泉さんとはまた違った雰囲気を感じるわけですね。ひとみの奥に温かさとか人情味とか人間味とか感じるわけですよ。大臣、今心配しているわけですよ、日本国は。
申し上げますよ。この国では、毎年三万二千人が自殺しています。もちろん全部が経済苦じゃない。私がお預かりしたこの四十八分の質問時間内に三人の方がみずから命を絶たれます、この間にですよ。その現実の迫力と向き合いながら、以下、お答えいただきたいんですが、谷垣大臣、今おっしゃった内閣府の調査について、私は、閣僚でおられる皆さんがうのみにしていいものかどうか、ただしたい。
資料をお配りさせていただいていると思いますが、一月十九日ですよ、内閣府が我が国の格差拡大は確認されないと月例報告で準備をしたのは一月十九日。さっき大串委員が指摘したとおりの資料が閣議に提出されたはずですね。
これをごらんいただきたいんですが、このいわゆるジニ係数、小泉さんは聞きなれないと言った、本会議の場で。お得意の御愛きょうだと思いますが、おどける場面じゃありませんよ、あれは。ジニ係数、九九年までで切れているんですよ。格差拡大、小泉内閣になって以降ですよ、これ見てわかるわけないじゃないですか、九九年で切れているんですから。
唯一あるのは、唯二か、二つありますね。一番下の家計調査。これはサンプル数が毎月八千世帯、本当に小さなサンプルをとっている調査ですよ。その上に四角で伸びているグラフがある。これは全国消費実態調査、二〇〇四年。これは六万世帯とっている。いいですか、八千世帯の調査では下がっている、確かに。六万世帯とったきっちりした調査では上がっている。その他では九九年で切れている。
もう一つ、不動産、金融資産に関してもジニ係数の比較資料を出している。これも九九年で切れているんですよ。
これ見て、閣僚がそろいもそろって、格差の拡大は確認できない、小泉内閣になって以降。そんな話はおかしいでしょう。
もう少し論拠、いろいろありますよ。ここに書いてある。緩やかな拡大、確かに認めていますね。これは、主に高齢化と世帯規模の縮小の影響によるんだと書いてある。
これは、どなたが理解されていますか。世帯当たりの人員は確かに下がっていますよ、核家族がふえて。世帯当たりの人数が減ったら、なぜジニ係数は、所得の格差分布は拡大するんですか。与謝野大臣、お答えください。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
核家族化の進行ですとか、それから単身世帯の増加によって所得の少ない世帯が増加すれば、マクロで見た格差を拡大させると一般的に言われております。
○小川(淳)委員 こんなものは論証のしようがないんだ。
いいですか、世帯の単位が小さくなるということは、確かに一世帯当たりの所得は小さくなりますよ。だけれども、これはあくまで格差分布の話なんだ。小さい所得の世帯がふえたって、所得の大きな世帯も小さくなるんですよ。これは、世帯の人数が小さくなるからといって格差の分布が広がるなんという論証には全くならない。
もう一つ、高齢者世帯の割合が上がっているからジニ係数が上がっているという話がある。これは本当ですか。確かに高齢者世帯はジニ係数は高いでしょう、それは所得の高い人もいれば低い人もいる。
与謝野大臣。これを見て納得する前に、せめて年代階層別に、じゃ、本当に、働き盛りの三十代、ニートやパートが広がっていると言われている二十代、リストラにおびえている五十代、年代ごとにジニ係数が上がっているかどうか確認されましたか、与謝野大臣。
○与謝野国務大臣 各省が出しておりますすべての統計を駆使してつくったものでございまして、その限り、大変誠実につくった資料でございます。
○小川(淳)委員 御存じないようだから申し上げますよ。
全国消費実態調査による年代別のジニ係数格差。三十代未満、平成十一年〇・二二〇、平成十六年〇・二三七に拡大。三十歳代、平成十一年〇・二二〇、平成十六年〇・二二三に拡大。四十代変わらず。五十代、平成十一年〇・二七七から十六年〇・二八四に拡大。六十代変わらず。七十代低下。
以上のように、大臣、閣僚の皆さん、お願いですよ、お願いしますよ。これだけ世の中に不安が高まっているときに、もっとよく聞いてくださいよ。疑ってかかってください。本当にそうなのかどうか、御自身でよく考えてくださいよ。調べてください。国民生活の感情とかをもっと想像して、共感して、その立場に立ってくださいよ。お願いしますよ。こんな薄っぺらい調査で、格差の拡大は確認できないなんと言い切るというのは、本当に浅はかですよ。お願いします。
そして、もう一つ申し上げますよ。もう時間ないですね。
それで、とにかく申し上げたいのは、事はそう単純じゃないんですよね。日本では、いいですか、生活保護世帯、ふえましたね。貯蓄のある世帯は減った。年金保険料は引き上げられた。給付は引き下げられた。医療費の負担も三割に上がった。減税はことしから廃止されます。障害者の生活にも一律の費用負担が課せられたのですよ。
一方、会社は一円の元手からつくれるようになりました。戦後、財閥を解体したときに禁止した持ち株会社制度は復活した。規制緩和で六本木や汐留には見上げるような高層ビルがそびえ立ちました。これが今の時代の、ある一面を切り取ったらこういうことなんですよ。そういう中でライブドア事件が起きたわけですよ。みんなショックを受けたんだ、日本国民は。
竹中大臣、お伺いしたいんですが、このライブドア事件、堀江社長が逮捕された問題、これは彼の個人的な問題ですか、あるいはライブドアという会社単体の問題ですか、それとも、ある種の世の中の風潮、時流、これを象徴する典型的な事例ととらえねばなりませんか。大臣。
○竹中国務大臣 ライブドアの今回の件、大変私も衝撃を受けております。それについて、どのようにその背景を理解しているのかという委員のお尋ねでございますが、そもそも、今回の個別の事案、詳細に私は知る立場にはありませんので、その意味では、捜査の進捗をよく見て、その要因というものをしっかりと見きわめたいと思います。
委員言われましたように、個人の問題もあるんだと思います。会社の問題、ガバナンスの問題もあるんだと思います。社会の風潮もあるのかもしれません。そして、そうした問題を生み出した制度そのものに問題があったのかなかったのか、そういうことも検証しなければいけないと思います。
いずれにしましても、今、捜査当局が捜査をしていることでありますので、私も大変注視をしております。
○小川(淳)委員 私がお尋ねしているのは、これはやはり閣僚の皆さんはもう異論はないと思いますよ。やはり世の中の時流、社会の風潮の典型例として何らかの警鐘を鳴らしている、そう受けとめるアンテナが必要だと思いますよ。今統治を任されている日本国の内閣の閣僚としてですよ。お願いしますよ、これは。
それで、きのう金子委員が御質問されたんですね、小泉総理に。こういう社会現象、何か社会観あるいは基本的な理念みたいなものがあってしかるべきではないのか。これに対する小泉総理の答弁です。その時々の時代、新しい時代に向かってチャレンジをしていくんだ。しかし、何か規範というか、その時々ありますけれどもね、やはり、人の道、これを踏み外さないようにしっかりとやらないとね。小泉総理、語られましたよ。
竹中大臣、よく話題になっていますね。堀江さんという方は、人の心はお金で買えると御自身の著書の中で銘打った方です。これはもちろん、本ですから過激な書き方をするんでしょう。「稼ぐが勝ち」という本です。稼がなくても勝てる、稼ぐ以外にも勝ち方のある、そんな社会を目指したいと思っていますよ、私たちは。
これ、堀江さん、本の中で言っていますよ。金を持っているやつが偉い、これは当たり前の話です。誤解を恐れずに言えばと言ってくれているのがまだほっとしますが、人の心はお金で買えるんです。成功して大金を手に入れた瞬間に、到底口説けないだろうなと思っていたねえちゃんを口説くことができる。金を持つだけで、自分の精神的な考え方も高みに上がる。人間はお金を見ると豹変します。豹変する瞬間がおもしろいのです。人を動かすのはお金なんです。「こだわらない・悩まない・即決する」なんという章もありますよ。どこかの総理大臣も、恐れず、ひるまず、とらわれずですか、そういうシンプルなくだり、非常によく似ています。
こうした価値観、これは竹中大臣、今、小泉総理がきのう答弁されたくだりを御紹介しました、これは人の道に外れることですか。どうですか、竹中大臣。御所感をお聞かせください。
○竹中国務大臣 今、堀江さんが出版しておられる本の中の言葉がありますが、例えば、人の心は金で買えるかというふうに聞かれましたら、私は、それは買えないと思います。その意味で、委員もおっしゃいましたけれども、これは読み物として書いていますから、おもしろおかしく誇張しているような面があると思いますが、そこはやはりなかなか賛成できるものではないと思います。
人の道。昨日総理は、チャップリンの言葉を改めて引用して、夢と勇気とサムマネー、そういう言葉を引用しておられたと思います。おっしゃりたいことは、私は非常に集約されているというふうに思うんです。その意味では、人の道というのは、常にこれは考えていかなければいけませんし、特に政治家としてまず考え、一人の人間として、家庭人としてまず考え、そのことをまたその国の政治の中に振り返って生かしていく、そのような努力は常に我々に求められていると思っております。
○小川(淳)委員 ありがとうございました。
とにかく、あの事件は私たち、ショックでした。閣僚の皆さんもショックだったと思います。しかし、その事件に対して、それとこれは別問題だとか、あるいは候補者として擁立したこと、これも別問題だとか、こういうことをすっぱりお答えになることの軽さ、これがやはり日本国民から見ると不幸ですよ。しっかりとこれ、感じ取っていただいて、重みのある発言をしていただきたい。
きょう、朝の審議の中で、伊吹委員が品位ある不規則発言の中で、自民党も民主党も結果責任を負うんだと物すごくいいことをおっしゃった。私、そのとおりだと思いますよ。つまり、政治家とは、あらゆることに対して、直接間接を問わず結果責任を負っていく覚悟が求められるんですよ。そして、事が一たん起きたときには、それをすっと受け入れる潔さが求められる。これを国民に対して範として示さなければならない。これこそが政治家の、ましてや閣僚の規範だと思います。精神規範だと思いますよ。お願いしますよ、これはしっかりやっていただきたい。
そして、最後に小泉改革。いろいろな数字が躍っていますよね。三位一体、何%、何年以内。それから、政府系金融機関の統合だとか特会の見直し、公務員制度改革。もう、何年、何%、何割、数字が躍っていますよ、たくさんの。
私は、この数字に関して少し総理の所信表明のときにあらっと思ったんですね。総理は高らかとこうおっしゃった。世界一安全な国日本の復活は、今後も内閣の最重要課題だ。一昨年四月に二千カ所あった空き交番は、一年間で七百カ所解消しました。来年、十九年春までの三年間に空き交番をゼロにしますとおっしゃった。
防犯ボランティア団体は一万四千にふえた、三千から一万四千にふえた。これは喜ぶべきことですか。八十万人が自主的にパトロールを行っています。これ、いいですよ。評価するのはいい。いいけれども、竹中大臣に言ってもしようがないんですけれども、その奥に、やはりそうしてしまった世上に対して責任意識、規範意識を感じた上で発言してもらわないといけない。
そして、この交番の数、一年間で交番七百カ所を解消したとおっしゃっている。私はぴんときたんですよね。地元で、私が住んでいる町で、ある方に言われた。今、これだけ子供の事件がふえて、これだけ不安な時代になっているのに、私たちの町の交番がなくなるんだというわけですよ。空き交番七百カ所解消するというのは、方法は二つあるんです。一つは、警察官を配置することが一つなんです。もう一つは、交番そのものを閉鎖してしまうことが一つなんですよ。
国家公安委員長、お尋ねを申し上げます。平成十五年から昨年までの二年間で、日本全国の交番数は幾つ減っていますか。それだけお答えください。
○沓掛国務大臣 平成十六年四月と平成十七年四月の差ですが、空き交番数は、平成十六年四月、千九百二十五カ所、十七年四月では千二百二十二カ所でございます。交番数は、平成十六年四月が六千五百九、平成十七年四月が六千四百五十五でございまして、これを平成十九年春までに空き交番数をゼロにするという方向で今一生懸命やっているところでございます。
○小川(淳)委員 ちょっと整理して申し上げますね。平成十五年から昨年までの二年間で交番数は百一軒減っているんです、日本全国で。いいですか。それで、来年春までの二年間にもう百五十五軒交番を減らすと言っているんです、警察庁の計画では。駐在所は、私がいただいた資料で、ピークは平成八年でした。平成八年から昨年までの十年間で、駐在所は九百五十八軒減っているんです。
それは、いろいろ事情はあるでしょう。お金もないはず。財政再建も急務ですよ。だけれども、単純なことじゃないですよね、やはり交番を減らすというのは。しかも、それを所信表明で、七百軒減らしました、二千解消しますと高らかに言うようなことじゃない。
私は、これから、この予算委員会の審議の中で、政府機関、金融機関の統合、特会、三位一体、公務員制度改革、そこで数字がたくさん踊っている。この数字が一体どんな意味を持つのか、そこにどんな政府の思想が流れているのか、哲学があるのか、影の側面にも配慮しているのか、そういうことをしっかりと監視をさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
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